JP4419032B2 - 非磁性一成分現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法に用いる非磁性一成分現像用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては、米国特許第2,297,691号、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報などに各種の方法が記載されているが、通常は、光導電性感光体等の静電潜像担持体上に帯電、露光により静電潜像を形成し、次いでこの静電潜像を、バインダー樹脂中に着色剤を含有するトナー組成物によって現像し、得られたトナー像を転写紙などの支持体に転写、定着して可視画像を形成する方法が一般的である。
【0003】
また、電子写真法における現像方法としては多くの方法が知られているが、大別すると、鉄粉、フェライト、ニッケル、ガラス等の微粒子(20〜500μm)からなるキャリアとトナーとの混合物を現像剤として用いる二成分現像法と、トナーのみからなる現像剤を用いる一成分現像法とがある。
【0004】
磁気ブラシ一成分現像方法は、トナー等によるキャリア表面の汚染、キャリアとトナーとの混合比の変動等による摩擦帯電性の変化にともなう画質の劣化等が発生し易いという様な、二成分現像方法の問題点を回避するものであり、例えば、米国特許第4,336,318号明細書に、電気絶縁性磁性トナーを用いて現像する方法が記載されている。これらの方法においては、トナー粒子とトナー担持体及びトナー薄層化部材との間の摩擦帯電、または、トナー粒子同士の摩擦帯電によりトナーに電荷が注入されて、感光体上の静電潜像に静電的に付着する。
【0005】
一方、同方式は金属スリーブ上にトナーの磁気ブラシ層を形成するために、トナー自体に適当な磁気特性を持たせる必要が有り、その為、マグネタイト、フェライト等の磁性材料がトナー構成成分中の必須材料となっている。又、これら磁性材料の必要含有量は、その現像条件、材料種類で多少異なるが、30〜60重量%が一般的である。
【0006】
しかし、一般に電気抵抗が低く、吸湿し易いこうした磁性材料を多く含有することは、トナー自体の電気抵抗の低下及び耐湿性の低下を招き、その結果として環境の変化に対して安定した現像性能を得ることが難しくなり、画像濃度あるいは地汚れレベルの大きな変動を招く原因となっている。
【0007】
又、トナー中に含有される結着剤としての樹脂材料の割合が2成分方式のトナーと比べて少ないことは定着性能面で不利と言える。さらには、最近、増加しつつあるカラー用途を考えた場合、磁性材料の多くが有色であることから、対応できる色が限定される、或は鮮明なカラー画質が得にくいといった不具合が生じる。
【0008】
このような磁性一成分トナー及び現像方法の問題点を解決するために、トナーに磁気特性を必要としない非磁性一成分現像方法が提案されている。こうした方法としては種々の装置が検討されているが、その多くは、現像スリーブ等に対して静電気力でトナーを付着させ、潜像面へトナーを搬送させ現像せしめるものであり、磁性材料を必須成分としないことから、従来の磁性一成分現像方法における前記のような諸問題の回避が期待できるものである。
【0009】
非磁性一成分現像方法としては、種々の手法が提唱されているが、その中では現像スリーブとそれに圧接されたブレード等の帯電付与部材との間にトナーを通過せしめ、トナーを摩擦帯電させる方法が一般的である。この方法においてはトナーはブレードを通過する短時間の内に、瞬時に、しかも均一に目的とするレベルまで帯電する必要がある。このためマシン側ではトナーに高い帯電を付与するようにブレードなどの帯電付与部材の材質、形状等に種々の工夫を凝らしている。また、トナー側では高帯電を発現、維持するために染料、顔料などの電荷制御剤をトナーに添加することが行われている。
しかしながら、いまだかつて非磁性一成分現像用トナーとして長期間の印刷において安定した帯電挙動を示すトナーは得られていない。
【0010】
一方、これまでトナー用のバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等が研究使用され、これらの樹脂の設計においては、用途に応じて種々の提案が為されている。
【0011】
一般的には、バインダー樹脂に求められる特性としては、帯電、定着特性等、種々の特性があるが、特に、ヒートロール定着用途のトナーに用いられるバインダー樹脂には、転写紙への定着性能と耐オフセット性能の向上が要求されている。ヒートロール定着では、転写紙上に静電的に付着したトナー粒子は、加圧、加熱された熱ロール間を通過することにより溶融して転写紙に定着する。ところが、その際にロールの表面温度が低すぎると、トナー粒子層全体が充分に加熱されず、加熱ロールに接触した面のみが軟化して加熱ロールに付着する。転写紙側のトナーは軟化していないため付着力が生じず、結局、転写紙上のトナー層は転写紙に定着することなく、ほとんどが定着ロール側に移行する。これをコールドオフセットと呼んでいる。
【0012】
逆に、ロール表面の温度が高すぎると、溶融したトナーの粘度が低下する。それに伴い、溶融したトナー層の内部凝集力も急激に低下して加熱ロールへの付着力を下回る。その結果、溶融したトナー層は破断して転写紙、及び定着ロール双方に移行する。これをホットオフセットと呼び加熱ロールの汚染の原因となっている。ヒートロールに付着したトナーは転写紙に再転写して非画像部を汚し、印刷品質の低下をもたらす。
【0013】
耐オフセット性能とは、トナーがある温度においてコールドオフセット、あるいはホットオフセットを生じない能力を有することを意味し、トナー用のバインダー樹脂には広い温度領域で耐オフセット性能を有し、なおかつ優れた定着特性を有することが求められている。
【0014】
