JP4372377B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体レーザ装置、特にリッジ型光導波路を有する半導体レーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、IEEE J.Quantum Electron,vol.27,pp.1560〜1567,June,1991 (H.Jaeckle,G.L.Bone,P.Buchmann,H.P.Meier,P.Vettiger,W.J.Kozlovsky,and W.Lenth,"Very high power(450mW) AlGaAs SQW-GRINSCH ridge laser with frequency doubled output(41mW at 428 nm)")で開示された従来のリッジ型半導体レーザ装置の構成を示す断面図である。
この図において、101はn-GaAs基板、102は基板の一面に形成されたGe-Au-Niのn側電極、103は基板の他面側に形成された超格子バッファ層、104はn-AlGaAsクラッド層、105はn-AlGaAsグレーディッドガイド層、106はGaAs量子井戸活性層、107はp-AlGaAsグレーディッドガイド層、108はp-AlGaAsクラッド層で、リッジ型光導波路108Aを有する。
109はSi3N4絶縁膜で、リッジ領域108Aの上面を除くクラッド層108の上面に形成されている。110はリッジ領域108Aの上面に形成されたp-GaAsキャップ層、111はTi-Pt-Auのp側電極、112はリッジ領域の外側でp側電極111に設けられた金線である。
【0003】
図13に示すように、金線112は屈折率の低いリッジ部分の外側に設けられている。これは、通常のリッジ幅が数μmであるのに対して金線112のワイヤボンド時におけるボール部分の直径が100μm程度と大きいので、リッジ上に打つことができないためである。一方、GaAs量子井戸活性層106はチップ全体にわたって存在するため、リッジ部分とその外側では、量子井戸活性層106までの距離が異なる。このため、リッジ部分の外側で金線112をワイヤボンドすると、ワイヤボンド時に発生したダメージが容易に金線下の量子井戸活性層106に達し、その後、発光領域の量子井戸活性層まで進行して劣化が発生しやすくなることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体レーザ装置は以上のように構成されているので、金線112のワイヤボンド時に発生したダメージが容易に量子井戸活性層106に達し、半導体レーザ装置の劣化を引き起こすという問題点があった。
また、上記劣化を抑制するために、低屈折率領域の外側に高い屈折率の領域を設けた構成の半導体レーザ装置が見られるが、この場合には、基本モード自身がカットオフされるという問題点があった。
さらに、基本モードが導波されるようにした構成の半導体レーザで、ファイバーグレーティングを設けて波長安定化を図った半導体レーザモジュールにおいて、光出力特性に非線形性(キンク)が生じるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、金線をワイヤボンドした際のダメージを低減すると共に、半導体レーザの基本モードをカットオフすることなく伝搬し、また、ファイバーグレーティングを設けて半導体レーザの発振波長の安定化を図った半導体レーザモジュールにおいて、光出力キンクを抑制することができる半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体レーザ装置は、リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域と高屈折率領域の境界における光の電界強度を、上記リッジ型光導波路の中央部における光の電界強度の5/1000以下としたものである。
【0007】
この発明に係る半導体レーザ装置は、リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上としたものである。
【0008】
この発明に係る半導体レーザ装置は、リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域と高屈折率領域の境界における光の電界強度を、上記リッジ型光導波路の中央部における光の電界強度の5/1000以下にすると共に、上記半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、上記半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたものである。
【0009】
この発明に係る半導体レーザ装置は、リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上にすると共に、上記半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、上記半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下,この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、実施の形態1の構成を示す断面図である。この図において、1はn-GaAs基板、2は基板の一面に形成されたn側電極、3は基板の他面に形成されたn-AlGaAsクラッド層、4はアンドープn側AlGaAsガイド層、5はアンドープn側GaAsガイド層、6はアンドープInGaAs量子井戸活性層、7はアンドープGaAsバリア層、8はアンドープp側GaAsガイド層、9はアンドープp側AlGaAsガイド層、10はp−AlGaAsクラッド層、11はp−GaAsキャップ層で、クラッド層10及びキャップ層11の一部をエッチングすることによってリッジ型光導波路領域15及びその外側に低屈折率領域16を形成している。12はキャップ層11及びクラッド層10の上部に形成されたSi3N4 絶縁膜、13はp側電極、17は低屈折率領域16の外側に形成された高屈折率領域、14は高屈折率領域17にワイヤボンド接続された金線である。各領域の境界については後述する。
