JP4386820B2 - 湿式現像用電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性および湿式現像に使用した場合の耐久性に優れた電子写真感光体に関する。
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの電子写真方式による画像形成装置には、電子写真感光体として、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを含有する感光層を形成してなる有機感光体が広く用いられている。
有機感光体を用いた画像形成装置の現像方法としては、粉体のトナー(乾式現像剤)を使用する乾式現像法が一般的であるが、電気絶縁性の高い溶剤中に着色剤、ポリマー粒子などを分散した湿式現像剤を使用して、感光体表面の静電潜像にトナー粒子を電気泳動させることにより現像を行う湿式現像(液体現像)法も知られている。湿式現像剤のトナー粒子は、これを形成するバインダ樹脂や帯電制御剤によって所定の電荷に帯電し、溶剤中で安定に分散していることから、乾式現像剤に比べて、トナー粒子の粒径を小さくすることができる。また、湿式現像によれば、乾式現像におけるリークなどの問題を生じることがない。それゆえ、湿式現像は、乾式現像に比べて、より一層解像度が高く、高品位の画像形成を実現することができる。
しかし、湿式現像剤は、高い電気絶縁性が要求されることから、一般に、溶剤としてイソパラフィン、n−パラフィンなどのパラフィン系溶媒が多用されている。それゆえ、画像形成を繰返し実行するなどして、感光体と湿式現像剤とが長時間にわたって接触したときには、感光層中の電荷輸送剤がパラフィン系溶媒中に溶出して、感光体の感度が経時的に低下する問題が生じる。また、感光層を形成するバインダ樹脂がパラフィン系溶媒で膨潤することにより、感光層に軟化、ひび割れなどが生じて劣化するという問題も生じる。
一方、近年、主として、感光層の耐摩耗性の向上を目的として、バインダ樹脂に、下記式(i)で示される繰返し単位と下記一般式(ii)で示される繰返し単位とを有するポリカーボネート樹脂や、下記式(i)で示される繰返し単位と下記式(iii)で示される繰返し単位とを有するポリカーボネート樹脂を使用すること、または、下記一般式(iv)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂を使用することが提案されている(特許文献1および2)。
Figure 0004386820
Figure 0004386820
(一般式(ii)および一般式(iii)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基などを示す。mは0〜4の整数を示す。一般式(iv)中、Ra〜Rhは、水素原子、アルキル基などを示す。Z1およびZ2は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基などを示す。)
特開2001−215739号公報 特開平2−132453号公報
しかしながら、本発明者による検討の結果、後述する比較例に示すように、上記特許文献1に記載のポリカーボネート樹脂を使用して感光層を形成した場合であっても、炭化水素系溶剤中への電荷輸送剤の溶出量が多くなり(すなわち、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性が低く)、湿式現像に使用した場合の電子写真感光体の耐久性が乏しくなるという問題が発生する。
また、感光層を形成するバインダ樹脂として、ポリアリレート樹脂を使用した場合であっても、上記特許文献2に記載のポリアリレート樹脂のうち、上記一般式(iv)で示される繰返し単位におけるビスフェノール部分の構造が、特許文献2に具体的に開示されているものである場合には、依然として、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性が低く、湿式現像に使用した場合の耐久性を十分に向上させることができない。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決し、湿式現像にて使用した場合においても、電荷輸送剤の溶出や感光層の膨潤、劣化を抑制することのできる電子写真感光体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、
(1) 導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体であって、
前記感光層が、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含有し、
前記バインダ樹脂が、下記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であるとともに、前記電荷輸送剤が、下記一般式(h1)または下記一般式(h2)で表される部位を有する、分子量が900以上の正孔輸送剤を少なくとも含むことを特徴とする、湿式現像用電子写真感光体、
Figure 0004386820
(一般式(1)中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基を示す。Arは、アルキル基を有することのあるアリーレン基を示す。
Figure 0004386820
(一般式(h1)または一般式(h2)中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4およびRh5は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。a〜eは、互いに独立して、0〜3の整数を示す。a〜eが2または3であるとき、同一のベンゼン環に置換する複数の置換基は、互いに異なる基であってもよい。また、a〜eが2または3であるとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して、前記ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。)
(2) 前記ポリアリレート樹脂が、前記一般式(1)で示される、互いに構造が異なる2以上の繰返し単位を有するものであり、かつ、前記繰返し単位中のArに相当する、アルキル基を有することのあるアリーレン基が、ポリアリレートの分子鎖が直線状となる位置関係でカルボニル基と結合する基と、ポリアリレートの分子鎖に折れ曲がり部分を形成させる位置関係でカルボニル基と結合する基と、を含むものであることを特徴とする、前記(1)に記載の湿式現像用電子写真感光体、
(3) 前記感光層が、単一の層からなる感光層であり、前記電荷輸送剤が、正孔輸送剤と電子輸送剤とを含むものであることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の湿式現像用電子写真感光体、
(4) 前記感光層が、前記電荷発生剤を含有する電荷発生層および前記電荷輸送剤を含有する電荷輸送層からなる積層型感光層であり、この積層型感光層が、前記導電性基体側から、電荷発生層と電荷輸送層の順で形成されていることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の湿式現像用電子写真感光体、
(5) 前記電荷輸送剤が、分子量が600以上の電子輸送剤を含むことを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の湿式現像用電子写真感光体、
(6) 前記電荷発生剤が、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の湿式現像用電子写真感光体、
を提供するものである。
本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、炭化水素系溶剤を含む湿式現像剤を用いて、湿式現像法によって繰返し画像形成処理を実行した場合であっても、感光層から電荷輸送剤が溶出したり、感光層が膨潤したりすることを抑制することができる。また、湿式現像によって、繰返し画像形成処理を実行した後においても、感光層に軟化、ひび割れなどの劣化が生じることを抑制することができる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体は、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性および湿式現像に使用した場合の耐久性に優れており、それゆえ、湿式現像用の電子写真感光体として好適である。
