流体を輸送するための閉じた横断面をもつ導管として、例えば、建物や種々の施設に配設される配水管がある。このような配水管は、一方の配水管の管端と他方の配水管の管端を接続して、流体を輸送可能とすると共に、接続部がなす角度を自在として配管工事を容易とするために可撓管継手が用いられている。
又、このような配管工事には、配水管の管長を自在に調整する伸縮管継手が用いられることもある。更には、可撓管継手の機能と伸縮管継手の機能を併せもつ伸縮可撓管継手が、配管工事に用いられることもある。
このような管継手として、第1管体の部分球状外周面と第2管体の部分球状内周面との相対摺動による所期の屈曲性能を確実に発揮させながら、汚泥の堆積や流量損失を効果的に抑制する可撓管継手が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1による可撓管継手は、径方向外方に突出する部分球状の外周面を備えた第1管体に、これの部分球状外周面に沿って摺動可能な部分球状の内周面を備えた第2管体を屈曲自在に嵌合接続し、両管体の嵌合接続箇所において径方向内方に向かって開口形成される窪み部を覆う長さを有し、かつ、両管体の屈曲に追従して円筒形状を略維持したまま弾性変形する合成樹脂製のスリーブを、両管体の内周面に亘って接触状態で挿入装着してある。
又、別の管継手として、両端部の中心軸でなす角度を容易に自在にできると共に、ホースやソケット等を接続する際に各管状部材の中心軸の方向が安定して接続しやすい可撓管継手が発明されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2による可撓管継手は、第1管状部材と第2管状部材とが中間管状部材を介して第1管状部材の中心軸と第2管状部材の中心軸とでなす角度を自在にすると共に、中間管状部材の中心軸に対して第1管状部材及び第2管状部材の少なくとも一方を回転自在にし、ホースとホース又は機器との間を接続して流体を供給する。
そして、中間管状部材は一方端に外側面が球状に膨出した第1内球体状部を有し、第1管状部材は第1内球体状部が挿入されると共に第1管状部材の中心軸に対して適宜角度をなした中心軸を有する外広がりの開口部を備えた第1内球面状部を有し、第1内球体状部と第1内球面状部とが球面対偶をなしている。
更には、構造が単純で製造コストが低い管継手として、円筒状のケース体の内部に少なくとも外周が球面状に形成された球面リング体を軸方向摺動および回転摺動可能に嵌合するとともに、前記球面リング体の外周面と、円筒状のケース体の内面とを水密状態に保持した伸縮可撓管継手が発明されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−92699号公報
特開2003−240174号公報
特開2001−200968号公報
しかしながら、特許文献1による可撓管継手は、両管体を弾性変形する合成樹脂製のスリーブで接続しているので、比較的水圧の低い排水管には好適であっても、水圧の高い給水管に適用すると、前記スリーブが膨張することが懸念される。前記スリーブの肉厚を大きくして高圧に耐えようとすると屈曲性能が損なわれるおそれがある。
又、特許文献2による可撓管継手は、流路が屈折しており、流量損失が発生しやすい。流路がなだらかに湾曲する管継手が求められる。更に、特許文献2による可撓管継手は、排水管に使用された場合に、前記屈折部における窪み部に汚泥が堆積することを回避できないという問題がある。
特許文献3による伸縮可撓管継手も、同様に流路が屈折しており、流路がなだらかに湾曲する管継手が求められる。そして、排水管に使用された場合に、前記屈折部における窪み部に汚泥が堆積することを回避できないという問題がある。更に、特許文献3による伸縮可撓管継手はパッキンなどを使用していないので、シール性能が乏しいという問題もある。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、流路がなだらかに湾曲すると共にシール性能に優れた可撓性を有する管継手を提供することを目的とする。
発明者は、上記目的を満たすため、可撓性を有する管本体の両端に一対の円環状のフランジを設けて一体とし、一対の円環状のフランジにおけるそれぞれの外周面に保持される複数の球体と共に前記一対の円環状のフランジ付き管本体を保持体に収納し、一対の円環状のフランジは、それぞれ、球体が保持体の内壁面に沿って転動する構造とし、以下のような新たな管継手を発明した。
