JP4417574B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理基板を処理する処理装置及び処理方法に係り、更に詳細には、プラズマを用いて被処理基板を処理するプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体ウエハ等の被処理基板に処理を施す処理装置、例えば、プラズマエッチング装置などのプラズマ処理装置では、ウエハWを載置するサセプタ上に環状の部材である補正リングを配設することが行なわれている。補正リングは、処理チャンバ内で発生するプラズマの特性を補正するためにウエハの周囲に配置されるリングであり、例えば、リングのインピーダンスによって電界をウエハ上に集中させてプラズマがウエハ上に集中して分布するようにしてプラズマがサセプタ上に載置されたウエハに集中的に作用するようにするために用いられる。
【0003】
図14は代表的なプラズマ処理装置の処理チャンバ内を模式的に示した垂直断面図である。
【0004】
図14に示したように、処理チャンバ101内のサセプタ102上には円環状の補正リング103が配設されており、この補正リング103は1枚の円盤状部材として構成されている。図14に示したように補正リング103はサセプタ102上に載置されたウエハWの外周を包囲するようになっており、処理時にはプラズマに対して暴露される。そのため、複数枚のウエハWについて連続的に処理を行なうと、補正リング103が高温になる。補正リング103が高温になるとラジカルの空間分布が影響を受け、例えばエッチングプロセスではウエハWの周縁部でフォトレジストのエッチング速度の低下やコンタクトホールの抜け性の低下を招き、特に複数枚連続処理した場合に早い順番で処理されたウエハWと遅い順番で処理されたウエハWとの間でのエッチング速度が変動する。
【0005】
プラズマ処理される試料の周囲に配設された部材の温度上昇が及ぼすプラズマ処理への影響を解消するための技術として、例えば特開平7−310187号公報に開示されているように、試料2の周囲に配設された保護プレート6が高温になるのを防止するために保護プレート6と載置台8(サセプタ)とをボルト締めして密着させ、熱伝導性を良くして保護プレート6の冷却を図ったり、保護プレート6の底面と載置台8上面との間に熱伝導媒体として気体を流して保護プレート6の熱が載置台8側に拡散し易くすることにより保護プレート6を冷却する装置等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般にプラズマエッチング装置100の処理チャンバ101内で補正リング103の温度が上昇すると、エッチング速度はウエハWの中心から外周に向って低くなる傾向を示す。この様子を図示したのが図15のグラフ1である。この傾向は図15中点線で示したグラフ2が示す酸素ラジカルの分布と対応している。
【0007】
従って、グラフ1のように外周縁側でエッチング速度が低下するのを防止するには補正リングを冷却して温度を低下させれば良いと考えられる。
【0008】
しかし、処理チャンバ101内でプラズマエッチングされるウエハWのエッチング速度をウエハWの表面方向にわたって示したグラフ1のカーブの形は上記酸素ラジカルの分布を示すグラフ2のカーブの形とは明らかに異なっており、酸素ラジカルの分布だけではグラフ1の外周縁側の急上昇するカーブの説明がつかない。
【0009】
そこで視点を変えてサセプタ102の、ウエハW外周縁から比較的離れた位置に堆積した処理ガス堆積物に着目するとひとつの回答が得られる。即ち、処理ガスが堆積してできた堆積物層にプラズマが当たるとフッ素ラジカルなどの反応性の高い物質が生じると考えられる。図15のグラフ3はそのようにして生成したフッ素ラジカルの分布をサセプタ上に載置したウエハWの中心からの位置を横軸にとってプロットしたグラフである。このグラフ3が示すように、ウエハWの外周縁部付近でのグラフ1の急激な立ち上がりと対応するようにウエハWの外周縁付近で急激にフッ素ラジカルの量が増大していると考えられる。
【0010】
以上のことから、グラフ1の左側部分から中央部、即ちウエハWの中心から外周縁に向う部分はグラフ2の酸素ラジカルの影響を反映しており、グラフ1の右側部分、即ちウエハWの外周縁部周辺は堆積物から発生すると考えられるグラフ3のフッ素ラジカルの影響を反映していると考えられる。
【0011】
ここで、温度分布の観点のみから判断すれば、補正リングを冷却すればよいと考えられる。しかしその一方で、補正リングを冷却すると処理ガスに含まれる物質が堆積した堆積物にプラズマが当たって生成するフッ素ラジカルの影響が大きくなり、ウエハW外周縁部分でのエッチング速度が急激に増大すると考えられるという、二律背反する問題がある。
【0012】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされた発明である。即ち本発明は、複数枚の被処理基板を連続的に処理しても処理の順番で処理後の被処理基板の品質のばらつきが小さく、しかも、被処理基板の全体にわたって均一な処理をすることのできるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、真空下で被処理基体に処理を施す処理チャンバと、前記被処理基体に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記処理チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記被処理基体を載置するサセプタと、前記サセプタ上に載置された被処理基体の外周を包囲し、底面には点接触を形成するための凹凸が形成され、処理中第1の温度に維持される第1のリング部材と、前記第1のリング部材の外周を包囲し、処理中第2の温度に維持される第2のリング部材と、前記第2のリング部材と前記サセプタとの間に介挿された熱伝導性材料層からなり、前記第2のリング部材を冷却する冷却手段と、を具備し、前記第1のリング部材及び第2のリング部材が、シリコン、SiO 2 ,SiC,Al 2 O 3 ,AlN,Y 2 O 3 からなる群から選択される1の材料で形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記プラズマ処理装置において、例えば、前記第1の温度が前記第2の温度より高い温度に設定される。
