JP4374491B2 - リチウム二次電池用負極 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法及びリチウム二次電池に関する。
近年、ノートパソコン、携帯電話などの携帯電子機器の普及に伴い、これらの機器をより軽量化し、かつ、長時間の使用を可能とするため、電源として使用される二次電池の小型化及び高エネルギー密度化が要求されている。
二次電池としては、従来、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等が主流であったが、上記した様な小型化及び高エネルギー密度化の要請から、リチウム二次電池の使用が増大する傾向にある。
現在、リチウム二次電池では、正極としてコバルト酸リチウム、負極としてカーボン電極、電解質としてプロピレンカーボネート等の有機溶媒にリチウムイオンを溶解させた非水電解液が一般的に使用されている。
この様なリチウムイオン二次電池において、負極材料として用いられているカーボン電極は、使用可能な電流密度が低く、容量密度も理論値が372mAh/g程度に過ぎず、しかも製造工程が複雑で歩留まりが低いため、製造コストが増大するという欠点がある。このため、リチウム二次電池の更なる高性能化のために、新たな負極材料の探索が行われている。
負極材料として容量密度が最も大きい材料は、金属リチウムである。リチウムは、容量密度が理論値で3860mAh/gであり、カーボン電極の10倍以上の充放電容量を有する材料である。しかしながら、金属リチウムをリチウム二次電池の負極として使用すると、充放電の繰り返しに伴ってリチウムデンドライトが成長し、電極間の短絡やセパレーターの破損などが発生し易い。その結果、リチウム二次電池の充放電サイクルが急激に低下し、更に、電池の安全性も低下するという不都合がある。
一方、Sn系合金は、炭素材料の2倍以上の理論容量を持つ材料であるが、Liの挿入に伴って大きな体積変化を起こすため、サイクル寿命が短いという欠点がある。
近年、各種の集電体上に表面処理的手法によってSn又はSn合金薄膜を形成し、これを負極として用いることが検討されている。例えば、負極材料とするスズ合金としては、スズと、アンチモン、ビスマス、鉛、銅、亜鉛等との合金、スズビスマス合金皮膜、合金成分として銅、亜鉛、コバルト及び鉄からなる群より選択される1種又は2種以上を含むスズ合金などが報告されており、スズ又はスズ合金薄膜を形成する手段として電気メッキ法等が開示されている(下記特許文献1〜4参照)。
また、下記特許文献5には、集電体とスズめっき層又はスズ合金めっき層との界面に、該集電体のリチウム吸蔵能とスズめっき層又はスズ合金めっき層のリチウム吸蔵能との中間のリチウム吸蔵能を有する層を形成した二次電池用電極が開示されている。更に、下記特許文献6には、特定組成の電気めっき液から析出させた、微細なめっき粒子が実質的に連続した構造のスズ又はスズ合金皮膜を、集電体の片面又は両面に形成した材料からなる二次電池用電極材料が開示されている。
このように、集電体の表面に電気めっき法などの表面処理法によってスズ又はスズ合金薄膜を形成し、これをリチウム二次電池負極材料とすることが種々試みられている。しかしながら、これらの各種の試みにも関わらず、実用的に利用可能な、十分なサイクル寿命を有する負極材料は得られていないのが現状である。これは、上記した方法で集電体上にスズ又はスズ合金薄膜を形成した場合であっても、充放電に伴ってリチウムが吸蔵・放出される際に、活物質である金属薄膜に大きな体積変化が生じ、活物質層に割れが発生して電極のサイクル特性が劣化することが大きな原因と考えられる。
特開平11−242954号公報 特開2001−68094号公報 特開2001−68095号公報 特開2002−198091号公報 特開2003−157833号公報 特開2003−142088号公報
本発明の主な目的は、高い充放電容量と長いサイクル寿命を有する、リチウムイオン二次電池の負極として有用性の高い新規な二次電池用電極を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、繊維、樹脂発泡体等の微細構造を有する非導電性材料を基体として用い、この表面に湿式めっき法、乾式めっき法等によってスズ又はスズ合金の薄膜を形成する場合には、電極としての十分な強度を保持した上で、リチウムの吸蔵・放出に伴なう体積変化を微細構造体の微細な動きによって吸収し、電極全体としての変形を抑制して、活物質層の割れを防止することが可能となることを見出した。更に、この様な微細構造の非導電性材料を基体とする場合には、活物質であるスズ又はスズ合金の見掛けの電極表面積当りの付着量を減少させることなく、該皮膜の実質的な膜厚を薄くできるため、充放電容量が高く、サイクル特性に優れた電極が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、下記のリチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法及びリチウム二次電池を提供するものである。
1. 微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体と、該基体の表面部分及び微細構造内部の表面に形成されたスズ又はスズ合金からなる活物質層とを含むリチウム二次電池用負極。
2. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が、布帛又は樹脂発泡体である上記項1に記載のリチウム二次電池用負極。
3. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が、該材料の見掛けの表面積に対して、微細構造部分を含めた該材料の実表面積が3倍以上の材料である上記項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極。
4. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が圧縮加工処理を施されたものである上記項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
5. スズ又はスズ合金からなる活物質層が、湿式めっき法又は乾式めっき法によって形成されたものである上記項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
6. 基体と活物質層との間に、集電体として作用する金属層を有することを特徴とする上記項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
7. 集電体として作用する金属層が、銅、鉄、ニッケル又はこれらの金属を主成分とする合金である上記項6に記載のリチウム二次電池用負極。
8. 集電体として作用する金属層と活物質層と間に、更に、亜鉛、銅、ニッケル、銀、インジウム、アンチモン、ビスマス、鉛又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を有する上記項6又は7に記載のリチウム二次電池用負極。
9. 活物質層の上に、更に、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を有する上記項1〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
10.活物質層及びその他の金属層を形成した後、熱処理を行って得られる上記項1〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
11.上記項6〜9のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極であって、熱処理を行うことによって、活物質層とその下層との界面に、スズと導電体層の金属との金属間化合物からなる層が形成されていることを特徴とするリチウム二次電池用負極。
12.微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体に、乾式めっき法又は無電解めっき法によって導電性膜を形成した後、湿式めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