(1) 第1フランジを有する第1配管と、第2フランジを有する第2配管とを接続するための管継手であって、可撓性を有する筒状の管本体と、この管本体の一端側に設けられ前記第1フランジに接続される円環状の第1フランジと、前記管本体の他端側に設けられ前記第2フランジに接続される円環状の第2フランジと、前記円環状の第1フランジ及び前記円環状の第2フランジの外周面に保持された複数の球体と、前記管本体、前記円環状の第1フランジ、前記円環状の第2フランジ、及び前記複数の球体を収納する円筒形状の保持体と、を備え、前記円環状の第1フランジ及び前記円環状の第2フランジは、それぞれ、前記球体が前記保持体の内壁面に沿って転動することにより、前記保持体に対する姿勢を変更可能であることを特徴とする管継手。
本発明による管継手は、第1配管と第2配管を接続するため管継手であって、第1配管は第1フランジを有し、第2配管は第2フランジを有している。第1配管及び第2配管は、例えば、剛性管が用いられる。この剛性管は金属管でもよく、硬質の合成樹脂管であってもよく、硬質の弾性ゴム管であってもよい。第1フランジ及び第2フランジは、円板形状が好ましく、四角形以上の多角形板であってもよい。第1フランジ及び第2フランジは、例えば、第1配管及び第2配管の各管端に溶接によりそれぞれ固定されてもよく、第1配管及び第2配管の各管端に配管用ねじでそれぞれ結合されてもよい。
本発明による管継手は、可撓性を有する筒状の管本体と、この管本体の一端側に設けられる円環状の第1フランジと、前記管本体の他端側に設けられる円環状の第2フランジと、を備えている。例えば、管本体は合成樹脂で形成されたベローズであってよく、好適にはフッ素樹脂が用いられる。例えば、このベローズの両端にフランジを形成し、当該ベローズの一方のフランジが円環状の第1フランジと第1フランジで挟着されて接続され、当該ベローズの他方のフランジが円環状の第2フランジと第2フランジで挟着されて接続されてもよい。又、例えば、管本体は金属製のベローズであってよく、この金属製のベローズの両端に、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジが溶接により設けられてもよい。
又、例えば、管本体はゴム管であってもよく、このゴム管の両端に、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジがゴム管の弾性力で設けられてもよい。円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジが、ゴム管の両端に接着されて設けられてもよい。更に、例えば、このゴム管の両端にフランジを形成し、当該ゴム管の一方のフランジが円環状の第1フランジと第1フランジで挟着されて接続されてもよく、当該ゴム管の他方のフランジが円環状の第2フランジと第2フランジで挟着されて接続されてもよい。
円環状の第1フランジは第1フランジに接続され、円環状の第2フランジは第2フランジに接続される。例えば、円環状の第1フランジにおいて第1フランジの当接面に複数の雌めじが形成され、第1フランジに複数のねじ取付穴が形成され、円環状の第1フランジと第1フランジが六角ボルトなどの締結具で固定されて接続される。同様に、円環状の円環状の第2フランジにおいて第2フランジの当接面に複数の雌めじが形成され、第2フランジに複数のねじ取付穴が形成され、円環状の第2フランジと第2フランジが六角ボルトなどの締結具で固定されて接続される。そして、これら接続部において、パッキンを設けることを可能としている。
本発明による管継手は、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジの外周面に保持された複数の球体を備えている。例えば、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジのそれぞれの外周面に等間隔で四分割される位置に、円錐状の窪みを設け、この4つの円錐状の窪みに4つの球体が保持されるようにしてもよい。又、例えば、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジのそれぞれの外周面に、環状円弧溝を設け、この環状円弧溝を埋め尽くすように複数の球体が保持されるようにしてもよい。耐磨耗性の上からは、球体は鋼球が好ましい。
本発明による管継手は、管本体と円環状の第1フランジと円環状の第2フランジと複数の球体を収納する円筒形状の保持体を備えている。保持体の外形は、例えば、直四角柱を含む直多角柱で形成されてよく、両端部の直径より中間部の直径が大きい膨張円柱で形成されてもよく、製造上の容易性からは直円柱で形成されることが好ましい。
管本体と円環状の第1フランジと円環状の第2フランジがこの保持体に収納された後に、例えば、保持体の外周に設けられた貫通穴から複数の球体が挿入され、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジのそれぞれの外周面に複数の球体が収納される。しかる後に前記貫通穴がねじで封止される。
