以下図面を参考にして本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
以下に、本発明の第1の実施形態の一例を平板状の屋根設置体である太陽電池モジュールを架台を用いて屋根上に配設する場合を例にとり、模式的に図示した図面に基づいて詳細に説明する。たとえば屋根面は、水平面29から傾斜して設けられる。
図1は、本発明の第1の実施の形態の屋根用固定装置30の一例について示す断面図である。図2〜図4は本発明の屋根用固定装置30の実施形態の一例について部品構成と組み合わせ状態を示す斜視図である。図1に示すように、屋根用固定装置30は基台レール1、架台支持部材2、架台固定部材3およびボルト4とを含む。図2〜図4に示すように、架台支持部材2には架台固定部材3が前記架台支持部材2の締結受け部59のねじ穴72にボルト4により、架台固定部材3が移動可能な状態で取付けられている。この状態で架台支持部材2および架台固定部材3が図3のように基台レール1に挿入される。このとき、前記基台レール1のフランジ部56,57の裏面には、前記架台支持部材2の係合部63が当たるようになっており、ボルト4を締め付けることにより前記架台固定部材3と前記係合部63によりフランジ部56,57が狭持され固定される。
本実施形態の屋根用固定装置30を用いた支持物体の屋根への取付け構造を図1の断面図を用いて説明する。屋根用固定装置30は基台レール1、架台支持部材2および架台固定部材3、およびボルト4とを含んで構成される。前記架台支持部材2の係合部63は、前記基台レール1のフランジ部56,57に係合する。また、前記架台支持部材2の係止部65と架台5の第一係合部50と互いに結合する。また、架台固定部材3の係止部73と前記架台5の第二係合部49とが互いに係合する。前記架台5の第一係合部50および第二係合部49は、前記ボルト4が締め込まれることにより前記架台支持部材2の係合部63と架台固定部材3の係止部73とで挟持されている。また、前記ボルト4を締め込むことにより前記架台5は下方に、前記架台支持部材2は上方に引かれるため、前記架台5の第一係合部50および第二係合部49および前記架台支持部材2の係合部63は前記基台レール1のフランジ部56,57に押圧される。これによって、前記基台レール1に対して前記架台5は、屋根17の傾斜方向およびこれに直交する方向に不可動状態となる。ただし、前記ボルト4を締め込む前には、前記基台レール1に対して、前記架台支持部材2は屋根の傾斜方向Xに移動可能であり、前記架台支持部材2に対して前記架台5は屋根の傾斜方向Xと直交する方向Yに移動可能である。
前記基台レール1はシール材6を介し、屋根材7を貫通して取付ビス8にて野地板9およびたるき10に取付けられる。前記架台5には、上下方向から太陽電池モジュール11,23の載架片96,97が載架され、その上面から固定カバー12が固定ビス18にて前記架台5に固定される。
さらに詳しく説明すると、基台レール1は、長尺状に形成され、屋根面に固定される。以下、固定装置に対応する各構成部材について、固定装置として構成された場合に、屋根面と平行でかつ水平線に垂直な方向を傾斜方向Xとし、屋根面と平行でかつ水平線に沿って延びる方向を水平方向Yとし、屋根面に垂直な方向を法線方向Zとする。なお、傾斜方向上方X1は、屋根面に沿って上方に向かう方向となり、法線方向上方Z1は、屋根面に垂直であって上方に向かう方向となる。
図2〜図4に示すように、基台レール1は、傾斜方向Xに垂直な断面で切断すると、その切断面が略U字状に形成される。基台レール1の長手方向は、傾斜方向Xに沿い、基台レール1の幅方向は、水平方向Yに沿う。基台レール1は、底面部60と、立設部61,62と、ストッパー片48とを含む。底面部60は、長尺状に形成され、その長手方向が傾斜方向Xに沿って延びる。底面部60は、屋根面固定用の取付ビス遊通孔55が形成される。取付ビス8は、底面部60の取付ビス遊通孔55に緩やかに挿通して底面部60を屋根17に固定する。
各立設部61,62は、底面部60の水平方向Y両側部分から、法線方向上方Z1にそれぞれ立ち上がり、傾斜方向Xに沿ってそれぞれ延びる。各立設部61,62の法線方向上方Z1側端部は、水平方向Yに互いに近接する方向に屈曲する。すなわち各立設部61,62は、傾斜方向Xに垂直な仮想面で切断した場合、その切断面がそれぞれL字状に形成される。ストッパー片48は、底面部60の傾斜方向下方X2側端部に連なり、底面部60から法線方向上方Z1に突出する。ストッパー片48が設けられることによって、架台支持部材2が基台レール1から脱落することを防ぐことができる。
架台支持部材2は、基台レール1に装着され、架台5と基台レール1とを連結する。架台支持部材2は、板状に形成される平坦部63と、平坦部63の傾斜方向上方X1側端部66から法線方向上方Z1に立ち上がる第1突出部64と、平坦部63の傾斜方向下方X2側端部67から法線方向上方Z1に立ち上がる第2突出部65とが形成される。
各突出部64,65は、平坦部63に連なる胴部分69と、胴部分69に連なり平坦部63から法線方向上方Z1に離反した位置で、胴部分69から水平方向Y両側に突出する腕部分68とを有する。
平坦部63の水平方向寸法L1は、基台レール1の2つの立設部61,62の屈曲部分56,57の間の水平方向距離L2よりも大きく形成される。また胴部分69の水平方向寸法L3は、2つの立設部61,62の屈曲部分56,57の間の水平方向距離L2よりも小さく形成される。また腕部分68の水平方向寸法L4は、2つの立設部61,62の屈曲部分56,57の間の水平方向距離L2よりも大きく形成される。これによって架台支持部材2は、胴部69が2つの屈曲部分56,57の間に配置され、基台レール1の内部に平坦部63が配置され、基台レール1の外部に腕部分68が配置可能となる。このように配置されることによって、架台支持部材2は、傾斜方向Xに沿って移動可能で、その他の方向Y,Zへの移動が規制されて基台レール1に装着される。
2つの突出部64,65のうち、第1突出部64は、L字状に形成される。具体的には第1突出部64は、平坦部63に連なり、平坦部63から傾斜方向上方X1に離反するとともに法線方向上方Z1に延びる第1傾斜部分58と、第1傾斜部分58に連なり、第1傾斜部分58から傾斜方向上方X1に離反するとともに法線方向下方Z2に延びる第2傾斜部分59とが形成される。第2突出部65は、平坦部63から法線方向上方Z1に進むとともに傾斜方向上方X1に延びる。
本実施の形態では、第1傾斜部分58と第2突出部65とは、略同方向に延びる。また第2傾斜部分59は、第1傾斜部分58に対して90度屈曲する。第2傾斜部分59には、ボルト4が螺着するねじ孔72が形成される。ねじ孔72の軸線L99は、第2傾斜部分59に垂直に形成される。すなわちねじ孔72の軸線L99は、法線方向上方Z1に進むにつれて傾斜方向上方X1に延びる。
架台固定部材3は、略L字状に形成されて、第1突出部64に沿う形状に形成される。架台固定部材3は、第1傾斜部分73と、第1傾斜部分73に連なり第1傾斜部分73に対して90度屈曲する第2傾斜部分70とが形成される。架台固定部材3の第2傾斜部分70は、ボルト4が螺合するねじ孔71が形成される。また架台固定部材3の第1傾斜部分73の水平方向寸法L5は、基台レール1の水平方向寸法L6とほぼ同じ寸法に形成される。
架台固定部材3の第2傾斜部分70が第1突出部64の第2傾斜部分59に対向して配置された状態で、ボルト4は、架台固定部材3の第2傾斜部分70に形成されるねじ孔71を挿通し、第1突出部64の第2傾斜部分59のねじ孔72に螺着する。これによって架台固定部材3が架台支持部材2に装着される。架台固定部材3の第1傾斜部分73は、第1突出部64の第1傾斜部分58に略平行に配置される。ボルト4が架台支持部材2のねじ孔72に対して螺進することによって、架台固定部材3は、ねじ孔72の軸線L99に沿って、架台支持部材2の平坦部63に向かって移動する。また、架台固定部材3が架台支持部材2に装着された状態で、架台固定部材3の第1傾斜部分73と、第1突出部64の第1傾斜部分58とは、傾斜方向Xおよび法線方向Zに間隔を開けて配置される。
架台5は、太陽電池モジュール11,23を保持する。架台5は、架台支持部材2を介して基台レール1に装着される。架台5は、基台レール1に装着された状態で、水平方向Yに沿って延びる。架台5は、水平方向Yに垂直な仮想平面で切断した場合、本体部51と、第1つば部49と、第2つば部50とが形成される。本体部51は、略U字状に形成される。第1つば部49は、本体部51bのうちの傾斜方向上方X1側端部に連なり、本体部51に対して屈曲する。第1つば部49は、本体部51から傾斜方向上方X1に屈曲し、傾斜方向Xに平行な当接面が形成される。第2つば部50は、本体部51のうちの、傾斜方向下方X2側端部に連なり、本体部51に対して屈曲する。第2つば部50は、本体部51から傾斜方向下方X2に進むにつれて法線方向下方Z2に延びる。
架台5が基台レール1に装着された状態で、第1つば部49は、基台レール1の各屈曲部分56,57と、架台固定部材3の第1傾斜部分73との間に配置される。このとき第1つば部49は、基台レール1の各屈曲部分56,57に対向して平行に延びる。第2つば部50は、基台レール1の各屈曲部分56,57と、架台支持部材2の第2突出部65との間に配置される。このとき第2つば部50は、架台支持部材2の第2突出部65に対向して平行に延びる。
架台5は、基台レール1に装着された状態で、第2つば部50が架台支持部材2の第2突出部65に案内されることによって、水平方向Yへの移動が可能であり、傾斜方向Xへの移動が阻止される。このとき、第2突出部65および第2つば部50が、屈曲部分56,57に対して傾斜しているので、基台レール1が水平面に対して傾斜して固定されても、架台5を安定して案内することができる。
またボルト4が架台支持部材2に対して螺進することによって、架台固定部材3がねじ孔72の軸線方向に沿って基台レール1に向かって移動する。これによって架台固定部材3の第1傾斜部分73は、架台5の第1つば部49を、架台支持部材2に向かって押圧する。具体的には、第1傾斜部分73は、架台5を傾斜方向下方X2および法線方向下方Z2に向かって押圧する。
架台5の第1つば部49と架台支持部材2との間には、基台レール1の各屈曲部分56,57が配置される。したがって架台5が架台固定部材3によって押圧された場合、架台5の第1つば部49が、基台レール1の屈曲部分56,57に押し当てられる。また架台5の第2つば部50が、架台支持部材2の第2突出部65に押し当てられる。これによって架台5と基台レール1との間に摩擦力が発生し、架台5が基台レール1および架台支持部材2から変位することが阻止される。
