JP4413117B2 - 位相差フィルム、偏光板、液晶パネル、液晶表示装置及び位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板、液晶パネル、液晶表示装置及び位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、液晶性組成物を配向させ、硬化させてなる位相差フィルム、それを用いた偏光板、液晶パネル、液晶表示装置及び位相差フィルムの製造方法に関する。
位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる光学フィルムである。位相差フィルムとしては、従来、ポリカーボネートやポリスチレンなどの高分子フィルムの延伸フィルムが用いられてきた。しかしながら、上記延伸フィルムは、通常40〜100μm程度の厚みを有するものであるため、例えば薄型化が望まれる液晶表示装置に用いる場合は、より薄型の位相差フィルムが所望されている。
そこで、前記延伸フィルムに代わるものとして、液晶性化合物を用いた位相差フィルムが注目されている(非特許文献1参照)。通常、位相差フィルムの位相差値は、複屈折率と厚みとの積で決定されるが、上記の液晶性化合物は、複屈折率が大きいために、所定の位相差値を得ようとする場合に、位相差フィルムの厚みを小さくできるという利点を有する。
液晶性化合物を用いた位相差フィルムの例としては、液晶性化合物を含む液晶性組成物を溶剤と共に基材上に塗工し、紫外線を照射して硬化させた位相差フィルムが開示されている(特許文献1)。上記液晶性化合物に求められる特性としては、硬化したフィルムの透明性に優れるのは勿論のこと、溶剤に対する溶解性が良好であること、均一に配向すること、硬化性が良好であることなどが挙げられる。
しかしながら、従来の液晶性化合物は複屈折率が0.10よりも大きいために、斯かる液晶性化合物を用いて位相差値の小さい位相差フィルムを作製しようとする場合に、フィルムの厚みが小さくなり、厚みの制御が極めて困難であった。また、厚みの僅かなバラツキが、大きな位相差値のバラツキとなって反映され、斯かる位相差フィルムを液晶表示装置に用いた場合には、位相差値のバラツキによって表示ムラが発生するという問題があった。特に近年は、液晶モニターや液晶テレビ等の大型化と高機能化が急速に進んでおり、これに用いられる各種光学フィルムにおいては、より一層の特性向上と、品質向上が望まれている。このような状況下、液晶性化合物を用いた位相差フィルムとしては、従来のものに比べ、複屈折率の小さい(例えば、0.10以下の)位相差フィルムの開発が待ち望まれていた。
特開平8−283718号公報 Macromolecules、28、3313−3327(1995年)
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、従来の液晶性化合物を用いた位相差フィルムに比べ、フィルム面内の複屈折率が小さい位相差フィルムを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下に示す特定構造の重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を配向させ、硬化させてなる位相差フィルムは、透明性に優れ、且つ、フィルム面内の複屈折率が、従来の液晶性化合物を用いた位相差フィルムに比べて格段に低いことから、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.下記一般式(1)で表される重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を配向させ、硬化させてなる位相差フィルム。
Figure 0004413117
(式中、R1は水素原子又はメチル基、nは1〜8の整数、R2は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基から選ばれる1つの置換基を表す。)
2.前記重合性化合物が、下記式(2)で表される化合物であることを特徴とする上記1に記載の位相差フィルム。
Figure 0004413117
3.前記位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定した光透過率が80%以上であることを特徴とする上記1又は2に記載の位相差フィルム。
4.前記位相差フィルムの厚みが、1.1〜15μmであることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
5.前記位相差フィルムの23℃における波長589nmの光で測定したフィルム面内の複屈折率が0.030〜0.095であることを特徴とする上記1〜4のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
6.前記位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定したフィルム面内の位相差値が50〜800nmであることを特徴とする上記1〜5のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
7.上記1〜6のいずれか一項に記載の位相差フィルムを少なくとも偏光子の片側に配置した偏光板。
8.上記7に記載の偏光板と液晶セルとを含む液晶パネル。
9.前記液晶セルがTNモード、VAモード、IPSモード又はOCBモードである上記8に記載の液晶パネル。
10.上記8又は上記9に記載の液晶パネルを含む液晶表示装置。
11. 上記1〜6のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、下記一般式(1)で表される重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を溶剤と共に基材上に塗工し配向させる工程、および上記液晶性組成物が塗工された基材に放射線照射し上記液晶性組成物を硬化させる工程を含み、上記液晶性組成物100に対し、上記重合性化合物が10〜45(重量比)含まれることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
Figure 0004413117
(式中、R1は水素原子又はメチル基、nは1〜8の整数、R2は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基から選ばれる1つの置換基を表す。)
本発明の位相差フィルムは、特定構造の重合性化合物を液晶性化合物と共に用いることによって、従来公知の液晶性化合物のみを用いた位相差フィルムに比べて、フィルム面内の複屈折率を小さくすることができる。また、特定構造の重合性化合物を市販の液晶性組成物と混合して用いても相分離することも結晶化することもなく、高い透明性を有する位相差フィルムを得ることができる。本発明の製造方法は、用いる液晶性組成物の組成比によって、フィルム面内の複屈折率を調節することができるので、従来の塗工精度で塗工しても、フィルム面内で位相差値のバラツキの小さい薄型の位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムは、下記一般式(1)で表される重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を配向させ、硬化させて得られるものである。
Figure 0004413117
本発明に用いられる重合性化合物は、前記一般式(1)で表される特定構造を有するものであり、これらのなかから適宜1種以上を選択して用いることができる。
前記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基である。R1としては、水素原子であるものが好ましく用いられる。
また、nは1〜8の整数である。nは2〜4であるものが好ましく用いられ、更に好ましくは2である。
また、R2は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。R2としては、炭素数2〜4であるものが好ましく用いられ、更に好ましくは、3である。
また、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基から選ばれる1つの置換基である。R3、R4、R5及びR6は、いずれも水素原子であるものが好ましく用いられる。
すなわち、前記重合性化合物としては、下記式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。上記重合性化合物であれば、液晶性組成物との相溶性に優れるため、相分離や結晶化が生じにくく、透明性の高い位相差フィルムを得ることができる。
Figure 0004413117
本発明に用いられる重合性化合物の製法としては、特に制限はないが、例えば、下記式(3)で表されるクロロアルカノールと、下記式(4)で表される化合物とを、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中において炭酸カリウム等の塩基の存在下で反応させて下記式(5)で表される化合物を得たのち、該化合物と下記式(6)で表される塩化(メタ)アクリロイルとを、テトラヒドロフラン等の溶媒中においてトリエチルアミン等の塩基の存在下で反応させるといった方法で得ることができる。
Figure 0004413117
Figure 0004413117
Figure 0004413117
Figure 0004413117
本発明において「液晶性組成物」とは液晶相を呈し液晶性を示すものをいう。上記の液晶相としては、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相等が挙げられるが、これらに限定されない。上記液晶相は通常、環状単位等からなるメソゲン基を有する液晶性化合物によって発現される。
