JP4392084B2 - リード線封止構造及びそれを用いたガスセンサ - Google Patents

リード線封止構造及びそれを用いたガスセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば各種ガスセンサを始めとして、セラミックヒータ、グロープラグ等のように、電気素子を備え、かつ高温下で使用される応用電子機器に適用されるリード線封止構造に関する。また、本発明は、例えば酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサ等のように、上記電気素子が、測定対象となるガス中の被検出成分を検出するための検出素子であり、かつ上記リード線封止構造を用いたガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より応用電子機器の一例として、例えば自動車等の内燃機関から排出される排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが知られている。このような酸素センサでは、ジルコニア(ZrO)等の固体電解質や金属酸化物半導体により構成された検出素子(電気素子)が用いられている。検出素子は開口部を有する金属製の外筒の内側に配置され、その出力は検出素子に接続されたリード線により外筒の外側に取り出される。また、リード線が引き出される外筒の開口部には、外筒内へ水等が浸入することを阻止するためにゴム製のグロメットがはめ込まれ、リード線はこのグロメットを貫いて外筒の外側に延出されている。リード線と外筒との間はグロメットの弾性力により封止されている。
【0003】
ここで、上記酸素センサは作動温度が300℃以上と高く、ヒータにより検出素子を強制加熱する構造が一般に採用されている。その結果、ヒータによる発熱にエンジンからの発熱も重なって外筒の温度が上昇し、外筒からの熱伝導を受けてグロメットもかなりの高温に晒される。そこで、一般にはグロメットをフッ素ゴム等の耐熱性ゴムで構成して、高温下でのリード線と外筒との間のシール性を確保することが行われている。その中でも高温下での上記シール性にさらに優れた封止構造として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂製のグロメットにリード線を挿通し、その外側に筒状のゴムシール部材を配置して、外筒をそのゴムシール部材に向けて加締めることによりゴムシール部材を圧縮させた封止構造も採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、グロメットの材質であるPTFE樹脂の熱膨張率がかなり大きいことから、上記従来の封止構造においては、長時間高温下に晒されるとグロメットが膨張してそのグロメットと外筒との間で圧縮された状態にあるゴムシール部材に過度の圧縮力が働き、ゴムシール部材が損傷してしまう場合がある。また、圧縮された状態にあるゴムシール部材には強い加締め力が常に作用しており、高温下ではこの状態にグロメットからの膨張力も付加される。このことから、例えば内燃機関の運転の繰り返し等により加熱・冷却サイクル(以下、単に熱サイクルという)が繰返し付加されると、ゴムシール部材の弾性が劣化してゴムシール部材に永久変形歪が生じやすくなり、シール性の低下等につながる場合もある。
【0005】
本発明の課題は、長時間高温下に晒されたり、あるいは熱サイクルが繰返し付加された場合でも、良好なシール性を長期にわたって維持することができる、リード線封止構造及びそれを用いたガスセンサを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、第一番目の発明に係るリード線封止構造(以下、単に封止構造ともいう)は、
内側にガスセンサ、セラミックヒータ又はグロープラグにおける電気素子を配置し、少なくとも一端に開口部を有する外筒と、
前記電気素子と導通され、前記開口部を通って前記外筒の外側に延出されるリード線と、
前記リード線が挿通されるリード線挿通孔を有するとともに、前記開口部内側に配置されて、前記リード線と前記外筒の開口部内壁との間を封止するグロメットとを備え、
前記リード線挿通孔の内面を含む前記グロメットの全体が多孔質金属からなる多孔質体で形成された多孔質体形成部からなり、該多孔質体形成部の内で前記リード線挿通孔の内面を構成する挿通孔封着面と前記リード線の外被との間が封着樹脂層を熱融着させて接合させた状態で封着されるとともに、
前記挿通孔封着面の表面に露出している前記多孔質体の空隙に前記封着樹脂層が充填されて、前記多孔質体形成部と封着樹脂層とは密着しており、
前記外筒の開口部内壁と前記グロメットの外周面とは、該グロメットの周方向に沿って形成された全周溶接部により接合されていることを特徴とする。
【0007】
上記第一番目の発明によれば、リード線が挿通されるグロメットにおけるリード線挿通孔の内、挿通孔封着面を含む部分が、多孔質体で形成された多孔質体形成部からなり、挿通孔封着面とリード線の外面との間が封着樹脂層により封着されている。つまり、多孔質体形成部と封着樹脂層との密着面において、多孔質体形成部の挿通孔封着面の表面に露出して形成される多孔質体の空隙(すなわち、挿通孔封着面の凹凸)に封着樹脂層が充填される。したがって、封着樹脂層は多孔質体形成部の挿通孔封着面に対して機械的にかみ合うことから、多孔質体形成部と封着樹脂層とは強く密着する。これにより、長時間高温下に晒されたり、あるいは熱サイクルが繰返し付加されたりするような、苛酷な使用環境下でも、上記封止構造はリード線の外面と外筒の開口部内壁との間に良好なシール性を長期にわたって維持することができる。なお、グロメット全体が多孔質金属等の多孔質体で形成される場合と、グロメットの一部(例えば挿通孔封着面を含む部分のみ)が多孔質体で形成される場合とがある。後者の場合、多孔質体形成部の挿通孔封着面がリード線挿通孔の内面のうち周方向において全周にわたって形成されていると、この挿通孔封着面がリード線の全周を囲むことになり、挿通孔封着面とリード線の外面との間が封着樹脂層により隙間なく封着される。したがって、多孔質体形成部の挿通孔封着面をリード線の全周を囲む形で配置することは、挿通孔封着面とリード線の外面との間のシール性を確実にする上で望ましい。
