本発明は、銀行券、郵券、旅券、株券、有価証券、通行回数券、クレジットカード等の偽造、変造を防止する必要のある印刷物に適用される形成体に関するものである。
従来は、コピー機やスキャナーを使用した偽造や変造を防止するために、ホログラムや光学的変化インキを使用したものがある。しかし、これらは非常に高価であるため大量に製造するにはコストが掛かるという問題があった。そこで、安価に製造するために大きさの異なる網点を使用し、一方をコピー機で認識できる網点とし、もう一方を認識できない網点とすることによりコピー機などで複写した場合に判別することが可能な技術がある。これもスキャナーなどの解像度やプリンターによる印字が高精彩になるなどの複写技術の発展により、精巧な偽造又は変造が可能となっているのが現状である。そのため、基材にエンボス加工をすることによって凹凸構造を付与し、その凹凸構造の山と谷の部分に画像を印刷することによって観察角度を変化することで谷部の画像は認識されず山部の画像を認識させるものがある(例えば特許文献1参照。)。さらに、基材と同系色の***したインキを印刷して基材に凹凸構造を付与し、その上部に万線上の印刷をすることでエンボス加工と同様の効果を得るものがある。(例えば特許文献2参照。)。また、レンズ効果を利用して画像を選択的に認識させる技術としてレンチキュラーがある。レンチキュラーはレンズ下部に印刷された画像を選択して認識させることで3D効果や画像のスイッチング効果を得ることができる。市場では広告媒体などに幅広く使用されている。さらに、基材表面にレンズを作製する方法として、紫外線硬化型透明スクリーンインキを用いたプリズムレンズの製造方法がある(例えば特許文献3参照。)。
特開2002−19255号公報(第7頁、図3)
特許第2600094号(第5頁、図4)
特開平10−300904号(第6頁、図4)
しかし、前述した特開2002−19255号公報に記載の潜像表示媒体は、基材に直接凹凸構造をつけるものであり、厚さ100μm程度の上質紙で潜像表示媒体を認識させる程度の凹凸構造をつけた場合は、裏面にエンボス痕が残ってしまい、製品の品質上美観を損ねるだけでなく、エンボス痕を解析されることで偽造又は変造される可能性も高い。さらに、上質紙などではエンボスを受けたところだけ用紙強度が低下し、それを防ぐため凹版印圧を使用して全体にエンボスを加えた場合は、先に印刷されている印刷物との刷り合わせが非常に困難になる。
また、特許第2600094号に記載の偽造防止用潜像印刷物は、基材と同系色のインキによって***した印刷を施し、***したインキ上部に直線万線を印刷することで潜像模様を付与している。***したインキ上部に精密な直線万線を精度良く印刷することは困難であり、***したインキの凸部ではインキのセット性(付着)は良好であるが、凹部においてはインキのセット性が悪くなる。さらに、特許第2600094号における***したインキに使用されるインキは基材と同系色のインキに限定されている。
また、公知の技術であるレンチキュラーは、凹凸形状をしたレンズを隙間無く連続に配置するため、レンズ部にメッセージ画像が付与されておらず、レンズ下部の画像を選択して認識させているため、レンズ下部に何らかの画像を入れなければ画像を認識することが出来ない。また、レンチキュラーでは常に画像が出現している状態となっており、潜像画像は付与することができない。
さらに、プリズムレンズを製造する方法(特開平10−300904)として透明スクリーンインキを利用して基材上にレンズ効果を付与したものがあるが、これもレンチキュラーと同様にレンズ下部の画像を選択的に認識させることが目的となっている。
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、基材上に設けられた第1の画線上部にエンボス加工を行うことなく凹凸構造を付与する印刷方式例えばスクリーン印刷、あるいは発泡インキを使用したオフセット印刷、軽印圧の凹版印刷等により、透明又は半透明な材料を印刷することによって基材にレンズ効果を付与し、そのレンズ自体にメッセージを付与することで従来のものより安価で高品質な偽造防止形成体が作製可能となり、かつ誰にでも容易に真偽判別を可能とする偽造防止形成体を提供することを目的としている。
本発明は、基材の色とは異なるn色(nは整数)の複数の第1の画線と、前記画線及び/又は非画線上に透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように、前記第1の画線に対応して第2の画線が構成され、前記第2の画線によりメッセージが形成されていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第2の画線が第1の画線のピッチとm倍(mは0以上の数)のピッチを有することを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線及び非画線部と、第2の画線の間に透明又は半透明な材料が設けられていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と第2の画線の間にある透明又は半透明な材料の厚みが1μmから3000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線の一部で画線幅が異なる又は画線がずれることによりメッセージを形成したことを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線及び第2の画線が点線、波線、実線及び微小文字のうち少なくとも一つからなることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、各々の画線の線幅が30μmから1000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線のピッチ及び第2の画線のピッチが60μmから2000