本発明の湿式現像用電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を備えており、この感光層が、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含有し、さらに、上記バインダ樹脂が、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であるとともに、前記電荷輸送剤が、上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で表される部位を有する、分子量が900以上の正孔輸送剤を少なくとも含むことを特徴としている。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、上記ポリアリレート樹脂は、上記一般式(1)で示される繰返し単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記一般式(1)で示される繰返し単位において、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基を示す。R1およびR2は、好ましくは、両方とも水素原子である。
上記一般式(1)で示される繰返し単位において、Arは、アルキル基を有することのあるアリーレン基を示す。
アルキル基を有することのあるアリーレン基のアリーレン基としては、例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレンなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、フェニレンおよびビフェニレンが挙げられる。
上記アリーレン基に置換するアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルなどの、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
上記一般式(1)のAr(アルキル基を有することのあるアリーレン基)には、2つのカルボニル基が結合している。上記一般式(1)のArについては、好ましくは、例えば、p−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、3,5’−ビフェニレン、2,6’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−フェナントリレンなどのように、ポリアリレートの分子鎖が直線状となる位置関係でカルボニル基と結合する基(以下、「直線性基」ということがある。)と、例えば、m−フェニレン、o−フェニレン、3,3’−ビフェニレン、3,4’−ビフェニレン、2,5−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,8−ナフチレン、1,8−フェナントリレン、3,6−フェナントリレンなどのように、ポリアリレートの分子鎖に折れ曲がり部分を形成させる位置関係でカルボニル基と結合する基(以下、「屈曲性基」ということがある。)との、両方を含むことが好ましい。
例えば、Arがフェニレンである場合には、p−フェニレンと、m−フェニレンまたはo−フェニレンとの、両方を含むことが好ましい。Arがビフェニレンである場合には、4,4’−ビフェニレンまたは3,5’−ビフェニレンと、3,3’−ビフェニレン、3,4’−ビフェニレンなどとの、両方を含むことが好ましい。また、例えば、上記一般式(1)のArがm−フェニレンである繰返し単位と、Arが4,4’−ビフェニレンである繰返し単位とを有していてもよく、上記一般式(1)のArがp−フェニレンである繰返し単位と、Arが3,3’−ビフェニレンである繰返し単位とを有していてもよい。
なお、上記一般式(1)のArが、例えば、p−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、3,5’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−フェナントリレンなどのように、ポリアリレートの分子鎖が直線状となる位置関係でカルボニル基と結合する基(直線性基)のみである場合には、ポリアリレート樹脂が結晶化し易くなって、溶剤への溶解性が低下するおそれがある。逆に、上記一般式(1)のArが、例えば、m−フェニレン、o−フェニレン、3,3’−ビフェニレン、3,4’−ビフェニレン、2,5−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,8−ナフチレン、1,8−フェナントリレン、3,6−フェナントリレンなどのように、ポリアリレートの分子鎖に折れ曲がり部分を形成させる位置関係でカルボニル基と結合する基(屈曲性基)のみである場合には、ポリアリレート樹脂が凝集し易くなって、溶剤への溶解性が低下するおそれがある。これに対し、上記一般式(1)のArとして、上記直線性基と上記屈曲性基との両方を有する場合には、ポリアリレート樹脂の結晶化や凝集を防止して、溶剤への溶解性を向上させることができる。
ポリアリレート樹脂中での、上記直線性基Sと上記屈曲性基Fとの含有比率(S:F)は、特に限定されないが、好ましくは、10:90〜90:10(モル比)であり、より好ましくは、20:80〜80:20(モル比)である。
本発明の湿式現像用電子写真感光体においては、バインダ樹脂として、上記繰返し単位(1)を有するポリアリレート樹脂とともに、他のポリアリレート樹脂や、ポリカーボネート樹脂などの他の樹脂を混合して使用してもよい。
上記他の樹脂としては、上記繰返し単位(1)を有するポリアリレート樹脂との相溶性に優れたものであること以外は、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールからなるポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂などが挙げられる。
上記他のポリアリレート樹脂や、上記他の樹脂の含有割合は、本発明の作用効果を損なうことがない範囲で、適宜設定される。上記他のポリアリレート樹脂や、上記他の樹脂の含有割合は、バインダ樹脂全体に対して、好ましくは、80重量%以下であり、より好ましくは、50重量%以下である。
なお、本発明の湿式現像用電子写真感光体が、後述する積層型感光体である場合には、最外層を形成するバインダ樹脂として、上記繰返し単位(1)を有するポリアリレート樹脂を使用すればよく、最外層ではない方の層については、バインダ樹脂として、上記繰返し単位(1)を有するポリアリレート樹脂を使用することに限定されるものではない。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、導電性基体としては、基体自体が導電性を有するか、または、基体の表面が導電性を有する、種々の材料が挙げられる。具体的には、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体;上記の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料;ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス;カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散した樹脂基体などが挙げられる。導電性基体の形状は、本発明の湿式現像用電子写真感光体を使用する画像形成装置の構造に応じて、シート状、ドラム状などの種々の形状を採用することができる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、感光層の層構成は、同一の層内に電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有する単層型感光層、および、電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)とが分離した積層型感光層のいずれであってもよい。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン(TiOPc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。電荷発生剤は、画像形成装置の露光光源の波長に応じて、適宜選択すればよい。上記例示の電荷発生剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