【0008】
さらに本発明は、多孔質体形成部を形成する多孔質体を、多孔質金属とすることができる。多孔質金属を用いることにより、前述した苛酷な使用環境下でも空隙が崩壊したりせず、良好なシール性を長期に渡って安定的に維持することができる。また、多孔質金属のためグロメットに蓄積される熱を効果的に放熱することができ、外筒の過度の温度上昇を抑制できる。
【0009】
なお、多孔質金属としては、焼結により製造されたステンレススチール、Al(アルミニウム)、Al合金、Cu(銅)、Cu合金等、又は硬質クロムメッキ等を使用することができる。また、長時間高温下に晒されたり、熱サイクルが繰返し付加されたりする使用環境を考慮すると、多孔質金属は、前述の封着樹脂に近い熱膨張率を有するものが望ましい。
【0010】
また、多孔質体形成部を形成する多孔質金属に関して、焼結粉末の平均粒子径は、100〜250μmの範囲で調整するのがよい。このとき、多孔質体形成部における表面粗さについて、最大高さでみれば、40〜100μmRと表すことができ、算術平均粗さでみると、5〜15μmRと表すことができる。なお、最大高さR及び算術平均粗さRに関して、カットオフ値と評価長さとはいずれもJIS B0601(1994年制定)の標準値を採用する。ここで、最大高さが40μmR未満になると空隙が小さすぎるため、多孔質体形成部と封着樹脂層とが強く密着できない場合がある。他方、最大高さが100μmRを超えると空隙が大きすぎるため、空隙に充填された封着樹脂層が剥離又は脱落する場合がある。
【0011】
さらに本発明の封着樹脂層は、挿通孔封着面及びリード線の外面に対し熱溶着により接合された状態で封着されているとよい。すなわち、従来のように、ゴム製のグロメットを用いて外筒に加締め部を形成することにより封止する場合は、加締め圧力がリード線挿通孔の周囲に必ずしも均一に付加されるとは限らず、シール性に影響を生ずることもあった。しかし、封着樹脂層の熱溶着により封着させる構成とすれば、高いシール性を確実に得ることが可能となる。
【0012】
上記封着樹脂層は、加熱によりある程度の流動性(例えば、溶融粘度にて10〜10ポアズ程度)を付加できるタイプのフッ素系樹脂を使用するのが、熱溶着によるシール効果を高める上で都合がよい。このようなフッ素系樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(パーフルオロアルコキシアルカン;以下、PFAと略記する)樹脂を主体とするものを例示できる。これは、化1に示す一般構造式を有する。ただし、(−O−Rf)は(−O−CF)、(−O−C)等のアルキルエーテル基(パーフルオロアルコキシ基)である。
【0013】
【化1】
Figure 0004392084
【0014】
また、これ以外では、
・テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
・ポリクロロ−トリフルオロエチレン(PCTFE)
・エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)
・クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)
・ポリふっ化ビニリデン(ポリビニリデンフルオライド;PVDF)
・ポリふっ化ビニル(ポリビニルフルオライド;PVF)
等の使用が可能である。
【0015】
なお、本明細書において「主体」とは、最も重量含有率の高い成分を意味し、必ずしも「50重量%以上を占める成分」を意味するものではない。
【0016】
また、本発明のリード線が芯線を樹脂製の外被で覆った状態で複数設けられる場合は、グロメットには各リード線が個別に挿通される複数のリード線挿通孔を形成し、各リード線挿通孔に形成される前記挿通孔封着面と、これに対応するリード線の外被外面との間をそれぞれ封着樹脂層により封着することができる。すなわち、各リード線毎に個別にリード線挿通孔を設けて、各挿通孔封着面と、これに対応するリード線の外被外面との間をそれぞれ封着樹脂層で封着することにより、両者の間のシール性を一層確実なものとすることができる。
【0017】
さらに、本発明のリード線挿通孔には座ぐり部を形成し、この座ぐり部の内面を前記挿通孔封着面に形成することができる。座ぐり部に対して封着樹脂層が充填形成されることになるので、リード線挿通孔に対する封着樹脂層の位置決めがスムーズかつ確実に行え、挿通孔封着面とリード線の外面との間のシール性を確実に形成することができる。
【0018】