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように設けられた第2の画線の高さが1μmから300μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、基材上に、それぞれ異なるn色(nは整数)の第1の線、第2の線・・・第nの線から成る第1の画線が隙間なく形成され、第1の画線上に透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように、前記第1の画線に対応して第2の画線が構成され、前記第2の画線によりメッセージが形成されていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第2の画線が第1の画線のピッチとm倍(mは0以上の数)のピッチを有することを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線及び非画線部と、第2の画線の間に透明又は半透明な材料が設けられていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と第2の画線の間にある透明又は半透明な材料の厚みが1μmから3000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線の一部で画線幅が異なる又は画線がずれることによりメッセージを形成したことを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線及び第2の画線が点線、波線、実線及び微小文字のうち少なくとも一つからなることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、各々の画線の線幅が30μmから1000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線のピッチ及び第2の画線のピッチが60μmから2000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように設けられた第2の画線の高さが1μmから300μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、基材の色とは異なるn色(nは整数)の複数の第1の画線と、前記画線及び/又は非画線上に透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように、前記第1の画線に対応して第2及び第3の複数の画線が構成され、前記第2の画線によりメッセージが形成されており、前記第3の画線により背景が形成されていることを特徴とする偽造防止形成体。
本発明は、第2の画線と第3の画線が、第1の画線のピッチとm倍(mは0以上の数)のピッチを有することを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第2の画線と第3の画線の画線幅が異なる又は画線がずれていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と、第2の画線及び第3の画線の間に透明又は半透明な材料が設けられていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と、第2の画線及び第3の画線の間にある透明又は半透明な材料の厚みが1μmから3000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線の一部で画線幅が異なる又は画線がずれることによりメッセージを形成したことを特徴とする特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線が点線、波線、実線及び微小文字のうち少なくとも一つからなることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、各々の画線の線幅が30μmから1000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線のピッチ及び第2の画線並びに第3の画線のピッチが60μmから2000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように設けられた第2、第3の画線の高さが1μmから300μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、基材上に、それぞれ異なるn色(nは整数)の第1の線、第2の線・・・第nの線から成る第1の画線が隙間なく形成され、第1の画線上に透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように、前記第1の画線に対応して第2及び第3の複数の画線が構成され、前記第2の画線によりメッセージが形成されており、前記第3の画線により背景が形成されていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第2の画線と第3の画線が、第1の画線のピッチとm倍(mは0以上の数)のピッチを有することを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第2の画線と第3の画線の画線幅が異なる又は画線がずれていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と、第2の画線及び第3の画線の間に透明又は半透明な材料が設けられていることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線と、第2の画線及び第3の画線の間にある透明又は半透明な材料の厚みが1μmから3000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線の一部で画線幅が異なる又は画線がずれることによりメッセージを形成したことを特徴とする特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線が点線、波線、実線及び微小文字のうち少なくとも一つからなることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、各々の画線の線幅が30μmから1000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、第1の画線のピッチ及び第2の画線並びに第3の画線のピッチが60μmから2000μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体である。