前記液晶性化合物の環状単位等からなるメソゲン基としては、例えば、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基、フェニルシクロヘキサン基、アゾキシベンゼン基、アゾメチン基、アゾベンゼン基、フェニルピリミジン基、ジフェニルアセチレン基、ジフェニルベンゾエート基、ビシクロヘキサン基、シクロヘキシルベンゼン基、ターフェニル基等が挙げられる。なお、これらの環状単位の末端は、例えば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。なかでも、環状単位等からなるメソゲン基としては、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基を有するものが好ましく用いられる。
前記液晶性化合物としては、具体的には、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、アゾキシ類、アゾメチン類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が挙げられる。上記液晶性化合物としては、安息香酸エステル類が好ましく用いられる。
前記液晶性化合物としては、分子の一部分に少なくとも1つ以上の重合性官能基を有するものが好ましく用いられる。上記重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ビニルエーテル基等が挙げられる。なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。また、上記重合性官能基は、2つ以上有するものが、重合反応によって生じる架橋構造によって、耐久性を向上させることができるため、好ましく用いられる。上記液晶性化合物の具体例としては、BASF社製 商品名「PaliocolorLC242」が挙げられる。
本発明に用いられる液晶性組成物は、前記重合性化合物と液晶性化合物とを含むものである。上記液晶性組成物は、添加剤を含有するものであってもよい。上記添加剤としては、熱安定剤、紫外線劣化防止剤、難燃剤、滑剤、レベリング剤、潤滑剤、可塑剤及び帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。また、上記液晶性組成物には、液晶性化合物を配向させるための、配向剤やキラル化合物等を含んでいてもよい。
また、本発明の液晶性組成物は、他の重合性化合物を含有するものであってもよい。上記他の重合性化合物としては、分子の一部分に少なくとも2つ以上の重合性官能基を有する多官能重合性化合物が好ましく用いられる。上記多官能重合性官能基は、本発明の位相差フィルムの耐熱性、耐溶剤性、機械的強度を更に向上される目的で使用される。また、本発明の位相差フィルムのフィルム面内の複屈折率をより一層小さくする効果も有する。
本発明に用いられる多官能重合性化合物の重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ビニルエーテル基等が挙げられる。なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。また、上記多官能重合性化合物としては、重合性官能基を2〜4つ有するものが、重合反応によって生じる架橋構造によって、耐久性を向上させることができるため、好ましく用いられる。更に好ましくは、重合性官能基を3つ有する3官能重合性化合物が用いられる。
前記多官能重合性化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート及びペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、3官能重合性化合物であるトリスアクリロイルオキシエチルフォスフェートが好ましく用いられる。
本発明の位相差フィルムは、23℃における波長590nmの光で測定した光透過率が80%以上であるものが好ましく用いられる。更に好ましくは、85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
本発明において「配向」とは、本発明に用いられる液晶性化合物をある状態に並べる動作をいい、「配向された液晶性組成物」とは、液晶性組成物中に含まれる液晶性化合物が一定の規則を持って配列(「液晶分子配列」ともいう)している状態のものをいう。上記液晶分子配列としては、特に制限はないが、ホモジニアス分子配列、ホメオトロピック分子配列、ティルト分子配列、ハイブリッド分子配列、ツイスト分子配列、プレーナ分子配列等が挙げられる。
前記ホモジニアス分子配列とは、液晶性化合物がフィルム平面に対して平行に、かつ同一方位に配列している状態をいう。また、前記ホメオトロピック分子配列とは、液晶性化合物がフィルム平面に対し垂直に配列している状態をいう。前記ティルト分子配列とは、液晶性化合物がフィルム平面に対し一定の角度で傾斜し、かつ同一方位に配列している状態をいう。前記ハイブリッド分子配列とは、液晶性化合物がフィルム平面ではホモジニアス分子配列をし、厚み方向にかけて連続的にホメオトロピック分子配列へ変化している状態をいう。前記ツイスト分子配列とは、液晶性化合物がフィルム平面に対して平行に、かつ厚み方向にかけて、連続的に90°ねじれた状態をいう。前記プレーナ分子配列とは、液晶性化合物がコレステリック液晶相を呈し、上記液晶性化合物のヘリカル軸がフィルム平面に対して垂直になるよう配列している状態をいう。
本発明において「硬化」とは、本発明に用いられる液晶性組成物を放射線照射により架橋させ、不溶不融もしくは難溶難融の安定した状態に変える操作をいい、「硬化された液晶性組成物」とは、上記液晶性組成物が、不溶不融もしくは難溶難融の安定した状態となった液晶硬化層をいう。
本発明の位相差フィルムの厚みは、1.1〜15μmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは。1.2〜10μmであり、特に好ましくは、1.5〜5μmである。上記の範囲であれば、フィルム面内で位相差値のバラツキが小さい薄型の位相差フィルムを得ることができる。なお、本発明において、位相差フィルムの厚みとは、重合性化合物を含む液晶性組成物を配向させ、硬化させて得られる液晶硬化層の厚みをいう。
本発明の位相差フィルムの23℃における波長589nmの光で測定したフィルム面内の複屈折率は、0.030〜0.095であることが好ましい。更に好ましくは、0.050〜0.090であり、特に好ましくは、0.050〜0.070である。上記の範囲であれば、フィルム面内で位相差値のバラツキが小さい薄型の位相差フィルムを得ることができる。
本発明において、位相差フィルムのフィルム面内の複屈折率とは、波長589nmにおけるフィルムの遅相軸方向、進相軸方向の屈折率をそれぞれnx、nyとしたとき、式:nx−nyによって求めることができる。なお、遅相軸とは、フィルム面内の屈折率の最大となる方向をいう。
本発明の位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定したフィルム面内の位相差値:Re[590]は、上記位相差フィルムの用途によって適宜選択されるが、通常50〜800nmのものが好ましく用いられる。更に好ましくは、50〜350nmである。特に好ましくは、100〜300nmである。なお、Re[590]は、波長590nmにおけるフィルムの遅相軸方向、進相軸方向の屈折率をそれぞれnx、nyとし、d(nm)をフィルムの厚みとしたとき、式:Re[590]=(nx−ny)×dによって求めることができる。上記の範囲であれば、フィルム面内で位相差値のバラツキが小さい薄型の位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムをλ/4板の用途に用いる場合、Re[590]は100〜170nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは、120〜160nmであり、特に好ましくは、130〜150nmである。本発明の位相差フィルムをλ/2板の用途に用いる場合、Re[590]は240〜300nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは250〜290nmであり、特に好ましくは260〜280nmである。
本発明の位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定した厚み方向の位相差値:Rth[590]は、上記位相差フィルムの用途によって適宜選択されるが、通常50〜800nmのものが好ましく用いられる。更に好ましくは、50〜350nmである。特に好ましくは、100〜300nmである。なお、Rth[590]は、波長590nmにおけるフィルムの遅相軸方向、厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nzとし、d(nm)をフィルムの厚みとしたとき、式:Rth〔590〕=(nx−nz)×dによって求めることができる。上記の範囲であれば、フィルム面内で位相差値のバラツキが小さい薄型の位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムをλ/4板の用途に用いる場合、Rth[590]は100〜170nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは、120〜160nmであり、特に好ましくは、130〜150nmである。また、本発明の位相差フィルムをλ/2板の用途に用いる場合、Rth[590]は240〜300nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは250〜290nmであり、特に好ましくは260〜280nmである。
