以下、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物、並びにカラーフィルタおよびその製造方法について詳細に説明する。
〔染料含有ネガ型硬化性組成物〕
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、(A)アルカリ可溶性バインダーと、(B)有機溶剤可溶性染料として、以下に示す一般式(C1)で表される色素の少なくとも一種及び一般式(1)で表されるキノフタロン色素の少なくとも一種(以下、総じて「本発明に係る色素」ということがある。)と、(C)光重合開始剤と、(D)ラジカル重合性モノマーとを少なくとも含んでなり、一般には(E)有機溶剤を用いて構成することができ、必要に応じ更に架橋剤等の他の成分を用いて構成することができる。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、本発明に係る色素を用いることで、パターン形成したときの該パターンの熱および光に対する堅牢性(熱堅牢性および光堅牢性)を特に向上させることができる。さらに、高感度化に有効であり、非画像部をなす非露光領域の現像残渣を従来以上に軽減できるので、高解像度かつ、断面矩形で高精細なパターンの形成に有用である。上記のほか、良好な色相を呈し、高透過率特性をも達成し得るものである。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物においては、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、およびステッパー方式のいずれの方式で露光を行なうようにしてもよいが、特にステッパー方式(縮小投影露光機を用いた縮小投影露光方式)で露光を行なうのが好ましい。このステッパー方式は、露光量を段階的に変動しながら露光を行なうことによってパターンを形成するものであり、ステッパー露光を行なった際に特に本発明の効果の1つであるパターンの矩形性を良好にすることができる。
また、前記ステッパー露光に用いる露光装置としては、例えば、i線ステッパー(商品名:FPA−3000i5+、キャノン(株)製)等を用いることができる。
(A)アルカリ可溶性バインダー
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、アルカリ可溶性バインダーの少なくとも一種を含有する。本発明に係るアルカリ可溶性バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号等の公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、特に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。このほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。
また、親水性基を有するモノマーを共重合してもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級及び3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を用い共重合させてなるものが挙げられる。
上記以外に、親水性基を有するモノマーとして、テトラヒドロフルフリル基、燐酸部位、燐酸エステル部位、4級アンモニウム塩の部位、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸又はその塩の部位、モルホリノエチル基などを含むモノマー等も有用である。
また、本発明に係るアルカリ可溶性バインダーとしては、架橋効率を向上させる観点から、不飽和二重結合を側鎖に有するものが好ましい。本発明に係るアルカリ可溶性バインダーの側鎖に結合される不飽和二重結合としては、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等が挙げられ、アリル基、(メタ)アクリル基が好ましい。これら不飽和二重結合は、該不飽和二重結合を有するユニットを共重合させて導入してもよいし、ポリマー反応により後から導入するようにしてもよい。前記不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーの例としては、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記の各種アルカリ可溶性バインダーのうち、アクリル系樹脂が好ましく、該アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、及びKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)などが好ましい。
前記アルカリ可溶性バインダーは、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105の重合体が好ましく、2000〜1×105の重合体が更に好ましく、5000〜5×104の重合体が特に好ましい。
アルカリ可溶性バインダーの染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
(B)有機溶剤可溶性染料
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、色素化合物として、下記一般式(C1)で表される色素の少なくとも一種と、下記一般式(1)で表されるキノフタロン系色素の少なくとも一種と(本発明に係る色素)を含有する。本発明に係る色素を少なくとも2種含むので、従来の染料系の組成に比して、高感度で、非露光領域の現像残渣を解消した良好な矩形断面を持つパターン形成が可能であって、形成後のパターンの熱堅牢性および光堅牢性を効果的に向上させることができる。
−一般式(C1)で表される色素−
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、下記一般式(C1)で表される色素(以下、「本発明に係るフタロシアニン系染料」ともいう。)の少なくとも一種を含有する。この色素(染料)は、透過率特性の高い良好なシアン色相を呈し、液状調製物もしくは塗布された塗布膜の状態としたときの経時析出がなく安定性に優れており、特に熱や光に対する優れた耐性を有する。
以下、本発明に係るフタロシアニン系染料について、一般式(C1)の各基の詳細を中心に説明する。
一般式(C1)において、「脂肪族」は、その脂肪族部位が直鎖、分岐鎖、または環状であって飽和および不飽和のいずれであってもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を含み、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。また、「アリール」は、単環および縮合環のいずれでもよく、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。「ヘテロ環」は、そのヘテロ環部位が環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環および不飽和環のいずれであってもよく、単環および縮合環のいずれでもよく、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。