レーザビームプリンタなどのデジタル光学系の画像形成装置は、一般に、露光光源として半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)を使用しており、その波長は680〜830nm前後(近赤外領域)が主流である。従って、本発明の湿式現像用電子写真感光体をデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、電荷発生剤として、好ましくは、近赤外領域での感度に優れた無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料が挙げられる。
上記フタロシアニン系顔料の結晶形は、特に限定されないが、例えば、無金属フタロシアニンは、X型またはτ型であることが好ましい。チタニルフタロシアニンは、α型(X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°および28.6°に主たる回折ピークを有するもの)、または、Y型(ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するもの)であることが好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、V型であることが好ましく、クロロガリウムフタロシアニンはII型であることが好ましい。
露光光源としてハロゲンランプなどの白色光源を使用するアナログ光学系の画像形成装置で、本発明の湿式現像用電子写真感光体を使用する場合には、電荷発生剤として、好ましくは、可視領域に感度を有するペリレン系顔料、ビスアゾ系顔料などが挙げられる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、電荷輸送剤としては、先に説明したように一般式(h1)または一般式(h2)で表される部位を有する、分子量が900以上の正孔輸送剤を少なくとも含む他は特に限定されるものではなく、それ以外の他の、種々の正孔輸送剤や電子輸送剤から適宜選択して、上記正孔輸送剤と組み合わせて用いることができる。
正孔輸送剤としては、例えば、置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物(具体的には、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン系化合物、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物など。);2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物;ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物;1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物;有機ポリシラン化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などが挙げられる。
上記の「置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物」において、置換基を有することのある芳香族炭化水素の芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ビフェニル、o−,m−,p−ターフェニル、ビナフタレン、スチルベン、スチリルスチルベンなどが挙げられる。
また、置換基を有することのある芳香族炭化水素の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、2−メチルペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどの、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの、炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニルなどの、炭素数が1〜6のアルケニル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、o、mまたはp−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−キシリル、o、mまたはp−クメニル、メシチル、ナフチル、ビフェニルなどの、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、フェネチル、1−フェニルプロピル、ベンズヒドリル、o、mまたはp−メチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルベンジルなどの、炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル、シンナミルなどの、炭素数が8〜12のアリールアルケニル基が挙げられる。
また、上記の「置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物」において、置換基を有することのあるジアリールアミノ基のジアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジスチリルアミノなどが挙げられる。
また、置換基を有することのあるジアリールアミノ基の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。これらの基は、上記例示の基と同様のものが挙げられる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、正孔輸送剤として、少なくとも上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有する、分子量が900以上の化合物を用いることによって、後述する実施例の結果より明らかなように、炭化水素系溶剤を含む湿式現像剤を用いて繰返し画像形成処理を実行した場合に、正孔輸送剤の溶出量をより一層抑制することができる。
電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ジナフトキノン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物、フルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、ニトロアントアラキノン系化合物、ジニトロアントラキノン系化合物などが挙げられる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤は、上記例示のものの中でも特に、分子量が600以上の化合物であることが好ましい。このような電子輸送剤を用いることによって、後述する実施例の結果より明らかなように、炭化水素系溶剤を含む湿式現像剤を用いて繰返し画像形成処理を実行した場合に、電子輸送剤および正孔輸送剤の溶出量をより一層抑制することができる。
本発明の湿式現像用電子写真感光体が、単層型感光層を有する、いわゆる単層型感光体である場合において、その感光層は、例えば、上記電荷発生剤、上記電荷輸送剤、および、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(バインダ樹脂)を、必要に応じて、後述する他の成分とともに、後述する分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造することができる。なお、上記感光層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、下引き層(バリア層)を介して形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
