JP6888517B2 - ポリアリレート樹脂及び電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリレート樹脂及び電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター又は複合機)において用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体が用いられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。積層型電子写真感光体は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含む感光層を備える。
特許文献1には、感光層を有する電子写真感光体が記載されている。この感光層のバインダー樹脂は、特定のポリアリレート構造を含有する。
特開2003−322982号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体は、耐摩耗性の点で不十分であった。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光層に含有された場合に、電子写真感光体の耐摩耗性を向上できるポリアリレート樹脂を提供することである。また、本発明の別の目的は、耐摩耗性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明のポリアリレート樹脂は、一般式(1)で表される繰り返し単位と、化学式(2)で表される繰り返し単位と、化学式(3)で表される繰り返し単位とを少なくとも含む。前記化学式(2)で表される繰り返し単位の数n2に対する、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の数n1の比率n1/n2は、1.0以上である。
Figure 0006888517
前記一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R3はメチル基を表し、R4は水素原子又は炭素原子数2若しくは3のアルキル基を表す。或いは、前記一般式(1)中、R1及びR2は各々メチル基を表し、R3及びR4は互いに結合して炭素原子数5又は6のシクロアルキリデン基を表す。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。前記バインダー樹脂は、上述したポリアリレート樹脂を含む。
本発明のポリアリレート樹脂は、感光層に含有された場合に、電子写真感光体の耐摩耗性を向上できる。また、本発明の電子写真感光体は、耐摩耗性に優れる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、電子写真感光体の一例を示す断面図であり、この電子写真感光体は本発明の実施形態に係るポリアリレート樹脂を含有する。 (a)、(b)及び(c)は、それぞれ、電子写真感光体の別の例を示す断面図であり、この電子写真感光体は本発明の実施形態に係るポリアリレート樹脂を含有する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。
炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基及びオクチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとしては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタンが挙げられる。
<ポリアリレート樹脂>
本実施形態はポリアリレート樹脂に関する。本実施形態のポリアリレート樹脂は、一般式(1)で表される繰り返し単位と、化学式(2)で表される繰り返し単位と、化学式(3)で表される繰り返し単位とを少なくとも含む。化学式(2)で表される繰り返し単位の数n2に対する、一般式(1)で表される繰り返し単位の数n1の比率n1/n2は、1.0以上である。
Figure 0006888517
一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、且つR3はメチル基を表し、且つR4は水素原子又は炭素原子数2若しくは3のアルキル基を表す。或いは、一般式(1)中、R1及びR2は各々メチル基を表し、且つR3及びR4は互いに結合して炭素原子数5又は6のシクロアルキリデン基を表す。
以下、一般式(1)で表される繰り返し単位、化学式(2)で表される繰り返し単位、及び化学式(3)で表される繰り返し単位を、各々、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)、及び繰り返し単位(3)と記載することがある。また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)と繰返し単位(3)とを少なくとも含み、繰返し単位(2)の数n2に対する繰返し単位(1)の数n1の比率n1/n2が1.0以上であるポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(PA)と記載することがある。
本実施形態のポリアリレート樹脂(PA)は、感光層に含有された場合に、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)の耐摩耗性を向上させることができる。その理由は、以下のように推測される。
第1に、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)を含んでいる。これにより、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。
第2に、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(1)を含んでいる。これにより、感光層形成用の溶剤に対するポリアリレート樹脂(PA)の溶解性を向上させることができる。更に、繰返し単位(2)の数n2に対する繰り返し単位(1)の数n1の比率n1/n2が1.0以上であることで、感光層形成用の溶剤に対するポリアリレート樹脂(PA)の溶解性を更に向上させることができる。ポリアリレート樹脂(PA)の溶解性が向上することで感光層を好適に形成することができ、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(1)、(2)及び(3)に加えて、化学式(4)で表される繰り返し単位(以下、繰返し単位(4)と記載することがある)を更に含むことが好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含むことで、感光体の耐摩耗性を更に向上させることができる。
Figure 0006888517
次に、一般式(1)について、詳細に説明する。一般式(1)中のR4が表わす炭素原子数2若しくは3のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。炭素原子数2若しくは3のアルキル基としては、エチル基又はイソプロピル基が好ましい。
一般式(1)中のR3及びR4が互いに結合して表す炭素原子数5又は6のシクロアルキリデン(cycloalkylidene)基としては、シクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が挙げられる。シクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基は、各々、下記化学式(5)及び(6)で表される。炭素原子数5又は6のシクロアルキリデン基としては、シクロヘキシリデン基が好ましい。
Figure 0006888517
繰り返し単位(1)の好適な例としては、化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)及び(1−5)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下、化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)及び(1−5)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)及び(1−5)と記載することがある。
Figure 0006888517
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(1)の1種のみを含んでいてもよい。或いは、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(1)の2種以上を含んでいてもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)に含まれる繰返し単位(2)の数n2に対する、ポリアリレート樹脂(PA)に含まれる繰り返し単位(1)の数n1の比率n1/n2は、1.0以上である。即ち、繰り返し単位(1)の数n1は、繰返し単位(2)の数n2と等しいか、繰返し単位(2)の数n2よりも多い。比率n1/n2が1.0以上であると、感光層形成用の溶剤に対するポリアリレート樹脂(PA)の溶解性を向上させることができ、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。感光体の耐摩耗性を向上させるためには、比率n1/n2は、10.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。感光層形成用の溶剤に対するポリアリレート樹脂(PA)の溶解性を向上させつつ、感光体の耐摩耗性を向上させるためには、比率n1/n2は、1.0、2.0、3.0、5.0及び10.0から選ばれる2つの値の範囲内であることも好ましい。比率n1/n2は、例えば、1.0以上2.0未満、又は2.0以上5.0以下であってもよい。比率n1/n2は、例えば、1.0又は3.0であってもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)が繰返し単位(4)を含む場合、ポリアリレート樹脂(PA)に含まれる繰返し単位(3)の数n3に対する、ポリアリレート樹脂(PA)に含まれる繰り返し単位(4)の数n4の比率n4/n3は、0.0より大きいことが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましい。比率n4/n3は、5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。比率n1/n2は、0.1、0.5、1.0、1.5、3.0及び5.0から選ばれる2つの値の範囲内であることも好ましい。比率n4/n3は、例えば、1.0であってもよい。
比率n1/n2は、ポリカーボネート樹脂(PA)を製造する際に添加する化合物(BP−1)の量と化合物(BP−2)の量とを変更することにより、調整することができる。また、比率n4/n3は、ポリカーボネート樹脂(PA)を製造する際に添加する化合物(DC−3)の量と化合物(DC−4)の量とを変更することにより、調整することができる。なお、化合物(BP−1)、化合物(BP−2)、化合物(DC−3)及び化合物(DC−4)については後述する。