また、一般式(C1)において、「置換基」は、置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、イミド基、アゾ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基、等を挙げることができる。
前記一般式(C1)において、Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、N−アルキルアシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、イミド基、またはヘテロ環チオ基を表す。
前記Rc1で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、イソプロペニル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましく、総炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−メトキシカルボニル−4−ニトロフェニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるヘテロ環基としては、飽和であっても不飽和であってもよく、総炭素数1〜15のヘテロ環基が好ましく、総炭素数3〜10のヘテロ環基がより好ましい。例えば、3−ピリジル基、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ピラジニル基、1−ピペリジル基等が挙げられる。また、さらに置換基を有していてもよい。
前記Rc1で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイル基がより好ましい。例えば、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジメトキシエチルカルバモイル基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよく、総炭素数2〜16の脂肪族オキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニル基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数7〜17のアリールオキシカルボニル基が好ましく、総炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基がより好ましい。例えば、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアシル基は、脂肪族カルボニル基であってもアリールカルボニル基であってもよく、脂肪族カルボニル基を表す場合は更に置換基を有していてもよく、アリールカルボニル基を表す場合は更に置換基を有していてもよく、飽和または不飽和のいずれでもよく、環状であってもよい。該アシル基としては、総炭素数2〜15のアシル基が好ましく、総炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。また、さらに置換基を有していてもよい。
前記Rc1で表される脂肪族オキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシ基としては、総炭素数1〜12の脂肪族オキシ基が好ましく、総炭素数1〜10の脂肪族オキシ基がより好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、チオフェノキシエトキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜14のアリールオキシ基がより好ましい。例えば、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアシルオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜14のアシルオキシ基が好ましく、総炭素数2〜10のアシルオキシ基がより好ましい。例えば、アセトキシ基、メトキシアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるカルバモイルオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイルオキシ基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイルオキシ基がより好ましい。例えば、ジメチルカルバモイルオキシ基、ジイソプロピルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるヘテロ環オキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜15のヘテロ環オキシ基が好ましく、総炭素数3〜10のヘテロ環オキシ基がより好ましい。例えば、3−フリルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、N−メチル−2−ピペリジルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニルオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族オキシカルボニルオキシ基としては、総炭素数2〜16の脂肪族オキシカルボニルオキシ基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニルオキシ基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニルオキシ基、(t)ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるN−アルキルアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数3〜15のN−アルキルアシルアミノ基が好ましく、総炭素数3〜12のN−アルキルアシルアミノ基がより好ましい。例えば、N−メチルアセチルアミノ基、N−エトキシエチルベンゾイルアミノ基、N−メチルメトキシアセチルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるカルバモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜16のカルバモイルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜12のカルバモイルアミノ基がより好ましい。例えば、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、N−メチル−N−メトキシエチルカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるスルファモイルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数0〜16のスルファモイルアミノ基が好ましく、総炭素数0〜12のスルファモイルアミノ基がより好ましい。