JP4377683B2 - 最適化されたアルカリ電気化学電池 - Google Patents
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Description
最良のアルカリバッテリを製造するための競争は激しく続けられているが、多くの制限が存在し、そのうちの主なものは、与えられた所定の電池のサイズである。
主なアルカリバッテリの従来のサイズには、AAA、AA、C、D、及び9V(それぞれ、LR03、LR6、LR14、LR20、及び6LR61)が含まれ、それらの型の全てについて標準寸法が規定されている。従って、どのバッテリが選択されても、それは所定容積内に適合しなければならず、それによって与えられた所定の電池内に入れることが可能な内容物の最大量が制限される。
電池内容物の容積を更に増加させることが非現実的である場合は、バッテリ製造業者は、使用される内容物の向上及び/又は変更により性能及びバッテリ寿命を更に向上させるように試みる問題を抱えることになるが、そこには結局のところ限界があるはずである。
米国特許第5,283,139号(以下、「'139」又は「US'139」という。)には、水性水酸化カリウム電解質の量を増加することなく、アノード及びカソードの両方の密度を高めることにより性能を向上させた電池が開示されている。所定の活性内容物の容積が増加できない時には、密度の増大は、従って、電池の放電容量を高めるための論理的で直接的な手段である。
国際特許公報WO01/99214において、本発明者は、US'139とは逆に水の比率を最適化することにより、US'139に従って調製された電池よりも最大15%又はそれよりも高めた性能を有するように電池を実質的に強化することが予想に反して意外にも可能であることを明らかにしている。
水銀の量を低減することは、それ以外のことを別にしても、それがガス発生を妨げるように働くので容易なことではなかった。除去は、様々な電極及び電解質成分の純度の向上のような他の方法によるガス発生の低減により、かつ、置換アンモニウム誘導体のような様々な添加剤の添加により可能であることが判明している。
本明細書で使用される用語「空隙率」は、当該電極内の非固形物の容積量に関する。固形物は、組立てられた電池に付随する条件の下で不溶性である成分である。アノードにおいては、固形物は、一般的に亜鉛のみを含み、存在する場合は水酸化インジウムを含むことになる。他のアノード成分は、ゲル化剤を含む電解質溶液に通常は溶解性である。電解質に溶解性である成分は、空隙率を計算する場合に固形物であると考える必要はない。電解質が飽和されている場合のように材料の一部分が不溶の場合は、電極空隙率を計算する場合に固体としてこの不溶部分を含む必要はなく、この材料の全量が除外される。いずれの場合においても、アノードのゲル化剤の量は一般的に非常に少なく、ほとんどの意図及び目的に対して、それは空隙率を計算する場合に無視することができる。カソードにおいては、固形物は、一般的に事実上MnO2及び炭素(通常グラファイト)のみを含むことになる。実際的に考慮すると、カソード結合剤は、通常は不溶性であり、従って、固形物と考えると何れの結合剤の量も一般的に僅かであり、計算される空隙率への顕著な影響は有しない。カソード及びアノードは、不溶性活物質(それぞれ、MnO2及び好ましくは亜鉛)を含むので、本発明の電気化学電池におけるアノード又はカソードの何れもについても100%の空隙率は不可能である。
本発明を添付図面を参照して以下で更に説明する。
従って、本発明に従って作製された電池は、少なくとも26%のカソード空隙率及び少なくとも69%のアノード空隙率を有する。
従って、本発明の実施形態は、二酸化マンガンベースのカソード及び亜鉛ベースのアノードを有し、このカソードは、27%又はそれよりも高い空隙率を有し、このアノードは、69%又はそれよりも高い空隙率を有し、アノードの亜鉛は、3.2g/ccよりも小さい計算された全体タップ密度を有する。
アノード及びカソードの一方又は両方の空隙率を更に増加させることにより更に別の改良を達成することができ、アノード空隙率が少なくとも70%、及びカソード空隙率が少なくとも28%の電池が好ましい。
高度に多孔性のアノード及び高度に多孔性のカソードは有利であるが、アノード空隙率を76%を超えて増加させても、得られる付加的な改良はほとんどないように見える。アノード空隙率をこれ以上増加させる必要はなく、これにより、材料の減少、及び付随する容量の減少のようなアノード空隙率の増加の影響に付随する何れの問題も制限する。この効果は、カソードについてはあまり顕著ではないが、この場合もまた、カソード空隙率の36%を超える増加により、全体的な性能に関しては、どちらかと言えば僅かな増加しか得られない。