本発明は、透明又は半透明な材料によって盛り上がりを有するように設けられた第2、第3の画線の高さが1μmから300μmの範囲であることを特徴とする偽造防止形成体
である。
本発明によれば、基材上に印刷した第1の画線とその上に透明又は半透明な材料で印刷された第2の画線にメッセージが第3の画線に背景が各々形成され、第2、第3の画線は互いに平行で、かつピッチだけがずれている画線であり、第1の画線と第2、第3の画線が互いに同一ピッチであり、かつ平行になり、しかも第2、第3の画線が盛り上がりのある透明又は半透明な材料によって印刷された場合、第2、第3の画線のレンズ効果(光の屈折・回折)によって真上から観察したときはメッセージが認識されず、観察角度を変化することによりメッセージと背景が顕在化するためコピー機又はスキャナー等を利用して複製物を作製することはできない。
第3の画線の背景が無く、第2の画線のメッセージのみで形成された場合においても、メッセージが顕在化する。この場合、基材または基材に印刷された色が背景となる。
また、基材上に印刷した第1の画線と第2、第3の画線からなる盛り上がりのある透明又は半透明な材料の間に透明又は半透明な層を設けることで、更に異なった観察角度によりメッセージを認識することが可能となる。
第1の画線の一部に画線幅が異なる又は画線がずれることによりメッセージを形成することで、本形成体を真上から観察したときは画線幅の差異による濃度差が視認されることになり、形成体を傾けることで潜像模様が出現することが可能となる。
また、第2、第3の画線において、メッセージと背景のいずれか一方の配列角度が第1の画線と平行となっていない配列角度の場合、例えば第1の画線が色の三原色である赤、黄、青の線でありかつ0度(水平)のとき、第2の画線のメッセージが0度、第3の画線の背景が5度として配列したとき、観察角度を傾けたときレインボー色の混色が見られ、さらに偽造防止効果を得ることが可能となる。
本発明の偽造防止形成体は、銀行券、郵券、旅券、株券、有価証券、回数券、カード等の偽造や変造を防止する必要のある形成体はもちろんのこと、ブランドプロテクションと呼ばれるブランドの真贋判別のほか、品質を保証するためのタグに活用することや、クリスマスカードや贈答用メッセージカード等のグリーティングカードと呼ばれる装飾性を向上させたい一般的な印刷物に活用することも可能である。
次に図面を参照に本発明にかかる偽造防止形成体の実施形態について説明する。図1は本発明における第1の画線に非画線部があるものの基本構成を示す平面図である。図2は図1におけるA-A'断面図である。さらにaからcは第1の画線2と第2、第3の画線3のレリーフ模様との重なり具合を拡大して示したものである。aでは第1の画線2に第2、第3の画線3のレリーフ模様が印刷されており、bでは第1の画線2と非画線部4にまたがって第2、第3の画線3のレリーフ模様が印刷されており、cでは非画線部4に第2、第3の画線3のレリーフ模様が印刷されている状態を示している。いずれの状態も本発明を構成することは可能であるが、第2の画線はaの状態で第3の画線はcの状態にて実施するとより好ましい。なお、第1の画線2のピッチに対して、第2、第3の画線3はm倍のピッチで構成することが好ましく、この場合のmは0以上の数となるが、より好ましいのは1以上の整数である。
図3は本発明における図1の基本原理を説明する図である。形成体を真上から観察したときに第2、第3の画線3が認識されにくく第1の画線2のみが観察され、観察角度を変化することで第2、第3の画線3の透明又は半透明からなるインキのレンズ効果により第1の画線2からの反射光が第2、第3の画線3のインキ内部を通過するときに屈折し、あたかも第2、第3の画線3のインキ表面に現れるように認識される。aでは第1の画線1本に対して第2、第3の画線1本で印刷されているため形成体を斜めから観察したときインキの円弧状の頂点を境に第2、第3の画線3の下部の第1の画線2がインキ内部を屈折して認識される。bでは非画線部4と第1の画線2にまたがって第2、第3の画線3が印刷されており、この場合破線部分の反対側から観察したときは基材の色が視認される。cでは非画線部4の色が認識される。
図4は、第1の画線、第2の画線及び第3の画線に使用される画線の状態を示した図である。aは実線であり、b及びcは点線であり、dは点線であるが線の間隔が不連続であることを示す。eは波線であるが波の大きさや振幅数は小さいものが好ましい。この図では正弦波を模しているが矩形波等も利用することも可能であるが、aに示すような直線が好ましい。f、g、hは一本の線から分岐されたものであり、部分的にこのような分岐線を利用することでさらなる偽造防止効果が得られる。fは分岐された線が接することなく分離している状態であり、gはfと比べ分岐された線が接している。hは分岐された線が2本ではなく3本となっている。また、分岐線にb、c、dのような点線を応用することも可能である。また、iは偽造防止技術として公知の技術である微小文字(100μmから1000μm程度の小さな文字、コピーやスキャニングなどの複写を行った場合に、文字がつぶれて判読不能となる技術、マイクロ文字ともいう)によって全ての画線及び画線の一部を構成することも可能である。