感光層形成用塗布液を作製するための分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの分散媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
他の成分としては、例えば、分散剤、増感剤;酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤;軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー;電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性などを改善させるための界面活性剤、レベリング剤などが挙げられる。上記分散剤としては、例えば、バインダ樹脂中での電荷発生剤の分散性を向上させるための分散剤が挙げられ、このような分散剤としては、例えば、ジスアゾイエロー、ジアニシジンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッドなどのアゾ系顔料が挙げられる。上記増感剤としては、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどが挙げられる。
上記感光層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
単層型感光層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
単層型感光層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましくは、0.5〜30重量部である。正孔輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜200重量部、より好ましくは、20〜100重量部である。電子輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜100重量部、より好ましくは、10〜80重量部である。正孔輸送剤と電子輸送剤とを併用する場合において、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、20〜300重量部、より好ましくは、30〜200重量部である。
本発明の湿式現像用電子写真感光体が、積層型感光層を有する、いわゆる積層型感光体である場合において、その感光層は、例えば、まず、導電性基体上に電荷発生層を形成した上で、この電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成することにより、製造することができる。
電荷発生層は、例えば、上記電荷発生剤およびバインダ樹脂を、必要に応じて、電荷輸送剤や上記の他の成分とともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。電荷輸送層は、例えば、上記電荷輸送剤、および、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(バインダ樹脂)を、必要に応じて、上記の他の成分とともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を上記電荷発生層上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。
電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、上記の場合と逆の順序であってもよいが、一般に、電荷発生層はその膜厚が薄く、強度が十分ではないことから、上記のとおりの積層順序とするのが好ましい。上記電荷発生層および電荷輸送層のうち、導電性基体側に形成される層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、下引き層を介して形成してもよい。また、上記電荷発生層および電荷輸送層のうち、感光体の外表面側に形成される層の表面には、保護層を形成してもよい。
上記電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液における分散媒としては、上記したものと同様のものが挙げられる。
上記電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
積層型感光層の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層が、好ましくは、0.01〜5μm、より好ましくは、0.1〜3μmであり、電荷輸送層が、好ましくは、2〜100μm、より好ましくは、5〜50μmである。
積層型感光層の電荷発生層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜1000重量部であり、より好ましくは、30〜500重量部である。また、積層型感光層の電荷輸送層において、電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
本発明の電子写真感光体は、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置において、とりわけ、パラフィン系溶媒を使用した湿式現像剤を用いて、湿式現像法により画像形成を実行する画像形成装置において、好適である。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<ポリアリレート樹脂の合成>
参考例1
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン42.9g(0.20モル)、t−ブチルフェノール1.5g(0.010モル)、水酸化ナトリウム16.0g(0.40モル)、および水1.1リットルを配合して、アルカリ性水溶液を調製し、さらに、重合触媒としてのトリメチルベンジルアンモニウムクロライドを添加した。上記重合触媒の添加量は、1,1−ビル(4−ヒドロキシフェニル)エタンに対して0.5モル%となるように調節し、重合触媒の添加後には、アルカリ性水溶液を激しく撹拌した。一方、塩化テレフタロイル20.2g(0.10モル)および塩化イソフタロイル20.2g(0.10モル)をジクロロメタン0.75リットルに溶解して、ジクロロメタン溶液を調製した。
次いで、上記撹拌下のアルカリ性水溶液に、上記ジクロロメタン溶液を添加して、重合反応を開始させた。重合反応は、撹拌下にて3時間実施し、重合反応中の反応液の温度は20℃となるように調節した。上記ジクロロメタン溶液の添加から3時間経過した後、反応液中に酢酸を添加することにより、重合反応を終了させて、反応液を水で洗浄した。洗浄は、分液後の水層が中性になるまで繰り返した。
次に、水洗後の反応液から分液によって取り出した有機層を、撹拌下のメタノール中にゆっくりと添加して、沈殿物を炉別、乾燥することにより、ポリアリレート樹脂(Resin−1)60gを得た。
上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)は、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレートであって、具体的には、下記式(RU−1a)で示される繰返し単位と、下記式(RU−1b)で示される繰返し単位とを、50:50のモル比で含有するものである。
Figure 0004386820
上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)の粘度平均分子量Mvは50000であった。
ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量Mvは、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を標準物質とする換算値として、粘度法により算出した。標準物質の粘度平均分子量Mvは、まず、標準物質の固有粘度[η](20℃、溶媒:塩化メチレン)を算出し、次いで、下記に示すSchnellの式に基づいて算出した。なお、固有粘度を算出するにあたって、希薄溶液の粘度は、オストワルド粘度計で測定した。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
参考例2
塩化テレフタロイルと塩化イソフタロイルとの組み合わせに代えて、4,4’−ビフェニルジカルボニルジクロリド27.8g(0.10モル)と塩化イソフタロイル20.2g(0.10モル)との組み合わせを使用したこと以外は、参考例1と同様にして、ジクロロメタン溶液を調製した。また、参考例1で使用したのと同じアルカリ性水溶液と、上記ジクロロメタン溶液とを使用したこと以外は、参考例1と同様にして重合反応を実施して、ポリアリレート樹脂(Resin−2)61gを得た。
上記ポリアリレート樹脂(Resin−2)は、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレートであって、具体的には、下記式(RU−2a)で示される繰返し単位と、下記式(RU−1b)で示される繰返し単位とを、50:50のモル比で含有するものである。
Figure 0004386820
上記ポリアリレート樹脂(Resin−2)の粘度平均分子量Mvは50200であった。
<電子写真感光体の製造>
実施例1
電荷発生剤として下記式(CGM−1)で示されるX型無金属フタロシアニンを4重量部、正孔輸送剤として下記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物を40重量部、電子輸送剤として下記式(ETM−1)で示されるナフトキノン系化合物を50重量部、バインダ樹脂として、上記参考例1で得られたポリアリレート樹脂(Resin−1)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製の品番「KF−96−50CS」)を0.1重量部、および、溶媒としてテトラヒドロフランを750重量部配合して、超音波分散機で50時間混合、分散することにより、単層型感光層用の塗布液を調製した。
Figure 0004386820
Figure 0004386820
Figure 0004386820
上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物(C80642)の分子量は1057.45であり、上記式(ETM−1)で示されるナフトキノン系化合物(C39288)の分子量は624.65である。
次いで、上記塗布液を、表面に鏡面切削加工が施されたアルマイト鋼製の管(直径30mm、長さ254mm)の表面に塗布して、140℃で20分間熱風乾燥することにより、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(感光体ドラム)を製造した。
実施例2
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記参考例2で得られたポリアリレート樹脂(Resin−2)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
比較例1
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−3a)で示される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂(Resin−3;粘度平均分子量Mv49500)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
比較例2
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−4a)で示される繰返し単位と下記式(RU−4b)で示される繰返し単位とを50:50のモル比で含有するポリアリレート樹脂(Resin−4;粘度平均分子量Mv43900)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
比較例3
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−5a)で示される繰返し単位と下記式(RU−5b)で示される繰返し単位とを50:50のモル比で含有するポリアリレート樹脂(Resin−5;粘度平均分子量Mv51200)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
比較例4
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−6a)で示される繰返し単位と下記式(RU−6b)で示される繰返し単位とを50:50のモル比で含有するポリアリレート樹脂(Resin−6;粘度平均分子量Mv50000)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
比較例5
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−7)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(Resin−7;粘度平均分子量Mv49800)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。なお、下記繰り返し単位(RU−7)のビスフェノール部分は、特許文献2に記載の、ビスフェノール部分(B−1)に相当する。
Figure 0004386820
比較例6
バインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、下記式(RU−8a)で示される繰返し単位と下記式(RU−8b)で示される繰返し単位とを50:50のモル比で含有するポリアリレート樹脂(Resin−8;粘度平均分子量Mv49600)100重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。なお、下記繰り返し単位(RU−8a)および(RU−8b)のビスフェノール部分は、特許文献2に記載の、ビスフェノール部分(B−17)に相当する。
Figure 0004386820
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例1〜2および比較例1〜6で得られた電子写真感光体について、下記(I)〜(IV)に示す性能評価を実施した。
(I)明電位の測定
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、上記実施例1〜2および比較例1〜6で得られた電子写真感光体の感度を測定した。測定は、以下の手順に従って実施した。まず、電子写真感光体の表面に印加電圧を加えて、表面電位が+850Vとなるように帯電させた後、ハロゲンランプ(露光光源)の白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm-2)を40ミリ秒間照射して、電子写真感光体の表面を露光した。こうして、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位(明電位;単位V)を測定して、この値を電子写真感光体の感度とした。明電位の値が小さいほど、電子写真感光体が高感度であることを示している。
(II)正孔輸送剤の溶出量の測定
上記実施例1〜2および比較例1〜6で得られた電子写真感光体(感光体ドラム)を、それぞれ、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の商品名「アイソパーL」)500mL中に浸漬して、600時間静置した。次いで、イソパラフィン系溶剤を取り出して、その吸光度を測定し、あらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、イソパラフィン系溶剤中での正孔輸送剤(HTM)の含有量(すなわち、HTMの溶出量;単位g/cm3)を算出した。正孔輸送剤の溶出量が少ないほど、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性および湿式現像に使用した場合の耐久性が優れていることを示している。
