JP4374807B2 - 親水性塗膜及び親水性塗膜の塗装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装される基材表面にプライマー層を形成し、さらに、その表面にシリコーン樹脂塗料によって表面層を形成させて得られる親水性塗膜及びその親水性塗膜の塗装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック基材などの塗装される基材表面に防汚性を付与するために、基材表面にシリコーン樹脂塗料を塗布して親水性塗膜を形成することが行なわれている。基材の表面を親水性塗膜で親水性にすることによって、表面に付着した汚れを雨水などによって自然に洗い流すことが可能となり、防汚性を基材に付与することができる。
【0003】
また、特開平10−76600号公報等にみられるように、さらなる性能改善等のために、有機系硬化樹脂の層を基材とシリコーン樹脂塗料で形成する層(以後、表面層と記す)の中間にプライマー層として形成することが行われている。改善したい性能としては、例えば、耐紫外線性、耐候性または密着性向上等の機能が挙げられる。
【0004】
しかし、上記プライマー層を備える構成とした場合に、シリコーン樹脂塗料で形成される表面層の親水性能が低下して、それに伴い塗膜の防汚性が低下する場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、プライマー層を備える構成とした場合に、防汚性が良好に保持される塗膜及びその塗装方法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、プライマー層を形成するために使用する有機系硬化樹脂の硬化触媒を、表面層を形成するために使用するシリコーン樹脂塗料の方にあらかじめ添加しておくことで、上記課題が解決可能なことを見出して、本発明の完成に至ったものである。
【0007】
本発明では、基材表面にプライマー塗料を塗布した後、乾燥させて形成したプライマー層に、その表面に塗布されたシリコーン樹脂塗料から、シリコーン樹脂塗料にあらかじめ添加した有機系硬化樹脂の硬化触媒が拡散して行き、表面層とプライマー層の界面で有機系硬化樹脂をさらに強固に硬化させ、強固に硬化した有機系硬化樹脂がバリヤーとなって、プライマー層内の未硬化樹脂等の有機成分が表面層へ拡散するのを防止するものと考えられる。
【0008】
請求項1に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、有機系硬化性樹脂を含むプライマー塗料を塗装される基材表面に塗布した後、乾燥させてプライマー層を形成し、さらに、その表面にシリコーン樹脂塗料を塗布した後、再度、乾燥させて表面層を形成させる工程を有する塗膜の塗装方法において、前記シリコーン樹脂塗料が前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含有する一方、前記プライマー層は前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含まず、前記表面層と前記プライマー層の界面で前記有機系硬化樹脂を強固に硬化させていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、請求項1記載の親水性塗膜の塗装方法において、上記シリコーン樹脂塗料が、一般式Si(OR)4(但し、Rは同一又は異種の1価の炭化水素基を示す)で表される4官能アルコキシシランの加水分解物を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、請求項1又は請求項2記載の親水性塗膜の塗装方法において、記有機系硬化性樹脂がイソシアネート基を有する化合物を含有している有機系硬化性樹脂であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の親水性塗膜の塗装方法において、上記有機系硬化性樹脂の硬化触媒が、アミン系又はスズ系の硬化触媒であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、請求項4記載の親水性塗膜の塗装方法において、上記アミン系の硬化触媒がγ―アミノプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明の親水性塗膜は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の親水性塗膜の塗装方法で塗装されて成ることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る親水性塗膜の塗装方法の実施形態について説明する。
【0015】
本発明において、プライマー層を形成させるために使用する、プライマー塗料に含有させる有機系硬化性樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、イソシアネート基を有する化合物を架橋剤として含むウレタンーアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。その中でも、ウレタンーアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂等のイソシアネート基を有する化合物を含有しているものが硬化触媒の効果をより発揮できるので好ましい。ここでいう、ウレタンーアクリル樹脂とは、脂肪族ポリイソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物とアクリル樹脂とを含有してなる硬化性樹脂を表している。