そして、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジは、それぞれ、球体が保持体の内壁面に沿って転動することにより、保持体に対する姿勢を変更可能としている。
このような管継手にあっては、円環状の第1フランジに第1フランジが接続され、円環状の第2フランジに第2フランジが接続された状態において、第1配管及び第2配管は、それぞれ、保持体に対する姿勢を変更可能としている。又、第1配管及び第2配管が可撓性を有する筒状の管本体で接続されるものである。
本発明による管継手は、第1配管及び第2配管が可撓性を有する筒状の管本体で接続しているので、従来のように流路が屈折することなく、なだらかに湾曲するので、流量損失の発生を削減できる利点がある。又、第1配管と第2配管と管本体との内径を等しくしておけば、接続部において、従来のように窪み部ができないので、排水管に使用された場合に窪み部に汚泥が堆積することを回避できる。更に、シール性能を高めるために、両接続部にパッキンを使用することもできる。
(2) (1)に記載の管継手において、前記保持体における内壁面のうち前記円環状の第1フランジを収容する部分は、前記保持体の中心軸上の第1の点を中心とする球面で規定され、前記保持体における内壁面のうち前記円環状の第2フランジを収容する部分は、前記保持体の中心軸上の第2の点を中心とする球面で規定されることを特徴とする管継手。
この保持体における内壁面には、当該保持体の中心軸上の第1の点を中心とする球面が形成され、当該保持体の中心軸上の第2の点を中心とする球面が形成されている。保持体の中心軸上の第1の点と第2の点は所定の間隔を有している。前記第1の点を中心とする球面と、前記第2の点を中心とする球面は、同じ半径を有することが好ましいが、異なる半径を有していてもよい。
円環状の第1フランジは、複数の球体が保持体の中心軸上の第1の点を中心とする球面に沿って転動することにより、保持体に対する姿勢を変更可能としている。円環状の第2フランジは、球体が保持体の中心軸上の第2の点を中心とする球面に沿って転動することにより、保持体に対する姿勢を変更可能としている。
「保持体における内壁面のうち円環状の第1フランジを収容する部分」は、円環状の第1フランジと円環状の第1フランジに保持される複数の球体を収容する部分を含み、当該円環状の第1フランジから軸方向に延長される管本体の一部位を収容する部分を含む。更に、「保持体における内壁面のうち円環状の第1フランジを収容する部分」は、円環状の第1フランジに接続される第1フランジを含んでもよく、当該第1フランジから軸方向に延長される第1配管の一部位を含んでもよい。
「保持体における内壁面のうち円環状の第2フランジを収容する部分」は、円環状の第2フランジと円環状の第2フランジに保持される複数の球体を収容する部分を含み、当該円環状の第2フランジから軸方向に延長される管本体の一部位を収容する部分を含む。更に、「保持体における内壁面のうち円環状の第2フランジを収容する部分」は、円環状の第2フランジに接続される第2フランジを含んでもよく、当該第2フランジから軸方向に延長される第2配管の一部位を含んでもよい。
「円環状の第1フランジを収容する部分は、第1の点を中心とする球面で規定される」とは、円環状の第1フランジと保持体が球面滑り対偶を構成していると考えられてもよく、円環状の第1フランジは、第1の点を中心として保持体に対して遥動運動及び傾斜運動を可能としている。
「円環状の第2フランジを収容する部分は、第2の点を中心とする球面で規定される」とは、円環状の第2フランジと保持体が球面滑り対偶を構成していると考えられてもよく、円環状の第1フランジは、第2の点を中心として保持体に対して遥動運動及び傾斜運動を可能としている。
このように構成された管継手は、保持体に収納された円環状の第1フランジ及び円環状の第1フランジは、それぞれの球面運動の中心点が、保持体の中心軸上の第1の点を中心とする球面及び保持体の中心軸上の第2の点を中心とする球面で、それぞれ規制され、円環状の第1フランジにおける球面運動の中心点と、円環状の第2フランジにおける球面運動の中心点との間隔を、一定距離に維持している。そして、円環状の第1フランジに接続される第1配管の中心軸と、円環状の第2フランジに接続される第2配管の中心軸との交差角度を立体空間上で互いに自在としている。
(3) (1)又は(2)に記載の管継手において、前記円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジの外周面には、所定間隔毎に前記球体を保持するための窪みが形成されていることを特徴とする管継手。