また第1つば部49が屈曲部分56,57に面接触することによって、大きな摩擦力を得ることができ、架台5を基台レール1に対して確実に固定することができる。またボルト4をまわすだけで、架台5の傾斜方向Xおよび水平方向Yの両方の変位を同時に阻止することができ、架台5の固定作業を簡単に行うことができる。さらに第2つば部50の法線方向上方Z1に、第2突出部65が配置されることによって、架台5が法線方向上方Z1に変位することを阻止することができる。また摩擦力を向上するために、架台5と架台支持部材3との当接部分、架台5と基台レール1との当接部分および基台レール1と架台支持部材3との間にゴムなどの摩擦係数の高い材料を部分的に設けてもよい。また架台5と基台レール1とを当接させた状態で、架台5が下方に移動することを防ぐように、架台5、基台レール1および架台支持部材3のいずれ一方と、いずれか他方とが噛合う凹凸形状をそれぞれに形成してもよい。これによってボルトが少々緩んだ場合であっても、架台5の落下を防ぐことができる。
またストッパー片48によって、架台支持部材2の脱落を防止することができるので、屋根に取り付ける前に架台支持部材2を基台レール1に予め装着することができる。この状態の基台レール1を屋根面に固定することによって、屋根面上で基台レール1に架台支持部材2を装着する必要がなく、屋根面での作業性を向上することができる。
したがって基台レール1の各立設部61,62のうち、屈曲する屈曲部分56,57が、フランジ部56,57となる。また架台支持部材2の平坦部63が係合部63となり、第1突出部64の第2傾斜部分59が締結受け部59となり、第2突出部65が係止部65となる。また架台固定部材3の第1傾斜部分73が、係止部73となる。また架台5の第1つば部49が第二係合部49となり、第2つば部50が第一係合部50となる。またボルト4と架台固定部材3とを含んで、架台の移動を阻止する移動阻止部材となる。本実施の形態の固定装置30は、架台5を含まなくてもよい。
かかる本実施形態の屋根固定装置の構成によれば、架台支持部材2が基台レール1に直接載架された架台5を支持し、前記架台支持部材2に装着した架台固定部材3でもって、前記架台5を基台レール1に固定することが可能であることから、1つの架台固定部材3の締結によって基台レール1に対する架台5と架台支持部材2の両方の固定を1度で行なうことができる。これにより、架台5を屋根固定装置に取り付ける際の工程数を減らすことができる。
図5(a)〜図5(d)は本発明の実施形態の一例の施工状態を示した図である。この図を用いて本発明の屋根用固定装置を用いた取付け手順の説明を行なう。
まず、図5(a)に示すように屋根材7の上に最も軒先側の屋根用固定装置の屋根傾斜方向の位置を示す横墨14aを書き込み、この横墨14aを基点として屋根の棟方向へ横墨14b、横墨14cと書き込んでいく。次に前記横墨と直交する架台5の端部、基台レール1の長手方向の通りを示す縦墨15を書き込む。最も軒先側の屋根用固定装置30a,30bを縦墨15の位置に合せ、軒側の先端を横墨14に合せて取付ビス8等にて屋根面に固定する。他の屋根用固定装置も同様に横墨14と縦墨15の交点付近に固定する。ここで、本発明の屋根用固定装置30は前述のようにボルト4の締結前には架台5を屋根の傾斜方向Xおよび傾斜方向に直交する方向Yで広い範囲での位置調節が可能であるため、横墨14と縦墨15の交点に精密に合わせて固定する必要はない。
基台レール1の取付けが完了したら、最も軒先側の架台52を屋根固定装置30a,30bに取付け、固定する。
次に、図5(b)に示すように順次棟側へ隣の架台53,54を取付ける。このとき、2段目の架台53を1段目の架台52を基準に治具16を用いて取付間隔を調整しながら取付けるようにするとよい。図6は、治具16を示す断面図である。屋根用固定装置30はボルト4の締結前には架台を屋根の傾斜方向Xおよび傾斜方向に直交する方向Yで広い範囲での位置調節が可能であるので、屋根用固定装置30bに架台52が固定された状態で、治具16を架台52,53にはめ込むようにして屋根用固定装置30dと架台53との取付間隔を、屋根用固定装置30dの架台支持部材2を移動させながら調整し、屋根用固定装置30dのボルト4を締め込むと隣り合う2本の架台52,53は所定の間隔を保持して屋根面に固定される。冶具16は架台53の固定が終了したら取外し、同様にして架台53を基点に次の架台54の固定作業に使用していく。
全ての架台の取付けが完了した後、図5(c)に示したように隣り合う架台52,53をまたいで太陽電池モジュール11を仮置きする。同様にして架台53,54間にも太陽電池モジュール23を仮置きしていく。全ての太陽電池モジュールの仮置きが完了すれば、図5(d)に示すように、固定カバー12を固定ビス18等で締結することにより前記太陽電池モジュール11,23を固定する。これにより太陽電池モジュール11,23の設置が完了する。
また、図7は、第1の実施の形態の他の例の架台支持部材42と基台レール41とを示す斜視図である。本発明では、基台レール41をI字状のものとしてもよい。この場合は架台支持部材42が前記基台レール41を包み込むようにする。このとき、図1乃至4に示すような架台固定部材3を用いてもよいし、架台固定部材としてボルト43が架台を直接押圧するようにしてもよい。
図8は、第1実施形態のさらに他の例の固定装置80を示す断面図である。この形態は、図1に示す実施形態の例示と類似した構成を示す。したがって図1に示す形態と対応する構成については、説明を省略し、同一の参照符号を付する。固定装置80は、図1に示す固定装置80に比べて、大略的に、架台支持部材82と架台85とが異なる。架台85は、2つの太陽電池モジュール11,23を乗載する。架台85に保持された状態において、一方の太陽電池モジュール11と他方の太陽電池モジュール23とは、その法線方向Zの保持位置が異なる。架台85は、本体部51として、下方の太陽電池モジュール11を乗載する下側乗載部86と、上方の太陽電池モジュール23を保持する上側乗載部87とが形成される。上側乗載部87は、下側乗載部86に比べて法線方向上方Z1に形成される。このような本体部51の形状が図1に示す場合と異なる場合であっても、架台85は、図1に示す第1つば部49と第2つば部50と同様の各つば部49,50が形成される。
架台支持部材82は、図1に示す各突出部64,65に対応する構成を有する。また架台支持部材82は、平坦部63に代えて、架台85が装着された状態で、第1つば部49に対向する第1平坦部88と、第2つば部50に対向する第2平坦部89と、第1平坦部88と第2平坦部89とを連結する連結部90とが形成される。各平坦部89,89は、図1に示す平坦部63と同様の機能を有する。第1平坦部88と架台固定部材3の第1傾斜部分73とによって、架台85の第1つば部49と基台レール1の屈曲部分56,57とを挟持する。また架台支持部材2の第2突出部65によって、架台85が基台レール1に対して係止される。
連結部90は、各平坦部88,89よりも法線方向上方Z1に立ち上がり、架台85の下側乗載部86に当接して架台85を支持する。これによって架台85が太陽電池モジュール11を保持した場合に、架台85が変形することを防ぐことができる。この構成は、図1に示す架台支持部材2にも適用可能である。
このように架台85の本体部51の形状が異なる場合であっても、架台85に第1つば部49および第2つば部50が設けられることによって、架台支持部材2および架台固定部材3によって架台85を確実に係止することができる。図8に示すような架台85および架台支持部材82が固定装置85に用いられる場合であっても、図5に示す方法で屋根17に固定することができる。
このように本発明は、屋根面に固定される長尺状の基台レール1と、該基台レール1に案内されて前記基台レール1の長手方向に移動可能な架台支持部材2,82と、該架台支持部材2,82に設けた架台固定部材3とからなり、前記架台支持部材2,82は、前記基台レール1に直接載架された平板状の屋根設置体用の架台5,85を支持し、該架台5,85の所定部位を前記架台固定部材3でもって前記基台レール1に対して押圧することで、前記架台5,85を基台レール1に固定できるようにしたことを特徴とする固定装置である。
また本発明は、少なくとも2辺が互いに平行の平面角形状をなす1以上の屋根設置体に対し、上記した屋根用固定装置によって、複数個の屋根設置体用の架台を固定し、前記架台によって前記屋根設置体である太陽電池モジュールを屋根上に配設した固定構造であって、前記屋根に、所定間隔をおいて少なくとも2列に設けた固定装置群を配設するとともに、前記一方の固定装置群と他方の固定装置群のそれぞれに前記架台をそれぞれ固定し、該架台どうしの間に前記屋根設置体の互いに平行な2辺部分が固定されるように配設したことを特徴とする固定装置である。
なお、図1乃至図4に示すように、基台レール1を略U字状の筒状とした場合、架台支持材2および架台固定部材3の一部を基台レール1の溝内に収納した状態で架台固定が行なえるので屋根固定装置の薄型化ができるという利点がある。これに対して、図7に示すように、基台レール41をI字状とした場合、架台5を屋根面から離して通気を良くしたい時など、屋根固定部材で高さを確保できるという利点がある。
また、図1乃至図4に示すように、架台固定部材3として第1傾斜部分73のような押圧片を用いた場合、着脱が容易でかつ架台5と架台支持部材2を同時に固定できるという利点がある。これに対して、図7に示すように、架台固定部材としてボルト43を用いた場合、前記ボルト43を係止部として兼用できるので部品点数を減らせるという利点がある。
なお、本実施形態では屋根設置体として太陽電池モジュールを例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、太陽集熱器等の平板状の太陽エネルギー利用機器等に好適に適用可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し実施が可能である。すなわち固定装置は、建造物に固定される設置体の固定に関して広く用いることができる。
図9は本発明の第2の実施の形態の固定装置130の実施形態の一例について部品構成と組み合わせ状態を示す斜視図である。なお、図1に示す固定装置の構成と対応する構成については、図1に示す固定装置の構成と同様の符号を用い、その説明を省略する。
図9に示すように、固定装置130は基台レール131、架台支持部材132、架台固定部材133を有する。架台支持部材132は基台レール131上を長手方向に沿って移動できる状態で取り付けられるようになっており、この架台支持部材132には太陽電池モジュールなどを支持する架台135(横ラック)が取り付けられる。
