JP4411824B2 - 水性顔料分散液とこれを用いたインク組成物の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散液とこれを用いたインク組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性顔料分散液とこれを用いたインク組成物の製造方法に関し、特にインクジェット記録用に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
水性顔料分散液は、水を主成分とする液媒体中に顔料を分散したものであり、種々の製造方法によって得ることができる。例えば、分散液組成の構成成分全てを一括配合し分散機によって分散処理する方法、構成成分中の液状成分の量を減らし固形分濃度を高くし分散機によって分散処理した後に残りの液状成分を追加する方法、構成成分中の顔料、樹脂等の固形成分にわずかな量の液状成分を加えて固形もしくは半固形の混練物とした後に混練物を液媒体中に溶解し顔料分散液を得る方法等が挙げられる。
【0003】
中でも、固形もしくは半固形の混練物を作りこの固形物を液媒体中に溶解し顔料分散液を得る方法は、液状の被分散物を分散させる方法よりも高いシェアを顔料粒子へ作用させることができるため、顔料の微粒子化が可能でありかつ粗大粒子を少なくできることから、有効な製造方法である。
【0004】
特開平6-157954号公報には、顔料とポリマー分散剤を2-ロールミリング装置によって分散体を得た後に水性キャリアー媒体中に分散し顔料分散液を得る調整方法が開示されている。実施例によると顔料とポリマー分散剤の分散体と中和剤である水酸化カリウムと水とを混合し顔料分散液を得る製造方法である。
【0005】
しかしながら、前記製造方法では2-ロールミリング装置であらかじめ混練することで未混練のものよりは顔料の微細化が進み水性キャリアー媒体中への分散性の向上が図れるが、顔料とポリマー分散剤の分散体を水性キャリアー媒体中へ分散させる際に生じる顔料凝集体を完全に防止できない問題があった。
【0006】
特開平10-88042号公報には、酸価を有する皮膜形成性樹脂と着色剤を分散し固形着色コンパウンドを得た後に水、皮膜形成性樹脂を溶解する有機溶媒、塩基と固形着色コンパウンドを混合し着色剤懸濁液を得、着色剤懸濁液中の着色剤表面に溶解樹脂成分を沈着させる再沈殿工程からなる顔料分散液を得る製造方法が開示されている。また、着色懸濁液を得る工程でビーズレス分散装置を用いることが好ましいことも開示されている。
【0007】
しかしながら、前記製造方法では皮膜形成性樹脂を溶解する有機溶剤が必須成分であり、着色樹脂粒子水分散液の分散安定性を保持するためには前記有機溶剤を除去する工程が必要となる。有機溶剤の除去には減圧蒸留する方法が一般的であるが、蒸留に要するエネルギーコストが高い問題がある。また、再沈殿工程では一定量以上の水の追加が必要となり、高濃度の着色樹脂粒子水分散液を得ようとする場合、何らかの方法で水を除去し濃縮しなければならない問題があった。
【0008】
特開平6-157954号公報、特開平10-88042号公報に共通して好ましいとされている混練装置の2-ロールミル(2本ロール)は、解放系の混練装置であり、混練中に混練物から揮発性成分の蒸発が避けられない構造である。また、2-ロールミル(2本ロール)での混練が2本のロール間に混練物を通す方法であることから、あらかじめ混練物を混練に適した形態としなければならない。例えば、粘度の低いスラリー状の混練物の混練には適さないことが挙げられる。
【0009】
このため、使用する顔料や樹脂の種類によって最適範囲は異なるものの、顔料・樹脂比率や樹脂の分子量、添加剤としての溶剤や可塑剤の使用量等、混練物組成に一定の制約を受ける場合がほとんどである。中でも、水性顔料分散液の基本特性を決定することになる顔料・樹脂比率や樹脂の分子量に対しての制約を受ることは、得られる水性顔料分散液の設計の自由度を阻害するため、好ましくない。
【0010】
特開平6-157954号公報では、中和剤である水酸化カリウムの水溶液に顔料とポリマー分散剤の分散体を混合しており、特開平10-88042号公報では、水、皮膜形成性樹脂を溶解する有機溶媒、塩基の混合溶媒に固形着色コンパウンドを混合している。いずれの製造方法も混練物中の樹脂を塩基で中和しつつ溶媒に分散させる方法であり、混練物の溶解分散に伴い溶媒中の塩基が消費される。また、混練物の表面部分のみしか塩基と接触しないため、混合開始時の混練物表面部に比べ、混練物の中心部分では塩基との接触機会が減少している。このため、個々の分散粒子の表面状態が不均一になりやすい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題を解決するためになされたもので、顔料の分散安定性、長期保存安定性に優れた水性顔料分散液及びこれを用いたインク組成物を得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、顔料の分散安定性、長期保存安定性に優れた水性顔料分散液及びこれを用いたインク組成物を得るには、樹脂、顔料を含む混合物にさらに塩基性化合物を配合し、高粘度で混練して混練物を作製した後、当該混練物を水性溶媒中へ分散させる際に衝突式分散機を用いる製造方法により課題が解決されることを見出した。
【0013】
すなわち本発明者らは前記課題を解決するために、アニオン性基を有する樹脂、顔料、及び塩基性化合物を含む混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を得た後、当該水性顔料分散液用混練物を水性溶媒中に衝突式分散機を用いて分散させることを特徴とする水性顔料分散液の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明者らは、前記水性顔料分散液の製造方法によって得られた水性顔料分散液を、水性溶媒で希釈してインク組成物を得る工程を有するインク組成物の製造方法を提供する。
