JP4420688B2 - 多層シート - Google Patents

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JP4420688B2
JP4420688B2 JP2004020206A JP2004020206A JP4420688B2 JP 4420688 B2 JP4420688 B2 JP 4420688B2 JP 2004020206 A JP2004020206 A JP 2004020206A JP 2004020206 A JP2004020206 A JP 2004020206A JP 4420688 B2 JP4420688 B2 JP 4420688B2
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Description

本発明は、熱プレス時に樹脂が染み出すことがなく、基板表面への追従性、耐熱性、離型
性、非汚染性、透明性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な多層シートに関する。
プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程に
おいて、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に離
型フィルムが使用されている。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、電
気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤によってカバーレイ
フィルムを熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムとプレス熱板とが接着するのを防
止するために、離型フィルムを用いる方法が広く行われている。
このようなプレス工程においては、基板表面の凹凸に対して離型フィルムが追従すること
が必要であり、フレキシブルプリント基板の製造においては、カバーレイフィルムから熱
硬化型接着剤がはみ出すことを抑制することが必要である。これらの要求に対して、特許
文献1や特許文献2には、軟化温度の低い樹脂を中間層として用いた多層離型フィルムが
開示されており、作業性に優れることから広く用いられている。
しかしながら、軟化温度の低い樹脂を中間層として用いた場合、熱プレスの際にシート端
部から樹脂が染み出すことがあり、プリント基板や熱板を汚染し生産性を損なう原因とな
っていた。このような染み出しを防止する方法として、中間層中に無機フィラー等を配合
する方法が検討されている。しかしながら、充分な染み出し防止効果を得るためには、通
常中間層中に少なくとも25重量%、好ましくは50重量%以上の無機フィラーを配合す
る必要があるところ、このような大量の無機フィラーを配合した中間層は脆化して基板表
面への追従性が劣ってしまったり、不透明になり位置合わせ等の作業が困難になってしま
ったりする等の問題点があった。
一方、特許文献1や特許文献3には、このような用途に用いられる離型フィルムとして、
フッ素系フィルム、シリコン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペン
テンフィルム、ポリプロピレンフィルム等からなるフィルムが開示されている。
近年、環境問題や安全性に対する社会的要請の高まりから、これらの離型フィルムに対し
ては、熱プレス成形に耐える耐熱性、プリント配線基板や熱プレス板に対する離型性とい
った機能に加えて、廃棄処理の容易性が求められるようになってきた。更に、熱プレス成
形時の製品歩留まり向上のため、銅回路に対する非汚染性も重要となってきている。
しかしながら、従来から離型フィルムとして用いられているフッ素系フィルムは、耐熱性
、離型性、非汚染性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃
焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題点があった。また、表面処理ポリエチ
レンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルムは、表面処理剤や構成成分に
含まれる低分子量体の移行によってプリント配線基板、とりわけ銅回路の汚染を引き起こ
し、品質を損なうおそれがあった。
また、表面処理ポリエステルフィルムについては、特許文献4に離型性付与成分の移行が
低減されたシートが開示されているが、熱プレス時における相手材に対する非汚染性に関
しては依然として不充分なままであった。
特開平2−175247号公報 特開平2−24139号公報 特開平5−283862号公報 特開平1−229045号公報
本発明は、上記に鑑み、熱プレス時に樹脂が染み出すことがなく、基板表面への追従性、
耐熱性、離型性、非汚染性、透明性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な多層シートを提
供することを目的とする。
本発明1は、3層以上の多層構造を有する多層シートであって、中間層のうち少なくとも1層が低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、又は、エチレンとアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル若しくはアクリル酸との共重合体に対して層状珪酸塩を0.1〜50重量%含有する樹脂組成物からなり、かつ、少なくとも一方の表面の層が200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなり、層状珪酸塩は、樹脂組成物中に広角X線回折測定法により測定された(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散している多層シートである。
本発明2は、2層構造を有する多層シートであって、一方の層が低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、又は、エチレンとアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル若しくはアクリル酸との共重合体に対して層状珪酸塩を0.1〜50重量%含有する樹脂組成物からなり、かつ、他方の層が200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなり、層状珪酸塩は、樹脂組成物中に広角X線回折測定法により測定された(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散している多層シートである。
なお、本明細書において、シートとは、平面状の材料を意味し、フィルムをも含むものである。また、以下の説明において、単に「本発明の多層シート」というときは、本発明1及び2の多層シートを特に区別しないものとする。
以下に本発明を詳述する。
本発明1の多層シートは、3層以上の多層構造を有し、中間層のうち少なくとも1層が層
状珪酸塩を0.1〜50重量%含有する樹脂組成物からなる。中間層のうち少なくとも1
層が層状珪酸塩を含有する樹脂組成物からなることにより、熱プレス時等の高温下におい
ても溶融粘度が低下することがなく、中間層の樹脂が染み出して熱板等に付着することを
防止できる。層状珪酸塩を高分散させることにより、従来の無機フィラーを配合する場合