Re[590]及びRth[590]は、分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて求めることができる。23℃における波長590nmのフィルム面内の位相差値(Re)、遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値(R40)、位相差フィルムの厚み(d)及び位相差フィルムの平均屈折率(n0)を用いて、以下の式(A)〜(D)からコンピュータ数値計算によりnx、ny及びnzを求め、次いで式(D)によりRthを計算できる。ここで、φ及びny’はそれぞれ以下の式(E)及び(F)で示される。
Re=(nx−ny)×d …(A)
R40=(nx−ny’)×d/cos(φ) …(B)
(nx+ny+nz)/3=n0 …(C)
Rth=(nx−nz)×d …(D)
φ =sin-1[sin(40°)/n0] …(E)
ny’=ny×nz[ny2×sin2(φ)+nz2×cos2(φ)]1/2 …(F)
本発明の位相差フィルムをλ/4板の用途に用いる場合、前記Re[590]及びRth[590]バラツキとしては、平均位相差値の±4.0%以下であるものが好ましく用いられる。更に好ましくは±3.0%以下であり、特に好ましくは±1.5%以下である。また、本発明の位相差フィルムをλ/2板の用途に用いる場合、上記Re[590]及びRth[590]バラツキとしては、平均位相差値の±2.0%以下であるものが好ましく用いられる。更に好ましくは±1.5%以下であり、特に好ましくは±1.0%以下である。
次に本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法は、前記重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を溶剤と共に基材上に塗工し配向させる工程、および上記液晶性組成物が塗工された基材に放射線照射し上記液晶性組成物を硬化させる工程を含み、上記液晶性組成物100に対し、上記重合性化合物が10〜45(重量比)含まれることを特徴とするものである。
前記重合性化合物の配合量としては、前記液晶性組成物100に対し、10〜45(重量比)であり、更に好ましくは、20〜42(重量比)である。特に好ましくは30〜40(重量比)である。上記の範囲であれば、上記液晶性組成物に相分離や結晶化が生じ難く、高い透明性を有する位相差フィルムを得ることができる。
本発明に用いられる溶剤は、前記液晶性組成物を分散又は溶解して、基材上に均一に塗工するために用いられる。なお、本発明において、上記液晶性組成物が溶剤に分散又は溶解したものを「混合溶液」ともいう。
前記溶剤としては、特に制限はないが、前記液晶性組成物を均一に溶解して溶液とする液体物質が好ましく用いられる。上記溶剤は、ベンゼンやヘキサンなどの非極性溶媒であってもよいし、水やアルコールなどの極性溶媒であってもよい。また、上記溶剤は、水などの無機溶剤であってもよいし、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、セロソルブ類などの有機溶剤であってもよい。
前記溶剤の具体例としては、アルコール類には、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタジオール、フェノール、パラクロロフェノール等が挙げられる。ケトン類には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等が挙げられる。エーテル類には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等が挙げられる。エステル類には、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等が挙げられる。脂肪族および芳香族炭化水素類には、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素類には、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン等が挙げられる。アミド類には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。セロソルブ類には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、又は任意に選ばれる2種類以上の溶剤を混合して用いてもよい。なお、本発明において、溶剤は以上の例示したものに限定されない。
特に、溶剤として好ましくは、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフランが用いられる。これらの溶剤は、基材に対して実用上悪影響を及ぼすような侵食をせず、上記組成物を十分に溶解することができるため好ましい。
本発明に用いられる溶剤の沸点としては、前記液晶性組成物の液晶相−等方相転移温度(Ti)よりも高いほうが好ましい。上記溶剤の沸点としては、Ti+5℃〜Ti+180℃であるものが好ましく用いられる。更に好ましくはTi+20℃〜Ti+60℃である。上記溶剤の沸点としては、通常55〜230℃であり、好ましくは70〜150℃が用いられる。溶剤の沸点を上記の範囲とすることによって、均一な塗工を行うことができる。上記の範囲の沸点を有する溶剤としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる。
本発明に用いられる混合溶液の全固形分濃度は、溶解性、塗工粘度、基材上へのぬれ性、塗工後の厚みなどによって異なるが、平滑性の高い位相差フィルムを得るためには、溶剤100に対して固形分を2〜100(重量比)、更に、10〜50(重量比)、特に20〜40(重量比)溶解させたものが好ましく用いられる。
前記混合溶液には、種々のレベリング剤を添加してもよい。上記レベリング剤としては、基材に対する混合溶液のぬれ性が乏しい場合に、それを改善するために用いられる。上記レベリング剤の種類としては、シリコーン系、フッ素系、ポリエーテル系、アクリル酸共重合物系、チタネート系等の種々の化合物等が挙げられる。なかでも、アクリル酸共重合物系のレベリング剤が好ましく用いられる。アクリル酸共重合物系のレベリング剤の具体例としては、ビックケミー社製「BYK361」が挙げられる。
前記レベリング剤の配合量は、特に制限はないが、平滑性を高め、且つ本発明に用いられる液晶性組成物の配向を乱さないために、上記液晶性組成物100に対して、0.005〜0.2(重量比)とすることが好ましい。更に好ましくは0.01〜0.1(重量比)である。
本発明に用いられる基材は、前記液晶性組成物を溶剤と共に、均一に塗工するために用いられる。上記基材としては、特に制限はないが、基材表面の平滑性や本発明に用いられる混合溶液のぬれ性に優れるものが好ましい。上記基材としては、ガラス板や石英基板などのガラス基材、フィルムやプラスチックス基板などの高分子基材の他、アルミや鉄などの金属基材、セラミックス基板などの無機基材、シリコンウエハーなどの半導体基材なども用いられる。上記基材としては、ガラス基材および高分子基材が好ましく用いられる。
前記高分子基材を形成する材料としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、生分解性プラスチック等が挙げられる。なかでも、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。上記熱可塑性樹脂は、非晶性ポリマーであっても、結晶性ポリマーであってもよい。非晶性ポリマーは、透明性に優れるため、本発明の位相差フィルムを基材から剥離せずに、そのまま液晶パネル等に用いることができるという利点を有する。一方、結晶性ポリマーは、剛性、強度、耐薬品性に優れるため、本発明の位相差フィルムを製造する際の生産安定性に優れるという利点を有する。
前記高分子基材に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、繊維素系樹脂等の汎用プラスチック;ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の汎用エンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。また、上記の熱可塑性樹脂は、従来公知のポリマー変性を行ってから用いることもできる。上記ポリマー変性の例としては、共重合、分岐、架橋、分子末端、立体規則性等の変性が挙げられる。なお、本発明において、基材に用いられる熱可塑性樹脂は、以上の例示したものに限定されない。
本発明に用いられる基材としては、前記熱可塑性樹脂の延伸フィルムが好ましく用いられる。本発明において、「延伸フィルム」とは適当な温度で未延伸のフィルムに張力を加え、引張方向に沿って分子の配向を高めたプラスチックフィルムをいう。前記基材としては、前記溶剤から実用上悪影響を及ぼすような侵食をされず、均一な前記液晶性組成物の配向が得られるという理由から、延伸されたポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、本発明に用いられる基材としては、市販の高分子フィルムを用いることもできる。例えば、富士写真フィルム(株)製 商品名「フジタック」や、日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノア」、JSR(株)製 商品名「アートン」などが挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルム、たとえば、イソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の高分子フィルムなども挙げられる。
