JP4409167B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造においては、溶鋼を取鍋からタンディッシュおよび浸漬ノズルを介して無底の鋳型に連続的に供給し、この溶鋼を鋳型によって冷却凝固させて鋳片とし、この鋳片を下方に引き抜きつつ更に冷却して完全に凝固させ、連続的な鋳片とする。
【0003】
鋳片は、熱間圧延工程を経て製品となるが、鋳片の表皮直下にピンホールまたは介在物が存在すると熱間圧延後に有害疵となる。このピンホールまたは介在物が生成する原因は、種々検討され解明されている。通常、浸漬ノズル内には、閉塞防止などを目的としてアルゴンガスが吹き込まれるが、アルゴンガスの気泡が鋳型内のメニスカスに捕捉されると、鋳片にピンホールが生じる。また、溶鋼の精錬過程においては介在物が生成するが、この介在物が取鍋やタンディッシュ中で浮上せず、溶鋼と一緒に鋳型内に流入してメニスカスに捕捉されると、鋳片中に介在物が残存する。
【0004】
気泡や介在物がメニスカスに捕捉されるのを防止する種々の方法が検討されており、例えば、鋳型内の溶鋼を電磁撹拌する方法や鋳型内メニスカスの温度低下を防止する方法などがある。特に、鋳型内のメニスカスの温度低下を防止する方法としては、発熱モールドパウダーを使用する方法、鋳型に供給するモールドパウダーをマイクロ波によって予熱する方法等が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等、参照)。
【0005】
一方、スラブの表面性状を改善することを目的として、アルゴンガスの吹込み方法を適正化することが行われている。この代表例を以下に示す。
(A)浸漬ノズルの材質を特定した上で、不活性ガス吹き込み量とノズル内溶鋼通過量の関係を規定する方法(特許文献5、参照)、
(B)電縫鋼管用のスラブを製造するときの耐水素誘起割れ性能(耐HIC性能)を向上させるため、アルゴンガス流量を4(Nリットル/溶綱t)以下とする方法(特許文献6、参照)、
(C)タンディッシュのストッパーからの不活性ガス吹き込みにおいて、アルゴンガス流量を4(Nリットル/溶鋼t)以下とする方法(特許文献7、参照)。
(D)タンディッシュ雰囲気中の酸素濃度を1.5%以下、かつアルゴンガス流量を4〜10(Nリットル/min)とする方法(特許文献8、参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−143053号公報
【特許文献2】
特開平5−200510号公報
【特許文献3】
特開平5−200511号公報
【特許文献4】
特開平5−200512号公報
【特許文献5】
特開平6−122051号公報
【特許文献6】
特開平7−136748号公報
【特許文献7】
特開平7−241653号公報
【特許文献8】
特開平9−314290号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のメニスカス部での気泡または介在物の捕捉を防止する方法では、ピンホール、および介在物が鋳片表皮直下へ巻き込まれるのをある程度軽減することができる。しかし、鋳型内へ持ち込まれる気泡または介在物の量が増加した場合、鋳片表皮直下に巻き込まれる気泡または介在物量も増加してしまい、ピンホール、ノロカミなどの表面欠陥が多発するという問題があった。
【0008】
また、上記のアルゴンガス吹込みを適正化する方法は、鋳型内へ持ち込まれるアルゴンガスをある程度制限するものではあるが、いろいろな鋼種で最適流量を的確に示したものではないため、ピンホール、ノロカミの両方を効果的に防止することはできない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、鋳型内へ持ち込まれる気泡および介在物を極小化することにより、ピンホール、ノロカミ等の表面欠陥を少なくしたスラブを容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ピンホール、ノロカミ等の表面欠陥を安定して減少させるためには、鋳型内へ持ち込まれる気泡および介在物量を減少させる必要がある。
【0011】
本発明者らは、介在物形態や介在物量の異なる様々な鋼種について、タンディッシュから鋳型間のノズル閉塞防止を目的として吹き込むアルゴンガス流量の適正値を調査した結果、適切な条件では鋳型内へ持ち込まれる気泡および介在物量を減少させることができるとともに、安定してピンホール、ノロカミ等の表面欠陥を減少させたスラブを製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
本発明の要旨は下記(a)〜(c)に示す連続鋳造方法にある。
【0013】
(a)真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記条件を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
(1)垂直型または垂直曲げ型連続鋳造機の場合、
3≦アルゴンガス流量≦2.0×T.[O]・・・(1)
(2)湾曲型連続鋳造機の場合、
3≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(2)
ここで、T.[O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(ppm)である。
【0014】