さらに本発明のグロメットの多孔質体形成部には、少なくとも表層部において樹脂含浸層を形成することができる。グロメットが、例えば多孔質金属すなわち焼結金属又は焼結金属合金等で形成される場合、その内部には多数の空隙を包含する。多孔質金属の焼結度合等によっては、グロメットの多孔質体形成部に分布する空隙がグロメットの後端面側から前端面側にかけて又は外周面側から前端面側にかけて一連の鎖状に連続して並び、外筒の外部と内部とを連通する形態で、気通路が多孔質体形成部に形成される場合がある。この気通路を通じて水等が浸入すると、電気素子が作動不良を起こしたり、作動不能になったりする恐れがある。多孔質体形成部の、少なくとも表層部において樹脂含浸層を形成することによって、この気通路を塞ぎ、水等の浸入を阻止することが可能になる。この場合、樹脂含浸層がグロメットの後端面(すなわち、外筒の開口部から露出している面)を含む形で形成すれば、又は樹脂含浸層がグロメットの外周面を含む形で形成すれば、グロメットの後端面上又は外周面上の空隙を確実に塞いで水等の浸入を効果的に阻止できる。
【0019】
なお、樹脂含浸層を形成する含浸樹脂として、例えば熱可塑性ポリイミド(以下、TPIと略記する)樹脂を主体とするものを使用することができる。TPI樹脂は、融点が300℃を超える耐熱性樹脂で、成形加工性に優れている。
【0020】
さらに本発明は、グロメットが、外筒の開口部内側に配置され、開口部内壁とグロメットの外周面とを接合する全周接合部を、グロメットの周方向に沿って形成することができる。グロメットの周方向(すなわち外筒の開口部の周方向)に沿って、例えばレーザー溶接、抵抗溶接、ろう接等により全周接合部を形成することによって、外筒の開口部内壁とグロメットの外周面との間の隙間を塞ぎ、この隙間からの水等の浸入を効果的に阻止できる。
【0021】
一方、上記課題を解決するために、第二番目の発明に係るガスセンサは、上記電気素子が、測定対象となるガス中の被検出成分を検出するための検出素子であり、かつ上記第一番目の発明に係るリード線封止構造を用いたことを特徴とする。具体的には、該ガスセンサは、
内側に測定対象となるガス中の被検出成分を検出するための検出素子を配置し、少なくとも一端に開口部を有する外筒と、
前記検出素子と導通され、前記開口部を通って前記外筒の外側に延出されるリード線と、
前記リード線が挿通されるリード線挿通孔を有するとともに、前記開口部内側に配置されて、前記リード線と前記外筒の開口部内壁との間を封止するグロメットとを備え、
前記リード線挿通孔の内面を含む前記グロメットの全体が多孔質金属からなる多孔質体で形成された多孔質体形成部からなり、該多孔質体形成部の内で前記リード線挿通孔の内面を構成する挿通孔封着面と前記リード線の外被との間が封着樹脂層を熱融着させて接合させた状態で封着されるとともに、
前記挿通孔封着面の表面に露出している前記多孔質体の空隙に前記封着樹脂層が充填されて、前記多孔質体形成部と封着樹脂層とは密着しており、
前記外筒の開口部内壁と前記グロメットの外周面とは、該グロメットの周方向に沿って形成された全周溶接部により接合されていることを特徴とする。
【0022】
上記第二番目の発明によれば、例えばガスセンサが排気管等に設置される場合のように、長時間高温下に晒されたり、あるいは熱サイクルが繰返し付加されたりするような苛酷な使用環境下でも、ガスセンサはリード線の外面と外筒の開口部内壁との間のシール性を長期にわたって良好に維持することができる。上記のシール性が維持されていれば、ガスセンサへの水等の浸入が防止されるので、検出素子は作動不良や作動不能に陥ることなく機能する。したがって、検出素子からの電気的出力が安定した状態で得られるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照して説明する。
図1には、この発明のリード線封止構造を用いて構成された応用電子機器の一実施例として、自動車等の内燃機関から排出される排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ1を示している。この酸素センサ1はλ型酸素センサと通称されるガスセンサの代表的なもので、検出素子2(電気素子)が、筒状の主体金具3の内側に設けられた軸状の挿通孔31内にて固定された構造を有している。そして、主体金具3の外周面に形成された取付ねじ部3aにより、検出素子2の先端側の検出部Dが排気管内に位置するように取り付けられ、排気管内を流れる高温の排気ガスに晒される。なお、主体金具3には、挿通孔31の軸線方向においてその中間部に所定幅で、かつ外周面から突出する形態で六角断面形状の鍔部3dが形成されている。よって、この鍔部3dにレンチ等の工具を嵌合させ回転させると、酸素センサ1はガスケット3bを介して取付ねじ部3aにより排気管内の所定位置に取り付けられる。
【0024】
検出素子2は方形状断面を有する長尺状のもので、図2(a)に示すように、それぞれ横長板状に形成された酸素濃淡電池素子20と、酸素濃淡電池素子20を所定の活性化温度に加熱するセラミックヒータ22とが積層されたものとして構成されている。酸素濃淡電池素子20は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質により構成された素子本体層21を有する。そのような固体電解質としては、YないしCaOを固溶させたZrOが代表的なものであるが、それ以外のアルカリ土類金属ないし希土類金属の酸化物とZrOとの固溶体を使用してもよい。また、ベースとなるZrOにはHfOが含有されていてもよい。
【0025】
一方、セラミックヒータ(以下、単にヒータともいう)22は、高融点金属あるいは導電性セラミックで構成された抵抗発熱体パターン23をセラミック基体中に埋設した構成を有する。具体的には、ヒータ22は、第一絶縁層24と、抵抗発熱体パターン23と、第一ヒータ本体層28及び第二ヒータ本体層29とを備えた多層構造となっている。このうち、第一絶縁層24は、絶縁性セラミックとしてのアルミナを主体とするアルミナ系セラミックにより、ヒータ22の板厚方向中間位置に形成されている。また、抵抗発熱体パターン23は、第一絶縁層24中に埋設される形でヒータ22の板面方向に沿って形成されている。そして、第一ヒータ本体層28及び第二ヒータ本体層29は、第一絶縁層24を厚さ方向両側から挟む形で形成されるとともに、それぞれジルコニアを主成分とする酸素イオン伝導性固体電解質で構成されている。