本発明に用いられる基材は、1層に限定されず、多層であってもよい。例えば、基材表面上に他の皮膜、例えばポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜等の有機膜(配向膜ともいう)等を設けたものであってもよい。
本発明に用いられる基材は、前記液晶性組成物を均一に配向させるために、配向処理を施してから用いることが好ましい。上記配向処理の種類としては、本発明に用いられる液晶性化合物のホモジニアス分子配列、ホメオトロピック分子配列、及びティルト分子配列を得る方法として、それぞれ平行配向処理、垂直配向処理、及び傾斜配向処理が挙げられる。また、ハイブリッド分子配列及びツイスト分子配列は、2枚の基材を用い、上記の配向処理を組み合わせて得ることができる。
本発明に用いられる液晶性化合物のプレーナ分子配列は、液晶性化合物にキラル化合物(光学活性体)を添加すると、フィルム平面に対して垂直ならせん軸を持った液晶性化合物のねじれ構造(コレステリック液晶相)が誘起されて得ることができる。また、液晶性化合物の分子構造中に光学活性を有する場合は、キラル化合物を添加しなくても、上記プレーナ分子配列を得ることができる。上記キラル化合物を形成する代表的な構造としては、ヘリセン型、不斉炭素型、スピロ型、アトロプ異性型、アレン型、二座八面体錯体型等が挙げられる。また、上記キラル化合物の具体例としては、BASF社製 商品名「PaliocolorLC756」が挙げられる。
前記配向処理の具体的方法としては、直接配向処理法や基材面変形配向処理法などが挙げられる。上記直接配向処理法とは、基材表面を配向剤で直接処理する方法をいい、具体的には、溶液塗布法、プラズマ重合法及びスパッタリング法等が挙げられる。上記配向剤としては、レシチン、ステアリン酸、カーボン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、有機シラン、一又は二塩基性カルボン酸クロム錯体、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、アセチレン、ポリテトラフルオロエチレン等が用いられる。
前記基材面変形配向処理法とは、基材表面を形状的に変形して非平滑面化し、この非平滑面と液晶性化合物が持つ弾性との相互作用を利用して、液晶性化合物を配向させる方法をいい、具体的には、ラビング法、斜め蒸着法、イオンビーム法、プラズマ法、引き上げ法等が挙げられる。
また、その他の配向処理法としては、液晶性組成物を塗工した基材に偏光又は非偏光の電子線、可視光線又は紫外線を照射して液晶性化合物を配向させる光配向処理法や、熱可塑性樹脂の延伸フィルム上に液晶性組成物を溶剤と共に塗工して配向させる高分子延伸処理法等が挙げられる。なお、本発明において、前記の配向処理法は、同じ方法を2回以上用いてもよいし、2種類以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
以上の配向処理法のうち、前記平行配向処理としては、ラビング法や高分子延伸処理法が好ましく用いられる。前記垂直配向処理としては、レシチン、ステアリン酸等の溶液塗布法が好ましく用いられる。前記傾斜配向処理としては、斜め蒸着法や光配向処理法が好ましく用いられる。
本発明に用いられる基材の好ましい厚みの範囲としては、通常10〜300μmであり、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは10〜100μmである。
本発明に用いられる混合溶液の基材への塗工方法については、特に限定はなく、従来公知のコータの塗工方式を用いることができる。上記塗工方式に用いられるコータの種類としては、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータ等が挙げられる。これらのなかでも、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、スピンコータが好ましく用いられる。上記のコータを用いた塗工方式であれば、本発明に用いられる混合溶液を基材上に均一に薄層展開することができる。
前記混合溶液の塗工厚みは、上記混合溶液の全固形分濃度や粘度、コータの種類によって選択されるが、通常2〜30μmであることが好ましい。更に好ましくは4〜20μmである。特に好ましくは7〜15μmである。上記の範囲であれば、光学均一性に優れたものが作製できる。
本発明において、混合溶液を塗工した基材は、放射線照射を行う前に乾燥処理を行うことが好ましい。上記乾燥処理における温度(乾燥温度)としては、特に制限はないが、前記液晶性組成物の液晶相を示す温度範囲で行うことが好ましい。また、基材のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましい。乾燥温度の好ましい範囲としては、50〜130℃である。更に好ましくは、80〜100℃である。上記の温度範囲であれば、均一性の高い位相差フィルムを作製することができる。
前記乾燥処理する時間(乾燥時間)は、特に制限されるものではないが、良好な光学均一性を有する位相差フィルムを得るためには、例えば1〜20分であり、好ましくは1〜15分、更に好ましくは、2〜10分である。
本発明において、放射線照射は、本発明に用いられる液晶性組成物を重合反応によって架橋させて、硬化させるために用いられる。
前記放射線の種類は、特に制限はないが、ガンマ線、X線、電子線、可視光線、赤外線、紫外線等が挙げられる。放射線照射に用いられる光源の種類としては、超高圧水銀ランプ、フラッシュUVランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、クリプトンアークランプ、ハロゲンランプ、希ガス蛍光ランプ、赤外線ランプ、無電極ランプ、誘電体バリア放電エキシマランプ等が挙げられる。
本発明において放射線の種類としては、紫外線が好ましく用いられる。紫外線照射に適した光源としては、超高圧水銀ランプ、フラッシュUVランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ及びメタルハライドランプ等が挙げられる。上記光源から出射された紫外線は非偏光でも偏光であってもよい。
前記紫外線照射に用いられる光源の波長は、本発明に用いられる重合性化合物が光学吸収を有する波長領域に応じて決定できるが、通常、210nm〜380nmであるものが用いられる。更に好ましくは、250nm〜380nmである。通常、上記光源は、100〜200nmの真空紫外線領域をカットして用いることが好ましい。上記の範囲であれば、本発明に用いられる液晶性組成物が、重合反応によって十分に硬化し、基材上で得られた上記液晶性組成物の配向を固定することができる。
前記放射線照射における光源の位置は、特に制限はなく、本発明に用いられる混合溶液が塗工される側に配置してもよいし、他面の塗工されていない基材側に配置してもよい。また、上記放射線照射における大気中の雰囲気は、特に制限はなく、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等を挙げることができる。
上記紫外線の照射光量は、100〜1500mJ/cm2 であることが好ましい。更に好ましくは、100〜800mJ/cm2である。上記範囲の照射光量であれば、本発明に用いられる液晶性組成物が、重合反応によって十分に硬化し、基材上で得られた上記液晶性組成物の配向を固定することができる。
前記放射線照射時における雰囲気の温度(照射温度ともいう)は、特に制限はないが、本発明に用いられる液晶性組成物の液晶相−等方相転移温度(Ti)以下に保持しながら、放射線照射を行うことが好ましい。前記照射温度の範囲として好ましくは、Ti−5℃以下の範囲であり、更に好ましくは、Ti−10℃以下の範囲である。上記照射温度としては、15〜90℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、15〜60℃である。上記の温度範囲であれば、均一性の高い位相差フィルムを作製することができる。
前記の液晶相−等方相転移温度(Ti)は、本発明に用いられる液晶性組成物を2枚のスライドガラスで挟持し、温度コントローラー(例えばジャパンハイテック(株)製 製品名「LK−600PM」)上に配して、2枚の偏光子をクロスニコル配置にした偏光顕微鏡にて、昇温しながら観察したときに、明視野から暗視野が得られたときの温度を測定することによって求めることができる。
前記の乾燥温度及び照射温度を一定に保持する具体的な方法については、特に制限はないが、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルトなどを用いた公知の加熱方法や温度制御方法を挙げることができる。
本発明の製造方法において、前記の乾燥温度及び照射温度は、ばらつきが大きいと、塗工表面の厚みのムラが大きくなり、最終的に得られた位相差フィルムの位相差値のバラツキを招く。従って、フィルム面内方向の温度ばらつきは、小さければ小さいほど好ましく、より好ましくは面内方向の温度ばらつきを±1℃の範囲内とすることが望ましい。
次に本発明の位相差フィルムと併用される他の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、基材から剥離して、粘着剤層や接着剤層等を介して他の位相差フィルムに積層して使用することができる。また、本発明の位相差フィルムを基材と共に、粘着剤層や接着剤層等を介して他の位相差フィルムに積層して使用することもできる。
