JP4427138B2 - 過酸化水素を用いた加熱焙焼反応による澱粉誘導体及びその製造方法 - Google Patents

過酸化水素を用いた加熱焙焼反応による澱粉誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性条件下で過酸化水素により澱粉を酸化変性させて得られる澱粉誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
澱粉を酸化変性する方法は古くから種々知られており、澱粉スラリーに酸化剤を添加して反応を行う方法や、澱粉糊化液に酸化剤を添加して反応を行う方法が一般的である。酸化剤には、次亜塩素酸、過マンガン酸、クロム酸、過ヨウ素酸もしくはこれらの塩、又は過酸化水素等が用いられる。
【0003】
この中で、過酸化水素は反応後、水や酸素になり余計な副生物が生成しないため非常に魅力がある。この過酸化水素を用いた酸化変性は他の酸化剤を用いた酸化変性同様、原料澱粉の溶液と比べて酸化澱粉溶液が低粘度化するため、この溶液を高濃度で使用することが可能であり、より使用用途が広がる。また、酸を用いた酸変性による低粘度化とは異なり、糊化液が老化しづらい性状を持つ。
【0004】
この過酸化水素を用いたスラリー反応も広く知られており、最近では澱粉スラリーを一旦糊化開始温度以上に加熱して膨潤させてから冷却したものに過酸化水素を添加し、触媒の存在下、30〜50℃、pH4〜10でスラリー反応を行う方法(特開平09−188704号公報)等がある。
【0005】
また、澱粉スラリーでの酸化反応ではなく、澱粉を糊化液にして反応させる方法(特開昭60−225697号公報)もある。この方法では、澱粉スラリーに過酸化水素、触媒を加え、澱粉が完全に糊化する温度以上に加熱して反応を行う。この方法では、生成物は、反応終了後、酸化変性された糊化液として得られる。
【0006】
前者のスラリーによる過酸化水素を用いた反応では、溶媒に水を用いるため澱粉の糊化温度より高くは反応温度を上げられず反応時間が長くなり、また、水媒体による反応のため試薬を多量に使い、更に、反応により澱粉由来の低分子化物が多く発生して水に溶出するため、後処理(乾燥、排水等)の負荷が大きくなるという問題がある。また、この方法ではカルボキシル基が優先的に生成する。
【0007】
後者の糊化液の過酸化水素を用いた反応では、澱粉糊化液を糊化温度以上の高温で反応できるが、澱粉スラリーの反応で得られる澱粉とは異なり、比較的酸分解反応に似た老化しやすい糊化液が得られる。また、反応物が糊化液であるため、長期間の保存が利かないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来からある過酸化水素を用いた酸化反応とは異なる方法で澱粉を酸化させることによってアルデヒド基を優先的に生成させ、従来の酸化反応物では得難かった、貯蔵安定性、耐水性等を向上させた澱粉誘導体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、澱粉、過酸化水素及び金属触媒を含有し、水分含量30重量%以下の混合物を酸性条件下で加熱焙焼することにより前記課題を解決できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)澱粉、過酸化水素及び金属触媒を含有し、水分含量30重量%以下の混合物を酸性条件下で加熱焙焼して得られる澱粉誘導体。
(2)澱粉誘導体重量に対してアルデヒド基が0.05重量%以上である前記(1)に記載の澱粉誘導体。
【0011】
(3)澱粉、過酸化水素及び金属触媒の混合物が酸性になるように調整し、この混合物を水分含量30重量%以下にした後、80〜180℃の範囲内で加熱焙焼反応させることを特徴とする澱粉誘導体の製造方法。
(4)前記(3)に記載の製造方法により得られる澱粉誘導体。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の澱粉誘導体は、澱粉、過酸化水素及び金属触媒を含有し、水分含量30重量%以下の混合物を酸性条件下で加熱焙焼して得られるものである。澱粉、過酸化水素及び金属触媒を含有する混合物は、水分含量が30重量%以下であれば、特に乾燥する必要はないが、通常、水分含量が所定の範囲内になるように乾燥した後、加熱焙焼する。乾燥後の水分含量は、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。