架台135は自身で太陽電池モジュールなどの平板状の設置体を固定する固定手段を有してもよい。また、架台135だけで太陽電池モジュール11などの平板状の設置体を固定する固定手段を有さない場合に、図10に示すように架台135だけでなく、架台135に加え、外側挟持部材134などを用いて、太陽電池モジュール等の平板状の設置体をネジやボルトで挟持固定できる。
図11は本発明に係る固定装置130の構造を示す断面図、図12は本発明に係る固定装置130の基台レール131上での移動状態を示す断面図、図13は本発明に係る固定装置130に太陽電池モジュール11を挟持固定する様子を示す断面図、図14は本発明に係る固定装置130が基台レール131に固定された状態を示す断面図である。
図11に示すように架台支持部材132は架台135を固定するためのレール状の係止部132aと基台レール131上を移動可能な台座部132bを備え、架台固定部材133で基台レール131に固定される。
図12に示すように、最初、架台支持部材132は基台レール131上に置かれただけの状態であり、基台レール131の長手方向、すなわち屋根の傾斜方向Xに沿って自由に移動可能であり、架台135の設置位置に合わせて位置を調整した後、基台レール131にねじ込み用の穴をあけて架台固定部材133を挿入、固定することで固定される。
なお、本例では位置調整後に穴をあける方法を例にしたが、基台レール1にあらかじめ架台固定部材締結用のネジ穴などを設けて現場作業を簡略化しても良い。
次に、図13のように架台支持部材132のレール状の係止部132aの下側に架台135の下部のレール状の係止部である下端135aを通し、架台固定部材133を締め付けると架台支持部材2の台座132bが基台レール131側に押しつけられ、架台135の下部のレール状の係止部である下端135aがレール状の係止部132aと基台レール131上面との間で挟持固定されることで架台135は固定される。
太陽電池モジュール11を架台135上に固定するとき、架台135と外側挟持部材134とで太陽電池モジュール11を固定する固定手段を用いた例について説明する。
架台135が固定された後、太陽電池モジュール11の端部を架台135の開口部135bに挿入し、外側挟持部材134を架台135の上部に固定することで、図14に示すように太陽電池モジュール11は外側挟持部材134と架台135の間で強固に挟持固定される。
具体的には、基台レール131は、長尺状に形成され、その長手方向が屋根の傾斜方向Xすなわち屋根面に落下した雨水が流れる方向に沿って固定される。図9に示すように、基台レール131は、傾斜方向Xに垂直な切断面による断面形状が略U字状に形成されて傾斜方向Xに延びる本体部分140と、本体部分の法線方向下方Z2側部分から水平方向Y両側にそれぞれ突出する固定部分141,142とが形成される。固定部分141,142は、ボルト143によって屋根17に固定される。したがって本体部分140は、屋根面から法線方向上方Z1に突出する。
架台支持部材132は、台座部132bと係止部132aとが形成される。台座部132bは、傾斜方向Xに垂直な切断面による断面形状が略U字状に形成され、基台レール131の本体部分140に法線方向上方Z1から嵌り込む。これによって架台支持部材132は、台座部132bが基台レール131に嵌り込んだ状態で、傾斜方向Xに移動可能に形成される。また、台座部132bには、基台レール131と固定されるためのねじ孔95が形成される。
係止部132aは、水平方向Yに延びて、傾斜方向Xに並ぶ2条のレール部144と、各レール部144と台座部132bとを連結する支持部145とを有する。支持部145は、2つのレール部144の傾斜方向Xの中間位置に設けられ、各レール部144を両持ち支持する。
各レール部144は、L字状に形成される。各レール部144は、そのうち、屈曲部分144cが最も法線方向上方Z1に突出する。具体的には、各レール部144は、支持部145に連なり、支持部145から傾斜方向Xに離反するにつれて法線方向上方Z1に延びる立ち上がり部分144aと、立ち上がり部分144aに連なり支持部145から傾斜方向Xに離反するにつれて法線方向下方Z2延びる立ち下がり部分144bとが形成される。立ち上がり部分144aは、支持部145に対して、約45度傾斜し、立ち下がり部分144bは、立ち上がり部分144aに対して約90度屈曲する。なお、図12に示すように、架台支持部材132が基台レール131に嵌り込み、ねじ133がねじ孔95に螺合した状態で、各レール部144と基台レール131との間に法線方向Zに隙間146,147が形成される。
本実施の形態では、2つのレール部144のうち一方は、台座部132bから傾斜方向他方X2に突出し、基台レール131との間に法線方向Zに隙間146が形成される。また2つのレール部144のうち他方は、台座部132bに対向して配置される。しかし、台座部132bは、他方のレール部144に対向する部分が切除されており、他方のレール部144と基台レール131との間に法線方向Zに隙間147が形成される。これらの2つの隙間146,147は、基台レール131の法線方向距離Z距離が等しく形成される。
架台135は、長尺状に形成され、水平方向Yに垂直な切断面による断面形状が略U字状に形成される。架台135の断面形状における両端部には、係止部135aがそれぞれ形成される。各係止部135aは、架台135の内側に向かって屈曲し、互いに近接する方向に湾曲する。なお、図13に示すように、各係止部135aの先端は、架台135が架台支持部材132に装着された状態で、法線方向上方Z1に反るように形成される。
基台レール131に架台支持部材132が装着された状態で、架台135が装着される場合、架台135の各係止部135aが、基台レール131と架台支持部材132の各係止部132aとの間を挿通する。このとき架台135の各係止部135aの先端が基台レール131の法線方向上方Z1に反るように形成されることによって、架台135が架台支持部材132に対して、傾斜方向Xおよび法線方向Zに変位することが阻止される。またボルト133によって、架台支持部材132が基台レール131に向かって法線方向Zに移動することによって、各レール部144と基台レール131との間に形成される隙間146,147が小さくなる。これによって、各レール部144と基台レール131との間の隙間146,147が小さくなる。したがって、架台135の係止部135aが、架台支持部材132の係止部132aと基台レール131とによって挟持されて、基台レール131に対する架台135の水平方向Yの変位が阻止される。
図15は本発明に係る固定装置130の基台レール131を屋根上に取り付けるときの模式図、図16は本発明に係る固定装置130の架台支持部材132を基台レール131上に取り付けたときの模式図、図17は本発明に係る固定装置130の架台135を架台支持部材132上に取り付けたときの模式図、図18は本発明に係る固定装置130に太陽電池モジュール11を固定するときの模式図、図19は本発明に係る固定装置130に太陽電池モジュール11を固定したときの模式図、図20は本発明に係わる固定装置130を用いた架台135により太陽電池アレイが構築される様子を模式的に示す平面図、図21(a)〜(d)は本発明に係る固定装置130を用いたことにより屋根上への太陽電池モジュール11の載置が改善された様子を示す平面図、図22は本発明に係る固定装置130の基台レール131を設置面固定金具上を可動可能とする構造を示す断面図であり、図23は、基台レール131を可動可能とした場合の屋根設置上面から見た斜視図である。図24は、基台レール131を可動可能とした場合の一部を拡大する斜視図である。
本実施形態の固定装置130を用いた支持物体である太陽電池モジュール11の屋根への施工の手順を図15〜図20の図を用いて説明する。
まず、図15に示すように屋根材7上に基台レール131を屋根上に取り付けるための複数の屋根用取付部材32を取付ビス等にて屋根面に固定する。屋根用取付部材32は施工する家屋の屋根の屋根材が何であるかによって使用する部材を選択すればよく、本発明の固定装置130による制限は生じない。家屋の屋根材7としては波瓦、スレート瓦、板金等があるが本例では板状の瓦を用いたスレート瓦葺きの屋根を事例として説明する。
屋根用取付部材32を介して基台レール131を屋根材に固定した後、図16に示すように基台レール131上に架台支持部材132(132u,132s,132t)を必要数配置する。本例では2列の太陽電池アレイとするので架台135は3本必要であり、架台支持部材132は6個配置した。しかる後、屋根の最も軒側に位置する架台支持部材132uについて正しく位置出しをして架台固定部材133で基台レール131に固定する。
なお、このとき架台支持部材132s,132tを位置合わせして架台固定部材133で基台レール131上に固定しても良いが本例では可動状態のままとしておく。
次に、図17のように架台135(135u,135s,135t)を架台支持部材132u,132s,132tにそれぞれ取り付ける。このとき、架台135s,135tは架台支持部材132s,132tとともに基台レール131上を自在に移動可能であるので、図18のように太陽電池モジュール11aを挿入する際に既に固定された架台135uを基点として太陽電池モジュール11aを挿入し、架台135sを太陽電池モジュール11に合わせて下ろすことにより自動的に架台135sの位置出しが完了するので、施工において固定装置130の位置出しにかかる作業を簡略化し、施工工数を削減することが可能である。
なお、太陽電池モジュール11を固定装置130に挿入する様子は図10に示すように基台レール131上に直交して取り付けられた架台135の開口部135bに太陽電池モジュール11の端部139(枠部)が挿入され、外側挟持部材134が太陽電池モジュール11を架台135側に押さえつけることによって挟持固定されるものである。
そして、太陽電池モジュール11a,11bの載置が完了したら図19のように架台135sを架台支持部材132sで基台レール131に固定することにより太陽電池モジュール11a,11bが固定される。
同様にして、図20のように太陽電池モジュール11c,11dを載置した後、架台135tを架台支持部材132tで基台レール131に固定することにより、太陽電池アレイ149が完成する。
上述したように、本発明の固定装置130においては基台レール131(縦ラック)上を架台支持部材132が全域に渡って移動できる状態で配置されることにより、基台レール131と架台支持部材132に支持される架台135(横ラック)も基台レール131上を長手方向に沿って移動できるので、太陽電池モジュール11の取り付け時に基点を決めておけばその後の取り付けは全て現物合わせで行うことができ、墨だしの精度の緩和や作業工数を大幅に削減することができるのである。
