以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(電気光学装置の第1実施形態)
電気光学装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明を液晶装置に適用したものであり、図1は、液晶装置のTFTアレイ基板に形成された画素部及び周辺回路を示すブロック図であり、図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のA−A’断面図である。尚、図3においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図1において、本実施形態による液晶装置のTFTアレイ基板10上の画像表示領域を構成する複数の画素10bは、マトリクス状配列の一種として特に、デルタ配列されている。各画素10bには、画素電極9aを制御するための画素スイッチング用TFT30が形成されており、画像信号S1、S2、…、Snが供給されるデータ線6が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例たる液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、画素電極9aと対向電極との間に保持された画像信号の電圧がTFT30のオフ時における電流即ちリーク電流により短時間で低下するのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、ソース電圧が印加される時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い液晶装置が実現できる。尚、蓄積容量70を形成するための配線である容量線3bが、走査線3aと平行に形成されている。各容量線3bは、画像表示領域の外部(即ち周辺領域)において一定電位VMOSの配線と接続されており、蓄積容量の70の一方の蓄積容量電極の電位を一定にするように構成されている。尚、一定電位VMOSはデータ線駆動回路や走査線駆動回路の定電位の電源や対向電極に供給される定電位源に接続してもよい。
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、サンプリング回路301及び検査回路401等の周辺回路を同一基板に集積化しても良い。このような構成を採れば、周辺ICのコスト増大や実装不良による歩留まり低下を招くことがないばかりでなく、画素ピッチの狭ピッチ化が実現できるため、高精細な電気光学装置、あるいは、小型の電気光学装置を実現することができる。
走査線駆動回路104は、図中Y方向あるいはその逆方向に向かって転送信号を順次出力するシフトレジスタを含み、外部制御回路から供給される転送スタート信号に応じて転送動作を開始して、基準クロック信号及びその反転信号に基づいて、走査線3に対し、転送信号を走査信号G1、G2、…、Gmとしてパルス的に線順次で印加する。
データ線駆動回路101は、図中X方向あるいはその逆方向に向かって転送信号を順次出力するシフトレジスタを含み、外部制御回路から供給される転送スタート信号に応じて転送動作を開始して、基準クロック信号及びその反転信号に基づいて、画像信号線115から供給されるカラー画像信号である赤(R)の画像信号VID−R、緑(G)の画像信号VID−G及び青(B)の画像信号VID−Bをサンプリングするためのサンプリング回路駆動号をサンプリング回路駆動信号線306を介してサンプリング回路301に供給する。
サンプリング回路301は、スイッチとして機能するTFT302を各データ線6毎に備えており、画像信号線115がTFT302のソース電極に接続されており、サンプリング回路駆動信号線306がTFT302のゲート電極に接続されている。そして、サンプリング回路駆動信号に応じて、画像信号線115を介して供給される画像信号VID−R、VID−G及びVID−Bを夫々サンプリングし、画像信号S1、S2、…、Snとして複数のデータ線6に夫々供給する。サンプリング回路301の制御スイッチはTFTで形成され、Nチャネル型TFT、Pチャネル型TFTあるいは相補型TFTでも良い。また、検査回路401は、データ線6、TFT30、蓄積容量70等の配線や回路における導通、断線などの品質・欠陥に関する所定検査を製造途中や出荷時に実行可能とするように構成されている。検査回路401により、次工程への不良品の流出を防ぐことができ、部材のコストを低減することができる。
以上図1に示した例では、各色毎にシリアルな画像信号VID−B、VID−G及びVID−Rが夫々、割り当てられた1本の画像信号線115を介して供給され、各画像信号VID−B、VID−G及びVID−Rをサンプリング回路301により順次サンプリングするように構成されている。
次に図2に示すように、サンプリング回路駆動信号線を隣接する画像信号VID-R,VID-G,VID-Bに夫々対応したサンプリング回路301にサンプリング回路駆動信号線306’を介して同時に供給するようにして、画像信号VID-R,VID−G,VID-Bの位相を調整しても良い。例えば、画像信号S1,S2,S3を同時にサンプリングする。これによりデータ線駆動回路101の動作周波数を1/3に低減できるため、消費電力やEMI(Electomagnetic wave Interference)の低減を実現することができる。