【0013】
本発明の澱粉誘導体は、好ましくは、澱粉、過酸化水素及び金属触媒の混合物が酸性になるように調整し、この混合物を水分含量30重量%以下にした後、80〜180℃の範囲内で加熱焙焼反応させることにより製造することができる。
【0014】
本発明の製造方法は、従来行われてきた澱粉スラリーに過酸化水素を添加してスラリーで反応を行う方法とは異なり、反応試薬を添加した澱粉混合物を高温で反応することが可能であり、また、少量の反応試薬で反応が行える等の特長を有する。また、澱粉糊化液を過酸化水素で反応させる方法とも異なり、未糊化のまま水分含量30重量%以下に乾燥した状態、例えば乾燥粉体の状態で反応を行う。更に、本発明の方法で得られた澱粉誘導体は、乾燥物として得られるため保存安定性がよく、また従来の酸化変性方法で得られた澱粉誘導体よりも耐水性が向上する、即ち、水に溶出しにくいという特長を有する。
【0015】
本発明の製造方法で得られた澱粉誘導体は、カルボキシル基よりもアルデヒド基が優先的に生成する。澱粉誘導体中のアルデヒド基は、通常0.05重量%以上、好ましくは0.05〜3.0重量%、更に好ましくは0.1〜1.5重量%である。
【0016】
本発明で使用される澱粉としては、アミロース及び/又はアミロペクチンで構成される天然の炭水化物、例えばトウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、米澱粉、及びこれらを元にした化工澱粉等が挙げられる。
【0017】
本発明の過酸化水素を用いた加熱焙焼による澱粉誘導体を製造するための好ましい方法を以下に述べる。
本発明では澱粉を酸化させるために酸化剤として過酸化水素を使用する。過酸化水素としては、通常に入手できる過酸化水素の水溶液、即ち、過酸化水素水が好ましく、過酸化水素濃度が75重量%以下の水溶液が更に好ましい。
【0018】
本発明で使用する金属触媒としては、周期律表3A〜6A族、8族、1B〜2B族の遷移金属触媒が例示され、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛触媒を用いるのが好ましく、2価の銅、2価の鉄、2価の亜鉛、2価のコバルト触媒が更に好ましい。
【0019】
本発明では、澱粉、過酸化水素及び金属触媒の混合物を酸性条件下で反応させるために酸を使用するが、使用する酸は特に限定されず、硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の無機酸及びギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、ジメチル硫酸等の有機酸などが挙げられ、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸を用いるのが好ましい。
次に、原料澱粉と前記各試薬の混合について述べる。
【0020】
まず、スラリー澱粉を用いる場合は、スラリー澱粉に酸を添加し、澱粉含量が10重量%のスラリーにおいてpHが5以下、好ましくはpH2〜4に調整する。これに過酸化水素水、金属触媒の水溶液を加えよく攪拌を行う。次いで、この試薬混合スラリーの水分含量が30重量%以下になるよう乾燥する。水分含量が30重量%以上であると、澱粉粒自身の吸水能力を超え、澱粉粒内部に試薬を取り込めきれなくなり、更に、加熱によって澱粉粒に取り込まれなかった余剰の水分が澱粉を糊化させるおそれがあるため好ましくない。前記水分含量は、25重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
【0021】
また、乾粉の澱粉を用いる場合は、予め過酸化水素水、酸、金属触媒(金属触媒は澱粉と混合する直前まで他の試薬と混合しないでおく)を溶かした溶液を用意し、この溶液を澱粉とよく混合する。この混合物の澱粉10重量%スラリーのpHが5以下、好ましくはpH2〜4、水分含量を30重量%以下に調整する。水分含量が30重量%を超えると、澱粉粒自身の吸水能力を超え、澱粉粒内部に試薬を取り込めきれなくなり、更に、加熱によって澱粉粒に取り込まれなかった余剰の水分が澱粉を糊化させるおそれがあるため好ましくない。前記水分含量は、25重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
