JP4424505B2 - 車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート - Google Patents
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Description
このような表面処理には、通常、常温乾燥型塗料や2液ウレタン塗料等の硬化型塗料が用いられるが、このような塗料による表面処理膜には傷が付き易く、しかも傷が付いてしまった場合には、これが目立ち易い。
そのため、このような鏡面処理膜には、通常、さらに上述したような塗料による表面処理が行われているが、この塗料処理膜にも、上記のように傷が付き易く、付いた傷が目立ち易いという欠点がある。
かかる耐チッピング性を得るには、従来より、メラミン硬化型軟質塗料、2液型アクリルウレタン系軟質塗料、ポリオレフィン系の軟質塗料をフード先端等の積層構成の一部へ追加することや、アンダーコート及びストーンガードコート(SGC)を施すことが知られている(特許文献1参照。)。
また、ポリオレフィン樹脂を用いたアンチチッピングコートは、工程が多くなるため、塗装工程を長くする必要が生じるだけでなく、コストアップにもつながる。
したがって、薄膜で耐チッピング性を向上させ得る塗膜の開発が要望されている。
上記親水性ポリロタキサンが、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、該直鎖状分子及び/又は該環状分子がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、第1〜第3アミノ基、第四アンモニウム塩基及びヒドロキシアルキル基から成る群より選ばれた少なくとも1種の親水基、又は該親水基とアルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基及びトシル基から成る群より選ばれた少なくとも1種の疎水基を有し、全体として親水性の修飾基を有することを特徴とする。
この親水性ポリロタキサンは、環状分子と、両末端に封鎖基を持つ直鎖状分子を有する。また、直鎖状分子は、環状分子の開口部を串刺し状に貫通することによって当該環状分子を包接しており、更に、その両末端に配置された封鎖基が包接した環状分子の脱離を防止している。
また、このポリロタキサンを構成する直鎖状分子、環状分子のいずれか一方又は双方は、親水性の修飾基を有している。
同図において、この親水性修飾ポリロタキサン5は、直鎖状分子6と、環状分子であるシクロデキストリン7と、直鎖状分子6の両末端に配置された封鎖基8を有し、直鎖状分子6は環状分子7の開口部を貫通して環状分子7を包接している。
そして、シクロデキストリン7は、親水性修飾基7aを有している。
また、環状分子の大きさにも影響を受けるが、その長さも環状分子が滑車効果を発揮できる限り特に限定されない。
かかる親水性の発現は、従来は水系溶剤や有機系溶剤に難溶性ないしは不溶性であったポリロタキサンに対し、水や水系溶剤という反応場、典型的には架橋場を提供するものである。即ち、本発明の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコートに用いる親水性ポリロタキサンは、水や水系溶剤の存在下で他のポリマーとの架橋や修飾基による修飾が容易に行える反応性を向上したものである。
かかる親水基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシアルキル基などがある。
かかる疎水基としては、例えば、アルキル基、ベンジル基(ベンゼン環)及びベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基などがある。
具体的には、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
これら直鎖状分子のうち、特にポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンが良好であり、水系溶剤への溶解性の観点からはポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
分子量が1,000未満では、滑車効果が低下することで塗膜の伸び率が低下し、耐傷付き性や耐チッピング性が低下することがある。100,000を超えると、他の樹脂との相溶性が低下し、また、基材への密着性が低下することがある。
かかる反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示できる。
なお、環状分子は水酸基を有しているものが多い。
また、環状分子は実質的に環状であれば十分であり、「C」字状のように完全な閉環ではないものも含まれる。
かかる反応基は、適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びアルデヒド基などを例示できる。
また、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。
特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良好であり、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンが好ましい。
このとき、上記親水性修飾基による修飾度は、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数を1とすると、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましい。
0.1未満であると、水や水系溶剤への溶解性が十分なものとならず、不溶性ブツ(異物付着などに由来する突出部)が生成することがある。
なお、親水基は少なくとも1つでよいが、シクロデキストリン環1つに対して1つの親水基を有するのが望ましい。