尚、外部の画像信号処理回路において所定数のデータ線群毎にパラレルに各画像信号VID−R、VID−G及びVID−Bを供給可能となるように、予めシリアルな各画像信号VID−R、VID−G及びVID−Bを夫々、所定数のパラレルな画像信号に変換しておき、シリアル−パラレル変換後の複数の画像信号をデータ線6サンプリングするようにしてもよい。このパラレルな色毎の画像信号の数及び同時に画像信号を印加する各グループを構成するデータ線の数は、例えば、当該サンプリング回路301におけるサンプリング能力が高ければ、本実施形態の如くに1でもよいし、若しくは、逆にサンプリング能力が低ければ、12、24等でもよい。このように画像信号をシリアル−パラレル変換することで、余り高くないサンプリング能力のサンプリング回路301を用いて所謂XGA、SXGAといった高ドット周波数の画像信号にも対処可能となる。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、データ線6に同一のが対応するようにデータ線同一色方式のデルタ配列から構成されている。このような構成をとれば、同一データ線6には同一色のデータに係る画像信号を入力するので、比較的近くに位置する複数行に係るデータはそれ程大きく変わらないため、異なる行間のデータの影響による表示むらは殆ど発生しない。データ線6に対して、同一の色が対応するようにするには、1走査線3a毎に1.5画素ずつX方向に互い違いにずらすようにすれば良い。この際、画素電極9aを制御するための画素スイッチング用TFT30は、相隣接する画素電極9a間を蛇行するように配設されたデータ線6の蛇行方向とY方向軸にたいして反対側に設けるようにすると、最も効率よく配線することができる。
次に図3において、液晶装置のTFTアレイ基板10上には、データ線同一色方式でデルタ配列された複数の画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6、走査線3a及び容量線3bが設けられている。走査線3aは、画素電極9aのデルタ配列におけるX方向に並べられた直線状の配列に対応して夫々直線状に設けられている。データ線6は、画素電極9aのデルタ配列におけるY方向に並べられた1走査線毎に0.5画素ずつずれた間を縫って蛇行するように設けられている。また、TFT30は、二つのゲートを持つデュアルゲート構造のTFTからなり、画素電極9aにドレインが夫々接続されており、データ線6にソースが夫々接続されており、走査線3aにゲートが夫々接続されている。そして、データ線6は、デュアルゲート構造のTFT30を構成するポリシリコン膜等の半導体層1のうち後述のソース領域に、コンタクトホール5を介して電気的接続されており、画素電極9aは、半導体層1のうち後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的接続されている。また、半導体層1のうち二つのゲートのチャネル領域1a及び1a’(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。
本実施形態では特に、データ線6は、Al等の低抵抗な遮光性の導電性材料からなり、1走査線毎に0.5画素ずつずらして配列された相隣接する画素電極9aの間を縫って蛇行して伸びると共に、半導体層1のソース領域にコンタクトホール5を介して接続される個所を含む本線部6aと当該本線部6aから走査線3aに対向する位置において夫々平面的に突出した突出部6bとを備える。また、画素電極9aのうち1走査線毎に1.5画素ずつずらして配列された画素電極群は、TFT30を介して同一データ線6に接続されている。そして、これらデータ線6の本線部6a及び突出部6bにより、本線部6aにゲートが接続されたデュアルゲート構造のTFT30のチャネル領域1a及び1a’を対向基板の側から見て少なくとも部分的に覆うように構成されている。従って、対向基板側からの入射光に対するチャネル領域1a及び1a’における遮光が、データ線6の本線部6a及び突出部6bによりなされる。
また、本実施形態では、容量線3bを走査線3bと並んで設けることにより、画素電極9aに対し蓄積容量70を付与することができる。容量線3bを設けることにより蓄積容量70を各画素電極9aに付与するので、特にデータ線6と画素電極9aとの間における寄生容量による画像信号或いは表示画像に対する影響を相対的に小さくできる。即ち、前述した奇数段と偶数段との間での寄生容量の差に起因した横ラインむらを有効に低減できる。
更に、容量線3bをデータ線6の下に延設し、半導体層1の一部からなる第1蓄積容量電極1fとの間で絶縁膜を介して蓄積容量70を形成することができる。
このような構成をとれば、データ線6の下という非光透過領域を利用して蓄積容量70を効率的に増加させることが可能となり、前述した奇数段と偶数段との間でのデータ線6と画素電極9aとの間の寄生容量の差に起因した横ラインむらを非常に有効に低減できる。
また本実施形態では、前記データ線6の突出部6bは、突出する方向が1走査線毎に異なるように構成される。このような構成をとることにより、データ線の引き回しを極力少なくすべく蛇行する本線部を基準としてチャネル領域を1走査線毎に異なる方向に(即ち、通常は左右交互に)形成しても、これに応じて1走査線毎に突出方向が異なるデータ線の突出部により当該チャネル領域を遮光可能である。
次に図4の断面図に示すように、液晶装置は、透明な一方の基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な他方の基板の一例を構成する対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
TFTアレイ基板10には、図3及び図4に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
対向基板20には、更に図4に示すように、各画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けられている。この第2遮光膜23並びにデータ線6の本線部6a及び突出部6bにより、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1のチャネル領域1a及び1a’や、チャネル領域1aに隣接するLDD領域1b及び1c並びにチャネル領域1a’に隣接するLDD領域1b’及び1c’に侵入することはない。更に、第2遮光膜23は、コントラスト比の向上、色材の混色防止、液晶装置の入射光による温度上昇の防止などの機能を有すると共に第2遮光膜23により、液晶装置の画素開口領域の輪郭を少なくとも部分的に規定することも可能である。