前記他の位相差フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。通常、熱可塑性樹脂の非晶性ポリマーの延伸フィルムが好ましく用いられる。
前記他の位相差フィルムに用いられる熱可塑性樹脂の非晶性ポリマーの例としては、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、ポリイミドやポリイミドアミド等のイミド系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記の非晶性ポリマーは、従来公知のポリマー変性を行ってから用いることもできる。上記ポリマー変性の例としては、共重合、分岐、架橋、分子末端、立体規則性等の変性が挙げられる。また、なお、本発明において、他の位相差フィルムに用いられる熱可塑性樹脂は、以上の例示したものに限定されない。
また、本発明の位相差フィルムは、2枚以上任意の角度で積層して用いることもできる。更に、本発明の位相差フィルムを2枚以上積層したものと、他の位相差フィルムを組み合わせて用いることもできる。
次に本発明の位相差フィルムを用いた偏光板について説明する。本発明の位相差フィルムは、少なくとも偏光子の片側に配置して偏光板として用いることができる。なお、本発明の位相差フィルムは、粘着剤層、接着剤層及び他の位相差フィルム等を介して、偏光子と積層されていてもよい。例えば、本発明の位相差フィルムは基材を介して少なくとも偏光子の片側に配置して偏光板として用いることもできる。
通常、偏光板は、偏光子の片側又は両側に透明保護フィルムを有するものが用いられる。本発明の位相差フィルムを偏光子の少なくとも一方の表面に、粘着剤層又は接着剤層を介して積層する場合は、上記位相差フィルムが透明保護フィルムの役割を兼ねてもよい。また、本発明の位相差フィルムを基材と共に偏光子の表面に粘着剤層又は接着剤層を介して積層する場合は、上記位相差フィルムと基材との積層物が透明保護フィルムの役割を兼ねてもよい。本発明において、偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
また、通常、偏光子は、液晶セルの片側又は両側に配置される。本発明の位相差フィルムは、上記偏光子と液晶セルの間に配置されることが好ましい。したがって、本発明の偏光板が液晶セルに積層される場合、本発明の位相差フィルムは液晶セルに対向するように配置されることが好ましい。このとき、液晶セルに対向する側(近い側)の透明保護フィルムが、フィルム面内の位相差値及び厚み方向の位相差値が液晶表示装置の表示特性に影響を及ぼす場合があるので、上記透明保護フィルムとしては、位相差値が最適化されたものが好ましく用いられる。なお、液晶セルに対向しない側(遠い側)の透明保護フィルムは、液晶表示装置の光学特性を変化させることはないので、この限りではない。
例えば、偏光子に積層された液晶セルに対向する側(近い側)の透明保護フィルムがフィルム面内の位相差値を有する場合、本発明の位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の吸収軸が互いに平行であるときは、本発明の位相差フィルムの実効的なフィルム面内の位相差値は、透明保護フィルムのフィルム面内の位相差値分だけ予め小さい値に設計しておくことが好ましい。
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムの遅相軸が上記偏光子の吸収軸と平行又は直交であるものが好ましく用いられる。上記偏光板の遅相軸と上記偏光子の吸収軸のなす角度は、上記偏光板の遅相軸が上記偏光子の吸収軸と平行に配置される場合、0°±2.0°であることが好ましい。より好ましくは、0°±1.0°である。更に好ましくは、0°±0.5°である。また、上記偏光板の遅相軸が上記偏光子の吸収軸と垂直に配置される場合、90°±2.0°であることが好ましい。より好ましくは、90°±1.0°である。更に好ましくは、90°±0.5°である。これらの角度範囲から外れる程度が大きくなるほど、偏光板の偏光度が低下し、液晶表示装置に用いた際に、コントラストが低下する。
本発明に用いられる偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
本発明に用いられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。上記透明保護フィルムを形成する材料としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、生分解性プラスチック等が挙げられる。なかでも、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。上記熱可塑性樹脂は、非晶性ポリマーであっても、結晶性ポリマーであってもよい。透明性に優れる点から、非晶性ポリマーが好ましく用いられる。
前記透明保護フィルムに用いられる熱可塑性樹脂の非晶性ポリマーの例としては、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、ポリイミドやポリイミドアミド等のイミド系樹脂等が挙げられる。また、上記の非晶性ポリマーは、従来公知のポリマー変性を行ってから用いることもできる。上記ポリマー変性の例としては、共重合、分岐、架橋、分子末端、立体規則性等の変性が挙げられる。なお、本発明において、透明保護フィルムに用いられる熱可塑性樹脂は、以上の例示したものに限定されない。
また、本発明に用いられる透明保護フィルムとしては、市販の高分子フィルムを用いることもできる。例えば、富士写真フィルム(株)製 商品名「フジタック」や、日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノア」、JSR(株)製 商品名「アートン」などが挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルム、たとえば、イソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の高分子フィルムなども挙げられる。
前記透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。より好ましくは、5〜200μmである。特に好ましくは、10〜150μmである。上記の範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
前記透明保護フィルムの位相差値としては、Re[590]が0〜10nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは、0〜5nmであり、特に好ましくは、0〜1nmである。また、Rth[590]が0〜200nmであるものが好ましく用いられる。更に好ましくは、0〜60nmであり、特に好ましくは0〜30nmである。
本発明の位相差フィルム、基材、及び透明保護フィルム等の各種光学フィルムを偏光子へ積層する方法としては、特に限定されず、例えば、従来公知の接着剤又は粘着剤を用いて積層することができる。湿度や熱の影響で剥がれにくい偏光板を作製するために、接着剤が好ましく用いられる。上記接着剤としては、溶剤揮散型、化学反応型及び熱溶融型(ホットメルト型ともいう)などが挙げられる。これらのなかで、本発明に用いられる接着剤としては、溶剤揮散型又は化学反応型接着剤が好ましい。
本発明において、溶剤揮散型接着剤とは、有機溶剤又は水なとの揮発成分を含有するものであって、上記揮発成分を空気中に蒸発させるか又は被着体に吸収させて、接着強さを発現するものをいう。
また、本発明において、化学反応型接着剤とは、モノマー、オリゴマー及びポリマーの液状物質が化学反応によって高分子化し硬化するタイプの接着剤をいう。上記化学反応型接着剤の硬化させる手段としては、空気中の水分を利用するもの、硬化剤又は触媒の添加によるもの(2液型以上の化学反応型接着剤)、加熱によるもの、空気を遮断するもの、紫外線や電子線を照射するものなどがある。これらのなかで、硬化させる手段としては、硬化剤又は触媒の添加によるもの(2液型以上の化学反応型接着剤)が好ましく用いられる。
前記各種光学フィルムを偏光子へ積層する際に用いられる接着剤としては、偏光子との接着性に優れる点より、ポリビニルアルコール系樹脂を主原料とするものであって、それに硬化剤として、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン及びシュウ酸から選ばれる少なくとも1種以上を添加した化学反応型接着剤が、特に好ましく用いられる。上記のものであれば、湿度や熱の影響で剥がれにくく光透過率や偏光度に優れた偏光板を得ることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、例えば、日本合成化学(株)製 商品名「ゴーセファイマーZ」が挙げられる。
本発明の偏光板は、液晶セルへの積層を容易にするため、両面又は片面に粘着剤層又は接着剤層を設けておくことが好ましい。上記粘着剤層を形成する材料としては、特に限定はないが、例えば、溶剤型粘着剤、非水系エマルジョン型粘着剤、水系型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、液状硬化型粘着剤、硬化型粘着剤及びカレンダー法による粘着剤等が挙げられる。また、上記接着剤層を形成する材料としては、特に限定はないが、例えば、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤及び天然物接着剤等が挙げられる。これらのなかで本発明には、溶剤型粘着剤が好ましく用いられる。