円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジにおいて、それぞれの外周面に、例えば、四つの窪みが均等間隔で形成され、この四つの窪みに球体が保持されることによって、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジは、それぞれの球面運動の中心点が安定する。
円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジにおいて、それぞれの外周面に、三つ以上の窪みが「均等間隔」で形成されることが好ましく、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジにおけるそれぞれの球面運動の中心点が安定する。球体が保持される窪みは、例えば、円錐状に形成されてよく、半球状に形成されてもよい。
このように、本発明の管継手は、円環状の第1フランジ及び円環状の第2フランジにおいて、それぞれの球面運動の中心点を最小数の球体で安定させることができる。
(4) (1)から(3)のいずれかにに記載の管継手において、前記管本体がベローズであることを特徴とする管継手。
管本体は、その外周の一方に圧縮応力が作用し、その外周の他方に引張応力が作用するので、軸方向に伸縮自在な管が好ましく、このような管本体として、ベローズが用いられてよい。このベローズは、合成樹脂により形成されてもよく、金属で形成されてもよい。例えば、このベローズは、内管として配置されるインナーベローズと、外管として配置されるアウターベローズとで構成され、インナーベローズとアウターベローズの間に弾性材料が充填される制振管を含んでもよい。又、ベローズ内の流体圧力に抗するようにベローズ外周の谷径をリングで把持してもよい。更に、ベローズ内の流体圧力に抗するようにその肉厚を適宜設定することも可能である。
(4) (1)から(3)のいずれかにに記載の管継手において、前記管本体がゴム管であることを特徴とする管継手。
管本体は、その外周の一方に圧縮応力が作用し、その外周の他方に引張応力が作用するので、軸方向に伸縮自在な管が好ましく、このような管本体として、ゴム管が用いられてよい。例えば、このゴム管は、ゴム又は熱可塑性エラストマを主体とした内面層と外面層の間に編状、又は螺旋状にステンレス鋼線が巻き付けられたいわゆる、鋼線補強ホース(すなわち、管本体)を含んでもよい。又、例えば、このゴム管は、内面層と外面層の間に補強材として強靭性繊維体を配置した補強ホース(すなわち、管本体)を含んでもよい。
本発明の管継手は、管本体内の流体圧力に抗するようにその肉厚を適宜設定することが可能となる。又、本発明の管継手は、従来の球面すべり軸受を応用した管継手のように流路が屈折することなく、なだらかに湾曲するので、流量損失の発生を削減できる利点がある。そして、排水管に使用された場合に窪み部に汚泥が堆積することを回避できる。更に、シール性能を高めるために、接続部にパッキンを使用することもできる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明による管継手の一実施形態を示す正面図であり、中心線の片側を断面図としている。図2は、前記実施形態による管継手の構成図であり、図2(A)は管継手の断面図、図2(B)は図2(A)の右側面図である。図2(B)は部分的に断面としている。
又、図3は、前記実施形態による管継手に連絡管としての伸縮管継手が接続された状態での正面図である。図3において、前記実施形態による管継手の保持体を断面で示している。図4は、前記実施形態による管継手に接続される伸縮管継手の正面図であり、中心線の片側を断面図としている。
最初に、本発明による一実施形態の管継手の構成を説明する。
図1において、管継手30の両側に、第1配管10と第2配管20が配置されている。第1配管10は第1フランジ11を有している。第2配管20は第2フランジ21を有している。
より具体的には、第1配管10の管端に管用テーパ雄ねじが形成され、第1フランジ11の中心に管用テーパ雌ねじが形成されて、第1配管10の管端に第1フランジ11がねじ結合されている。同様に、第2配管20の管端に管用テーパ雄ねじが形成され、第2フランジ21の中心に管用テーパ雌ねじが形成されて、第2配管20の管端に第2フランジ21がねじ結合されている。
図1において、円環状の第1フランジ31は第1フランジ11と接続され、円環状の第2フランジ32は第2フランジ21と接続される。より具体的には、円環状の第1フランジ31に複数の雌めじ31aが形成され、第1フランジ11に複数のねじ取付穴11aが形成され、円環状の第1フランジ31と第1フランジ11が六角ボルト4で固定される。同様に、円環状の第2フランジ32に複数の雌めじ32aが形成され、第2フランジ21に複数のねじ取付穴21aが形成され、円環状の第2フランジ32と第2フランジ21が六角ボルト4で固定される。