なお、本明細書では、水性顔料分散液用混練物の製造工程において混練前の原料混合物を混合物、混練中または混練後の原料混合物を混練物とする。
【0015】
従来技術では樹脂と顔料とで混練物を作った後に、塩基性化合物の存在する水性溶媒中へ混練物を溶解分散しているが、この方法では混練物中の樹脂の中和による溶解分散が進むにつれて、溶媒中の塩基性化合物が消費されるため、分散の初期段階で混練物表面から溶解分散した顔料粒子と、混練物の中心部分に位置し分散の最終段階で溶解分散した顔料粒子とでは、水性溶媒中の塩基との接触機会が異なってくる。このため、混練物を水性溶媒中への溶解分散時に樹脂を中和する方法では、個々の分散粒子の表面状態が不均一となりやすい。この分散粒子の表面不均一が水性顔料分散液の分散安定性を阻害する要因となる。
【0016】
本発明の製造方法ではアニオン性基を有する樹脂、顔料を塩基性化合物存在下で混練するので、塩基性化合物によって樹脂のアニオン性基を中和しながら顔料との混練物が作られる。このため、混練途中に樹脂の中和状態が均一化される。塩基性化合物が存在しない場合と比較すると、樹脂の分散性、溶解性が向上し、樹脂は部分溶解もしくは膨潤状態となって顔料と混練される。これにより、顔料表面への樹脂吸着が促進される。
【0017】
また、混練の過程で樹脂が中和された混練物は、塩基性化合物を共存させなくとも水性溶媒中へ溶解分散できる。このため、分散粒子の表面状態が均一化され、分散安定性に優れた水性顔料分散液およびインク組成物を得ることができる。
【0018】
アニオン性基を有する樹脂、顔料、及び塩基性化合物を含む混練物は、水性溶媒との混合撹拌によって溶解分散する。混合撹拌しただけの水性顔料分散液中の顔料粒子粒径は十分細かくなっているが、微粒子化が不十分な粗大粒子も一部含まれており、経時により沈降物が生じるなど分散安定性は不十分である。十分な分散安定性を確保するには、混練物を水性溶媒に溶解分散させた後に衝突式分散機を用いて分散させることにより分散安定性の良い水性顔料分散液を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
(アニオン性基を有する樹脂)
アニオン性基を有する樹脂は、少なくとも1種以上のアニオン性基を有するモノマーを含むモノマーを重合させたものであり、該アニオン性基を含むモノマーは親水性基として機能する。なお重合に用いられる他のモノマー中には、疎水性基を有する疎水性モノマーが含有されていることが好ましい。アニオン性基を有する樹脂としては、アニオン性基からなる親水性基を有するモノマー成分と、疎水性基を有するモノマー成分が共存している樹脂を用いることが好ましい。
【0021】
このような樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリビニール酢酸系樹脂、ポリビニールスルフォン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ポリピロリドン樹脂、セルロース系樹脂などを例示することができる。
【0022】
(アニオン性基を有するモノマー)
アニオン性基を有するモノマーとしては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸基を有するモノマーなどを例示することができる。特に分散安定性、長期保存安定性の点から、カルボキシル基を有するモノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0023】
本発明においては、分散安定性、長期保存安定性の点から、特に(メタ)アクリル酸に由来する構造を有している(メタ)アクリル酸系モノマーを用いると好ましい。
【0024】
(疎水基を有する疎水性モノマー)
前記樹脂に用いる疎水基を有する疎水性モノマーとしては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリルエステル;
スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有の(メタ)アクリル酸エステル;
スチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;
アクリロニトニル;アクリルアミド;酢酸ビニル;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルアルコール;エチレン;などを例示することができる。
【0025】
中でもスチレン系モノマー、さらにはスチレンモノマーが好ましい。
これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタアクリレートを示し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタアクリル酸を示す。
【0026】
(共重合体樹脂)
さらに、分散安定性、長期保存安定性の点から、アニオン性基を有する樹脂は疎水性モノマー成分であるスチレンモノマー成分と アニオン性基を有するモノマー成分とからなる共重合体樹脂などが好ましい。
なお、このとき、アニオン性基を有するモノマーは親水性モノマーであることが好ましい。
【0027】
スチレンモノマー成分とアニオン性基を有するモノマー成分からなる共重合体樹脂においては、分散安定性、長期保存安定性の点から、スチレンモノマー成分が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、好ましくは95質量%以下含まれていると好ましい。