以上の目的を達成するため数多くの設計例が提唱されており、中でも加熱溶融時の粘弾性を維持する目的で、あるいは温度変動に対する粘度変化を抑える目的で、分子量分布の拡大、架橋構造の付与、ゴム弾性材料の適用等の手段が施された技術が検討されてきた。これまでの研究でポリエステル樹脂がヒートロール定着用樹脂として用い得ることは広く知られている。たとえば、特公昭52−25420号、同53−17496号、同55−49305号、特開昭55−38524号、同57−37353号、同58−11952号等の各公報がある。しかしながら、従来提案されているこれらの発明では、現在求められている広い温度領域での耐オフセット性能、定着性能を十分に満足する非磁性一成分トナー用のポリエステル樹脂は得られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記問題点を解決し、安定した帯電性能を示し長期間の連続印刷においても十分な画質を維持し、また、低温定着性及び耐オフセット性に優れ、かつ連続印字における耐久性を充分に満足する非磁性一成分トナーを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0017】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とを含有してなる静電荷像現像用トナーにおいて、前記バインダー樹脂が、
(A)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
(B)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物
(C)2価以上の脂肪族多価アルコール
を主構成成分とするポリエステル樹脂からなることを特徴とする非磁性一成分現像用トナーを提供するものである。
【0018】
本発明におけるバインダー樹脂は、ポリエステル樹脂であり、以下の原料より得られる。
【0019】
本発明に用いられる2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物の一種以上のもの等が挙げられる。
【0020】
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
【0021】
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050等が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、エピクロン520等が、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-660,N-665,N-667,N-670,N-673,N-680,N-690,N-695等が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN-740,N-770,N-775,N-865等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
【0022】
これらの中でも、特に5個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含んだ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好適に用いられる。
【0023】
また、上記エポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用しうるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキサイド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0024】
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。
【0025】
本発明で用いられる、2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が、また、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の三官能以上の多価カルボン酸又はその誘導体又はそのエステル化物が挙げられる。
【0026】
また、2価以上の脂肪族多価アルコールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオール等のジオールが、また、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン、等の三官能以上の多価アルコールが挙げられる。
【0027】
本発明においては上記脂肪族多価アルコールと共に、例えば以下に例示した芳香族ジオールを併用して用いることができる。本発明で用いることのできる芳香族ジオールとは、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びその誘導体、等である。
【0028】
本発明では脂肪族多価アルコールを用いることによりポリエステル樹脂のワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良される。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。したがって、上記芳香族ジオールは本発明の主旨を損なわない範囲で用いる必要がある。上記芳香族ジオールを用いる量は全アルコール成分に対して30モル%以下であることが望ましい。より好ましくは20モル%以下である。
【0029】