【0015】
また、上記プラズマ処理装置において、前記第1のリング部材の少なくとも上面が、処理ガス分子の平均自由工程の1〜3倍の幅を備えているのが好ましい。
【0016】
ここで、処理ガス分子の平均自由工程の値は処理ガスの種類や処理温度などの条件で変動するが、例えば、前記第1のリング部材の少なくとも上面が、1mm〜25mmの幅を備えているものが挙げられる。
【0020】
前記第1及び第2のリング部材の組み合わせの例としては、第1のリング部材が、内周側頂部及び外周側底部にそれぞれ矩形の切り欠き部が形成された略矩形の断面形状を備えており、前記第2のリング部材が、内周側底部に、矩形の突出部を備えた略矩形の断面を備えており、前記第1のリング部材と前記第2のリング部材とが着脱可能に嵌合する形状を備えているものが挙げられる。
【0021】
本発明のプラズマ処理方法は、真空下で被処理基体に処理を施す処理チャンバと、前記被処理基体に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記処理チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記被処理基体を載置するサセプタと、前記サセプタ上に載置された被処理基体の外周を包囲し、底面には点接触を形成するための凹凸が形成され、処理中第1の温度に維持される第1のリング部材と、前記第1のリング部材の外周を包囲し、処理中第2の温度に維持される第2のリング部材と、前記第2のリング部材と前記サセプタとの間に介挿された熱伝導性材料層からなり、前記第2のリング部材を冷却する冷却手段と、を具備し、前記第1のリング部材及び第2のリング部材が、シリコン、SiO 2 ,SiC,Al 2 O 3 ,AlN,Y 2 O 3 からなる群から選択される1の材料で形成されているプラズマ処理装置を用いて前記被処理基体にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、前記被処理基体の外周縁に沿って環状の前記第1の温度帯域を形成すると同時に、前記第1の温度帯域の外側に前記第2の温度帯域を形成した状態で、前記被処理基体にプラズマ処理を施すことを特徴とする。
【0022】
このプラズマ処理方法において、例えば、前記第1の温度帯域は前記第2の温度帯域より高い温度に設定される。
【0023】
また上記プラズマ処理方法において、前記第1の温度帯域としては、処理ガス分子の平均自由工程の1〜3倍の幅に形成されることが好ましい。
【0024】
更に具体的には、前記第1の温度帯域の幅は、1mm〜25mmの幅に形成されることが好ましい。
【0025】
本発明のプラズマ処理装置では、被処理基体の周囲に配置されるリングが第1のリング部材と第2のリング部材とに分離されており、第1のリング部材は処理中第1の温度に維持される一方で、第2のリング部材は処理中第2の温度に維持されるようになっているので、複数枚の被処理基体を連続的に処理しても被処理基体間の品質にばらつきがなく、安定した品質の被処理基板を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は本実施形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示した垂直断面図である。
【0028】
図1に示すように、このプラズマエッチング装置1は、例えばアルミニウムやステンレス鋼により筒状に成形された処理チャンバ2を有する。この処理チャンバ2は接地されている。また処理チャンバ2の外周には複数個の永久磁石を円周状に配設したダイポールリングマグネット(DRM)が配設されており(図示省略)、このDRMを回転させることにより回転磁場を処理チャンバ内の空間に形成させることができるようになっている。
【0029】
処理チャンバ2の天井2Bは、絶縁部材3を介して処理チャンバ本体側に接続されており、この天井2Bにはサセプタ30に対向させて平らな中空構造のシャワーへッド4が配設されている。このシャワーヘッド4下面のガス噴射面には、このシャワーヘッド4内に導入された処理ガスやプラズマガスを処理空間S、即ちシャワーヘッド4下面とサセプタ30上面との間に形成される空間に向けて吐出する複数の吐出孔5,5,…が穿孔されている。
【0030】
このシャワーヘッド4は、導電性材料、例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムや表面処理されたステンレス鋼などにより形成されて上部電極を構成し、導体7を介して接地されている。
【0031】
シャワーヘッド4上部のガス導入口41には、ガス導入管42が接続されている。このガス導入管42は複数に分岐されており、プラズマガスとしてのArガスを貯留するArガス源43、処理ガスとしてC4F8とO2のエッチングガスを貯留するエッチングガス源44,45がそれぞれ接続されている。これらの各ガスは、途中に介設したマスフローコントローラ46や開閉弁42により流量が制御されつつ供給される。
【0032】
