JP4370401B2 - 製錬炉およびこれを用いた白金族元素の回収法 - Google Patents

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Description

本発明は,鉄皮と水膜流によって耐火物に代わる炉壁を構成した金属製錬炉に係り,さ
らにはこの製錬炉を用いた白金族元素の回収法に関する。
金属製錬炉は操業中の炉内温度が1000℃を超えることが殆んどであり,このために熱の遮蔽手段や冷却手段によって炉体を保護することが必要となる。このような炉体の保護法として,従来より,炉の内壁面に耐火物材料を内張りすることが最も一般的に行なわれ,また炉の外壁面に送風したり水冷ジャケットや油冷ジャケットなどを配置して冷却す
ることも行なわれている。
炉内を保護する耐火物材料は,高温または侵蝕等の過酷な環境下に曝されるので,崩落や溶失などの損傷を受け,それが限度を超えると操業を止めて補修工事を必要とする。炉内に装入された酸化物原料を炭素質還元剤で還元してメタル溶湯を得る製錬炉では,とく
に炉内の耐火物の損傷が起きやすく,その修復には多大の費用が必要とされていた。
同一出願人らによる特許文献1や特許文献2には,電極を備えた製錬炉(電気炉)に,白金族元素同伴の酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスを装入し,これらの炉内装入物を該電極により通電加熱して溶融および還元処理する方法が記載されている。このような電気炉の内壁を十分な厚さの耐火物材料でライニングを施しておいても,溶融スラグ層が存在する高さレベルや,それより上部のレベルの内壁の耐火物が著
しい損傷を受けることを本発明者らは知った。
特開平4−317423号公報 特開2000−248322号公報
したがって,本発明は,炉内に装入された酸化物原料を炭素質還元剤で還元してメタル溶湯を得る製錬炉において,少なくとも溶融スラグレベルの高さ部分を含む内壁の損傷を回避することを主たる目的とし,より具体的には,電極を備えた製錬炉(電気炉)に,白金族元素同伴の酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスを装入して製錬するさいの内壁の損傷の問題を回避して,操業性よく白金族元素を回収できる方法を
提供しようとするものである。
本発明によれば,炉内に装入された酸化物原料を炭素質還元剤で還元してメタル溶湯を得る製錬炉において,炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成し,この鉄皮の外側に,その外側表面と接して下降する水膜流を形成し,さらにはこの鉄皮の炉内側表面に,炉内融解物の凝固層からなるセルフコーティング層を生成したことを特徴とする製錬炉を提供する。ここで,鉄皮の外側表面と接して下降する水膜流は,該炉壁の外側上部に設置されたヘッダーから,該鉄皮の同高さレベルの全外周に向けて,所定の水頭圧の水が均等に配分されることによって形成されるのがよい。この製錬炉は,炉内装入材料を通電加熱するための電極と,炉内装入物を外気雰囲気と実質的に遮断する
ための蓋体とを備えた密閉型の電気炉であることができる。
さらに本発明によれば,前記の製錬炉を用いた白金族元素の回収法を提供する。具体的には,炉内装入材料を通電加熱するための電極と,炉内装入物を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体とを備えた密閉型の電気炉であって,炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成し,この鉄皮の外側に,その外側表面と接して下降する水膜流を形成した本発明に従う電気炉を使用したうえで,この電気炉に,白金族元素同伴の酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスを装入し,これらの炉内装入物を該電極により通電加熱して溶融および還元処理して溶融スラグ層の下方にメタル溶湯の層を形成させ,このメタル溶湯中に白金族元素を濃縮させること,そして,この操業中に前記の鉄皮の内側表面に炉内融解物の凝固層からなるセルフコーティング層を
