JP4402617B2 - 整流子の製造装置及び製造方法 - Google Patents
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特許文献1の製造装置では、センターピンと、センターピンの外周面と摺接して進退動可能な円筒形状のスリーブを備えており、スリーブの先端部とセンターピンの先端部位は、金型本体と共に整流子を成形するためのキャビティを形成している。
スリーブ14が図中下方の樹脂注入位置にある状態で、第1金型10に導電部材30を配置し、第1金型10と第2金型20を型締めすると、第1金型10,第2金型20,センターピン12の先端部,スリーブ14の先端面によって溶融樹脂充填空間Sが形成される(図7(A)参照)。
そして、第1金型10と第2金型20を型開き後、スリーブ14を第2金型20側へ駆動手段によってスライドさせることにより、スリーブ14の先端面によって一体成型品50を押し出して離型させることができる(図7(B)参照)。
そして、従来のエジェクタスリーブ方式では、センターピン12,スリーブ14,導電部材30が配置されその外周面を覆う第1金型10,の組み合わせ精度で製品である整流子の同軸を確保している。
したがって、このようにして同軸を確保する方法では、繰り返し一体成型品50を成形していくうちに、摺接面の摩耗によってガタが生じて同軸が狂い、製品である整流子の内径に対する外径の振れ精度が悪化したり、スリーブ14とセンターピン12との摺動部分に樹脂が入り込んで製品にバリが付着したりしてしまうという問題があった。
図1〜図4は本発明の一実施形態に係るものであり、図1は整流子の製造装置の断面説明図、図2は図1の製造装置による製造工程を表す説明図、図3は図1の製造装置による型開き工程を表す説明図、図4は図1の製造装置による離型工程を表す説明図である。
図5,図6は本発明の他の実施形態に係る製造装置の断面説明図である。
本例の第2金型20は、前面(第1金型10側の面)に型面が形成され、背面(第1金型10とは反対側の面)側が固定側取付板(不図示)に取り付けられて固定されている。また、第2金型20には、不図示の射出装置のノズルが接続されるスプルー21が形成されており、射出装置からの溶融樹脂材料がスプルー21を通ってランナーを介し、ゲート22からキャビティ内に射出されるようになっている。
第1金型10は、背面側がスペーサブロック16によって支持され、スペーサブロック16を介して、可動側取付板17に固定されている。この可動側取付板17は、不図示の駆動手段に連結されており、この駆動手段によって可動側取付板17,スペーサブロック16,第1金型10は第2金型20に対して進退動可能となっている。そして、この進退動によって、第1金型10と第2金型20は型締め可能である。
センターピン12は、モータの出力軸を嵌入するための整流子の軸取付孔を形成するものである。センターピン12は、その先端部12a(上記軸取付孔を形成する部位)がキャビティ10a内に配置されるように寸法設定されている。そして、先端部12aは、その中心軸が円柱状のキャビティ10a(およびキャビティ10aに配置される円環状の導電部材30)と同軸となるように配設されている。
なお、本例では、センターピン12の先端がキャビティ10a外には突出しないようになっているが、これに限らず、先端をキャビティ10a外に突出させ、これに対応して第2金型20に凹部を形成してもよい。
スリーブ14の先端部(第2金型20に対向する側の端部)には、中心側が窪むように凹部14a(図2参照)が形成されており、この凹部14aに連続して円筒状の縁部14b(図2参照)が形成されている。
また、スリーブ14の外周面14d(図4参照)とキャビティ10aおよび挿通孔10bの内周面との間には所定の間隔が設けられており、スリーブ14と第1金型10は遊嵌されている。すなわち、本例では、キャビティ10aおよび挿通孔10bの内径よりもスリーブ14の外径の方が小さく寸法設定されている。これにより、スリーブ14が進退動しても、スリーブ14と第1金型10のキャビティ10aおよび挿通孔10bとは摺接しないように構成されている。
まず、型開きされ、スリーブ14が上述の後退位置(溶融樹脂充填位置)にある状態で、第1金型10のキャビティ10aに導電部材30を配置する(導電部材配置工程)。キャビティ10aには、フランジ部32を配置するための円環状のフランジ配置部10cが形成されている。導電部材30を先端部31a側からキャビティ10a内に挿入していくと、円筒部31がキャビティ10aの内周面と摺接し、フランジ部32がフランジ配置部10cに嵌め込まれることによって行き止まる。このとき、導電部材30の先端部31aが、スリーブ14の縁部14bの先端面と当接する。この状態では、円環状の導電部材30の中心軸と同軸にセンターピン12が配置され、導電部材30の内周面とセンターピン12の先端部12aの外周面との間には、所定の間隔が形成される。
これにより、第1金型10のキャビティ10aの内周面と、第2金型20の型面と、センターピン12の先端部12aと、摺動部材13の端部13eと、スリーブ14の先端部(凹部14aと縁部14b)とによって溶融樹脂充填空間Sが形成される。この溶融樹脂充填空間Sには導電部材30が配設されているので、実質的には溶融樹脂充填空間Sから導電部材30を除いた空間に溶融樹脂を充填可能である。
型開き後、駆動手段19を駆動させてシリンダロッド19cを第2金型20側へ突出させる。これにより、図4に示すように、スリーブ14を第2金型20側へスライドさせることによって、一体成型品50を第1金型10のキャビティ10aから外部へ押し出していく(離型工程)。
そして、図4(B)に示すように、スリーブ14を離型位置まで完全に突出させることにより、一体成型品50を離型させることができる。
また、スリーブ14のスライドによって、スリーブ14と摺動部材13とは摺接するが、センターピン12とスリーブ14とは摺接しないので、センターピン12が摩耗することはない。