【0028】
共重合体樹脂中のスチレンモノマー成分の含量を50質量%以上とすることにより、共重合樹脂の疎水性が増加し、水系においてはより強固に顔料への樹脂被覆が行われる。その結果、水性顔料分散液を経て作製されたインク組成物をインクジェットに用いたときに、樹脂被覆粒子が加熱されても、その粒径が安定であり、粒径安定性が向上する。そして、吐出安定性が向上し、かつ高い印字濃度が得られる。さらに被記録媒体上の塗膜の耐久性の向上にも効果的である。なお、95質量%を超えると分散に寄与するアニオン性基を有するモノマー成分の含有量が低下し、水系での分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。
【0029】
なお本発明において、単にモノマーという場合には、重合前のモノマーを指し、モノマー成分という場合には、樹脂中に含まれるモノマー由来の構造を示すものとする。
【0030】
(樹脂の酸価)
また、長期的な保存安定性の点から、樹脂の酸価は60〜300mgKOH/g、好ましくは100〜180mgKOH/g、さらに好ましくは120〜170mgKOH/gの範囲とされる。なお酸価とは、樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数であり、mgKOH/gにて示す量である。
【0031】
酸価が60より小さいと、親水性が小さくなり、顔料の分散安定性が低下するおそれがある。一方、酸価が300より大きいと、顔料の凝集が発生し易くなり、またインク組成物を用いた印字品の耐水性が低下するおそれがある。
【0032】
(アニオン性基を有する樹脂の重量平均分子量)
アニオン性基を有する樹脂の重量平均分子量は3000〜50000、さらに好ましくは4000〜40000、さらに好ましくは5000〜30000とされる。3000以上とされる理由は、低分子量である程初期的な分散性が優れているが、長期的な保存安定性が低下する傾向があるためである。なお、50000を越えると水性顔料分散液の粘度が高くなるだけでなく、樹脂の分散性、溶解性などが低下する傾向にある。
【0033】
(樹脂のガラス転移点)
また、樹脂のガラス転移点は90℃以上、好ましくは100℃以上、実質的には150℃以下とされる。
【0034】
ガラス転移点が90℃以上であると、インク組成物によって形成された画像の耐久性が向上し、また、インク組成物の熱安定性が向上する。このため該水性顔料分散液から作製されたインクジェット記録用水性インク組成物をサーマルジェットタイプのインクジェット記録用に用いても、加熱によって吐出不良を起こすような特性変化を生じず、好ましい。なお、樹脂のガラス転移点は分子量などの変更によって調整することができる。
【0035】
(顔料)
顔料は、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えばカーボンブラック、チタンブラック、チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンガラなどの無機顔料;モノアゾ系、ジスアゾ系などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、レーキ顔料などの有機顔料;などを用いることができる。
【0036】
前記顔料は、混合物中に35質量%以上、好ましくは40質量%以上配合されることが好ましい。一般に水性顔料分散液を希釈して、一定顔料濃度のインク組成物を得るため、水性顔料分散液中の濃度を極力上げて生産することは、より多くのインク組成物を製造できることから生産効率上有利となる。しかし、顔料濃度を上げることは、水性顔料分散液の保存安定性が悪化するため、実質的には顔料の分散安定性、水性顔料分散液用混練物等の安定性確保の点から、60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下である。
【0037】
(樹脂/顔料の質量比率)
混練のためには樹脂/顔料の質量比率が一定量以上の樹脂が必須であり、樹脂が少ないと混練ができない。樹脂の最適量は顔料の表面を一様に被覆できるだけの量であり、この最適量を超える過剰の樹脂が多量に含有されていると、顔料の表面に付着せずに、水性溶媒中へ粒子状態や溶解状態で存在する樹脂が増加することになり、水性顔料分散液の粘度が上昇したり分散安定性を損なうため好ましくない。この顔料表面を一様に被覆できるだけの量は、顔料の構造や表面活性によって異なるため、個々の顔料に合わせて適宜選択することができる。
本発明の水性顔料分散液用混練物中の樹脂/顔料の質量比率は1/10〜2/1であることが好ましく、1/10〜1/1であることがさらに好ましい。
【0038】
(固形分含有比率)
一般に顔料と樹脂を混練する場合、樹脂を溶解または膨潤させる有機溶剤や水を共存させ混練を行う。混練物中の固形分含有比率は混練物の使用目的や使用する混練装置に合わせて適宜選択決定される。
【0039】
本発明においても種々の有機溶剤や水を加えた混合物を混練することは、顔料分散の良好な水性顔料分散液用混練物を得るために好ましい。本発明の混合物中の樹脂と顔料とを合わせた固形分比率は、固形分含有比率としては50〜80質量%の範囲が好ましい。固形分比率が50質量%未満の場合には、混練物の粘度が低下し原料を粉砕させるためのシェアが十分に発生せず、水性顔料分散液やインク組成物を作製した際に顔料の大きな凝集粒子が混入することがある。そして、固形分比率を高めることによって混練中の混練物の粘度を適度に高く保ち、混練中の混練機から混練物にかかるシェアを大きくして、混練物中の顔料の粉砕と顔料の樹脂による被覆を同時に進行させることができる。固形分比率が80質量%を超えると、例え加温して樹脂を充分に軟化させたとしても混練が困難になる。