例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基、N,N−ジエチルスルファモイルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族オキシカルボニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜15の脂肪族オキシカルボニルアミノ基が好ましく、総炭素数2〜10の脂肪族オキシカルボニルアミノ基がより好ましい。例えば、メトキシカルボニルアミノ基、メトキシエトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数7〜17のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、総炭素数7〜15のアリールオキシカルボニルアミノ基がより好ましい。例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、4−メトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族スルホニルアミノ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族スルホニルアミノ基としては、総炭素数1〜12の脂肪族スルホニルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜8の脂肪族スルホニルアミノ基がより好ましい。例えば、メタンスルホニルアミノ基、ブタンスルホニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールスルホニルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜15のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、総炭素数6〜12のアリールスルホニルアミノ基がより好ましい。例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、4−トルエンスルホニルアミノ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族チオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。脂肪族チオ基としては、総炭素数1〜16の脂肪族チオ基が好ましく、総炭素数1〜10の脂肪族チオ基がより好ましい。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、エトキシエチルチオ基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜22のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜14のアリールチオ基が好ましい。例えば、フェニルチオ基、2−t−ブチルチオ基等が挙げられる。
前記Rc1で表される脂肪族スルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜15の脂肪族スルホニル基が好ましく、総炭素数1〜8の脂肪族スルホニル基がより好ましい。例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、メトキシエタンスルホニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるアリールスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数6〜12のアリールスルホニル基がより好ましい。例えば、ベンゼンスルホニル基、4−t−ブチルベンゼンスルホニル基、4−トルエンスルホニル基、2−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるスルファモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数0〜16のスルファモイル基が好ましく、総炭素数0〜12のスルファモイル基がより好ましい。例えば、スルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるイミド基としては、更に縮環していてもよく、総炭素数3〜22のイミド基が好ましく、総炭素数3〜15のイミド基がより好ましい。例えば、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基等が挙げられる。
前記Rc1で表されるヘテロ環チオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、5〜7員環であって、総炭素数1〜20のヘテロ環チオ基が好ましく、総炭素数1〜12のヘテロ環チオ基が好ましい。例えば、3−フリルチオ基、3−ピリジルチオ基等が挙げられる。
前記一般式(C1)中、Zc1は、炭素原子と共に6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、4つのZc1は同一でも異なっていてもよい。形成される6員環は、アリール環またはヘテロ環のいずれであってもよく、縮環していてもよく、縮環した環が更に置換基を有していてもよい。6員環としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環等が挙げられ、ベンゼン環である態様が好適である。
前記一般式(C1)中、Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物を表す。該Mとしては、例えば、VO、TiO、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2、Si(OH)2、H2等が挙げられ、VO、Zn、Mn、Cu、Ni、Coである態様が好適である。
前記一般式(C1)において、cmは0、1または2(好ましくは0)を表し、cnは0または1〜5の整数(好ましくは0または1)を表す。分子中の4ヶ所のcnは同一でも異なってもよいが、cnの1つは1〜5の整数を表し、分子中にcnが複数ある場合には、複数のRc1は互いに同一でも異なっていてもよい。
また、cr1、cr2、cr3およびcr4は、0または1を表し、cr1+cr2+cr3+cr4≧1を満たす。中でも、cr1+cr2+cr3+cr4が3または4である態様が好ましい。
前記一般式(C1)で表される色素の中でも、本発明の効果をより効果的に奏し得る観点から、下記一般式(C1−1)で表される色素(本発明に係るフタロシアニン系染料)が好ましい。
前記一般式(C1−1)中、Rc2は置換基を表し、該置換基は、置換可能な基であればよく、既述の「置換基」の項で列挙した基が挙げられる。好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、N−アルキルアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、脂肪族基、N−アルキルアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、スルホ基、カルボキシル基、ハロゲン原子である。
前記一般式(C1−1)中、cpは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1である。ただし、cp+cr1、cp+cr2、cp+cr3、cp+cr4は、いずれも0〜4の整数を表す。Rc2が分子中に複数存在している場合、複数のRc2は同一でも異なっていてもよい。