【0026】
酸素濃淡電池素子20には、その長手方向における一方の端部(主体金具3の先端より突出する部分)寄りにおいてその両面に、酸素分子解離能を有した多孔質電極25,26が形成されている。そして、それら電極25,26及びそれらの間に挟まれる固体電解質部分とが検出部Dを形成することとなる。なお、以下の記載において、検出素子2の軸方向(長手方向)における主体金具3から突出する側を「前方側(あるいは先端側)」、これと反対側を「後方側(あるいは後端側)」として説明を行う。
【0027】
酸素濃淡電池素子20において、多孔質電極25,26には、素子本体層21の長手方向に沿って酸素センサ1の取付基端側(後端側)に向けて延びる電極リード部25a,26aがそれぞれ一体に形成されている。このうち、ヒータ22と対向しない側の電極25からの電極リード部25aは、その末端が電極端子部7として使用される。一方、ヒータ22に対向する側の電極26の電極リード部26aは、図2(c)に示すように、素子本体層21を厚さ方向に横切るビア26bにより反対側の素子面に形成された電極端子部7と接続されている。すなわち、酸素濃淡電池素子20は、両多孔質電極25,26の電極端子部7が電極25側の板面末端に並んで形成される形となっている。上記各電極25,26、電極端子部7及びビア26bは、Pt又はPt合金など、酸素分子解離反応の触媒活性を有した金属粉末のペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターン形成し、これを焼成することにより得られるものである。
【0028】
一方、ヒータ22の抵抗発熱体パターン23に通電するためのリード部23a,23aも、図2(d)に示すように、ヒータ22の酸素濃淡電池素子20と対向しない側の板面末端に形成された電極端子部7,7に、それぞれビア23bを介して接続されている。
【0029】
図2(b)に示すように、ヒータ22は、第一ヒータ本体層28側において、アルミナ系セラミックにより構成される第二絶縁層27を介して、酸素濃淡電池素子20の多孔質電極26側に接合されている。そして、その接合側の多孔質電極(基準電極)26には、電極リード部26a(これも多孔質である)の一端が接続されるとともに、反対側の多孔質電極(測定電極)25との間には、多孔質電極26側に酸素が汲み込まれる方向に微小なポンピング電流が印加される。ここで、電極リード部26aは接合された酸素濃淡電池素子20とヒータ22との間に挟まれる形で、セラミック素子2の内部に位置し、その末端面はセラミック素子2の取付基端側の端面に露出して、ガス放出口を形成している。そして、上記ポンピングされた酸素は電極リード部26aを経てガス放出口から大気中に放出される。これにより、多孔質電極26内の酸素濃度は大気よりも若干高い値に保持され、酸素基準電極として機能することとなる。一方、反対側の多孔質電極25は排気ガスと接触する測定電極となる。
【0030】
このような検出素子2が、図1に示すように、主体金具3に形成された挿通孔31に挿通されるとともに、挿通孔31の内面と検出素子2の外面との間が、ガラス(例えば結晶化亜鉛シリカほう酸系ガラス)を主体に構成される封着材層32により封着されている。そして、検出素子2は、上記封着材層32等により、先端の検出部Dが、排気管に固定される主体金具3の先端より突出した状態で該主体金具3内に固定される。主体金具3の先端部3h外周には、検出素子2の突出部分を覆う金属製の二重のプロテクトカバー6a、6bがレーザー溶接あるいは抵抗溶接(例えばスポット溶接)等によって固着されている。このカバー6a、6bは、キャップ状を呈するもので、その先端や周囲に、排気管内を流れる高温の排気ガスをカバー6a、6b内に導く開口6c、6dが形成されている。一方、主体金具3の後端部は外筒18の先端部内側に挿入され、その重なり部において周方向に環状に形成された結合部としての溶接部(例えばレーザー溶接部)35により互いに気密状態で接合されている。
【0031】
検出素子2の各電極端子部7(4極を総称する)には、第一コネクタA、導線8(長手状金属薄板)、さらに第二コネクタ部13を介して、リード線14が電気的に接続されている。そして、都合4本のリード線14は、外筒18の後端側に形成された開口部18cの内側に嵌め込まれるグロメット51を貫通して外部に延び、それらの先端に図示しないコネクタプラグが連結されている。さらに各リード線14のグロメット51より外部に延びる部分には、これらを収束して保護する保護チューブ17が被せられている。
【0032】
図3に、リード線封止構造50の一例を示す。図3の実施例では、封止構造50は、グロメット51、全周溶接部52及び封着樹脂層53等より構成される。グロメット51は、リード線14が挿通されるリード線挿通孔51aが軸方向に貫通して形成されるとともに、外筒18の開口部18cの内側に嵌入されて、リード線14と外筒18の開口部18c内壁との間を封止(シール)する。またグロメット51は、多孔質金属で形成された多孔質体形成部51bで全体が構成されている。具体的には、多孔質体形成部51b(グロメット51)は、焼結により製造されたステンレススチール(例えばSUS304)からなる。それにより、酸素センサ1が長時間高温下に晒されたり、あるいは熱サイクルを繰返し付加された場合でも、多孔質体形成部51bに形成される空隙kが崩壊したりせず、封止構造50はリード線14の外面と外筒18の開口部18c内壁との間の良好なシール性を維持できる。