また、架台135を架台支持部材132にて基台レール131上に取り付ける構造であるので、架台135の太陽電池モジュール11を挿入する開口部135bを塞ぐことがなく、基台レール131上に太陽電池モジュール11を載置することが可能となり、図21(a)に示すように太陽電池モジュール11間に基台レール131(縦ラック)の露出した隙間が生じることがなく屋根外観を損なうことがない。また、基台レール131による隙間分の屋根面積が太陽光発電に利用可能な面積から削除されることがない。
さらに、図21(b)〜図21(d)のような台形状、三角形状、平行四辺形状の屋根の形状に合わせて太陽電池モジュールを列ごとにずらして載置することも可能であるので様々な太陽電池モジュールの配置を選択することができるようになり、同一屋根における太陽光発電可能な面積比率を向上させることが可能となる。
具体的には図21(b)の台形状の屋根の事例では従来技術である図65(a)に比べて2枚、図21(c)の三角形状の屋根の事例では従来技術である図65(b)に比べて3枚の太陽電池モジュール11が増設されている。また、図21(d)のように大小の大きさの異なる太陽電池モジュール11,138を用いて配置するような場合においても容易に対応できる。
また、特に図示しないが、小型太陽電池モジュールを多数用いた太陽電池アレイとする場合などには基台レール131上に多数の架台135を配する必要があるが、架台支持部材132が移動できるので、どのような間隔(間隔の異なる変則的な配置にも対応可能)、本数での横架台配置にも対応でき、しかも架台135や架台固定部材132、太陽電池モジュール11の固定工数が少ないので従来の工法に対し施工工数の削減効果が大きい。
また、図22に示すように、基台レール131を金具ベース153と押え金具152で挟持固定する構造としてもよい。この場合、基台レール131の下部に設けたレール状の係止部の一方である基台レール底部158aを、金具ベース153の上部押え部153aと金具ベース153の底部160とで挟持する。また、基台レール131の下部に設けたレール状の係止部の他方である基台レール底部158bを、押え金具152の爪部152aと金具ベース153の底部160とで挟持するようにすれば、締結ボルト154を締め付けるまでは基台レール131は図23のように金具ベース153上を屋根の軒と棟方向すなわち基台レール131の長手方向に移動できるので、施工時に基台レール131を仮固定(外れない程度に締結ボルト154を締める)しておき、架台135を基台レール131上に取り付けた後に設置面固定金具152の締結ボルト154を締め付けて挟持固定させることにより架台135を基台レール131とともに移動させて屋根上の位置出しができる。
具体的には、基台は、基台レール131と設置面固定金具150とを含む。設置面固定金具150は、金具ベース153と、押さえ金具152とによって構成される。基台は、基台固定部と、基台移動部と、基台結合部とを備える。基台固定部は、建造物に固定され、本実施の形態では金具ベース153によって実現される。基台移動部は、金具ベース153に案内されて、金具ベース153に対して傾斜方向Xに移動可能に設けられ、架台支持部材135を連結する。本実施の形態では、基台移動部は、基台レール131によって実現される。結合部は、金具ベース153に対する基台レール131の移動を阻止する。基台結合部は、押さえ金具152によって実現される。
金具ベース153は、屋根面に固定され、傾斜方向Xに沿って延びる。金具ベース153は、レール状に形成され、略U字状に形成される。金具ベース153は、底部160と、底部160の水平方向Y両側から法線方向上方Z1にそれぞれ突出する2つのガイド部161,162とを有する。
2つのうち一方となる第1ガイド部161は、その先端部となる第1先端部153aが他方のガイド部162に向かって延びる。すなわち底部160と、第1先端部153aとは、厚み方向Zに隙間を開けて対向する。第1先端部153aは、上述した上部押さえ部153aとなる。2つのうち他方となる第2ガイド部162は、その先端部となる第2先端部153bが一方のガイド部161から離反する方向に延びる。第2先端部153bは、締結ボルト154が螺着するねじ孔が法線方向Zに挿通して形成される。
押さえ金具152は、上述する締結ボルト154が挿通するねじ孔が形成される。締結ボルト154のねじ孔を挿通して、前記第2先端部153bのねじ孔に挿通する。締結ボルト154が前記第2先端部153bに螺進することによって、押さえ金具152が第2先端部153bに向かって移動する。押さえ金具152は、第2先端部153bから第1先端部153aに向かって延びる。押さえ金具152は、先端に爪部152aが形成される。締結ボルト154によって第2先端部153に螺着された状態で、押さえ金具152は、その爪部152aが、金具ベース153の底部160に対向し、押さえ金具152の残余の部分に比べて法線方向下方Z2に向かって屈曲する。
基台レール131は、長尺状に形成され、その長手方向が屋根の傾斜方向Xに沿って固定される。基台レール131は、傾斜方向Xに垂直な切断面による断面形状が略U字状に形成されて傾斜方向Xに延びる本体部分163と、本体部分163の水平方向Y両側からそれぞれ水平方向Y外方に突出する底部158a,158bとが形成される。
基台レール131は、金具ベース153の各ガイド部161,162に案内された状態で底部160に乗載される。このとき基台レール131の2つの底部158a,158bのうち、一方の底部158aは、金具ベース153の底部160と第1先端部153aとの間に収容される。また基台レール131の2つの底部158a,158bのうち、他方の底部158bは、金具ベース153の底部160と、押さえ金具152の爪部152aとの間に収容される。
締結ボルト154が第2先端部153bに螺進することによって、押さえ金具152が金具ベース153に近接する。これによって押さえ金具152の爪部152aが基台レール131の他方の底部158bを金具ベース153の底部160に押圧する。これによって基台レール131が金具ベース153に固定される。また締結ボルト154が第2先端部153bから螺退することによって、押さえ金具152が金具ベース153から離反する。これによって押さえ金具152の爪部152aが基台レール131から離れ、基台レール131は、金具ベース153に対して、傾斜方向Xに変位自在となる。
これにより、最も軒側にある架台135を屋根の軒に対して水平に位置あわせをしたときに、基台レール131のそれぞれが軒側へはみ出す長さが様々であったとしても問題なくなるので、基台レール131の墨だし精度が必要なく、施工作業がより簡単になる。また、この方法によれば金具ベース153の固定についても墨だしが必要なくなるので、さらに施工が容易になることはいうまでもない。
このように本発明は、設置面に平板状の設置体たとえば太陽電池モジュールを固定するための固定装置130であって、この固定装置130は設置面上に固定される長尺状の基台レール131と、この基台レール131に案内されてこの基台レール131の長手方向Xに移動可能な架台支持部材132と、この架台支持部材132にて前記基台レール131上に取り付けられて前記基台レール131と直交する方向Yに移動可能な長尺状の架台135とを有し、この架台135もしくはこの架台135と外部挟持部材134とで前記設置体を固定する固定手段を備え、さらに前記架台支持部材132および前記架台135を前記基台レール131上に固定するための架台固定部材132を設けたことを特徴とする固定装置130である。
また本発明は、前記架台135を前記基台レール131上にこの基台レール131と直交する方向Yに係止するためのレール状の係止部132aを前記架台支持部材132に設けるとともに、前記架台135の下部にこの架台135を前記基台レール131上に前記架台支持部材132の係止部132aにて係止されるためのレール状の係止部135aを設け、前記架台支持部材132に設けられた係止部132aと前記架台135の下部に設けられた係止部135aとを係合させたことを特徴とする。
また本発明は、前記基台レール131が設置された設置面上にこの基台レール131の長手方向に移動できるように、前記基台レール131の下部にレール状の係止部158aを設けるとともに、前記設置面に前記基台レール131の係止部158aと係合させるための設置面固定金具150を設けたことを特徴とする。
なお、本実施形態では架台支持部材132が架台135の内側で挟持固定するようにしたが外側での挟持固定でもよく、また、基台レール131を上面に溝を配したコの字型のレールとして架台支持部材132を内側を移動できるものにしてもよい。また、設置面固定金具150による基台レール131の挟持固定を基台レール131の内側で行うようにしてもよい。また、設置体として太陽電池モジュールを例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、太陽集熱器等の平板状の太陽エネルギー利用機器等に好適に適用可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し実施が可能である。
図25は、本発明の第3の実施形態の固定装置180の一例について示す断面図である。なお、図8に示す固定装置の構成と対応する構造については、図8に示す固定装置の構成と同様の符号を用い、説明を省略する。本発明の固定装置は、後記するように、傾斜屋根の棟−軒方向へ複数の架台85を互いに略平行に配設し、棟側及び軒側に位置する架台85のそれぞれの上に、平板状の太陽電池モジュール11,23の棟側辺及び軒側辺のそれぞれを載置して、架台85とこの架台85を覆う固定カバー170とで形成される2つの凹部のそれぞれに、太陽電池モジュール11,23の棟側辺及び軒側辺のそれぞれを収容した固定装置180であって、特に、架台85の上に載置した太陽電池モジュール11,23に対して、固定カバー170と架台85との間で押圧させるための締結手段171と、この締結手段171による押圧前における前記2つの凹部内の間隙を、押圧後より広く保持する間隔保持手段172とを備えたものである。
まず、平板状の太陽電池モジュール11を傾斜屋根上で固定するための固定装置180について説明する。図25に示すように、固定装置180は基台レール1を固定ビス8でシール材6を介して屋根材7を貫通して野地板9や垂木に固定される。シール材6は、屋根材7の貫通部からの雨水などの浸入を防止する効果や後記する架台85から屋根材にかかる荷重を緩衝する効果を有するものが好適であり、ブチルゴム製や発泡ゴム製のものを用いる。また、固定ビス8には雨水の浸入を防止するため、その首部にパッキン8aを装着する。