対向基板20には、デルタ配列による色配列を構成するカラーフィルタ層(色材層)24とオーバーコート膜25とが更に設けられている。カラーフィルタ層24は、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法、インクジェット法等により製造される。これらのうち顔料分散法が分光特性、パターン精度、製造コスト、耐熱性、耐光性等の面で総合的に優れており、現在主流となっている。他方、オーバーコート膜25は、アクリル樹脂やエポキシ樹脂から、厚さ0.5〜2μm程度の保護膜及び平坦化膜としてカラーフィルタ層24の全面に形成される。このように当該液晶装置は、カラー液晶装置として構成されている。従って、ノートパソコンや携帯機器の直視型の液晶装置だけでなく、当該液晶装置を1個だけ用いて、安価な単板型のプロジェクト等を作成可能となる。尚、カラーフィルタ層24は、カラーレジスト等によりTFTアレイ基板10上に直接形成しても良い。また、第2遮光膜23をTFTアレイ基板10上に形成することも可能である。これにより、TFTアレイ基板10と対向基板20とを貼り合わせ時のずれにより画素開口率の低下を防ぐことができるため、高開口率化が実現できるだけでなく、歩留まりの低下を招くことがないという利点がある。
以上のように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材(図9及び図10参照)により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材(スペーサ)が混入されている。
下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能を有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等でTFT30の特性劣化を防止する機能を有する。下地絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。
本実施の形態では特に、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1の一部を第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。より詳細には、画素電極9aにコンタクトホール8を介して接続された半導体層1の高濃度ドレイン領域1e’が、データ線6及び走査線3aの下に延設されて、同じくデータ線6及び走査線3aに沿って伸びる容量線3b部分に絶縁膜(ゲート絶縁膜2と同一膜)を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極1fとされている。これらの結果、データ線6下の領域及び走査線3aに沿って液晶のディスクリネーションが発生する領域(即ち、容量線3bが形成された領域)という画素開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来る。このように蓄積容量70が比較的大容量となるように構成されているため、データ線6と画素電極9aとの間における寄生容量による画像信号S1、S2、…、Snに対する影響を相対的に小さくできる。即ち、前述した奇数段と偶数段との間での寄生容量の差に起因した横ラインむらを有効に低減できる。
再び、図4において、デュアルゲート構造を有する画素スイッチング用TFT30は特に、各ゲート毎にLDD構造を有しており、当該走査線3a、走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1のチャネル領域1a、走査線3aと半導体層1とを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6(本線部6a、突出部6b)、ソースに近い側のチャネル領域1aに対する半導体層1の低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b及び低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eとを備えており、更に、ドレインに近い側のチャネル領域1a’に対する半導体層1の低濃度ソース領域1b’及び低濃度ドレイン領域1c’並びに高濃度ソース領域1d’(高濃度ドレイン領域1e)及び高濃度ドレイン領域1e’を備えている。
特にチャネル領域1aに対する高濃度ドレイン領域1eは、チャネル領域1a’に対する高濃度ソース領域1d’としても機能し、画素スイッチング用TFT30が構築されている。また、このチャネル領域1aに対する高濃度ドレイン領域1e(チャネル領域1a’に対する高濃度ソース領域1d’)は、図3に示したように、画素開口領域内に二つのゲートのU字形の連結部分として大きくはみ出しているが、このはみ出し領域における半導体層1は、元々膜厚が薄く、ほぼ透明であると共に比較的TFTアレイ基板10の近くに(即ち、層間絶縁膜等を介して画素電極9aから厚み方向に比較的離れて)形成されているので、このはみ出し領域上の画素電極9a部分は、特に平坦化処理を施さなくても複数の薄膜形成プロセスの間に平坦化されてしまうか、或いは、後工程における何らかの平坦化処理により容易に平坦化される。この結果、このはみ出し領域における半導体層部分が画素電極9aにおける凹凸を引き起こす(即ち、液晶層50における配向不良を引き起こす)という問題は殆ど生じないで済む。
高濃度ドレイン領域1e’には、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。半導体層1のソース領域及びドレイン領域は後述のように、半導体層1に対し、N型又はP型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のNチャネル型用又はPチャネル型用の不純物イオンをドープすることにより形成されている。Nチャネル型TFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子であるTFTとして用いられることが多い。