(III)溶剤浸漬後の感度変化
電子写真感光体として、上記(II)の「HTMの溶出量の測定」に供したものを使用したこと以外は、上記(I)に記載の方法と同様にして、電子写真感光体の明電位(単位V)を測定した。次いで、各実施例および比較例において、上記(1)で測定された明電位に対する変化量ΔV(単位V)を算出して、溶剤浸漬後の感度変化を評価した。変化量ΔVの絶対値が小さいほど、湿式現像による繰返し使用後の感度変化が小さく、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性および湿式現像に使用した場合の耐久性が優れていることを示している。
(IV)ドラム外観の変化
上記(II)の「HTMの溶出量の測定」に供した電子写真感光体(感光体ドラム)の表面状態を目視で観察して、感光層にひび割れなどの損傷(クラック)が生じているか否かを確認することにより、湿式現像による繰返し使用後の外観変化(炭化水素系溶剤についての耐溶剤性)を評価した。評価の基準は次のとおりである。
A:感光体ドラム表面の損傷(クラック)は観察されなかった。
B:感光体ドラム表面に、実用上不適切な量の損傷(クラック)が観察された。
C:感光体ドラム表面に、多数の損傷(クラック)が観察された。
上記(I)〜(IV)に示した性能評価の評価結果を、感光層の形成に使用したバインダ樹脂の式番号とともに、表1に示す。
Figure 0004386820
表1に示す結果より明らかなように、感光層を形成するバインダ樹脂が、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂である実施例1および2では、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤中への正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、炭化水素系溶剤についての耐溶剤性および湿式現像に使用した場合の耐久性を向上させることができた。
これに対し、感光層を形成するバインダ樹脂が、ポリカーボネート樹脂や、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有していないポリアリレート樹脂である比較例1〜6では、高感度ではあるものの、炭化水素系溶剤中への正孔輸送剤の溶出量が多く、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化が顕著であった。
<電子写真感光体の製造>
実施例3
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン(CGM−1)に代えて、下記式(CGM−2)で示されるチタニルフタロシアニンを4重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。なお、下記式(CGM−2)で示されるチタニルフタロシアニンは、例えば、特許第3463032号公報の製造例1に記載されている方法に従って作製することができる。
Figure 0004386820
実施例4
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン(CGM−1)に代えて、下記式(CGM−3)で示されるヒドロキシガリウムフタロシアニンを4重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
実施例5
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン(CGM−1)に代えて、下記式(CGM−4)で示されるクロロガリウムフタロシアニンを4重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。
Figure 0004386820
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例3〜5で得られた電子写真感光体について、上記(I)〜(IV)の性能評価を実施した。評価結果を、感光層の形成に使用した電荷発生剤(CGM)の式番号とともに、表2に示す。
Figure 0004386820
表2に示す結果より明らかなように、実施例3〜5で得られた電子写真感光体は、実施例1で得られた電子写真感光体と同様に、感光層を形成するバインダ樹脂が上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であることから、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができた。
<電子写真感光体の製造>
比較例7
正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、下記式(HTM−2)で示されるビフェニレンジアミン系化合物を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(HTM−2)で示されるビフェニレンジアミン系化合物(C7064)の分子量は916.25である。
Figure 0004386820
実施例
正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、下記式(HTM−3)で示されるスチルベンアミン系化合物を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(HTM−3)で示されるスチルベンアミン系化合物(C7840)の分子量は1045.52である。
Figure 0004386820
(式(HTM−3)中、n−C17は、直鎖状のオクチル基を示す。)
実施例
正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、下記式(HTM−4)で示されるスチルベンアミン系化合物を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(HTM−4)で示されるスチルベンアミン系化合物(C11799)の分子量は1547.11である。
Figure 0004386820
比較例8
正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、下記式(HTM−5)で示されるスチルベンアミン系化合物を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(HTM−5)で示されるスチルベンアミン系化合物(C5248)の分子量は700.95である。
Figure 0004386820
比較例9
正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、下記式(HTM−6)で示されるトリフェニルアミン系化合物を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(HTM−6)で示されるトリフェニルアミン系化合物(C3429N)の分子量は451.60である。
Figure 0004386820
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例6、7、比較例7〜9で得られた電子写真感光体について、上記(I)〜(IV)の性能評価を実施した。評価結果を、感光層の形成に使用した正孔輸送剤(HTM)の式番号とともに、表3に示す。
Figure 0004386820
表3に示す結果より明らかなように、実施例6、7で得られた電子写真感光体は、実施例1で得られた電子写真感光体と同様に、感光層を形成するバインダ樹脂が上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であることから、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができた。