また、官能基を有している親水基を導入することにより、他のポリマーとの反応性を向上させることが可能になる。
0.06未満では滑車効果が低下することで塗膜の伸び率が低下することがある。0.61を超えると、環状分子が密に配置され過ぎて環状分子の可動性が低下することがあり、塗膜の伸び率が低下し、耐傷付き性や耐チッピング性が低下することがある。
例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)に、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt、アダマンタンアミン、ジイソプロピルエチルアミンを、この順番で添加し溶液とする。一方、DMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒に、直鎖状分子に環状分子が串刺された包接錯体を分散させた溶液を得る。これら両者を混合し、このときのDMF/DMSOの混合比率を変更することで、環状分子の包接量を任意に制御できる。なお、DMF/DMSO比が高いほど環状分子の包接量は大きくなる。
かかる基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。また、ここで「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、(2)得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、(3)得られたポリロタキサンの環状分子が有する水酸基を親水性修飾基で修飾する工程、で処理することにより得られる。
なお、上記(1)工程において、環状分子として、予め環状分子が有する水酸基を親水性修飾基で修飾したものを用いることによっても、親水性ポリロタキサンを得ることができ、その場合には、上記(3)工程を省略することができる。
本発明において、水系溶剤とは、水との間で相互作用し合い、水との親和力が強い性質をもつ溶剤のことを意味し、具体的には、例えば、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールなどのようなアルコール類、セロソルブアセテート、ブチルセロソロブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのようなエーテルエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのようなグリコールエーテル類などを挙げることができ、本発明に用いる親水性ポリロタキサンは、これらの2種以上を混合した溶剤についても良好な溶解性を示す。
これらのうち、より好適なものとしてアルコール類、更に好適なものとしてグリコールエーテル類を挙げることができる。なお、トルエンのような有機溶剤が若干含まれていても、全体として水との親和力が強い性質を有すれば、水系溶剤としてよい。
このような親水性架橋ポリロタキサンとしては、比較的低分子量のポリマー、代表的には分子量が数千程度のポリマーと架橋した親水性ポリロタキサンを挙げることができる。
かかる官能基は、そのシクロデキストリンの外側にあることが立体構造的に好ましく、ポリマーと結合又は架橋する際、この官能基を用いて容易に反応を行なうことができる。
更に、本発明においては、官能基の具体例として、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基及びアルデヒド基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
かかる官能基としては、特にシクロデキストリンの水酸基と結合した化合物の残基であり、当該残基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基を有するものが良好であり、反応の多様性の観点からは水酸基が好ましい。
このような官能基を形成する化合物としては、例えばプロピレンオキシドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
例えば、当該親水性修飾ポリロタキサンの水や水系溶剤への溶解性向上効果をあまり低下させなければ、官能基を形成する化合物がポリマーであってもよく、溶解性の観点からは、例えば、分子量が数千程度であることが望ましい。
なお、上述の官能基としては、上述した封鎖基が脱離しない反応条件において反応する基であることが好ましい。
硬化型水系ストーンガードコート用塗料は、上述の硬化型水系ストーンガードコートに用いる親水性ポリロタキサンを用いて成る。また、本発明の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコートは、当該硬化型水系ストーンガードコート用塗料を固化して成る。
図2に、架橋ポリロタキサンを概念的に示す。
同図において、この架橋ポリロタキサン1は、ポリマー3と上記親水性ポリロタキサン5を有する。そして、このポリロタキサン5は、環状分子7を介して架橋点9によってポリマー3及びポリマー3’と結合している。
即ち、図2(B)に示すように、環状分子7は滑車効果によって直鎖状分子6に沿って移動可能であるため、上記応力をその内部で吸収可能である。
また、この架橋ポリロタキサンの前駆体である親水性ポリロタキサンは、上述の如く水や水系溶剤への溶解性が改善されており、水や水系溶剤中での架橋などが容易である。
従って、本発明の硬化型水系ストーンガードコートに用いる親水性ポリロタキサンは、その適用範囲が拡大されており、例えば、水や水系溶剤に可溶な塗膜ポリマーを用いる塗料や接着剤、特に耐洗車性、耐引っ掻き性、耐チッピング性、耐衝撃性及び耐候性の要求される自動車用の塗料、樹脂基材及び接着剤、並びに家電用の塗料や樹脂基材等についても適用可能であり、これらの用途においても優れた滑車効果を発現できるものである。
従って、以下に説明する架橋ポリロタキサンの形成方法によれば、上記塗膜形成成分の物性と親水性ポリロタキサン自体の物性を併有する材料が得られるのみならず、ポリマー種などを選択することにより、所望の機械的強度などを有する塗膜を得ることができる。