アノード空隙率は、一般的に、電池の意図した用途に実質的に無関係である。しかし、放電性能は、カソード空隙率からより多くの影響を受け、従って、好ましいカソード空隙率もまた、電池の意図した用途に対してある程度依存することになる。一般的に、カソード空隙率が少なくとも30%の時、高率放電性能がより良好であり、カソードが少なくとも31%の多孔度を有する時は、更により良好である。カソード空隙率は、34%を超えないことが好ましい。
本明細書で使用される電極容量は、アンペア時(Ah)で表す電極の理論容量である。別途に示すか又は明白でない限り、本明細書で使用される比容量値は、1電子放電当り二酸化マンガンについて0.285Ah/gであり、亜鉛について0.820Ah/gである。
次に、好ましい実施形態においては、カソード容量が1電子原理で計算される時にカソード容量:電池容積の比率が0.42から0.49Ah/gの範囲である本発明の電池が提供される。
従って、好ましい実施形態において、少なくとも2.6Ahのカソード容量を有する本発明のLR6電池が提供される。
活性成分が占めるよりも良く水が空間を占めるので、50%を非常に下回る計算最終KOH濃度を有する電池は、一般的に非効率である。更に、KOHが過度に希薄な場合、この非効率性は、以下で詳述されるように更に悪化する可能性がある。しかし、本発明の空隙率で従来技術で使用される電解質濃度を用いると、止むを得ない浪費空間なしには、最終KOH濃度は、50%よりも下に低下する可能性がある。そのような電池は、一般的に本発明により包含されるが、電解質のみが活性成分により使用できない空間を取り込むにも関わらず、最大の効率で作動しないことが認められており、最適の効率は、最終KOH濃度が約50%と計算される時にのみ存在する。
電池反応中に電流が流れると、KOHの濃度は、カソードでかなり上昇し、一方アノードでは低下する。アノード空隙率が低過ぎる場合は、この影響を相殺するために必要なイオン交換は十分速くは起こらず、この濃度の影響は増大する。KOHの濃度がアノードのどこかで0%に落ちると、その場合、その領域の亜鉛は不動態化しやすくなり、性能を著しく劣化させる。
従って、上述のように規定されたKOHを含む電解質を含む電池が更に提供され、これは、1電子の放電深度にまで放電された後に、計算KOH濃度が約50重量%であるように選択されたKOH濃度を放電の前に有している。好ましくは、電解質の量は、二酸化マンガンの1電子放電の計算レベルで、水酸化カリウムの計算濃度が49.5から51.5%(重量/溶液重量)であるような量である。
従来は、与えられたどの電池の性能を最大限にするためにもKOHの終了濃度が50%の範囲内にあることが重要であるとの認識がなく、カソード又はアノードの何れかの空隙率を変化させることは、KOHの最終濃度を変化させるという避けられない結果を有し、そのために、電池の最終性能は、選択された空隙率のみならず最終KOH濃度にも関係した。従って、結果は無意味であり、カソード又はアノードの何れの望ましい空隙率を確立することもできなかった。
本発明に必須ではないが、電解質内の水酸化カリウムの濃度は、放電前において約34から37%(重量/溶液重量)であることが好ましい。「放電前」により、本発明者は、全ての製造段階の後で電池が使用者により用いられるように意図した状態にあることを意味する。製造段階は、例えば電気試験中の僅かな放電を含むことができる。しかし、より重要であると一般的に考えられるのは、最終濃度に関して50%の範囲内とすることであり、この目的を達成するために開始濃度が適切に選択される。
本発明は、A:C比率を低減することにより、低率放出間欠放電に対する放電持続時間を低下させることなく深い放電漏洩を減少させる。実際に、この比率を低減することにより、カソード内に存在する二酸化マンガンの量の増加により連続高率放電定電流性能を高めることが可能である。
アノード効率は、初期KOH濃度と密接に関係すると考えられる。本発明においては、最終KOH濃度が1電子放電の後で約50%であることを要する。しかし、最終KOH濃度は、MnO2及び電解質の全量に従って変動することになる。多量の電解質が存在する時は、電池反応における水の減少のKOHへの濃縮効果はより小さいので、初期KOHはより高くなることになるが、50%で終了することはやはり必要である。