生成させることを特徴とする白金族元素の回収法を提供する。
この白金族元素の回収法において,酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスをいずれも粉粒状物の形態で準備し,これらの粉粒状物を予め混合した上で該電気炉に装入するのがよく,また,炉内装入物の加熱溶融のあと,1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上保持する静置工程を設けた上で,白金族元素含有のメタル溶湯を炉外に排出するのがよい。そのさい,炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲を,Al23 :20〜40wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35
wt%,FeO:0〜35wt%に制御するのが好ましい。
図1に,本発明に従う製錬炉の例を示した。図1の製錬炉は,炉内装入材料1を通電加熱するための電極2と,炉内装入物1を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体3を炉本体4の上部に備えた密閉型の電気炉である。炉内装入材料1は酸化物原料,炭素質還元剤およびフラックスの混合物からなっている。炉内装入材料1は電極2からの通電によって融解され,溶融スラグ層5を形成すると同時に,酸化物が還元されて生成したメタル溶湯6が,溶融スラグ層5の下方に貯留する。生成した溶融スラグ層5およびメタル溶湯6はスラグタッピング口およびメタルタッピング口8を通じて適宜炉外に排出される。図には示されていないが,炉内で発生したガスは排ガス経路を通じて炉外に排出される。図1
において,9は材料投入用シュートを示している。
本発明は,このような金属製錬炉において,炉内で生成する溶融スラグ層5の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮10で構成し,この鉄皮10の外側に,その外側表面と接して下降する水膜流11を形成する。図示の例では,炉本体4を構成している炉壁(炉底および天井部の蓋3を除く炉の壁部)が全体的に鉄皮10で構成されている。すなわち,溶融スラグ層5が存在する高さレベルはもちろんのこと,これより上方の炉壁(蓋3と接する部位までの炉壁)も鉄皮10で構成されている。図2はこの状態を図解的に示したものであ
る。
図2では炉壁の全体を円筒状の鉄皮10で構成している。このように円筒状の鉄皮10で炉壁を構成した場合には,この鉄皮10の外側上部に,鉄皮10を取り巻くように且つ鉄皮10から一定の距離だけ離して,環状のヘッダー12を設置し,同様に鉄皮10の外側下部に,鉄皮10を取り巻くように且つ鉄皮10に接して環状樋13を設置する。ヘッダー12からは鉄皮10の外側周面全体に向けて一様に水を噴出させ,これによって,鉄皮10の外表面を伝って落ちるカーテン状の水膜流を形成させ,この落下してくる水膜流
を環状樋13で受ける。
このように,鉄皮10の外表面に連続した水膜流11(図1)を形成することにより,鉄皮10の内側表面が連続的に冷却されるので,炉内で生成している溶融スラグが凝固して,所定の厚みのセルフコーティング層14(図1)を形成する。このセルフコーティング層14は,炉内の溶融スラグ層7の存在レベルのみならず,これより上方の内面にも同様に形成することもある。したがって,築炉のさいに,炉壁のライニングを省略しても,鉄皮10の内側には該スラグの凝固層からなるセルフコーティング層14が主として溶融スラグ相7のレベルに形成され,これがライニングの役割を果たす。このセルフコーティング層14は操業の途中で一部が損傷を受けることがあっても,その損傷部は操業中に自然に回復するので,耐火物でライニングする場合のように,損傷部の補修工事を必要とす
ることは殆んどない。