前記溶剤型粘着剤とは、ゴム系ポリマー、アクリル系ポリマー、ビニル系ポリマー、シリコーン系ポリマー等から選ばれる1種のベースポリマーが、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤に分散又は溶解してなるものをいう。上記溶剤型粘着剤としては、透明性に優れ、適度なぬれ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるという点で、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。上記アクリル系ポリマーは、テトラヒドロフランを展開溶剤とするGPC法によって算出される重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で30,000〜2,500,000であるものが好ましい。
前記アクリル系ポリマーに使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸アルキルを使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソノニルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、ラウリルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、ヘキサデシルエステル、ヘプタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等の炭素数1〜20アルキルエステル)等が挙げられる。これらを単独もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかで、アクリル系ポリマーに使用されるモノマーとしては、イソノニルエステルが好ましく用いられる。
また、前記アクリル系ポリマーには、極性を付与するために前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共に、架橋可能な官能基を含有するモノマーを併用することが好ましい。上記架橋可能な官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基、シアノ基、エポキシ基等が挙げられる。上記の架橋可能な官能基を含有するモノマーは、通常、前記のアクリル系ポリマーに使用されるモノマーと共重合させて用いることが好ましい。
前記架橋可能な官能基を含有するモノマーとしては、カルボキシル基には、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等が挙げられる。ヒドロキシル基には、メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。アミド基には、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。シアノ基には、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。エポキシ基には、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。なかでも、得られるアクリル系粘着剤の凝集性と接着性が良好である点で、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
なお、アクリル系ポリマーの重合法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、UV重合などの公知の重合法を採用できる。
前記アクリル系粘着剤は、保持力、粘着力及びタック等のバランスをとるために、架橋剤を配合して用いることが好ましい。上記の架橋剤は、アクリル系ポリマー中に導入される架橋可能な官能基によって選定することが好ましい。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ジイソシアネート、ポリアミン類、酸類、酸無水物類、ジアルデヒド、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに前記アクリル系粘着剤には、必要に応じて、触媒、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を適宜に使用することもできる。
本発明に用いられる粘着剤層及び接着剤層の形成方法は、特に制限されず、離型フィルムに粘着剤を塗工し、乾燥後、本発明の位相差フィルム及び偏光板に転写する方法(転写法)、前記位相差フィルム及び偏光板に、直接、粘着剤を塗工、乾燥する方法(直写法)等が挙げられる。
本発明に用いられる粘着剤層及び接着剤層の好ましい厚みの範囲としては、特に制限はないが、粘着力や前記位相差フィルムの表面状態に応じて適宜決定される。例えば5〜100μmが好ましく、更に好ましくは、10〜50μmである。上記の範囲であれば、十分な粘着力を得ることができる。
前記粘着剤層及び接着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に剥離紙又は離型フィルム(セパレータともいう)が仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層及び接着剤層に接触することを防止できる。上記セパレータとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いることができる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理や、拡散処理(アンチグレア処理ともいう)を施すことができる。上記ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を上記透明保護フィルムの表面に形成することができる。上記反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施される。また、上記スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。上記アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。また、上記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
次に本発明の位相差フィルム又は偏光板と併用される他の光学部材について説明する。上記他の光学部材としては、特に限定はないが、例えば、前記ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、及び拡散処理を別途光学フィルムとしたものが挙げられる。また、本発明の位相差フィルム又は偏光板を透過型又は半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに表示特性の高い表示装置を得ることができる。
前記位相差フィルム、偏光板及び他の光学部材等は、液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層しておくほうが、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができるため好ましい。
本発明の位相差フィルム及び偏光板は、液晶セルの少なくとも片側に積層して液晶パネルとして用いることが好ましい。
また、本発明の位相差フィルム及び偏光板は、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機EL)、プロジェクター、プロジェクションテレビ、プラズマテレビ等の画像表示装置に用いることができる。なかでも、本発明の位相差フィルム、偏光板及び液晶パネルは、液晶表示装置に用いられることが好ましい。
前記液晶表示装置の種類には特に制限はなく、透過型、反射型、反射半透過型いずれの形でも使用することができる。上記液晶表示装置に用いられる液晶セルとしては、例えばツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モードや、水平配向(ECB)モード、垂直配向(VA)モード、インプレーンスイッチング(IPS)モード、ベンドネマチック(OCB)モード、強誘電性液晶(SSFLC)モード、反強誘電液晶(AFLC)モードの液晶セルなど種々の液晶セルが挙げられる。このうち、本発明の位相差フィルム及び偏光板は、特にTNモード、VAモード、IPSモード、OCBモードの液晶表示装置に用いることが好ましい。
前記ツイステッドネマチック(TN)モードの液晶セルとは、2枚の基材の間に正の誘電異方性のネマチック液晶をはさんだものであり、ガラス基材の表面配向処理によって液晶分子配向を90度ねじらせてあるものをいう。具体的には、培風館株式会社「液晶辞典」158ページ(1989年)に記載の液晶セルや、特開昭63−279229公報に記載の液晶セルが挙げられる。
前記垂直配向(VA)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、透明電極間に誘電率異方性が負のネマチック液晶が、電圧無印加時において、垂直配列した液晶セルのことをいう。具体的には、特開昭62−210423公報や、特開平4−153621公報に記載の液晶セルが挙げられる。また、上記VAモードの液晶セルは、特開平11−258605公報に記載されているように、視野角拡大のために、画素内にスリットを設けたものや、表面に突起を形成した基材を用いることによって、マルチドメイン化したMVAモードの液晶セルであってもよい。更に、特開平10−123576公報に記載されているように、液晶中にカイラル剤を添加し、ネマチック液晶電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるVATNモードの液晶セルであってもよい。