アノードはより高いKOH濃度でより効率的であるので、これはアノード効率に影響する。経験則として、本発明者は、初期KOH濃度が約1%増加すると、アノード効率は約0.5%増加することを明らかにした。より高い初期KOH濃度は、電解質の初期量がより多いことに基づいており、アノードがカソードよりも多孔性であり、そのためにアノード寸法を小さくすると電解質の初期量は必然的に減少するので、アノード効率は、従ってアノード寸法の縮小に伴って低下することが認められるであろう。すなわち、カソード材料の量を増加することはできるが、これは、アノードの寸法の縮小からもたらされるアノード効率の低下により最終的には相殺される。
「均一形状の低密度亜鉛粒子」は、亜鉛の個々の粒子が実質的に一致した形態を有することを意味する。これは、一貫して不規則であり互いに似たものがほとんどない形状を有する典型的な亜鉛粉末とは対照的である。均一な形状を有するためには、各粒子の形状係数は、全ての他の粒子と実質的に同様でなければならない。従って、例えば均一な形状がフレークの時は、粒子の全てがフレークでなければならない。均一な形状の粒子を製造するためには、目標とする一貫した粒子形状を保証するための形成工程又は類別工程の制御が利用すべきである。亜鉛粒子の形状は、走査電子顕微鏡を用いる粒子の検査により判断することができる。
例えば、亜鉛は、2.5g/ccよりも小さいタップ密度を有する少なくとも4重量%の均一形状低密度亜鉛粒子を含む混合物としてもよい。
アノード内の導電率を増大させる効果が重要であることは見出されていたが、本発明者は、カソード内の導電率がワット量試験における本発明の電池の性能に顕著な影響を有することもまた見出した。
Zn+2MnO2+H2O→ZnO+2MnOOH (I)
マンガン化合物は、慣習的にMnO2として示されるが、二酸化マンガンが非化学量論的であり、実際の化学式がほぼMnO1.96であることは、当業者により良く理解されている。従って、この反応に含まれる電子の実際の数は、ほぼ0.925である。これは、これも慣習的に「1電子」又は1eとして本明細書に引用されている。
全放電と見なされるように反応が十分に終了まで進むことを可能にするために十分な水が存在すべきであることは上述の方程式から理解される。上述の反応方法は、強アルカリ溶液の存在の下で生じ、水酸化カリウムの溶液が電池製造業者により現時点で選ばれている。
実際には、この原理に基づいて最終KOH濃度を計算することは、アノード、カソード、又はその両方であるか否かに関わらず、電池を1電子だけ放電したり、最終KOH濃度を測定したりする必要がないことを意味する。
従って、1電子放電でのKOHの適切な最終計算濃度をもたらすように、活物質の開始量が容易に組立てられて調節されるので、好ましい電池をかなり容易に設計及び製造することができる。
[(VΣ−VS)/VΣ]×100
ここで、VΣは測定された電極の全容積であり、VSは固形成分の容積である。
従って、電極空隙率をより確実に計算するために、物質の理論空隙率が使用される。これは、分子構造及び3D配置に基づいて計算され、製造方法から生じ得るいかなる空隙率も考慮されない。従って、これらの目的のためには、「EMD」及び「CMD」の両方は、同じ理論的密度を有すると見なされる。物質の実際の見掛けの密度が空隙率の計算に使用された場合は、得られる電極の計算空隙率は、固形分により導入された空隙率を考慮しないと考えられ、良くても誤解を生み、悪ければ無意味であろう。
本発明の電極に対して仮定される理論密度は、次の通りである。
従って、カソードの理論容積は、内容物全ての合計=VΣ=Σ(v1:v6)=(v1+v2+v3+v4+v5+v6など)である。
同様に、アノードの理論容積=VT=v7+v8+v9+v10+v11+v12...である。
疑念を避けるために、実際のカソード容積は、カソードの高さ(H)、及びカソードの内径及び外径(それぞれ、ID及びOD)の情報から計算することができる。本発明においては、カソードペレットのスタックを用いて電池を製造することが好ましく、従って、以下のようになる。
H=ペレットのスタックの高さ
単に例示的な特定の実施例において、カソード直径は次の通りである。
上述の例において、カソードペレットの製造時又は「缶内」のどちらであろうと、OD2−ID2の結果は0.999である。これは、この場合には、かつ本発明において好ましいように、ペレットが缶内に締まりばめされるように設計され、そのために挿入時に圧縮されるからである。これは容積には影響しないので、外径の縮小を補うためには、容積を変化させないために同時に内径の縮小があるべきである。
従って、カソード空隙率=((VA−VS)/VA)×100であり、これが本発明に関連する空隙率である。