図3は,連続した水膜流11を鉄皮10の外側表面に形成させる場合の水処理系統を図解的に示したものである。図3に示すように,軸を水平にして鉄皮10の周面に配置されるヘッダー12には鉄皮10の側にスリット状のノズル口15が設けられている。ヘッダー12に所定の水頭圧をもつ冷却水が供給されることにより,スリット状のノズル口15から冷却水が鉄皮10の方向に向けて水平方向に水膜状に流れ出し,放物線を描きながら落下する定常的な環状流を形成する。この定常的な環状流が自然に鉄皮10の円筒表面と接するように,すなわち,その環状流が鉄皮10の表面で跳ね返るような現象が起きず且つ鉄皮10に到達したあと落下する過程で鉄皮10から離れたり,枝分かれや収束流になったりせずに,自然な広がりをもって鉄皮10全体を覆って流れるように,鉄皮10とノズル口15との距離,ノズル口の大きさ,ヘッダー内の水圧および供給水量等が決められる。また,このための冷却水の温度制御や水量・水圧の制御は以下のようにして行なわれ
る。
鉄皮10の外側表面を伝って流れ落ちる水膜流11は環状樋13で受け止められたあと貯留槽16に一たん収容される。この貯留槽16には補給水路17から蒸発損に相当する補給水が補給される。貯留槽16内の温水は,ポンプ18によって冷却塔19の散水装置20に送水され,この冷却塔19で温水が外気と熱交換されることにより冷却される。この冷却された水が定量ポンプ21によって水頭槽22に汲み上げられた上でヘッダー12内に供給される。その際,ヘッダー12内における水面レベルが一定となるように,水頭槽22からヘッダー12に送り込む水量が制御される。これによって,ノズル口15からは一定圧力の冷却水が吐出するので,鉄皮10の表面に連続した水膜流11が定常的に形成される。そして,この水膜流11が定常的に形成されることにより,セルフコーティン
グ層14が一定の厚さをもって鉄皮10の内側に保持される。
以下に,このような製錬炉を用いると,使用済み廃触媒等から白金族元素等の有用金属
を効率よく回収する製錬が実現できる。以下にその回収法を説明する。
前掲のように,特許文献1および2には,電極を備えた製錬炉(電気炉)に,白金族元素同伴の酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスを装入し,これらの炉内装入物を該電極により通電加熱して溶融および還元処理する方法が記載されている。本発明者らは,この方法の実施において,電気炉の内壁を十分な厚さの耐火物材料でライニングを施しておいても,また溶融スラグ層とそれより上部位置の気相の層とに適切な耐火物を使い分けてライニングを施しても,溶融スラグ層が存在する高さレベルや,それ
より上部のレベルの内壁の耐火物が著しい損傷を受けることを経験した。
本発明によれば,本発明に従う電気炉(例えば図1)に,炉内装入物原料1として,白金族元素同伴の酸化物系原料,酸化銅,固形の炭素質還元材およびフラックスを装入し,これらの炉内装入物1を該電極2により通電加熱して溶融および還元処理して溶融スラグ層5の下方にメタル溶湯6の層を形成させ,このこのメタル溶湯6中に白金族元素を濃縮させると,鉄皮10の内側にはセルフコーティング層14が形成され,このセルフコーティング層14で鉄皮10が保護された状態で,効率よく連続操業ができることがわかった
このような電気炉により,以下のような操業の態様が実現できる。
まず,本発明でいう白金族元素含有の被処理物質とは,たとえばプラチナ,パラジウム等を含有する使用済み石油化学系廃触媒,プラチナ,パラジウムさらにロジウム等を含有する使用済みの自動車排ガス浄化用廃触媒はもとより,それらの触媒の製造工程から得られるロットアウト品やスクラップ等も含まれ,その他,パラジウム等を含有する使用済みの電子基板,デンタル部品,リードフレーム等も含まれる。このような白金族元素含有の被処理物質は,通常は金属酸化物やセラミツクスに微量の白金族元素が担持された状態に
ある。
これら白金族元素含有の被処理物質を,酸化銅含有の銅源材料,フラックスおよび炭素質還元剤と共に製錬炉に装入して溶融し,形成される酸化物主体の溶融スラグ層の下方に金属銅主体の溶融メタル層を沈降させ,下方に沈降した溶融メタル層に白金族元素を濃縮させるのであるが,そのさい,本発明においては,次のような特徴的な態様を採用するこ