図5は、図4で示された各画線を組み合わせて使用した状態を示す図である。aは実線の図4(a)と点線の図4(b)が組み合わされている。bは実線の図4(a)と波線の図4(e)が組み合わされている。cは1本の画線から2本に分岐されている状態であり図4(f)又は図4(g)と同様である。dは実線の図4(a)と分岐された線が点線となっているものであり図4(h)と図4(b)又は図4(c)が組み合わされたものである。eは実線の図4(a)と微小文字の図4(i)が組み合わされている。fは点線の図4(b)と微小文字の図4(i)が組み合わされている。gはfの点線が分断された状態を示し、hはcとdの状態を組み合わせたものである。第1、第2、第3の画線の一部又は全てにaからhの画線形状を応用することが可能であり、目視(裸眼にて観察物から30cm程度離れた状態)にて線状に認識できるものであればどのような形状においても、本発明の効果を得ることはできるが、図4(a)に示すような実線がより好ましい。
図6は、図4及び図5と同様に第1の画線、第2の画線及び第3の画線に使用される万線の状態を部分的に拡大して示した図である。aでは第2の画線におけるメッセージ6に図4(a)に示す実線と、第3の画線における背景7に図4(i)に示す微小文字を使用し、メッセージと背景に異なった線種を使用した場合を示す図である。この場合、図4に示される(a)から(i)及び図5に示される(a)から(h)を含む全ての線種を使用することが可能である。また、b、c、d、eでは第1、第2及び第3の画線の一部に線種の異なる画線を配列したものであり、一部では図5(a)から(h)の状態と同じになる。本発明における第1、第2及び第3の画線については、図4に示す線種及び図5に示す画線の組合せや図6に示す画線の配置などいかなる組合せを用いることも可能である。
図7は第2の画線におけるメッセージ6と第3の画線における背景7の万線の様子を示す図であり、aからeの図はメッセージと背景の画線の重なり具合を拡大して示すものである。aではメッセージと背景の画線が離れている状態であり、bでは画線がずれている状態であり、cではメッセージの画線が背景の画線に比べて太くなっている状態であり、dではメッセージの画線が背景の画線に比べて細くなっている状態であり、eではメッセージの画線が背景の画線と結合しながらもずれている状態(レリーフ模様)を示しており、いずれの状態でも本発明を構成することができ、aからeの組合せも可能であるが好ましくはa、b、eに示すようにメッセージと背景の画線が各々同じ太さであり、ピッチのみがずれているものの方がよい。
また、第2、第3の画線がメッセージと背景に区分けされ、メッセージが背景に比べてピッチをずらしてレリーフ模様とする場合は、背景のピッチの範囲でレリーフ模様を立ち上げることが好ましい。すなわち画線幅150μm、ピッチ300μmの万線模様の場合、メッセージのピッチずれ間隔は1μmから299μmにするとよい。さらに100μmから200μmにすると視認性が向上するので好ましい。
図8は第1の画線2においてメッセージ画像を付与したときの構成を示した図である。aは第1の画線2の一部に画線幅を細くしたことによってメッセージ画像8を付与したものであり、背景画像の万線を150μmとしたときメッセージ画像8の万線を100μmにすることによって万線の画線幅によって濃度差(この場合は背景よりもメッセージが淡くなる)が生じ、真上から観察してもメッセージ画像を視認することが可能となる。bは第1の画線の一部に画線幅を太くしたことによってメッセージ画像を付与したものであり、背景画像の万線を100μmとしたときメッセージ画像の万線を150μmにすることによって万線の画線幅によって濃度差(この場合は背景よりもメッセージが濃くなる)が生じ、真上から観察してもメッセージ画像を視認することが可能となる。このときの画線幅の差は明瞭に認識するために10μm以上は必要であり、50μm程度が好ましい。ただし、1000μmなどの必要以上の差を生じると形成体を傾けたときに画像を認識することが困難となる。
図9は第1の画線2において基材を隠蔽したものを示す平面図であり、図10は図9におけるB-B'断面図である。さらにaからdは第1の画線2と第2、第3の画線3の重なり具合を拡大して示したものである。aでは第1の画線2本に対して第2、第3の画線1本が印刷されており(例えば第1の画線において1本150μmの線が3本配列されて450μmの線が一つのパターンとしているとき、第2、第3の画線は線幅300μm、ピッチ450μmにすることが望ましい。)、bでは第1の画線1本に対して第2、第3の画線1本が印刷されており(例えば第1の画線が線幅150μm、ピッチ300μmであった場合、第2、第3の画線も線幅150μm、ピッチ300μmにすることが望ましい。)、cでは第1の画線2本に対して第2、第3の画線1本がまたいで印刷されており、dでは第1の画線に比べて第2、第3の画線が細く印刷されている状態を示している。いずれの状態でも本発明を構成することは可能でありaからdの組み合わせも可能である。
図11は図9の基本原理を説明する図である。形成体を真上から観察したときに第2、第3の画線3が認識されにくく第1の画線2のみが観察され、観察角度を変化することで第2、第3の画線3の透明又は半透明からなるインキのレンズ効果により第1の画線2からの反射光が第2、第3の画線のインキ内部を通過するときに屈折し、あたかも第2、第3の画線3のインキ表面に現れるように認識される。aでは第1の画線1本に対して第2、第3の画線が1本で印刷されており、インキの円弧状の頂点を境(破線部分)に第2、第3の画線の下部の第1の画線がインキ内部を屈折して認識される。また破線部分の反対側から観察したときは隣の第1の画線が視認される。bでは第1の画線にまたがって第2、第3の画線が印刷されているため、第1の画線が混色(例えば青と黄であれば緑、赤と青であれば紫になる)して視認することが可能である。cでは第1の画線1本に対して第2、第3の画線1本を印刷しているため観察角度を変化させると下部の第1の画線は視認できるが、aのように別角度から観察したときに別の画像あるいは別の色が現れることはない。