アノードにおいては、VL=液体容積=v8+v10+v11、及び、VS=固体容積=v7+v9であり、従って、理論アノード空隙率=((VT−VS)/VT)×100=(VL/VT)×100であり、これが本発明に関連する理論空隙率であって、これに対してアノードペーストが構成される。
アノードの場合においては、アノードバスケットを充填するのに使用される方法にある程度依存して、理論容積と実際容積の間に実質的な差が存在する傾向がある。説明している実施形態においては、バスケットは、カソードにおけるアノード空洞内に嵌め込まれたセパレータを含む。
本発明のアノード空隙率は、アノードのデッドスペースには依存せず、アノードの単純コアが、アノードが作製された空隙率を実質的にもたらすことになる。従って、本発明の空隙率は、電池内に配置される以前のアノードペーストに適用される。
見掛けの空隙率≒理論空隙率+約11%
次に、大まかな指針として、市販電池のアノードの実際空隙率は、1.11で除した見掛けの空隙率にほぼ等しいことになる。しかし、上述の通り、これは電池のデッドスペースに依存することになる。上述のように、本発明に関連する空隙率は、アノード自体の空隙率であり、アノード+デッドスペースの空隙率ではない。
アノードペーストの量は、10%調節の後、本発明の実施例において1.33と仮定されたアノード:カソードAh比率を維持するような適切な亜鉛量を含む必要があることが認められるであろう。他の比率が適用される場合は、例えば容積に対する適切な調節が行われる必要があるが、本発明の原理は変らない。
水の量は、修正ディーン及びスターク法により確立することができる。装置は、例えば、クイックフィット・アンド・クオーツ・リミテッドから入手することができる。サンプルは、乾燥トルエンで覆われて45分間還流され、大部分の凝縮が水冷凝縮装置内で生ずることが保証される。水は、流出物を捕捉するために凝縮装置の下に配置された測定シリンダ又はキュベットに集められる。この方法は、KOHをK2CO3に変換するために沸騰トルエンを通じてCO2ガスをバブリングするように修正されており、さもなければ、いくらかの水がKOHと共に結晶水として残るために、水の全部を集めることはできない。
水の容積及びMnO2の量(以下で説明するように計算される)を用いて、所定の電池が本発明の基準を満足することを確立することは当業者の能力の範囲内である。
[(全容積−固形物容積)/(全容積)]×100
より詳細には、電極の容積は、任意の適切な方法で判断することができる。容積は、原位置で確立されることが好ましく、それは、好ましくは、電池の内部比率、特にアノード及びカソードの高さ及び幅を明瞭に示すX線の使用により達成される。これが済めば、次に電池を切り開いて電極を分離することができる。
・アノードバスケットの内部容積の寸法を測定する。
・バスケット内のアノードの高さを電池のX線写真から測定する。
・全てのアノード材料を取外して水で亜鉛を洗浄し、ゲル化剤及び電解質を除去する。
・水酸化アンモニウム溶液で洗浄し、亜鉛だけを残す。
・亜鉛を秤量する。
・亜鉛の容積=亜鉛の重量/7.14
・空隙率=[(0.9×バスケット容積−亜鉛容積)/(0.9×バスケット容積)]×100
0.9は、10%のデッドスペースを説明することが認められるであろう。必要に応じて、デッドスペースは、アノードペレットを注意深く洗浄してゲル化電解質を除去し、アノードの残りの容積を判断することによって計算することができる。
・X線写真及びカソードを缶から除去する前の観察からカソードの寸法を測定する(カソードOD、カソードID、カソード高さが測定される)。
・カソードを水で洗浄して「EMD/CMD」、グラファイト、及び結合剤を残す。結合剤は微量成分として無視され、カソード容積に大きな影響を与えない(測定から生ずる誤差よりも少ない)。
・固形物を秤量する。
・MnO2を50%w/vの水性HClの混合液で固形分から溶解し、グラファイト残留物を残す。
・グラファイトを秤量する。
・MnO2重量=固形物重量−グラファイト重量
・MnO2容積=MnO2重量/4.53
・グラファイト容積=グラファイト重量/2.25
・カソード空隙率=[(カソード容積−MnO2容積−炭素容積)/カソード容積]×100
例えば、亜鉛成分は、1つよりも多い成分(粉末及びフレーク)を含むことができ、二酸化マンガン(「EMD」及び「CMD」)も同様であるが、これは空隙率の判断に実際上影響しない。