【0022】
なお、過酸化水素の添加量は澱粉に対して12重量%以下、通常0.1〜12重量%であることが好ましい。前記添加量が12重量%を超えると、澱粉と混合して加熱を行ったとき急激な反応が起こるおそれがあり危険なことと、生成した水により澱粉が糊液化するおそれがある。
【0023】
また、金属触媒の添加量は澱粉に対し、金属分が0.05重量%以下、通常0.0005〜0.05重量%であることが好ましい。金属触媒が0.05重量%を超えると反応も早く進行するが、生成した澱粉誘導体に悪い影響を与えることがある。
【0024】
次に加熱焙焼をするに当たり、前処理として前記の澱粉と試薬の混合物を熱風乾燥機で水分が20重量%以下、好ましくは12重量%以下になるよう乾燥させる。この時該混合物の形状は、次の加熱焙焼工程で、反応が均一、効率的に行なわれるように粉体とすることが好ましい。
【0025】
本発明で用いられる加熱焙焼の一例として、乾式焙焼法がある。この乾式焙焼法とは、特公昭45−20512号公報に記載されている公知の方法であり、具体的には反応試薬と水との混合溶液を澱粉に含浸させるか、反応試薬の高濃度溶液を澱粉に含浸させる。または、澱粉に対して前記混合溶液及び高濃度溶液をスプレー散布した後、これを均一になるまで攪拌した後、該混合物を攪拌式乾燥機、静置式乾燥機等を用いて加熱反応を行うものである。
【0026】
乾燥した混合物を熱風式加熱機又はジャケット式加熱機にて80〜180℃で加熱焙焼させる。この時、焙焼温度が80℃未満では過酸化水素が反応する前に気化してしまう分が多く、反応効率が非常に悪い。また、180℃よりも高温では澱粉自身の熱変性が急激に起こり、生成したアルデヒド基も分解するおそれがある。前記焙焼温度は、80〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることが更に好ましい。
【0027】
本発明の加熱焙焼反応では、焙焼温度が105℃を超えると急激な反応が生じる。よって反応の効率をよくするには105℃以上の焙焼温度で反応させるか、105℃未満の加熱焙焼では一旦105℃以上で加熱焙焼させてから焙焼温度を下げるのが良い。
前記の方法により得られる澱粉誘導体は耐水性を有し、この糊化液を乾燥させたものを水に浸した時、水にこの澱粉誘導体が溶出しづらいという特長を持つ。
【0028】
澱粉誘導体の耐水性は、例えば以下の「澱粉糊化液の乾燥フィルム溶出率」試験により「乾燥フィルム溶出率」として評価できる。即ち、10%澱粉糊化液5gを75℃のホットプレート上に注ぎ、5cm×5cmの乾燥フィルムを作る。この乾燥フィルムを25℃、50gの水に30分間浸し、この乾燥フィルムを浸した水を蒸発乾固して残留物の重量を測定し、乾燥フィルムが水に溶け出した重さの割合として乾燥フィルム溶出率を求める。乾燥フィルム溶出率の計算式は以下の通りである。
【0029】
【数1】
Figure 0004427138
【0030】
本発明の澱粉誘導体は、通常30%以下の乾燥フィルム溶出率を有するが、5〜25%であることが好ましく、5〜15%であることが更に好ましい。
また、前記の方法により得られる澱粉誘導体の糊化液は安定性にも優れる。
【0031】
澱粉誘導体糊化液の安定性は、例えば以下の「澱粉糊化液の安定性」試験により「粘度増加率」として評価できる。即ち、澱粉誘導体の20%糊化液を50℃で保存し、糊炊き直後の糊化液と24時間後の糊化液のB型粘度(50℃、60rpm)を測定し、以下の計算式により粘度増加率を算出する。粘度増加率の計算式は以下の通りである。
【0032】
【数2】
Figure 0004427138
【0033】
本発明の澱粉誘導体は、通常20%の糊化液で150%以下の粘度増加率を有するが、0〜90%であることが好ましく、0〜40%であることが更に好ましい。
本発明の過酸化水素を用いた加熱焙焼法は、反応に用いる試薬の量を減らせて経済的である。また、従来の溶媒による酸化変性法よりも排水負荷がなく、高温、短時間で反応させられる。更に、従来の溶媒による酸化変性法や糊化液を酸化変性させる方法で得られた澱粉に比べてアルデヒド基の生成が多く、耐水性のあるものが得られる。