処理チャンバ2の側壁の一部には、サセプタ30を降下させた位置に対応してウエハ搬出入口23が配設されており、ここに真空引き可能に構成された移載室26との間を連通・遮断するゲートバルブ25が配設されている。
【0033】
サセプタ30の裏面と処理チャンバ底部2Aの開口部13の周辺とは伸縮自在に構成された金属製のベローズ24が配設されている。このベローズ24により処理チャンバ2内の気密性を維持したままサセプタ30を昇降可能にしている。
【0034】
サセプタ30は、高周波電源10により、マッチング回路11を介在させた給電線12及び昇降軸14を介して、例えば13.56MHzの高周波電圧を印加できるようになっている。
【0035】
また、ウエハ搬出入口23の反対側の側壁には排気口20が設けられており、この排気口20には真空配管21が接続されている。この真空配管21には真空ポンプ22が配設されており、この真空ポンプ22を作動させることにより処理チャンバ2内の空気を排出することによりこの処理チャンバ2内をほぼ真空状態にできるようになっている。
【0036】
処理チャンバ2の内部には、下部電極としてアルミニウムやステンレス鋼等の導電性材料よりなる略円盤状のサセプタ30が配設されている。このサセプタ30は、処理チャンバ底部2Aの中央部の開口13を介して挿入された昇降軸14の上端に支持固定されており、昇降機構(図示省略)により昇降可能に配設されている。プラズマエッチング装置1の運転時には、このサセプタ30の上面にウエハWが載置された状態でエッチングが行われる。
【0037】
サセプタ30の内部には通路状の冷却ジャケット15が設けられており、このジャケット15内に冷媒を流すことによりサセプタ30、ひいてはその上に載置したウエハWを所望の温度に維持できるようになっている。更にこのサセプタ30の所定の位置には複数のリフタ孔16,16,…が上下方向に貫通して穿孔されており、これらのリフタ孔16,16,…に対応して上下方向に昇降可能にウエハリフタピン17が配設されている。このウエハリフタピン17は処理チャンバ底部2Aの開口部13を通って上下動可能に取りつけられたピン昇降ロッド18により一体的に昇降可能に取りつけられている。このウエハリフタピン17の貫通部には、サセプタ30の裏面との間で金属製の伸縮ベローズ19が配設されており、ウエハリフタピン17が気密性を維持したまま上下動できるようになっている。図1中一点鎖線で示した位置にサセプタ30を保持した状態でウエハリフトピン17を上下動させることにより、ウエハWを昇降するようになっている。このようなウエハリフトピン17は通常ウエハW周縁部に沿って3本設けられている。
【0038】
サセプタ30の上面には円環状の補正リング31が配設されている。
【0039】
図2は本実施形態に係るサセプタ30の上部を部分的に拡大した垂直断面図であり、図3は本実施形態に係る補正リング31の分解斜視図である。
【0040】
図2及び図3に示したように、この補正リング31は同心円状の二つの環状部材から構成されている。これらの環状部材は一つは第1の補正リング部材32であり、もう一つの環状部材は第2の補正リング部材33である。
【0041】
これら二つの補正リング部材32,33は嵌合して一つの補正リング31を構成するようになっている。
【0042】
即ち、第1の補正リング部材32は図2に示したように、その断面において内周側頂部に矩形の切り欠き部32aが形成されている。また同様に外周側底部には矩形の切り欠き部32bが形成されている。
【0043】
この第1の補正リング部材32の内周側頂部の切り欠き部32aは、図2に示したようにサセプタ30上にセットしたときにウエハWの外周縁部が嵌合するようになっている。
【0044】
また、第1の補正リング部材32の底部には比較的粗い凹凸32cが形成されており、サセプタ30上表面と点接触するようになっている。これはサセプタ30の上表面と第1の補正リング部材32の底面とが面接触するのを防止するためのものである。第1の補正リング部材32の底面とサセプタ30の上表面との接触面積を小さくすることにより第1の補正リング部材32とサセプタ30との間の熱の伝導性を低下させ、ウエハWの処理時にプラズマに暴露されて加熱された第1の補正リング部材32の温度が低下しないようになっている。なお、この底部の凹凸32cの形成については省略可能である。
【0045】
第1の補正リング部材32の外周側底部にも断面が矩形の切り欠き部32bが形成されている。この切り欠き部32bは後述する第2の補正リング部材33と嵌合させるためのものである。
【0046】
前記第2の補正リング部材33は、内周側底部に断面が矩形となる突出部33aを備えており、この突出部33aは鍔(フランジ)状の突出部を形成している。
【0047】
この突出部33aは前述した第1の補正リング部材32の外周側底面の切り欠き部32bとちょうど噛み合う形状をしており、第1の補正リング部材32と第2の補正リング部材33とをサセプタ30上にセットしたときに切り欠き部32bと突出部33aとが嵌合し、第1の補正リング部材32と第2の補正リング部材33とが相俟って補正リング31を形成するようになっている。即ち、図2に示したように、第1の補正リング部材32及び第2の補正リング部材33はサセプタ30上にセットしたときに第1の補正リング部材32,第2の補正リング部材33の各上表面が同一平面を構成する。第2の補正リング部材33の底面とサセプタ30上表面との間には冷却手段としての熱伝導性材料層、例えばシリコンラバー層34が介挿されている。このシリコンラバー層34は熱伝導性に優れており、第2の補正リング部材33底面及びサセプタ30上表面に密着することにより、第2の補正リング部材33とサセプタ30との間の熱の移動を容易にしている。従って、処理装置の運転時に第2の補正リング部材の温度が上がってもこのシリコンラバー層34を介して第2の補正リング部材33からサセプタ30に熱が拡散するようになっており、サセプタ30は内蔵したジャケットにより常に冷却されている。そのため、第2の補正リング部材33も冷却されてその温度上昇が抑えられる。