なお、一般式(C1−1)におけるRc1、M、cm、cn並びにcr1、cr2、cr3およびcr4は、前記一般式(C1)おける場合と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記一般式(C1−1)で表される色素の中でも、本発明の効果をより効果的に奏し得る観点から、下記一般式(C1−2)で表される色素(本発明に係るフタロシアニン系染料)がより好ましい。
前記一般式(C1−2)中、Rc1、Rc2、M、cm、cn並びにcr1、cr2、cr3およびcr4は、前記一般式(C1)及び(C1−1)における場合とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。また、一般式(C1−2)中のcqは、0または1を表す。なお、フタロシアニン骨格はテトラアザポルフィリン骨格の外側に4つのベンゼン環が縮合した構造を有しており、各ベンゼン環には4ヶ所の置換基が入り得る部位(炭素原子)があるが、前記一般式(C1−2)は各ベンゼン環のテトラアザポルフィリン骨格から遠い2ヶ所(β位)に水素原子が結合したものである。
前記一般式(C1−2)において、より効果的に本発明の効果を奏し得る観点からは、前記Rc1は、ハロゲン原子、脂肪族基、シアノ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基である態様が好ましく、脂肪族基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基である態様がより好ましく、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールスルホニル基、イミド基、または脂肪族スルホニル基である態様が最も好ましい。
同様に本発明の効果をより効果的に奏し得る点で、前記Rc2は、脂肪族基、N−アルキルアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、スルホ基、カルボキシル基、またはハロゲン原子である態様が好ましく、脂肪族基またはハロゲン原子である態様がより好ましい。同様に本発明の効果をより奏し得る点で、前記cqは0である態様が好ましい。同様に本発明の効果をより奏し得る点で、前記Mは、VO、Mn、Co、Ni、Cu、ZnまたはMgである態様が好ましく、VO、Co、CuまたはZnである態様がより好ましく、Cuである態様が最も好ましく、また、cmは0である態様が好ましく、cnは1または2である態様が好ましく、cnは1である態様がより好ましい。
更に効果的に本発明の効果を奏する観点からは、前記一般式(C1−2)において、前記Rc1がハロゲン原子、脂肪族基、シアノ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基であって、前記MがVO、Co、CuまたはZnであって、前記cqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様が好ましく、また、前記Rc1が脂肪族基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、イミド基、またはスルホ基であって、前記MがVO、Co、CuまたはZnであって、前記cqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様がより好ましい。
特には、同様に本発明の効果の観点から、前記Rc1がカルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、またはイミド基であって、前記MがCuであって、前記cqが0であって、前記cmが0であって、前記cnが1である態様が最も好ましい。
以下、前記一般式(C1)〜(C1−2)で表される色素(染料)の具体例(例示化合物C−1〜C−59)を示す。但し、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
−合成例−
次に、前記一般式(C1)で表される色素(染料)の合成例について、前記例示化合物である染料C−1の合成を一例に下記スキームを参照して詳述する。
〈中間生成物Bの合成〉
まず、化合物A25.0g(0.162モル)をメタノール100mlおよびトリエチルアミン23mlの混合溶媒に溶かし、これを5℃に冷却攪拌した中に更に30%過酸化水素水9mlを内温25℃にまで保ちつつ滴下した。滴下後の反応液を25℃で更に30分間攪拌し、再び5℃に冷却して、攪拌下濃塩酸15mlを滴下した後、更に水200mlを添加し、25℃で1時間攪拌した。そして、析出した結晶を濾過し、水で充分に洗浄し、乾燥させて白色結晶である中間生成物B24.7gを得た(収率99.5%)。
〈中間生成物C、D、及びEの合成〉
続いて、上記より得た中間生成物B17.5g(0.114モル)にトルエン100mlおよびジメチルアセトアミド0.25mlを加え、還流下、さらに塩化チオニル25mlを10分間かけて滴下した。これを更に、1時間加熱環流した後、減圧下で濃縮して粘調液体を得た。一方、ジエトキシエチルアミン38.0g(0.235モル)にジメチルアセトアミド10mlおよびアセトニトリル100mlを添加し、10℃で攪拌している中に、前記粘調液体を15分間かけて15℃にまで保ちつつ滴下した。更に30分間攪拌した後、これを水100mlおよび酢酸エチル100mlの混合溶液に注ぎ、酢酸エチル相を分液し、水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体である中間生成物Cを得た。
次いで、この中間生成物Cに水50ml、エタノール200ml、および亜鉛粉末12gを添加し、加熱還流下、水40mlに硫酸10mlを希釈した溶液を20分間かけて滴下した。そして更に30分間加熱攪拌した後に冷却し、不溶物を濾別した。得られた溶液に飽和食塩水50mlおよび酢酸エチル100mlを添加し、分液した後、酢酸エチル相を水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体である中間生成物Dを得た。
次いで、この中間生成物Dに窒素雰囲気下、攪拌下でジメチルアセトアミド70mlおよび炭酸カリウム15g(0.108モル)を添加し、更に20℃の攪拌下で3−ニトロフタロニトリル19.7g(0.113モル)を25℃以下に維持しながら徐々に添加した。これを更に30分間攪拌した後、水300ml攪拌下に注ぎ、得られた結晶を濾過し、結晶を充分に水洗した。得られた結晶をメタノール70mlで再結晶し、析出した結晶を冷メタノール30mlで洗浄、乾燥させて、白色結晶である中間生成物E35.0gを得た(収率72.6%)。
〈染料C−1の合成〉
次に、中間生成物E34.4g(0.081モル)に、ブタノール150ml、炭酸アンモニウム6.7g(0.070モル)、および塩化銅4.7g(0.035モル)を添加し、加熱攪拌を7時間行なった。その後、ブタノールを減圧留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトで精製して、染料C−1の粉末25gを得た(収率72.7%)。得られた染料の酢酸エチル中における極大吸収波長(λmax)及びモル吸光係数(ε)の分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)による測定を行なったところ、最大吸収波長λmax706.8nm、ε55,600であった。
