JP4426107B2 - 包装された物体の外部的除染方法 - Google Patents

Description

【０００１】
（発明の分野）
本発明は、特に医療または医薬分野でそれ自体知られている包装された物体の外部的除染に関する。
【０００２】
（発明の背景）
一般に、本発明に係る除染方法が関連する包装された物体は、
少なくとも外部表面が除染状態にある物体それ自体と、
前記物体を包含する閉じられた包装材料であって、その内部が除染状態にある包装材料と、
包装材料を通してガスの流れを提供するが、汚染病原体の流れが包装材料の内部に侵入することを防止するように遮断しきい値が決定されるフィルタリング手段とを含む。
【０００３】
「汚染」または「汚染された」という用語は、ある物体上またはその内部において、管理も監督もされていないいずれかの状態であって、生物学的または生物学的起源を有するいずれかの望まれていない物質、例えば病原体、および／またはいずれかの非生物学的物質、例えば分離した状態の、または分子の形態をした物質であって、前記望まれていない生物学的物質のベクタまたはキャリヤとしての働きをする傾向がある物質の存在を特徴とする状態を意味するものと理解される。
【０００４】
上記の定義の結果、本発明にいう汚染病原体は上記に定義したような生物学的物質および／または非生物学的物質を含む。
【０００５】
「除染された」または「除染」という用語は、ある物体上またはその内部において限定または管理されたレベルの汚染を意味するものと理解される。
【０００６】
「滅菌された」または「滅菌性」という用語は、特にある物体の内部またはその物体上のいずれかの生物学的物質の統計学的な不在によって特徴付けられるあるレベルの除染を意味するものと理解される。
【０００７】
以下に、外部環境から発生する生物学的起源のいかなる汚染も排除または制限する義務がしばしばある医療または医薬分野に関して、本発明をより詳細に、ただし非限定的に紹介し、定義し、記述する。
【０００８】
この特定の分野では、本出願人の工業および商業活動を参照すると、後者は上記の一般的定義に適合する包装された物体を製造、販売している。前記定義において、
物体自体は、例えば閉じられたまたは開いた容器からなり、その中には例えば医療または医薬用の多数の構成要素からなる内容物、すなわち、多様な形態、特に液体の形態をとれる薬品を満たす注射器本体が配置される。この容器は、外部表面、内部表面、前記容器の内部、またはその他上記内容物に関して完全に除染されている。ただし、本発明にいう構成要素自体は、医療または医薬用の単一の製品からなることもできる。
【０００９】
包装材料は、例えば溶接によって閉じられた袋からなり、袋の壁面は、可撓性の熱可塑物質などの物質からなる。この袋の内部は除染された状態であるが、同じ袋の外部表面は汚染されたまま、すなわち、非滅菌状態である。
【００１０】
フィルタリング手段は、例えば、特に不織状態の熱可塑物質、コーティングした紙、微小な穴を見せる織った材料の中から選ばれた材料による物からなる。この物は、例えば熱溶接、密封、粘着接合によって袋の材料または包装材料に固定される。この物は、例えば、除染を実行するために包装材料の内部または外部に、さらに包装材料のなかの、物体自体の外部、またはそれ自体が専用のフィルタリング手段を備えた容器の場合は、物体自体の内部にまでいずれかのガスの流れを提供するという点で、包装された物体が「呼吸」することを可能にするフィルタリング手段である。例えば、フィルタリング手段は、「ＴＹＶＥＫ（登録商標）」として知られている材料から作られ、ＤＵＰＯＮＴ ｄｅ ＮＥＭＯＵＲＳ社から発売されている物である。上記のフィルタリング手段の内部の面も除染された状態のままである。
【００１１】
上の例の包装された物体は、実際には、例えば注射器本体のような医療または医薬用の上記構成要素を外部環境から、管理された雰囲気を有する筺体に送り込む働きをし、例えば薬品を事前充填した注射器を量産するために、前記雰囲気内で前記構成要素は開梱されて使用または消費される。
【００１２】
このために、包装された物体の事前の外部的除染を実行する必要がある。従来、これは例えば包装された物体を、包装材料の外部表面に除染処理を施す、例えば紫外線などの滅菌放射線の照射を行うエアロックまたは除染トンネル内を通過させることで可能であった。
【００１３】
そのような除染方法は、基本的に包装された物体上に上記に例示したフィルタリング手段が存在することに関して以下のすべての理由からむしろ不完全である。
【００１４】
フィルタリング手段は、包装材料自体の材料に固定された追加物からなり、こうして得られたシール自体が汚染の「ネスト（ｎｅｓｔｓ）」を構成し、例えば紫外線の除染放射線による照射で処理することが特に困難である。
【００１５】
フィルタリング手段は、いずれにせよ不伝導性の部分を構成し、包装材料の残存部に落とすその影が前記包装材料の対応する部分の除染を阻止または阻害する。
【００１６】
フィルタリング手段は、汚染病原体（例えばバクテリア）をそのまま保持する。前記フィルタリング手段の完全な除染は保証できない。
【００１７】
本発明は、これらの欠点を是正することを目的とする。
【００１８】
本発明の主題は、包装された物体の外部的除染方法であって、閉じられた包装材料上にフィルタリング手段を使用することが可能で、ただし、包装材料の外部的除染の間に後者を回避することが可能な方法である。