比率n1/n2及び比率n4/n3は、各々、1本の分子鎖から得られる値ではなく、感光層に含有されるポリアリレート樹脂(PA)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。比率n1/n2及び比率n4/n3は、各々、プロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA)の1H−NMRスペクトルを測定し、得られた1H−NMRスペクトルから算出することができる。
ポリアリレート樹脂(PA)の具体的な例としては、以下のポリアリレート樹脂が挙げられる。
繰り返し単位(1−1)、(2)及び(3)を含み、繰返し単位(4)を含まず、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(I)と記載することがある);
繰り返し単位(1−5)、(2)及び(3)を含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(II)と記載することがある);
繰り返し単位(1−1)、(2)、(3)及び(4)を含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(III)と記載することがある);
繰り返し単位(1−2)、(2)及び(3)を含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(IV)と記載することがある);
繰り返し単位(1−3)、(2)及び(3)を含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(V)と記載することがある);
繰り返し単位(1−4)、(2)及び(3)を含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(VI)と記載することがある);及び
繰り返し単位(1−1)、(2)及び(3)を含み、繰返し単位(4)を含まず、比率n1/n2が1.0以上2.0未満であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(VII)と記載することがある)。
ポリアリレート樹脂(PA)のより具体的な例としては、以下のポリアリレート樹脂が挙げられる。
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−1)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(i)と記載することがある);
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−5)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(ii)と記載することがある);
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−1)、(2)、(3)及び(4)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(iii)と記載することがある);
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−2)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(iv)と記載することがある);
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−3)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(v)と記載することがある);
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−4)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が2.0以上5.0以下であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(vi)と記載することがある);及び
繰り返し単位として、繰り返し単位(1−1)、(2)及び(3)のみを含み、比率n1/n2が1.0以上2.0未満であるポリアリレート樹脂(ポリアリレート樹脂(vii)と記載することがある)。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に具体的な例としては、化学式(R−1)〜(R−7)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれをポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−7)と記載する)が挙げられる。なお、化学式(R−1)〜(R−7)中、各繰返し単位の右下に付された数字は、ポリアリレート樹脂に含まれる繰り返し単位の総数に対する、各繰返し単位の数の百分率(%)を示す。繰り返し単位の総数は、ビスフェノール由来繰り返し単位の数と、ジカルボン酸由来繰り返し単位の数との合計である。また、記載の便宜上、化学式(R−1)、(R−2)及び(R−4)〜(R−7)の各々においては、繰返し単位(3)を2つ記載している。しかし、ポリアリレート樹脂(R−1)、(R−2)及び(R−4)〜(R−7)の各々に含まれる繰り返し単位の総数に対する、繰返し単位(3)の数の百分率は、50.0%(2つの繰り返し単位(3)の右下に付された数字の合計)である。
Figure 0006888517
Figure 0006888517
Figure 0006888517
感光体の耐摩耗性を向上させるためには、繰返し単位(1)としては、繰返し単位(1−5)が好ましい。繰返し単位(1)が繰返し単位(1−5)であるポリアリレート樹脂(PA)としては、ポリアリレート樹脂(II)が好ましく、ポリアリレート樹脂(ii)がより好ましく、ポリアリレート樹脂(R−2)が更に好ましい。
感光体の耐摩耗性を向上させるためには、繰返し単位(1)としては、繰返し単位(1−1)も好ましい。繰返し単位(1)が繰返し単位(1−1)であるポリアリレート樹脂(PA)としては、ポリアリレート樹脂(I)及び(III)が好ましく、ポリアリレート樹脂(i)及び(iii)がより好ましく、ポリアリレート樹脂(R−1)及び(R−3)が更に好ましい。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、繰返し単位(1)が繰返し単位(1−1)であり、繰返し単位(4)が更に含まれることが好ましい。繰返し単位(1)が繰返し単位(1−1)であり繰返し単位(4)を更に含むポリアリレート樹脂(PA)としては、ポリアリレート樹脂(III)が好ましく、ポリアリレート樹脂(iii)がより好ましく、ポリアリレート樹脂(R−3)が更に好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)において、ビスフェノール由来繰り返し単位と、ジカルボン酸由来繰り返し単位とは、隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(PA)に含まれるビスフェノール由来繰り返し単位の数は、ジカルボン酸由来繰り返し単位の数と等しい。ビスフェノール由来繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位(1)及び(2)である。また、ジカルボン酸由来繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位(3)である。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含む場合には、ジカルボン酸由来繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位(3)及び(4)である。
ポリアリレート樹脂(PA)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体又はブロック共重合体であってもよい。ポリアリレート樹脂(PA)において、繰り返し単位の配列は、ビスフェノール由来繰り返し単位とジカルボン酸由来繰り返し単位とが隣接して互いに結合している限り、特に限定されない。例えば、繰り返し単位(3)の両端に繰り返し単位(1)が結合していてもよい。或いは、繰り返し単位(3)の両端に繰り返し単位(2)が結合していてもよい。或いは、繰り返し単位(3)の一方端に繰り返し単位(1)が結合し、繰り返し単位(3)の他方端に繰り返し単位(2)が結合していてもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含まない場合、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1)、(2)及び(3)のみを含んでいてもよい。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含まない場合、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1)、(2)及び(3)に加えて、繰り返し単位(1)、(2)、(3)及び(4)以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含む場合、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1)、(2)、(3)及び(4)のみを含んでいてもよい。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含む場合、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1)、(2)、(3)及び(4)に加えて、繰り返し単位(1)、(2)、(3)及び(4)以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましく、40,000以上であることが特に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量が10,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。一方、バインダー樹脂の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が80,000以下であると、ポリアリレート樹脂(PA)が電荷輸送層形成用の溶剤及び単層型感光層形成用の溶剤に溶解し易くなる。
ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法として、例えば、ビスフェノール由来繰返し単位を構成するためのビスフェノールと、ジカルボン酸由来繰り返し単位を構成するためのジカルボン酸とを縮重合させる方法が挙げられる。縮重合させるためには、公知の合成方法(例えば、溶液重合、溶融重合又は界面重合)を採用することができる。
ビスフェノール繰返し単位を構成するためのビスフェノールとしては、例えば、一般式(BP−1)で表される化合物(以下、化合物(BP−1)と記載することがある)、及び化学式(BP−2)で表される化合物(以下、化合物(BP−2)と記載することがある)が挙げられる。ジカルボン酸繰返し単位を構成するためのジカルボン酸としては、例えば、化学式(DC−3)で表される化合物(以下、化合物(DC−3)と記載することがある)が挙げられる。ポリアリレート樹脂(PA)が繰り返し単位(4)を含む場合には、ジカルボン酸として、化合物(DC−3)に加えて、化学式(DC−4)で表される化合物(以下、化合物(DC−4)と記載することがある)を更に添加する。一般式(BP−1)中のR1、R2、R3及びR4は、各々、一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4と同義である。
Figure 0006888517
化合物(BP−1)の好適な例としては、化学式(BP−1−1)〜(BP−1−5)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(BP−1−1)〜(BP−1−5)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006888517
ビスフェノール(例えば、化合物(BP−1)及び化合物(BP−2))は、芳香族ジアセテートに誘導体化して使用してもよい。ジカルボン酸(例えば、化合物(DC−3)及び化合物(DC−4))は、誘導体化して使用してもよい。ジカルボン酸の誘導体の例としては、ジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸ジメチルエステル、ジカルボン酸ジエチルエステル及びジカルボン酸無水物が挙げられる。ジカルボン酸ジクロライドは、ジカルボン酸が有する2個の「−C(=O)−OH」基が各々「−C(=O)−Cl」基で置換された化合物である。
ビスフェノールとジカルボン酸との縮重合において、塩基及び触媒の一方又は両方を添加してもよい。塩基の例としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。触媒の例としては、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、4級アンモニウム塩、トリエチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。以上、本実施形態に係るポリアリレート樹脂(PA)について説明した。
<感光体>
次に、本実施形態のポリアリレート樹脂(PA)を含有する感光層を備える感光体について説明する。感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。感光体は、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)であってもよく、単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)であってもよい。
(積層型感光体)
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、積層型感光体である場合の感光体1について説明する。図1(a)〜図1(c)は、それぞれ、感光体1の一例(積層型感光体)を示す部分断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを含む。つまり、積層型感光体には、感光層3として、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとが備えられる。
積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1(a)に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。しかし、図1(b)に示すように、感光体1としての積層型感光体では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体1としての積層型感光体は、導電性基体2と感光層3と中間層4(下引き層)とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。図1(a)及び図1(b)に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、図1(c)に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して備えられてもよい。感光層3上には、保護層5(図2(c)参照)が設けられていてもよい。或いは、感光層3上には、保護層5が設けられていなくてもよい。例えば、電荷輸送層3bが、感光体1の最表面層として設けられてもよい。
電荷発生層3aの厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、特に限定されないが、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、積層型感光体である場合の感光体1について説明した。
(単層型感光体)
以下、図2(a)〜図2(c)を参照して、単層型感光体である場合の感光体1について説明する。図2(a)〜図2(c)は、それぞれ、感光体1の別の例(単層型感光体)を示す部分断面図である。
図2(a)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光体1としての単層型感光体には、単層の感光層3(以下、単層型感光層3cと記載することがある)が備えられる。
図2(b)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。図2(a)に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、図2(b)に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して備えられてもよい。
図2(c)に示すように、感光体1としての単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、単層型感光層3c上に設けられる。或いは、単層型感光層3c上には、保護層5が設けられていなくてもよい。例えば、単層型感光層3cが、感光体1の最表面層として設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。以上、図2(a)〜図2(c)を参照して、単層型感光体である場合の感光体1について説明した。以下、感光体について、更に詳細に説明する。
<感光層>
感光体が積層型感光体である場合、感光層のうちの電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生層は、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷発生層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。感光層のうちの電荷輸送層は、正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。電荷輸送層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
感光体が単層型感光体である場合、感光層としての単層型感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。単層型感光層は、電子輸送剤を更に含有してもよい。単層型感光層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、本実施形態のポリアリレート樹脂(PA)を含む。感光層(例えば、電荷輸送層、又は単層型感光層)は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)を含む。感光層がポリアリレート樹脂(PA)を含むことで、上述したように、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。
感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)の1種のみを含有してもよい。また、感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)の2種以上を含有してもよい。
感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよい。また、感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)に加えて、ポリアリレート樹脂(PA)以外のバインダー樹脂(以下、その他のバインダー樹脂と記載することがある)を更に含有してもよい。ポリアリレート樹脂(PA)の含有率は、バインダー樹脂の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
その他のバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂(PA)以外のポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。感光層は、これらのその他のバインダー樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
(ベース樹脂)
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、ベース樹脂を含有する。ベース樹脂の例は、上述したその他のバインダー樹脂の例と同じである。電荷発生層は、ベース樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。電荷発生層及び電荷輸送層を良好に形成するためには、電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。
正孔輸送剤は、一般式(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)で表される化合物を含むことが好ましい。以下、一般式(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)で表される化合物を、各々、化合物(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)と記載することがある。感光層(例えば、電荷輸送層、又は単層型感光層)は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)を含有することが好ましい。感光層に正孔輸送剤として化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)が含有されることで、感光体の耐摩耗性を向上させつつ、感光体の感度特性を向上させることができる。