図12は第1の画線2において基材を隠蔽したものの一部にメッセージ画像を付与したときの構成を示した図である。図6の第1の画線2と同様に画線の一部の画線幅を細くしたことによってメッセージ画像8を付与したものであり、aは背景画像の万線を150μmとしたときメッセージ画像の万線を100μmにすることによって万線の画線幅によって濃度差(背景よりも淡くなる)が生じ、真上から観察してもメッセージ画像を視認することが可能となる。bは第1の画線の一部に画線幅を太くしたことによってメッセージ画像を付与したものであり、背景画像の万線を100μmとしたときメッセージ画像の万線を150μmにすることによって万線の画線幅によって濃度差(背景よりも濃くなる)が生じ、真上から観察してもメッセージ画像を視認することが可能となる。このときの画線幅の差は明瞭に認識するために10μm以上は必要であり、好ましくは50μm程度必要である。ただし、1000μmなどの必要以上の差を生じると形成体を傾けたときに画像を認識することが困難となる。
図13は基材1上に第1の画線2を印刷し、その一部又は全面に透明又は半透明インキからなる層5の印刷を行い、さらにその一部または全面に第2、第3の画線3を印刷した形成体を示す図である。aは図2において第1の画線2と第2、第3の画線3の間に層を設けたものであり、bは図8において第1の画線2と第2、第3の画線3の間に層を設けたものである。この層を設けることで観察角度を変化させることが可能となる。
また、層の厚みは1μmから300μmの範囲であることが好ましい。第2、第3の画線のインキの盛り(インキの高さ)が20μmであった場合、層の厚みは10μmから100μm程度とすることがより好ましい。この範囲外で行うことも可能であるが、第2、第3の画線におけるインキのレンズ効果を利用する場合、レンズ効果を損なわない程度にしなければならず、レンズ効果によって屈折可能な範囲を超えて層の厚みを設けた場合、本発明の形成体を傾けたときに潜像模様を明瞭に認識することは困難となる。
また、第1の画線と第2、第3の画線の間に来る層を透明又は半透明なインキ以外の透明又は半透明なフィルムなどにすることも可能である。この場合、透明な材質であれば特に限定されるものではなく、一般的なフィルムのほかに熱圧着方式の薄片などを貼付することや、ラミネートなども可能である。しかし、作製されるときの工程や費用を考慮すると第1の画線と第2、第3の画線で構成することが好ましい。
図14は第2、第3の画線の配列状態を示す図である。aは第3の画線(背景)と第2の画線(メッセージ)が平行に配列されている様子を示したものである。bはメッセージを0度の配列とした場合、背景の配列角度(この図では配列角度を変化させていることを明確にするため45度程度とした)を変化させて配列されている様子を示したものである。cは第3の画線(背景)を0度とし第2の画線(メッセージ)の配列角度を変化させたものを示した図である。a、b又はcいずれの配列角度でも本発明を構成することは可能であるが、好ましくはaに示すような平行がよい。
また、第1の画線を0度とした場合、第2、第3の画線は0度から90度の範囲で配列角度を変化させることも可能であるが、本発明による効果を明瞭に得るには0度から45度の範囲が好ましい。さらにはデザインの装飾性などを考慮すると2度から10度の範囲がより好ましい。第1の画線と第2、第3の画線の配列角度を変化させることで互いの画線によるモアレ現象が発生し、第1の画線が赤、青、黄などで印刷したとき、第2、第3の画線によって互いの色が混色することでレインボー状になり装飾性がさらに向上する。
また、図13のように第1の画線と第2、第3の画線の間に層を設けたものにおいても、第2、第3の画線の配列角度を変化させることで同様の効果を得ることは可能であり、第2、第3の画線の配列角度だけでなく第1の画線の配列角度を変化させることで同様に効果を得ることも可能である。この場合第1の画線と第2、第3の画線の配列角度が異なっていれば良い。ただし、前述したように配列角度は0度から45度の範囲が好ましく、さらに2度から10度の範囲がより好ましい。
また、第2、第3の画線の透明又は半透明のインキによって第1の画線が認識できる画線幅は、第2、第3の画線のインキの盛り(基材表面上から高さ)が5μmから300μmの範囲であり、第1の画線の画線幅が30μmから1000μmの範囲が好ましく、例えば第2、第3の画線のインキの盛りが20μmの場合、第1の画線の画線幅は100μmから350μmの範囲においては視認性がさらに向上する。
本発明の第1の画線、第2、第3の画線を構成する材料としては、紫外線硬化インキ、電子線硬化インキ、紫外線硬化及び酸化重合機能を併せ持つインキ、酸化重合インキ、溶剤蒸発乾燥型インキ、2液反応型インキなどが使用でき、作製する機材としては、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、凸版印刷などの印刷機のみならず、市販のプリンターを使用することも可能である。また、第2、第3の画線及び第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層に使用される材料は、紫外線硬化インキ、電子線硬化インキ、紫外線硬化及び酸化重合機能を併せ持つインキ、酸化重合インキ、溶剤蒸発乾燥型インキ、2液反応型インキなどが使用できるが、紫外線硬化型インキを使用することが好ましい。