図1において、筒状の管本体33は可撓性を有している。管本体33の一端側に、円環状の第1フランジ31が設けられている。管本体33の他端側に、円環状の第2フランジ32が設けられている。この管本体33は、フッ素樹脂による合成樹脂で形成されたベローズを示している。ベローズは蛇腹管、又はコルゲート管などとも呼ばれており、筒状の外周に波形のひだが設けられ、伸縮性と屈曲性を有している。図1において、管本体33内の流体圧力に抗するために、管本体33の外周の谷径をリング33aで把持している。
図1において、管本体33の両端には、フランジ3aとフランジ3bがそれぞれ設けられている。管本体33の一方のフランジ3aが円環状の第1フランジ31と第1フランジ11で挟着されて接続され、管本体33の他方のフランジ3bが円環状の第2フランジ32と第2フランジ21で挟着されて接続される。
図1において、円環状の第1フランジ31と円環状の第2フランジ32とのそれぞれの外周面に複数の球体34が保持されている。円環状の第1フランジ31と円環状の第2フランジ32と管本体33とが一体となって複数の球体34と共に、円筒形状の保持体35に収納されている。
図2に示されるように、保持体35における内壁面のうち、円環状の第1フランジ31を収容する部分は、保持体35における中心軸G4上の第1の点B1を中心とする球面S1で規定されている。同様に、保持体35における内壁面のうち、円環状の第2フランジ32を収容する部分は、保持体35における中心軸G4上の第2の点B2を中心とする球面S2で規定されている。
図2において、第1の点B1と第2の点B2は所定の間隔dを有しており、第1の球面S1の半径r1と第2の球面S2の半径r2を同じとしている。又、管本体33の中心軸G3が直線状態において、管本体33の中心軸G3は、保持体35の中心軸G4を共有している。
更に、図1に示されるように、又、管本体33の中心軸G3が直線状態において、第1配管10の中心軸G1と第2配管20の中心軸G2は、管本体33の中心軸G3と一直線になるように接続される。
図2において、第1の球面S1と第2の球面S2は、保持体35内で連通すると共に、保持体35の両端面に開口している。第1の球面S1と第2の球面S2はそれぞれ部分的球面を形成している。
図2において、円環状の第1フランジ31の外周面に、複数の半球状の窪み31bが形成されている。同様に、円環状の第2フランジ32の外周に、複数の半球状の窪み32bが形成されている。複数の球体34は、窪み31b・32bで保持されて転動可能としている。
図2において、円環状の第1フランジ31と円環状の第2フランジ32において、それぞれの外周面に、4つの球体34が均等間隔で保持されている。円環状の第1フランジ31と円環状の第2フランジ32を内輪とし、保持体35を外輪とし、内輪と外輪間に複数の球体34が介装されることによって、管継手30はころがり玉軸受の同様の機能を有している。
図2において、円環状の第1フランジ31と円環状の第2フランジ32とのそれぞれの外周面に複数の球体34が均等間隔で保持される三つ以上の窪み31b・32bが形成されてよく、半球状の窪み31b及び32bに換えて、円錐状の窪みであってもよい。
図2に示されるように、保持体35の外周面から第1の球面S1及び第2の球面S2に貫通する雌ねじ穴35aがそれぞれ形成されている。雌ねじ穴35aから窪み31b・32bに向けて、球体34が順次投入される。球体34を全て投入後、雌ねじ穴35aが図示されない六角穴付きボルトで封止され、複数の球体34の脱落が防止される。
なお、保持体35の両端面に形成される開口の半径は、円環状の第1フランジ31及び円環状の第2フランジ32がそれぞれ傾斜しても、投入後の複数の球体34が脱落しないように設計されている。
そして、円環状の第1フランジ31は、複数の球体34が第1の球面S1に沿って転動することにより、保持体35に対する姿勢を変更可能としている。同様に、円環状の第2フランジ32は、複数の球体34が第2の球面S2に沿って転動することにより、保持体35に対する姿勢を変更可能としている。
次に、本発明による管継手の作用を説明する。
図2に示されるように、円環状の第1フランジ31は、複数の球体34を介して、保持体35の内壁面となる第1の球面S1と球面対偶を構成している。円環状の第2フランジ32は、複数の球体34を介して、保持体35の内壁面となる第2の球面S2と球面対偶を構成している。
そして、図2に示されるように、管継手30は、円環状の第1フランジ31における第1の点B1と、円環状の第2フランジ32における第2の点B2の間隔dを一定距離に維持している。図3に示されるように、円環状の第1フランジ31に接続される第1配管10と、円環状の第2フランジ32に接続される第2配管20が、屈折して交差配置される場合において、第1配管10及び第2配管20は、可撓性を有する筒状の管本体33でなだらかに接続されている。