本実施の形態では特にデータ線6は、Al等の金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び下地絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1e’へ通じるコンタクトホール8が各々形成された第1層間絶縁膜4が形成されている。この高濃度ソース領域1dへのコンタクトホール5を介して、データ線6の本線部6aは高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6及び第1層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1e’へのコンタクトホール8が形成された第1層間絶縁膜7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1e’へのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは高濃度ドレイン領域1e’に電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第2層間絶縁膜7の上面に設けられている。尚、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1e’とは、データ線6と同一のAl膜や走査線3bと同一のポリシリコン膜を中継して電気的接続するようにしてもよい。
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b、1b’及び低濃度ドレイン領域1c、1c’に不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン構造のTFTであってもよい。
また本実施の形態では、画素スイッチング用TFT30にデュアルゲート構造を採用したため、チャネルとソース−ドレイン領域接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。更に、これら二つののゲートの少なくとも1個をLDD構造にすれば、オフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。但し、デュアルゲート構造に代えて、走査線3aから角状に1個のゲート電極が突き出てなるシングルゲート構造のTFTを用いてもよいし、3個以上のゲート電極を有するトリプルゲート構造のTFT等を用いてもよい。
本実施形態では特に、データ線6の本線部6aは、Y方向に並べられた画素電極9aの千鳥足状の配列の脇を縫って蛇行して伸びており、データ線6の突出部6bは、本線部6aから走査線3aに対向する位置において、夫々平面的に突出している(図3参照)。そして、画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a及び1a’は、これらの本線部6a及び突出部6bにより少なくとも部分的に夫々覆われている。従って、対向基板20側からの入射光に対する画素スイッチング用TFT30における遮光は、これらの本線部6a及び突出部6bにより効率的に実施されており、画素スイッチング用TFT30における半導体層1での入射光に基づく光電変換効果によりトランジスタ特性が劣化することを効果的に防止できる。この際、様々な形状及びレイアウトが可能である突出部6bの占有領域の一部又は全部を画素電極9a上から外すことにより、画素開口率を全く又は殆ど低下させないで済む。更に、データ線6の本線部6aは、隣接する画素電極9aの間を縫って蛇行して形成するので、データ線6と画素電極9aとの間における寄生容量を低減できる。すると、製造プロセスにおけるデータ線6と画素電極9aとの位置ずれに起因する奇数段と偶数段との間での生じる寄生容量の差を小さくできる。即ち、当該位置ずれが大きくても、それに応じて発生する寄生容量の差を小さくできるので、奇数段と偶数段との間での寄生容量の差に起因した横ラインむらを有効に低減できる。
本実施形態では特に、対向基板20側から見て、本線部6aの縁と画素電極9aの縁とは、両者の縁に沿った僅かな幅の部分において相重なっている(図3参照)。従って、両者間を光が漏れて白抜け等の画像劣化につながることはないので、このように重なった本線部6aによって画素開口領域の左右(即ち、画素開口領域のY方向に伸びる各辺)を規定できる。尚、この重なりの面積が大きい程に、データ線6と画素電極9aとの間における寄生容量が増加して上述の横ラインむらを引き起こすので、この重なりの面積は製造精度を考慮しつつなるべく小さい方がよい。また、このようなデータ線6の平面レイアウト構成では、画素開口領域の上下(即ち、画素開口領域のX方向に伸びる各辺)については、対向基板20上の第2遮光膜23(図4参照)により規定すればよい。
更に本実施形態では特に、デュアルゲート構造を有した画素スイッチング用TFT30に対して、チャネル領域1aをデータ線6の本線部6aにより覆い、チャネル領域1a’をデータ線6の突出部6bにより覆うように平面レイアウト構成したので、図3から分かるように、画素スイッチング用TFT30における遮光は、本線部6a及び突出部6bにより極めて効率的に実施されている。加えて、半導体層1のうちU字形の二つのゲートを結ぶ部分を画素開口領域内に配置し、様々な形状及びレイアウトが可能である突出部6bを画素電極9aと平面的に見て重ならないように配置しているので、当該データ線6の突出部6bと画素電極9aとの間で寄生容量が生じることがないため、寄生容量に起因する横ラインむらの発生を抑制することができる。逆に、このようなデュアルゲート構造のTFTは、データ線6から画素電極9aまでの距離を短くできるので、基本的に画素開口率を高くできると共にオフ時のリーク電流が少ないので、一般に画素スイッチング用のTFTに適している。