本発明で作製される第2、第3の画線及び第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層に使用される印刷機は、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷などが使用できるが、透明または半透明なインキを5μmから20μm以上を一度に盛ることが可能な印刷機となると、凹版印刷及びスクリーン印刷機で印刷することが好ましい。なお、第1の画線と第2、第3の画線の刷り合わせを考慮すると凹版印刷は基材そのものが印圧によって伸びてしまうことがあるためスクリーン印刷で行うことが好ましい、もちろんオフセット印刷、グラビア印刷の重ね刷りも使用すれば実施することは可能である。また、上質紙などインキが染み込み易い基材に対して、スクリーン印刷や凹版印刷によって印刷を行っても、本発明の効果を得るためのインキの盛り量は得られにくい。そのため、基材の表面処理としてニス引きやワニス、メジュームなどの無色系の材料を基材にあらかじめ染み込ませ、その上に第2、第3の画線を印刷することで、上質紙などのインキが染み込みやすい基材に対しても本発明の効果が得られる。
また、第2、第3の画線及び第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層を透明な樹脂などで射出成型し、第1の画線に張り合わせることも可能であるが、作製時間やコストを考慮すると第1の画線はオフセット印刷で行い、第2、第3の画線はスクリーン印刷で行うことが好ましい。
さらに、第2、第3の画線及び第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層に使用されるインキ内部に、蓄光、ガラスフレーク、コレステリック液晶、紫外線発光、赤外線反射及び赤外線吸収等の光を透過する機能性顔料を入れることにより、更なる偽造防止効果の向上を図ることができる。
また、第2、第3の画線及び第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層に使用される透明なインキ及び半透明なインキのうち少なくとも一つのインキは、第1の画線上に印刷した場合、第1の画線が視認できる程度の透明性が好ましく、色調も特に限定されるものではない。
本発明に使用される基材は、紙であればどのような紙でも使用可能である。例えば上質紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、再生紙などが使用できるが、平滑性の良い紙を使用することが好ましい。また、紙以外でも石油から作られる基材、例えば塩化ビニール、ペット樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等でもインキが定着するものであれば使用可能である。また、透明または半透明な基材を使用した場合、基材の裏面に第1の画線を印刷し、基材の表面に第2、第3の画線を印刷することによって、本発明と同様な効果を得ることが可能である。この場合、基材自体が本発明による第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられる層の役割を果たす。そのため、基材の厚みは1μmから500μmの範囲であることが好ましい。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、第1の画線として線幅150μmピッチ300μmにて図4(a)の実線を黒色で配列したものをオフセット印刷で行い、第2の画線(メッセージ)の線幅を150μmピッチ300μm、インキの盛りを20μmとして図4(a)の実線にて紫外線硬化型クリアインキによりスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図15は本発明における実施例1の基材1、第1の画線2及び第2の画線(メッセージ6)の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2の画線(メッセージ6)は認識されにくく、第1の画線2の万線のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、第1の画線として図4(a)の実線を黒色で使用し、線幅150μmピッチ300μmの線の一部に図8(a)を用いて線幅100μmにて画像を配列したものをオフセット印刷で行い、図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μm、ピッチ300μm、インキの盛りを20μmとして紫外線硬化型クリアインキによりスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図16は本発明における実施例2の基材1、第1の画線2及び第2の画線(メッセージ6)の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2の画線6は認識されにくく、第1の画線2にあるメッセージ画像のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線をオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画像(メッセージ)を線幅300μm、線幅の間隔を150μm(ピッチ450μm)、インキの盛りを20μmとして紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図17は本発明における実施例3の基材1、第1の画線2及び第2の画線(メッセージ6)の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2の画線(メッセージ6)は認識されにくく、第1の画線2のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。なお、実施例1と比較した場合、実施例1は第1の画線の色による濃淡のみで潜像模様が表現されるのに対して、実施例3では第1の領域にRGB(赤・緑・青)やCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)の万線にすることで、色調のある潜像模様が表現される。