【0033】
図3(b)に示すように、リード線14は都合4本あり、それぞれのリード線14は、芯線14aの外側をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂チューブ製の外被14bで覆った形態である。グロメット51には、各リード線14が個別に挿通される4個のリード線挿通孔51aがそれぞれ軸方向に貫通し、かつリード線挿通孔51aの軸直交断面において、各リード線14の中心が単一のピッチ円P上に等間隔で配置されている。そして、各リード線挿通孔51aの内面と、これに対応するリード線14の外被14b外面との間は、PFA樹脂を主体とする封着樹脂層53により封着されている。ここで封着樹脂層53は、熱溶着により各リード線挿通孔51aの内面及びリード線14の外被14b外面に対して接合された状態で封着される。なお、グロメット51の各リード線挿通孔51aには各々座ぐり部51a’が形成されており、この座ぐり部51a’に対して封着樹脂層53が充填形成されている。
【0034】
図3(c)に表された多孔質体形成部51bと封着樹脂層53との密着面において、座ぐり部51a’(リード線挿通孔51a)の内面に形成される多孔質金属の空隙k(すなわち、多孔質体形成部51bの挿通孔封着面510の表面に露出して形成される多孔質金属の空隙k)に封着樹脂層53が充填されることになる。つまり、封着樹脂層53は多孔質体形成部51bの挿通孔封着面510に対して機械的にかみ合うことから、多孔質体形成部51bと封着樹脂層53とは強く密着する。そして、座ぐり部51a’(リード線挿通孔51a)の内面と、リード線14の外被14b外面との間を封着する形で、封着樹脂層53が熱溶着により接合され、良好なシール性を有する封止構造を実現している。
【0035】
ここで、座ぐり部51a’は、図3(c)に示すようにグロメット51の後端面を起点として軸線方向の長さの略半分まで設けられている。座ぐり部51a’の前端部は前方側が縮径しており、封着樹脂層53もこの縮径部に対応して、前方側に行くほどその厚みを減少させている。その結果、封着樹脂層53の軸線方向の長さはグロメット51のそれよりも短く形成されている。このように、リード線挿通孔51aの内面の一部、つまり座ぐり部51a’の軸線方向長さに相当する内面部分が挿通孔封着面510を形成している。ただし、多孔質体形成部51bの挿通孔封着面510はリード線挿通孔51a(座ぐり部51a’)の内面のうち周方向においては全周にわたって形成されており、挿通孔封着面510がリード線14の全周を囲む形で配置されている。そして、この挿通孔封着面510とリード線14の外被14b外面との間が封着樹脂層53により隙間なく封着されることになる。したがって、多孔質体形成部51bの挿通孔封着面510をリード線14の全周を囲む形で配置すれば、挿通孔封着面510とリード線14の外被14b外面との間のシール性が一層確実になる。勿論、挿通孔封着面510はリード線挿通孔51aの内面全体を占める場合もある(例えば図7(b)参照)。なお、座ぐり部51a’の上記形状は、グロメット51を金型プレスにより所期の形状に成形・焼結するときに形成すればよい。
【0036】
なお、多孔質体形成部51bを形成するステンレススチール(例えばSUS304)の多孔性すなわち空隙の体積率は、25〜45%(望ましくは30〜40%)、焼結粉末の平均粒子径は、100〜250μm(望ましくは150〜200μm)の範囲で調整するのがよい。
【0037】
多孔質金属の焼結度合によっては、グロメット51の多孔質体形成部51bに分布する空隙kがグロメット51の後端面側から前端面側にかけて又は外周面側から前端面側にかけて一連の鎖状に連続して並び、外筒18の外部と内部とを連通する形態で、気通路Kが多孔質体形成部51bに形成される場合がある(図3(c)参照)。このような場合には、グロメット51の多孔質体形成部51bの後端面、外周面及び前端面において、それぞれの表層部に樹脂含浸層51b’を形成(含浸)すれば、この樹脂含浸層51b’が気通路Kを塞ぎ、水等の浸入を阻止する。
【0038】
グロメット51が外筒18の開口部18c内側に挿入され、グロメット51(又は外筒18の開口部18c)の周方向に沿って、例えばレーザー溶接や抵抗溶接等により全周溶接部52(全周接合部)を形成し、開口部18c内壁とグロメット51の外周面とを接合している。その結果、外筒18の開口部18c内壁とグロメット51の外周面との間の隙間Sが塞がれ、この隙間Sからの水等の浸入が阻止される。
【0039】
このような封止構造50は、例えば次のようにして形成することができる。 まず、図4(a)に示すように、金型Mの中央部に形成された加圧室に下部パンチLPを挿入し、グロメット51を形成する多孔質金属材料として、ステンレススチールの焼結粉末Tを金型Mの加圧室に充填する。充填完了後金型Mの加圧室に上部パンチUPを上方から挿入する。このとき、台座Bに固定された4本のピンFPが焼結粉末Tの充填層に埋設され、この固定ピンFPは下部パンチLP及び加圧室を経て上部パンチUPをも貫通している。各々の固定ピンFPは、リード線14を挿通するためのリード線挿通孔51aと、封着樹脂層53を形成するための座ぐり部51a’とに対応する形状を有している。そして上部パンチUPを加圧すると、多孔質のグロメット成形体51Aが得られるので、下部パンチLPを上昇させてグロメット成形体51Aを抜き出す。なお、加圧成形後のグロメット成形体51Aを多孔質体とするため、グロメット成形体51Aの密度が4.5〜6.5g/cmとなるように以下に述べる調整を行う。すなわち、焼結粉末Tの充填時に下部パンチLPを昇降させて粉末充填量を調整し、また加圧成形時に上部パンチUPのストローク量(グロメット成形体51Aの軸線方向寸法に該当する)を調整する。グロメット成形体51Aの密度が4.5g/cm未満であると、グロメット成形体51Aが充分に固まらずに粉末状態のままとなる場合がある。一方、密度が6.5g/cmを超えると、空隙kが充分に残存せず多孔質体が形成されない場合がある。