【0048】
また第2の補正リング部材33の材料としては次のような材料が使用可能である。例えば、シリコン、SiO2、SiC、Al2O3、AlN、Y2O3等が挙げられる。
【0049】
図2に示すように第1の補正リング部材32は外周側底面の切り欠き部32b、内周側の切り欠き部32aが形成された略長方形或いは鉤型の断面形状を備えている。そのため第1の補正リング部材32は第2の補正リング部材33やサセプタ30に対して着脱可能になっており、図3に示したように第1の補正リング部材32をその軸方向に持ち上げることにより容易に取り外し可能になっている。
【0050】
そのため、第1の補正リング部材32自身がエッチングされて厚さが薄くなった場合には第1の補正リング部材32のみ交換できるので経済的に優れている。また、交換も容易であるので保守管理に手間がかからない、という利点もある。
【0051】
また、図2に示したように第1の補正リング部材32は第2の補正リング部材33やサセプタ30、ウエハWと全面にわたって密着しているわけではなく、隙間が形成されるような大きさ、形状になっている。これらの隙間には、プラズマ処理装置の運転時のように処理チャンバ2内が略真空に保たれる状態では、気体の分子が殆ど存在しないため、これらの隙間が断熱層として機能する。そのため第1の補正リング部材32と第2の補正リング部材33や第1の補正リング部材32とサセプタ30との間ではプラズマエッチング装置1の運転時には熱の移動は殆ど無視できる水準に抑えられる。
【0052】
この第1の補正リング部材32の材料としては、シリコンなどが用いられるが、シリコン以外にも次のような材料が使用可能である。例えば、SiO2、SiC、Al2O3、AlN、Y2O3等が挙げられる。
【0053】
第1の補正リング部材32の上表面32dの幅Dは、サセプタ30表面に堆積した処理ガス堆積物から発生すると考えられるフッ素ラジカル等の反応性物質を有効にスカベンジ(scavenge)、即ち不要な遊離基を除去しうる幅であり、かつ、処理チャンバ2内の熱的分布の均一性を損なわない寸法にする。
【0054】
この幅Dの値は、処理ガスの種類や温度、真空度などの条件により変動するが、例えば、処理ガス分子の平均自由行程λと同程度の水準、例えば同平均自由行程λの1倍〜5倍の範囲が好ましく、同平均自由行程λの1倍〜3倍の範囲が更に好ましい。
【0055】
更に具体的な数値を挙げれば、例えば幅Dの値を1〜25mmにしたものが挙げられる。なお、この幅Dはプラズマエッチング装置の運転時に処理チャンバ2内で形成される第1の温度帯域の幅に相当する。
【0056】
ここでこの第1の補正リング部材32の幅Dの好ましい範囲を上記範囲としたのは、幅Dが上記範囲を下回ると、処理時にこの第1の補正リング部材32の上面近傍に形成される円筒型の温度帯域である第1の温度帯域の幅が小さくなるからである。
【0057】
この第1の温度帯域の幅が上記幅Dの下限より小さくなると、第2の補正リング部材33上面上に堆積した堆積物にプラズマが当たって生成されるフッ素ラジカルをスカベンジする第1の温度帯域の能力が低下して、十分なスカベンジが行なわれず、スカベンジされずに残存したフッ素ラジカルがウエハWの外周縁まで到達してウエハW上面に対するエッチング速度を増大させてしまう。
【0058】
一方、幅Dが上記範囲を上回ると、処理時にこの第1の補正リング部材32の上面近傍に形成される円筒型の温度帯域である第1の温度帯域の幅が大きくなる。
【0059】
この第1の温度帯域の幅が上記幅Dの上限より大きくなると、処理に寄与しないガス分子、例えばアルゴン等のガス分子が第1の補正リング部材32の上面32dに衝突する確率が増大する。この第1の補正リング部材32の上面32dにアルゴン等のガス分子が衝突する確率が増大すると、処理チャンバ2内の熱的分布の均一性が害されるため、ウエハWの処理の均一性が損なわれる。
【0060】
このように第1の補正リング部材の幅Dを上記範囲にすることにより、載置されたウエハWを含むサセプタ上面全体にわたって温度分布を均一にたもつことができる。それと同時に、ウエハW外周縁の外側の第2の補正リング部材33上に堆積した堆積物にプラズマが当たって生成されるフッ素ラジカルを第1の補正リング部材上面近傍に形成される第1の温度帯域によりスカベンジすることができるので、このフッ素ラジカルによるウエハW外周縁部付近での局部的なエッチングの進行を防止することができる。
【0061】
次に、以上のように構成されたプラズマエッチング装置を用いて行われるエッチング処理について説明する。
【0062】
上記プラズマエッチング装置1が搭載されたクラスターツール装置(図示省略)を起動すると、いずれも図示しないキャリアカセット、搬送アーム、ロードロック室を経てプラズマエッチング装置1の処理チャンバ2に隣接配置された移載室26まで搬送される。
【0063】
次いで、移載室26内で移載アーム(図示省略)が回転し、プラズマエッチング装置1の正面を向いて停止する。しかる後にプラズマエッチング装置1の前のゲートバルブ25が開き、移載アームが未処理のウエハWを保持した状態でプラズマエッチング装置1の処理チャンバ2内に進入する。
【0064】
一方、処理チャンバ2内では、サセプタ30を図1の一点鎖線に示したように処理チャンバ2内の下方に下降させ、この状態で未処理のウエハWを移載室26側からウエハ搬出入口23を介して処理チャンバ2内に搬入し、サセプタ30上に載置する。
【0065】