13.微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体に、乾式めっき法又は湿式めっき法によって集電体として作用する金属層を形成した後、湿式めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
14.微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体に、乾式めっき法又は湿式めっき法によって集電体として作用する金属層を形成し、次いで乾式めっき法又は湿式めっき法によって、亜鉛、銅、ニッケル、銀、インジウム、アンチモン、ビスマス、鉛又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を形成した後、湿式めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
15.湿式めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成する前に、置換めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成することを特徴とする上記項12〜14のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
16.上記項12〜15のいずれかに記載された方法によって活物質層を形成した後、乾式めっき法又は湿式めっき法によって、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を形成することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
17.上記項12〜16のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極の製造方法において、活物質層及びその他の金属層のうちの少なくとも一層を湿式めっき法によって形成する場合に、炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含有するめっき液を用いて湿式めっきを行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
18.上記項12〜17のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極の製造方法において、活物質層及びその他の金属層のうちの少なくとも一層を湿式めっき法によって形成する場合に、炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する前処理液を用いて湿式めっきの前処理を行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
19.上記項12〜18のいずれかの方法によって、金属層を形成した後、熱処理を行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
20.上記項1〜19のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極と、電解質と、正極を備えるリチウム二次電池。
本発明のリチウム二次電池用負極は、微細構造を有するシート状の非導電材料からなる基体と、該基体の表面部分及び微細構造内部の表面に形成されたスズ又はスズ合金からなる活物質層とを有するものである。以下、本発明の各構成要素について具体的に説明する。
非導電性材料
本発明では、リチウム二次電池用負極の基体として、微細構造を有するシート状の非導電材料を用いる。この様な基体を用い、該基体の表面部分及び微細構造内部の表面にスズ又はスズ合金の薄膜からなる活物質層を形成することによって、リチウムの吸蔵・放出に伴なう体積変化を微細構造体の微細な動きによって吸収し、電極全体としての変形を抑制して、活物質層の割れを防止することができる。
該非導電性材料は、その内部の微細構造を含めた実表面積が、該シート状の表裏を合わせた見掛けの表面積の3倍以上であることが望ましい。この様な微細構造を有する材料を用いることによって、スズ又はスズ合金の見掛けの電極表面積当りの付着量を減少させることなく、該皮膜の実質的な膜厚を薄くすることが可能となる。
尚、本願明細書において、非導電性材料の見掛けの表面積に対する実表面積の割合は、同じ大きさ(縦×横)の非導電性材料と平滑な銅板について、同一条件で無電解銅めっき皮膜を形成した場合に、銅板に析出した銅の重量に対する非導電性材料に析出した銅の重量の比から求めることができる。測定方法の具体例は、後述する実施例において示す。
微細構造を有するシート状の非導電材料としては、例えば、布帛、樹脂発泡体などを用いることができる。
布帛としては、織物、編物、不織布、漉物等を用いることができる。布帛の材料としては、天然繊維、合成繊維の何れも用いることができる。合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等が好適に用いられる。また、種類の異なる合成繊維を混紡した繊維を用いてもよい。これらの布帛は、実表面積が見掛けの表面積の3倍以上であれば、圧縮加工が施されたものであっても良い。
更に、非導電性材料からなる基体と活物質層との密着性を良好にするために、合成繊維を基体として用いる場合には、繊維に仮撚加工を施しておくことが好ましい。例えば、遠心仮撚加工糸(DTY)からなる布帛などを用いることができる。
また、該非導電性材料からなる基体は、電極の構成要素として、そのまま電池に組み込まれるため、難燃性であることが望ましい。難燃性の繊維としては、それ自体難燃性を有するものでもよく、或いは、難燃性ではない素材に難燃化剤を添加して難燃性としたものでもよい。また難燃化処理を施した繊維であっても良い。この様な難燃性の繊維としては、ポリアミドイミド、難燃化ポリエステル、難燃化ポリアミド、メタ系又はパラ系芳香族ポリアミド、ノルボネックス等を例示できる。
更に、上記非導電性材料を基体とする電極をリチウム電池に用いる場合には、水分の存在が望ましくないため、基体材料として用いる繊維は、吸湿度が低いものが好ましく、RH65%における吸湿度が7%以下であることが好ましい。
微細構造を有するシート状の非導電材料として用いられる樹脂発泡体の種類については、特に限定はされず、公知のものを用いることができる。特に、ポリウレタン樹脂系発泡体、シリコン樹脂系発泡体等が好ましい。特に、連続気泡性の発泡体が好ましい。
該樹脂発泡体は、後述する圧縮加工処理を施す前のセル密度が20個/インチ以上であることが好ましい。この様なセル密度が高い発泡体によれば、実表面積が大きくなって、活物質層の実質的な膜厚を薄くすることができる。
微細構造を有するシート状の非導電性材料には、電極における活物質の密度を上げ、より高容量の電極とするため、圧縮加工を施すことが好ましい。圧縮加工は、スズ又はスズ合金からなる活物質層及びその他の金属層を形成する工程の前、工程中、工程後のいずれの段階で行っても良い。例えば、最も一般的に適用される湿式めっきの場合を例にとると、シート状の非導電性材料が布帛である場合には、めっき工程の前に圧縮加工を行うことが好ましく、発泡体である場合には、めっき工程中又はめっき工程後に圧縮加工を行うことが好ましい。
圧縮加工の方法は特に限定されないが、例えばロールプレス法を適用することができる。圧縮加工の程度については、特に限定はないが、通常、圧縮加工前の厚さの10〜90%程度の厚さとなるように圧縮加工を施せばよい。圧縮の程度は、ロールのスリット幅(クリアランス)によって決定されるが、非導電性材料の材質、厚さ、活物質層の種類等多くの要因により復元率が変化するので、スリット幅を一概に規定することはできない。一般的には、金属層を形成した非導電性材料の厚さの0.2〜30%程度にスリット幅を設定すればよい。
微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体は、厚さが3mm程度以下であることが好ましく0.03〜2mm程度であることがより好ましい。なお、圧縮加工を施す場合は、圧縮加工後の基体の厚さが上記範囲に入ることが望ましい。この様な厚さとすることによって、電解液の浸透が十分となり、高電流での充放電が可能となる。