【0016】
本発明においてプライマー層の有機系硬化性樹脂を更に硬化させる働きをする硬化触媒としては、アミン系又はスズ系等の触媒が挙げられる。
【0017】
アミン系の硬化触媒の具体例としては、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N,N',N'―テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'―テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'',N''―ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N'',N'',N'''―ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジブチルアミンー2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩、酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩、テトラエチルペンタミン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β―アミノエチルーγ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β―アミノエチルーγ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
スズ系の硬化触媒の具体例としては、例えば、塩化第1スズ、塩化第2スズ、オクチル酸スズジラウレート、ジブチル酸スズジラウレート、ジオクチル酸ジマレート等のカルボン酸の金属塩等が挙げられる。
【0019】
また、その他の硬化触媒の具体例としては、例えば、ナフテンサンコバルト、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラーn−チルチン、トリーn−チルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、トリメチルチンハイドロオキサイド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチントリクロライド、ジブチルチンジラウレート、アルキルチタン酸塩、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物等が挙げられる。
【0020】
シリコーン樹脂塗料に添加される上記硬化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、表面層となるシリコーン樹脂塗料中の総固形分を100質量%としたとき、0.001〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%であり、最も好ましくは0.1〜2質量%である。0.001質量%未満だと常温での硬化性が劣る傾向にあり、また、10質量%を超えると耐熱性、耐候性が損なわれる傾向がある。
【0021】
本発明における表面層を形成するシリコーン樹脂塗料は、特に限定はされないが、例えば、アルコキシシランやクロロシラン等の分解性オルガノシランの加水分解物を構成材料とするシリコン樹脂塗料が挙げられる。
【0022】
上記アルコキシシランとしては、1〜4官能アルコキシシランがあるが、1〜3官能アルコキシシランに比べて、一般式Si(OR)4(但し、Rは同一又は異種の1価の炭化水素基を示す)で表される4官能アルコキシシランの加水分解物を構成材料とするシリコン樹脂塗料は、得られる塗膜の防汚性、表面硬度および耐磨耗性がより良好となるので好ましい。
【0023】
上記4官能アルコキシシランの加水分解物は、その形態を特に限定されず、例えば、溶液状のものでも分散液状のもの等でもかまわない。なお、ここでいう加水分解物には、部分加水分解物も含んで表現している。
【0024】
上記一般式中のRは、同一又は異種の1価の炭化水素基を示し、中でも、入手の容易さ、塗料の調整のしやすさ等の点から、炭素数1〜8の1価の炭化水素基が適する。この1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ペプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。上記アルキル基のうち、炭素数が3以上のものについては、n−プロピル基、n−ブチル基等のような直鎖状のものであっても良いし、イソピロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等のように分枝を有するものであっても良い。
【0025】