次いで昇降軸14を上方に移動させることによりサセプタ30を上昇させ、その上面に載置したウエハWをシャワーヘッド4の下面に接近させる。
【0066】
そして、この状態でシャワーヘッド4から所定量のプラズマガスやエッチングガスを処理チャンバ2内に供給しつつ処理チャンバ2内部を真空引きする。この真空引きは処理チャンバのウエハ搬出入口23のゲートバルブ25を閉鎖して処理チャンバ2内を密閉した後に行なう。ゲートバルブ25を下降させてウエハ搬出入口23を閉じ、処理チャンバ2内が密閉されたら、真空ポンプ22が作動して真空引きする。
【0067】
真空ポンプ22を引き続きこの回転速度で回転し続けることにより、処理チャンバ2内をプロセス圧に維持し、同時に下部電極であるサセプタ30と上部電極との間に例えば13.56MHzの高周波電圧を印加して処理空間Sにプラズマを発生させ、ウエハW表面に形成されている例えば酸化膜のエッチング処理を行う。
【0068】
処理の開始とともに発生したプラズマの大部分はウエハWの上表面に当たり、ウエハW上表面上の酸化膜をエッチングしていく。それとともに発生したプラズマのいくらかはウエハWの外周縁より更に広い範囲にまで広がり、第1の補正リング部材32の上面32dを超えて第2の補正リング部材33の上面にまで到達する。
【0069】
このとき、第1の補正リング部材32はウエハWの外周縁に近い位置に配設されているので、プラズマの照射量が多く、短時間で高温度に達する。この第1の補正リング部材32は熱容量の小さい部材であるので、比較的短時間で昇温し、所定の温度に到達するとそれ以上は上がらなくなり、高い温度で熱的に安定する。
【0070】
また、第1の補正リング部材32の底面には粗い凹凸32cが形成されているので第1の補正リング部材32とサセプタ30の上面との間の接触面積は非常に小さい、いわゆる点接触に近い状態が形成されている。そのため、第1の補正リング部材32とサセプタ30の上面との間には隙間が形成されるが、処理中は処理チャンバ2内は略真空に保たれ、この隙間には空気の分子がほとんど存在しない。その結果、第1の補正リング部材32はサセプタ30や第2の補正リング部材33から断熱されたと等しい状態になり、高温度状態で安定的に維持される。その結果、処理中第1の補正リング部材32の上面32dの近傍には高温度の第1の温度帯域Hが形成される。
【0071】
一方、第2の補正リング部材33はジャケットで冷却されているサセプタ30とシリコンラバー層34を介して熱の移動が容易に行なわれる構造となっている。そのためプラズマが当たったり、周囲の熱が伝搬して第2の補正リング部材33に熱が供給されても、サセプタ30、シリコンラバー層34を介して第2の補正リング部材33は冷却されているので、第2の補正リング部材33の温度はあまり上昇せず、第1の補正リング部材32に比較して低い温度に維持される。
【0072】
その結果、第2の補正リング部材33の上面近傍には比較的低温の第2の温度帯域Lが形成される。
【0073】
このように、処理中はウエハWの外周縁には第1の補正リング部材32に起因する第1の温度帯域Hが狭い幅Dで形成され、更にその外側には第2の補正リング部材33に起因する第2の温度帯域Lが形成される。
【0074】
処理中処理チャンバ2内には処理ガス分子を含む何種類かの気体分子が運動している。そのうちのいくつかは第2の補正リング部材33に衝突するが、この第2の補正リング部材33は比較的低温に維持されているため、処理チャンバ2内の熱的分布を大幅に乱すことはない。更に第2の補正リング部材33の内側には高温の第1の補正リング部材32が配設されているが、その幅Dは処理ガス分子の平均自由行程λの1倍〜3倍又は1倍〜5倍程度と狭いため、この第1の補正リング部材32の上面32dに衝突する気体分子の数は非常に小さく、この上面32dに衝突することにより高いエネルギーを得てエネルギーを増す気体分子が処理チャンバ2内の処理ガス雰囲気に及ぼす影響は無視できる水準に過ぎない。従って、処理チャンバ2の処理ガス雰囲気全体にわたって観察するとサセプタ30の上面全体にわたって均一な温度分布が達成され、曳いてはウエハWの中心と外周縁部とで均一なエッチングが行なわれる。
【0075】
一方、処理ガスを構成する物質の幾分かは第2の補正リング部材33表面に付着、堆積し、この堆積物にプラズマが当たることにより腐食性の高いフッ素ラジカルなどの反応性物質が生成すると考えられる。このような反応性物質が拡散して第2の補正リング部材33上部の第2の温度帯域LからウエハWの載置されている方へ移動しようとすると、第2の温度帯域LとウエハWとの間には第1の補正リング部材32に起因する高温の第1の温度帯域Hを通過しなければならない。
【0076】
このとき、第1の温度帯域Hは十分高い温度に維持されているので、この第1の温度帯域Hを通過しきる前に第2の温度帯域Lから拡散してきたフッ素ラジカル等の反応性物質は第1の補正リング部材32の表面即ち第1の温度帯域Hで反応することにより他の物質に変換されて反応性が消失するため、第1の温度帯域HからウエハW側へ拡散する反応性物質は実質的に除去されるので、ウエハWには影響を及ぼすことが未然に防止されると考えられる。
【0077】