なお、上記した他の例示化合物についても、目的とする染料に合わせて所望の化合物に変更することで上記同様にして合成することができる。
−一般式(1)で表されるキノフタロン系色素−
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、前記一般式(C1)で表される色素と共に、後述する一般式(1)で表されるキノフタロン系色素(以下、「本発明に係るキノフタロン系染料」ともいう。)の少なくとも一種を含有する。以下、本発明に係るキノフタロン系染料について、一般式(1)の各基の詳細を中心に説明する。
下記一般式(1)で表されるキノフタロン系色素は、従来にない、高い耐光性と高い耐熱性とを同時に満足し、必要な場合に水または溶剤に自由に溶解することが可能な化合物である。
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−S−R5または−S−R6を表す。Sは硫黄原子を表し、R5は酸素原子をエーテル結合の形で含むアルキル基を表し、更にヒドロキシ基を置換基として有してもよい。R6は、ヒドロキシ基を有するアルキル基を表す。ただし、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは−S−R5を表す。
さらに前記一般式(1)においては、R5が酸素原子をエーテル結合の形で1〜6個含む総炭素数2〜16のアルキル基であることが好ましく、R2およびR3が−S−R5であり、R1およびR4が水素原子またはハロゲン原子であることが好ましい。なお、前記一般式(1)で表される本発明に係るキノフタロン系染料の構造上の特徴の一つは、キノフタロン骨格のフタロイル側のベンゼン環にエーテル結合を有するアルキル基を少なくとも1つ有する点にある。
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、塩素原子および臭素原子である。
R1〜R4が−S−R5を表す場合、R5としては、酸素原子をエーテル結合の形で1〜6個含む総炭素数2〜16個のアルキル基が好ましく、特に酸素原子をエーテル結合の形で2〜4個含む総炭素数2〜12個のアルキル基が好ましい。ここで、アルキル基は直鎖または分岐鎖のいずれであってもよく、環が形成された部位を有していてもよい。
前記R5で表されるアルキル基の例としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、2−エトキシ−1−メチルプロピル基、3−プロポキシプロピル基、2−メトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−プロポキシブチル基、6−メトキシヘキシル基、6−エトキシヘキシル基、2,3−ジメトキシプロピル基、2,3−ジエトキシプロピル基、2,3−ジプロポキシプロピル基、2,3−ジイソプロポキシプロピル基、2,3−ジブトキシプロピル基、2,3−ジシクロヘキシルプロピル基、
2,3−ジ(2−エトキシエトキシ)プロピル基、2,3−ジ(2−エトキシエトキシエトキシ)プロピル基、2−(2−エトキシエトキシ)−3−(2−エトキシエトキシエトキシ)プロピル基、2−(2−エトキシエトキシエトキシ)−3−(2−プロポキシエトキシエトキシ)プロピル基、2,3−ジ(1,3−ジオキソラン−2−イル−エトキシ)プロピル基、(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2,2−ジエチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2−プロピル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2,2−ジプロピル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2−プロピル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、(2−ペンチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル基、
2−(テトラハイドロフルフリルオキシ)エチル基、2−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチルオキシ)エチル基、2−(1,3−ジオキソラン−2−イルエチルオキシ)エチル基、2−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチルオキシ)プロピル基、2−(テトラハイドロピラン−2−メチルオキシ)エチル基、2−(1,3−ジオキサン−2−イルエチルオキシ)エチル基、2−(1,3−ジオキサン−2−イルエチルオキシ)プロピル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、2−(ヒドロキシエトキシ)プロピル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−エトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−(エトキシエトキシ)プロピル基、等が挙げられる。
前記R1〜R4が−S−R6を表す場合、R6としては、ヒドロキシ基を1〜4個含む総炭素数2〜12個のアルキル基が好ましく、色素の光学濃度の点から、ヒドロキシ基を1〜3個含む総炭素数2〜8個のアルキル基が特に好ましい。
前記R6で表されるアルキル基の例としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3,4−トリヒドロキシブチル基、2,3,4,5−テトラヒドロキペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、11−ヒドロキシウンデカニル基、12−ヒドロキシドデカニル基、等が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるキノフタロン系色素およびその互変異性体において、R1〜R4に含まれるエーテル結合としての酸素原子の総数は、1〜16個であることが好ましく、溶解性および色素の光学濃度の点から、2〜12個であることが特に好ましい。
また、ヒドロキシ基に含まれる酸素原子を含めた、R1〜R4に含まれる酸素原子の総数としては、2〜24個であることが好ましく、3〜16個であることが特に好ましい。
また、色素の吸収特性の点から、一般式(1)で表されるキノフタロン系色素およびその互変異性体は、R2および/またはR3に−S−R5が導入された構造のものが好ましい。
上記した本発明に係るキノフタロン系色素〔下記化合物(1)〕には、以下に示す化合物(1')および(1'')等の構造の互変異性体が存在するが、これらの互変異性体も本発明の範疇に含まれる。
以下、前記一般式(1)で表される本発明に係るキノフタロン系色素(キノフタロン化合物)の具体的な例示化合物(具体例1〜227)を表にして示す。ただし、本発明においてはこれらの具体例により化合物の範囲が制限されるものではない。
−合成法−
次に、前記一般式(1)で表されるキノフタロン系色素(キノフタロン染料)の合成方法について詳述する。代表的な合成方法の概略(第一および第二の合成法)は、以下の通りである。
〈第一の合成法〉