【0011】
この実施の形態は、リッジ領域15の外側に低屈折率領域16を設けているので、レーザ光をリッジ領域に効率的に閉じ込めることができる。
また、電流の閉じ込めはSi3N4 絶縁膜12に図示のような開口12Aを設けることで可能となる。
また、低屈折率領域16の外側に高屈折率領域17を設け、高屈折率領域17の上に金線14をワイヤボンドする構成としているため、低屈折率領域16における量子井戸活性層6までの距離はtlであるのに対して,高屈折率領域17での量子井戸活性層6までの距離はt2と大きくなっている。このため、金線14をワイヤボンドした時に生じるダメージは、金線14の直下の量子井戸活性層6まで進行しにくくなり、ひいては量子井戸活性層6を伝搬してリッジ領域15の直下の量子井戸活性層6を劣化させることを抑制することが可能となる。
なお、この実施の形態では、リッジ領域15と高屈折率領域17の構造を同一とし、p-GaAsキャップ層11及びp-AlGaAsクラッド層10の一部をエッチング することで、低屈折率領域16を形成しているが、リッジ領域15と高屈折率領域17の構造が同一でなくても同様な効果を期待することができる。
【0012】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。図2は、実施の形態2の説明図で、(a)は実施の形態2の構成を示す断面図、(b)は(a)におけるy方向の光の電界強度(以下、単に電界強度と云う)分布を示す図である。
この図において、図1と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。図2において、18はレーザ光の発光パターン(パワー)を示すものである。また、図3は、実施の形態2における半導体レーザの図2(a)におけるy方向の屈折率分布、電界強度分布及び伝搬定数の関係を示す図である。
この図において、太い実線が屈折率分布、破線が電界強度分布、βが伝搬定数をそれぞれ示す。また、yo及び−yoは低屈折率領域16と高屈折率領域17との境界を示し、yoより大きいyの範囲及び−yoより小さいyの範囲が高屈折率領域17となる。
【0013】
レーザ光は、y方向に関してはリッジ領域15と低屈折率領域16との屈折率差により、また、x方向に関しては量子井戸活性層6、バリア層7、ガイド層4、5、8、9及びクラッド層3、10の屈折率差により閉じ込められ、図2(a)に示すような楕円形状となる。y方向のみを見ると、リッジ領域15の電界強度は余弦(cosine)形で変化する。一方、低屈折率領域16は指数関数(exponential)で低下するが、有限な距離においては決してゼロとなることはない。
このため、図3に示すように、低屈折率領域16の外側に高屈折率領域17を設けると、高屈折率領域で余弦(cosine)あるいは正弦 (sine)の振動解を有することとなり、光がz方向に伝搬するに従いその電力(パワー)を失い、終いにはモードとして存在し得なくなる。このことは、以下の波動方程式(1)からも理解することが可能である。
【0014】
【数1】
【0015】
つまり、(1)式において、k0 2n2(y)-β2>0 の領域では振動解が存在し、k0 2n2(y)-β2<0の領域では減衰解となる。
このため、高屈折率領域17では振動解となる。
高屈折率領域17がない場合の基本モードを算出し、y=0つまりリッジ領域15の中央における電界強度のピークAに対して、低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界y=±yoでの電界強度BがAの8/1000である場合に、高屈折率領域17が存在する屈折率構造の電界分布をBPM(Beam Propagation Method)により計算したところ、Z方向に伝搬するに従い電界強度は小さくなって減衰し,終いには消滅することを確認した。
一方、y=±yoでの電界強度BがAの5/1000以下である場合には、Z方向に伝搬しても電界強度の減衰は殆どなく安定な固有モードが存在することが分かった。従って、この実施の形態は、低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度をリッジ領域中央における電界強度の5/1000以下にして、安定な基本モードを存在させようとするものである。
なお、後述するように、リッジ領域15とその外側の低屈折率領域16で決まる正規化周波数をπ/4以下とし、かつ電界強度を上述のようにすれば、高次モードの抑圧が可能となる。
【0016】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3を図にもとづいて説明する。図4は、実施の形態3の構成を示す断面図である。この図において、18aは発振波長がλの半導体レーザの発光パターンである。また、Wbは、低屈折率領域16の幅を示し、2Tはリッジ領域15の底部幅を示す。即ち、2Tの範囲がリッジ領域であり、2Tの外側は低屈折率領域となる。図5は、リッジ領域15及び低屈折率領域16の屈折率分布を示す図である。