エッチング処理を所定時間行なって所期のエッチング処理が完了したら、処理チャンバ2内の真空度を移載室26の真空度より僅かに高い程度の真空度まで下げ、しかる後に上記とは逆の順序で処理チャンバ2内から処理後のウエハWを取り出す。そして同様にして後続の処理チャンバ内にウエハWを搬送し、その処理チャンバ内で所定の処理を施す。一連の処理が完了した後、処理が完了したウエハWを最後の処理チャンバ内から移載室26に取り出し、更に移載室26からロードロック室を経由して再びキャリアカセット内に収容し処理を完了する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係るプラズマ処理装置1では、サセプタ30のウエハW載置部のすぐ外側に、幅が処理ガスの平均自由行程と同程度で熱の移動が制限された第1の補正リング部材32を配設し、更に第1の補正リング部材32のすぐ外側に第2の補正リング部材33を配設し、この第2の補正リング部材33についてはシリコンラバー層34を用いてサセプタ30側に熱が逃げ易い構造としたため、処理中は第1の補正リング部材周辺に高温の第1の温度帯域Hが形成される一方、第1の温度帯域Hの外側には第2の補正リング部材33により形成される比較的低温の第2の温度帯域Lが形成される。
【0079】
その結果、サセプタ30上の温度分布は中心付近で高く、外周の第2の補正リング部材33周辺で低くなるので、ウエハWの表面全体にわたって観察すると、全体に均一なエッチング速度での処理が行なわれる。
【0080】
一方、サセプタ30に載置されたウエハWの外周縁付近には狭い幅、即ち処理ガス分子の平均自由行程と同程度の幅の第1の補正リング部材32が介挿されており、この第1の補正リング部材32は処理中高温に維持される。そのため、この第1の補正リング部材32の上面近傍には高温の第1の温度帯域Hが形成される。この第1の温度帯域Hの作用により、第2の補正リング部材33の周辺で生成されたフッ素ラジカル等の腐食性物質がスカベンジされるので、フッ素ラジカル等の腐食性物質がウエハWの外周縁にまで拡散して局部的にエッチングを進行させることが未然に防止される。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されない。例えば、上記実施形態では、シリコンウエハ用のプラズマエッチング装置を例にして説明したが、それ以外の反応性ガス処理装置、例えばCVDにも使用することができる。
【0082】
更に、シリコンウエハと同様にLCD用ガラス基板を処理する処理装置にも適用できることはいうまでもない。
【0083】
また、上記実施形態では複数個の円柱型永久磁石を処理チャンバの周囲に回転させるいわゆるダイポールリングマグネット(DRM)を用いた回転磁界型の処理装置を例にして説明したが、このダイポールリングマグネット(DRM)を搭載しない処理装置にも本発明は適用可能である。
【0084】
(実施例)
以下、上記実施形態で説明したタイプのプラズマエッチング装置1を使用し、各種の補正リングを用いてウエハWのエッチングを行なった。
【0085】
図4〜図9はウエハの中心からの距離とエッチング速度との関係を示した図である。
【0086】
図4は従来型の1枚の薄い円環型補正リングを冷却しない状態で使用し、ウエハの表面に形成されたシリコン酸化膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフであり、図5は従来型の1枚の薄い円環型補正リングを冷却した状態で使用してシリコン酸化膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフであり、図6は第1の補正リング部材と第2の補正リング部材とに同心円状に分割できる補正リングを用いて、第2の補正リング部材を冷却した状態でシリコン酸化膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフである。
【0087】
各グラフにおいて連続した曲線は1枚のウエハについてのデータを示しており、それぞれ測定開始から30秒後、60秒後及び120秒後の3枚のウエハについて測定した。
【0088】
図4と図6とを比較すると、分割型の補正リングの結果を示す図6のグラフは、中心から左右60mmより外側の位置でウエハ間のばらつきが小さく、外周縁付近でのエッチング速度の時間依存性が小さく、エッチング速度が安定している。
【0089】
次に図5と図6とを比較すると、図6のグラフはウエハの中心から左右60mmより外側の部分での曲線の傾きが小さく、この部分でのエッチング速度の変動量が小さく、ウエハ面内でのエッチング速度の差が小さいことを示している。
【0090】
図7は従来型の1枚の薄い円環型補正リングを冷却しない状態で使用し、ウエハの表面に形成されたレジスト膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフであり、図8は従来型の1枚の薄い円環型補正リングを冷却した状態で使用してレジスト膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフであり、図9は第1の補正リング部材と第2の補正リング部材とに同心円状に分割できる補正リングを用いて、第2の補正リング部材を冷却した状態でレジスト膜のプラズマエッチングを行なった場合の結果を示したグラフである。
【0091】
各グラフにおいて連続した曲線は1枚のウエハについてのデータを示しており、それぞれ測定開始から30秒後、60秒後及び120秒後の3枚のウエハについて測定した。
【0092】
図7と図9とを比較すると、分割型の補正リングの結果を示す図9のグラフは三本の曲線の形がほぼ等しく、中心から60mmより外側の部分で、ウエハ間のばらつき、即ちエッチング速度の時間依存性が小さく、外周縁付近でのエッチング速度が安定している。
【0093】
次に図8と図9とを比較すると、図9のグラフは中心から左右60mmより外側の部分でのエッチング速度の変動量が小さく、ウエハ面内でのエッチング速度の差が小さい。
【0094】
以上の結果から、本実施形態に係る補正リング31を使用してプラズマエッチング処理を行なった場合、処理順序の異なるウエハ間でのエッチング速度のばらつきが小さく、ウエハの中心と外周縁付近との間でエッチング速度の変動の少ない、均一なエッチング処理を実行できることが分かる。