以上詳細に説明したように第1実施形態によれば、データ線同一色方式のデルタ配列の液晶装置において、データ線の引き回しを少なくしつつTFT30を効率的に遮光することにより、データ線上の画像信号におけるS/N(信号/雑音)比の向上を図ることができ、しかも画素開口率を高く維持しつつ且つデータ線6と画素電極9aとの間の寄生容量を低減することにより、高品質の画像表示が可能となる。
(電気光学装置の第2実施形態)
本発明による電気光学装置の第2実施形態について図5を参照して説明する。
上述した第1実施形態における液晶装置は、対向基板20にカラーフィルタ層を備えた単板のカラー表示用液晶装置として構成されていたが、第2実施形態における液晶装置は、このカラーフィルタ層を備えない白黒或いは単色表示用の液晶装置として構成されるものである。その他の構成については、第1実施形態の場合と同様であるので、図5中、図4と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。尚、図5は、図4に示したA−A’断面に対応する断面図により、当該カラーフィルタ層を備えない第2実施形態を示したものである。
図5において、対向基板20には、第2遮光膜23、対向電極21及び配向膜22が形成されており、カラーフィルタ層やオーバーコート層については形成されていない。従って、第2実施形態における液晶装置を用いて単板型のカラープロジェクタ等を作成する場合は、TFTアレイ基板10上に設けた各画素毎に対応するようにマイクロレンズを対向基板20に設けて、光の入射方向を変えることで色分離させることにより、カラーフィルタ層を有しない液晶装置でも単板でカラー表示させることができる。また、第2実施形態における液晶装置を用いて単板型の白黒プロジェクタや3枚組み合わせによる高画質のカラープロジェクタを作成できることは言うまでもない。
(電気光学装置の第3実施形態)
本発明による電気光学装置の第3実施形態について図6を参照して説明する。
上述した第1又は第2実施形態では、画素スイッチング用TFT30、走査線3a、容量線3b、データ線6等を形成した積層領域における他の領域に対する段差に対して、何等の平坦化処理も施していないが、第3実施形態では、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜4及び第2層間絶縁膜7並びにTFTアレイ基板10のうち少なくとも一つは、少なくともデータ線6及び前記走査線3a並びに前記容量線3bに対向する領域の少なくとも一部分が凹状に窪んで形成されている。この結果、画素電極9aの下地表面が平坦化されている。その他の構成については、第2実施形態の場合と同様であるので、図中同一の構成要素には同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。尚、図6は、図4に示したA−A’断面に対応する断面図により、当該カラーフィルタ層を備えない実施形態を示したものである。
図6に示すように、第3実施形態では、第2層間絶縁膜7の表面が平坦化されている。このような第2層間絶縁膜7は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理や有機SOG(Spin On Glass)膜や無機SOG膜、有機膜のスピンコート処理等により平坦化されている。この結果、データ線6の本線部6a及び突出部6bに重ねて走査線3a、TFT30、容量線3b等が形成される領域と画素開口領域との段差が低減される。このようにして画素電極9aの下地表面が平坦化されているので、画素電極9aを平坦化でき、当該平坦化の度合いに応じて画素電極9aの表面の凹凸により引き起こされる液晶のディスクリネーション(配向不良)を低減できる。この結果、第4実施形態によれば、より高品位の画像表示が可能となり、画素開口領域を広げることも可能となる。
尚、第1層間絶縁膜4、第2層間絶縁膜7、下地絶縁膜12及びTFTアレイ基板10におけるデータ線6及び前記走査線3a並びに前記容量線3bに対向する領域の少なくとも一部分を凹状に窪めて形成しても同様の平坦化の効果が得られる。各層間絶縁膜を凹状に形成する方法としては、各層間絶縁膜を二層構造として、一層のみからなる薄い部分を凹状の窪み部分として二層の厚い部分を凹状の土手部分とするように薄膜形成及びエッチングを行なえばよい。或いは、各層間絶縁膜を単一層構造として、エッチングにより凹状の窪みを開孔するようにしてもよい。これらの場合、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングを用いると、設計寸法通りに凹状部分を形成できる利点がある。一方、少なくもとウエットエッチングを単独で又はドライエッチングと組み合わせて用いた場合には、凹状の窪みの側壁面をテーパ状に形成できるため、後工程で凹状の窪み内に形成されるポリシリコン膜、レジスト等の側壁周囲への残留を低減できるので、歩留まりの低下を招かない利点が得られる。
(電気光学装置の第4実施形態)
本発明による電気光学装置の第4実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
上述した第1から第3実施形態では、TFTアレイ基板10側からの戻り光等に対する遮光のための遮光膜が、画素スイッチング用TFT30の下側に設けられていないが、第4実施形態では、このような遮光膜がTFTアレイ基板10と下地絶縁膜12との間に形成されている。その他の構成については、第2及び第3実施形態の場合と同様であるので、図中同一の構成要素には同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。尚、図7は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図8は、図7のB−B’断面図である。