通常、低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度がリッジ領域15の中央における電界強度に比べてどの程度になるかは、リッジ領域15の2次元屈折率分布及び低屈折率領域16の2次元屈折率分布に依存するため、その値を正確に予測することは数値解析によらなければ難しい。そこで半導体レーザの発振波長λとの関係で、基本モードがカットオフされない条件の算出を行なった。図5に示すように、リッジ領域15は台形であるため、その屈折率分布も破線で示すような台形分布となる。この場合、リッジ領域15の底部幅2T(T+T)で、かつそのピークの屈折率がna effである矩形屈折率分布で近似することが可能である。
このような矩形屈折率分布の場合のy方向電界分布は、次式のように表せる。ただし、これらの式は周知の式である。
【0017】
【数2】
【0018】
基本モードのみが許容され高次モードが伝搬されないためには、正規化周波数vはπ/4以下であることが必要である。v=π/4はtan(u)が発散する最初の枝であり、式(3)と(4)の交点として求められる。vがπ/4以下の場合には式(3)と(4)の交点は1個所となり、基本モードのみが発振する。また、光密度をできるだけ低減し、かつ動作電圧を低下させるため、リッジ領域15の底部幅2Tは可能な限り大きくすることが望ましいので、通常はv≒π/4程度にする場合が多い。
よって、リッジ領域の幅2T、低屈折率領域16の屈折率ncが既知の場合、リッジ領域15の等価屈折率na effが分かる。上記の式(3)及び(4)を解くことにより、電界分布が式(2)から得られる。次に、この電界分布を次式に示すスポットサイズωoのガウス波で近似することとする。
【0019】
【数3】
パワーが一定となるように近似すると、スポットサイズωoは次式のようになる。
【0020】
【数4】
【0021】
2T=3.5μm、na eff=3.4554、nc=3.4524 の時、スポットサイズωoは2.46μmとなる。よって、低屈折率領域16の幅Wb=10μmのときの低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界yoにおける電界強度分布は、 式(5)より求まり、リッジ領域中央部の10−10以下となり十分に小さくなることが分かる。
よって、実施の形態3は、低屈折率領域16の幅を発振波長の10倍以上とすることにより、安定な基本モードのみを得るようにしたものである。因みに、BPMによる計算でも安定な基本モードが確認できている。
【0022】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4を図にもとづいて説明する。図6は、実施の形態4を説明するための従来型半導体レーザモジュールを示す概略図である。
この図において、20は半導体レーザ、21は反射率がRrである半導体レーザの後端面、22は反射率がRfである半導体レーザの前端面、23は半導体レーザの光導波路領域、24はレンズ、25は光ファイバー、26は反射率がRfgであるファイバーグレーティングである。図7は、半導体レーザ及び半導体レーザモジュールの光出力電流特性を示す特性図、図8は、ファイバーグレーティング26からの戻り光が半導体レーザ20に位置ズレして入射する様子を示した図で、(a)は断面構造、(b)はy方向の屈折率分布を示す。図9は、実施の形態4の半導体レーザモジュールの構成を示す概略図である。
【0023】
この図において、20aは低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度が、リッジ領域15の中央部における電界強度の5/1000以下である半導体レーザ、あるいはリッジ領域15と低屈折率領域16とで決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度が、リッジ領域15の中央部における電界強度の5/1000以下である半導体レーザである。
【0024】
図6に示すように、半導体レーザの発振波長を安定化するため、ファイバー25内にファイバーグレーティング26を設けて特定の波長を反射させ、かつ半導体レーザ前端面22を低反射率、半導体レーザ後端面21を高反射率とすることで、ファイバーグレーティング26と半導体レーザ後端面21間で共振器を構成する。レンズ24は、半導体レーザ20からの出射光を効率良くファイバー25に入れるためのもので、このときの結合効率をηで表わす。
図7に示すように、半導体レーザ20のみからの光出力は、半導体レーザ20 に注入する電流に比例して増加する。ただし、注入電流を増加すると、半導体レーザ20の量子井戸活性層近傍の温度が上昇することで屈折率の増加を招く。
この結果、量子井戸活性層近傍と周囲との屈折率差が大きくなって高次モードが発生し、光出力に非線形な変化、つまり半導体レーザキンクを生じる。
一方、半導体レーザモジュールをみると、半導体レーザキンク以下では半導体レーザ出力のη倍がモジュールから出力されるが、半導体レーザキンク以上では半導体レーザ内で発生した高次モードはファイバー25に結合しにくいので、最早結合効率ηを保つことができない。さらに、半導体レーザキンク以下においても、モジュールキンクが生じる場合がある。
【0025】
上記のモジュールキンクは、図8に示すように、ファイバーグレーティング26 からの戻り光が位置ズレして半導体レーザ20に入射する場合に、半導体レーザ20の基本モード以外の無限に存在する放射モード( 伝搬定数ρ) に結合することによっても発生すると考えられている。よって、この放射モードに結合する割合を低減すれば、モジュールキンクを抑制することが可能となる。