【0095】
次に、図10〜図12はウエハ表面に形成したシリコン酸化膜をエッチングして貫通孔を形成する場合の貫通孔の直径の値とウエハの中心からの距離との関係を示したグラフである。各グラフには、従来の1枚の円環型補正リングを冷却しないで使用して貫通孔を形成した場合の曲線(STD)、従来の1枚の円環型補正リングを冷却して使用して貫通孔を形成した場合の曲線(Cooling)、及び本願発明のニ分割型の補正リングの第2の補正リング部材を冷却して使用して貫通孔を形成した場合の曲線(DIVIDED 1)の三本の曲線が示されている。図10は貫通孔の頂部に近い位置の直径の値を示し、図11は貫通孔の真中付近の直径の値を示し、図12は貫通孔の底部の直径の値を示している。
【0096】
これら図10〜図12の結果から明らかなように、貫通孔のいずれの部分の直径の値についても、本実施形態の補正リングを用いて形成した場合にはウエハの中心から外周縁部にかけて直径の値の変動量の少ない、均一な大きさの貫通孔が形成できることが分かる。
【0097】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下本実施形態以降の実施形態のうち先行する実施形態と重複する内容については説明を省略する。
【0098】
本実施形態では図13に示すような構造の補正リング31Aを用いた。
【0099】
この補正リング31Aでは、長方形の断面を有する円板型の第1の補正リング部材32Aが、切り欠き部を備えた略矩形の断面形状の円環型の第2の補正リング部材33Aと嵌合するようになっており、第2の補正リング部材33Aがサセプタ30上表面にシリコンラバー層34を介して配設されている。一方、第1の補正リング部材32Aは第2の補正リング部材33A内周側の切り欠き部に載置されているだけである。
【0100】
本実施形態に係る補正リング31Aでは、第1の補正リング部材32A、第2の補正リング部材33Aの形状が単純であるので、製造しやすく、製造コストを低減できるという効果が得られる。
【0101】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理基体の周囲に配置されるリングが第1のリング部材と第2のリング部材とに分離されており、第1のリング部材は処理中第1の温度に維持される一方で、第2のリング部材は処理中第2の温度に維持されるようになっているので、複数枚の被処理基体を連続的に処理しても被処理基体間の品質のばらつきが小さく、しかも被処理基板の全体にわたって均一な処理をすることができる。
【0102】
また本発明のプラズマ処理方法によれば、ウエハの外周縁に沿って第1の温度帯域を環状に形成し、前記第1の温度帯域の外側に第2の温度帯域を形成し、この状態で前記ウエハにプラズマ処理を施すので複数枚の被処理基体を連続的に処理しても被処理基体間の品質のばらつきが小さく、しかも被処理基板の全体にわたって均一な処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るプラズマエッチング装置の垂直断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るサセプタ上部を部分的に拡大した垂直断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る補正リングの分解斜視図である。
【図4】従来の補正リングを冷却しないで用いた場合のウエハ中心からの距離とシリコン酸化膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図5】従来の補正リングを冷却しながら用いた場合のウエハ中心からの距離とシリコン酸化膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図6】第1の実施形態に係る補正リングを用いた場合のウエハ中心からの距離とシリコン酸化膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図7】従来の補正リングを冷却しないで用いた場合のウエハ中心からの距離とレジスト膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図8】従来の補正リングを冷却しながら用いた場合のウエハ中心からの距離とレジスト膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図9】第1の実施形態に係る補正リングを用いた場合のウエハ中心からの距離とレジスト膜のエッチング速度との関係を示したグラフである。
【図10】ウエハ上のシリコン酸化膜をエッチングして穿孔した貫通孔の直径とウエハの中心からの距離との関係を示したグラフである。
【図11】ウエハ上のシリコン酸化膜をエッチングして穿孔した貫通孔の直径とウエハの中心からの距離との関係を示したグラフである。
【図12】ウエハ上のシリコン酸化膜をエッチングして穿孔した貫通孔の直径とウエハの中心からの距離との関係を示したグラフである。
【図13】第2の実施形態に係る補正リングの垂直断面図である。
【図14】従来のプラズマエッチング装置の垂直断面図である。
【図15】従来のプラズマエッチング装置を用いた場合のレジスト膜のエッチング速度とウエハの中心からの距離との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…プラズマエッチング装置(プラズマ処理装置)、2…処理チャンバ、30…サセプタ、31…補正リング、32…第1の補正リング部材、33…第2の補正リング部材、34…シリコンラバー層(冷却手段)、32c…凹凸、H…第1の温度帯域、L…第2の温度帯域、42…ガス供給配管(気体供給系)、21…排気配管。