また、基台レール1は上面部にスリットが設けられており、このスリットに架台支持部材82を挿入するようにしているので、架台支持部材82は基台レール1内を傾斜方向Xに自由に移動することができる。なお、架台支持部材82の底部169は基台レール1内に沈み込んでしまわないだけの高さを有しており、上部が基台レール1上に露出する。架台支持部材82の片端には架台支持部材3がネジ4によって取り付けられている。そして、ネジ4を締め付けることにより、基台レール1上の任意の位置で架台支持部材82を固定することができる。なお、このような構造は、図1および図8に関して、説明しており、ここでの説明は、省略する。
また、架台支持部材82には架台85が挿入されるようになっており、ネジ4を締め付けることにより基台レール1上の任意の位置で架台支持部材82とともに、架台85を固定することができるようにしている。また、架台85上には固定カバー170が、間隔保持手段である間隔保持部材172とともに締結用ネジ171で取り付けられる。
以下に本発明の設置体固定装置180を使用して、屋根上に太陽電池モジュール11,23を設置する方法を施工手順に従って説明する。図26(a)に示すように、家屋等の屋根上に配されたスレート瓦等の屋根材7に固定装置180A〜180Fを固定する。そして図26(b)に示すように、固定装置180の180Aと180B、180Cと180D、180Eと180Fをペアとして、架台85(85a,85b,85c)を屋根上に水平に一定間隔で挿入する。このとき、架台85上には、固定カバー170を締結手段を構成する締結用ネジ171にて予め取り付けておくとよい。
ここで、設置体固定装置180、架台85、及び固定カバー170は、耐候性を有する表面処理を施したアルミニウム合金や鋼材などの金属、樹脂等で構成される。また、太陽電池モジュール11は図26(c)に示すように、架台85aの棟側と架台85bの軒側で支持される。
そして図27(a)、図27(b)に示すように、全ての太陽電池モジュール11,23の配置、及び配線チェックが完了した後、架台85a,85b,85cの固定カバー170のネジ171を締め付けることで固定し、太陽電池アレイが完成する。このとき、太陽電池モジュール11,23は軒側が架台85に引っ掛かかる態様としているので、仮置き状態でも滑落しない。
なお、本実施例では、固定装置180は、架台85ごとに独立して設けているが、屋根面の傾斜方向に前記架台85を複数取り付ける縦桟と呼ばれるような固定部材であってもよい。また、架台85の長さをより長くして多数の固定装置180で支持するようにしてもよい。また、太陽電池モジュール11,23の設置開始を屋根の棟側からとしてもよく、架台85への太陽電池モジュール11,23の配置が終ったところから順次ネジ固定を行なうこととしても良い。
次に架台85間に太陽電池モジュール11,23を配設する様子を説明する。太陽電池モジュール11,23は、図28に示すように、太陽電池本体174の4辺に枠175が装着されて形成されている。ただし、必ずしも前記枠175は必要ではなく太陽電池本体174のみで前記太陽電池モジュール11,23を構成することも可能である。枠175はアルミニウム等の加工性に優れた金属材料や樹脂の成型品等から構成される。また、一般に太陽電池本体174は受光面にガラスや樹脂等の透光性基板が設けられ、この透光性基板に多数の太陽電池素子が収容された樹脂等からなる封止材によって裏面材が貼着されたものであるり、太陽電池素子としては例えばシリコン系半導体やガリウムヒ素等から成る化合物半導体などの単結晶、多結晶や非晶質の材料が用いられ、互いに直列及び/または並列に電気的に接続されて、外部に出力が取り出される。
図29(a)、図29(b)に示すように、固定カバー170には締結用ネジ171と間隔保持部材172が取り付けられており、架台85に設けた締結手段を構成するネジ固定部材184でネジ止めできるようにしている。間隔保持部材172は金属、樹脂などで弾性を有するものであればよいが、さらに、締結用ネジ171の首部177を挟持するような形状にすることにより、締結用ネジ171の無用な緩みを防止することができ好適である。また、間隔保持部材172に金属材料を使用することで、架台85と固定カバー170の間の電気的導通が確保でき、静電気を逃せるようになるのでさらに好適である。また、固定カバー170の下部に折り返し片178を設け、固定カバー170を架台85に取り付けた際に太陽電池モジュール11の屋根流れ方向、すなわち屋根の傾斜方向Xへの動きを抑止するようにすると好適である。
具体的には、太陽電池モジュール11,23は、架台85と固定カバー170とに挟持されることによって、架台85に固定される。架台85は、締結用ねじ171が螺着する挿通孔185が形成される。挿通孔185は、その軸線L98が法線方向Zに沿って延びる。固定カバー170は、上述した締結用ねじ171が螺着する挿通孔136が形成される。締結用ねじ171が、固定カバー170の挿通孔136を挿通し、さらに架台85の挿通孔185を挿通することによって、固定カバー170が架台85に装着される。このとき固定カバー170は、架台85の下側乗載部86に対向する第1対向部分190と、架台85の上側乗載部87に対向する第2対向部分191とが形成される。固定カバー170と締結用ねじ171とは、架台85に太陽電池モジュール11,23を固定する設置体固定部材となる。
架台85の各乗載部86,87にそれぞれ太陽電池モジュール11,23が乗載された状態で、締結用ねじ171を架台85に向けて螺進することによって、固定カバー170を太陽電池モジュール11,23に押圧することができる。これによって太陽電池モジュール11,23は、固定カバー170と架台85とによって、挟持される。すなわち屋根面に対して固定される。
間隔保持部材172は、締結用ねじ171が固定カバー170を挿通した状態で、締結用ねじ171のねじ溝形成部分のうち、首部177付近に設けられる。間隔保持部材172は、締結用ねじ171に連結される連結部192と、連結部192から両側にそれぞれ延びるバネ部193,194とを含む。バネ部193,194は、互いに離反する方向に延びるとともに締結用ねじ171の軸線方向に、締結用ねじ171の頭部195から離反する方向に延びる。バネ部193,194は、弾発性を有する。連結部192には、締結用ねじ171が螺合した状態で貫通する貫通孔137が形成される。
この状態で、締結用ねじ171が架台85に螺進することによって、間隔保持部材172のバネ部193,194が架台85の上面に当接する。さらに締結用ねじ171が架台85に螺進することによって、固定カバー170が架台85に向かって移動し、太陽電池モジュール11,23を固定カバー170と架台85とによって挟持する。このとき、間隔保持部材170が弾性変形し、架台85から離反する方向の力を固定カバー170に与える。締結用ねじ171を緩められた場合、固定カバー170は、間隔保持部材172から与えられるバネ力によって、架台85との間隔が大きい状態に保持される。また間隔保持部材172は、2つのバネ部193,194が形成されることによって、バネ力が偏ることなく、固定カバー170との間隔を精度よく保持することができる。なお、間隔保持部材172は、締結用ねじ171が貫通するナットであってもよい。
次に、太陽電池モジュール11,23が架台85と固定装置180により固定される様子を説明する。図30に示すように、屋根上に固定された固定装置180a,180cに取り付けられた架台85a,85b間に太陽電池モジュール11,23を固定する場合、まず架台85bの凹部である開口部176cに前記太陽電池モジュール11の棟側周縁部92を挿入する。このとき、固定カバー170bは上述した締結用ねじ171bに取り付けられた間隔保持部材172bによって上方へ引き上げられているので、締結用ネジ171bを締め込んだ状態よりも棟方向に広い状態が保持され、開口部176cは太陽電池モジュール11を挿入するのに十分な奥行きを確保することができる。これにより、太陽電池モジュール11の軒側周縁部91が、架台85a上部に取り付けられた固定カバー170aよりも棟側に入り込むことができるようになるので、軒側辺91を前記固定カバー170aと架台85aとで構成される凹部である開口部176aに挿入する。この時点で架台85aの軒側に太陽電池モジュールを配置しないのであれば締結用ネジ171aを締め付ける。これにより、太陽電池モジュール11の軒側周縁部91が前記固定カバー170aと架台85aで挟持され固定される。
次に、架台85bの棟側に配する太陽電池モジュール23を同様の手順にて、軒側周縁部93を固定カバー170bと架台85bとで構成される凹部である開口部176bに挿入し、締結用ネジ171bを締め付けて太陽電池モジュール11の棟側周縁部92と太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を、固定カバー170bと架台85bで挟持され固定される。
太陽電池モジュール11,23の挿入時における状態を図31に示し、締結用ネジ171を締めて太陽電池モジュール11を固定した状態を図32に示す。また、図31に示すように、太陽電池モジュール11の棟側周縁部92は固定カバー170bの下部に設けられた折り返し片178によって棟側への移動が抑止されており、これにより、脱落が防止される。また、太陽電池モジュール11,23を架台85a,85bに配設する際、太陽電池モジュール11,23を挿入・固定する開口部(凹部)を、太陽電池モジュール11,23の厚みよりも広い空間を確保することができ、施工性が向上する。
また、固定カバー170bは、上述したように締結用ねじ171に取り付けられた間隔保持部材172によって上方へ引き上げられるようになっているので、締結用ネジ171bを再度緩めることにより、締め込んだ状態よりも棟方向すなわち、傾斜方向Xに広い空間が確保され、開口部176cに太陽電池モジュール11をより奥まで挿入することで太陽電池モジュール11の取外しを容易に行なうことができる。
以上、詳述したように、固定装置180によれば、フレーム材に軽薄な部材を使用した設置体、たとえば太陽電池モジュール11,23であっても、架台85に取り付けた状態で剛性を保つことができる。また太陽電池モジュール11,23の施工作業が簡単で、容易に着脱ができる。また、フレーム材に軽薄な部材を使用した太陽電池モジュール11,23であっても仮置き時に滑り落ちることがなく、安全に施工作業が行なえる。