化合物(10)は、下記一般式(10)で表される。
Figure 0006888517
一般式(10)中、R101、R103、R104、R105、R106、R107及びR108は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよいフェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接する2つが結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよい。R102及びR109は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。b1及びb2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
一般式(10)中、R101〜R109が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、メチル基又はn−ブチル基が更に好ましい。
一般式(10)中、R101〜R109が表わすフェニル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよい。フェニル基が有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(10)中、R101〜R109が表わす炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
一般式(10)中、R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接した二つが互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよい。例えば、R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接したR106及びR107が互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成してもよい。R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接した二つが互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンはR103、R104、R105、R106及びR107が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。この場合、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでもよい。R103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接した二つが互いに結合して表される炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとしては、シクロヘキサンが好ましい。
1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR102は互いに同一でも異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR109は互いに同一でも異なっていてもよい。b1及びb2は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
一般式(10)中、R101及びR108は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有するフェニル基又は水素原子を表すことが好ましい。R102及びR109は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましい。R103、R104、R105、R106及びR107は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表すことが好ましい。或いは、R103、R104、R105、R106及びR107のうち隣接した二つが互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましい。b1及びb2は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
化合物(10)の好適な例としては、化学式(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)及び(HTM−4)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)及び(HTM−4)で表される化合物を、各々、化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)及び(HTM−4)と記載することがある。
Figure 0006888517
化合物(11)は、下記一般式(11)で表される。
Figure 0006888517
一般式(11)中、R111及びR112は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表す。R113、R114、R115、R116、R117及びR118は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表す。d1及びd2は、各々独立に、0又は1を表す。d3、d4、d5及びd6は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。d7及びd8は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(11)中、R111〜R118が表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
一般式(11)中、d3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR113は互いに同一でも異なっていてもよい。d4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR114は互いに同一でも異なっていてもよい。d5が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR115は互いに同一でも異なっていてもよい。d6が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR116は互いに同一でも異なっていてもよい。d7が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR117は互いに同一でも異なっていてもよい。d8が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR118は互いに同一でも異なっていてもよい。
化合物(11)の好適な例としては、化学式(HTM−5)、(HTM−6)及び(HTM−7)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−5)、(HTM−6)及び(HTM−7)で表される化合物を、各々、化合物(HTM−5)、(HTM−6)及び(HTM−7)と記載することがある。
Figure 0006888517
化合物(12)は、下記一般式(12)で表される。
Figure 0006888517
一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。e1、e2、e4及びe5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e3及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(12)中、R121〜R126が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
121、R122及びR123を有するジフェニルアミノフェニルエテニル基に対して、R124、R125及びR126を有するジフェニルアミノフェニルエテニル基は、オルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置していてもよい。R121、R122及びR123を有するジフェニルアミノフェニルエテニル基に対して、R124、R125及びR126を有するジフェニルアミノフェニルエテニル基は、オルト位又はパラ位に位置することが好ましい。
一般式(12)中、e1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR121は互いに同一でも異なっていてもよい。e2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR122は互いに同一でも異なっていてもよい。e3が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR123は互いに同一でも異なっていてもよい。e4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR124は互いに同一でも異なっていてもよい。e5が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR125は互いに同一でも異なっていてもよい。e6が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR126は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(12)中、e1、e2、e4及びe5は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e1及びe2の一方が0を表し他方が2を表し且つe4及びe5の一方が0を表し他方が2を表すか、或いはe1、e2、e4及びe5が各々1を表すことがより好ましい。e3及びe6は、各々、0を表すことが好ましい。
一般式(12)中、R121、R122、R123、R124、R125及びR126は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましい。e1、e2、e4及びe5は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e3及びe6は、各々、0を表すことが好ましい。