(b)真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記条件を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
(1)垂直型または垂直曲げ型連続鋳造機の場合、
1≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(3)
(2)湾曲型連続鋳造機の場合、
1≦アルゴンガス流量≦0.8×T.[O]・・・(4)
ここで、T.[O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(ppm)である。
【0015】
(c)真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、活性酸素濃度を10ppm以上とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記(5)式を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
【0016】
1≦アルゴンガス流量≦650/A.[O]・・・(5)
ここで、A.[O]は溶鋼中の活性酸素濃度(ppm)である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成要件とその作用について詳細に説明する。
【0018】
タンディッシュから鋳型間のノズル閉塞傾向は溶鋼の種類によって異なる。この観点から溶鋼の種類を大別すると、(i) CaSi合金による処理(以下、Ca処理という)を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼、(ii) CaSi合金によるCa処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼、および(iii) 活性酸素濃度を10ppm以上含むホーロー用鋼、電磁鋼板用鋼などの溶鋼の3種類となり、それぞれの溶鋼のノズル閉塞傾向は、下記のとおりである
【0019】
(i)の溶鋼では、生成する主な介在物はアルミナクラスターであり、ノズル閉塞を起こす傾向が大きい。
【0020】
(ii)の溶鋼では、主としてCaO−AlO系の球状介在物が生成する。しかし、本発明者らの研究により、この溶鋼は、(i)の溶鋼よりもノズル閉塞を起こす傾向は小さいことが判明した。
【0021】
(iii)の溶鋼では、主としてアルミナクラスターが生成する。しかし、本発明者らの研究により、この鋼は、活性酸素が耐火物のC(炭素)と反応し、耐火物を溶損させることが多く、ノズル閉塞を起こす傾向は(ii)の溶鋼よりもさらに小さいことが判明した。
【0022】
なお、(i)および(ii)の溶鋼では、溶鋼の清浄性の観点から活性酸素濃度はできるだけ低いことが望ましい。また、(iii)の溶鋼では、鋼中の介在物数が過剰となり、圧延後に鋼板表面の欠陥となって現出する可能性が高くなることから、活性酸素濃度は、400ppm以下であるのが好ましい。
【0023】
本発明者らは、これらの3種類の溶鋼を用いてピンホール、ノロカミに及ぼすアルゴンガス量の影響について調査した。以下の実験では、RH法による真空精錬において脱酸剤として添加するAl量を変化させて溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整した。また、活性酸素濃度およびトータル酸素濃度は、真空精錬終了後に測酸プローブを用いて測定した。
【0024】
図1は、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機(VB型の連続鋳造機)で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【0025】
図1から明らかなように、全体的にアルゴンガス流量が多い領域でピンホールおよびノロカミが発生しており、また、同じアルゴンガス流量であれば、トータル酸素濃度T.[O]の高い領域ほどピンホール、ノロカミの発生が少ない。これは、下記の理由による。
【0026】
一般に、溶鋼中のトータル酸素濃度が高いと酸化物系の介在物が多くなり、これが浸漬ノズル内面に付着することにより浸漬ノズルの閉塞が生じ易くなる。従って、通常の溶鋼を用いて連続鋳造を行う場合には、浸漬ノズル内にアルゴンガスを吹き込むことにより、浸漬ノズル内面への介在物の付着を防止して、浸漬ノズルの閉塞を防止している。また、浸漬ノズル内にアルゴンガスを吹き込むことで、鋳型内に侵入する介在物も低減できる。
【0027】
しかし、溶鋼中の介在物の量に対してアルゴンガス流量が多すぎると、ノズルの閉塞防止に寄与しないアルゴンガスの気泡が多くなり、これが鋳型内に侵入し、鋳片にピンホールが発生しやすくなる。一方、同じアルゴンガス流量でも、トータル酸素濃度が高く、介在物が多い場合は、閉塞防止に寄与する気泡の割合が増加し、介在物とともに効率よく浮上するため、気泡、介在物とも鋳型内に侵入しにくくなる。
【0028】
ここで、ピンホール、ノロカミが発生しない条件を整理すると(1)式となる。
【0029】
3≦アルゴンガス流量≦2.0×T.[O]・・・(1)
なお、アルゴンガス浸漬ノズルの閉塞防止の観点から3(Nリットル/min)以上吹き込む
【0030】
ここでは垂直曲げ型連続鋳造機の結果を示したが、鋳型の構造が同じであれば垂直型の連続鋳造機でも同じ効果が得られる。
【0031】