第一の合成法では、まず有機溶媒中、下記化合物(A)の1モル量に対して、1〜16モル量のアルカリ化合物を用いて、HS−R5〔化合物(B);R5は、前記一般式(1)におけるR5と同義である。〕1〜8モル量と共に20〜200℃で1〜8時間反応させる。
前記化合物(A)において、R7はハロゲン原子を表し、R8は水素原子を表す。aはR7の導入個数を表し、1〜4の整数を表す。bはR8の導入個数を表し、0〜3の整数を表わす。但し、a+bは4である。
この際、前記有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、DMI、スルホラン、DMF,DMAC、トルエンおよび酢酸エチル等が使用され、前記アルカリ化合物としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用される。反応後、反応溶液を水中に排出し、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出、水洗、濃縮後、必要に応じてカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、前記一般式(1)で表されるキノフタロン染料を得ることができる。
〈第二の合成法〉
第二の合成法では、まず有機溶媒中、前記化合物(A)1モル量に対して、1〜16モル量のアルカリ化合物を用いて、HS−R6〔化合物(C);R6は、前記一般式(1)におけるR6と同義である。〕の1〜8モル量と共に20〜200℃で1〜24時間反応させる。
次いで、溶液を水中に排出し、希塩酸或いは酢酸等で中和し、濾取、水洗し、下記化合物(D)を得る。この際、前記反応に用いる有機溶媒およびアルカリ化合物としては、前記第一の合成法で用いたものと同様のものが使用できる。
前記化合物(D)において、R7およびR8は、前記化合物(A)におけるものと同義であり、R6は前記一般式(1)におけるものと同義である。また、a−cは0〜3を表し、bは0〜3を表し、cは1〜4を表す。但し、(a−c)+c+bは4である。
次いで、前記化合物(D)を有機溶媒中で、1〜24モル量のアルカリ化合物を用いて、1〜24モル量のZ−R9〔化合物(E)〕と共に20〜200℃で1〜24時間反応させることにより、前記一般式(1)で表されるキノフタロン系染料が得られる。前記有機溶媒および前記アルカリ化合物については、前記第一の合成法で挙げたものと同様のものを使用できる。
前記化合物(E)において、Zは、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基、またはメタンスルホニルオキシ基を表し、R9は、酸素原子をエーテル結合もしくはヒドロキシ基の形態で含んでいてもよいアルキル基を表す。
また、前記化合物(D)と前記化合物(E)とを有機溶媒中で、相間移動触媒とアルカリ水溶液とを用いた2相系で反応させても同様に、前記一般式(1)で表されるキノフタロン染料を合成することができる。この反応に用いる有機溶媒についても、前記第一の合成法で用いたものと同様のものを使用できる。
前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。また、前記相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等を使用できる。
また、前記化合物(D)のR6がα,β−ジヒドロキシ基を有するアルキル基である場合、有機溶媒中、下記化合物(F)とp−トルエンスルホン酸等の酸触媒とを脱水還流することにより、前記一般式(1)で表されるキノフタロン染料を得ることができる。
前記化合物(F)において、R10は、水素原子またはアルキル基を表し、R11はアルキル基を表し、R10とR11とは互いに結合して環を形成していてもよい。
また、上記した本発明に係る色素と共に、必要に応じて従来よりカラーフィルタ用途として公知の他の色素を併用することもできる。例えば、公知のキサンテン系色素やトリアリールメタン系色素などを併用することができる。
本発明に係る色素(及び必要に応じて他の色素)の染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量としては、分子量やモル吸光係数、あるいは染料種により異なるが、該組成物の全固形成分に対して、0.5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。
また、2種以上の染料、つまり既述の一般式(C1)で表される色素および一般式(1)で表されるキノフタロン色素並びに必要に応じて他の色素を混合して調色する場合には、添加する色素のうち最も少量添加する色素の添加量は、全色素の添加量のうち少なくとも10%以上であることが好ましく、10〜80%がより好ましい。
上記の一般式で表される本発明に係る色素は、CCD,CMOSなどの固体撮像素子や、LCD,PDP等のディスプレーに用いられる、カラー画像を記録・再現するためのカラーフィルタ、あるいはこれらカラーフィルタを作製するための硬化性組成物に好適なものである。カラーフィルタを作製する場合、本発明に係る色素、すなわち既述の一般式(C1)で表される色素と一般式(1)で表されるキノフタロン系色素とを含む二種以上の色素を用いて構成される態様であればいずれの方法でも作製することができ、後述するように例えば、本発明に係る色素を含む硬化性の組成物を調製し、調製された組成物を塗布等し、露光、現像などを経てパターン形成する工程を設けて好適に作製できる。
(C)光重合開始剤
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。この光重合開始剤は、染料含有ネガ型硬化性組成物をネガ型に構成する場合に後述するラジカル重合性モノマーと共に含有するものである。光重合開始剤は、後述するラジカル重合性モノマーを重合反応させ得るものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。
前記光重合開始剤としては、ハロメチルオキサジアゾール系化合物及びハロメチル−s−トリアジン系化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
前記ハロメチルオキサジアゾール系化合物である活性ハロゲン化合物として、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
前記ハロメチル−s−トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物として、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
その他の具体例として、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、
2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、等が挙げられる。
その他、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123等)、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B等)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261等)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173等)、