Claims (16)
- 真空下で被処理基体に処理を施す処理チャンバと、
前記被処理基体に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記被処理基体を載置するサセプタと、
前記サセプタ上に載置された被処理基体の外周を包囲し、底面には点接触を形成するための凹凸が形成され、処理中第1の温度に維持される第1のリング部材と、
前記第1のリング部材の外周を包囲し、処理中第2の温度に維持される第2のリング部材と、
前記第2のリング部材と前記サセプタとの間に介挿された熱伝導性材料層からなり、前記第2のリング部材を冷却する冷却手段と、
を具備し、
前記第1のリング部材及び第2のリング部材が、シリコン、SiO 2 ,SiC,Al 2 O 3 ,AlN,Y 2 O 3 からなる群から選択される1の材料で形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記第1の温度が前記第2の温度より高い温度であることを特徴するプラズマ処理装置。 - 請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置であって、前記第1のリング部材の少なくとも上面が、処理ガス分子の平均自由工程の1〜3倍の幅を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、前記第1のリング部材の少なくとも上面が、1mm〜25mmの幅を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、
前記第1のリング部材は、内周側頂部及び外周側底部にそれぞれ矩形の切り欠き部が形成された矩形の断面形状を備えており、前記第2のリング部材は内周側底部に、断面が矩形の突出部を備えた矩形の断面を備えており、前記第1のリング部材と前記第2のリング部材とが着脱可能に嵌合する形状を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、前記プラズマ処理がエッチング処理であることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、前記サセプタの内部に冷却ジャケットが設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、
前記第1のリング部材の内周側頂部に被処理体の外周縁部が嵌合する切り欠き部が形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置であって、
前記第2のリング部材が矩形の断面形状を備えており、前記第1のリング部材と前記第2のリング部材とが着脱可能に嵌合する形状に形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 真空下で被処理基体に処理を施す処理チャンバと、
前記被処理基体に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記被処理基体を載置するサセプタと、
前記サセプタ上に載置された被処理基体の外周を包囲し、底面には点接触を形成するための凹凸が形成され、処理中第1の温度に維持される第1のリング部材と、
前記第1のリング部材の外周を包囲し、処理中第2の温度に維持される第2のリング部材と、
前記第2のリング部材と前記サセプタとの間に介挿された熱伝導性材料層からなり、前記第2のリング部材を冷却する冷却手段と、
を具備し、
前記第1のリング部材及び第2のリング部材が、シリコン、SiO 2 ,SiC,Al 2 O 3 ,AlN,Y 2 O 3 からなる群から選択される1の材料で形成されているプラズマ処理装置を用いて前記被処理基体にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、前記被処理基体の外周縁に沿って環状の前記第1の温度帯域を形成すると同時に、前記第1の温度帯域の外側に前記第2の温度帯域を形成した状態で、前記被処理基体にプラズマ処理を施すことを特徴とするプラズマ処理方法。 - 請求項10に記載のプラズマ処理方法であって、前記第1の温度帯域が前記第2の温度帯域より高い温度の帯域であることを特徴するプラズマ処理方法
- 請求項10又は11に記載のプラズマ処理方法であって、前記第1の温度帯域が、処理ガス分子の平均自由工程の1〜3倍の幅に形成されることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法であって、前記第1の温度帯域の幅が、1mm〜25mmの幅に形成されることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項10〜13のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法であって、前記プラズマ処理がエッチング処理であることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項10〜14のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法であって、前記エッチング処理が、フッ素原子を含むガスを用いるエッチング処理であることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項15記載のプラズマ処理方法であって、前記フッ素原子を含むガスがフッ素原子と炭素原子とを含む化合物のガスであることを特徴とするプラズマ処理方法。
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