本発明の澱粉誘導体は、製紙用紙力増強剤、段ボール用接着剤、板紙用接着剤、コンクリート混和剤、経糸用糊剤、鋳型用結着剤、肥料用結着剤として有用である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下においては、特別に示さない限り、部数及びパーセントはいずれも重量基準である。
【0035】
(実施例1)
市販のトウモロコシ澱粉100部に対し、30%過酸化水素水5部、硫酸0.015部及び硫酸銅(II)5水和物0.008部の水溶液を混合して、水分30%を含む均質混合物を得た。この混合物を100℃で水分が12%以下になるまで乾燥した後、熱風循環式加熱機にて、80℃で60分間加熱焙焼による反応を行い澱粉誘導体を得た。
【0036】
(実施例2)
トウモロコシ澱粉と試薬の混合物を、100℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
(実施例3)
トウモロコシ澱粉100部に、30%過酸化水素水5部、硫酸0.015部、硫酸銅(II)5水和物0.004部の水溶液を混合した物を、110℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
【0037】
(実施例4)
トウモロコシ澱粉と試薬の混合物を、110℃で30分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
(実施例5)
トウモロコシ澱粉と試薬の混合物を、110℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
【0038】
(実施例6)
トウモロコシ澱粉100部に、30%過酸化水素水5部、硫酸0.015部、硫酸鉄(II)5水和物0.009部の水溶液を混合した物を、110℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
(実施例7)
トウモロコシ澱粉と試薬の混合物を、120℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
【0039】
(実施例8)
トウモロコシ澱粉と試薬の混合物を、150℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
(実施例9)
トウモロコシ澱粉100部に、30%過酸化水素水10部、硫酸0.015部、硫酸銅(II)5水和物0.008部の水溶液を混合した物を、110℃で60分間加熱焙焼反応させた以外は実施例1と同様な操作で、加熱焙焼による酸化変性を行い澱粉誘導体を得た。
【0040】
(比較例1)
市販のトウモロコシ澱粉100部に対し、水350部、硫酸銅(II)5水和物0.015部を加え、該スラリーの温度を40℃に保ち、よく攪拌しながら水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを9にした。これに30%過酸化水素水17部を20分間かけて添加した。反応混合物スラリーの温度を40℃に、pHを8.5〜9になるよう水酸化ナトリウム溶液を加えて維持し、240分間反応させた。反応終了後、塩酸水でpHを7に調整し、一度脱水してから水350部を加え再び脱水し、乾燥して酸化変性された澱粉誘導体を得た。
【0041】
(比較例2)
市販のトウモロコシ澱粉100部に対し、水400部、硫酸鉄(II)7水和物0.018部を加え、硫酸でpHが3.5になるよう調整した。この混合物スラリーに30%過酸化水素水5部を加えて加熱し、95℃で60分間反応させて澱粉誘導体を得た。
【0042】
実施例1〜9並びに比較例1及び2で得られた澱粉誘導体について、B型粘度、澱粉糊化液の乾燥フィルム溶出率、アルデヒド基含有量、カルボキシル基の確認の試験を行なった。
以下にB型粘度、澱粉糊化液の乾燥フィルム溶出率、アルデヒド基の含有量、カルボキシル基の確認の試験方法を記す。
【0043】
<B型粘度>
東京計器製BM型粘度計を使用し、澱粉の20%糊化液を50℃、60rpmで測定した。
<澱粉糊化液の乾燥フィルム溶出率>