図7に示すように、図中右上がりの斜線で示した領域には、縞状配線部を含む第1遮光膜11aが、走査線3a及びTFT30の下側を通るように設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aの縞状配線部は夫々、走査線3a下を走査線3aに沿って直線状に伸びている。特にチャネル領域1a及び1a’を含むTFT30をTFTアレイ基板10の側(即ち、TFT30の下側)から見て覆うように、走査線3aがデータ線6と交差する箇所では、TFT30の下側においてデータ線6に沿って上方に若干幅広に形成されており、それ以外の個所は、走査線3aよりも平面的に若干幅狭に(即ち、図7で走査線3aの下方に寄って)形成されることにより、第1遮光膜11aに対向基板から入射した光ができるだけ照射されないように構成されている。
更に、この第1遮光膜11aにより、画素開口領域の輪郭を規定する機能の一部又は全部を持たせることも可能となるので、データ線6に画素開口領域の輪郭を規定する機能の全てを持たせなくて済む。従って、データ線6の本線部6aや突出部6bの形状や位置の自由度が格段に増すため、結果として画素開口領域を広げることが可能となる。
図8に示すように、デュアルゲート構造のTFT30の二つのチャネル領域1a及び1a’に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各デュアルゲート構造のTFT30との間に、第1遮光膜11aが各々設けられている。第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi(チタン)、Cr、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPd(鉛)のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われるデュアルゲート構造のTFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等がデュアルゲート構造のTFT30のチャネル領域1a及び1a’等に入射する事態を未然に防ぐことができる。尚、このような構成においては、第1遮光膜11aと画素スイッチング用TFT30との間にある下地絶縁膜12は、前述の画素スイッチング用TFT30の下地膜としての機能のほかに、半導体層1を第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。
本実施形態では好ましくは、第1遮光膜11aは定電位源に電気的接続されており、定電位とされる。従って、第1遮光膜11aに対向配置されるデュアルゲート構造のTFT30に対し第1遮光膜11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。この場合、定電位源としては、当該液晶装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部入力端子を設ける必要なく、第1遮光膜11aを定電位にできる。
本実施の形態では特に、第1遮光膜11aの縞状配線部は、走査線3aに沿って夫々伸延しており、しかも、データ線6に沿った方向に対し分断されている。このため、例えば各画素開口領域の周りに一体的に形成された格子状の遮光膜を配設した場合と比較して、第1遮光膜11a、走査線3a及び容量線3bを形成するポリシリコン膜等の半導体層1、データ線6を形成する金属膜、層間絶縁膜等からなる当該液晶装置の積層構造において、各膜の物性の違いに起因した製造プロセス中の加熱冷却に伴い発生するストレスが格段に緩和される。このため、第1遮光膜11a等におけるクラックの発生防止や歩留まりの向上が図られる。
以上説明した第4実施形態における液晶装置では、従来と同様に入射光を対向基板20の側から入射することとしたが、第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板10の側から入射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしても良い。即ち、このように液晶装置を液晶プロジェクタに取り付けても、半導体層1のチャネル領域及びLDD領域に光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR(Anti Reflection)被膜された偏光板を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、第4実施形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1の少なくともチャネル領域及びLDD領域との間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光板やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、各実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光板貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。
更に本実施形態では、第1遮光膜11aは、ドレインと画素電極9aとを接続するコンタクトホール8の下には、設けられていない。このため、半導体層1の下に第1遮光膜11aを設けるとストレスが比較的強く発生するが、コンタクトホール8を開孔した際に、その周囲にストレスが発散してクラックや変形の原因となることを回避でき、更に、その周囲にある容量線3bにおける絶縁膜の耐圧が悪くなる事態を回避できるので、このような構成は、実用上有利である。
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された電気光学装置の各実施形態における液晶装置の全体構成を図9及び図10を参照して説明する。尚、図9は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図10は、図9のH−H’断面図である。