とができる。
1.製錬炉として鉄皮で炉壁を構成し,該鉄皮の外側表面に連続した水膜流を形成させ,該鉄皮の内側表面に溶融スラグが凝固したセルフコーティング層を形成する密閉型の電気
炉を使用する。
2.白金族元素含有の被処理物質,酸化銅含有の銅源材料,固形の炭素質還元材およびフラックスはいずれも粉粒状物の形態で準備し,これらの粉粒状物を予め混合された上で該
電気炉に装入する。
3.炉内装入物の加熱溶融のあと,1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上
保持する静置工程を設けたあとで,白金族元素含有のメタル溶湯を炉外に排出する。
4.炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲が,Al23 :20〜30wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35wt%,FeO:0〜35wt%となるよう
に原料配合を調整する。
5.白金族元素同伴の酸化物系原料に含まれるAl,SiおよびFeの少なくとも1種の酸化物の含有量を予め分析して把握しておき,これらの酸化物の含有量に応じて炉に装入するフラックス成分組成を調整することにより,前記の酸化物原料の成分組成を制御する

6.メタル溶湯と分離されるスラグが,
Al:10〜22wt%,
Si:10〜16wt%,
Ca:14〜22wt%,
Fe:27wt%以下(0%を含む),
Pt:10ppm以下,
残部が実質的に酸素からなる成分組成となるように調整する。
以下にこれらの態様を具体的に説明する。
白金族元素を含有の被処理物質(PGM含有物質という)に,フラックス成分(例えばシリカ,酸化カルシウム,炭酸カルシウム等),炭素質還元剤(例えばコークス粉)および銅源材料(銅または酸化銅)を適切な比率で混合して電気炉に装入する。フラックス成分の混合比は,PGM含有物質の組成によっても異なるが,加熱溶融後のガラス状の酸化物(電気炉スラグ)の組成が,Al23 :20〜40wt%,SiO2:25〜35wt%,CaO:20〜35wt%となるように配合することが好ましい。炉内で生成するスラグ系酸化物は,結局のところ炉内に装入するPGM含有物質とフラックス成分によって決まる。炭素質還元剤は酸化物としてスラグに残存しないし,銅源材料として装入される酸化
銅の実質的に全ては金属銅に還元されるからである。
したがって,原理的には,PGM含有物質とフラックスの配合により炉内で生成するスラグ系酸化物の組成範囲を決めることが可能となる。しかし,このためには,炉内でのメルトダウン,還元反応,スラグ・メタルの相分離などが良好に行なわれることが前提となる。この前提条件は,前記の態様2のように,炉内への装入原料をいずれも粉粒状物の形態で準備し,これらの粉粒状物を予め混合された上で該電気炉に装入することによって満たされることがわかった。より具体的には,電気炉に装入する金属銅または酸化銅については,その径が0.1mm以上10mm未満であることが好ましく,PGM含有物質についてもその50wt%が10mm未満の径を有することが好ましい。そして,これらを粉状のフラックスおよび粉状の炭素質還元剤と均一に混合し,その混合粉を炉内に装入するのが
よい。
還元剤は酸化銅を金属銅に還元することを主目的として使用される。還元剤としては代表的にはコークスを使用するが,貴金属やPGMを含有する卑金属類を使用することも可能であり,この場合には,卑金属中の貴金属やPGMも同時に回収することができる。樹脂,活性炭なども還元剤として使用可能である。銅源材料はPGMを溶かし込む媒体とし
て使用されるが,金属銅そのものでもよいが,酸化銅も使用することができる。