図2は、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型の連続鋳造機(B型連続鋳造機)で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【0032】
図2から明らかなように、湾曲型連続鋳造機で鋳造した場合には、垂直曲げ型連続鋳造機の場合とほぼ同様な傾向が得られるが、ピンホール、ノロカミが発生するアルゴンガス流量が少なくなっている。この原因は、鋳型が湾曲しているため、気泡、介在物の浮上が垂直曲げ型連続鋳造機ほど十分でないためである。したがって、湾曲型連続鋳造機の場合には、垂直曲げ型連続鋳造機よりも少ないアルゴンガス流量で鋳造しなければノロカミ、ピンホールが発生することになる。ここで、ピンホール、ノロカミが発生しない条件を整理すると(2)式となる。
3≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(2)
なお、アルゴンガス浸漬ノズルの閉塞防止の観点から3(Nリットル/min)以上吹き込む
【0033】
図3は、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型の連続鋳造機で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【0034】
図3から明らかなように、Ca処理を施せば、Ca処理を施さない図1の場合と比較すると、ピンホール、ノロカミが発生するアルゴンガス流量が少なくなっている。この原因は、介在物の形状が違うことに起因する。即ち、Ca処理を施した場合には介在物が球状となり、このような球状の介在物は、アルミナクラスターと比較して浮上しやすい。このため、介在物に起因する表面欠陥は低減するが、閉塞防止に寄与しないアルゴンガスの気泡の割合が増加し、この気泡が鋳型内に侵入してピンホールの原因となる。また、過剰なアルゴンガスが鋳型内の溶鋼とモールドパウダーの境界を撹拌するため、パウダー起因のノロカミが増加する。ここでピンホール、ノロカミが発生しない条件を整理すると(3)式となる。
1≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(3)
なお、アルゴンガス浸漬ノズルの閉塞防止の観点から1(Nリットル/min)以上吹き込む
【0035】
ここでも垂直曲げ型連続鋳造機の結果を示したが、鋳型の構造が同じであれば垂直型の連続鋳造機でも同じ効果が得られる。
【0036】
図4は、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型の連続鋳造機で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【0037】
Ca処理を施して湾曲型連続鋳造機で鋳造した場合には、Ca処理を施さない図2の場合と比較すると、ピンホール、ノロカミの発生するアルゴンガス流量が少なくなっている。この原因は、垂直曲げ型の場合と同様に、閉塞防止に寄与しないアルゴンガスの気泡の割合が増加してピンホールが発生しやすくなり、また、過剰なアルゴンガスが鋳型内の溶鋼とモールドパウダーの境界を撹拌することによりパウダー起因のノロカミの発生が増加する。
【0038】
また、図3の場合と比較するとピンホール、ノロカミが発生するアルゴンガス流量が少なくなっている。この原因は、鋳型が湾曲しているため、気泡、介在物の浮上が垂直曲げ型の連続鋳造機ほど十分でないためである。したがって、垂直曲げ型の連続鋳造機よりも少ないアルゴンガス流量で鋳造しなければノロカミ、ピンホールが発生する。ここでピンホール、ノロカミが発生しない条件を整理すると(4)式となる。
1≦アルゴンガス流量≦0.8×T.[O]・・・(4)
なお、アルゴンガス浸漬ノズルの閉塞防止の観点から1(Nリットル/min)以上吹き込む
【0039】
図5は、ホーロー用鋼板、電磁鋼板などに供する鋳片のように活性酸素濃度を10ppm以上含む溶鋼を鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【0040】
図5から明らかなように、アルゴンガス流量が多く活性酸素濃度A.[O]が少ないほどピンホール、ノロカミとも発生し、活性酸素濃度A.[O]が増加するにつれてピンホール、ノロカミが発生するアルゴンガス流量が減少する。
【0041】
この原因は、活性酸素濃度A.[O]が増加するにつれて、耐火物中のC(炭素)が活性酸素と反応する傾向が強く、アルゴンガス流量が増加すると耐火物の溶損を助長するためである。溶損した耐火物が鋳型内の溶鋼に侵入するとノロカミの原因になるばかりか、モールドパウダーを劣化させてピンホール増加の原因にもなる。ここでピンホール、ノロカミが発生しない条件を整理すると(5)式となる。
1≦アルゴンガス流量≦650/A.[O]・・・(5)
なお、アルゴンガス1(Nリットル/min)以上吹き込む
【0042】
【実施例】
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するために、種々の溶鋼をタンディッシュから鋳型までに吹き込むアルゴンガス流量を変化させて鋳造したときの欠陥(ピンホール、ノロカミおよび下工程でのスラブ原因疵)の発生状況を調査した。
【0043】