活物質層
本発明のリチウム二次電池用電極では、活物質層として、スズ又はスズ合金からなる薄膜を上記した微細構造を有するシート状の非導電材料からなる基体上に形成する。この場合、基体が微細構造を有するので、活物質層は、基体の表面部分だけではなく、微細構造内部にも形成される。尚、活物質層は、基体の両面に形成してもよく、或いは片面にのみ形成しても良い。
スズ合金としては、スズと、周期律表の第3〜第6周期の13〜15族、第4〜第6周期の第8〜12族の元素から選ばれる少なくとも1種の金属との合金を例示できる。これらのスズと合金を形成する元素の具体例としては、Al, Si, P, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, As, Ag, Cd, In, Sb, Au, Hg, Tl, Pb, Bi等を挙げることができる。特に、亜鉛、銅、アンチモン、ビスマス、コバルト及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とスズと合金が好ましく、銅及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属とスズとの合金がさらに好ましい。
スズ合金におけるスズの含有量は、30重量%程度以上であることが好ましく、50重量%程度以上であることがより好ましい。
本発明では、特に、銅含有率が30〜70重量%程度、好ましくは30〜50重量%程度のスズ−銅合金が好ましい。
スズ又はスズ合金からなる活物質層の付着量は、十分な充放電容量を確保するために、非導電性材料からなる基体の見掛けの単位面積当り20g/m2程度以上とすることが好ましく、40g/m2程度以上とすることがより好ましい。また、活物質の付着量が増加すると充放電容量が大きくなるものの、サイクル特性が低下する傾向があるので、活物質層は、断面顕微鏡観察による平均厚さが20μm程度未満であることが好ましく、5μm程度未満であることがより好ましい。
その他の金属層
本発明のリチウム二次電池用負極では、上記したスズ又はスズ合金からなる活物質層に加えて、必要に応じて、下記(1)〜(3)の金属層を1層又は2層以上形成することができる。
(1)集電体層
本発明のリチウム二次電池用負極では、微細構造を有するシート状の非導電材料からなる基体と、スズ又はスズ合金からなる活物質層との間に、集電体として作用する金属層(以下、「集電体層」ということがある)を形成しても良い。集電体層を形成することによって、活物質層自体に集電体としての機能を持たせる場合と比較して、電極全体の導電性が向上し、特に高電流での充放電において有利となる。
集電体層を構成する金属としては、特に限定はなく、従来の負極用集電体として用いられている金属を適宜用いることができる。例えば、銅、鉄、ニッケル、これらを主成分とする合金などを用いることができる。この場合、合金としては、銅、鉄及びニッケルから選ばれた少なくとも一種の金属を90重量%程度以上含むものが好ましい。これらの内で、銅、ニッケル、これらを主成分とする合金が好ましく、銅または銅合金が特に好ましい。
集電体層の付着量は、特に限定的ではないが、十分な導電性を付与するために、基体の見掛けの単位面積当りの目付け量が20g/m2程度以上であることが好ましく、50g/m2程度以上であることがより好ましい。集電体層の厚さの上限については、特に限定的ではないが、通常、10μm程度以下とすればよい。
(2)拡散制御層
本発明のリチウム二次電池用負極では、更に、集電体層と活物質層との間に、亜鉛、銅、ニッケル、銀、インジウム、アンチモン、ビスマス、鉛又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を形成してもよい。この場合、合金としては、亜鉛、銅、ニッケル、銀、インジウム、アンチモン、ビスマス及び鉛から選ばれた少なくとも一種の金属を90重量%程度以上含むものが好ましい。この金属層を形成することによって、後述する熱処理において集電体層の金属と活物質層のスズとの金属間化合物が形成される際に、集電体層の金属が過剰に拡散することを抑制して、導電性向上という集電体本来の機能が損なわれることを防止できる。以下、この金属層を拡散制御層ということがある。
拡散制御層は、亜鉛又は亜鉛合金によって形成することが特に好ましい。
拡散制御層の厚さは、0.01μm程度以上とすることが好ましく、0.2〜1μm程度とすることがより好ましい。
(3)応力緩和層
スズ又はスズ合金からなる活物質層の上には、充放電時の応力を緩和するために、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン又はこれらの金属を主成分とする合金からなる層(以下、「応力緩和層」ということがある)を形成してもよい。この場合、合金としては、銀、カドミウム、インジウム及びアンチモンから選ばれた少なくとも一種の金属を90重量%程度以上含むものが好ましい。これらの内で、特に銀が好ましい。活物質層上に応力緩和層を形成することによって、リチウムの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮によるサイクル特性の劣化を抑制することができる。
応力抑制層の厚さは、特に限定的ではないが、0.01〜0.5μm程度であることが好ましい。
負極の製造方法
本発明のリチウム二次電池用負極は、微細構造を有するシート状の非導電材料からなる基体上に、スズ又はスズ合金からなる活物質層と、必要に応じて、上記(1)〜(3)から選ばれた1種又は2種以上の層を形成したものである。
これらの各層は、湿式めっき法又は乾式めっき法によって形成することができる。湿式めっき法としては、電気めっき法又は無電解めっき法を採用できる。これらの内で、乾式めっき法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、PVD法等を採用することができる。また、無電解めっきとしては、還元型めっき、置換型めっき等を採用することができる。これらの各法の具体的な条件については特に限定的ではなく、目的とする金属層が所定の膜厚で形成される様に、常法に従って適宜条件を決めればよい。
最下層である活物質層又は集電体層を電気めっき法によって形成する場合には、非導電性材料からなる基体に導電性を付与するために、導電性膜を形成することが必要である。
導電性膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、PVD法等の乾式めっき法や無電解めっき法を採用できる。導電性膜の厚さは、通常、0.01〜0.5μm程度とすればよい。
導電性膜を形成するための無電解めっき法では、めっき液としては、無電解ニッケルめっき液、無電解ニッケル合金めっき液、無電解銅めっき液等を用いることができる。該無電解ニッケルめっき液としては、次亜燐酸塩、ジメチルアミンボランなどの公知の還元剤を含有する浴を用いることができ、これによりニッケル−リン皮膜、ニッケル−ホウ素皮膜などのニッケル合金皮膜を形成しても良い。また、ヒドラジン、3価チタン等を還元剤とする無電解ニッケルめっき浴を用いて、実質的にニッケルやホウ素を含有しない無電解ニッケル皮膜を形成することによって一層の密着性の向上を図ることができる。
無電解銅めっき浴としては、ホルマリン、蟻酸等の公知の還元剤を用いる浴を用いることができる。
非導電性材料からなる基体に活物質層又は導電体層からなる最下層を形成する前に、該非導電性材料と最下層との密着性を向上させるために、該非導電性材料に対して酸性又はアルカリ性溶液による前処理を施すことが好ましい。具体的な処理液については、繊維の種類によって適宜選定すればよいが、例えばポリエステル繊維の場合にはアルカリ性溶液による前処理が望ましく、例えば、80〜200g/l程度の水酸化ナトリウム水溶液中、50〜100℃程度で1〜10分程度浸漬処理を行えばよい。また、ポリアミド繊維の場合には酸性溶液による前処理が望ましく、例えば、80〜120g/l程度の塩酸水溶液中、室温で1〜10分程度の浸漬処理を行えばよい。