図33は、本発明の第4の実施形態の固定装置190の一例について示す断面図である。図34は、図33の一部を拡大した図面である。なお、図1または図8に示す固定装置の構成と対応する構造については、上述した固定装置の構成と同様の符号を用い、その説明を省略する。図33に示すように、架台85は、長尺の本体部200の上側に、締結用ねじ171でもって、太陽電池モジュール11,23を押圧固定するための長尺の固定カバー170を装着する構造となっている。前記本体部200は、屋根の傾斜方向において隣接する一対の太陽電池モジュール11,23のうち下側に位置する太陽電池モジュール11の軒側周縁部91を載架する軒側載架面201と、該軒側載架面201より高く設けられ他方の太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を載架する棟側載架面202と、該棟側載架面202から連続して傾斜方向下方X2に延びて前記軒側載架面201の上にせり出た軒片203と、前記締結用ねじ171を嵌合するための前記軒片203に設けられたねじ孔204とを備えている。
架台85は、上述したように、水平方向Yに垂直な仮想面で切断した場合、略U字状に形成される本体部200と、上述した第1つば部49と、第2つば部50とが形成される。本体部200は、第1***部205と、軒側乗載部86と、第2***部206と、軒片203と、棟側乗載部87と、案内部207と、第3***部208とをさらに含んで形成される。
第2つば部50は、本体部200の第1***部205に連なる。第1***部205は、第2つば部50と連なる部分から、法線方向一方Z1に立ち上がり、軒側乗載部86に連なる。下側乗載部86は、下側に位置する太陽電池モジュール11の軒側周縁部91を乗載し、基台レール1と平行な軒側載架面201が形成される。下側乗載部86は、第1***部205と第2***部206とを連結する。第2***部206は、下側乗載部86と連なる部分から、法線方向一方Z1に立ち上がり、軒片203に連なる。軒片203は、下側乗載部86に対向して延びる。軒片203には、締結用ねじ171が螺着するねじ孔204が形成される。なお、ねじ孔204の軸線の延長線は、下側乗載部86を通過する。
軒片203は、上側乗載部87に連なる。上側乗載部87は、上側に位置する太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を乗載し、基台レール1と平行な棟側載架面202が形成される。上側乗載部87は、軒片203と案内部207とを連結する。案内部207は、上側乗載部87と連なる部分から、法線方向他方Z2に下がる。案内部207は、傾斜方向一方X1に進むにつれて法線方向他方Z2に傾斜する。案内部207は、上側乗載部87と第3***部208とを連結する。第3***部208は、案内部207と連なる部分から、法線方向他方Z2に下がり、第1つば部49に連なる。
前記固定カバー170は、太陽電池モジュール11を上側から押圧する軒側押圧片220と、該軒側押圧片220より高く設けられた棟側押圧片221と、前記締結用ねじ171を挿通するための貫通孔222とを備えている。
また、固定カバー170は、折り返し片178を有する。折り返し片178は、軒側押圧片220の傾斜方向上方X1側端部から、棟側押圧片221に対して離反する方向に屈曲する。また固定カバー170の突起223は、棟側押圧片221から折り返し片178と同方向に突出する。
本実施形態のおいて、前記固定カバー170は、断面略Uの字状をなし、上片が棟側押圧片221、下片が軒側押圧片220となっている。また、軒側押圧片221に設けた貫通孔222は長孔となっていて、固定カバー170が後述の、使用前状態と使用状態との異なる配置をとることができるようになっている。また、前記棟側押圧片221の先端部近傍に下向きの突起223が設けられ、前記使用前状態において、この下向きの突起が太陽電池モジュール23の仮止めを行うとともに、使用状態において、太陽モジュール23の位置決めを行なう。
次に、図35と図36は、前記基台レール1によって屋根上に固定された架台85を用い、前記太陽電池モジュールを取り付ける詳細な手順を示している。図37は特に、特に、架台85を中心に示す図である。
図35(a)に示すように、屋根上に固定された基台レール1a,1bに取り付けられた架台85a,85b間に太陽電池モジュール11を固定する場合、まず架台85aの棟側載架面202に前記太陽電池モジュール11の軒側周縁部91を載架する。続いて、前記太陽電池モジュール11を棟方向にすなわち、屋根面に向かって倒しながら該太陽電池モジュール11の棟側周縁部92を架台85bの軒側載架面202に載架する。次に図35(b)、(c)に示すように、架台85bの棟側に配する太陽電池モジュール23を同様の手順にて軒側周縁部93を架台85bの棟側載架面202に載架していく。
このとき、図37(a)、図37(b)に示すように、太陽モジュール11,23の周縁部を前記本体部200の載架面201,202に載置可能な状態において、前記締結用ねじの先端173の先端で前記固定カバー170の軒側押圧片220を前記本体部200の軒側載架面201に押圧することで、前記固定カバー170を前記本体部200に固定した状態、これに加えて太陽モジュール11,23の周縁部91,92を前記本体部200の載架面201,202に載置しておいて、前記下向きの突起223で太陽モジュール23を仮固定した状態(使用前状態)となっている。
ところで、太陽電池モジュール11,23を設置していく際、配置後の配線確認などの作業を考えると、太陽電池モジュールを安全に仮固定でき、配線確認後に本固定ができることが好ましい。そこで図37(a)に示すように固定カバー170と架台85は締結用ねじ171により前記固定カバー170が傾いた状態で仮固定し、太陽電池モジュール11の軒側受け部を構成する。このとき、該状態には、設置される屋根上で行なうのではなく地上での作業で仮固定されるか、もしくは工場出荷時に仮固定して出荷されるようにすることにより、屋根上で細かな前記締結用ねじ171を多数、架台85のねじ孔204のタップに係合させて締めこむ作業をなくすことができる。さらに、前記固定カバー170の折り返し片178を前記締結用ねじ171で締め込むような構造にして仮固定することで、前記折り返し片178のばね性により前記締結用ねじ171は緩みが防止される。したがって、工場出荷時に仮固定したとしても輸送中に緩み、脱落することがない。また、この折返し片178は、太陽電池モジュール11を位置決めするためのストッパーとしての作用も有している。
太陽電池モジュールの配設が完了したら、配線確認等を行ない、図36(a)に示すように、一旦締結ねじ171を緩めて固定カバー170a,170bを可動状態にし、図36(b)に示すように、固定カバー170a,170bを太陽電池モジュール11,23を固定する位置に移動させ、再度締結用ねじ171a,171bを締め付けることで図36(c)のように前記太陽電池モジュール11の棟側周縁部92と前記太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を前記固定カバー170a,170bと架台85a,85bで挟持され固定される。なお、前記締結用ねじ171を緩め、再度締め付ける際の詳細を図37(c)〜図37(e)に示す。
次に、図38は、別実施形態の架台85を示す。図38(a)に示したように前記締結用ねじ171の中間部の一部にねじがなく、径がねじの谷径よりも細い非ねじ形成部187を設けることのより同様に前記締結用ねじ171の緩みを防止し、脱落することを防止できる。すなわち、前記締結用ねじ171を前記非ねじ形成部187よりも深く締め込んでおけば、振動などで前記非ねじ形成部187まで緩んだとしても該非ねじ形成部187よりも先端のねじに係合することはなく、該非ねじ形成部187より先まで緩むことはない。さらに、図38(b)に示すごとく前述の2つの緩み防止方法を併せて用いることで、前記折り返し片178の固定が万一緩んだとしても、前記非ねじ形成部187により緩みが止まるため二重の脱落防止効果が得られる。
すなわち、締結用ねじ171を一旦緩め、固定カバー170を太陽電池モジュール11の固定位置に移動させた後、再度、前記締結用ねじ171を締め込む。ここで、前記締結用ねじ171を前述したように非ねじ形成部187を設ければ、一旦緩める際に勢い余って前記締結用ねじ171が脱落する心配もなく、電動ドライバーなどの工具を使用しても円滑に作業を進めることができる。一方で、前記締結用ねじ171を引き上げながら緩めることで外すことも可能であるので保守性を損なうこともない。また、締結用ねじの脱落を防止するために、締結用ねじ171が架台85に装置された状態で、その先端部173をねじ孔の内径よりも大きくしてもよい。
図39は、本発明の第5の実施形態の屋根用固定装置300の一例について示す断面図であり、図40は、一部を示す斜視図である。固定装置300は基台301と基台301の上に設けられて架台304の動きを規制する規制部材302とを含む。前記基台301と前記規制部材302は、両部材を上下方向に貫通する回動軸303で該回動軸303を中心に図示のように回動可能に組み立てられている。ここで、回動軸303はリベットやボルト、ナットなどの円筒の軸を有する締結部材が好適である。また、後述の架台304を固定するための固定手段として基台301には、長手方向に凸条をなす押圧部301aを有している。
図39に示す固定装置300は、前記基台301に対して回動軸303のまわりに前記規制部材302を回動可能としたことにより、固定装置300を後述の架台304から取り外すことなく、架台304の位置を保持したままで、屋根材7の状況に応じて、固定装置300の取付位置を調整できる。また、部品点数が少なく簡易な構成であるので、安価に製作でき、取付け工数を低減することができるとともに、軽量であるので、屋根の上でも取扱やすく、安全な作業が可能である。
図39に示すように、本実施形態において、基台301は長手方向の両端部に、屋根材との固定部301bを備える。そして、回動軸303と規制部材302とは、基台301の長手方向において、その一方端の側に偏った位置に設けられている。したがって、前記規制部材302に対する基台301を180°回動させた前後の、前記屋根材との固定部301bの位置が変化する。これにより、基台301の長手方向を変えずに2つの固定配置を選択することができることから、架台304を固定するために最適な基台301の向きを変更することなく、不都合な固定位置を回避して別の固定位置を選択することができる。