ピンホールおよびノロカミの発生有無の判断基準は、1鋳片毎に表面を目視観察した結果、鋳片表面に1個でもピンホール(ノロカミ)がある場合を、ピンホール(ノロカミ)が発生したものと判断した。また、下工程でのスラブ原因疵の発生有無の判断基準は、鋳片に冷間圧延および焼鈍処理を実施した後に供試材の表面を観察し、供試材表面に1個でもスラブ原因疵がある場合を、下工程でのスラブ原因疵が発生したものと判断した。
【0044】
このとき、1鋳片毎に、アルゴンガス流量、活性酸素濃度、およびトータル酸素濃度を測定した。以下、それぞれの条件での表面欠陥の発生状況を述べる。
【0045】
(実施例1)
まず、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を鋳造する場合の表面欠陥の発生状況を図6および7を用いて説明する。
【0046】
図6は、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【0047】
なお、図6において、本発明例は、トータル酸素濃度(ppm)の1.7倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例であり、比較例は、トータル酸素濃度(ppm)の2.3倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例である。
【0048】
図6(a)に示すように、ピンホ−ル発生率は、比較例では21.0%であり、本発明例では2.5%であった。図6(b)に示すように、ノロカミ発生率は、比較例では7.0%であり、本発明例では0.8%であった。また、図6(c)に示すように、下工程でのスラブ原因疵発生率は、比較例では3.5%であり、本発明例では0.4%であった。
【0049】
図7は、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【0050】
なお、図7において、本発明例は、トータル酸素濃度(ppm)の0.7倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例であり、比較例は、トータル酸素濃度(ppm)の1.3倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例である。
【0051】
図7(a)に示すように、ピンホ−ル発生率は、比較例では19.0%であり、本発明例では1.5%であった。図7(b)に示すように、ノロカミ発生率は、比較例では6.3%であり、本発明例では0.5%であった。また、図7(c)に示すように、下工程でのスラブ原因疵発生率は、比較例では3.2%であり、本発明例では0.3%であった。
【0052】
(実施例2)
次に、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を鋳造する場合の表面欠陥の発生状況を図8および9を用いて説明する。
【0053】
図8は、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【0054】
なお、図8において、本発明例は、トータル酸素濃度(ppm)の0.7倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例であり、比較例は、トータル酸素濃度(ppm)の1.3倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例である。
【0055】
図8(a)に示すように、ピンホ−ル発生率は、比較例では11.0%であり、本発明例では2.0%であった。図8(b)に示すように、ノロカミ発生率は、比較例では3.7%であり、本発明例では0.7%であった。また、図8(c)に示すように、下工程でのスラブ原因疵発生率は、比較例では1.8%であり、本発明例では0.3%であった。
【0056】
図9は、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【0057】
なお、図9において、本発明例は、トータル酸素濃度(ppm)の0.5倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例であり、比較例は、トータル酸素濃度(ppm)の1.1倍の流量(Nリットル/min)のアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例である。
【0058】
図9(a)に示すように、ピンホ−ル発生率は、比較例では13.0%であり、本発明例では2.0%であった。図9(b)に示すように、ノロカミ発生率は、比較例では4.3%であり、本発明例では0.7%であった。また、図9(c)に示すように、下工程でのスラブ原因疵発生率は、比較例では2.2%であり、本発明例では0.3%であった。
【0059】
(実施例3)
続いて、活性酸素濃度を10ppm以上とした溶鋼を鋳造する場合の表面欠陥の発生状況を図10を用いて説明する。
【0060】
図10は、活性酸素濃度を10ppm以上とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機または湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【0061】
なお、図10において、本発明例は、流量(Nリットル/min)が320/活性酸素濃度(ppm)であるアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例であり、比較例は、流量(Nリットル/min)が960/活性酸素濃度(ppm)であるアルゴンガスをタンディッシュから鋳型までの間に吹き込んだ例である。