更に、非導電性材料と最下層との密着性を向上させるために、非導電性材料にコロナ放電処理を施しても良い。コロナ放電処理は単独で行っても密着性向上の効果があるが、上記酸性又はアルカリ性溶液による前処理と組み合わせて行うことによってさらに密着性を向上させることができる。
また、湿式めっき法によって最下層を形成する場合には、湿式めっきに先立って、該非導電性材料に対して、界面活性剤を含有する溶液で親水化処理を施すことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定的ではなく、公知のノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系等の各種界面活性剤を用いることができる。特に、カチオン性界面活性剤が好ましい。通常、非導電性材料への無電解めっきの前処理は、脱脂、アルカリ処理、酸処理、中和処理、触媒化処理などを適宜組み合わせて行うが、これらの処理液中に界面活性剤を添加してもよく、或いは、これらの処理とは別に、界面活性剤を含む溶液で処理しても良い。処理液中の界面活性剤濃度は、0.001〜10g/l程度が好ましく、0.01〜5g/l程度がさらに好ましい。
上記した各層を湿式めっきによって形成する場合には、これらの各層を形成するために用いるめっき液中に、炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を加えることができる。これらの成分を添加することによって、基体の微細構造の内部にまでめっき液を浸透させて均一な金属皮膜を形成することができる。更に、めっき粒子を微細化させ、めっき浴の安定性を向上させることもできる。
低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンの具体例としては、メタノール、エタノール、(n−及びi−)プロパノール、(n−、i−及びt−)ブタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。これらの内で、i−プロパノール、アセトン窓が好ましく、i−プロパノールが特に好ましい。
炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分のめっき液中への添加量は、他の添加剤の濃度等も影響するので一概に規定することはできないが、濃度高くなり過ぎるとかえって浴の安定化を阻害することになる。特に、アルコールについては、濃度が300g/lを越えると、この悪影響が大きくなる。また、濃度が高すぎると臭気が激しくなり、作業環境上からも好ましくない。このため、これらの成分の濃度は、0.5g/l〜200g/l程度とすることが好ましく、1g/l〜200g/l程度とすることがより好ましい。
また、上記した炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分は、めっき処理のための前処理液に添加してもよい。このような前処理液としては、脱脂、アルカリ処理、酸処理、中和処理、触媒化処理などに用いる各処理液を例示できる。上記成分は、これらの前処理液の一種のみに添加しても良く、或いは二種以上に添加してもよい。前処理液の組成については、特に限定はなく、公知の処理液を用いることができる。これらの成分を前処理液に添加することによって、基体の微細構造の内部にまで前処理液を浸透させることができ、形成される金属皮膜の均一性を良好にすることができる。
炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分の前処理液中の濃度については特に限定的ではないが、高濃度となると作業環境上好ましくない。通常、1〜200g/l程度とすればよい。
活物質層及び必要に応じて形成するその他の金属層を形成した後、熱処理を行うことによって、サイクル特性を向上させることができる。特に、基体と活物質層との間に導電体層を形成した場合には、熱処理を行うことによって導電体層の金属が活物質層に拡散し、活物質層とその下層との界面にスズと導電体層の金属との金属間化合物からなる層が形成される。この金属間化合物は、通常、集電体層と活物質層との中間のリチウム吸蔵能を有するものとなり、該金属間化合物が存在することによって、リチウムの吸蔵に伴う活物質層の体積変化を緩和して、負極のサイクル寿命を大きく延長することができる。ただし、集電体層の金属が過度に拡散すると導電性が低下するので、加熱処理後においても、集電体層が1μm程度以上存在することが好ましい。このためには、熱処理温度、加熱時間等を適切に設定することや、拡散制御層を形成することなどが効果的である。
金属間化合物の種類としては、例えば、集電体層が銅又は銅合金からなるものである場合には、Cu3Sn、Cu6Sn5等を挙げることができ、集電体層が鉄又は鉄合金からなるものである場合には、Fe3Sn、Fe2Sn、Fe3Sn2、FeSn2等を挙げることができ、集電体がニッケル又はニッケル合金からなるものである場合には、Ni4Sn、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4等を挙げることができる。
特に、銅又は銅合金からなる集電体層を形成した場合には、熱処理によって銅とスズの金属間化合物が形成されてサイクル特性を大きく向上させることができる。
また、集電体層を銅又は銅合金によって形成し、更に、集電体層と活物質層との間に、亜鉛又は亜鉛合金からなる拡散制御層を形成する場合には、熱処理によるサイクル特性向上の効果が顕著に現れる。
熱処理条件については、特に限定的ではないが、通常、真空中やアルゴン、窒素、水素等の非酸化性雰囲気中で、活物質層であるスズ又はスズ合金層の融点以下の温度で熱処理することが好ましい。通常は、160〜230℃程度の範囲の温度で熱処理すればよい。熱処理時間は、集電体層の金属と活物質層のスズとの金属間化合物の生成速度や集電体層の金属の減少速度等の関係から適宜選択すればよいが、通常、3〜15時間程度が好ましい。
スズ又はスズ合金からなる活物質層を湿式めっき法により形成させる場合には、具体的には還元型めっき法、置換めっき法などの無電解めっき法、電気めっき法等を採用できる。これらの方法に共通する利点としては、広い面積の基体上にも簡単にスズ又はスズ合金皮膜を形成でき、しかも低コストで負極を製造できる点である。さらに無電解めっき法によれば、電極全体にわたり膜厚分布の小さい非常に均一な薄膜を形成できる。また、電気めっき法は、厚膜の皮膜をより短時間に形成することができるので、大量生産に適した方法である。したがって、用途に応じて、これらの方法を適宜選択することが望ましく、場合によってはこれらを組み合わせることも有効である。たとえば、最初に置換めっき法によってスズ又はスズ合金皮膜を薄く形成した後、さらに電気めっき法によってスズ又はスズ合金皮膜を成長させる方法の場合、活物質層とその下地となる層との密着性を向上させることができる。この場合の置換めっき法によって形成するスズ又はスズ合金膜の厚さについては、特に限定的ではないが、通常、0.01〜1μm程度とすればよい。上記無電解めっきまたは電気めっきに用いるめっき浴やめっき条件については特に限定的ではなく、公知のめっき浴やめっき条件を適宜適用すればよい。
ここでは、スズ又はスズ合金からなる活物質層を湿式めっき法で形成する方法についてより詳細に説明する。
スズ又はスズ合金皮膜を形成するためのめっき液としては、公知のめっき浴を用いればよい。以下にその具体例を示す。
スズ塩としては、電気めっき浴及び無電解めっき浴のいずれについても、2価のスズイオンを含む可溶性塩を用いることが好ましい。スズ塩は、メタンスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩、塩化物などの形で浴に添加すればよい。2価のスズイオン濃度は、通常、5g/l〜200g/l程度の範囲とすればよい。
スズと合金化する他金属についても公知の可溶性塩をめっき浴に添加すればよい。これらの金属塩の濃度については、析出電位などの条件によって異なるため、厳密に濃度範囲を限定できないが、通常、5g/l〜200g/l程度の範囲で用いればよい。