【0040】
このようにして得られたグロメット成形体51Aは、窒素雰囲気中において、1120℃前後の温度で1時間程度焼成される。その結果、図4(b)に示すように、4個のリード線挿通孔51aとその座ぐり部51a’とを有し、全体が多孔質体形成部51bで構成されるグロメット焼結体51Bが得られる。
【0041】
次いで、図5(a)に示すように、エマルジョン状態の熱可塑性ポリイミド(以下、TPIと略記する)樹脂を浸漬槽Tに貯留し、必要により溶媒で薄めて樹脂の含有量が20〜40重量%(例えば30重量%)程度の含浸剤Eを調整する。浸漬槽Tの含浸剤Eに図4(b)で作成したグロメット焼結体51Bをどぶ漬けし、多孔質体形成部51bの後端面、外周面及び前端面において、それぞれの表層部に分布する空隙kに含浸剤(TPI樹脂エマルジョン)Eを充填する。
【0042】
さらに、図5(b)に示すように、常温で真空引きして含浸剤Eを多孔質体形成部51bの表層部に含浸させ、200〜400℃(例えば380℃)で乾燥すると、多孔質体形成部51bの表層部に樹脂含浸層51b’が形成される。その結果、空隙kが一連の鎖状に連続して並び、グロメット焼結体51Bの両端面間又はいずれかの端面と外周面との間に形成されていた気通路Kが、空隙kへの含浸剤Eの充填によって塞がれる(図3(c)参照)。
【0043】
次に図6(a)に示すように、形成すべき封着樹脂層53(図3)に対応するPFA樹脂チューブ53’を用意する。そして、これらPFA樹脂チューブ53’を各リード線14に対し、外被14bの外側に装着する。なお、本実施例では、PFA樹脂チューブ53’の孔内径は、リード線14の挿通を容易として作業能率を向上させる観点から、リード線14の外径よりも多少大きく設定されている。他方、PFA樹脂チューブ53’の孔内径をリード線14の外径よりも少し小さく設定しておくこともできる。この場合は、PFA樹脂チューブ53’をリード線14上の所定位置に対し、摩擦により容易に位置決めすることができる利点が生ずる。
【0044】
さて、図5(b)においてグロメット焼結体51Bに埋設されていた4個の中子Nを、座ぐり部51a’が形成された側から引き抜くと、グロメット焼結体51Bには軸線方向に貫通する4個のリード線挿通孔51a及び座ぐり部51a’が現れる。そこで、図6(b)に示すように、PFA樹脂チューブ53’を装着した各リード線14を、それぞれグロメット焼結体51Bのリード線挿通孔51aに挿入する。このとき、各PFA樹脂チューブ53’はリード線14とともにリード線挿通孔51aの座ぐり部51a’に入り込むとともに、座ぐり部51a’の先端に形成された縮径部に当たって止められる。これによって、リード線14がグロメット焼結体51Bに対して位置決め装着される。なお、PFA樹脂チューブ53’の位置決めに際しては、リード線挿通孔51aの内径をリード線14の外径よりも少し小さく設定しておくことが有利であるが、本実施例では前述の通り、リード線14挿通の作業能率を確保するために、リード線挿通孔51aの内径をリード線14の外径よりも多少大きく設定している。
【0045】
図6(b)の状態で、全体をPFA樹脂の軟化点以上に(例えば360℃で20分間)加熱する。これにより図6(c)に示すように、PFA樹脂チューブ53’は座ぐり部51a’の内面すなわち挿通孔封着面510と、リード線14の外被14bの外面とにそれぞれ融着して封着樹脂層53となり、グロメット51が形成される。なお、封着樹脂層53を形成する方法としては、PFA樹脂チューブ53’を用いて形成する方法以外に、次のような方法もある。すなわち、型成形又は加工成形されたリード線挿通孔51a(座ぐり部51a’)にPFA樹脂の粉末、溶液、エマルジョン等を充填し、上記と同様にPFA樹脂の軟化点以上に加熱する方法等も採用できる。
【0046】
そして、図6(c)に示すように、グロメット51を外筒18の後端側開口部18c内側に挿入し、グロメット51の後端面と外筒18の開口部18cの後端縁とを位置合わせする。そして、その状態でグロメット51(又は外筒18の開口部18c)の周方向に沿って全周溶接部52を形成し、開口部18c内壁とグロメット51の外周面とを接合する。具体的には、レーザー光源Lから発射されるYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)レーザービームLBを外筒18の開口部18cの外周面に対して略水平方向に照射する。この照射位置において、グロメット51の外周面と外筒18の開口部18c内壁とが金属同士融着されるため、グロメット51の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間に形成される隙間Sが塞がれる。以上のようにして封止構造50が完成する。
【0047】
次に、図1に戻り、検出素子2の軸線方向において、封着材層32の少なくとも一方の側に隣接する形で(本実施例では封着材層32の、検出部Dに近い端面側に隣接して)、多孔質無機物質で構成された緩衝層38が形成されている。該緩衝層38は、例えばタルク(滑石)等の無機物質粉末の圧粉成形体あるいは多孔質仮焼体として形成されており、封着材層32から軸方向に突出するセラミック素子2を外側から包むように支持し、過度の曲げ応力や熱応力が検出素子2に加わるのを抑制する役割を果たす。