【0040】
(塩基性化合物)
アニオン性基を有する樹脂と塩基性化合物とを混合することにより、前記アニオン性基が中和された水性顔料分散液用混練物が得られる。その結果、水性顔料分散液用混練物と水との親和性が向上し、水性顔料分散液の製造時に、水性顔料分散液用混練物が水中に速やかに溶解分散し、製造効率が向上する。また、水性顔料分散液中の樹脂被覆顔料粒子の分散状態がより安定となり、分散安定性、長期保存安定性も向上する。
【0041】
また、塩基性化合物を配合すると、塩基性化合物とアニオン性基を有する樹脂との相互作用によって、顔料が樹脂に充分に被覆されやすい状態で混練することができる。そのため、混練中に顔料が微粉砕され、粗大粒子が減少しやすくなり、後の工程で粗大粒子を除去する工程を省略でき、収率が向上するという効果も得られる。
【0042】
塩基性化合物としては、無機系塩基性化合物、有機系塩基性化合物のいずれも用いることができる。アルカリ強度を調整し易い点において、無機系塩基性化合物がより好ましい。
【0043】
有機系塩基性化合物としてはアミンなどが挙げられる。例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの一般的なアミンを例示することができる。アミンの場合は一般に液体状であるので、そのままの形態で用いることができる。
【0044】
無機系塩基性化合物としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;などを例示することができる。
【0045】
中でも、アニオン性基を含む樹脂の中和によって該樹脂の分散性を高めるに効果的であるため、強アルカリのものが好ましく、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
なお、無機系塩基性化合物は混合性向上の点などから、20〜50質量%濃度程度の水溶液の形態で用いられることが好ましい。
【0046】
(塩基性化合物の添加量)
本発明のアニオン性基を有する樹脂に対する塩基性化合物の添加量としては、中和率として20%以上が必要である。塩基性化合物の添加量が20%未満であると、樹脂のアニオン性基の中和が不十分となり、樹脂の分散性、溶解性の不足を生じ混練性が悪化する。40%以上の中和率が好ましく、上限値については特に限定はしないが200%以下が好ましい。最も好ましい中和率の範囲としては、50%から120%である。
【0047】
なお、本発明の中和率は、下記の式によって計算される値である。
中和率(%)=((塩基性化合物の質量(g)×56×1000)/(樹脂酸価×塩基性化合物の当量×樹脂量(g)))×100
【0048】
(混練方法)
本発明においては、水性溶媒に直接顔料を分散させるのではなく、まず、顔料を樹脂などとともに混練した後に水性溶媒に分散する。よってこの混練時に顔料が微粉砕されるため、粗大粒子を減少させることができる。
【0049】
なお、このとき上述の様に塩基性化合物を添加するため、塩基性化合物とアニオン性基を有する樹脂との相互作用によっても粗大粒子は著しく減少する。そのため、この粗大粒子を除去する工程を省略することができ、製造効率が向上するとともに収率を向上させることができる。
【0050】
本発明においては、混練中に水や水溶性有機溶剤などが蒸発しない様に、混合物(混練物)の質量が実質的に変化しない様に混練すると好ましい。そのため、混練開始から終了までの間、混合物中に、常に一定量の溶剤が存在し、混練初期に顔料の表面を濡らした溶剤が、当該溶剤によって好ましくは溶解、膨潤あるいは部分溶解した樹脂に置き換えられ、顔料の樹脂による被覆がスムーズに進行し、当該顔料が充分に被覆される。その結果、水性顔料分散液やインク組成物の分散安定性、長期保存安定性が著しく向上する。
【0051】
さらに混練終了後においても溶剤が混練開始時とほぼ同量残っており、混練物の溶解分散を極めて短時間に進行させることができる。
そして、このためには閉鎖系で混練する混練機が好ましく、撹拌槽と、一軸あるいは多軸の撹拌羽根を備えた混練機を用いると好ましい。撹拌羽根の数は特に限定しないが、高い混練作用を得るためには二つ以上の攪拌羽根のものが好ましい。
【0052】
この様な構成の混練機を用いると、水性顔料分散液用混練物を製造した後、これを同一撹拌槽中で直接水性溶媒で希釈し分散させて、水性顔料分散液を製造することができる。
なお、実質的に質量が変化しないとは、混練前の混合物の仕込み量に対して混練中あるいは混練後の混練物の重さが90質量%以上の範囲で維持されていることとする。
【0053】
この様な装置としてはヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、顔料濃度と、顔料と樹脂からなる固形分濃度が高い状態で混練を行うため、混練物の混練状態に依存して混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは特に低粘度から高粘度まで広範囲に対応することができるためである。
【0054】
プラネタリーミキサーは、互いに自転と公転を行う2軸の攪拌羽根を使用して、攪拌槽中の混練物を攪拌、混練する構造を有しており、攪拌槽中に攪拌羽根の到達しないデッドスペースが少ない。また羽根の形状が肉厚で高負荷をかけることができるが、一方では攪拌羽根を攪拌槽中で回す通常の攪拌機の様に使用することもできる。このため高負荷領域から低負荷領域まで、処理対象にできる被混練物の幅が広く、混練終了後の混練物にそのまま水性溶媒を添加し、希釈、攪拌、分散する操作の全てを、プラネタリーミキサーから混練物を取り出さずに、同じミキサーの中で行うことができる。
【0055】
(図1〜図3のプラネタリーミキサー)