該スズ又はスズ合金めっき浴は、電気めっき浴及び無電解めっき浴のいずれについても、有機スルホン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、ホウフッ酸イオン、スルファミン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン及び硝酸イオンから選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。これらのイオンは、スズ及びスズと合金を形成する元素をめっき浴中に安定に存在させるために、それらの金属イオンの対イオン又はフリー酸などとしての役割をなすものである。その濃度は、特に2価のスズイオン濃度に依存するが、通常、3g/l〜300g/l程度の範囲とすればよい。
特に、硫酸イオン、有機スルホン酸イオン等が好ましい。有機スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、メタントリスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、2−ヒドロキシヘキサン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシデカンスルホン酸、2−ヒドロキシドデカンスルホン酸、1−カルボキシエタンスルホン酸、2−カルボキシエタンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−又は3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、モノクロロメタンスルホン酸、パークロロエタンスルホン酸、トリクロロジフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、モノクロロジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、テトラクロロプロパンスルホン酸、トリクロロジフルオロエタンスルホン酸、モノクロロエタノールスルホン酸、ジクロロプロパノールスルホン酸、モノクロロジフルオロヒドロキシプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホメチルコハク酸、スルホフマル酸、スルホマレイン酸、2−スルホ安息香酸、3−スルホ安息香酸、4−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸、4−スルホフタール酸、5−スルホイソフタール酸、2−スルホテレフタール酸等を例示できる。特に、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸等が好ましい。
該めっき浴には、電気めっき浴及び無電解めっき浴のいずれについても、さらに錯化剤を含有させることができる。特に、カルボン酸、アミンカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及び脂肪族ポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を錯化剤として用いることが好ましい。具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、メルカプトコハク酸、シスチン、スルホコハク酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N、N、N'、N'−テトラ酢酸、グリコールエチレンジアミンテトラ酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸等を挙げることができる。中でも、スルホコハク酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸等が好ましい。
該めっき浴には、電気めっき浴及び無電解めっき浴のいずれについても、更に、添加剤として界面活性剤を加えることができる。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることができる。ノニオン系、アニオン系、両性系、カチオン系のいずれの界面活性剤も用いることが可能であり、単独又は適宜混合して用いることができる。特に、ノニオン系、アニオン系、両性の界面活性剤が好ましい。界面活性剤の濃度は、化合物の種類や組み合わせによって異なるが、一般には、0.1g/l〜50g/l程度の範囲とすることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(又はエステル)、ポリオキシアルキレンフェニル(又はアルキルフェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンナフチル(又はアルキルナフトチル)エーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(又は該フェニル基にさらにポリオキシアルキレン鎖を付加した)、ポリオキシアルキレンビスフェノールエーテル系、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、エチレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンヒマシ(又は/及び硬化ヒマシ油)油、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルホルマリン縮合物、グリセリン(又はポリグリセリン)脂肪酸エステル系界面活性剤、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノ(セスキ、トリ)脂肪酸エステル系界面活性剤、高級脂肪酸モノ(ジ)エタノールアミド、アルキル・アルキロードアミド、オキシエチレンアルキルアミン等を挙げることができる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、アルキル(又はホルマリン縮合物)−β−ナフタレンスルホン酸(又はその塩)、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩系、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルコキシ)ナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル酸塩、高級アルコールリン酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキロイルザルコシン、アルキロイルザルコシネート、アルキロイルメチルアラニン塩、Nアシルスルホカルボン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルメチルタウリン酸ナトリウム、アルキル脂肪酸グリセリン硫酸エステル塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホカルボン酸エステル塩系、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルポリオキシエチレンスルホコハク酸、スルホコハク酸モノオレイルアミドナトリウム塩(又はアンモニウム、TEA塩)等を挙げることができる。
両性系界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−ヒドロキシエチル(又はメチル)イミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸(又はそのナトリウム塩)、アルキル(ポリ)アミノエチルグリシン、N−アルキル−N−メチル−β−アラニン(又はそのナトリウム塩)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤としては、テトラ低級アルキルアンモニウムハライド、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、ヒドロキシエチルアルキルイミダゾリン、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウムハライド、アルキルベンザルコニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハライド、アルキルアミン塩酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミンオレイン酸塩、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルピリジニウムハライド系等が好ましい。