また、正孔輸送剤として、上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有する、分子量が900以上であるものを使用した実施例1、6、7と、上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有しないものを使用した比較例7、および上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有するものの、分子量が900未満であるものを使用した比較例8、9と、の対比より明らかなように、実施例1、6、7の場合には、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出量をより一層低減することができた。
<電子写真感光体の製造>
実施例
電子輸送剤として、上記式(ETM−1)で示されるナフトキノン系化合物に代えて、下記式(ETM−2)で示されるナフトキノン系化合物を50重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(ETM−2)で示されるナフトキノン系化合物(C423010)の分子量は718.72である。
Figure 0004386820
実施例
電子輸送剤として、上記式(ETM−1)で示されるナフトキノン系化合物に代えて、下記式(ETM−3)で示されるナフトキノン系化合物を50重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(ETM−3)で示されるナフトキノン系化合物(C2416)の分子量は368.38である。
Figure 0004386820
実施例10
電子輸送剤として、上記式(ETM−1)で示されるナフトキノン系化合物に代えて、下記式(ETM−4)で示されるジフェノキノン系化合物を50重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、こうして得られた塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚20μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を製造した。下記式(ETM−4)で示されるジフェノキノン系化合物(C2228)の分子量は324.46である。
Figure 0004386820
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例10で得られた電子写真感光体について、上記(I)〜(IV)の性能評価を実施した。評価結果を、感光層の形成に使用した電子輸送剤(ETM)の式番号とともに、表4に示す。
Figure 0004386820
表4に示す結果より明らかなように、実施例10で得られた電子写真感光体は、実施例1で得られた電子写真感光体と同様に、感光層を形成するバインダ樹脂が上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であることから、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができた。
また、電子輸送剤として、分子量が600以上であるものを使用した実施例1およびと、分子量が600未満であるものを使用した実施例および10との対比より明らかなように、電子輸送剤の分子量が600以上であるものを使用することにより、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出量をより一層低減することができた。これは、通常、電子輸送剤の分子量が600を下回るときは、湿式現像剤に対する電子輸送剤の溶出が比較的生じ易くなる傾向があり、かつ、一般に、電子輸送剤は同一の感光層に存在する正孔輸送剤とともに溶出する傾向があるところ、電子輸送剤の分子量が600以上であるときは、湿式現像剤に対する電子輸送剤の溶出が生じにくくなることから、併せて、正孔輸送剤の溶出をも抑制できることに起因すると想定される。
<電子写真感光体の製造>
実施例11
電荷発生剤として上記式(CGM−1)で示されるチタニルフタロシアニンを1重量部、バインダ樹脂としてポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製の商品名「エスレックBM−1」)を1重量部、および、溶媒としてジアセトンアルコールを50重量部配合して、ボールミルで分散、溶解させることにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。
一方、正孔輸送剤として上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物を60重量部、バインダ樹脂として上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)を100重量部、レベリング剤としてジメチルシリコーンオイル(上記「KF−96−50CS」)を0.1重量部、および、溶媒としてテトラヒドロフランを700重量部配合して、超音波分散機で混合、分散することにより、電荷輸送層用の塗布液を調製した。
導電性基体としての、表面に鏡面切削加工が施されたアルマイト鋼製の管(直径30mm、長さ254mm)の表面に、ディッピング法によって上記電荷発生層用塗布液を塗布し、70℃で10分間加熱乾燥することにより、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。次いで、こうして得られた電荷発生層の表面に、ディッピング法によって上記電荷輸送層用塗布液を塗布して、130℃で30分間加熱乾燥することにより、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。こうして、導電性基体上に、上記電荷発生層と上記電荷輸送層をこの順で積層してなる積層型感光層を備えた電子写真感光体(感光体ドラム)を製造した。
実施例12
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−2)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例10
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリカーボネート樹脂(Resin−3)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例11
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−4)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例12
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−5)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例13
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−6)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例14
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−7)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例15
電荷輸送層形成用塗布液のバインダ樹脂として、上記ポリアリレート樹脂(Resin−1)に代えて、上記ポリアリレート樹脂(Resin−8)を100重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例1112および比較例1015で得られた電子写真感光体について、上記(I)〜(IV)に示した性能評価を実施した。評価結果を、感光層の形成に使用した電荷発生剤(CGM)の式番号とともに、表5に示す。
Figure 0004386820
表5に示す結果より明らかなように、感光層を形成するバインダ樹脂が、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂である実施例11および12では、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができた。