図41、42は、前記屋根用架台固定装置300に長尺の架台304を案内した状態を示した図である。図41は前記基台301と架台304との長手方向Xが平行になっている状態を示す。この状態では架台304が基台301の押圧部301aに当たらないため、基台301が架台304の長手方向Xには可動状態になる。前記可動状態から前記回動軸303を中心に基台301を規制部材302ならびに架台304に対して90°回転した状態を図42に示した。同図に示した状態では、架台304の係止部304aが基台301の押圧部301aによって上方に押圧されるため、該押圧部301aと規制部材302との間に挟持され、基台301は、架台304の長手方向にも不可動状態となる。すなわち、基台301に対して架台304が固定された状態となる。
具体的には、基台301は、支持部351と、一対の脚部352,353と、固定部301bと、押圧部301aとを有する。支持部351は、板状に形成されて傾斜方向Xに延びる。各脚部352,353は、それぞれ支持部351の傾斜方向X両端部に連なり、支持部351から、法線方向他方Z2に屈曲する。固定部301bは、各脚部352,353の法線方向他方方Z2端部に連なり、支持部351と平行に延びる。すなわち支持部351は、一対の脚部352,353とを連結し、一対の脚部352,353に張架される。また、固定部301bは、屋根材7に固定するためのねじ孔350が形成される。押圧部301aは、水平方向Y両側に設けられる。押圧部301aは、支持部351から法線方向上方Z1に突出し、傾斜方向Xに延びる押圧部凸条354,355が形成される。本実施の形態では、押圧部凸条354,355は、水平方向Y両側にそれぞれ形成される。
規制部材302は、基台301の支持部351に対して、相対的に回転可能に設けられる。規制部材302の回転軸線は、基台301の傾斜方向中央位置とは異なる位置に設けられる。規制部材302は、支持部351に平行に延びる規制本体部356と、規制本体部356の両側に形成される規制部凸条357,358とが形成される。規制部凸条357,358は、規制本体部356から法線方向上方Z1に突出する。本実施の形態では、規制部凸条357,358は、2つ設けられ、互いに予め定める方向に延びる。規制部凸条357,358は、少なくとも、押圧部凸条354,355の水平方向寸法よりも長く形成される。
図41および図42は、基台301に対して第1の配置状態に配置される規制部材302を示す図である。第1の配置状態では、規制部材302は、押圧部301aの押圧部凸条354,355の間に配置される。このとき、規制部材302の規制部凸条357,358は、押圧部凸条354,355に平行に延びる。押圧部凸条354,355は、略L字状に形成され、その屈曲部分が押圧部凸条354,355のうち残余の部分に比べて最も法線方向上方Z1に配置される。同様に規制部凸条357,358は、略L字状に形成され、その屈曲部分が規制部凸条357,358のうち残余の部分に比べて最も法線方向上方Z1に配置される。また押圧部凸条354,355および規制部凸条357,358の少なくともいずれかは、弾発性および可撓性を有する材料によって実現される。
図41に示すように、第1配置状態において、規制部凸条357,358と基台301との間に隙間360が形成される。また押圧部凸条354,355は、支持部351よりも水平方向Yに離れた位置で、支持部351よりも法線方向上方Z1に予め定める量361だけ突出する。架台304は、長尺状に形成され、その断面形状が略U字状に形成される。架台304の断面形状における両端部には、係止部304aがそれぞれ形成される。各係止部304aは、架台304の内側に向かって屈曲し、互いに近接する方向に湾曲する。なお、図41に示すように、規制部材302が第1配置状態に配置された状態で、架台304は、その係止部304aが規制部材302と基台301の支持部351との間に挿入可能に形成される。すなわち第1配置状態において、規制部凸条357,358と基台301との間に形成される隙間360は、係止部304aの法線方向寸法よりも大きく形成される。これによって架台304は、傾斜方向Xに変位可能に係止される。
また、第1配置状態から、規制部材302に対して基台304を相対的に角変位させると、図42に示すように、規制部材302は、第2配置状態となる。第2配置状態では、押圧部凸部354,355と規制部材302との隙間が、係止部304aの法線方向Z寸法よりも小さくなる。したがって図42に示すように、第1配置状態において、架台304が規制部材302に係止された状態で、第2配置状態に移行すると、架台304の係止部304aが、規制部材302と、押圧部凸部354,355とによって挟持される。これによって架台304の変位が阻止される。
図43には、固定装置300を位置調整して架台304に固定する手順を示した。図43(a)に示すように固定装置300の前記基台301と前記規制部材302の長手方向が平行になるように第1状態にセットし、図43(b)に示すように架台304の係止部304aが、屋根用架台固定装置300の前記基台301と前記規制部材302の間隙を通るように挿入する。次に、図43(c)に示すように屋根用架台固定装置300を架台304の固定位置まで挿入した後、図43(d)に示すように基台301を架台304と直角になる位置まで回転させる。このとき、図43(d)の方向では屋根材の段差との干渉で屋根面への取り付けができない場合には、図44(a)、図44(b)に示したように前記基台301を180度回転して屋根面への取付け位置を変更すればよい。
本実施形態の屋根用架台固定装置300の取付け構造をさらに詳しく説明するために図39を用いて説明する。屋根用架台固定装置300は基台301、規制部材302および回動軸303で構成され、前記基台301の押圧部301aと前記規制部材302の間隙に架台304の係止部304aを挟持している。前記基台301はシール材を介し、屋根材7を貫通して取付ビス8にて野地板9およびたるき10に取り付けられる。架台304には、上下方向から太陽電池モジュール11,23の載架片310,320が載架され、その上面から固定カバー311を介して固定ビス312にて架台304に固定される。
図45は、屋根材7の段差と架台の位置関係および屋根用架台固定装置300の向きとの関係について説明するための図である。図45(a)に示すように、野地板9上に配された屋根材7は、隣り合う屋根材同士が瓦重ね状になっており、屋根用架台固定装置300を固定する場合、この段差に前記屋根用架台固定装置300の固定部分を配するのは、前記屋根用架台固定装置300が安定しなかったりするため好ましくない。また、同様に屋根材7の端部付近に取付ビス8用の穴を設けたりした場合も前記屋根材7の破損を招きやすいといった問題がある。しかも架台304は屋根上のどの位置に配置されることになるか予想できない。そこで、図45(a)、図45(b)に示した範囲に架台304が位置する場合には屋根用架台固定装置300の基台301は架台304に対して棟側400に延出する向きにすることにより屋根材の段差を避けて取り付けることができ、P0から棟側のPUの範囲をカバーすることができる。そして、図45(c)、図45(d)に示した範囲に架台304が位置する場合には屋根用架台固定装置300の基台301は架台304に対して軒側に延出する向きにすることにより屋根材の段差を避けて取り付けることができ、P0から軒側のPDの範囲をカバーすることができる。これにより、屋根材7の瓦重ね部P1から次の瓦重ね部P2までの範囲をカバーすることができるようになる。なお、図45(a)より棟側400に架台304が位置する場合には、図45(d)と同じ状態で屋根材7の段差を避けて取り付けることができるため、上記の状態を繰り返すことによりどの位置に前記横架台が位置しても基台301の向きを選択することで屋根材の段差を避けて屋根用架台固定装置300を屋根面に取り付けることができる。また、図45(b)、図45(c)の場合はいずれを選択しても良い。
ところで、上記の屋根用架台固定装置300は図39に示した構造の他、図46に示したように基台301の中央に凸条の押圧部401aを設けた構造でもよい。なお、架台304を固定するための固定手段としては、前記凸条の押圧部301aのみでなく、凸突起やその他の手段を適宜用いることができる。
このように本実施の形態では、第2配置状態において、基台301と規制部材302とによって架台304の係止部304aを両側から挟持する構成であればよい。図46の構成を具体的に述べると、基台301は、押圧部301aに代えて、傾斜側部301cが形成される。傾斜側部301cは、支持部351の水平方向Y両側に設けられ、傾斜方向Xに延びる。傾斜側部301cは、支持部351から水平方向外方に向かうにつれて、法線方向下方Z2に傾斜して延びる。
図46に示すように、第1配置状態では、規制部材302の規制部凸条357,358は、傾斜側部301cと対向する。規制部凸条357,358と傾斜側部301cとの間には、隙間363が形成され、この隙間は、架台304の係止部304aの法線方向寸法364よりも大きく形成される。これによって架台304が傾斜方向Xに変位自在に基台に装着される。
第2配置状態に移行すると、規制部凸条357,358は、支持部351と対向する。規制部凸条357,358と支持部351との間の隙間は、架台304の係止部304aの法線方向寸法364よりも小さく形成される。したがって架台304が装着された状態で第2配置状態に移行すると、架台304は、規制部凸条357,358と支持部351とによって挟持される。これによって架台304の変位が規制される。このように架台を案内する2つの部材の間隔を、第1配置状態よりも第2配置状態を小さくすることによって、規制部材302に装着した架台304と、基台301とを角変位するだけで、架台304の状態を移動可能状態または移動阻止状態に切換えることができる。すなわちボルトなどの部材を必要とせず、利便性を向上することができる。
また、第1配置状態において、架台304を基台301に対して、任意の位置に移動させた状態で、第2配置状態に移行させることによって、架台304を基台301に対して、任意の位置で固定することができる。このとき架台304と基台301とを相対的に角変位させるだけで、架台304と基台301とを固定することができる。すなわち、ボルトを用いることなく、架台304と基台301とを固定することができ、作業性を向上することができる。
また、図47のように基台301の屋根への取付ビスを締め込む固定部301bを片方に設けた形状でもよい。いいかえると、支持部351は、1つの脚部によって片持支持されてもよい。
次に、本発明の他の実施形態を、図48を用いて説明する。図48(a)のように屋根用架台固定装置300は基台301、押圧部材316、規制部材302の順に重ね合わせ、回動軸303を中心にそれぞれが図48(b)のように可動状態になるよう前記回動軸303で係合されている。前記押圧部材316にはその長手方向と直交する方向に前記回動軸303を挟んで2列の凸条の押圧部316aを設けてある。