KOH溶液又は電解質の密度は、KOHの濃度に従って変化することになることも認められるであろう。しかし、KOH溶液の密度は本発明に関して重要ではない。一般的に、化合物の密度は、「化学及び物理ハンドブック」に見出すことができる。
例えば、本発明は、利用可能な内部容積が概略1.35mlであるAAAA、利用可能な内部容積が概略2.65mlであるAAA、利用可能な内部容積が概略20.4mlであるC、及び、利用可能な内部容積が概略43.7mlであるDのような他の公知の標準的又は非標準的電池サイズに対して、カソード対アノード容積の同じ比率を用いて同じ方法で適用することができる。
同様の考慮は、電池が放電される前の開始時のKOH濃度に対してもまた適用される。反応方法I(上記)は、電極反応が、消費される二酸化マンガンの2分子毎に水の1分子を消費することを示している。しかし、約36%KOHよりも遥かに低いと、異なる反応が適用される。
Zn+2MnO2+2H2O→Zn(OH)2+2MnOOH (II)
すなわち、KOHの濃度が約36%に増加するまでは、必要とされる水よりも多くの水が消費されるので反応が非効率的であり、従って、50.6%の終了ポイントに到達するのが早過ぎるようになるか、又は、必要とされる水よりも多くの水が電池内に存在し、それによって他の活物質を排除するようになる。前者は、放電を完全に行うことができないので、後者よりも一般的に好ましくない。
電池内のMnO2の重量:w1
電池内の電解質の初期重量:w2
電池内の平均初期KOH濃度:z1%
最終KOH濃度(すなわち、1e放電の終りにおける)は、MnO2の全てがMnOOHに放電されるという仮定に基づく。これが真であるか否かは重要ではなく、それは、約50%の最終KOH濃度を有するように電池を設計する利点が、電池の放電の最終深度に関わらず依然として得られることが分かっているからである。
2MnO2+1H2O+Zn=2MnOOH+ZnO (I)
2MnO2+2H2O+Zn=2MnOOH+Zn(OH)2 (II)
本明細書における計算は、100%の反応(I)は初期OH->8Nの時に起こり、100%の反応(II)は初期OH-<6Nの時に起こると仮定する。8N及び6N計算が基づく正確な初期KOH濃度は、例えばZnO又はケイ酸塩のような、KOHに溶解している他の何かに依存することになることも認められるであろう。
6−8NのOH-間の任意のpHに対して、反応(I)から反応(II)への変化は直線的に起こると仮定される。
100%反応(I) 0%反応(II) >8N OH-
反応(I)の% a% =100%
反応(II)の% (100−a)% =0%
0%反応(I) 100%反応(II) <6N OH-
反応(I)の% a% =0%
反応(II)の% (100−a)% =100%
50%反応(I) 50%反応(II) 7N OH-
反応(I)の% a% =50%
反応(II)の% (100−a)% =50%
反応(I)により消費されるH2Oの重量=[(電子数)×(a/100)×(0.5×水の分子量)]/(MnO2の分子量)×w1=w3
反応(II)により消費されるH2Oの重量=[(電子数)×(100−a)/100]×[(1.0×水の分子量)/(MnO2の分子量)×w1]=w4
電子数=0.925
水の分子量=18
MnO2の分子量=86.93
電解質の最終重量=w2−w3−w4=w5
KOH固形分の重量=z1/100×w2=w6
最終KOH濃度=w6/w5×100
意外なことは、どのような第2電子反応にも何ら考慮する必要がないことである。この反応は、第1電子反応の後に一般的に起こり、電池から余分な電力を生じさせることができる。しかし、電池の最適化のためには、第2電子反応を考慮する必要がないことが今では明確になっている。
(1)化学式(I)のエチレン性不飽和カルボキシル酸又はその塩又はエステル
(2)化学式(II)の芳香族化合物
特に好ましいコポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸、及びスチレンスルフォン酸塩を含むものであり、最も好ましいものは、アクリル酸とスチレンスルフォン酸塩とのコポリマーであって、任意選択的に1つ又はそれよりも多い他のモノマーを含むが、含まない方が好ましい。更に、最も好ましいものは、アクリル酸とスチレンスルフォン酸ナトリウムとのコモポリマーである。代替的に、スチレンスルフォン酸ナトリウムのホモポリマーを使用することができる。
コーティングに使用される装置は、任意の従来型コーティング装置であってよく、多くの形式のそのような装置が市販されている。本明細書で使用された装置は、英国ハーツ、レッチワース所在のT・H・ディクソン・アンド・カンパニー・リミテッド製の「ディクソン・パイロット・コーター」であり、この装置又は同等の完全な装置を本発明の実施において使用することができる。