図3に示されるように、管継手30は、円環状の第1フランジ31に接続される第1配管10の中心軸G1(図1参照)と、円環状の第2フランジ32に接続される第2配管20の中心軸G2(図1参照)との交差角度を、立体空間上で互いに自在としている。
このような管継手にあっては、第1配管と第2配管とを可撓性を有する管本体で接続しているので、従来のように流路が屈折することなく、なだらかに湾曲するので、流量損失の発生を削減できる利点がある。又、第1配管と第2配管と管本体との内径を等しくしておけば、接続部において、従来のように窪み部ができないので、排水管に使用された場合に窪み部に汚泥が堆積することを回避できる。更に、シール性能を高めるために、接続部にパッキンを使用することもできる。
次に、本発明による管継手に接続される連絡管としての伸縮管継手の構成を説明する。
図4に示されるように、伸縮管継手40は、軸方向の一端に、管継手30における円環状の第1フランジ31(図3参照)に接続可能な第1フランジ11を有すると共に、軸方向の他端に、管継手30における円環状の第2フランジ32(図3参照)に接続可能な第2フランジ21を有する。これら第1フランジ11と第2フランジ21間に軸方向に伸縮可能な継手管6が設けられる。
図4に示されるように、継手管6は、小口径の剛性管61と大口径の剛性管62が組み合わされている。小口径の剛性管61と大口径の剛性管62は、同軸心を有する状態でスライド可能に嵌合している。小口径の剛性管61及び大口径の剛性管62は、例えば、金属管、又は硬質合成樹脂管などが用いられる。
第1フランジ11を取り付けている第1配管10の管端は、小口径の剛性管61の管端と、ねじ管継手5により接続している。第2フランジ21を取り付けている第2配管20の管端は、テーパ管23の一方の管端に接合される。そして、テーパ管23の他方の管端が大口径の剛性管62の管端に接合される。
テーパ管23における一方の管端の口径は、第2配管20の管端の口径と等しく、テーパ管23における他方の管端の口径は、剛性管62における管端の口径と等しくなっている。テーパ管23の両管端において、第2配管20と剛性管62は同軸心を有する状態でそれぞれ接合されている。
図4に示されるように、大口径の剛性管62の管端には、環状部材6aが設けられている。環状部材6aには、小口径の剛性管61の外周面と摺動すると共に密着するオーリングなどのシール部材6sが内装されている。
図4に示されるように、継手管6には、更に、ねじ管継手64が設けられる。ねじ管継手64の一方の端部には雄ねじが形成されている。ねじ管継手64の一方の端部が、環状部材6aに嵌合すると共に、袋ナット63によりねじ管継手64と環状部材6aが固定される。そして、大口径の剛性管62とねじ管継手64が一体化される。
ねじ管継手64の他方の端部には、環状部材6cが設けられている。環状部材6cには、小口径の剛性管61の外周面と摺動すると共に密着するオーリングなどのシール部材6sが内装されている。
環状部材6aと環状部材6c間に位置するように、小口径の剛性管61の外周に環状部材6bが設けられている。環状部材6bには、ねじ管継手64の内周面と摺動すると共に密着するオーリングなどのシール部材6tが外装されている。
環状部材6bは、小口径の剛性管61と大口径の剛性管62との軸方向の伸縮量を制限するストッパの機能を有している。すなわち、継手管6が収縮するときは、小口径の剛性管61に設けられる環状部材6bが、大口径の剛性管62に設けられる環状部材6aに当接して、継手管6はこれ以上収縮しない。一方、継手管6が伸長するときは、小口径の剛性管61に設けられる環状部材6bが、大口径の剛性管62に設けられる環状部材6cに当接して、継手管6はこれ以上伸長しない。
又、図4に示されるように、環状部材6bの近傍であって環状部材6c側に位置する小口径の剛性管61の個所に複数の貫通穴6hが形成される。この貫通穴6hは環状部材6bと環状部材6cとで閉じられた空間に連通している。したがって、伸縮管継手40が収縮したときに、伸縮管継手40内に閉じられた流体を環状部材6bと環状部材6cとで閉じられた空間に流出させることができる。
このように構成される伸縮管継手40は、図3にも示されるように、離間した二つの管継手30間に伸縮管継手40を接続することにより、屈曲部を担う可撓管継手と伸縮性を担う連絡管とで離間した配管の接続工事が容易になる。
本発明に係る伸縮管継手40は、離間した二つの管継手30を接続するとして説明したが、本発明の一実施形態による管継手30は伸縮管継手40に限定して接続される訳ではない。本発明による管継手は、例えば、軸方向に伸縮しない剛性管に接続されてもよい。