また、本発明における2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と共に用いる多価カルボン酸及び多価アルコールの組み合わせとしては芳香族ジカルボン酸と主鎖にエーテル結合を持った脂肪族ジオールであることが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等がある。主鎖にエーテル結合を持った脂肪族ジオールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオール等のジオールがある。芳香族ジカルボン酸を用いる量は全酸成分の60モル%以上であることが望ましく、より望ましくは70モル%以上である。主鎖にエーテル結合を持った脂肪族ジオールを用いる量は全アルコール成分のうち5〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%であることが望ましい。このような組み合わせ、及び使用量にすることにより、より低温での定着性能が向上し、またワックスの分散性が良好となることから耐オフセット性も改善される。
【0030】
本発明におけるポリエステル樹脂は、例えば下記タイプ1〜2の工程により製造することができる。
<タイプ1>;(A)、(B)、(C)各成分を一括で仕込み反応させる(一括反応)
<タイプ2>;(A)、(B)反応後(C)を、あるいは(A)、(C)反応後(B)を反応させ る(二段反応)
【0031】
従来技術の方法としては、以下の方法がある。
<タイプ3>;(B)、(C)の反応によるポリエステル主鎖の製造後に(A)を反応さ せる(二段反応)
【0032】
本発明で採用するタイプ1及びタイプ2の方法で得た樹脂と、従来法で得た樹脂との化学構造上またはトナーとした場合の効果上の相違点は以下の通りである。
【0033】
上記3つのタイプの反応により製造された樹脂の骨格は若干異なる。
タイプ1においては架橋剤であるエポキシ化合物は酸との反応速度が非常に早いため、カルボン酸とアルコールによる主鎖延長反応に優先してエポキシ化合物とカルボン酸単量体との反応が起きる。タイプ2ではエポキシ化合物と酸、あるいはアルコールの反応が主鎖延長の前に起きる。したがって、タイプ1、およびタイプ2では主鎖延長の反応が起きる前に、カルボン酸、あるいはアルコール単量体の1分子と、これら単量体の価数に応じた分子数、つまり2分子以上のエポキシ架橋剤が反応するケースが生じる。極端なケースではこのような反応が連鎖的に起きることにより非常に高密度にエポキシ架橋剤が存在する部分が生じることになる。
【0034】
特に本発明で用いるようなエポキシ化合物は1個のエポキシ基がカルボキシル基あるいは水酸基と反応することにより2級水酸基が発生し、この水酸基がさらに他のカルボキシル基と反応する。つまり1個のエポキシ基は2価の基として作用するので、タイプ1、及びタイプ2の反応におけるポリエステル樹脂は非常に高い密度の架橋構造を採ることになる。
【0035】
一方、架橋剤が集中して密の部分が生じると言うことは、逆に、その後の主鎖延長反応において架橋密度が疎の部分を生じることになる。つまり、タイプ1、およびタイプ2においては樹脂中に高架橋密度部分と低架橋密度部分が生じて架橋密度のばらつきが発生することになる。
【0036】
ところで、トナーはバインダー樹脂の低分子量成分が溶融して紙に浸透、あるいは隣接トナー粒子と融着することにより定着する。また、バインダー樹脂の高分子量成分が高温時においても弾性を保持して定着ロールへのオフセットを防止する。したがって、バインダー樹脂中に架橋密度の疎密を持つと言うことは分子量分布が非常に広くなることを意味し、より広範囲な温度領域において良好な定着特性、耐オフセット性が得られることになる。また、高架橋密度成分を保有するトナーは現像装置内でのシェアに十分耐える力学的強度を有している。
【0037】
一方、タイプ3の反応は先にカルボン酸とアルコールを反応させて主鎖を形成してからエポキシ架橋剤を反応させる方法である。この場合、ポリエステル主鎖の両末端にエポキシ化合物が反応することになるので、タイプ1、およびタイプ2において生じたエポキシ架橋剤が非常に近接した構造をとる確率は非常に低くなる。
【0038】
以上の理由により本発明のポリエステル樹脂の製造に際しては上記タイプ1、およびタイプ2の反応方式を用いることがより好ましい。また、特に製造工程の短縮、簡略化の観点からタイプ1の反応形式を用いることが最も好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、例えば触媒の存在下で上記の原料成分(A)(B)(C)を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。
【0039】
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸等を適宜使用する事が出来る。
【0040】
また、本発明におけるポリエステル樹脂は、前記(B)成分の一部または全部に不飽和二塩基酸を用いることにより、エポキシ化合物による架橋と不飽和二重結合による架橋の両方が起きている状態の架橋ポリエステルとすることもできる。この場合、通常は、不飽和二塩基酸の不飽和二重結合が解裂しない様に、分子内二重結合を含む前駆体のポリエステル樹脂を製造してから、この分子内二重結合を解裂させるようにして重合し架橋せしめる方法が用いられる。
【0041】
不飽和二重結合による架橋反応は、通常のポリエステル主鎖製造後に、さらに加熱又は重合開始剤を用いることにより行う。加熱の場合は230〜260℃の温度で3〜15時間位行い、重合開始剤の存在下では130℃〜250℃の温度で0.5〜15時間位反応させる。
【0042】
上記重合開始剤としては、例えばターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。重合開始剤の量としては、ポリエステル樹脂の0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜2重量%の範囲である。
【0043】