図1〜図3はプラネタリーミキサーの構成の一例を示したものである。図中符号1は撹拌槽であって、この中空円筒形の撹拌槽1は上下に略二分割されている。そして、攪拌時には上方部材2と下方部材3とが一体化し、閉鎖系となる。撹拌槽1の上方部材2の内側には図2に拡大図で示した様に、枠型ブレードからなる撹拌羽根4、5が一つのローター6に保持されている。ローター6が回転(公転)すると、撹拌羽根4、5は同一方向に回転(自転)する。そして、図3に示した様に、ローター6の公転運動とともに2本の撹拌羽根4、5がそれぞれ自転運動する、いわゆる遊星運動(プラネタリー運動)をする。なお、図3に示したのは公転一回転における、2本の撹拌羽根4、5の先端の軌跡である。
【0056】
プラネタリーミキサーにおいては、この様な撹拌羽根4、5のプラネタリー運動により、撹拌羽根4、5相互間、および撹拌羽根4、5と撹拌槽1内面との間で強力な剪断力が作用し、高度の撹拌、混練、分散作用が得られる。
なお、プラネタリーミキサーなどの閉鎖系の混練機を用いて混練すると、時間とともに消費電流が徐々に増加し、30分以内に極大値に達した後、徐々に減少する。
【0057】
すなわち、混合物を所定の温度(樹脂の種類などにもよるが、例えば40〜70℃)に加温しつつ、混ぜ合わせていると、樹脂が粘ちょうとなり、顔料と混合されることにより、撹拌羽根4、5の回転に大きな負荷がかかる。このとき、撹拌羽根4、5相互間およびこれら撹拌羽根4、5と撹拌槽1との間において、材料に大きな剪断力が印加され、顔料の微粉砕が効率的に行われるとともに、顔料は材料中に、充分に分散、混合され、樹脂にて被覆される。そして、特にプラネタリーミキサーの様に閉鎖系の混練機を用いると、効果的な混練が行われるため30分以内に樹脂、顔料、水溶性有機溶剤がほぼ完全に混ざり合い、撹拌羽根4、5にかかる負荷が小さくなる。そのため、消費電流が徐々に減少する。
【0058】
この様に本発明において、プラネタリーミキサーなどの閉鎖系の混練機を用いて混合を行うと、混練時間と混練機(プラネタリーミキサー)の消費電力との関係のグラフにおいて、1つ以上の消費電力の極大値が得られるという特徴が見られる。
【0059】
この様に閉鎖系で混練すると、仕込みの混合物の質量に対して混練中に混練物の質量が実質的に変化せず、仕込みと同様の組成を備えた水性顔料分散液用混練物を得ることができ、製造安定性が向上する。
【0060】
また、混練初期から顔料濃度、固形分濃度が高い状態で混練するため、混練によって加えられる剪断力によって顔料が解砕され、未分散の粗大粒子が減少する。その結果、後の工程で粗大粒子を除去する必要がなく、収率が良好となる。
なお、水溶性有機溶剤を除去する場合には、混練後に加熱、乾燥して除去することもできる。
【0061】
混練工程を、例えば二本ロールや三本ロールのような開放系の混練機を用いて行うと、混練時の温度上昇で混練物中の有機溶剤や水が蒸発するため、混練物の固形分比率の上昇が著しい。このため混合物へ塩基性化合物を添加して、樹脂のアニオン性基を中和しその分散性もしくは溶解性を向上させた効果が減殺される。
【0062】
さらにこのようなロール練肉機の様な開放系による混練を行ったときは、顔料はロール間でシェアを受けて細かく粉砕されるものの、上述の様に混練終了時に固形分比率が著しく上昇するため混練物表面が乾いた状態となる。このためこれに続く分散工程で、水性顔料分散液を作製するとき、さらに該混練物に水、もしくは水性溶媒を添加して、固形チップの粉砕、溶解と顔料の分散を行わなければならない。従ってロール練肉に続く分散工程に負担がかかり、分散時間が長時間化したり、またたとえ長時間の分散を行ったとしても粗大粒子がしやすい。
【0063】
(水性溶媒)
水性溶媒とは水または水と水溶性有機溶剤の混合溶媒である。
水溶性有機溶剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。
【0064】
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールテトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;
ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオールなどのジオール類;
ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;
エチレングリコールモノブチルエーテル、カルビトールなどのジエチレングリコールエーテル類;
ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのモノグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;
あるいは、スルホラン、エステル、ケトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類、グリセリンおよびその誘導体など、水溶性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。
【0065】
これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。
水溶性有機溶剤の選択は、使用する樹脂によって決まるが、ある程度の溶解性を持つものが好ましく、樹脂の溶解性によりその添加量が調整される。
【0066】
中でも、水性顔料分散液やインク組成物において、乾燥防止剤としての役割も果たすため、高沸点、低揮発性で、高表面張力の多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。グリコール類は一般的にインク組成物に含まれている場合が多く、最終製品中に残留しても問題がないため好ましい。