なお、架橋ポリロタキサンは、架橋対象が親水性であり、その分子量が余り大きくない場合、例えば分子量が数千程度までなら水や水系溶剤に溶解する。
架橋ポリロタキサンは、代表的には、(a)硬化型水系ストーンガードコートに用いる親水性ポリロタキサンを他の塗膜形成成分と混合し、(b)当該塗膜形成成分の少なくとも一部を物理的及び/又は化学的に架橋させ、(c)当該塗膜形成成分の少なくとも一部と親水性ポリロタキサンとを環状分子を介して結合させる(硬化反応)、ことにより形成できる。
なお、親水性ポリロタキサンは、水や水系溶剤に可溶であるため、(a)工程〜(c)工程を水や水系溶剤中で円滑に行うことができる。また、これらの工程は硬化剤を用いることでより円滑に行うことができる。
1%より少ないと、滑車効果が低下することで塗膜の伸び率が低下し、耐傷付き性や耐チッピング性が得られなくなることがある。90%を超えると、基材への密着性が低下することがある。
なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩及びスチリルキノリン塩などを例示できる。
更に、かかる樹脂成分は、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。コポリマーの場合、2種以上のモノマーから構成されるものでもよく、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー又はグラフトコポリマーのいずれであってもよい。
誘導体としては、上述した水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基又は光架橋基及びこれらの組合せに係る基を有するものが好ましい。
また、上記硬化剤は、分子量が2000未満、好ましくは1000未満、更に好ましくは600未満、いっそう好ましくは400未満のものを用いることができる。
なお、本発明で用いる硬化型水系ストーンガードコート用塗料を濁りクリヤー塗料とするには、上記成分に加えて有機顔料や無機顔料、染料を添加すればよく、シリカや樹脂ビーズなどのマット剤を添加することによって艶消しクリヤー塗料とすることができる。
また、上記親水性液体は、一液型であっても良いし、二液型(例えばウレタン樹脂塗料)などを用いても良いし、更にはラッカー系、光硬化型樹脂を用いても良い。
積層塗膜は、被塗物に、ベースコート塗膜と上述の硬化型水系ストーンガードコート用塗料を用いて形成したストーンガードコートとを順次形成して成る。
また、これらに硬化型水系ストーンガードコート用塗料を被覆する方法としては、公知慣用の方法が採用できる。例えば、はけ塗り法、吹付け法、静電塗装法、電着塗装法、粉体塗装、更にはスパッタ法などが挙げられる。
更に、上記硬化型水系ストーンガードコート用塗料は、代表的には、加熱乾燥(焼付け)処理により塗膜とすることができる。
なお、上記硬化型水系ストーンガードコート用塗料は、被塗物の全体又は一部に被覆できる。
この塗膜は、被塗物(例えば、ABS樹脂基材)10の上に形成されたストーンガードコート11から構成されている。
1.修飾したポリロタキサンの合成
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG‐カルボン酸の調製
直鎖状分子として、PEG(ポリエチレングリコール、分子量:1,000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mLに溶解させ、これに市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mLを添加し、室温で10分間攪拌した。次いで、余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるために、エタノールを最大5mLまでの範囲で添加して反応を終了させた。
そして、50mLの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して、無機塩以外の成分を抽出したのち、エバポレータで塩化メチレンを留去し、250mLの温エタノールに溶解させてから、冷凍庫(−4℃)に一晩おいて、PEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
上記(1)により調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD(シクロデキストリン)12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mLに溶解させたのち混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置し、クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥して回収した。
上記(2)により調製した包接錯体14gをジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド(DMF/DMSO)混合溶媒(体積比90/10)20mLに分散させた。
一方、室温でDMF(ジメチルホルムアミド)10mLに、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)3g、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mLをこの順番に溶解させておき、この溶液を上記により調製した分散液に添加し、すみやかによく振り混ぜ、スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中に一晩静置した。