上記実施形態では、スリーブ14の先端部に凹部14a,縁部14bが形成されていたが、図5(A)に示すように、これらを設けないように構成してもよい。すなわち、図5(A)の例では、スリーブ14の先端部には、凹部14aが設けられていない。一方、スリーブ14は第1金型10のキャビティ10aおよび挿通孔10bに遊嵌されている。そして、スリーブ14が後退位置にあるときには、スリーブ14の先端部と摺動部材13の端部13eが面一となるように設定されている。このとき、導電部材30をキャビティ10aに配置すると、導電部材30の先端部31aがスリーブ14の先端部と当接した状態となる。
このように構成しても、第1金型10とスリーブ14,スリーブ14とセンターピン12がそれぞれ摺動することがないので、これらの摩耗を防止して、振れ精度を良好に維持することができる。
このように構成しても、第1金型10とスリーブ14が摺動することがないので、これらの摩耗を防止して、振れ精度を良好に維持することができる。
図6(A)の例では、スリーブ14の内周面14cに凹部14fが形成されている。本例では、この凹部14fは、軸方向から見たときに円環状に形成されている。また、図6(B)の例では、摺動部材13の外周面13dに凹部13fが形成されている。本例でも、この凹部13fは、軸方向から見たときに円環状に形成されている。そして、これら凹部13f,14fは、溶融樹脂充填空間Sと連続しない軸方向位置、すなわち摺動部材13,スリーブ14の先端面から軸方向に後退した位置(アンダーカットとなる位置)に形成されている。
そして、離型する際には、スリーブ14と摺動部材13が軸方向にずれるので、凹部13f,14fに浸入した余剰樹脂が自動的に切り取られ易くなり、切り取られた場合には凹部13f,14fに蓄積されていく。これにより、当該部位に形成されてしまうバリの発生を抑止することができる。また、これにより、他の部位に発生する余剰樹脂によるバリの発生を抑止することができる。
なお、凹部は、摺動部材13とスリーブ14の摺接面のいずれか一方ではなく、双方に形成してもよい。
10c‥フランジ配置部、11‥軸心部材、12‥センターピン、12a‥先端部、
13‥摺動部材、13a‥保持部、13b‥基部、13c‥貫通孔、13d‥外周面、
13e‥端部、13f‥凹部、14‥スリーブ、14a‥凹部、14b‥縁部、
14c‥内周面、14d‥外周面、14f‥凹部、16‥スペーサブロック、
17‥可動側取付板、18‥台座、19‥駆動手段、19a‥軸部、19b‥取付部、
19c‥シリンダロッド、20‥第2金型、21‥スプルー、22‥ゲート、
30‥導電部材、31‥円筒部、31a‥先端部、32‥フランジ部、
40‥樹脂部材、50‥一体成型品、50a‥軸取付孔、A‥溶融樹脂、
S‥溶融樹脂充填空間
Claims (4)
- 整流子片を形成するための導電部材を配置可能なキャビティを有する第1金型と、
該第1金型と型締めされることによって該第1金型との間に所定の空間を形成する第2金型と、
前記第1金型に対して不動に配置されると共に先端部が前記キャビティ内に配置された軸心部材と、
該軸心部材の外周面と摺接しながら該軸心部材の軸方向にスライド可能なスリーブと、を備えた整流子の製造装置であって、
前記軸心部材は、センターピンと、該センターピンの先端部以外の外周面を保持する摺接部材と、を有し、
前記スリーブの外周面と前記第1金型のキャビティの内周面との間には、径方向に所定の間隔が設けられ、
前記スリーブは、前記摺接部材の外周面と摺接し、前記第1金型のキャビティに導電部材が配置されたときに、前記スリーブの前記第2金型側の先端部が、導電部材の先端部と当接可能に形成されたことを特徴とする整流子の製造装置。 - 前記スリーブと前記摺接部材の摺接面には、少なくとも前記スリーブまたは前記摺接部材のいずれか一方に樹脂溜まり部としての凹部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の整流子の製造装置。
- 整流子片を形成するための円環状の導電部材を配置可能なキャビティを有する第1金型と、該第1金型と型締めされることによって該第1金型との間に所定の空間を形成する第2金型と、前記第1金型に対して不動に配置されると共に先端部が前記キャビティ内に配置されたセンターピンと、該センターピンの先端部以外の外周面を保持する摺接部材と、を有する軸心部材と、前記摺接部材の外周面と摺接しながら該軸心部材の軸方向にスライド可能であり前記第1金型のキャビティの内周面との間に径方向に所定の間隔を設けて配置されたスリーブと、を備えた製造装置を用いた整流子の製造方法であって、
前記導電部材を前記第1金型のキャビティに配置して前記軸心部材の先端部を前記導電部材内に挿入し、前記導電部材の先端部と前記スリーブの前記第2金型側の先端部とを当接させる導電部材配置工程と、
前記第1金型と前記第2金型とを型締めして、前記第1金型と、前記第2金型と、前記軸心部材と、前記スリーブと、によって溶融樹脂充填空間を形成する型締め工程と、
前記溶融樹脂充填空間に溶融樹脂を充填して固化させ、前記導電部材と樹脂部材が一体に形成された一体成形品を形成する樹脂充填工程と、
型開き後に前記スリーブを前記第1金型側から前記第2金型側へスライドさせることによって、前記一体成形品を前記第1金型から離型させる離型工程と、
前記一体成型品の導電部材を切断して複数の整流子片を形成する整流子片形成工程と、を備えたことを特徴とする整流子の製造方法。 - 前記樹脂充填工程では、前記スリーブと前記摺接部材の摺接面において少なくとも前記スリーブまたは前記摺接部材のいずれか一方に樹脂溜まり部として形成された凹部に余剰樹脂を浸入させることを特徴とする請求項3に記載の整流子の製造方法。
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