化合物(12)の好適な例としては、化学式(HTM−8)及び(HTM−9)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−8)及び(HTM−9)で表される化合物を、各々、化合物(HTM−8)及び(HTM−9)と記載することがある。
Figure 0006888517
化合物(13)は、下記一般式(13)で表される。
Figure 0006888517
一般式(13)中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39及びR3Aは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
化合物(13)の好適な例としては、化学式(HTM−10)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−10)で表される化合物を、化合物(HTM−10)と記載することがある。
Figure 0006888517
化合物(14)は、下記一般式(14)で表される。
Figure 0006888517
一般式(14)中、R41及びR42は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、且つR41が表わす基の炭素原子数とR42が表わす基の炭素原子数との和は2である。R43及びR44は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、且つR43が表わす基の炭素原子数とR44が表わす基の炭素原子数との和は2である。
化合物(14)の好適な例としては、化学式(HTM−11)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−11)で表される化合物を、化合物(HTM−11)と記載することがある。
Figure 0006888517
感光体の耐摩耗性を向上させるためには、正孔輸送剤としては、化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)が好ましい。感光体の耐摩耗性に加えて感度特性を向上させるためには、正孔輸送剤としては、化合物(10)〜(14)のうち、化合物(10)、又は(11)が好ましく、化合物(11)がより好ましい。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、正孔輸送剤としては、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)のうち、化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、(HTM−4)、(HTM−5)、(HTM−6)、(HTM−9)、(HTM−10)又は(HTM−11)が好ましく、(HTM−3)、(HTM−6)、(HTM−9)、(HTM−10)又は(HTM−11)がより好ましい。感光体の耐摩耗性に加えて感度特性を向上させるためには、正孔輸送剤としては、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)のうち、化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−4)又は(HTM−6)が好ましく、化合物(HTM−6)がより好ましい。
感光層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)の1種のみを含有してもよい。或いは、感光層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)の2種以上を含有してもよい。感光層は、正孔輸送剤として、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の1種のみを含有してもよい。或いは、感光層は、正孔輸送剤として、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の2種以上を含有してもよい。
感光層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)のみを含有してもよい。或いは、感光層は、化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)に加えて、(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)以外の正孔輸送剤を更に含有してもよい。化合物(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)の含有量は、正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光層は、正孔輸送剤として、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)のみを含有してもよい。或いは、感光層は、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)に加えて、化合物(HTM−1)〜(HTM−11)以外の正孔輸送剤を更に含有してもよい。化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の含有量は、正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。感光層(電荷発生層、又は単層型感光層)は、電荷発生剤の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CGM−1)で表される。チタニルフタロシアニンは、化学式(CGM−2)で表される。
Figure 0006888517
Figure 0006888517
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのY型結晶(以下、Y型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶の別の例としては、チタニルフタロシアニンのα型結晶及びβ型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層に含有されるベース樹脂1質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、単層型感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、電子アクセプター、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、有機硫黄化合物及び有機燐化合物も挙げられる。レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。増感剤としては、例えば、メタターフェニルが挙げられる。
(材料の組み合わせ)
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が、次に示す組み合わせの何れかであることが好ましい。また、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(I)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(II)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(III)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(IV)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(V)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(VI)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(VII)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかである。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が、次に示す組み合わせの何れかであることがより好ましい。また、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることがより好ましい。
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(i)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(ii)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(iii)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(iv)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(v)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(vi)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(vii)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかである。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が、次に示す組み合わせの何れかであることが更に好ましい。また、正孔輸送剤及びバインダー樹脂が次に示す組み合わせの何れかであり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが更に好ましい。
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−1)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−2)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−3)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−4)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−5)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−6)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかであるか;又は
バインダー樹脂がポリアリレート樹脂(R−7)であり、正孔輸送剤が化合物(HTM−1)〜(HTM−11)の何れかである。