【0062】
図10(a)に示すように、ピンホ−ル発生率は、比較例では35.0%であり、本発明例では5.0%であった。図10(b)に示すように、ノロカミ発生率は、比較例では11.7%であり、本発明例では1.7%であった。また、図10(c)に示すように、下工程でのスラブ原因疵発生率は、比較例では5.8%であり、本発明例では0.8%であった。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により製造されたスラブのピンホール、ノロカミの発生率は大幅に低下する。さらに下工程でのスラブ原因疵の発生率は大幅に低下させることができるため、かかる効果を有する本発明の意義は極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機(VB型の連続鋳造機)で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【図2】 Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型の連続鋳造機(B型連続鋳造機)で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【図3】 Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を率直曲げ型の連続鋳造機で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【図4】 Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型の連続鋳造機で鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【図5】ホーロー用鋼板、電磁鋼板などに供する鋳片のように活性酸素濃度を10ppm以上含む溶鋼を鋳造した際のノロカミ、ピンホールの発生状況を示す図である。
【図6】 Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【図7】 Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【図8】 Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【図9】 Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。
【図10】活性酸素濃度を10ppm以上とした溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機または湾曲型連続鋳造機によって鋳造したときの欠陥発生率を示す図であり、(a)は鋳片のピンホール発生率、(b)は鋳片のノロカミ発生率、(c)は下工程でのスラブ原因疵発生率である。

Claims (3)

  1. 真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、Ca処理を施さないで活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記条件を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
    (1)垂直型または垂直曲げ型連続鋳造機の場合、
    3≦アルゴンガス流量≦2.0×T.[O]・・・(1)
    (2)湾曲型連続鋳造機の場合、
    3≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(2)
    ここで、T.[O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(ppm)である。
  2. 真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、Ca処理を施して活性酸素濃度を10ppm未満とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記条件を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
    (1)垂直型または垂直曲げ型連続鋳造機の場合、
    1≦アルゴンガス流量≦1.0×T.[O]・・・(3)
    (2)湾曲型連続鋳造機の場合、
    1≦アルゴンガス流量≦0.8×T.[O]・・・(4)
    ここで、T.[O]は溶鋼中のトータル酸素濃度(ppm)である。
  3. 真空精錬において脱酸剤の添加によって活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を調整し、かつ、活性酸素濃度を10ppm以上とした溶鋼を連続鋳造する方法であって、真空精錬後に溶鋼中の活性酸素濃度およびトータル酸素濃度を測定し、タンディッシュから鋳型までの間に吹き込むアルゴンガス流量(Nリットル/min)が下記(5)式を満足するようにアルゴンガスを吹き込むことを特徴とする連続鋳造法。
    1≦アルゴンガス流量≦650/A.[O]・・・(5)
    ここで、A.[O]は溶鋼中の活性酸素濃度(ppm)である。
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