に比べて極めて少量の配合でも充分な効果を発現できることから、本発明1の多層シート
は、基板表面への追従性、耐熱性、離型性、非汚染性、透明性等の優れた性能を維持した
まま、染み出し防止効果が得られる。
上記中間層においては、層状珪酸塩が高分散されていることにより、樹脂と層状珪酸塩と
の界面の面積が充分に大きくなっている。これにより、樹脂と層状珪酸塩表面との相互作
用が大きくなり、溶融粘度が低下せず、形状が保持されることから、熱プレス等の熱成形
時における樹脂の染み出しを防止する効果を飛躍的に向上させることが可能となると考え
られる。また、常温から高温までの広い温度範囲で弾性率等の力学的物性が向上し、樹脂
のガラス転移点Tg又は融点以上の高温下においても、力学的物性が保持される。この理
由は必ずしも明確ではないが、ガラス転移点Tg又は融点以上の温度領域においても、微
分散状態の層状珪酸塩が一種の疑似架橋点として作用し、それによって上記物性が発現す
るものと考えられる。
上記中間層を構成する樹脂としては特に限定されず、低密度ポリエチレン;エチレンと、
プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のα−オレフィンとの共重合体;エチレンと
、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸等との共重合体等が挙げられ
る。
上記層状珪酸塩とは、層間に交換性金属カチオンを有する層状の珪酸塩化合物を意味し、
層状珪酸塩は天然物であってもよく、合成物であってもよい。
上記層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サ
ポナイト、バイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等のスメクタイト系粘土
鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。なかでも、モン
モリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカ及びバーミキュライトからなる群より選択さ
れる少なくとも1種が好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。
上記層状珪酸塩としてはアスペクト比の大きいものを用いることが好ましい。アスペクト
比の大きい層状珪酸塩を含有することにより、本発明1の多層シートの高温での離型性を
向上させることができ、更に添加剤や低分子量成分の表面へのブリードアウトを抑制して
熱プレス成形時のクリーン性を向上させることができる。
上記層状珪酸塩の結晶形状としては特に限定されないが、上記層状珪酸塩の平均長さの好
ましい下限は0.01μm、上限は2μm、より好ましい下限は0.05μm、上限は1
μm、更に好ましい上限は0.5μmである。平均長さが上記範囲内であると、透明性が
向上し、作業時に本発明1の多層シートと下部基板等との位置合わせを容易に行うことが
できる。
また、上記層状珪酸塩の厚さの好ましい下限は0.001μm、上限は1μm、アスペク
ト比の好ましい下限は20、上限は500であり、厚さのより好ましい下限は0.001
μm、厚さのより好ましい上限は0.5μm、アスペクト比のより好ましい下限は50、
上限は200である。
上記層状珪酸塩は、下記式(1)で定義される形状異方性効果が大きいことが好ましい。
形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明1の多層シートは熱プレ
ス時における樹脂の染み出しを高い効率で防止することができる。
Figure 0004420688
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の薄片状結晶表面
に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンを意味し、これらの金属イオンは、カ
チオン性物質とのカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層
状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量としては特に限定されないが、好ましい下限は50ミ
リ等量/100g、上限は200ミリ等量/100gである。50ミリ等量/100g未
満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレートされるカチオ
ン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されないことが
ある。200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固にな
りすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
上記層状珪酸塩としては、化学処理されることにより樹脂中への分散性を向上されたもの
が好ましい。かかる層状珪酸塩を、以下、有機化層状珪酸塩ともいう。
上記化学処理としては、例えば、以下に示す化学修飾(1)法〜化学修飾(6)法によっ
て実施することができる。これらの化学修飾法は、単独で用いられてもよく、2種以上が
併用されてもよい。
上記化学修飾(1)法は、カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法ともいい、具体的
には、低極性樹脂を用いて上記樹脂組成物を得る際に予め層状珪酸塩の層間をカチオン性
界面活性剤でカチオン交換し、疎水化しておく方法である。予め層状珪酸塩の層間を疎水
化しておくことにより、層状珪酸塩とポリオレフィン系樹脂等の低極性樹脂との親和性が
高まり、層状珪酸塩を低極性樹脂中により均一に微分散させることができる。
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級
ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を充分に疎水化できる
ことから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩、炭素
数6以上のアルキル鎖を有する4級アルキルホスホニウムイオン塩、芳香族4級アンモニ
ウムイオン塩又は複素環4級アンモニウムイオン塩が好適に用いられる。
上記4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、トリメチルアルキルアンモニ
ウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメ
チルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジ
アルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルア
ンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩
;ベンジルメチル{2−〔2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ
)エトキシ〕エチル}アンモニウムクロライド等の芳香環を有する4級アンモニウム塩;
トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム塩;アルキル
ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等の複素環を有する4級アンモニウム塩;ポアエチレ
ングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール
鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有する
トリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキ
ル4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、
ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリ
ルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジ
ルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニ
ウム塩等が好適である。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられてもよく、2種
以上が併用されてもよい。
上記4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、ドデシルトリフェニルホスホ
ニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ス
テアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリル
ジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これ
らの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(2)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表
面に存在する水酸基を、水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基との化学親和性の大き
い官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
上記水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基との化学的親和性の大きい官能基としては
特に限定されず、例えば、アルコキシ基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無
水物も包含する)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等が挙げられる。
上記水酸基と化学結合し得る官能基を有する化合物又は水酸基との化学的親和性の大きい
官能基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、上記官能基を有する、シラン化
合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられ
る。これらの化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シラン化合物としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルエトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメト
キシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシ
ルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併
用されてもよい。
上記化学修飾(3)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表
面に存在する水酸基を、水酸基と化学結合し得る官能基又は水酸基と化学的親和性の大き
い官能基と、反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物として化学処理する方法で
ある。
上記化学修飾(4)法は、化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表
面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法である。
上記アニオン性界面活性を有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化
学処理できるものであれば特に限定されず、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン
酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アル
コール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合
物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化学修飾(5)法は、上記アニオン性界面活性を有する化合物のうち、分子鎖中のア
ニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法である。
上記化学修飾(6)法は、化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学
処理された有機化層状珪酸塩に、更に、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレンや無水
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂
を用いる方法である。
上記層状珪酸塩は、上記樹脂組成物中に、広角X線回折測定法により測定した(001)
面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散し
ていることが好ましい。上記層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部
又は全部の積層体が5層以下に分散していることにより、樹脂と層状珪酸塩との界面面積
は充分に大きく、かつ、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離は適度なものとなることから、
熱プレス時における樹脂の染み出しを防止する効果を飛躍的に向上させることが可能とな
るとともに、高温物性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等において分散による改善効果
を充分に得ることができる。また、このように高分散させた場合には、より少量の層状珪
酸塩の配合量でも充分な効果が得られる。
上記平均層間距離の好ましい上限は5nmである。5nmを超えると、層状珪酸塩の結晶
薄片が層毎に分離して相互作用が無視できるほど弱まるので、高温での束縛強度が弱くな
り、高温プレス時に樹脂の染み出しが起こることがある。
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の薄片状結晶を層