【0048】
また、挿通孔31の内面と外筒18の内面との間には、封着材層32の周囲を取り囲む空隙部33が、主体金具3の一部を切り欠く形態で形成されている。上記空隙部33は、主体金具3の挿通孔31の周方向に形成された環状形態をなし、かつ主体金具3の肉厚方向中間部において挿通孔31の形成方向に延びる溝部とされている(以下、溝部33という)。なお、本実施例において溝部33の底面33aは、検出素子2の軸線方向において封着材層32の対応する端面よりも先端側に位置するものとされている。
【0049】
この溝部(空隙部)33は、センサ1に急激な温度変化等が加わった場合に断熱層の役割を果たし、その熱衝撃の影響が封着材層32に及びにくくなる。また、溝部33の外側壁部を形成する主体金具部分3gが、自身の変形により衝撃を吸収する緩衝部として作用しうるので、封着材層32への影響を緩和することができる。溝部33の底面33aは、検出素子2の軸線方向において、主体金具3の鍔部3dの後端縁3eよりも先端側に延びて形成されている。これにより溝部33は、主体金具3の後端側の外筒18が接合される肉薄部分3fの全長に渡るように形成されることとなる。この場合、溝部33の底面33aは、検出素子2の軸線方向において溶接部35よりも先端側に位置するものとなる。
【0050】
以下、酸素センサ1の作動と封止構造50の作用について説明する。
すなわち、酸素センサ1は、前述の通り主体金具3のねじ部3aにおいて車両の排気管等に固定され、またコネクタプラグ(図示せず)を介して各リード線14がコントローラに接続されて使用に供される。そして、その検出部Dが排気ガスに晒されると、酸素濃淡電池素子20の多孔質電極25(図2)が排気ガスと接触し、酸素濃淡電池素子20には該排気ガス中の酸素濃度に応じた酸素濃淡電池起電力が生じる。この起電力が、電極リード部25a及び26aを経て電極端子部7,7、さらにはリード線14,14を介してセンサ出力として取り出される。この種のλ型酸素センサは、排気ガス組成が理論空燃比となる近傍で濃淡電池起電力が急激に変化する特性を示すことから、空燃比検出用に広く使用されるものである。
【0051】
ここで、酸素センサ1の、例えば自動車における取り付け位置は、エキゾーストマニホルドや車両の足周り部分に近い排気管等であり、かなりの高温となる。しかし、上記封止構造50においては、グロメット51の挿通孔封着面510を含む部分に形成される多孔質金属の空隙kに封着樹脂層53が充填され、多孔質体形成部51bと封着樹脂層53とは強く密着している。これにより、長時間高温下に晒される使用環境下でも、上記封止構造50はリード線の外面と外筒の開口部内壁との間に良好なシール性を長期にわたって維持することができる。
【0052】
また、上記取り付け位置は、水しぶき等もかかりやすい。しかし、上記封止構造50においては、グロメット51の多孔質体形成部51bの表層部に樹脂含浸層51b’が形成され、気通路Kを塞いでいる。さらに、グロメット51(又は外筒18の開口部18c)の周方向に沿って全周溶接部52が形成され、グロメット51の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間の隙間Sを塞いでいる。これらにより、水しぶき等のかかりやすい使用環境下でも、上記封止構造50は良好な防水性能を長期にわたって維持することができる。
【0053】
図7に、リード線封止構造の変形例を示す。図7(a)の封止構造60では、図3(a)の全周溶接部52に代えて、グロメット51(又は外筒18の開口部18c)の周方向に沿って全周ろう接部54(全周接合部)が形成されている。具体的には、グロメット51の軸方向の全長にわたり、その周方向に沿って全周ろう接部54を形成し、グロメット51の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間の隙間Sを塞いでいる。なお、図3(a)の実施例と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図7(b)の封止構造70では、グロメット51には、多孔質体形成部51bの外周面の周方向に沿って形成された全周ろう接層51cを介して、非多孔質金属リング51dが一体的に接合され、外筒18の開口部18cの内側に挿入されている。そして、グロメット51(又は外筒18の開口部18c)の周方向に沿って全周溶接部52(全周接合部)が形成されている。具体的には、レーザー溶接等によって全周溶接部52を形成し、グロメット51(非多孔質金属リング51d)の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間の隙間Sを塞いでいる。なお、多孔質体形成部51bの外周面と非多孔質金属リング51dの内周面との間の隙間S’は、グロメット51(多孔質体形成部51b)の軸方向の全長にわたり、その周方向に沿って形成された全周ろう接層51cにより、塞がれている。
【0055】
図7(b)の封止構造70では、さらに、グロメット51の中央にやや大径のリード線挿通孔51aを形成し、ここに複数のリード線14を一括して挿通するとともに、それら各リード線14の各外面と、リード線挿通孔51aの内面(挿通孔封着面510を構成している)とを一体の封着樹脂層53により封着する構成としている。なお、図3(a)の実施例と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