本発明に用いられるポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上のものが好ましいが、中でも、そのTgが55℃以上のものが特に好ましい。Tgが50℃以下ではトナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。
【0044】
また、本発明に使用されるポリエステル樹脂の軟化点としては、90℃以上、なかでも、90℃〜180℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、110℃〜170℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、180℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0045】
本発明のポリエステル樹脂の酸価としては、20mgKOH/g以下であることが、トナーの耐湿性が良好となる点で好ましい。
【0046】
本発明で使用することのできる着色剤としては、周知のものがあげられる。黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、等のカーボンブラックが、青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等が、赤系の着色剤としてはキナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 57:1等が、黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、イソインドリノン系のC.I.Pigment Yellow 110、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180、等がある。着色剤の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して1重量部から20重量部の範囲内が好ましい。これらの着色剤は1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0047】
本発明に用いられる電荷制御剤としては、例えば正帯電性電荷制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基及び/又はアミノ基を含有する樹脂等が、負帯電性電荷制御剤としてトリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂、等がある。負帯電性非磁性一成分現像用トナーにおいては、特に次の2種類の電荷制御剤を併用するのが好ましい。
【0048】
【化1】
Figure 0004419032
【0049】
化学式1中の〔NH4,Na,H〕+は、NH4,Na,Hのいずれかであることを示す。
【0050】
【化2】
Figure 0004419032
【0051】
各電荷制御剤の重量割合は特に制限されるものではないが、好ましくは上記式(1)及び(2)で表される2種の電荷制御剤の合計重量を100とした時、それらを40/60〜60/40(重量比)で用いる事が望ましい。
【0052】
更にバインダー樹脂(A)固形分100重量部当たり、これらを合計で0.5〜3重量部用いる事が望ましい。
【0053】
更にヒートロール定着用途では、トナーのヒートロール付着汚れ(オフセット)によるトラブル防止を目的として、種々のワックス類が必要に応じて使用できる。例えばモンタン酸エステルワックスの如き天然ワックス、合成エステルワックス、高圧法ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス等が使用できる。
【0054】
好適なワックス類としては、例えば、
・セラリカNODA(株)
カルナウバワックスNo.1、ライスワックスF−1
精製雪ロウNo.1(カイガラムシワックス)
・クラリアントジャパン(株)
ヘキストワックスE(モンタン系ワックス)
・日本油脂
エルクトールWEP−5(合成エステルワックス)
・三洋化成工業(株)
ビスコール660P、ビスコール550P、ビスコール330P
TP−32
・三井化学
ミツイハイワックスNP505、同P200、同P300、
同P400等がある。
【0055】
上記ワックスは単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.3〜15重量部、好ましくは1〜5重量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。0.3重量部より少ないと耐オフセット性が損なわれ、15重量部より多いとトナーの流動性が悪くなり、また、ブレードなどの帯電付与部材の表面に付着して印刷画質に悪影響を与えることになる。
【0056】
又、本発明のポリエステル樹脂に対して、本発明の効果を失わない範囲で、従来公知の樹脂、例えば、スチレン系樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレンブタジエン共重合樹脂等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂、キシレン樹脂等を適量配合することができる。その配合量は通常1〜30重量%程度である。
【0057】
本発明のトナーは、公知慣用の任意の製造方法に依って得る事ができるが、例えばバインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とをバインダー樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。勿論、これ以外の方法で製造してもよい。
【0058】