任意の適切な又は従来型のセパレータ材料を本発明において使用することができる。適切な材料の例には、ニッポン高度紙工業株式会社(NKK)により「VLZ75」及び「VLZ105」(それぞれ、約75及び105μm厚)として販売されているポリビニルアルコール(ビニロン)とマーセル化硬材繊維との混合物、ホリングスワース・アンド・ボースから販売されている同様の材料、及び、フロイデンバーグから販売されているライオセルレーヨン繊維、ポリビニルアルコール繊維、マトリックス繊維、及び結合繊維の混合物が含まれる。
従って、好ましい実施形態においては、上述のような定めたコポリマー又はホモポリマーをコーティング及び/又は含浸した単層のセパレータ紙を含む電気化学電池が提供される。
1A/Cont./1V0
この試験では、電気化学電池は、1Vの終点電圧に到達するまで1Aの定電流で連続的に放電された。結果は分(m)で報告された。
43R0/4h/1d/0V9
この試験では、電気化学電池は、0.9Vの終点電圧に到達するまで、43Ωの定抵抗で連続的に1日に20時間の休止期間を伴って1日に4時間づつ放電された。結果は時間(h)で報告された。
10R0/1h/1d/0V9
この試験では、電気化学電池は、0.9Vの終点電圧に到達するまで、10Ωの定抵抗で連続的に1日に23時間の休止期間を伴って1日に1時間づつ放電された。結果は時間(h)で報告された。
3R9/1h/1d/0V8
この試験では、電気化学電池は、0.8Vの終点電圧に到達するまで、3.9Ωの定抵抗で連続的に1日に23時間の休止期間を伴って1日に1時間づつ放電された。結果は時間(h)で報告された。
1W/Cont./1V0
この試験では、電気化学電池は、1.0Vの終点電圧に到達するまで、連続的に1.0Wの割合で放電された。結果は分(m)で報告された。
1W/30m/12h/1V0
試験電池は、1.0ワットの割合で30分間放電され、次に11時間30分の間何もしない状態に置かれる。次に、このサイクルは、電池が1.0Vの終点に到達するまで繰返される。
1W5/3s/7s/1h/1d/1V0
試験電池は、1.5ワットの割合で3秒間放電され、次に、7秒間何もしない状態に置かれる。このサイクルは、1時間に亘って連続的に繰返される。次に、電池は、23時間何もしない状態に置かれる。次に、全体のサイクルは、電池が1.0Vの終点に到達するまで繰返される。
一般的に、実施例1〜4における電池は、本明細書に別途示さない限り、表1内のアノード、カソード、及び電解質の調製内容、及び、計算された特性を含む他の主要な電池特性に従って作製された。表1において、百分率は、体積に基づく空隙率百分率を除けば、重量百分率である。
表2は、主要電池特性、及び、1.0Vまでの1A連続試験における分で示した放電持続時間(コラム「1A」内)を要約したものである。
カソード空隙率 カソードAh アノード空隙率
領域1 >27% 2.6−2.9 70−76%
本発明の好ましい範囲からの1つの変更は以下の通りである。
領域2 >27% 2.4−2.6 >76%
領域3 <27% 2.6−2.9 70−76%
領域4 >27% 2.6−2.9 <70%
本発明の好ましい範囲からの少なくとも2つ変更は以下の通りである。
領域5 >27% >2.9 <70%
領域6 <27% >2.9 70−76%
領域7 <27% >2.9 <70%
領域2の結果は、アノード空隙率がより高くなった時に効率が維持されることを示している。しかし、より多孔性のアノードに必要な余分の空間は、カソード容量の減少及び付随する性能損失をもたらす。1Aの結果は、領域1についてのものよりも少なくとも3分少ない。
領域4の結果は、カソードに対するのと同様のアノードについての発見を示している。すなわち、アノード空隙率が70%よりも小さい時、対応してアノード効率が失われ、性能が損なわれる。
表3は、Znフレークのレベルの増加の影響を示す。比較を容易にするために、表2の第1領域のデータが表3の第2領域で繰返されている。
添付の図1は、1.0Vまでの1アンペア連続放電試験でのアノード効率に対するアノード空隙率の影響(28%を超えるカソード空隙率)を示し、一方、図2は、1.0Vまでの1アンペア連続放電試験でのカソード効率に対するカソード空隙率の影響(約70−71%のカソード空隙率)を示す。71%付近のアノード空隙率で、アノード効率が実質的に平坦化することが明らかに認められる。カソード効率は、28%を超えても上昇し続けるが、先に示したように、これは容量が失われることにより相殺される。