スズ又はスズ合金めっき浴には、さらに平滑化剤、光沢剤等を1種単独又は2種以上混合して添加することができ、特に電気めっきの場合に有効である。これらの成分としては、スズ又はスズ合金めっき浴において用いられている公知の物質を利用できる。これらの具体例としては、高分子化合物;スルファニル酸、その誘導体及びそれらの塩;キノリン類:トリアゾール及びその誘導体;ベンゾチアゾール及びその誘導体;イミン類;トリアジン類;グアナミン類;芳香族オキシカルボン酸のエステル類;C=Oと共役の位置に二重結合を有する化合物類;アルデヒド類;ジケトン類;アニリン及びその誘導体;ニトロ化合物又はそのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等;メルカプトカルボン酸類;複素環式化合物類;アセトフェノン類;アミンアルコール類;脂肪族一級又は二級アミンとアルデヒドの縮合物等を挙げることができる。
これらの化合物は、単独又は適宜混合添加して使用できる。使用量は、高分子物質を用いる場合には0.5〜50g/l程度が適当であり、1〜20g/l程度が好ましい。その他の添加剤については、0.001〜50g/l程度が適当であり、0.02〜20g/l程度が好ましい。
スズ又はスズ合金めっき浴には、電気めっき浴及び無電解めっき浴のいずれについても、さらに、酸化防止剤を添加することができる。その濃度に関しては特に厳密な上限はないが、通常は50g/l程度以下の濃度とすればよい。酸化防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、オキシヒドロキノン、フロログリシン、没食子酸、カテコールスルホン酸、グアヤコール、ハイドロキノンスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、p−フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ハイドロキノンスルホン酸、β−ナフトール等のフェノール類;ソルビン酸、ソルビトール、ブドー糖、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物等を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。特に、ベンゼン環又はナフタレン環に水酸基が結合した化合物等が好ましい。
上記しためっき浴を用いてスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成するには、公知の湿式めっき方法を適宜適用すればよい。電気めっきの場合には、例えば、上記浴を用いてスズ又はスズ合金を形成するためには、0.1A/dm2〜100A/dm2程度の陰極電流密度が好適である。めっき浴の温度は、めっき浴の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、10℃〜95℃程度が好ましい。陽極としては、不溶性陽極及び可溶性陽極のどちらを用いても良い。不溶性陽極としては、チタン、白金、酸化イリジウム、炭素電極などを使用でき、可溶性陽極としては、スズ、スズ合金等を使用できる。
めっき時には、適当な攪拌を行うことにより、電流効率が上がり、効率のよいめっき皮膜の作製が可能となる。また、攪拌を行うことにより、均一な膜厚でピンホールなどのめっき不良のない良好なめっき皮膜を形成することができる。攪拌方法としては、めっき浴を機械的な方法で攪拌する方法、ポンプなどによって強制的に液流を制御する方法、酸素、窒素などのガスによるバブリング法などを適用でき、必要に応じて、それらを適宜組み合わせればよい。
無電解めっきの場合には、上述の成分以外に、置換めっきにはチオ尿素等の置換促進剤をさらに添加し、また、還元型の無電解めっきには3価チタン等の還元剤をさらに添加してめっきを行う。
また、これら湿式めっきを行う前には、必要に応じて、脱脂、酸洗、活性化処理等の公知の前処理を行うことができる。
リチウム二次電池
上記した負極を用いるリチウム二次電池は、正極、負極及び電解質を主要構成要素とするものであり、具体的な構成は、公知のリチウム二次電池と同様でよい。この様なリチウム二次電池は、現在実用化されているカーボン電極を用いたリチウム二次電池より高い充放電容量を有し、しかもサイクル特性も良好である。
本発明のリチウム二次電池では、正極としては、通常、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等を用いることができる。
電解質としては、リチウムイオンを含有する必要があることから、電解質塩としては、リチウム塩が好適である。このリチウム塩としては、具体的には、ヘキサフルオロリン酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等を用いることができ、これらを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらのリチウム塩は、電気陰性度が高くイオン化し易いことから、充放電サイクル特性に優れ、充放電容量を向上させることができる。
該電解質の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等を用いることができ、これらを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。特に、プロピレンカーボネート単体、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物、γ−ブチロラクトン単体等が好適である。なお、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物は、混合比10〜90%以下の範囲で任意に調整することができる。
本発明の二次電池用負極は、微細構造を有するシート状の非導電性材料を基体とし、その表面部分及び微細構造の内部にスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成したものである。この様な構造を有する負極は、電極としての十分な強度を保持した上で、リチウムの吸蔵・放出に伴なう体積変化を微細構造体の微細な動きによって吸収し、電極全体としての変形を抑制して、活物質層の割れを防止することができる。
更に、この様な微細構造の非導電性材料を基体とする場合には、活物質であるスズ又はスズ合金の見掛けの電極表面積当りの付着量を減少させることなく、該皮膜の実質的な膜厚を薄くできるため、充放電容量が高く、サイクル特性に優れた電極が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ポリエステルからなる織物(大きさ100mm×100mm×0.10mm:実表面積/見掛け表面積=5.6)を基体として用い、下記の方法で電極を作製した。尚、各実施例において、実表面積に対する見掛け表面積の比は、下記の方法によって算出した値である。
*実表面積/見掛け表面積の算出方法:
見掛け面積(縦×横)が1dm2の非導電性材料とタフピッチ銅板(JIS C1100P)の両方について、25℃の10%の塩酸水溶液中に5分間浸漬し、次にパラジウム触媒液(商標名:ダインアクターPB840、大和化成株式会社製)中に30℃で2分間浸漬して、触媒化処理を行った。
次に、水洗した後、25℃の5%硫酸水溶液中で3分間活性化処理を行い、下記の無電解銅めっき浴中に5分間浸漬して、無電解銅めっきを行った。
(無電解銅めっき液組成)
硫酸銅5水和物 10g/l
EDTA 25g/l
ロッシェル塩 5g/l
ホルムアルデヒド(37%) 10g/l
ビピリジル 3mg/l
ポリエチレングリコール 1g/l
pH 12.3
浴温 45℃