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル、等も有用である。
上記の開始剤種の中でも、オキシム系化合物が好ましく、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンが最も好ましい。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、前記光重合開始剤以外の他の公知の光重合開始剤を併用することができる。具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。
光重合開始剤(前記他の公知の光重合開始剤を含む。)の染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量は、後述の(D)ラジカル重合性モノマーの固形分(質量)に対して、0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が上記範囲にあると、充分な重合硬化が行なえ、重合が進み難くなったり、重合率は大きくなるが分子量が低くなって膜強度が弱くなることもない。また、前記オキシム系化合物とオキシム系化合物以外の光重合開始剤とを併用する場合には、オキシム系化合物の光重合開始剤の総量に占める量は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
また、上記の光重合開始剤には増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物等、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
(D)ラジカル重合性モノマー
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、ラジカル重合性モノマーの少なくとも一種を含有する。ラジカル重合性モノマーとしては、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましい。このラジカル重合性モノマーは、前記(C)光重合開始剤と共に含有することによって、ネガ型の硬化性組成物に構成することができる。
前記エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル又はメタクリロイルを表し、同様に下記では、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表す。
その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート;及びこれらの混合物などを挙げることができる。また更に、日本接着協会誌 Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
上記のうち、硬化度向上の点で、(メタ)アクリロイル基を二以上有する多官能の(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
ラジカル重合性モノマーの染料含有ネガ型硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該含有量が上記範囲であると、充分な硬化度と未露光部の溶出性とを保持でき、露光部の硬化度が不足したり未露光部の溶出性が著しく低下することもない。
(E)有機溶剤
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の調製の際には、一般に有機溶剤の少なくとも一種を用いることができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や染料含有ネガ型硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特にアルカリ可溶性バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましく、本発明においては環状ケトン溶剤が好適なものとして挙げられる。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含む混合溶剤を用いる態様が好適であり、環状ケトン溶剤と環状ケトン溶剤以外の他の有機溶剤とを併用した混合溶剤を用いる態様がより好適である。また、環状ケトン溶剤を単独で用いる態様も好適である。
前記環状ケトン溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられ、シクロヘキサノンが特に好ましい。
前記環状ケトン溶剤以外の他の有機溶剤の例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、等;
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、等が好適に挙げられる。
上記のうち、前記環状ケトン溶剤と併用する他の有機溶剤としては、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートが好ましく、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
前記環状ケトン溶剤と他の有機溶剤とを併用して混合溶剤とする場合、混合溶媒の総量に占める環状ケトン溶剤の量は40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
本発明において、有機溶剤の使用量については塗布性の観点から、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量が好ましく、5〜60質量%になる量がより好ましく、10〜50質量%になる量が特に好ましい。
(H)他の成分
−架橋剤−
本発明においては、補足的に架橋剤を用いて更に高度に硬化させた膜を得るようにすることも可能である。この場合には、以下に示す架橋剤の少なくとも一種を用いて構成することができる。
本発明において使用可能な架橋剤は、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グルコールウリル化合物、又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたフェノール化合物、ナフトール化合物、又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも特に、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
前記(a)エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれでもよく、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物、同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
前記架橋剤(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が置換している数としては、メラミン化合物の場合は2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合は5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物を総じて、(b)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