図9は、この発明の実施の形態4の半導体レーザモジュールを示す図である。低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度が、リッジ領域15の中央部における電界強度の5/1000以下である半導体レーザあるいはリッジ領域15と低屈折率領域16とで決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域16と高屈折率領域17の境界における電界強度がリッジ領域15の中央部における電界強度の5/1000以下である半導体レーザとファイバーグレーティング26とを組み合わせたものである。
【0026】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5を図にもとづいて説明する。図10は、実施の形態5の半導体レーザモジュールの構成を示す概略図である。
この図において、20bは低屈折率領域16の幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザ、あるいはリッジ領域15と低屈折率領域16とで決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域16の幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザである。図11は、ファイバーグレーティング26からの戻り光が角度ズレして入射する様子を示した図であり、(a)は半導体レーザの断面構造を示す図、(b)はy方向の屈折率分布を示す図、(c)は入射光の状況を示したもので、θは半導体レーザ内での波面の傾きを示すものである。
図12は、低屈折率領域16の幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザにおいて、ファイバーグレーティング26からの戻り光が角度ズレして入射した場合の基本モードへの結合効率を角度ズレ量の関数としてBPM法により求めた結果を示した図である。
低屈折率領域の幅が発振波長の10倍以上の時は、これ以上低屈折率領域の幅を広げても高屈折率領域の影響を受けることがないので、これ以上結合効率が増加することはない。低屈折率領域の幅が発振波長の10倍以下の特性は一例を示したものである。
【0027】
モジュールキンクは、図11に示すように、ファイバーグレーティング26からの戻り光が角度ズレして半導体レーザ20bに入射する場合に、半導体レーザ20bの基本モード以外の無限に存在する放射モード( 伝搬定数ρ)に結合するときにも生じると考えられる。従って、この放射モードに結合する割合を低減すれば、モジュールキンクを抑制することが可能となる。
図10は、実施の形態5の半導体レーザモジュールの構成を示す概略図である。低屈折率領域16の幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザ20b、あるいはリッジ領域15と低屈折率領域16とで決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域16の幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザ20bとファイバーグレーティング26とを組み合わせたものである。
図12に示すように、低屈折率領域16の幅を発振波長の10倍以上にすると、戻り光が半導体レーザの基本モードに結合する割合が増加する。つまり放射モードに結合する量が減少するため、半導体レーザモジュールのモジュールキンクを抑制することが可能となる。
【0028】
【発明の効果】
この発明に係る半導体レーザ装置は、リッジ型光導波路を有する半導体レーザ装置において、リッジ型光導波路の外側に低屈折率領域を設けると共に、低屈折率領域の更に外側に低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けたものであるため、高屈折率領域は、量子井戸活性層からの距離を低屈折率領域よりも大きくすることができる結果、高屈折率領域に金線をワイヤボンドした時に生じるダメージを低減することができる。
【0029】
この発明に係る半導体レーザ装置は、また、リッジ型光導波路の外側に低屈折率領域を設けると共に、低屈折率領域の更に外側に低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、リッジ型光導波路と低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域と高屈折率領域の境界における電界強度を、リッジ型光導波路の中央部における電界強度の5/1000以下としたため、半導体レーザの基本モードをカットオフすることなく伝搬することができる。
【0030】
この発明に係る半導体レーザ装置は、また、リッジ型光導波路の外側に低屈折率領域を設けると共に、低屈折率領域の更に外側に低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、リッジ型光導波路と低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上としたため、半導体レーザの基本モードをカットオフすることなく伝搬することができる。
【0031】