無電解銅めっき終了後、非導電性材料に析出した銅の重量とタフピッチ銅板に析出した銅の重量を測定し、下記式より非導電性材料の見掛けの表面積に対する実表面積の比を求めた。
(非導電性材料の見掛けの表面積に対する実表面積の比)=(非導電性材料にめっきされた銅の重量)/(タフピッチ銅板にめっきされた銅の重量)
まず、上記したポリエステルからなる織物を、90g/lの苛性ソーダ水溶液中に80℃で5分間浸漬し、その後水洗を行った。次に、該ポリエステル織物を10%の塩酸水溶液中に浸漬して中和処理を行ったのち、パラジウム触媒液(商標名:ダインアクターPB840、大和化成株式会社製)中に浸漬して、触媒化処理を行った。
次に、水洗した後、5%硫酸水溶液中で活性化処理を行い、下記の無電解銅めっき浴中に5分間浸漬して、20g/m2の銅皮膜を該ポリエステル織物上に析出させた。
無電解銅めっき液
硫酸銅5水和物 10g/l
EDTA 25g/l
ロッシェル塩 5g/l
ホルムアルデヒド(37%) 10g/l
ビピリジル 3mg/l
ポリエチレングリコール 1g/l
pH 12.3
浴温 45℃
次いで、下記組成のスズめっき浴中で7分間電気めっきを行い、60g/m2のスズめっき皮膜を析出させることによって電極を得た。
スズめっき浴
メタンスルホン酸スズ 200g/l
メタンスルホン酸 100g/l
ベンザルアセトン 0.5g/l
カテコール 2g/l
電流密度 3A/dm2
浴温 25℃
比較例1
室温のアルカリ電解脱脂液中で圧延銅箔(大きさ100mm×100mm×0.02mm)を電流密度1A/dm2で1分間電解脱脂し、その後水洗した。次に、該銅箔を10%の硫酸水溶液で酸洗した後、水洗し、実施例1で用いたスズめっき浴を用いて7分間電気めっきを行い、60g/m2のスズ皮膜を析出させて、電極を得た。
実施例2
実施例1で用いたものと同じポリエステルからなる織物に、実施例1と同じ条件で無電解銅めっき皮膜を析出させた後、下記のスズ−銅合金めっき浴中で5分間電気めっきを行い、銅含有量が40重量%のスズ銅合金皮膜を60g/m2析出させて、電極を得た。
スズ−銅めっき液
硫酸スズ 60g/l
硫酸銅5水和物 60g/l
硫酸 100g/l
クレゾールスルホン酸 10g/l
ヒドロキノン 1g/l
エチレングリコール 50g/l
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2g/l
浴温 25℃
電流密度 5A/dm2
浴温 25℃
実施例3
ポリウレタンからなる厚さ2mmにスライスした発泡体(大きさ100mm×100mm×2.00mm:実表面積/見かけ表面積=6.2)を10%の塩酸水溶液中に浸漬して酸処理したのち、パラジウム触媒液(商標名:ダインアクターPB840、大和化成株式会社製)中に浸漬して触媒化処理を行った。次に水洗した後、5%硫酸水溶液中で活性化処理を行い、下記の無電解ニッケル−リンめっき浴中で5分間電気めっきを行って20g/m2のニッケル−リン皮膜を析出させた。
無電解ニッケル−リンめっき浴
硫酸ニッケル6水和物 20g/l
次亜リン酸ナトリウム 21g/l
酢酸ナトリウム 5g/l
クエン酸3ナトリウム 36g/l
乳酸 3ml/l
pH 4.8
浴温 60℃
次いで、実施例1で用いたスズめっき浴中で7分間電気めっきを行い、60g/m2のスズ皮膜を析出させた。さらに、スリット幅を0.3mmに調整したプレスロールを通過させ圧縮加工を施し、厚さ0.4mmの電極を得た。
実施例4
難燃化ポリエステルからなる織物(大きさ100mm×100mm×0.11mm:実表面積/見かけ表面積=5.1)に、実施例1と同じ条件で無電解銅めっき皮膜を析出させた後、下記のスズ−銀合金めっき浴中で、20分間めっきを行い、皮膜中の銀含有量が8重量%のスズ−銀皮膜を60g/m2析出させて電極を得た。
スズ−銀めっき液
メタンスルホン酸スズ 60g/l
メタンスルホン酸銀 30g/l
グルコン酸 100g/l
没食子酸 1g/l
イソプロパノール 5g/l
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2g/l
pH 6.3
浴温 25℃
電流密度 1A/dm2
浴温 25℃
実施例5
ポリプロピレンからなる編物(大きさ100mm×100mm×0.15mm:実表面積/見かけ表面積=4.1)に、実施例1と同じ条件で銅皮膜を析出させた後、下記組成のスズ−亜鉛めっき浴中で、10分間電気めっきを行い、亜鉛含有量が10重量%のスズ亜鉛合金皮膜を60g/m2析出させた。これを真空下、220℃で5時間熱処理して電極を得た。
スズ−亜鉛めっき浴
メタンスルホン酸スズ 280g/l
硫酸亜鉛7水和物 15g/l
クエン酸3ナトリウム2水和物 200g/l
硫酸アンモニウム 130g/l
L−アスコルビン酸ナトリウム 1g/l
pH 5
電流密度 2A/dm2
浴温 25℃
比較例2
室温のアルカリ電解脱脂液中で厚さ20μmの電解銅箔を電流密度1A/dm2で1分間電解脱脂し、その後水洗した。次に、10%の硫酸水溶液で酸洗した後、水洗し、実施例5で用いたスズ亜鉛めっき浴中で、10分間電気めっきを行い、皮膜中の亜鉛含有量が10重量%のスズ−亜鉛合金皮膜60g/m2を析出させた。これを真空下、220℃で5時間熱処理して電極を得た。
実施例6
実施例1で用いたものと同じポリエステルからなる織物に、実施例1と同じ条件で無電解銅めっき皮膜を析出させた後、下記の置換スズめっき浴中で25分間めっきを行い、スズ皮膜を60g/m2析出させた。これを真空下220℃で5時間熱処理し、電極を得た。
置換スズめっき浴
スズ(メタンスルホン酸スズ溶液として添加) 60g/l
メタンスルホン酸 60g/l
チオ尿素 80g/l
イミノジ酢酸 2g/l
ヒドロキノン 0.5g/l
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 1g/l
浴温 75℃
実施例7
ポリアミドからなる織物(大きさ100mm×100mm×0.10mm:実表面積/見かけ表面積=4.3)を10%の塩酸水溶液中に浸漬して酸処理した後、パラジウム触媒液(ダインアクターPB840、大和化成株式会社)中に浸漬して、触媒化処理した。次に、よく水洗した後、5%硫酸水溶液中で活性化処理を行い、実施例1で用いた無電解銅めっき浴中で5分間のめっきを行って20g/m2の銅を該織物上に析出させた。
次いで、下記組成の亜鉛めっき浴中で、6分間電気めっきを行い、7g/m2の亜鉛皮膜を析出させた。
亜鉛めっき浴
硫酸亜鉛7水和物 40g/l
硫酸アンモニウム 40g/l
pH 5
電流密度 2A/dm2
浴温 30℃
さらに、実施例5で用いたスズ−亜鉛めっき浴中で10分間めっきを行い、皮膜中の亜鉛含有量が10重量%のスズ亜鉛合金皮膜を60g/m2析出させた。これを真空下、200℃で5時間熱処理して電極を得た。
実施例8
DTY加工を施したポリエステルからなる織物(大きさ100mm×100mm×0.11mm:実表面積/見かけ表面積=5.3)を常温でスリット幅85μmのプレスロールを通過させ平均厚さ93μmに圧縮したのちに、実施例6と同じ条件で銅皮膜とスズ−亜鉛合金皮膜を析出させた後、下記の銀めっき浴(ダインシルバー AG−PL 30、大和化成株式会社)中で1分間めっきを行い、3g/m2の銀皮膜を析出させた。さらに窒素雰囲気下、220℃で3時間熱処理して電極を得た。
銀めっき浴(ダインシルバー AG−PL 30、大和化成株式会社)
pH 7
電流密度 1A/dm2
浴温 30℃
実施例9
シリコンからなる発泡体(大きさ100mm×100mm×2.00mm:実表面積/見かけ表面積=7.1)に、実施例1と同じ条件で銅皮膜を析出させた後、下記組成のスズ−ビスマスめっき浴中で、20分間電気めっきを行い、ビスマス含有量が9重量%のスズ−ビスマス合金皮膜を60g/m2析出させた。スリット幅を0.3mmに調整したプレスロールを通過させ圧縮加工を施し、厚さ0.5mmの電極を得た。さらに窒素雰囲気下、220℃で3時間熱処理して電極を得た。
スズ−ビスマスめっき浴
メタンスルホン酸スズ 280g/l
メタンスルホン酸ビスマス 40g/l
メタンスルホン酸 200g/l
硫酸アンモニウム 75g/l
L−アスコルビン酸ナトリウム 1g/l
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2g/l