【0067】
なお、水性溶媒は、使用する樹脂によっても異なるが、通常は仕込みの混合物中に10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%配合される。その添加量は、樹脂量の1/2〜5倍程度であり、好ましくは樹脂量の1〜4倍程度である。水性溶媒の量が樹脂量の1/2未満では樹脂を溶解、部分溶解、または膨潤させることができず、顔料の分散安定性が低下するおそれがある。また5倍を超えると混練用混合物粘度が低下し、十分な混練が行えないため、顔料の分散性が低下し、インク組成物において、吐出不良等の画質低下を生じさせるおそれがある。なお、上述の様に、塩基性化合物などに由来して溶剤の役割を果たすものが他に配合されている場合には、これを考慮して水性溶媒の組成および配合量を決定することが好ましい。
【0068】
また、水性溶媒は顔料に対して、質量比で1/55倍以上、好ましくは1/3〜1倍配合すると好ましい。これにより、樹脂が常に半溶解もしくは膨潤状態となりつつ混練工程が進行し、顔料表面への樹脂被覆が良好に行われる。1/5倍未満では、混練初期に顔料の表面を充分に濡らすことができなかったり、樹脂を溶解、部分溶解、または膨潤させることができず、その効果を充分に得ることができない。
【0069】
水性溶媒の水と水溶性有機溶剤の混合比率は、使用する樹脂や顔料の特性を考慮し適宜選択すれば良い。
【0070】
(水性顔料分散液の製造方法;衝突式分散機)
水性顔料分散液用混練物は、通常半固体状あるいは固体状の堅練品である。この水性顔料分散液用混練物を分散させて水性顔料分散液を製造する。なお、水性顔料分散液用混練物中の顔料は水性顔料分散液用混練物の製造時に既に解砕されているので、水性顔料分散液を得るための分散時間が短く、製造効率が向上する。
【0071】
【0072】
また、本発明の水性顔料分散液用混練物は、アニオン性基を有する樹脂と塩基性化合物との相互作用により、水に対する溶解性、分散性が良好なので速やかに溶解分散する。この様に水に速やかに溶解分散し、これが安定に保持されることが、本発明の水性顔料分散液用混練物の大きな特徴である。
【0073】
水性溶媒への混練物の溶解分散時に衝突式分散機による分散を行うと分散安定性、特に加熱時の分散安定性が向上する。水性顔料分散液用混練物は固体もしくは半固体状であり直接衝突式分散機を用いて分散できないため、一度水性溶媒中へ溶解分散させてから衝突式分散装置で分散させる。
【0074】
(衝突式分散機)
衝突式分散機とは、高圧ポンプにて一度加圧した液媒体を衝突させこの時の衝撃力等によって分散を行う分散機である。衝突型分散機は衝突させる対象によって大きく2種類に分けることができる。液媒体同士を衝突させる方式と、衝突対象物に液媒体を衝突させる方式である。液媒体同士を衝突させる方式の例として、ナノマイザー、ジーナスPY、アルティマイザー、Aqua、マイクロフルイダイザー等が挙げられる。衝突対象物に液媒体を衝突させる方式の例として、ホモゲナイザー等が挙げられる。
【0075】
湿式分散機として一般的なメディアを用いたビーズミル等による分散では、顔料の破砕が進行し新たにできた顔料表面への樹脂吸着が不十分となったり、顔料表面に一度吸着した樹脂を剥離する作用が働き、分散安定性を阻害する。対して衝突式分散機による分散では、顔料の破砕の進行や吸着樹脂の剥離作用が起こりにくく、分散安定性の確保のためには好ましい。特に分散液の保存安定性の確保に効果的である。
【0076】
(水性顔料分散液の固形分濃度)
この時の水性顔料分散液の固形分濃度はできる限り高濃度である方が処理量を少なくでき、生産効率を高める観点から好ましい。しかし、あまり固形分濃度が高すぎると粘度が高くなり衝突式分散装置による分散上限を越えてしまうため、水性顔料分散液の固形分濃度の上限は装置の分散上限粘度によって決定される。また、樹脂、顔料、水性溶媒の種類や配合量等によっても同じ固形分濃度における分散液の粘度は異なってくる。好ましい範囲として10質量%〜50質量%の範囲が挙げられる。
【0077】
(水性顔料分散液用混練物を水性溶媒へ溶解分散させる方法)
水性顔料分散液用混練物を水性溶媒へ溶解分散させる方法としては、混練に引き続き撹拌槽と撹拌羽根を有する混練機の中で水性溶媒と混合撹拌する方法、固体もしくは半固体状の混練物を取り出し攪拌機によって水性溶媒と混合撹拌する方法等が挙げられる。
【0078】
(インク組成物の製造方法)
インク組成物は、上述の様にして得られた水性顔料分散液をさらに水性溶媒で希釈して製造することができる。インク組成物中に含有される顔料濃度は2〜10質量%が好ましい。
【0079】
水性顔料分散液を希釈する水性溶媒は、ノズルでの乾燥防止、粘度調整、顔料濃度調整等を目的に組成を設計する。水性溶媒に用いる水溶性有機溶剤は、前述の水性溶媒の項目に例示した化合物を挙げることができる。使用する水溶性有機溶剤の種類や量は、目的とするインク組成物に合わせて適宜選択決定することができる。
【0080】
(インク組成物の製造)
本発明の水性顔料分散液中の分散粒子は、既に十分な分散安定性を有しており、インク組成物とする際に分散装置等による分散行程は必要なく、一般的な混合手段によって混合希釈すれば良い。その際、水性顔料分散液と水性有機溶剤、添加剤等とを直接混合するのではなく、水性有機溶剤、添加剤等を水と混合した水性溶媒としてから水性顔料分散液と撹拌混合することが好ましい。
【0081】
(インク組成物の添加物)
インク組成物には水性溶媒と水性顔料分散液の他に、公知の添加剤などを配合することができる。
配合可能なものとしては、アルカリ剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線硬化性樹脂などを例示することができる。