前記インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、2枚の平行な基板の間に液晶を封入したいわゆるサンドイッチセルにおいて、電界が存在しない状態でホモジニアス配向させたネマチック液晶を基板に平行な電界(横電界ともいう)で応答させるものをいう。具体的には、テクノタイムズ社出版「月刊ディスプレイ7月号」p.83〜p.88(1997年版)や、日本液晶学会出版「液晶vol.2 No.4」p.303〜p.316(1998年版)に記載されているように、液晶分子の長軸と入射側偏光板の偏光軸と一致させて、上下の偏光板を直交配置させると、電界のない状態で完全に黒表示になり、電界があるときは、液晶分子は基板に平行を保ちながら回転動作することによって、回転角に応じた透過率を得ることができるものをいう。
前記ベンドネマチック(OCB:Optically Compensated Bend or Optically Compensated Birefringnence)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、透明電極間に誘電率異方性が正のネマチック液晶が、電圧無印加時において、中央部にねじれ配向が存在するベンド配向した液晶セルのことをいう。上記OCBモードの液晶セルは、「πセル」とも言われる。具体的には、共立出版株式会社「次世代液晶ディスプレイ」(2000年)11ページ〜27ページに記載のものや、特開平7−084254公報に記載のものが挙げられる。
このような種々の液晶セルに、本発明の位相差フィルム及び偏光板を用いることにより、コントラストや、色相、視野角特性を改善することができ、しかもその機能を長期間維持することができる。
本発明について、以下の実施例及び比較例を用いて更に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
(1)フィルム面内の複屈折率(Δn)の測定方法
アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて、23℃における波長589nmの光で測定した屈折率より求めた。
(2)位相差値(Re[590])の測定方法
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(3)光透過率の測定方法
紫外可視分光光度計[日本分光(株)製 製品名「V−560」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(4)位相差フィルムの厚み測定方法
薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。
(5)紫外線照射方法
波長365nmの光強度が120mW/cm2であるメタルハライドランプを光源とする紫外線照射装置を用いた。
[製造例]
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノール(53.60g、0.25mol)、2−クロロエタノール(59.30g、0.74mol)、炭酸カリウム(101.70g、0.74mol)、ヨウ化カリウム(12.20g、73.6mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(250mL)をナスフラスコ中で混合し、90℃に保持して8時間攪拌した。上記反応溶液に酢酸エチル(400mL)を加えた後、酢酸エチルを主成分とする有機相を水で3回(300mL×3回)、飽和食塩水で1回(50mL)洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記有機相から酢酸エチルを減圧下で除去して薄茶色の粗精製物を得た。上記粗精製物はヘキサンで再結晶し、乾燥後、白色結晶の2−[4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノキシ]エタノールを42.6g(収率:66重量%)得た。
2−[4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノキシ]エタノール(30.20g、0.12mol)、重合禁止剤としてBHTを微量に含む脱水テトラヒドロフラン(120mL)、トリエチルアミン(32.1mL、0.23mol)を500mLの三口フラスコ中で混合し、攪拌しながら氷水で冷却した。そこに蒸留したアクリル酸クロリド(14.6ml、0.18mol)を少量づつ入れ、室温に保持しながら8時間攪拌した。反応溶液を500mLの飽和食塩水に注ぎ、そこに1Nの塩酸を、上記反応溶液が酸性(pH1〜4)になるまで加えた。上記反応溶液に酢酸エチル(400mL×2回)で抽出し、酢酸エチルを主成分とする有機相を分取した。上記有機相は、水で3回(300mL×3回)、飽和食塩水で1回(50mL)洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記有機相から酢酸エチルを減圧下で除去して、粗精製物を得た。その後、上記粗精製物を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタンを減圧下で除去して、白色結晶の下記式(2)で表される重合性化合物(A)を30.6g(収率:84重量%)得た。
Figure 0004413117
前記式(2)で表される化合物の核磁気共鳴スペクトルデータ(1H−NMR)を以下に示す。ここで、1H−NMRの測定は、日本電子(株)製(LA400)を用い、少量の試料を、観測核:1H、周波数:400MHz、パルス幅:45度、パルスの繰り返し時間:10秒、ケミカルシフトの基準:7.25ppm、測定溶媒:重クロロホルム、測定温度:室温の条件で測定したものである。
1H−NMR(400Hz、CDCl2):δ 0.89(t、3H、J=7.2Hz)、0.97−1.08(m、2H)、1.17−1.45(m、7H)、1.81−1.88(m、4H)、2.40(tt、1H、J=3.2、12.2Hz)、4.18(t、2H、J=4.8Hz)、4.49(t、2H、J=4.8Hz)、5.84(dd、1H、J=1.2、10.3Hz)、6.15(dd、1H、J=10.3、17.4Hz)、6.43(dd、1H、J=1.2、17.4Hz)、6.82−6.86(m、2H)、7.09−7.14(m、2H)
[実施例1]
ガラス板上に5重量%のポリビニルアルコール水溶液を、スピンコータ(塗工条件:回転数2000±1rpm、10秒間)を用いて塗工し、150±1℃で1時間乾燥させて、ガラス板上にポリビニルアルコール皮膜を形成した。次に、上記ガラス板上のポリビニルアルコール皮膜の表面を、フェルト素材のラビング布で一方向に擦って、ラビング処理した。
次に、製造例で得られた重合性化合物(A)を40重量部、メソゲン基としてフェニル
ベンゾエート基を有し分子末端に2つのアクリロイル基を有する液晶性化合物[BASF社製 商品名「PaliocolorLC242」]を60重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティーケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびアクリル酸共重合物系のレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、重合性化合物(A)を38.8(重量比)含むもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部に溶解し、全固形分濃度が34重量%である混合溶液を作製した。ガラス板上のラビング処理されたポリビニルアルコール皮膜の表面に上記混合溶液を、スピンコータ(塗工条件:回転数1500±1rpm、10秒間)にて塗工し、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列を形成した。
その後、上記混合溶液が塗工された基材を、90±1℃の空気循環式恒温オーブン内で3分間乾燥した後、室温に冷却し、30℃の空気雰囲気下で混合溶液が塗工された側から、600mJ/cm2の照射光量の紫外線を照射して、上記の液晶性組成物を重合反応により硬化させて、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。ガラス板上に得られた位相差フィルムの厚みは2.0μm、光透過率は92%、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は0.089(nx=1.624、ny=1.535、nz=1.535)、Re[590]は178.0nmであった。
[実施例2]
製造例で得られた重合性化合物(A)を35重量部、液晶性化合物[BASF社製 商
品名「PaliocolorLC242」]を60重量部、3官能重合性化合物としてトリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート[大阪有機化学工業(株)製 商品名「ビスコート3PA」]を5重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティーケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、重合性化合物(A)を34.0(重量比)含むもの)を、シクロペン
タノン(沸点131℃)200重量部に溶解し、全固形分濃度が34重量%である混合溶液を作製した。上記混合溶液を用い、実施例1と同様の方法で、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。ガラス板上に得られた位相差フィルムの厚みは1.9μm、光透過率は92%、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は0.057(nx=1.598、ny=1.541、nz=1.541)、Re[590]は108.3nmであった。