この発明に係る半導体レーザ装置は、また、リッジ型光導波路の外側に低屈折率領域を設けると共に、低屈折率領域の更に外側に低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、低屈折率領域と高屈折率領域の境界における電界強度を、リッジ型光導波路と低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域と高屈折率領域の境界における電界強度を、リッジ型光導波路の中央部における電界強度の5/1000以下にすると共に、半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたものであるため、半導体レーザの発振波長の安定化を図ると共に、半導体レーザモジュールの光出力キンクを抑制することができる。
【0032】
この発明に係る半導体レーザ装置は、また、リッジ型光導波路の外側に低屈折率領域を設けると共に、低屈折率領域の更に外側に低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、リッジ型光導波路と低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上にすると共に、半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたものであるため、半導体レーザの発振波長の安定化を図ると共に、半導体レーザモジュールの光出力キンクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の説明図で、(a)は実施の形態2の構成を示す断面図、(b)は(a)の図におけるy方向の電界強度分布を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態2における半導体レーザのy方向の屈折率分布、電界強度分布及び伝搬定数の関係を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態3の説明図で、半導体レーザの構成を示す断面図である。
【図5】 リッジ領域及び低屈折率領域の屈折率分布を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態4を説明するための従来型半導体レーザモジュールを示す概略図である。
【図7】 半導体レーザ及び半導体レーザモジュールの光出力電流特性を示す図である。
【図8】 ファイバーグレーティングからの戻り光が半導体レーザに位置ズレして入射する様子を示した図で、(a)は断面構造、(b)はy方向の屈折率分布を示す。
【図9】 この発明の実施の形態4の半導体レーザモジュールの構成を示す概略図である。
【図10】 この発明の実施の形態5の半導体レーザモジュールの構成を示す概略図である。
【図11】 ファイバーグレーティングからの戻り光が角度ズレして入射する様子を示した図で、(a)は半導体レーザの断面構造を示す図、(b)はy方向の屈折率分布を示す図、(c)は入射光の状況を示すものである。
【図12】 低屈折率領域幅が発振波長の10倍以上である半導体レーザ において、ファイバーグレーティングからの戻り光が角度ズレして入射した場合の基本モードへの結合効率を角度ズレ量の関数として示した図である。
【図13】 従来のリッジ型半導体レーザの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 n-GaAs基板、 6 アンドープInGaAs量子井戸活性層、 14 金線、 15 リッジ領域、 16 低屈折率領域、 17 高屈折率領域、 18 レーザ光の発光パターン、 20 半導体レーザ、 21 半導体レーザの後端面、 22 半導体レーザの前端面、 25 光ファイバー、 26 ファイバーグレーティング。
Claims (4)
- リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域と高屈折率領域の境界における光の電界強度を、上記リッジ型光導波路の中央部における光の電界強度の5/1000以下としたことを特徴とする半導体レーザ装置。
- リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上としたことを特徴とする半導体レーザ装置。
- リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域と高屈折率領域の境界における光の電界強度を、上記リッジ型光導波路の中央部における光の電界強度の5/1000以下にすると共に、上記半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、上記半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
- リッジ型光導波路の外側に所定幅の低屈折率領域を設けると共に、上記低屈折率領域の更に外側に上記低屈折率領域の屈折率より高い屈折率の高屈折率領域を設けた半導体レーザ装置において、上記リッジ型光導波路に設けられた上部クラッド層と、上記高屈折率領域に設けられた上部クラッド層とが、同じ層からなり、上記リッジ型光導波路と上記低屈折率領域で決まる正規化周波数をπ/4以下にし、かつ上記低屈折率領域の幅を発振波長の10倍以上にすると共に、上記半導体レーザからの出射光を導入するファイバーと、このファイバー内に設けられ、上記半導体レーザと共に共振器を構成するファイバーグレーティングとを備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
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