【0082】
本発明においては、例えば水性顔料分散液、水溶性溶剤、必要に応じて各種添加剤を加えて均一に撹拌することにより、インク組成物を製造することができる。
【0083】
このインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。適用するインクジェットの方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知のものを例示することができる。
そして、このインク組成物は、これら各種のインクジェット方式に適用した場合に、極めて安定したインク吐出が可能となる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0085】
本実施例で用いた樹脂は以下の通りのものである。
樹脂A:モノマー組成比において、スチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10(質量比)であり、質量平均分子量12000、酸価151mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
【0086】
[実施例1]
(混練)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM-V-50V((株)井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21rpm、公転回転数:14rpm)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35rpm、公転回転数:24rpm)に切替、混練を継続した。
【0087】
樹脂A 1000g
ファストゲンスーパーマゼンタRTS 4750g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10-ジクロロキナクリドン 250g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 3500g
34質量%水酸化カリウム水溶液 447g
イオン交換水 1000g
【0088】
高速への切替時のプラネタリーミキサー電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大電流値が15Aを示した。最大電流値を示してから1時間、混練を継続した後、プラネタリーミキサーの電流値は10Aであった。最大電流値を示してから3時間混練した。混練物は固体状であった。
【0089】
以下の添加量でイオン交換水8000gを加え混練物を溶解し、プラネタリーミキサーから取り出した。取り出した混練物は液状(以下混練物水溶液とする)であった。混練物水溶液中の固形分濃度は32%であった。
【0090】
0g−1600g 10分毎に 200g
1600g−3600g 5分毎に 500g
3600g−6600g 5分毎に1000g
6600g−8000g 一括添加後10分撹拌
【0091】
(分散)
得られた混練物水溶液をステンレス300メッシュで濾過し、衝突式分散機:ナノマイザーLA-33(ナノマイザー(株)製)にて分散処理を行った。LA-33はシングルピストンの加圧ポンプ仕様のため圧力変動があり、運転圧力は加圧した際の最大圧力値で設定した。
【0092】
分散条件: パス回数 1パス
運転圧力 98MPa(最大圧力値)
ナノマイザー処理後の混練物水溶液100部にイオン交換水78部を加え撹拌し、固形分濃度18%の水性顔料分散液を得た。
【0093】
(インク組成物の調整)
水性顔料分散液を用いて下記配合で混合した後、ポアサイズ5μmのメンブランフィルターにて濾過しインク組成物を得た。配合順序は、水性顔料分散液以外の組成を計量混合した水性溶媒中へ水性顔料分散液を撹拌しながら加え均一に混合した。インク組成物の粘度は2.9mPa・s、表面張力は42mN/m、pHは10.0であった。
【0094】
水性顔料分散液 25.0部
ジエチレングリコール 11.0部
サンニックスGP-600 5.0部
(三洋化成工業(株)製)
イオン交換水 59.0部
【0095】
(インク組成物の印刷評価)
得られたインク組成物を市販のインクジェットプリンターEM-900C(セイコーエプソン(株)製)に充填し印刷評価を行った。連続吐出安定性は良好であり、鮮明な印刷物が得られた。
【0096】
[比較例1]
・樹脂水溶液の作製
下記配合で樹脂Aのメチルエチルケトン溶液を作製した。
メチルエチルケトン(以下、MEKと略記する) 50g
樹脂A 50g
これにイオン交換水267g、34質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液17gを加え、良く撹拌し、樹脂A溶液を得た。
【0097】
この樹脂A溶液について、ウォーターバス温度45℃、40hPaの減圧条件でMEKを除去し、樹脂溶解アルカリ水溶液を得た。
得られた、樹脂溶解アルカリ水溶液の固形分濃度を測定し、固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水を加えて撹拌し、樹脂溶解アルカリ水溶液H1を得た。
【0098】
・顔料分散
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ400gを入れ、さらに下記配合物48gを加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機製)で4時間処理した。
【0099】
樹脂溶解アルカリ水溶液H1 10.0g
ファストゲンスーパーマゼンタRTS 9.5g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10-ジクロロキナクリドン 0.5g