図9において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成り、画像表示領域の周辺を規定する額縁としての第3遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域の辺に沿って両側に配列してもよい。例えば奇数列のデータ線6は画像表示領域の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列のデータ線は前記画像表示領域の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。この様にデータ線6を櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路の占有面積を拡張することができるため、複雑な回路を構成することが可能となる。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図10に示すように、図9に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
以上図1から図10を参照して説明した各実施形態における液晶装置のTFTアレイ基板10上には更に、サンプリング回路301によるデータ線6への画像信号の書き込み負担を軽減すべく画像信号に先行して所定電位のプリチャージ信号を各データ線6に書き込むプリチャージ回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104及び検査回路401をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
以上説明した各実施形態の液晶装置において、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。また、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
以上説明した各実施形態における液晶装置では、データ線6、第1遮光膜11a或いは第2遮光膜23等により、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
尚、各画素に設けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、各実施の形態は有効である。(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶装置100を備えた電子機器の実施の形態について図13から図15を参照して説明する。
先ず図13に、このように液晶装置100を備えた電子機器の概略構成を示す。
図13において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶装置100、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶装置100を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶装置100を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
次に図14から図15に、このように構成された電子機器の具体例を各々示す。
図14において、電子機器の一例たる液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶表示モジュールを3個用意し、各々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに各々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
図15において、電子機器の他の例たるマルチメディア対応のラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)1200は、上述した液晶装置100がトップカバーケース内に設けられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
以上図14から図15を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図13に示した電子機器の例として挙げられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、製造効率が高く高品位の画像表示が可能な液晶装置を備えた各種の電子機器を実現できる。
本発明によれば、データ線同一色方式のデルタ配列のTFTアクティブマトリクス駆動方式の電気光学装置において、TFTアレイ基板上で1走査線毎に0.5画素ずつずれて配列された画素電極に対応して蛇行する本線部とこの本線部から突出した突出部により、画素部におけるTFTを対向基板の側から覆うように構成したので、データ線の引き回しを少なくしつつTFTを効率的に遮光することが可能となり、高品質の画像表示が可能となる。これに加えて、画素開口率を高く維持しつつデータ線と画素電極との間における寄生容量を低減できるため、より高品位の画像表示が可能となる。
1…半導体層、1a,1a’…チャネル領域、1b,1b’…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)、1c,1c’…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)、1d,1d’…高濃度ソース領域、1e,1e’…高濃度ドレイン領域、1f…第1蓄積容量電極、2…絶縁膜、3a…走査線、3b…容量線、4…第1層間絶縁膜、5…コンタクトホール、6…データ線、6a…本線部、6b…突出部、7…第2層間絶縁膜、8…コンタクトホール、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、12…下地絶縁膜、16…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、22…配向膜、30…TFT、50…液晶層、70…蓄積容量、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路。