上記4官能アルコキシシランを加水分解するのに必要な水の量は、特に限定されない。また、上記4官能アルコキシシランを加水分解する際に必要に応じて用いられる触媒としては、特に限定するわけではないが、製造工程に係る時間を短縮する点から、酸性触媒が好ましい。酸性触媒としては、特に限定はされないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸、酸性コロイダルシリカ、酸化チタンゾル等の酸性ゾル状フィラー等を挙げられ、これらを1種または2種使用することができる。
【0026】
上記4官能アルコキシシランの加水分解は、必要に応じ、例えば、40〜100℃程度の加温して行って良い。また、必要に応じ、適当な溶媒で希釈して行って良い。そのような希釈溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪酸アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、及びダイアセトンアルコール等を挙げることができ、これらより選ばれる1種あるいは2種以上のものを使用することができる。さらにこれらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キシレン、ヘキサン、へプタン酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種あるいは2種以上のものを使用するこができる。
【0027】
上記4官能アルコキシシランの加水分解物の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、500〜30000の範囲が好ましい。これは、500未満の場合は、加水分解物が不安定であったり、親水性が低下する傾向があり、また、30000を超える場合は、形成される塗膜の硬度が不十分な傾向がある。
【0028】
本発明においては、プライマー層を形成する有機系硬化性樹脂を硬化させる働きをする硬化触媒を、プライマー塗料の方へは添加せず、表面層を形成するシリコーン樹脂塗料の方に添加することが重要である。プライマー塗料へ上記硬化触媒を添加しないようにすることでプライマー塗料が不安定にならないようにしている。プライマー塗料が不安定になると、プライマー塗料の塗布の可使時間を十分に確保することができず、塗布時のレベリングが悪くなり、その結果、塗膜の透明性が悪化し、耐アルカリ試験における膜剥離等の弊害が起きやすくなるからである。
【0029】
プライマー塗料及びシリコーン樹脂塗料の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、はけ塗り、スプレーコート、浸漬(ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、バーコート等の通常の方法を適宜選択することができる。また、乾燥の温度も特に限定されないが、使用する基材の耐熱温度等を加味し、常温から500℃までの温度範囲で取り扱うことができる。
【0030】
本発明のプライマー層の厚みは、特に制限するものではないが、0.1〜50μm程度が好ましく、プライマー層が長期的に安定に密着、保持され、クラックや剥がれが発生しないためには、5〜20μmであることがより好ましい。また、本発明のプライマー層を含まない表面層の厚みは、特に制限するものではないが、0.05〜10μm程度あれば良く、塗膜の長期的に安定に密着、保持され、かつ、クラックや剥がれが発生しないためには、0.05〜2μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
【0031】
本発明に用いられる塗装される基材は、無機、有機を問わず、各種基材を用いることができ、例えば、無機質基材、有機質基材、及びこれらの基材のうちいずれかの表面に有機物皮膜を有する有機塗装基材が挙げられる。
【0032】
無機質基材としては、特に限定するわけではないが、例えば、金属基材、ガラス基材、ホーロー基材、水ガラス化粧板、無機質硬化体の無機質建材、セラミック等が挙げられる。金属基材としては、特に限定するわけではないが、例えば、非鉄金属[例えば、アルミニウム(JIS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラルミン等)、銅、亜鉛等]、鉄、鋼[例えば、圧延鋼(JIS−G3101等)、溶融亜鉛メッキ鋼(JIS−G3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G4304,G4305等)等]、ブリキ(JIS−G3303等)、その他の金属全般(合金を含む)が挙げられる。ガラス基材としては、特に限定するわけではないが、例えば、ナトリウムソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラス等が挙げられる。ホーロー基材としては、金属表面にガラス質のホーローぐすりを焼き付け、被膜としたものである。その素地金属としては、例えば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウム等が挙げられるが特に限定されない。ホーローぐすりも通常のものを用いれば良く、特に限定されない。水ガラス化粧板としては、例えば、ケイ酸ソーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き付けた化粧板が挙げられる。