詳しく説明すると、図39〜図42に示す支持部351および押圧部凸条354,355を含む押圧部材316が、基台301に対して別体に設けられる。押圧部材316は、基台301と規制部材302との間に介在され、規制部材302および基台301に対して、規制部材302の角変位軸線まわりに角変位可能に設けられる。また押圧部材316は、支持部351と押圧部凸条354,355との他に、つまみ部367を有する。つまみ部367は、支持部351と押圧部凸条354,355と一体に設けられ、角変位軸線の半径方向に基台から突出する。
図48(c)のように前記屋根用架台固定装置300の規制部材302と前記押圧部材316との間隙に架台304の係合部304aを架台304の固定位置まで挿入した後、図48(d)のように押圧部材316を所定角度回動させることにより押圧部材316の押圧部凸条316aが架台304の長手方向に平行な方向から直交する方向に変化するため、押圧部材316の押圧部凸条316aと架台304の係合部304aの交差する部分で押圧部材316の押圧部凸条316aと規制部材302との間に架台304の係合部34aが挟持され、架台304の長手方向には不可動となる。
さらに、本発明の他の実施形態について図49を用いて説明する。図49(a)に示すように、屋根用架台固定装置300は基台301、押圧部材316、基台301の順に重ね合わせ、回動軸303を中心にそれぞれが可動状態に前記回動軸303で係合されている。図49(a)のように前記押圧部材316にはその長手方向と直交する方向に前記回動軸303を挟んで2列の凸条の押圧部316aが設けてある。また、前記押圧部材316の前記回動軸303を挿通する貫通穴318は長穴となっており基台301の長手方向にスライド可能になっている。前記押圧部材316の長手方向端部の一方には第1立ち上がり片371の当たり部316bを設けており、他方の端部には第2立ち上り片370を設け、押圧ビス317を取り付ける。この屋根用架台固定装置300を図49(c)のように前記屋根用架台固定装置300の前記規制部材302と前記押圧部材316との間隙に架台304の係合部304aを挿入し、固定位置まで挿入した後、図49(d)のように前記押圧部材316の前記押圧ビス317を締め込むことにより、押圧ビス371が架台304に当接して、前記押圧部材316の押圧部316aが前記横架台304の係合部304aの直下に移動し、前記押圧部材316の押圧部316aと前記係止部材302との間に架台304の係合部304aが挟持され、前記横架台304の長手方向には不可動となる。また、前記押圧ビス317を締め込む過程において前記押圧部材316の前記当たり部316bが前記横架台304の側面に当たることで前記押圧ビス317を締め込みすぎて前記押圧部材316の押圧部316aが前記横架台304の係合部304aからずれてしまうことを防ぐことができる。
上述したように複数の実施例を説明したが、各実施例のうち、固定装置を構成するために部分的に併用可能な構成については、それらの実施の形態の各構成を組み合わせて、固定装置を実現してもよい。なお、本明細書において、傾斜方向X、水平方向Yおよび法線方向Zは、理解を容易にするために用いた方向である。したがって固定装置の各構成は、傾斜方向Xに対応する第1方向、水平方向Yに対応する第2方向および法線方向Zに対応する第3方向に従って形成されてもよい。このような第1方向〜第3方向は、方向の関係が傾斜方向X、水平方向Yおよび法線方向Zに対応していればよい。すなわち第1方向は、傾斜方向でなくてもよく、第2方向は、水平方向でなくてもよく、第3方向も法線方向でなくてもよい。
なお、本実施の形態では、架台は、水平方向に移動可能として説明した場合があるが、水平方向は、基台の長手方向に直交する方向でなくてもよく、基台の長手方向に交差し、屋根面に相方向であればよい。また、本発明でいう架台は、横ラック、横桟および横架台と称される場合がある。また、固定装置を屋根面に固定する場合について、述べたが屋根以外の建造物に固定装置を固定してもよい。
図52は、本発明の太陽電池モジュール11を示す平面図であり、図53は、一部を拡大して示す斜視図である。太陽電池モジュール11は平面長方形状をなす太陽電池本体の周縁部において、一部を除き絶縁性被膜で表面が覆われた金属枠から成る短辺枠501と長辺枠509とが組み合わされて構成されており、その短辺枠501の下面に突設部501aを設け、接地された保持部材である架台上に載架される部分を削って絶縁性被膜による表面処理部分を剥離させた当接部501bとしている。すなわち、架台の導体上に金属枠501、509が接する状態で載置して成り、この金属枠501,509の載置する側の面が段差状に形成されているとともに、後記するように、金属枠501,509の架台に当接する側の面を段差状に形成するとともに、金属枠において、少なくとも架台に当接する側の面を除く表面が絶縁性被膜で覆われている。
突設部501aと当接部501bを太陽電池モジュール裏面から見た様子を図53Aに示す。なお、長辺枠509は短辺枠501よりも突設部501aが無い分だけ厚みが少なくなっており、さらに短辺枠501の突設部501aを削って当接部501bを構成する際には、少なくとも前記長辺枠509よりも高く突出させておく。
図8に示すように、太陽電池モジュールは、上述した各固定装置によって屋根面に固定される。図8を参照して説明すると、固定カバー170には締結用ネジ171が取り付けられ、架台85に設けたネジ穴でネジ止めできるようにしており、太陽電池モジュール23は固定カバー170と架台85の間に挿入された状態でねじ締め固定される。このとき、前記太陽電池モジュール23の両端にある短辺枠501の当接部501bが、架台85と電気的に接触するようになり、架台85に対してアース接地が行なわれるようにしている。また架台85は、直接または、間接的に屋根面と電気的に接続される。
次に、太陽電池モジュール11,23が架台85a,85bを有する固定装置180a,180bにより固定される様子を図30を用いて説明する。屋根上に固定された基台レール1に取り付けられた架台85a,85b間に、太陽電池モジュール11,23を固定する場合、まず、前記固定カバー170bと架台85bとで構成される凹部である開口部に、前記太陽電池モジュール11の棟側周縁部92を挿入する。その後、太陽電池モジュール11の軒側周縁部91を前記固定カバー170aと架台85aとで構成される凹部である開口部に挿入する。この時点で架台85aの軒側に太陽電池モジュールを配置しないのであれば締結用ネジ171aを締め付ける。
これにより、太陽電池モジュール11の軒側周縁部91が前記固定カバー170aと架台85aで挟持され固定される。同時に、太陽電池モジュール11の当接部と架台85a,85bが押圧されるため、太陽電池モジュール11の短辺枠501と架台85は電気的導通状態となり、軒側の架台85aと棟側の架台85bは電気的に導通状態となる。
一方、図30に示すように架台85bの棟側に配する太陽電池モジュール23がある場合は、同様の手順にて、架台85bの開口部に太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を挿入し、締結用ネジ171bを締め付けて太陽電池モジュール11の棟側周縁部92と太陽電池モジュール23の軒側周縁部93を、固定カバー170bと架台85bで挟持され固定される。これにより、太陽電池モジュール23の当接部と架台85bが押圧されるため、太陽電池モジュール23の短辺枠501と架台85bは電気的導通状態となる。
全ての太陽電池モジュールの配置、及び配線チェックが完了した後、各架台の固定カバー170のネジを締め付け、固定することで太陽電池アレイが完成し、これと同時に、太陽電池モジュールの短辺枠501にある当接部と架台85が押圧されるため、太陽電池モジュール11の短辺枠501と架台85は電気的導通状態となる。短辺枠501は隣り合う架台85、例えば85a,85bに渡って載架されているため、隣り合う架台85a,85b同士も電気的導通状態となり、全ての架台85が電気的に導通状態となる。そこで、いずれかの架台85から一箇所を接地すれば、全ての架台85が接地できる。
なお、架台85の長さをより長くして多数の固定装置300で支持するようにしてもよい。また、太陽電池モジュール11,23の設置開始を屋根の棟側からとしてもよく、横桟への太陽電池モジュール11,23の配置が終ったところから順次ネジ固定を行うこととしても良い。また、地面への接地を架台設置後に行ったり、固定装置から地面へ接地を行ってもよい。
また、本発明の太陽電池モジュール枠を利用しない接地方法の実施形態について、図56、57を用いて説明する。前述の実施形態と同様に、設置した太陽光発電装置の固定カバー170にねじを取り付けるねじ穴521を設けておき、屋根に設置した太陽光発電装置の側面に金属製の側面カバー519を取付ねじ520にて、隣り合う架台上の固定カバー(例えば170a,170b)に取り付ける。このとき、側面カバー519の取付けねじ穴518の周辺を非塗装、すなわち電導性を有するようにしておけば、隣り合う架台上の固定カバー170間を前記側面カバー519により電気的な導通が確保され、いずれかの架台85から一箇所を接地すれば、全ての太陽電池モジュール11,23や架台85が接地できる。また、取付けねじ穴521が塗装されていても、葉付き座金などのように、取付けねじ520を締め付けることで塗膜(絶縁性被膜)を破るような構造にしてもよい。
これにより、太陽電池モジュール11,23の短辺枠501や長辺枠509が樹脂や非導電性の材質であっても、全ての太陽電池モジュール11,23や架台85の接地が可能であるだけでなく、太陽光発電装置の外観を向上せしめ、鳥などが太陽電池モジュール11,23の下に侵入することを防止する機能を有するようにできる。
なお、本実施形態では、傾斜屋根の棟−軒方向へ複数の架台を互いに略平行に配設し、棟側及び軒側に位置する架台のそれぞれの上に、金属枠を有した平板状の太陽電池モジュールの棟側辺及び軒側辺のそれぞれを載置して、架台とこの架台を覆う固定カバー170とで形成される2つの凹部のそれぞれに、太陽電池モジュール11,23の棟側辺及び軒側辺のそれぞれを収容した太陽光発電装置であって、特に、架台の上に載置した太陽電池モジュール11,23に対して、固定カバー170と架台との間で押圧させるための締結手段171とを備えたものとしているが、この限りではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の方法・構成を採用することができる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。