前記(b)に係るメチロール基含有化合物は、(b)に係るアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(b)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
以下、前記置換基を有する(b)に係る化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア、などが挙げられる。
(b)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
前記架橋剤(c)、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物、又はヒドロキシアントラセン化合物は、前記架橋剤(b)の場合と同様、熱架橋により上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。
以下、これら化合物を総じて、(c)に係る化合物(メチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物、又はアシロキシメチル基含有化合物)ということがある。
前記架橋剤(c)に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基、アルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱架橋性及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位、パラ位が全て置換されている化合物が好ましい。骨格となるフェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。また、ナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
前記(c)に係るメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基の2位又は4位(オルト位又はパラ位)が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)に係るアルコキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)に係るアシロキシメチル基含有化合物は、(c)に係るメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
架橋剤(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
前記架橋剤(c)の具体例としては、フェノール化合物として、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリ(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル−4,4’−ビスヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物等が、ナフトール化合物として、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール等、が挙げられる。
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
また、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部又は全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)に係る化合物は、単独で使用してもよく、組合わせて使用してもよい。
上記の架橋剤(a)〜(c)を含有する場合の、架橋剤の染料含有ネガ型硬化性組成物中における総含有量としては、素材により異なるが、該組成物の固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。
−熱重合防止剤−
上記のほか、さらに熱重合防止剤を加えておくことが好ましい。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
−各種添加物−
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
前記各種添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
また、非硬化部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えばCCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷用インキ、インクジェット用インキ、及び塗料などの作製用途として、好適に用いることができる。
《カラーフィルタ及びその製造方法》
次に、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、既述の本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物が用いられる。本発明のカラーフィルタは、既述の本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物を用いて最も好適に作製することができ、具体的には、この染料含有ネガ型硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像することによって、ネガ型の着色パターンを形成することができる(画像形成工程)。このとき必要に応じて、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を設けることができる。
本発明において、前記露光は、既述のステッパー露光によって行なうことが好ましい。
カラーフィルタの作製においては、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。この際に使用される光若しくは放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
前記支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの支持体は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いる現像液としては、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の未硬化部を溶解する一方、フィルタをなす硬化部は溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。有機溶剤には、本発明の染料含有ネガ型硬化性組成物の調製に用いる既述の有機溶剤を挙げることができる。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般に現像後水で洗浄する。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。