10%澱粉糊化液5gを75℃のホットプレート上に注ぎ、5cm×5cmの乾燥フィルムを作る。この乾燥フィルムを25℃、50gの水に30分間浸し、この乾燥フィルムを浸した水を蒸発乾固した重量から、乾燥フィルムが水に溶け出した重さの割合を求め、澱粉誘導体の耐水性の評価を行なった。
計算式は以下の通りである。
【0044】
【数3】
Figure 0004427138
【0045】
<アルデヒド基含有量>
澱粉をメタノールで洗浄し、洗浄残渣を風乾した。この洗浄した澱粉2.0gに水を加え、約1%のスラリーとし、95℃で30分間加熱して糊化した。糊液を室温まで冷却し、硫酸でpH1.5以下に調整してから、この糊液に0.05mol/l過マンガン酸カリウム水溶液を滴下して酸化還元滴定を行い、滴定値からアルデヒド基の量を計算して求めた。滴定の終点は、0.05mol/l過マンガン酸カリウム溶液一滴を滴下してから1分間以上過マンガン酸カリウムの赤紫色が消失しなかった時点とした。
計算式は以下の通りである。なお、ブランクは原料澱粉とした。
【0046】
【数4】
Figure 0004427138
【0047】
<カルボキシル基の確認>
カルボキシル基がアニオン性であることを利用し、アニオン染色性物質で染色の状態を見た。
澱粉に1%メチレンブルー溶液を染み込ませ、これを数回洗浄して余計な染料を取り除く。この洗浄した澱粉粒を顕微鏡で観察する。濃青色に染まっていればカルボキシル基が多量に存在する。薄い青色ならば少量のカルボキシル基が存在する。全ての澱粉粒が濃青色或いは薄い青色に染まっているものを「+」、澱粉粒が濃青色或いは薄い青色に染まっているものと全く染まっていないものが混在したものを「±」、澱粉粒が全く染まっていないものを「−」とした。
【0048】
実施例1〜9並びに比較例1及び2で得られた澱粉誘導体のB型粘度、澱粉糊化液の乾燥フィルム溶出率、アルデヒド基含有量及びカルボキシル基の確認の試験結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004427138
【0050】
このように、本発明の澱粉誘導体の製造方法によれば、カルボキシル基の生成を抑制してアルデヒド基を優先的に生成させることができ、また、得られた澱粉誘導体は、優れた耐水性を有していることがわかる。
次に、実施例1〜9並びに比較例1及び2で得られた澱粉誘導体について、澱粉糊化液の安定性の試験を行なった。
以下に澱粉糊化液の安定性の試験方法を記す。
【0051】
<澱粉糊化液の安定性>
澱粉の20%糊化液を50℃で保存する。糊炊き直後の糊化液と24時間後の糊化液B型粘度(50℃、60rpm)を測定して粘度増加率を比較した。粘度増加率が小さいほど糊化液の安定性がよいことを示す。
粘度増加率の計算式は以下の通りである。
【0052】
【数5】
Figure 0004427138
【0053】
実施例1〜9並びに比較例1及び2で得られた澱粉誘導体の澱粉糊化液の安定性の試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004427138
【0055】
このように、本発明の製造方法により得られた澱粉誘導体の糊化液は、従来の酸化澱粉を用いたものに比較して、粘度増加率が低く優れた安定性を有していることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、糊液の粘度安定性が高く、耐水性の優れた、従来の過酸化水素を用いた酸化変性澱粉にはない澱粉誘導体を提供することができる。

Claims (4)

  1. 澱粉、過酸化水素及び金属触媒を含有し、水分含量30重量%以下の混合物を酸性条件下で加熱焙焼して得られる澱粉誘導体。
  2. 澱粉誘導体重量に対してアルデヒド基が0.05重量%以上である請求項1記載の澱粉誘導体。
  3. 澱粉、過酸化水素及び金属触媒の混合物が酸性になるように調整し、この混合物を水分含量30重量%以下にした後、80〜180℃の範囲内で加熱焙焼反応させることを特徴とする澱粉誘導体の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法により得られる澱粉誘導体。
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