【００１９】
本発明によれば、前記包装材料の外部表面を除染するステップの前に、
ａ）少なくとも２つの部分が前記包装材料内に形成され、第１の部分が前記物体を含み、第２の部分がフィルタリング手段全体を含む、互いに封密の２つの区画室をそれぞれ決定する。
ｂ）第１の区画室の封密性を保ったままで、第２の部分は、包装材料の第１の部分から分離される。
次いで、第１の部分についてのみ、包装材料の外部表面の除染ステップが実行される。
【００２０】
したがって、本発明によれば、包装された物体は、独特な中間形態に移行し、その中間形態によれば、包装材料は、互いに封密の２つの区画室をそれぞれ決定する少なくとも２つの部分、すなわち、物体それ自体を含む第１の部分とフィルタリング手段全体を含む第２の部分とから形成される。
【００２１】
本発明による方法は、さらに、包装された物体を除染放射線で照射することによって包装材料の外部除染ステップが実行されるのではなく、前記ステップが外部表面を滅菌するガス媒体、特に滅菌ガス、例えば酸化エチレンに接触させることによる滅菌を含む時に予期しない有利な点を提供する。したがって、例えば従来の方法で処理される包装された物体のケースとは異なり、ガス媒体は、上記に画定された第１の部分に限定された、すなわち、フィルタリング手段がない包装材料の外部表面にのみその滅菌作用を働かせる。このようにして、ガス媒体は、可撓性の包装材料内には侵入せず、またおそらく物体内部にも侵入できないので、一方では滅菌ガスの消費量を制限し、他方では処理時間を制限する。これは、特に、もはや可撓性の袋の内部を空にする必要がなく、おそらく物体それ自体の内部を空にする必要もないからである。これによって、包装材料とおそらく物体内部の残留滅菌ガスの存在を除去することが可能になる。
【００２２】
さらに、また予期しないことには、本発明の特徴である包装された物体の中間形態を完全に別の目的、すなわち、包装された形態の同じ物体を得るが、開梱前の完全性を示すことをも合わせもつという目的のために使用できる。このために、上記に画定された包装された物体から始めて、
ａ）特に除染状態のなかで、包装材料内に含まれるガスは、包装材料の内部から抜かれるか、または、前記包装材料の内部は不活性ガスで充填される。
ｂ）次いで、少なくとも２つの部分が包装材料内に形成され、第１の部分が前記物体を含み、第２の部分がフィルタリング手段全体を含む、互いに封密の２つの区画室をそれぞれ決定する。
ｃ）第１の区画室の封密性を保ったままで、第２の部分は、包装材料の第１の部分から分離される。
これによって、空にされたか、または、ガスを充填された包装材料の第１の部分は、包装された物体の包装の完全性を示す。
【００２３】
（好ましい実施形態の説明）
本発明の方法によって処理されるような包装された物体１は、
少なくともその外部表面２ａが除染状態にある物体２それ自体と、
物体２を含み、その内部が除染状態にある閉じられた包装材料３であって、特に２つの平行な末端シール７および８を決定する溶接線に沿って、例えば前記熱可塑物質の溶融、高周波融解、超音波融解によって溶接された可撓性の熱可塑物質のシースまたは２つの側面から得られる包装材料と、
包装材料３を通してガスの流れを提供するが、汚染病原体の流れが包装材料の内部に侵入することを防止するように遮断しきい値が決定されるフィルタリング手段４とを含む。上記のように、これは、例えば前記包装材料の一方および／または両方の側面に追加されて固定される、包装材料３を補う物である。例えば、フィルタリング手段４は、包装材料の側面の１つに追加され、横方向の縁部と線８に沿って、一方は、側面下部（図１参照。）に、他方は、側面上部に熱溶接される熱可塑物質の不織布の物である。
【００２４】
本発明に係る方法を使用する前の、上記のように画定された包装された物体は、図３の左側に示されており、図３は以下のステップを含む。
【００２５】
ａ）少なくとも２つの部分３１と３２が包装材料３内に形成され、第１の部分３１が物体２を含み、第２の部分３２がフィルタリング手段４全体を含む、互いに封密の２つの区画室５１および５２をそれぞれ決定する。図２および図３の中央に示す中間形態がこうして得られる。実際、第１の部分３１の分離は、熱可塑物質を溶融し次いで切断することにより、少なくとも１本の、または２本の溶接線６を形成することで達成される。この分離は、熱溶接以外の技法、例えば、密封、または粘着接合によって達成できる。
【００２６】
ｂ）外部環境に関して封密であり、物体２が開梱される管理された雰囲気を有する筺体１０に至る除染トンネル１１内で包装材料３の外部表面３ａを除染するステップが実行されるのは、フィルタリング手段４ではなく、物体２を含む包装材料３の第１の部分３１のみである。
【００２７】
ステップ（ａ）および（ｂ）から得られる包装された物体は、図４と図３の中央および下部により詳細に示されている。
【図面の簡単な説明】
本発明を添付の図面に参照して例示的に説明する。
【図１】 本発明に係る除染方法を使用する前の包装された物体の斜視図である。
【図２】 本発明に係る除染方法の実行中の中間形態にある同じ物体の斜視図である。
【図３】 図２に表す包装された物体から始まる本発明に係る除染方法のさまざまなステップを示す図である。
【図４】 除染ステップ直前の包装された形態にある物体を表す図である。