具体的には例えば、上記のバインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とを必須成分として、2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、バインダー樹脂中に着色剤が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180℃で1分〜2時間である。
【0059】
離型剤を含める場合には、混練に当たっては、例えばバインダー樹脂と着色剤と離型剤とを、着色剤が1〜20重量%、離型剤が0.3〜15重量%、残部がバインダー樹脂と電荷制御剤となる様に予め調製すればよい。
【0060】
次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。トナー粒子としては、平均粒子径1〜15μmのものが好ましい。
【0061】
通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、外添剤が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0062】
外添剤は、例えば流動性の向上、帯電特性の改良などトナー母体の表面改質のために用いられるものであり、例えば、二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイル、シランカップリング剤などの疎水化処理剤で表面処理したもの、ポリスチレン、アクリル、スチレンアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、メラミン、ナイロン、シリコン、フェノール、フッ化ビニリデン、テフロン等の樹脂微粉体がある。
【0063】
シリカとしては、二酸化珪素のうちで疎水性等を有するものが挙げられ、二酸化珪素を各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面処理したものが挙げられる。例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0064】
Figure 0004419032
【0065】
外添剤の使用割合はトナー母体に対して、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0066】
尚、非磁性一成分現像方式においては、その機構上、長期連続印字において画像劣化の原因となるトナー表面の外添剤の離脱、埋没が起こり易いため、それを防止する目的で平均粒径の異なる2種類以上の外添剤を併用することができる。
【0067】
具体的には、一方が平均粒径20nm以下の無機微粒子であり、もう一方が平均粒径20〜80nmの無機微粒子などである。この場合、主に前者が流動性の確保に働き、後者は前者の埋没防止の役割を担っている。上記無機微粒子としては、上記した様な異なる平均粒径のシリカを組み合わせて用いることが出来る。
【0068】
本発明の様な非磁性一成分現像用トナーを用いる一成分現像方法としては、キャリアを含まない現像剤(非磁性一成分現像用トナー)を担持した現像スリーブを静電潜像を有する感光体ドラムと接触させて現像する接触型の非磁性一成分現像方法がある。
【0069】
本発明の非磁性一成分現像用トナーは、現像スリーブとそれに圧接された層厚規制部材との間にそれを通過せしめ、トナーを摩擦帯電させることにより、感光体の表面に形成された静電潜像を現像するような接触型の非磁性一成分現像方法に特に有効に使用することが出来る。
【0070】
本発明における非磁性一成分現像用トナーは、通常の使用条件であれば特に現像装置の帯電付与部材の材質等を限定するものではない。例えばアルミニウム、ステンレス、ウレタンゴム、シリコンゴム製の現像スリーブ、アルミニウム、ステンレス、ジュラルミン、銅、あるいはそれらにウレタンゴム、シリコンゴムを貼り合わせた層厚規制部材等が好適に使用できる。
【0071】
本発明のトナーが有効な効果を発現する現像方法は、圧接部分(露出部分)で見て、現像スリーブと層厚規制部材とのいずれか一方が、前記した様なアルミニウム、ステンレス等の金属である場合であり、同様に、最も有効な組み合わせ(現像スリーブ/層厚規制部材)は、ウレタンゴムまたはシリコンゴム/ステンレスまたはステンレス/ウレタンゴムまたはシリコンゴムである。
【0072】
本発明のトナー粉体は、このままでも電子写真用粉体トナーとして使用することもできるが、シリカ等の流動性向上剤を外添することにより、より粉体流動性を向上させることができ実用上望ましい。
【0073】
【発明の実施形態】
1.少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とを含有してなる静電荷像現像用トナーにおいて、前記バインダー樹脂が、
(A)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
(B)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物
(C)2価以上の脂肪族多価アルコール
を主構成成分とするポリエステル樹脂からなることを特徴とする非磁性一成分現像用トナー。
【0074】
2.前記バインダー樹脂のガラス転移温度が50℃〜85℃で、かつ軟化点が90℃〜180℃であることを特徴とする上記1記載の非磁性一成分現像用トナー。
【0075】
3.電荷制御剤が、負帯電性電荷制御剤である上記1、2または3記載の非磁性一成分現像用トナー。
【0076】
4.2価以上の脂肪族多価アルコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、及び/又はポリカプロカクトンジオールを含む上記1記載の非磁性一成分現像用トナー。
【0077】
5.シリカを含有する上記1、2、3及び4記載の非磁性一成分現像用トナー。