とみなした場合における層間の距離の平均を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微
鏡撮影、すなわち、広角X線回折測定法により算出することができるものである。
上記層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下の積層体として分散するとは、具体的には、層
状珪酸塩の薄片状結晶間の相互作用が弱められて薄片状結晶の積層体の一部又は全部が分
散していることを意味する。好ましくは、層状珪酸塩の積層体の10%以上が5層以下の
積層体として分散されており、層状珪酸塩の積層体の20%以上が5層以下の積層体とし
て分散していることがより好ましい。
なお、5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合は、上記樹脂組成物を透過
型電子顕微鏡により5万〜10万倍に拡大して観察し、一定面積中において観察できる層
状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下の積層体として分散している積層体の層数Yを
計測することにより、下記式(2)から算出することができる。
Figure 0004420688
また、層状珪酸塩の積層体における積層数としては、層状珪酸塩の分散による効果を得る
ためには5層以下であることが好ましく、より好ましくは3層以下であり、更に好ましく
は1層である。
上記中間層における上記層状珪酸塩の含有量の下限は0.1重量%、上限は50重量%で
ある。0.1重量%未満であると、中間層の樹脂が染み出すことを防止する効果や力学的
特性を改善する効果が不充分となる。50重量%を超えると、本発明1の多層シートのシ
ートが脆化して凹凸への追従性が劣ったり、透明性が低下して作業性が劣ったりする。好
ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は30重量%であり、より好ましい下限は1重
量%、より好ましい上限は10重量%である。
本発明1の多層シートは、少なくとも一方の表面の層(以下、表面層ともいう)が200
℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなる。このような樹脂を
マトリックスとする表面層を有することにより、本発明の多層シートは、優れた機械的性
能、とりわけ、通常熱プレスを行う170℃程度の温度域において優れた機械的性能を発
現することができる。
上記200℃以上の融点を有する樹脂は、極性基を主鎖中に有することが好ましい。極性
基を主鎖中に有する樹脂をマトリックスとすることにより、本発明1の多層シートは機械
特性に特に優れたものとなる。
上記極性基を主鎖中に有する樹脂における極性基としては特に限定されないが、例えば、
エステル基、アミド基、イミド基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、水酸基
、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。
上記極性基を主鎖中に有する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエステル化合物
、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド化合物、ポリイ
ミド化合物等が挙げられる。これらの極性基を主鎖中に有する樹脂は単独で用いられても
よく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、ヘテロ原子を分子中に含まないため焼却
処理時の環境負荷が軽減され、経済的にも有利であることから以下に述べる結晶性芳香族
ポリエステルが好適である。
上記結晶性芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と
、低分子量脂肪族ジオールとを反応させることにより得ることができる。また、上記結晶
性芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子
量ジオール及び高分子量ジオールとを反応させることによっても得ることができる(この
ようにして得られた結晶性芳香族ポリエステルを、以下、ポリエーテル骨格を主鎖中に有
する結晶性芳香族ポリエステルともいう)。更に、上記結晶性芳香族ポリエステルは、芳
香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオールとを反応さ
せることによって得られる結晶性芳香族ポリエステルをカプロラクトンモノマーに溶解さ
せた後、カプロラクトンを開環重合させることによっても得ることができる(このように
して得られた結晶性芳香族ポリエステルを、以下、ポリカプロラクトン骨格を主鎖中に有
する結晶性芳香族ポリエステルともいう)。なかでも、ポリエーテル骨格を主鎖中に有す
る結晶性芳香族ポリエステル及び/又はポリカプロラクトン骨格を主鎖中に有する結晶性
芳香族ポリエステルからなる表面層を有する多層シートは、芳香族ジカルボン酸又はその
エステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオールを反応させることにより得ることがで
きる結晶性芳香族ポリエステルをからなる表面層を有する多層シートに比べて、耐熱性を
維持しながら、柔軟性及び離型性が優れたものとなる。
上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸
、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン
酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリ
ンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これら
は単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく
、2種類以上が併用されてもよい。
上記高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる
。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記構成成分からなる結晶性芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラ
メチレングリコール共重合体、テレフタル酸ブタンジオール−ポリカプロラクトン共重合
体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記結晶性芳香族ポリエステルは、結晶成分としてブチレンテレフタレートを少なくとも
含むことが好ましい。ブチレンテレフタレート成分が含まれることにより、上記結晶性芳
香族ポリエステルは、非汚染性及び結晶性に特に優れたものとなる。
上記結晶性芳香族ポリエステルがブチレンテレフタレート成分を結晶成分として含む場合
には、上記表面層は、結晶融解熱量が40J/g以上であることが好ましい。40J/g
未満であると、熱プレス成形に耐え得る耐熱性を発現することができないことがあり、ま
た、170℃における寸法変化率も大きくなり、熱プレス成形時に回路パターンを損なう