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線の一部に図12(a)を用いて線幅100μmにて画像を形成したものをオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画像(メッセージ)を線幅300μm、線幅の間隔を150μm(ピッチ450μm)、インキの盛りを20μmとして紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図18は本発明における実施例4の基材1、第1の画線2及び第2の画線(メッセージ6)の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明または半透明なインキで印刷された第2の画線(メッセージ6)は認識されにくく、第1の画線2にあるメッセージ画像のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。なお、実施例4を実施例2と比較した場合、実施例2は実施例1と同様に濃淡のみの潜像模様であるが、実施例4では実施例3と同様に色調のある潜像模様が表現され、さらに実施例3と比較すると、画像のスイッチ効果が付与されている。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、第1の画線として線幅150μmピッチ300μmにて図4(a)の実線を黒色で配列したものをオフセット印刷で行い、第2の画線(メッセージ)の線幅を150μmピッチ300μm、インキの盛りを20μmとし、第3の画線(背景)を図7(b)のように75μmのピッチのズレとして図4(a)の実線にて紫外線硬化型クリアインキによりスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図19は本発明における実施例5の基材1、第1の画線2及び第2、第3の画線3の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2、第3の画線3は認識されにくく、第1の画線2の万線のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。実施例1と比べると第3の画線(背景)があることで、形成体を傾けたときに実施例1よりも明瞭にメッセージが浮かび上がる。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、第1の画線として図4(a)の実線を使用し、線幅150μmピッチ300μmの線の一部に図8(a)を用いて線幅100μmにて画像を付与し黒色で配列したものをオフセット印刷で行い、図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μm、ピッチ300μm、インキの盛りを20μmとし、第2の画線(背景)を図7(b)のように75μmのピッチのズレとして紫外線硬化型クリアインキによりスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図20は本発明における実施例6の基材1、第1の画線2及び第2、第3の画線3の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2、第3の画線3は認識されにくく、第1の画線2にあるメッセージ画像のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものであり、aとbによる画像のスイッチ効果が得られている。実施例2と比較すると第3の画線(背景)があることでよりスイッチング効果が得られている。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線をオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画像(メッセージ)を線幅300μm、線幅の間隔を150μm(ピッチ450μm)、インキの盛りを20μm、第3の画線(背景)を図7(b)のように150μmのピッチのズレとして紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図21は本発明における実施例7の基材1、第1の画線2及び第2、第3の画線3の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明又は半透明なインキで印刷された第2、第3の画線3は認識されにくく、第1の画線2のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。なお、実施例5と比較した場合、実施例5は第1の画線の色による濃淡のみで潜像模様が表現されるのに対して、実施例7では第1の領域にRGB(赤・緑・青)やCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)の万線にすることで、色調のある潜像模様が表現される。なお、実施例3と比較すると実施例7では第3の画線(背景)があることにより明瞭に潜像模様が形成される。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線の一部に図12(a)を用いて線幅100μmにて画像を形成したものをオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画像(メッセージ)を線幅300μm、線幅の間隔を150μm(ピッチ450μm)、インキの盛りを20μm、第3の画線(背景)を図7(b)のように150μmのピッチのズレとして紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