【0078】
6.平均粒径の異なる2種類以上のシリカを含有する上記1、2、3及び4記載の非磁性一成分現像用トナー。
【0079】
7.現像スリーブとそれに圧接された層厚規制部材との間に非磁性一成分現像用トナーを通過せしめ、該トナーを摩擦帯電させることにより、感光体の表面に形成された静電潜像を現像する接触型の非磁性一成分現像方法であって、非磁性一成分現像用トナーとして、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とを含有してなる静電荷像現像用トナーにおいて、前記バインダー樹脂が、
(A)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
(B)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物
(C)2価以上の脂肪族多価アルコール
を主構成成分とするポリエステル樹脂からなることを特徴とする非磁性一成分現像用トナーを用いることを特徴とする非磁性一成分現像方法。
【0080】
8.上記2、3、4、5または6記載の非磁性一成分現像用トナーを用いる上記7記載の非磁性一成分現像方法。
【0081】
9.現像スリーブと層厚規制部材とのいずれか一方が、金属である上記7または8記載の非磁性一成分現像方法。
【0082】
10.帯電付与部材の圧接される部分の組み合わせ(現像スリーブ/層厚規制部材)が、ウレタンゴムまたはシリコンゴム/ステンレスまたはステンレス/ウレタンゴムまたはシリコンゴムである上記7または8記載の非磁性一成分現像方法。
【0083】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下において、組成表内の数値は『重量部』を表わす。最初にトナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。
【0084】
(樹脂合成例1)
テレフタル酸 315重量部
エピクロンN−695 7重量部
ジエチレングリコール 21重量部
ネオペンチルグリコール 104重量部
エチレングリコール 50重量部
テトラブチルチタネート 2.5重量部
*エピクロンN-695(大日本インキ化学工業(株)製)
;1分子中に有するエポキシ基の数に分布があり、1分子中に有するエポキシ基の数が2個以上であり、平均が5個以上である多官能クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
【0085】
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28-517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が138℃に達した時反応を終了した。
【0086】
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価3、DSC測定法によるガラス転移温度62℃、軟化点が140℃であった。
【0087】
以下、同様にして表1、2に記載の樹脂合成例2〜5、7及び比較合成例1〜3を製造した。樹脂合成例6は以下の通り製造した。
【0088】
(樹脂合成例6)
テレフタル酸 284重量部
無水マレイン酸 19重量部
エピクロンN−695 6重量部
ジエチレングリコール 53重量部
ネオペンチルグリコール 104重量部
エチレングリコール 56重量部
テトラブチルチタネート 2.5重量部
【0089】
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応させた。このポリエステル樹脂は酸価9であった。
【0090】
更に、この樹脂を180℃に降温し、ジターシャリーブチルパーオキサイド5重量部を添加し30分攪拌後、温度を240℃に昇温し、3時間攪拌して更に重合せしめてトナー用樹脂を得た。得られた樹脂は、常温固体で、酸価5、DSC測定法によるガラス転移温度63℃、軟化点142℃であった。
【0091】
表1.合成例一覧表
【表1】
Figure 0004419032
【0092】
表2.合成例一覧表 つづき
【表2】
Figure 0004419032
【0093】
表中の表示は以下の通り。
TPA:テレフタル酸
DEG:ジエチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
BPA(2,2)PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド2,2モル付加物
MA:無水マレイン酸
IPA:イソフタル酸
PETGE:ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル
TMA:無水トリメリット酸
TPM:トリメチロールプロパン
カージュラE:シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル
エピクロンN-695:大日本インキ化学工業(株)製多官能型クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量:220)
エピクロン850:大日本インキ化学工業(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ポキシ当量190)
【0094】
(実施例1)
・樹脂合成例1の樹脂 92重量部
・カーボンブラック
モーガル L (キャボット・スペシャルティー・ケミカルズ・インク製) 5重量部
・電荷制御剤(負帯電性電荷制御剤)
化学式2の電荷制御剤 1重量部
・ワックス
ビスコール550P(三洋化成工業(株)製) 2重量部
【0095】
をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、分級して「トナー原体A」を得る。