おそれがある。より好ましくは50J/g以上である。結晶性を向上させ高い結晶融解熱
量とするためには、結晶核剤等の結晶化を促進する添加剤を上記樹脂組成物に加えても良
く、更に上記表面層を製造する際に、溶融成形時の冷却温度を、上記芳香族ポリエステル
のガラス転移温度以上に設定するのが好ましく、70〜150℃に設定することが更に好
ましい。なお、上記結晶融解熱量は、示差走査熱量測定により測定することができる。
上記結晶性芳香族ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
導体と低分子量脂肪族ジオールとを反応させて得られる結晶性芳香族ポリエステルに、ポ
リエーテル骨格を主鎖中に有する結晶性芳香族ポリエステル及び/又はポリカプロラクト
ン骨格を主鎖中に有する結晶性芳香族ポリエステルを混合した混合樹脂であることが好ま
しい。このような混合樹脂は、ポリエーテル骨格及び/又はポリカプロラクトン骨格を主
鎖中に含有しない結晶性芳香族ポリエステルからなるマトリックス中に、ポリエーテル骨
格及び/又はポリカプロラクトン骨格を主鎖中に含有する結晶性芳香族ポリエステルが微
小に分散することにより、耐熱性を維持しながら、優れた柔軟性を得ることができる。こ
の混合樹脂からなる上記表面層は、耐熱性及び離型性と、回路パターンやスルーホール等
の基板上の凹凸形状への追従性とのバランスが非常に優れるものとなる。
上記結晶性芳香族ポリエステルとしては、ガラス転移温度が0〜100℃であることが好
ましい。100℃を超えるとと、熱プレス成形時に要求される離型性が低下するとともに
、柔軟性を発現することができず、回路パターンやスルーホール等の基板上の凹凸形状へ
の追従性が低下することがあり、0℃未満であると、熱プレス成形時の離型性が低下する
とともに、多層シートの取り扱い性が低下することがある。なお、本明細書においてガラ
ス転移温度とは、動的粘弾性測定で得られる損失正接(tanδ)の極大のうちミクロブ
ラウン運動に起因する極大が現れる温度を意味する。上記ガラス転移温度は、粘弾性スペ
クトロメーター等を用いた従来公知の方法により測定することができる。
上記表面層を構成する200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物
は、安定剤を含有してもよい。上記安定剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3
,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プ
ロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル) ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル
) ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3
’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオ
ネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
上記表面層を構成する200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物
は、ハロゲンの含有率が5重量%以下であることが好ましい。樹脂組成物におけるハロゲ
ンの含有率が5重量%以下であることにより、焼却してもハロゲンを含む有害な物質を生
成することがない。好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である
。1重量%未満であると、欧州での実質的なノンハロゲン物質認定が得られる。
本発明1の多層シートにおいて、上記層状珪酸塩を含有する樹脂組成物、及び、上記20
0℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物には、本発明1の課題達成
を阻害しない範囲で必要に応じて特性を改質するために、改質用の熱可塑性樹脂、ゴム成
分、オリゴマー類、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、滑剤、難
燃剤、防曇剤、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、高級脂肪酸塩、
無機物等の添加剤が配合されてもよい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併
用されてもよい。
上記改質用の熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、変性
ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレ
ン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリ
ルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系
熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー
、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス
{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロ
キシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕
ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
上記熱安定剤としては特に限定されず、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、
ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3′−チオジプロピオ
ネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデ
シル3,3′−チオジプロピオネート等が挙げられる。
上記繊維としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化珪
素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維
;アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられる。
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ
、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素、ハイドロタルサイトのような層状複水和
物等が挙げられる。
上記難燃剤としては特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(
2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙
げられる。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレー
ト、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2