Claims (8)

1. 包装された物体の外部的除染方法であって、
   前記包装された物体は、外部表面が除染された状態にあり、かつその内部が除染された状態にある閉じられた包装材料に含まれており、
   前記閉じられた包装材料は、該閉じられた包装材料を通してガスの流れを提供するが、汚染病原体の流れが該閉じられた包装材料の内部に侵入することを防止するように遮断しきい値が決定されるフィルタリング手段を備え、
   前記方法は、
   ａ）２つの部分の間に境界を定めることによって前記閉じられた包装材料内に２つの部分を形成するステップであって、該境界は、熱溶接、密封、および粘着接合のうちから選択される一つの方法によって形成され、該２つの部分は、互いに封密である２つの区画室をそれぞれ決定し、第１の区画室が前記包装された物体を含み、第２の区画室がフィルタリング手段全体を含む、ステップと、
   ｂ）前記第１の部分の封密性を保ったままで、前記第２の部分を前記第１の部分から分離するステップと、
   ｃ）前記第１の部分についてのみ、外部表面を除染するステップと
   を含むことを特徴とする方法。
2. 前記包装材料は、可撓性の熱可塑物質からなり、前記包装材料内の２つの部分は、２つの前記部分と２つの前記区画室を決定する１本の溶接線に沿って、熱可塑物質を溶融することによって形成されることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記外部表面を除染するステップは、包装された物体を除染放射線で照射するステップをさらに含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
4. 前記外部表面を除染するステップは、前記外部表面を滅菌するガス媒体に接触させることによって実行される滅菌ステップをさらに含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
5. 前記滅菌するガス媒体は、酸化エチレンであることを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 包装された物体であって、
   除染された状態にある外部表面を有する前記物体それ自体と、
   前記物体を包含し、その内部が除染された状態にある、閉じられた包装材料であって、前記閉じられた包装材料を通してガスの流れを提供するが、汚染病原体の流れが前記閉じられた包装材料の内部に侵入することを防止するように遮断しきい値が決定されるフィルタリング手段を備える、閉じられた包装材料と
   を備え、
   前記包装材料は、１つまたは複数の溶接線、密封線、および粘着接合線のうちから選択される境界によって分けられる２つの部分から形成され、該２つの部分は、互いに封密である２つの区画室、つまり前記物体を含む第１の部分および前記フィルタリング手段全体を含む第２の部分、をそれぞれ決定し、
   前記第２の部分は、前記第１の部分についてのみ外部表面を除染することを可能にするために、前記第１の部分から分離可能である、
   ことを特徴とする包装された物体。
7. 前記閉じられた包装材料は、可撓性の熱可塑物質からなり、前記包装材料内の２つの部分は、２つの前記部分と２つの前記区画室を決定するために該熱可塑物質を溶解することにより形成される１本の溶接線によって形成されることを特徴とする請求項６に記載の包装された物体。
8. 前記フィルタリング手段は、不織状態の熱可塑物質、コーティングした紙、微小な穴を見せる織った材料の中から選ばれた材料による物からなり、前記物は前記包装材料の熱可塑物質に固定されることを特徴とする請求項７に記載の包装された物体。

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