<導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂の例は、上述したその他のバインダー樹脂の例と同じである。中間層及び感光層を良好に形成するためには、中間層用樹脂は、感光層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
<感光体の製造方法>
感光体の製造方法として、積層型感光体の製造方法の一例、及び単層型感光体の製造方法の一例を説明する。
(積層型感光体の製造方法)
積層型感光体の製造方法は、感光層形成工程を含む。感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と電荷輸送層形成工程とを含む。電荷発生層形成工程では、まず、電荷発生層を形成するための塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して、電荷発生層を形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、ベース樹脂と、溶剤とを含む。このような電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤及びベース樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。電荷発生層用塗布液には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。
電荷輸送層形成工程では、まず、電荷輸送層を形成するための塗布液(以下、電荷輸送層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布する。次いで、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して、電荷輸送層を形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて、添加剤を更に加えてもよい。
(単層型感光体の製造方法)
単層型感光体の製造方法は、単層型感光層形成工程を含む。単層型感光層形成工程では、単層型感光層を形成するための塗布液(以下、単層型感光層用塗布液と記載することがある)を調製する。単層型感光層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、塗布した単層型感光層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して、単層型感光層を形成する。単層型感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。単層型感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。単層型感光層用塗布液には、電子輸送剤を更に加えてもよい。単層型感光層用塗布液には、必要に応じて、添加剤を更に加えてもよい。
電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液及び単層型感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
積層型感光体を製造する場合、電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布する場合に、電荷発生層が電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散器を用いることができる。
各成分の分散性又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、塗布液は、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法及びバーコート法が挙げられる。
塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理の温度は、例えば、40℃以上150℃以下である。熱処理の時間は、例えば、3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する工程は、公知の方法を適宜選択することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
積層型感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(HTM−1)〜(HTM−11)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−7)の各々を、合成した。
(ポリアリレート樹脂(R−1)の合成)
反応容器として、温度計、三方コック、及び滴下ロートを備えた三口フラスコを用いた。反応容器に、化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)と、化合物(BP−2)(10.3ミリモル)と、p−tert−ブチルフェノール(0.413ミリモル)と、水酸化ナトリウム(98ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(0.384ミリモル)とを入れた。反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。反応容器の内容物に水(300mL)を加えた。反応容器の内容物を50℃で1時間攪拌した。反応容器の内容物の温度が10℃になるまで反応容器の内容物を冷却して、アルカリ性水溶液Aを得た。
次に、化合物(DC−3)のジカルボン酸ジクロライド(32.4ミリモル)を、クロロホルム(150mL)に溶解させた。これにより、クロロホルム溶液Bを得た。
アルカリ性水溶液Aに対して、滴下ロートを用いて、110分間かけてゆっくりとクロロホルム溶液Bを滴下した。反応容器の内容物の温度(液温)を15±5℃に調節しながら、反応容器の内容物を4時間攪拌して重合反応を進行させた。デカントを用いて反応容器の内容物の上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、三角フラスコに、イオン交換水(400mL)を加えた。三角フラスコ内に、得られた有機層を更に加えた。三角フラスコ内に、クロロホルム(400mL)及び酢酸(2mL)を更に加えた。三角フラスコ内容物を、室温(25℃)で30分間攪拌した。デカントを用いて三角フラスコ内容物の上層(水層)を除去し、有機層を得た。分液ロートを用いて、イオン交換水(1L)で、得られた有機層を洗浄した。イオン交換水による洗浄を5回繰り返し、水洗した有機層を得た。次に、水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。メタノール(1L)に得られたろ液をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。取り出した沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。これにより、ポリアリレート樹脂(R−1)が得られた。
(ポリアリレート樹脂(R−2)の合成)
化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)を化合物(BP−1−5)(30.9ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−2)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−3)の合成)
化合物(DC−3)のジカルボン酸ジクロライド(32.4ミリモル)を、化合物(DC−3)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)及び化合物(DC−4)のジカルボン酸ジクロライド(16.2ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−3)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−4)の合成)
化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)を化合物(BP−1−2)(30.9ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−4)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−5)の合成)
化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)を化合物(BP−1−3)(30.9ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−5)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−6)の合成)
化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)を化合物(BP−1−4)(30.9ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−6)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−7)の合成)
化合物(BP−1−1)(30.9ミリモル)及び化合物(BP−2)(10.3ミリモル)を、化合物(BP−1−1)(20.6ミリモル)及び化合物(BP−2)(20.6ミリモル)に変更した以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−7)を得た。
得られたポリアリレート樹脂(R−1)、(R−2)、(R−3)、(R−4)、(R−5)、(R−6)及び(R−7)の粘度平均分子量は、各々、50500、51,000、50,000、45,000、47,300、45,500及び48,700であった。
プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、得られたポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−7)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−7)のうちの代表例として、ポリアリレート樹脂(R−7)の化学シフト値を以下に示す。化学シフト値から、ポリアリレート樹脂(R−7)が得られていることを確認した。ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−6)についても同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−6)が各々得られていることを確認した。