[比較例1]
液晶性化合物[BASF社製 商品名「PaliocolorLC242」]を100重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティーケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(重合性化合物(A)を含まないもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部に溶解し、全固形分濃度が34重量%である混合溶液を作製した。上記混合溶液を用い、実施例1と同様の方法で、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。ガラス板上に得られた位相差フィルムの厚みは2.1μm、光透過率は92%、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は0.131(nx=1.654、ny=1.523、nz=1.523)、Re[590]は275.1nmであった。
[比較例2]
製造例で得られた重合性化合物(A)を50重量部、液晶性化合物[BASF社製 商
品名「PaliocolorLC242」]を50重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティーケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、重合性化合物(A)を48.5(重量比)
含むもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部に溶解し、全固形分濃度が34重量%である混合溶液を作製した。上記混合溶液を用い、実施例1と同様の方法で実験を試みたが、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列は得られなかった。また、ガラス板上に得られたフィルムは白濁し、且つ、等方的であったために位相差フィルムとしては好ましくなかった。
[実施例3]
実施例1で用いた混合溶液を、厚み75μmの延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製 商品名「ルミラーS27−E」]上に、ロッドコータを用いて塗工し(塗工厚み:4.6μm)、液晶性化合物のホモジニアス分子配列を形成した。その後、上記混合溶液が塗工された基材を、90±1℃の空気循環式恒温オーブン内で3分間乾燥した後、室温に冷却し、30℃の空気雰囲気下で混合溶液が塗工された側から、600mJ/cm2の照射光量の紫外線を照射して、上記の液晶性組成物を重合反応により硬化させて、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた位相差フィルムの厚みは1.58μm、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は、0.089(nx=1.624、ny=1.535、nz=1.535)であった。上記位相差フィルムは、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して、ガラス板上に粘着剤を介して接着し、10cm×10cmのサンプルを作製した。図1のように等間隔に面内9箇所のRe[590]を測定したところ、Re[590]の平均値は140.8nm、Re[590]のバラツキは、±3.5nmであった。
[実施例4]
実施例2で用いた混合溶液を用い、実施例3と同様の方法(塗工厚み:13.9μm)で、液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた位相差フィルムの厚みは、4.74μm、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は、0.057(nx=1.598、ny=1.541、nz=1.541)であった。また、実施例3と同様の方法で10cm×10cmのサンプルを作製した。Re[590]の平均値は270.1nm、Re[590]のバラツキは、±2.7nmであった。
[比較例3]
比較例1で用いた混合溶液を用い、実施例3と同様の方法(塗工厚み:3.2μm)で、液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた位相差フィルムの厚みは1.08μm、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は0.131(nx=1.654、ny=1.523、nz=1.523)であった。また、実施例3と同様の方法で10cm×10cmのサンプルを作製した。Re[590]の平均値は141.2nm、Re[590]のバラツキは、±6.8nmであった。
[比較例4]
比較例1で用いた混合溶液を用い、実施例3と同様の方法(塗工厚み:6.1μm)で、液晶性化合物のホモジニアス分子配列を固定した。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた位相差フィルムの厚みは2.06μm、フィルム面内の複屈折率:(nx−ny)は0.131(nx=1.654、ny=1.523、nz=1.523)であった。また、実施例3と同様の方法で10cm×10cmのサンプルを作製した。Re[590]の平均値は270.5nm、Re[590]のバラツキは、±6.0nmであった。
[評価]
以上のように、実施例1及び2で得られた本発明の重合性化合物を含む液晶性組成物を配向させ、硬化させて得られた位相差フィルムは、フィルム面内の複屈折率が0.089および0.057となり、市販の液晶性化合物を用いた従来の位相差フィルム(フィルム面内の複屈折率:0.131)に比べて小さい値となった。また、光透過率が92%と透明性に優れているものであった。一方、比較例2で得られたフィルムは、液晶性組成物100に対して本発明の重合性化合物が48.5(重量比)含まれる液晶性組成物を用いたために、上記液晶性化合物のホモジニアス分子配列は得られず、また、フィルムは白濁し、且つ、等方的であったために位相差フィルムとしては好ましくなかった。実施例3及び4で得られた位相差フィルムは、フィルム面内の位相差値のバラツキ(それぞれ±3.5nm、±2.7nm)が、フィルム面内の位相差値の平均値に対して、それぞれ±2.5%、±1.0%の範囲にあり、比較例3及び4で得られた従来の位相差フィルムの、フィルム面内の位相差値のバラツキ(それぞれ±4.8%、±2.2%)に比べて、均一性に優れるものであった。したがって、極めて高い塗工精度を必要とせず、薄型の位相差フィルムを生産性良く製造することができた。
本発明の位相差フィルムは、高い透明性を有すると共に、フィルム面内で位相差値のバラツキを小さくすることができる。また、本発明の製造方法は、従来の塗工精度で塗工しても、フィルム面内で位相差値のバラツキの小さい薄型の位相差フィルムの製造することができるので、産業上極めて有用であるといえる。
本発明の位相差フィルムのフィルム面内の位相差値を測定するためのサンプルの概略図である。
符号の説明
1 フィルム面内の位相差値の測定箇所




Claims (10)

  1. 下記式(2)で表される重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を配向させ、硬化させてなる位相差フィルム。
    Figure 0004413117
  2. 前記位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定した光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記位相差フィルムの厚みが、1.1〜15μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  4. 前記位相差フィルムの23℃における波長589nmの光で測定したフィルム面内の複屈折率が0.030〜0.095であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記位相差フィルムの23℃における波長590nmの光で測定したフィルム面内の位相差値が50〜800nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の位相差フィルムを少なくとも偏光子の片側に配置した偏光板。
  7. 請求項6に記載の偏光板を、液晶セルの少なくとも片側に配置した液晶パネル。
  8. 前記液晶セルがTNモード、VAモード、IPSモード又はOCBモードのいずれかである請求項7に記載の液晶パネル。
  9. 請求項7又は請求項8のいずれかに記載の液晶パネルを含む液晶表示装置。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、下記式(2)で表される重合性化合物と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を溶剤と共に基材上に塗工し配向させる工程、および上記液晶性組成物が塗工された基材に放射線照射し上記液晶性組成物を硬化させる工程を含み、上記液晶性組成物100に対し、上記重合性化合物が10〜45(重量比)含まれることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
    Figure 0004413117
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