一晩静置した後、DMF/メタノール混合溶媒(体積比1/1)50mLを添加し、混合し、遠心分離して、上澄みを捨てた。上記のDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、更にメタノール100mLを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、得られた透明な溶液を700mLの水中に滴下してポリロタキサンを析出させ、析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
上記によって調製したポリロタキサン500mgを1mol/LのNaOH水溶液50mLに溶解し、プロピレンオキシド21.1g(330mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌した。そして、1mol/LのHCl水溶液で中和し、透析チューブにて透析した後、凍結乾燥して回収し、親水性ポリロタキサンを得た。
得られた親水性ポリロタキサンは、1H−NMR及びGPCで同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。なお、α−CDの包接量は0.35であり、親水性修飾基による修飾度は0.5であった。
得られたポリロタキサンを蒸留水で10%に成るように溶解した。
次いで、アクリル・メラミン硬化型エナメル(ホワイト塗色)塗料(日本油脂株式会社製、ベルコートNo.6200GN1)に、溶解したポリロタキサンを撹拌しながら添加した。
三菱化学社製のABS樹脂(厚み3mm、70mm×150mm)に、上記得られた硬化型水系ストーンガードコート用塗料を乾燥膜厚が20μmとなるように塗装し、80℃で30分間焼付けして、本例の硬化型水系ストーンガードコートを得た。
表1に示す仕様とした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、塗膜を形成した。
磨耗試験機の摺動子にダストネル(摩擦布)を両面テープで貼り付け、0.22g/cm2の荷重下で50回往復させ、傷の有無を評価した。
○:殆ど傷がない
△:少し傷がある
×:目立つほど多くの傷がある
100個の碁盤目を作製し、セロハンテープで剥離試験を実施した。剥離試験後に、塗膜として残存する碁盤目の数を評価した。
○:100/100
△:90/100以上
×:90/100未満
工程1で得たポリロタキサンとヘキサメチレンジイソシアネートを当量比で混合し、140℃で30分間焼付け乾燥した。その塗膜の赤外線吸収スペクトルによってウレタン結合の有無により判定した。
〇:ウレタン結合有り
×:ウレタン結合が無い
なお、実施例9〜11については、直鎖状分子の分子量や親水性ポリロタキサンの含有量において好適範囲を外れる関係上、密着性や反応性、耐傷付き性についてはやや劣る傾向も認められたが、比較例1〜3と比べると優れているものと判断される。
3、3’ ポリマー
5 親水性修飾ポリロタキサン
6 直鎖状分子
7 環状分子(シクロデキストリン)
7a 親水性修飾基
8 封鎖基
9 架橋点
10 ABS樹脂基材
11 ストーンガードコート
Claims (6)
- 車体に形成された硬化型水系ストーンガードコートであって、
親水性ポリロタキサンと、アクリル系塗料、メラミン系塗料及びウレタン系塗料から成る群より選ばれた少なくとも1種のものとを含有する硬化型水系ストーンガードコート用塗料を固化して成り、
上記親水性ポリロタキサンが、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、該直鎖状分子及び/又は該環状分子がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、第1〜第3アミノ基、第四アンモニウム塩基及びヒドロキシアルキル基から成る群より選ばれた少なくとも1種の親水基を有することを特徴とする車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。 - 上記環状分子が水酸基を有し、該水酸基の全部又は一部を上記親水基で修飾したことを特徴とする請求項1に記載の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。
- 上記環状分子の包接量は、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。
- 上記親水性ポリロタキサンは、塗膜形成成分に対して質量換算で1〜90%含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。
- 上記硬化型水系ストーンガードコート用塗料が、添加剤、顔料及び光輝剤から成る群より選ばれた少なくとも1種のものと、溶媒と、樹脂成分と、硬化剤を混合して成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。
- 車体に形成された硬化型水系ストーンガードコートであって、
親水性ポリロタキサンと、アクリル系塗料、メラミン系塗料及びウレタン系塗料から成る群より選ばれた少なくとも1種のものとを含有する硬化型水系ストーンガードコート用塗料を固化して成り、
上記親水性ポリロタキサンが、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、該直鎖状分子及び/又は該環状分子が全体として親水性の修飾基を有し、
上記親水性の修飾基が、親水基と疎水基を有し、
上記親水基が、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、第1〜第3アミノ基、第四アンモニウム塩基及びヒドロキシアルキル基から成る群より選ばれた少なくとも1種の基であり、
上記疎水基が、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基及びトシル基から成る群より選ばれた少なくとも1種の基である、ことを特徴とする車体に形成された硬化型水系ストーンガードコート。
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