ポリアリレート樹脂(R−7):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.21−8.26(m,8H), 7.25−7.29(m,4H), 7.07−7.23(m,20H), 2.16(q,2H), 1.65(s,3H), 0.78(t,3H).
また、比較例で使用するバインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(R−A)〜(R−G)の各々も準備した。ポリアリレート樹脂(R−A)〜(R−C)の各々は、下記化学式(R−A)〜(R−C)で表される。なお、各繰返し単位の右下に付された数字は、ポリアリレート樹脂に含まれる繰り返し単位の総数に対する、各繰返し単位の数の百分率(%)を示す。
Figure 0006888517
比較例で使用するポリアリレート樹脂(R−D)は、ビスフェノール由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(BP−A)及び(BP−C)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−D)は、ジカルボン酸由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(3)、(DC−T)及び(DC−I)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−D)に含まれる繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(BP−A)の数の百分率、繰り返し単位(BP−C)の数の百分率、繰り返し単位(3)の数の百分率、繰り返し単位(DC−T)の数の百分率、及び繰り返し単位(DC−I)の数の百分率は、各々、25.0%、25.0%、25.0%、15.0%、及び10.0%である。
Figure 0006888517
比較例で使用するポリアリレート樹脂(R−E)は、ビスフェノール由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(BP−C)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−E)は、ジカルボン酸由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(3)、(DC−T)及び(DC−I)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−E)に含まれる繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(BP−C)の数の百分率、繰り返し単位(3)の数の百分率、繰り返し単位(DC−T)の数の百分率、及び繰り返し単位(DC−I)の数の百分率は、各々、50.0%、25.0%、15.0%、及び10.0%である。
Figure 0006888517
比較例で使用するポリアリレート樹脂(R−F)は、ビスフェノール由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(BP−A)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−F)は、ジカルボン酸由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(3)、(DC−T)及び(DC−I)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−F)に含まれる繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(BP−A)の数の百分率、繰り返し単位(3)の数の百分率、繰り返し単位(DC−T)の数の百分率、及び繰り返し単位(DC−I)の数の百分率は、各々、50.0%、25.0%、15.0%、及び10.0%である。
Figure 0006888517
比較例で使用するポリアリレート樹脂(R−G)は、ビスフェノール由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(BP−Z)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−G)は、ジカルボン酸由来繰り返し単位として、下記繰り返し単位(3)、(DC−T)及び(DC−I)のみを含む。ポリアリレート樹脂(R−G)に含まれる繰り返し単位の総数に対する、繰り返し単位(BP−Z)の数の百分率、繰り返し単位(3)の数の百分率、繰り返し単位(DC−T)の数の百分率、及び繰り返し単位(DC−I)の数の百分率は、各々、50.0%、25.0%、15.0%、及び10.0%である。
Figure 0006888517
なお、ポリアリレート樹脂(R−A)、(R−B)、(R−C)、(R−D)、(R−E)、(R−F)及び(R−G)の粘度平均分子量は、各々、45,300、51,000、46,700、46,800、51,000、45,000及び44,400であった。
<積層型感光体の製造>
積層型感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)を、以下に示す方法で製造した。
(積層型感光体(A−1)の製造)
まず、中間層を形成した。表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒径10nm)を準備した。SMT−Aは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものであった。次いで、SMT−A(2質量部)、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)(1質量部)、メタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)をビーズミルの容器に投入した。ビーズミルを用いて容器の内容物を5時間混合して、中間層用塗布液を得た。中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、ディップコート法を用いて、導電性基体の表面に、ろ過された中間層用塗布液を塗布した。導電性基体としては、アルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)を用いた。次いで、塗布した中間層用塗布液を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚2μm)を形成した。
次に、電荷発生層を形成した。詳しくは、Y型チタニルフタロシアニン(1.5質量部)、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)(1質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)及びテトラヒドロフラン(40質量部)をビーズミルの容器に投入した。ビーズミルを用いて容器の内容物を2時間混合して、電荷発生層用塗布液を得た。電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、ディップコート法を用いて、中間層上に、ろ過された電荷発生層用塗布液を塗布し、50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
次に、電荷輸送層を形成した。詳しくは、正孔輸送剤としての化合物(HTM−1)50質量部、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(R−1)100質量部、ヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF社製「イルガノックス(登録商標)1010」)2質量部、テトラヒドロフラン350質量部、及びトルエン350質量部を、ボールミルの容器に投入した。ボールミルを用いて容器の内容物を混合して、電荷輸送層用塗布液を得た。電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上にディップコート法を用いて塗布し、120℃で40分間乾燥させた。これにより、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。これにより、積層型感光体(A−1)を得た。積層型感光体(A−1)において、導電性基体上に中間層が、中間層上に電荷発生層が、電荷発生層上に電荷輸送層が備えられていた。
(積層型感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の製造)
次の点を変更した以外は、積層型感光体(A−1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々を製造した。積層型感光体(A−1)の製造においては正孔輸送剤として化合物(HTM−1)を使用したが、積層型感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々の製造においては表1〜表3に示す種類の正孔輸送剤を使用した。積層型感光体(A−1)の製造においてはバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(R−1)を使用したが、積層型感光体(A−2)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々の製造においては表1〜表3に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
<帯電特性の評価>
積層型感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、帯電特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の回転数31rpm及び積層型感光体への流れ込み電流−10μAの条件下で、積層型感光体を帯電させた。帯電させた積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の帯電電位(V0、単位:−V)とした。積層型感光体の帯電電位(V0)を、表1〜表3に示す。
<感度特性の評価>
積層型感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、感度特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の表面を−600Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、積層型感光体の表面に照射した。単色光の照射終了から80ミリ秒が経過した時点の積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の露光後電位(VL、単位:−V)とした。積層型感光体の露光後電位(VL)を、表1〜表3に示す。
<耐摩耗性の評価>