′−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げら
れる。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ア
ルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
上記高級脂肪酸塩としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記無機物としては、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等が挙げられる。
本発明2の多層シートは、2層構造を有し、一方の層が層状珪酸塩を0.1〜50重量%
含有する樹脂組成物からなる。2層のうち一方の層が層状珪酸塩を含有する樹脂組成物か
らなることにより、熱プレス時等の高温下においても溶融粘度が低下することがなく、樹
脂が染み出すことを防止することができる。また、常温から高温までの広い温度範囲にお
いて、弾性率等の力学的特性を保持することが可能となる。
本発明2の多層シートに用いられる層状珪酸塩としては、本発明1の多層シートに用いら
れる層状珪酸塩と同様のものを用いることができ、また、本発明1の多層シートと同様に
、上記層状珪酸塩は、樹脂組成物中に広角X線回折測定法により測定した(001)面の
平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散してい
ることが好ましい。
本発明2の多層シートは、200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組
成物からなる層を有する。本発明2の多層シートに用いられる200℃以上の融点を有す
る樹脂組成物は、本発明1の多層シートに用いられる200℃以上の融点を有する樹脂組
成物と同様である。
本発明の多層シートの厚さの好ましい下限は5μm、上限は300μmである。5μm未
満であると、強度が不足することがあり、300μmを超えると、熱プレス成形時の熱伝
導率が悪くなることがある。より好ましい下限は25μm、上限は200μmである。
本発明の多層シートの製造方法としては、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーシ
ョン法、共押出Tダイ法で製膜する方法等が挙げられる。なかでも、共押出Tダイ法で製
膜する方法が各層の厚み制御に優れる点から好ましい。
本発明の多層シートは、層状珪酸塩を含有する樹脂組成物からなる層及び200℃以上の
融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなる層を有することから、熱プレ
ス時等の高温下においても、多層シートの端部等から樹脂が染み出すことを防止すること
ができる。また、熱プレス成形に耐え得る耐熱性、離型性を維持しながら柔軟性を付与す
ることができ、離型性と、回路パターンやスルーホール等の基板上の凹凸形状への追従性
とのバランスが非常に優れる。
本発明の多層シートは、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、透明性、非汚染性に優れ、安
全かつ容易に廃棄処理できることから、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基
板、又は、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介
して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、プレス熱板とプリント配線基板、フレキシ
ブルプリント配線基板、又は、多層プリント配線板等との接着を防ぐ離型フィルムとして
好適に用いられる。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、熱プレス成形
によりカバーレイフィルムを熱硬化性接着剤で接着する際に、カバーレイフィルムと熱プ
レス板、又は、カバーレイフィルム同士の接着を防ぐ離型フィルムとしても好適に用いら
れる。
本発明によれば、熱プレス時に樹脂が染み出すことがなく、基板表面への追従性、耐熱性
、離型性、非汚染性、透明性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な多層シートを提供でき
る。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
(実施例1)
3層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)90
重量部とジメチルジステアリルアンモニウム塩で処理された合成ヘクトライト(コープケ
ミカル社製、SAN)10重量部とからなる厚さ100μmの層と、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5040ZS)
からなる厚さ25μmの層とが、この順に重なった3層構造の多層シートを得た。
(実施例2)
2層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)90
重量部とジメチルジステアリルアンモニウム塩で処理された合成ヘクトライト(コープケ
ミカル社製、SAN)10重量部とからなる厚さ100μmの層とが重なった2層構造の
多層シートを作製したこと以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント基板
の作製を行った。
(比較例1)
3層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)から
なる厚さ100μmの層と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプ
ラスチックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層とが、この順
に重なった3層構造の多層シートを作製したこと以外は実施例1と同様の方法によりフレ
キシブルプリント基板の作製を行った。
(比較例2)
2層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)から
なる厚さ100μmの層とが重なった2層構造の多層シートを作製したこと以外は実施例
1と同様の方法によりフレキシブルプリント基板の作製を行った。
(比較例3)
3層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)90
重量部とジメチルジステアリルアンモニウム塩で処理された合成ヘクトライト(コープケ
ミカル社製、SAN)55重量部とからなる厚さ100μmの層と、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5040ZS)
からなる厚さ25μmの層とが、この順に重なった3層構造の多層シートを得た。
(比較例4)
3層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)90
重量部と合成シリカ(アドマテックス社製、アドマファインSO−E2)10重量部とか
らなる厚さ100μmの層と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリング
プラスチックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層とが、この
順に重なった3層構造の多層シートを得た。
(比較例5)
3層共押出機を用いて、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラス
チックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層と、エチレン−エ
チルアクリレート共重合体(日本ポリオレフィン社製、ジェイレックスA3100)90
重量部と合成シリカ(アドマテックス社製、アドマファインSO−E2)55重量部とか
らなる厚さ100μmの層と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリング
プラスチックス社製、ノバデュラン5040ZS)からなる厚さ25μmの層とが、この
順に重なった3層構造の多層シートを得た。
(評価)
実施例1、2及び比較例1〜5で作製された多層シートについて、下記方法により層状珪
酸塩の平均層間距離、5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合を測定し、
透明性を評価した。
また、これらの多層シートを用いたフレキシブルプリント基板の作製において、剥離性、
密着性と、作製後のフレキシブルプリント基板の電極汚染と、多層シートからの樹脂の染
み出し及び熱板への付着を目視により評価した。
これらの結果を表1に示した。
(1)層状珪酸塩の平均層間距離
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)を用いて、層状珪酸塩の積層面の回
折より得られる回折ピークの2θを測定し、下記式(3)のブラッグの回折式により、層
状珪酸塩の(001)面間隔dを算出し、得られたdを平均層間距離(nm)とした。
λ=2dsinθ …(3)
上記式(3)中、λは0.154(nm)であり、θは回折角を示す。
(2)5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合
得られた多層シートの層状珪酸塩を含有する層を透過型電子顕微鏡により10万倍で観察
し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下で分散し
ている層状珪酸塩の層数Yを計測し、上記式(2)により5層以下の積層体として分散し
ている層状珪酸塩の割合(%)を算出した。
(3)透明性の評価
多層シートをゴシック体15ポイントの文字が印刷された紙上に置き、目視にて多層シー
ト越しに文字を読み取ることができるかを、下記の基準により評価した。
〇:容易に文字を読み取ることができた
△:文字の存在は確認できた
×:全く読み取ることができなかった
(4)フレキシブルプリント基板の作製と評価
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製、カプトン)をベースフィルムとし、
ベースフィルム上に厚さ35μmの銅箔が厚さ20μmのエポキシ系接着剤層で接着され
た銅張り積層板を得た。
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製、カプトン)上に、流動開始温度80
℃のエポキシ系接着剤を厚さ20μmで塗布してカバーレイフィルムを得た。
得られた多層シート、銅張り積層板、カバーレイフィルム、多層シートをこの順に重ね合
わせたものを1セットとして、32セットを熱プレスに載置し、プレス温度170℃、プ
レス圧3MPa、プレス時間60分間の条件で熱プレス成形した後、プレス圧を開放し、
多層シートを引き剥がして、フレキシブルプリント基板を得た。
以上の方法によりフレキシブルプリント基板の作製した際の、多層シートと基板との剥離
性、密着性と、作製後のフレキシブルプリント基板の電極汚染と、多層シートからの樹脂
の染み出し及び熱板への付着を目視により評価した。
Figure 0004420688
本発明によれば、熱プレス時に樹脂が染み出すことがなく、基板表面への追従性、耐熱性
、離型性、非汚染性、透明性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な多層シートを提供でき
る。

Claims (6)

  1. 3層以上の多層構造を有する多層シートであって、中間層のうち少なくとも1層が低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、又は、エチレンとアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル若しくはアクリル酸との共重合体に対して層状珪酸塩を0.1〜50重量%含有する樹脂組成物からなり、かつ、少なくとも一方の表面の層が200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなり、層状珪酸塩は、樹脂組成物中に広角X線回折測定法により測定された(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散していることを特徴とする多層シート。
  2. 2層構造を有する多層シートであって、一方の層が低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、又は、エチレンとアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル若しくはアクリル酸との共重合体に対して層状珪酸塩を0.1〜50重量%含有する樹脂組成物からなり、かつ、他方の層が200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物からなり、層状珪酸塩は、樹脂組成物中に広角X線回折測定法により測定された(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部又は全部の積層体が5層以下に分散していることを特徴とする多層シート。
  3. 層状珪酸塩は、モンモリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカ及びバーミキュライトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の多層シート。
  4. 層状珪酸塩は、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アルキルホスホニウムイオン塩、芳香族4級アンモニウムイオン塩又は複素環4級アンモニウムイオン塩を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の多層シート。
  5. 200℃以上の融点を有する樹脂は、極性基を主鎖中に有するものであり、かつ、200℃以上の融点を有する樹脂をマトリックスとする樹脂組成物は、ハロゲンの含有率が5重量%以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の多層シート。
  6. 200℃以上の融点を有する樹脂は、結晶成分としてブチレンテレフタレートを含有する結晶性芳香族ポリエステルからなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の多層シート。
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