これに対し、感光層を形成するバインダ樹脂が、ポリカーボネート樹脂や、上記一般式(1)で示される繰返し単位を有していないポリアリレート樹脂である比較例1015では、高感度ではあるものの、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出量が多く、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化が顕著であった。
<電子写真感光体の製造>
比較例16
電荷輸送層形成用塗布液の正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、上記式(HTM−2)で示されるビフェニレンジアミン系化合物(C7064C;分子量916.25)を40重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
実施例13
電荷輸送層形成用塗布液の正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、上記式(HTM−3)で示されるスチルベンアミン系化合物(C7840;分子量1045.52)を40重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
実施例14
電荷輸送層形成用塗布液の正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、上記式(HTM−4)で示されるスチルベンアミン系化合物(C11799;分子量1547.11)を40重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例17
電荷輸送層形成用塗布液の正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、上記式(HTM−5)で示されるスチルベンアミン系化合物(C5248;分子量700.95)を40重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
比較例18
電荷輸送層形成用塗布液の正孔輸送剤として、上記式(HTM−1)で示されるスチルベンアミン系化合物に代えて、上記式(HTM−6)で示されるトリフェニルアミン系化合物(C3429N;分子量451.60)を40重量部使用したこと以外は、実施例11と同様にして、電荷輸送層用の塗布液を調製した。次いで、実施例11で使用したのと同じ電荷発生層用塗布液と、上記電荷輸送層用塗布液とを使用したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性基体上に、膜厚0.3μmの電荷発生層と膜厚25μmの電荷輸送層とをこの順で積層してなる電子写真感光体を製造した。
<電子写真感光体の性能評価>
上記実施例13、14、比較例1618で得られた電子写真感光体について、上記(I)〜(IV)の性能評価を実施した。評価結果を、感光層の形成に使用した正孔輸送剤(HTM)の式番号とともに、表6に示す。
Figure 0004386820
表6に示すように、実施例13、14で得られた電子写真感光体は、実施例11で得られた電子写真感光体と同様に、最外層である電荷輸送層を形成するバインダ樹脂が上記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であることから、高い感度を維持しつつ、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出や、湿式現像による繰返し使用後の感度低下および感光体ドラムの外観劣化を抑制することができ、湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができた。
また、正孔輸送剤として、上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有する、分子量が900以上であるものを使用した実施例111314と、上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有しないものを使用した比較例16、および上記一般式(h1)または上記一般式(h2)で示される部位を有するものの、分子量が900未満であるものを使用した比較例17、18と、の対比より明らかなように、実施例11、13、14の場合には、湿式現像剤に対する正孔輸送剤の溶出量をより一層低減することができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (6)

  1. 導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体であって、
    前記感光層が、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含有し、
    前記バインダ樹脂が、下記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂であるとともに、前記電荷輸送剤が、下記一般式(h1)または下記一般式(h2)で表される部位を有する、分子量が900以上の正孔輸送剤を少なくとも含むことを特徴とする、湿式現像用電子写真感光体。
    Figure 0004386820
    (一般式(1)中、RおよびRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基を示す。Arは、アルキル基を有することのあるアリーレン基を示す。)
    Figure 0004386820
    (一般式(h1)または一般式(h2)中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4およびRh5は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。a〜eは、互いに独立して、0〜3の整数を示す。a〜eが2または3であるとき、同一のベンゼン環に置換する複数の置換基は、互いに異なる基であってもよい。また、a〜eが2または3であるとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して、前記ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。)
  2. 前記ポリアリレート樹脂が、前記一般式(1)で示される、互いに構造が異なる2以上の繰返し単位を有するものであり、かつ、前記繰返し単位中のArに相当する、アルキル基を有することのあるアリーレン基が、ポリアリレートの分子鎖が直線状となる位置関係でカルボニル基と結合する基と、ポリアリレートの分子鎖に折れ曲がり部分を形成させる位置関係でカルボニル基と結合する基と、を含むものであることを特徴とする、請求項1に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  3. 前記感光層が、単一の層からなる感光層であり、前記電荷輸送剤が、正孔輸送剤と電子輸送剤とを含むものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  4. 前記感光層が、前記電荷発生剤を含有する電荷発生層および前記電荷輸送剤を含有する電荷輸送層からなる積層型感光層であり、この積層型感光層が、前記導電性基体側から、電荷発生層と電荷輸送層の順で形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送剤が、分子量が600以上の電子輸送剤を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の湿式現像用電子写真感光体。
  6. 前記電荷発生剤が、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の湿式現像用電子写真感光体。
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