下記の表4において、性能及び効率に対するKOH濃度の影響が示される。
以下の実施例5〜7においては、表5に示す調製内容及び特性を有すること以外は別途示さない限り実施例1〜4と同様なLR6電池が使用された。百分率は、体積に基づく空隙率を除けば重量百分率である。実施例5の比較用電池は、表5に示す以外は、国際特許公報WO01/99214の教示に従って調製された。
実施例7の電池に類似したLR6電池は、高率放電性能に対するA:C比率の影響を更に示している。主要電池パラメータ及び1A連続放電試験による試験の結果は、表7に要約される。全ての電池において、最終KOH濃度は50〜51%であった。
実施例9〜13においては、表8に示す調製内容及び特性を有する以外は別途示さない限り実施例1〜8と同様なLR6電池が使用された。百分率は、体積に基づく空隙率を除けば重量百分率である。
亜鉛タップ密度及びフレーク含有量の影響が、その他の点では本発明に適合する電池に対して測定された。結果は下記の表9に示されている。全体的なタップ密度は、上述のようにして計算された。各亜鉛タイプのタップ密度は以下の手順を用いて測定されたが、当業者が同様な結果が得られると認識するであろう任意の適切な方法を使用することができる。
・空の5mlメスシリンダを秤量する。
・亜鉛をメスシリンダに加えて再び秤量する。
・ゴム栓を付したメスシリンダを亜鉛が安定なレベルに落ち着くまで軽くたたく。
・メスシリンダの目盛から亜鉛の容積を読取る。
・メスシリンダ内の亜鉛の正味重量を、軽くたたかれた亜鉛の観察された容積で割ることにより亜鉛のタップ密度を判断する。
>28%カソード空隙率、及び8重量%フレークを含む亜鉛を含有する71%空隙率のアノードペーストを有し、A:C比率が1.33である電池を用いて、「EMD:C」比率の影響が判断された。亜鉛の全体タップ密度は、2.96g/ccであった。放電試験の結果を下表10に示す。
様々な電池パラメータの変動の影響を下記の表11に示す。各々の場合において、アノード空隙率は71%であった。
カソード空隙率 カソードAh EMD:C A:C比率
領域1 >30% 2.7−2.9 <26 >1.25
領域1からの1つの変更は以下の通りである。
領域2 <30% 2.7−2.9 <26 >1.25
領域3 >30% <2.7 <26 >1.25
領域1からの2つの変更は以下の通りである。
領域4 <30% 2.7−2.9 >26 >1.25
領域5 >30% >2.9 <26 <1.25
領域6 <30% >2.9 <26 >1.25
領域1からの少なくとも3つの変更は以下の通りである。
領域7 <30% >2.9 <26 <1.25
領域8 >30% >2.9 >26 <1.25
領域9 <30% >2.9 >26 <1.25
いくつかのパラメータの変動の影響が、71%のアノード空隙率を有する電池について測定された。結果を下記の表12に示す。
カソード空隙率 カソードAh EMD:C A:C比率
領域1 >28% >2.9 <24 >1.25
領域1からの1つの変更は以下の通りである。
領域2 >28% >2.9 <24 <1.25
領域3 >28% >2.9 >24 >1.25
領域4 >28% <2.9 <24 >1.25
領域1からの2つの変更は以下の通りである。
領域5 >28% >2.9 >24 <1.25
領域6 <28% >2.9 <24 <1.25
最も高い性能は、1W5/3s/7s/1h/1d/1V0間欠放出電力試験に対する>2.9カソードAhと、<24「EMD:C」比率と、>1.25「A:C」比率との組合せに対して得られる。
この実施例においては、3つの定ワット量試験についてのデータが比較される。各場合において、アノード空隙率は71%であった。3つの試験についてのデータは合計され、28%のカソード空隙率、2.7Ahのカソード容量、1.33の「A:C」比率、69%のアノード空隙率、及び3.40g/ccの亜鉛タップ密度を有して亜鉛フレークを含まない電池に対する目標結果の合計の百分率として表された。結果を下記の表13に示す。
カソード空隙率 カソードAh EMD:C A:C比率
領域1 28−30% 2.9−3.0 <24 >1.25
領域1からの1つの変更は以下の通りである。
領域2 28−30% 2.9−3.0 <24 <1.25
領域3 28−30% 2.9−3.0 >24 >1.25
領域1からの2つの変更は以下の通りである。
領域4 28−30% 2.9−3.0 <24 <1.25