【0096】
・上記「トナー原体A」 100重量部
・シリカNAX50 1重量部
・シリカR972 2重量部
をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、「トナーA」を得た。
【0097】
以下、実施例1の配合をもとに、これに表3記載の変更点を加えて各トナー原体を製造し、実施例1と同一の比率でシリカを添加後トナーB(実施例2)〜トナーH(実施例8)及びトナーI(比較例1)〜トナーK(比較例3)を製造した。なお、トナーH(実施例8)は樹脂製造例1の樹脂を94部、着色剤として銅フタロシアニン「KET BLUE 111(大日本インキ化学工業(株)製)」3部としてトナーを製造した。
【0098】
表3.配合表
【表3】
Figure 0004419032
【0099】
*化合物(1)の対イオンはH+
ビスコール550P ;三洋化成(株)製ポリプロピレンワックス
表3の実施例及び比較例で得られたトナーについて、定着開始温度、耐オフセット性、現像耐久性について評価した。
【0100】
定着開始温度、耐オフセット性については、次のようなヒートロール定着機条件を用いて行った。
【0101】
(条件D)
Figure 0004419032
【0102】
定着強度は次式で計算される画像濃度残存比率で判定した。
画像濃度残存比率=堅牢度試験後画像濃度/同左試験前画像濃度
*画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
ここで、堅牢度試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g,擦り操作:5ストローク)を用いて定着画像を擦った後の画像濃度である。
【0103】
定着強度としては、残存比率80%以上で実用上問題ないレベルとし、その最低温度を定着開始温度とした。
【0104】
トナーの現像耐久性については、市販のプリンターのカートリッジから専用トナーを抜き、洗浄したカートリッジに、各実施例及び比較例で得られたトナーを充填し、10時間の連続印字を行い、現像スリーブ上のトナー層が均一であり、なんら欠陥の発生が無い状態を○と判定し、スジ等の不均一部分が発生した場合を×と判定した。
【0105】
印字画像のカブリは、マクベス918RD(アパーチャー径5mmφ)を使用し、印字物の白地部分の濃度を測定、次に未使用(未印字)の白紙につき濃度を同様に測定し、それらの濃度差を表した。
【0106】
以上の各測定項目につき、表4に示した。
【0107】
表4.評価結果
【表4】
Figure 0004419032
【0108】
表4から明らかな通り、本発明による2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物、及び2価以上の脂肪族多価アルコールからなる架橋ポリエステルより製造された非磁性一成分現像用トナーは、2個以上のエポキシ基を有する化合物を用いない架橋ポリエステルを使用した比較例1、及び比較例2のトナーと比較して、定着性、高温での耐オフセット性及び現像耐久性が優れている。また、アルコール成分として芳香族ジオールのみを用いた架橋ポリエステル樹脂による比較例3のトナーと比較して定着性、高温での耐オフセット性が優れている。
【0109】
【発明の効果】
上記実施例に示したように、本発明によれば、脂肪族系ジオールを用い、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物により架橋されたポリエステル及び電荷制御剤を含有するトナーを使用する事により、より広範囲な温度領域において良好な定着特性、耐オフセット性を示す非磁性一成分現像剤が得られる。また、同時に現像装置内でのシェアに耐え、画像の欠損を生じることのない十分な力学的強度を有する非磁性一成分現像剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と電荷制御剤とを含有してなる静電荷像現像用トナーにおいて、前記バインダー樹脂が、
    (A)5個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物
    (B)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物
    (C)2価以上の脂肪族多価アルコールを主構成成分とし、
    前記構成成分(A)〜(C)を一括反応させて得られるポリエステル樹脂であることを特徴とする非磁性一成分現像用トナー。
  2. 前記バインダー樹脂のガラス転移温度が50℃〜85℃で、かつ軟化点が90℃〜180℃であることを特徴とする請求項1記載の非磁性一成分現像用トナー。
  3. 電荷制御剤が、負帯電性電荷制御剤である請求項1または2記載の非磁性一成分現像用トナー。
  4. 2価以上の脂肪族多価アルコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールからなる群より選択された、2価以上の脂肪族多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1記載の非磁性一成分現像用トナー。
  5. 前記負帯電性電荷制御剤が、下記化学式1
    Figure 0004419032
    (化学式1中の〔NH4,Na,H〕+は、NH4,Na,Hのいずれかであることを示す。)
    及び下記化学式2
    Figure 0004419032
    である請求項3に記載の非磁性一成分現像用トナー。
  6. 前記化学式1及び化学式2で表される2種の電荷制御剤を、化学式1/化学式2で表される重量比で、40/60〜60/40で用いる請求項5に記載の非磁性一成分現像用トナー。
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