イオン交換水 8.0g
ジエチレングリコール 20.0g
処理後の分散液へイオン交換水8.7gを追加混合してから取り出し、固形分濃度18%の水性顔料分散液を得た。
【0100】
[参考例1]
(混練)
実施例1で得られた混練物水溶液を用いた。
(分散)
250mlの容器を用いてペイントシェーカーにて2時間分散を行った。
混練物水溶液 100g
イオン交換水 30g
φ1.25mmジルコニアビーズ 370g
ペイントシェーカー処理後の混練物水溶液100部にイオン交換水67部を加え撹拌し、固形分濃度18%の水性顔料分散液を得た。
【0101】
[参考例2]
(混練)
実施例1で得られた混練物水溶液を用いた。
(分散)
混練物水溶液100部にイオン交換水27部を加え分散攪拌機を用いて均一に混合し、固形分濃度を25%に調整した。この混練物水溶液をビーズミルにて分散を行った。
【0102】
分散条件: パス回数 4パス(分散機を4回通した)
分散機 ナノミルNM-G2L(浅田鉄工(株)製)
ビーズ φ0.3mmジルコニアビーズ
冷却水温度 10℃
回転数 2660rpm (ディスク周速12.5m/sec)
送液量 200g/min
ビーズミル処理後の混練物水溶液100部にイオン交換水39部を加え撹拌し、固形分濃度18%の水性顔料分散液を得た。
【0103】
[参考例3]
(混練)
実施例1で得られた混練物水溶液を用いた。
(分散)
分散機を用いた分散は行わず、混練物水溶液100部にイオン交換水78部を加え撹拌し、固形分濃度18%の水性顔料分散液を得た。
【0104】
(保存安定性の評価)
水性顔料分散液を用いたインク組成物の保存安定性の評価を以下の方法で行った。本評価方法は、インクジェット記録用インク組成に一般的に用いられている水溶性有機溶剤の中からトリエチレングリコール モノ-n-ブチルエーテル(以下、TEGmBEとする)を選択し、大過剰のTEGmBEを加え、保存安定性の促進テストとした試験方法である。
得られた組成物の初期粘度をE型粘度計にて測定。室温にて24時間放置後に粘度を測定してから、60℃20時間加熱し粘度測定を行った。
【0105】
(保存安定性評価用組成物の調整)
TEGmBE 40部とイオン交換水10部を混合した水性溶媒に、実施例1及び比較例1、参考例1〜3で得られた固形分濃度18%の水性顔料分散液50部を加え撹拌混合し、保存安定性評価用組成物を得た。
【0106】
(保存安定性評価結果)
各サンプルの保存安定性試験結果は次の通りであった。
【0107】
サンプル 初期値 室温 60℃
実施例1 10.03 11.13 19.97
比較例1 ゲル化 − −
参考例1 12.65 25.81 ゲル化
参考例2 11.04 18.27 ゲル化
参考例3 13.16 20.10 ゲル化
【0108】
実施例1は長期保存安定性評価の促進テストである上記評価においてもゲル化せず、長期保存安定性に優れていることが分かる。比較例1は初期でゲル化した(このため、以後の測定;室温にて24時間放置後の測定及び、60℃20時間加熱後の測定は行わなかった)。
【0109】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、顔料の分散安定性、長期保存安定性優れた水性顔料分散液及びインク組成物を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラネタリーミキサーの構成の一例を示した斜視図。
【図2】 プラネタリーミキサーの一部拡大図。
【図3】 プラネタリーミキサーにおける撹拌羽根の軌跡を示した説明図。
【符号の説明】
1・・・・・撹拌槽
2・・・・・撹拌槽の上部
3・・・・・撹拌槽の下部
4及び5・・撹拌羽根
6・・・・・ローター

Claims (8)

  1. アニオン性基を有する樹脂、顔料、及び塩基性化合物を含む固形分含有比率50〜80質量%の混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性顔料分散液用混練物を得た後、当該水性顔料分散液用混練物を水性溶媒中に衝突式分散機を用いて分散させることを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
  2. 前記アニオン性基を有する樹脂の中和率が20%以上となる量の前記塩基性化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  3. 前記水性顔料分散液用混練物中の樹脂/顔料の質量比率が1/10〜2/1である請求項1又は2に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  4. 前記混合物中に水性溶媒が10〜50質量%配合される請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性顔料分散液の製造方法において、混練中に前記混合物の質量が実質的に変化しない様に混練を行う水性顔料分散液の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性顔料分散液の製造方法において、撹拌槽と撹拌羽根を有する閉鎖系の混練機を用いて混練する水性顔料分散液の製造方法。
  7. 前記混練機がプラネタリーミキサーである請求項6記載の水性顔料分散液の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性顔料分散液の製造方法によって得られた水性顔料分散液を水性溶媒で希釈してインク組成物を製造するインク組成物の製造方法。
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