無機質硬化体としては、特に限定はされないが、例えば、繊維強化セメント板(JIS−A5430等)、窯業系サイデリング(JIS−A5422等)、木毛セメント板(JIS−A5404等)、パルプセメント板(JIS−A5414等)、スレート・木毛セメント積層板(JIS−A5426等)、石膏ボード製品(JIS−A6901等)、粘土瓦(JIS−A5208等)、厚形スレート(JIS−A5402等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209等)、建築用コンクリートブロック(JIS−A5406等)、テラゾ(JIS−A5411等)、プレストレストコンクリートダブルTスラブ(JIS−A5412等)、ALCパネル(JIS−A5416等)、空洞プレストレストコンクリートパネル(JIS−A6511)、普通棟瓦(JIS−R1250等)の無機材料を硬化、成形さえた基材全般を指す。セラミックス基材としては、特に限定はされないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0033】
有機質基材としては、特に限定はされないが、プラスチック基材、木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、特に限定はされないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑性プラスチック及びこれらのプラスチックをガラス繊維、ナイロン繊維、カーボン繊維等の繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
【0034】
本発明では、表面に塗布したシリコーン樹脂塗料中の有機系硬化樹脂の硬化触媒がプライマー層に拡散して行き、表面層とプライマー層の界面で、有機系硬化樹脂をさらに強固に硬化させ、強固に硬化した有機系硬化樹脂がバリヤーとなって、プライマー層内の未硬化樹脂等の有機成分が表面層へ拡散するのが防止されるものと考えられる。その結果、シリコーン樹脂塗料で形成する表面層の親水性が保たれるため、塗膜の防汚性が良好に保持されるものと考えられる。
【0035】
次に、本発明に係る親水性塗膜の実施形態について説明する。
【0036】
本発明に係る親水性塗膜は、上記で詳しく説明した親水性塗膜の塗装方法によって塗装して形成された親水性塗膜であるので、プライマー層を備える構成とした場合に、防汚性が良好に保持される親水性塗膜を得ることができる。
【0037】
【実施例】
次に、具体的な実施例を示し、さらに詳しく説明する。尚、以下では、各例のスプレー用のシリコーン樹脂塗料を調製し、その後、各例のプライマー層を形成した後、その表面に、各例のスプレー用のシリコーン樹脂塗料を用いてスプレー塗装により塗膜を形成し、その性能を評価した。
【0038】
(実施例1)
テトラエトキシシラン208質量部にイソプロピルアルコール356質量部を加え、さらに水180質量部及び0.01Nの塩酸18質量部を混合し、ディスパーを用いて攪拌した。得られた混合液に、シリカゾル(日産化学工業(株)製商品名「ST−OL」:粒径40〜50nm)を固形分換算で40質量部となるように添加し、60℃恒温槽中で6時間加熱した。次に、硬化触媒であるγ―アミノプロピルトリメトキシシランを0.5質量部添加し、さらにメタノール/ダイアセトンアルコール=9/1(質量比)の混合溶剤を50000質量部加えて希釈することによって、スプレー用シリコーン樹脂塗料を調製した。
【0039】
次に、ポリカーボネート板の表面に、アクリル樹脂を含有する紫外線吸収性の特殊アクリル塗料[日本触媒(株)製商品名「ユーダブルUV−G300」]100質量部とイソシアネート基を有する化合物である脂肪族ポリイソシアネート[住友バイエルウレタン(株)製商品名「スミジュールN3200」]4質量部を混合して得られたウレタンーアクリル樹脂をプライマー塗料としてバーコートNo.20で塗装し、常温で1日乾燥させてプライマー層を形成した。
【0040】
その後、上記スプレー用シリコーン樹脂塗料を、上記プライマー層表面にスプレー塗装によって塗布し、さらに常温で1日乾燥させて表面層を形成し塗膜を得た。
【0041】
(実施例2)
実施例1において、硬化触媒の添加量が1.0質量部となるように添加する以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0042】
(実施例3)
実施例1において、硬化触媒としてγ―アミノプロピルトリメトキシシランに代えてオクチル酸スズジラウレートを添加した以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0043】
(実施例4)
実施例1において、硬化触媒としてγ―アミノプロピルトリメトキシシランの代えてジメチルアミンアセテートを用い、その添加量を1.0質量部となるようにした以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0044】
(実施例5)
実施例1において、プライマー層の硬化条件が常温で1日乾燥させる代わりに90℃で30分間、乾燥させる以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、硬化触媒であるγ―アミノプロピルトリメトキシシランを添加せずに調製したスプレー用シリコーン樹脂塗料を塗布する以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0046】