積層型感光体(A−1)〜(A−16)及び(B−1)〜(B−7)の電荷輸送層の各々に対して、耐摩耗性を評価した。まず、積層型感光体の製造において調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布した。電荷輸送層用塗布液を塗布したポリプロピレンシートを、120℃で40分間乾燥させた。これにより、ポリプロピレンシート上に膜厚20μmの電荷輸送層(評価用シート)が形成された。続けて、ポリプロピレンシートから評価用シートを剥離した。そして、剥離された評価用シートをウィール(テーバー社製「S−36」)に貼り付けて、試験片を得た。得られた試験片の質量(摩耗試験前にの試験片の質量)M1を測定した。
その後、試験片に対して摩耗試験を行った。詳しくは、試験片をロータリーアブレージョンテスタ(株式会社東洋精機製作所製)の回転台に取り付けた。そして、試験片上に荷重500gfの摩耗輪(テーバー社製「CS−10」)を乗せた状態で、回転台を回転速度60rpmで回転させて、1000回転の摩耗試験を行った。続けて、摩耗試験後の試験片の質量M2を測定した。そして、試験前後の試験片の質量変化である摩耗減量(M1−M2)を求めた。測定した摩耗減量を、表1〜表3に示す。なお、摩耗減量が小さいほど、感光体の耐摩耗性が優れていることを示す。
表1〜表3中、HTM、樹脂、V0及びVLは、各々、正孔輸送剤、バインダー樹脂、帯電電位及び露光後電位を示す。表1〜表3中、「−」は、繰返し単位(1)及び(2)の一方又は両方が含まれていないため、n1/n2の値がないことを示す。
Figure 0006888517
Figure 0006888517
Figure 0006888517
積層型感光体(A−1)〜(A−16)の各々は、ポリアリレート樹脂(PA)を含有していた。具体的には、積層型感光体(A−1)〜(A−16)の各々に含有されるポリアリレート樹脂は、繰返し単位(1)(より具体的には、繰返し単位(1−1)〜(1−5)の何れか)と、繰返し単位(2)と、繰返し単位(3)とを少なくとも含んでいた。繰り返し単位(2)の数n2に対する、繰り返し単位(1)の数n1の比率n1/n2は、1.0以上であった。そのため、表1及び表2から明らかなように、積層型感光体(A−1)〜(A−16)では、摩耗減量が4.9mg以下であり、耐摩耗性が優れていた。また、積層型感光体(A−1)〜(A−16)では、帯電特性及び感度特性が損なわれることなく、耐摩耗性が向上していた。
一方、積層型感光体(B−1)は、ポリアリレート樹脂(PA)を含有していなかった。具体的には、積層型感光体(B−1)に含有されるポリアリレート樹脂(R−A)において、比率n1/n2が1.0以上ではなかった。そのため、表3から明らかなように、ポリアリレート樹脂(R−A)が電荷輸送層形成用の溶剤に溶解せず、電荷輸送層を形成することができなかった。そのため、積層型感光体(B−1)では、帯電特性、感度特性及び耐摩耗性を評価することができなかった。
積層型感光体(B−2)〜(B−7)の各々は、ポリアリレート樹脂(PA)を含有していなかった。具体的には、積層型感光体(B−2)に含有されるポリアリレート樹脂(R−B)は、繰り返し単位(2)を含んでいなかった。積層型感光体(B−3)に含有されるポリアリレート樹脂(R−C)は、繰り返し単位(3)を含んでいなかった。積層型感光体(B−4)〜(B−7)に含有されるポリアリレート樹脂(R−D)〜(R−G)は、繰り返し単位(1)及び(2)の両方を含んでいなかった。そのため、表3から明らかなように、積層型感光体(B−2)〜(B−7)では、摩耗減量が5.5mg以上であり、耐摩耗性が劣っていた。
以上のことから、本発明に係るポリアリレート樹脂は、感光層に含有された場合に、感光体の耐摩耗性を向上できることが示された。また、本発明に係る感光体は、耐摩耗性に優れることが示された。
本発明に係るポリアリレート樹脂は、感光体に利用することができる。本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
3c 単層型感光層
4 中間層
5 保護層

Claims (9)

  1. 一般式(1)で表される繰り返し単位と、化学式(2)で表される繰り返し単位と、化学式(3)で表される繰り返し単位とを少なくとも含み、
    化学式(4)で表される繰り返し単位を更に含み、
    前記化学式(2)で表される繰り返し単位の数n2に対する、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の数n1の比率n1/n2は、3.0以上である、ポリアリレート樹脂。
    Figure 0006888517
    (前記一般式(1)中、
    1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、R3はメチル基を表し、R4は水素原子又は炭素原子数2若しくは3のアルキル基を表すか、或いは、
    1及びR2は各々メチル基を表し、R3及びR4は互いに結合して炭素原子数5又は6のシクロアルキリデン基を表す。)
    Figure 0006888517
  2. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位は、化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される繰り返し単位である、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
    Figure 0006888517
  3. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位は、前記化学式(1−5)で表される繰り返し単位である、請求項2に記載のポリアリレート樹脂。
  4. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位は、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位である、請求項2に記載のポリアリレート樹脂。
  5. 導電性基体と、感光層とを備える、電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤とバインダー樹脂とを含有し、
    前記バインダー樹脂は、請求項1〜の何れか一項に記載のポリアリレート樹脂を含む、電子写真感光体。
  6. 前記正孔輸送剤は、一般式(10)、(11)、(12)、(13)又は(14)で表される化合物を含む、請求項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006888517
    (前記一般式(10)中、
    101、R103、R104、R105、R106、R107及びR108は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよいフェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
    103、R104、R105、R106及びR107のうちの隣接する2つが結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよく、
    102及びR109は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
    1及びb2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。)
    Figure 0006888517
    (前記一般式(11)中、
    111及びR112は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表し、
    113、R114、R115、R116、R117及びR118は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表し、
    1及びd2は、各々独立に、0又は1を表し、
    3、d4、d5及びd6は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    7及びd8は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。)
    Figure 0006888517
    (前記一般式(12)中、
    121、R122、R123、R124、R125及びR126は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
    1、e2、e4及びe5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    3及びe6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。)
    Figure 0006888517
    (前記一般式(13)中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39及びR3Aは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
    Figure 0006888517
    (前記一般式(14)中、R41及びR42は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、且つR41が表わす基の炭素原子数とR42が表わす基の炭素原子数との和は2であり、R43及びR44は、各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、且つR43が表わす基の炭素原子数とR44が表わす基の炭素原子数との和は2である。)
  7. 前記正孔輸送剤は、化学式(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、(HTM−4)、(HTM−5)、(HTM−6)、(HTM−7)、(HTM−8)、(HTM−9)、(HTM−10)又は(HTM−11)で表される化合物を含む、請求項又はに記載の電子写真感光体。
    Figure 0006888517
    Figure 0006888517
    Figure 0006888517
    Figure 0006888517
    Figure 0006888517
  8. 前記正孔輸送剤は、前記化学式(HTM−3)、(HTM−6)、又は(HTM−9)で表される化合物を含む、請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを含み、
    前記電荷発生層は、前記電荷発生剤を含有し、
    前記電荷輸送層は、前記正孔輸送剤と前記バインダー樹脂とを含有する、請求項〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。
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