領域5 >30% <2.9 <24 >1.25
領域1からの少なくとも3つの変更は以下の通りである。
領域6 28−30% >3.0 <24 <1.25
領域7 <28% >3.0 <24 <1.25
より高いカソード空隙率を用いて個々の高い結果が達成できることが分るが、全般的には、28−30%の範囲のカソード空隙率は、24%よりも小さい「EMD:C」比率と、2.96g/ccの全体亜鉛タップ密度と、亜鉛全重量に基づく約8%のフレーク含有量との組合せで、実施例13の3つの定電力試験全てに優れた性能を示す電池を提供する。
添付の図3には、電池の意図した用途による亜鉛フレークの概略の影響が示されている。このグラフには、最大の放電性能のために必要なフレークとしての重量パーセント亜鉛が、放電の3つの異なるモード[定抵抗(抵抗)、定電流(アンペア数)、及び定電力(ワット量)]に対して、アノード空隙率の関数として示されている。例えば、71%アノード空隙率のレベルにおいては、電池が業界標準(ANSI/IEC)定抵抗型放電試験で表された用途に用いるように意図されている場合、通常1から2%を超えない非常に低いフレークレベルで何らかの利点があるだけである。電池が定電流放出状況で使用するように意図される場合は、最適のフレークレベルは、亜鉛の約4重量%である。これは、3.1g/ccの全体亜鉛タップ密度に対応する。しかし、電池が定電力要件の方式で使用するように意図される場合、約8%のフレークレベル(約2.96の全体亜鉛タップ密度)が最適である。
興味深いことに、アノード空隙率が67%又はその付近を超えない限り、最終的に意図した用途が何であれフレーク添加の利点がないことを図3のグラフは明確に示している。
Claims (8)
- 水性アルカリ電解質、多孔性カソード、及び多孔性アノードを含む電気化学電池であって、
カソードは、二酸化マンガンを含み、
前記カソードの空隙率は、26%又はそれよりも高く、
アノードは、電解質に不溶性の電気化学的活物質を含み、
前記アノードは、亜鉛を含み、
前記アノードの空隙率は、69%又はそれよりも高く、
前記カソード空隙率は、36%を超えず、また前記アノード空隙率は、76%を超えず、
KOHを含有する電解質を含み、
前記電解質は、電池を放電させて前記二酸化マンガン内のマンガンをMn+3.0に還元した後に算出されるKOH濃度が約50重量%になるように選択されたKOH濃度を放電前に有する、
ことを特徴とする電池。 - 前記二酸化マンガン内のマンガンをMn+3.0に還元した後に算出される水酸化カリウムの濃度の最終値は、49.5から51.5%(重量/溶液重量)の間であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
- 前記カソード空隙率は、27%又はそれよりも高く、
前記亜鉛は、算出される全体タップ密度が3.2g/ccよりも小さい亜鉛から成り、 前記亜鉛の算出される全体タップ密度の最大値は、前記アノード空隙率が69%の時に3.19g/ccであり、アノード空隙率が69%を超えて1%増加する毎に0.06g/cc減少することを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記亜鉛の算出される全体タップ密度の最大値は、前記アノード空隙率が69%の時に3.13g/ccであり、アノード空隙率が69%を超えて1%増加する毎に0.085g/cc減少することを特徴とする請求項3に記載の電池。
- 前記カソード空隙率は、27%又はそれよりも高く、
前記亜鉛は、算出される全体タップ密度が3.2g/ccよりも小さい亜鉛から成り、 前記亜鉛の全体タップ密度は、2.83g/cc以上2.96g/cc以下であり、
前記アノード空隙率は、約71%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記亜鉛は、約5から11重量%の亜鉛フレーク含量を有し、
前記アノードは、70から73%の空隙率を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記亜鉛の約8重量%から11重量%は、亜鉛フレークであることを特徴とする請求項6に記載の電池。
- 前記アノードの容量の前記カソードの容量に対する比率は、1.15:1から1.25:1の間であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
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