(比較例2)
実施例1において、硬化触媒であるγ―アミノプロピルトリメトキシシランを0.5質量部添加して調製したプライマー塗料を用い、かつ、硬化触媒を添加せずに調製したスプレー用シリコーン樹脂塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして塗膜を得た。
【0047】
(塗膜の性能評価)
得られた塗膜の性能評価は、透明性としてヘーズ、防汚性として水の接触角、耐アルカリとしてアルカリ浸漬試験後の塗膜の有無で評価した。
【0048】
(ヘイズ値測定評価)
透明性は、JIS−K−7136に基づいて、光線の広角散乱に関する特定の光学的性質であるヘーズを求めた。値の0が透明で、値が大きい程白色度が増していることを示す。値が5以下の塗膜が透明性を有するものと判定した。
【0049】
(塗膜初期の水の接触角)
水との接触角の測定は、協和界面科学(株)製CA−W150を用いて、膜の表面に0.2ccの蒸留水を滴下した接触角を測定した。値が35以下の塗膜が親水性を有し、防汚性が良好であるものと判定した。
【0050】
(耐アルカリ試験)
まず、Na2CO3をその濃度がイオン交換水中で1wt%となるようにイオン交換水で希釈したアルカリ試験液に、製膜されたサンプルを4時間浸漬放置した後、イオン交換水で洗浄し風乾放置30分後、光学顕微鏡で膜の有無を確認した。
【0051】
【表1】
【0052】
(結果)
製膜条件及び評価結果を表1に示す。実施例1〜5は、いずれも水の接触角が35度以下の高い親水性を示し、良好な防汚性が確認された。また、いずれもプライマー塗料の塗布時のレベリングが良く、その結果、ヘイズ値が低く透明性を保つことができ、さらに、いずれも耐アルカリ試験における膜剥離は認められなかった。
【0053】
一方、シリコーン樹脂塗料に硬化触媒を添加していない比較例1は、水の接触角が45度と大きく、表面層の親水性の低下が見られ、防汚性が悪化していることが確認された。また、シリコーン樹脂塗料に硬化触媒を添加せずに、プライマー塗料に硬化触媒を添加した比較例2は、水の接触角が25度の高い親水性を示し、良好な防汚性が確認されたが、プライマー塗料の塗布時のレベリングが悪く、その結果、へイズ値が高く透明性が悪くなり、また、耐アルカリ試験においても膜剥離を起こす等の弊害があった。
【0054】
【発明の効果】
請求項1〜5に係る発明の親水性塗膜の塗装方法は、有機系硬化性樹脂を含むプライマー塗料を塗装される基材表面に塗布した後、乾燥させてプライマー層を形成し、さらに、その表面にシリコーン樹脂塗料を塗布した後、再度、乾燥させて表面層を形成させる工程を有する塗膜の塗装方法において、前記シリコーン樹脂塗料が前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含有する一方、前記プライマー層は前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含まず、前記表面層と前記プライマー層の界面で前記有機系硬化樹脂を強固に硬化させたので、請求項1〜5に係る発明の親水性塗膜の塗装方法によれば、プライマー層を備える構成とした場合に、防汚性が良好に保持されている親水性塗膜を得ることができる。
【0055】
請求項6に係る発明の親水性塗膜は、上記方法で形成されたものであるので、プライマー層を備える構成とした場合に、防汚性が良好に保持されている親水性塗膜となる。
Claims (6)
- 有機系硬化性樹脂を含むプライマー塗料を塗装される基材表面に塗布した後、乾燥させてプライマー層を形成し、さらに、その表面にシリコーン樹脂塗料を塗布した後、再度、乾燥させて表面層を形成させる工程を有する親水性塗膜の塗装方法において、前記シリコーン樹脂塗料が前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含有する一方、前記プライマー層は前記有機系硬化性樹脂の硬化触媒を含まず、前記表面層と前記プライマー層の界面で前記有機系硬化樹脂を強固に硬化させていることを特徴とする親水性塗膜の塗装方法。
- 上記シリコーン樹脂塗料が、一般式Si(OR)4 (但し、Rは同一又は異種の1価の炭化水素基を示す)で表される4官能アルコキシシランの加水分解物を含むことを特徴とする請求項1記載の親水性塗膜の塗装方法。
- 上記有機系硬化性樹脂がイソシアネート基を有する化合物を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の親水性塗膜の塗装方法。
- 上記有機系硬化性樹脂の硬化触媒が、アミン系又はスズ系の硬化触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の親水性塗膜の塗装方法。
- 上記アミン系の硬化触媒がγ―アミノプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項4記載の親水性塗膜の塗装方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の親水性塗膜の塗装方法で塗装されて成ることを特徴とする親水性塗膜。
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