なお、図7(b)の封止構造70において、レーザー溶接等による全周溶接部52の形成によって、グロメット51(非多孔質金属リング51d)の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間の隙間Sのみならず、多孔質体形成部51bの外周面と非多孔質金属リング51dの内周面との間の隙間S’をも塞がれる場合には、全周ろう接層51cを設けなくても済む場合がある。また、図7(b)の封止構造70において、全周溶接部52に代えて、図7(a)の実施例に記載された全周ろう接部54をグロメット51(非多孔質金属リング51d)の外周面と外筒18の開口部18c内壁との間に形成してもよい。
【0057】
なお、第二番目の発明は、酸素センサ以外にHCセンサ、NOxセンサ、COセンサ、COセンサ等他のガスセンサにも適用できる。さらに、第一番目の発明が適用される応用電子機器としては、これらのガスセンサの他、セラミックヒータ、グロープラグ等が挙げられる。
【0058】
また、多孔質体として、以上に述べた多孔質金属の他、多孔質セラミック等も使用できる。さらに、金属、セラミック等の表面にこれらを溶射することによって多孔質体を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリード線封止構造が適用される応用電子機器の一実施例である酸素センサの一例を示す縦断面図。
【図2】 図1における検出素子の構造を示す説明図。
【図3】 リード線封止構造の一例を示す縦断面図、横断面図及び要部拡大断面模式図。
【図4】 図3のリード線封止構造の組立工程の説明図。
【図5】 図4に続く説明図。
【図6】 図5に続く説明図。
【図7】 リード線封止構造の変形例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 酸素センサ(ガスセンサ;応用電子機器)
2 検出素子(電気素子)
20 酸素濃淡電池素子
22 セラミックヒータ(ヒータ)
14 リード線
14a 芯線
14b 外被
18 外筒
18c 開口部
50,60,70 リード線封止構造
51 グロメット
51a リード線挿通孔
51a’ 座ぐり部
51b 多孔質体形成部
51b’ 樹脂含浸層
510 挿通孔封着面
52 全周溶接部(全周接合部)
53 封着樹脂層
54 全周ろう接部(全周接合部)

Claims (7)

  1. 内側にガスセンサ、セラミックヒータ又はグロープラグにおける電気素子を配置し、少なくとも一端に開口部を有する外筒と、
    前記電気素子と導通され、前記開口部を通って前記外筒の外側に延出されるリード線と、
    前記リード線が挿通されるリード線挿通孔を有するとともに、前記開口部内側に配置されて、前記リード線と前記外筒の開口部内壁との間を封止するグロメットとを備え、
    前記リード線挿通孔の内面を含む前記グロメットの全体が多孔質金属からなる多孔質体で形成された多孔質体形成部からなり、該多孔質体形成部の内で前記リード線挿通孔の内面を構成する挿通孔封着面と前記リード線の外被との間が封着樹脂層を熱融着させて接合させた状態で封着されるとともに、
    前記挿通孔封着面の表面に露出している前記多孔質体の空隙に前記封着樹脂層が充填されて、前記多孔質体形成部と封着樹脂層とは密着しており、
    前記外筒の開口部内壁と前記グロメットの外周面とは、該グロメットの周方向に沿って形成された全周溶接部により接合されていることを特徴とするリード線封止構造。
  2. 前記封着樹脂層は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂を主体とするものである請求項1に記載のリード線封止構造。
  3. 前記リード線は芯線を樹脂製の外被にて覆った状態で複数設けられ、前記グロメットには各リード線が個別に挿通される複数の前記リード線挿通孔が形成されており、
    各リード線挿通孔に形成される前記挿通孔封着面と、これに対応するリード線の外被外面との間がそれぞれ前記封着樹脂層により封着されている請求項1又は2に記載のリード線封止構造。
  4. 前記リード線挿通孔には座ぐり部が形成されており、該座ぐり部の内面が前記挿通孔封着面を形成する請求項1ないしのいずれか1項に記載のリード線封止構造。
  5. 前記グロメットの前記多孔質体形成部には、少なくとも表層部において樹脂含浸層が形成されている請求項1ないしのいずれか1項に記載のリード線封止構造。
  6. 前記樹脂含浸層は、熱可塑性ポリイミド樹脂を主体とするものである請求項記載のリード線封止構造。
  7. 内側に測定対象となるガス中の被検出成分を検出するための検出素子を配置し、少なくとも一端に開口部を有する外筒と、
    前記検出素子と導通され、前記開口部を通って前記外筒の外側に延出されるリード線と、
    前記リード線が挿通されるリード線挿通孔を有するとともに、前記開口部内側に配置されて、前記リード線と前記外筒の開口部内壁との間を封止するグロメットとを備え、
    前記リード線挿通孔の内面を含む前記グロメットの全体が多孔質金属からなる多孔質体で形成された多孔質体形成部からなり、該多孔質体形成部の内で前記リード線挿通孔の内面を構成する挿通孔封着面と前記リード線の外被との間が封着樹脂層を熱融着させて接合させた状態で封着されるとともに、
    前記挿通孔封着面の表面に露出している前記多孔質体の空隙に前記封着樹脂層が充填されて、前記多孔質体形成部と封着樹脂層とは密着しており、
    前記外筒の開口部内壁と前記グロメットの外周面とは、該グロメットの周方向に沿って形成された全周溶接部により接合されていることを特徴とするガスセンサ。
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