電流密度 1A/dm2
浴温 25℃
電池評価
上記した実施例及び比較例で得た電極を負極として用い、下記の方法で性能を評価した。
まず、リチウム箔を対極とし、1mol/lのLiPF6を溶解させたエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液を電解液としてコイン型セルを作製した。このコイン型セルを用いて、1mA/cm2の電流密度で0−1Vの電圧範囲でサイクル特性を評価した。
1サイクル目の容量(Li挿入反応における)と50サイクルでの容量維持率を下記表1に示す。50サイクルでの容量維持率は、1サイクル目の容量に対する50サイクル目の容量の比率として示す。
Figure 0004374491
以上の結果から明らかなように、実施例1〜4で得た負極を用いた場合には、比較例と比べて、初回容量が大きくサイクル特性も良好であった。特に、めっき後、熱処理を行って得た実施例5〜9の負極を用いた場合には、さらにサイクル特性が向上することがわかった。

Claims (18)

  1. 微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体と、該基体の表面部分及び微細構造内部の表面に形成されたスズ又はスズ合金からなる活物質層とを含基体と活物質層との間に、集電体として作用する金属層を有するリチウム二次電池用負極であって、
    集電体として作用する金属層と活物質層との間に、更に、亜鉛又は亜鉛を主成分とする合金からなる金属層を有し、
    活物質層及びその他の金属層を形成した後、熱処理を行って得られるリチウム二次電池用負極
  2. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が、布帛又は樹脂発泡体である請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
  3. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が、該材料の見掛けの表面積に対して、微細構造部分を含めた該材料の実表面積が3倍以上の材料である請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極。
  4. 微細構造を有するシート状の非導電性材料が圧縮加工処理を施されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  5. スズ又はスズ合金からなる活物質層が、湿式めっき法又は乾式めっき法によって形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  6. スズ合金におけるスズと合金を形成する元素が、Al, Si, P, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, As, Ag, Cd, In, Sb, Au, Hg, Tl, Pb,及びBiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とスズとの合金である請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  7. スズ合金が、亜鉛、銅、アンチモン、ビスマス、コバルト及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とスズとの合金である請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  8. 集電体として作用する金属層が、銅、鉄、ニッケル又はこれらの金属を主成分とする合金である請求項1〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  9. 活物質層の上に、更に、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を有する請求項1〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極。
  10. 請求項〜9のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極であって、熱処理を行うことによって、活物質層とその下層との界面に、スズと導電体層の金属との金属間化合物からなる層が形成されていることを特徴とするリチウム二次電池用負極。
  11. 微細構造を有するシート状の非導電性材料からなる基体に、乾式めっき法又は湿式めっき法によって集電体として作用する金属層を形成し、次いで乾式めっき法又は湿式めっき法によって、亜鉛又亜鉛を主成分とする合金からなる金属層を形成した後、湿式めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成し、
    金属層を形成した後、熱処理を行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法
  12. 電気めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成する前に、置換めっき法によってスズ又はスズ合金からなる活物質層を形成することを特徴とする請求項11に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  13. 請求項11又は12に記載された方法によって活物質層を形成した後、乾式めっき法又は湿式めっき法によって、銀、カドミウム、インジウム、アンチモン又はこれらの金属を主成分とする合金からなる金属層を形成することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  14. 請求項1113のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極の製造方法において、活物質層及びその他の金属層のうちの少なくとも一層を湿式めっき法によって形成する場合に、炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含有するめっき液を用いて湿式めっきを行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  15. 請求項1114のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極の製造方法において、活物質層及びその他の金属層のうちの少なくとも一層を湿式めっき法によって形成する場合に、炭素数6以下の低級アルコール、アルコールエーテル及びケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する前処理液を用いて湿式めっきの前処理を行うことを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
  16. スズ合金におけるスズと合金を形成する元素が、Al, Si, P, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, As, Ag, Cd, In, Sb, Au, Hg, Tl, Pb,及びBiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とスズとの合金である請求項10〜15のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  17. スズ合金が、亜鉛、銅、アンチモン、ビスマス、コバルト及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とスズとの合金である請求項10〜16のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
  18. 請求項10のいずれかに記載されたリチウム二次電池用負極と、電解質と、正極を備えるリチウム二次電池。
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