図22は本発明における実施例8の基材1、第1の画線2及び第2、第3の画線3の構成を示す図である。aは形成体を真上から観察したとき、透明または半透明なインキで印刷された第2、第3の画線3は認識されにくく、第1の画線2にあるメッセージ画像のみが認識される様子を示す図である。bは形成体を傾けて観察したときにメッセージが明瞭に確認できる様子を示したものである。なお、実施例8を実施例6と比較した場合、実施例6は実施例5と同様に濃淡のみの潜像模様であるが、実施例8では実施例7と同様に色調のある潜像模様が表現され、さらに実施例7と比較すると、画像のスイッチ効果が付与されている。また、実施例4と比較すると第3の画線(背景)があることにより明瞭に潜像模様が形成される。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μm、ピッチ300μmの万線を黒色で配列されたものを第1の画線としてオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μm、ピッチ300μm、インキの盛りを20μmとし、第3の画線(背景)を図7(b)のように75μmのレリーフ模様(ピッチのズレ)、さらに第1の画線及び第2の画線を0度として配列したとき、第3の画線を図14(b)のように5度傾けて配列し紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
厚さ190μmの白色微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μm、ピッチ300μmの万線の一部に線幅100μmにて画像を付与し黒色で配列されたものを第1の画線としてオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μmピッチ、300μm、インキの盛りを20μmとし、第3の画線(背景)を図7(b)のように75μmのレリーフ模様(ピッチのズレ)、さらに第1の画線及び第2の画線を0度として配列したとき、第3の画線を図14(b)のように5度傾けて配列し紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線をオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μm、ピッチ300μm、インキの盛りを20μmとし、第3の画線(背景)を図7(b)のように75μmのレリーフ模様(ピッチのズレ)、さらに第1の画線及び第2の画線を0度として配列したとき、第3の画線を図14(b)のように5度傾けて配列し紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
厚さ190μmの微塗工紙からなる基材上に、図4(a)の実線を使用して線幅150μmにてそれぞれ赤、青、黄を万線状に配列したものを一つのパターンとし、そのパターンをピッチ450μmで配列した第1の画線の一部に線幅100μmにて画像を形成したものをオフセット印刷で行い、その上に図4(a)の実線を使用して第2の画線(メッセージ)の線幅を150μmピッチ、300μm、インキの盛りを20μmとし、第3の画線(背景)を図7(b)のように75μmのレリーフ模様(ピッチのズレ)、さらに第1の画線及び第2の画線を0度として配列したとき、第3の画線を図14(b)のように5度傾けて配列し紫外線硬化型クリアインキにてスクリーン印刷を行い、形成体を得た。
実施例9から実施例12は、実施例5から実施例8において第2、第3の画線の配列角度を変化させたものである。実施例5から実施例8と実施例9から実施例12を比較すると第2、第3の配列角度が変化していることで互いの画線によるモアレ現象が発生し、第1の画線が赤、青、黄などで印刷したとき、第2、第3の画線によって互いの色が混色することでレインボー状になり装飾性がさらに向上する。
本発明の形成体を真上から示す図である。
図1におけるA-A'断面図を示す図である。
形成体を斜めから観察したとき画像が認識されることを現した模式図である。
形成体に使用される第1、第2及び第3の画線の形状(線種)を示した図である。
図4に示された画線の形状の組合せを示した図である。
形成体に使用される第1、第2及び第3の画線の配列状態(線種の構成)を示した図である。
第2、第3の画線における万線のズレ(レリーフ模様)の状態を示す図である。
画線幅を変化させメッセージ画像を付与した第1の画線を示す図である。
図1において第1の画線に赤、青、黄などの色を使用し基材を隠蔽した形成体を真上から示した図である。
図9におけるB-B'断面図を示す図である。
図9において形成体を斜めから観察したとき画像が認識されることを現した模式図である。
図9において画線幅を変化させメッセージ画像を付与した第1の画線を示す図である。
第1の画線と第2、第3の画線の間に層を設けた様子を示す図である。
第2、第3の画線における配列角度を示す図である。
実施例1の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例2の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例3の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例4の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例5の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例6の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例7の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
実施例8の構成と観察角度による画像の変化を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 第1の画線
3 第2、第3の画線
4 非画線部
5 第1の画線と第2、第3の画線の間に設けられた層
6 メッセージ
7 背景
8 第1の画線におけるメッセージ画像