これらの装入原料を用いた電気炉操業ではまず装入原料を加熱溶融(メルトダウン)する。加熱溶融の温度は1200℃〜1700℃,好ましくは1300℃〜1550℃である。1200℃未満ではスラグの溶融が完全とはならず粘性も高まってPGMの回収率が下がる。しかし1700℃を越えるとエネルギーの浪費はもちろん電気炉の炉体の破損を招く要因となるので好ましくない。このメルトダウンによって,PGM含有物質の殆どを占めているPGMの担体材料(アルミナ他の酸化物)はガラス状の溶融スラグとなって浮遊し,酸化銅はコークス等により還元されて金属銅となり,比重差によりスラグ中を沈降
して溶融した金属銅の層(メタル溶湯)を形成する。
炉内への装入物のチャージが完了したあとは,炉内を密閉雰囲気にして通電加熱して炉内装入物を加熱溶融するが,この加熱溶融のあとは,前記の態様3のように,1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上保持する静置工程を設けることが好ましい。スラグ,メルトダウンからメタル溶湯の排出までに少なくとも5時間以上の静置工程を設けるのである。装入原料を粉粒状物の混合体とし且つこの静置工程を設けると金属銅が殆ん
どである電気炉内のメタル溶湯中に高い回収率でPGMを取り込むことができる。
静置工程の温度が1200℃未満では静置時間を長くしてもPGMの回収率は十分ではなく,また1500℃を越えてもPGM回収率の向上は期待できず,炉の損傷を招くようになる。1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間静置することによりPGMの殆どが回収されるが,あまり静置時間が長くしても回収率の向上傾向は飽和に達する。このために例えば約5〜10時間程度の静置時間を取って静置工程を終えるのが,熱経済でも
ある。
この金属銅がスラグ中を沈降する過程でPGMが金属銅に吸収されるが,このときのPGMの金属銅への回収率は,メルトダウン後の材料温度および静置時間によって変動し,さらには,炉内に投入する金属銅または酸化銅の粒径,炉内に投入するPGM含有物質の
粒径等によって変動するので,前記のように適切に管理することが肝要となる。
このようにして,本発明によると,静置工程を適切に管理し,また装入原料を粒状物として混合して炉に装入すると,金属銅が殆んどである電気炉内のメタル溶湯中に高い回収率でPGMを取り込むことができる。この理由はついては明確ではないが,次のように考
えることができる。
PGM含有物質の殆どを占めている担体材料(アルミナ等の酸化物)がフラックスとともに溶融された時点で適度な粘性を有するスラグとして分散されるが,そこに,装入された金属銅または還元剤によって還元された金属銅もスラグ中に分散され,とくに,粒状物として混合された場合にはその分散が良好となり,スラグ中に分散浮遊しているPGMを吸収し,自重で下層の金属銅中に沈降し金属銅層に吸収される。この現象はメルトダウンから開始するが,その後の静置時の温度が低いと(例えば1200℃未満では)スラグの粘性が大きくなって,その中に存在するPGMも金属銅も運動量が少なくなり,そのまま浮遊状態を続けることになる。一方,静置時の温度が高すぎると(例えば1500℃を越
えると)加熱エネルギーが必要以上に消費される結果となり不経済である。
このように考えると,静置工程では,適正な粘性を有し且つPGMが全体的に分散したスラグ中に,溶融した金属銅がスラグ中に適正に分散された状態で且つゆっくりした速度でしかも適正な運動量をもって沈降することが肝要であることになる。分散状態を良好にするには,装入原料を粒状化して混合しておくことが必要となり,粘性を適正にするにはフラックス成分の添加量と成分の調整,並びに温度管理が肝要となる。この静置には,溶融した金属銅の実質的に全てがスラグ中を沈降し終えるに十分な時間を与えることが必要となり,もはや酸化銅の還元が進行せず且つ溶融した金属銅が沈降し終えれば,PGMは下層のメタル溶湯には吸収されなくなる。この条件を満たす本発明法によれば,PGMが
高い回収率でメタル溶湯に吸収させることができる。
静置工程を終えたら,炉内のスラグは一部を残したまま,大半は炉外に流出させて廃棄すればよい。操業時間を短縮したい場合には,電気炉を並列に2基用意し,第1の電気炉で静置状態としている間に第2の電気炉に原料装入と加熱溶融を行い,両者を交互に実施すればよい。また,加熱溶融した炉内物を,別の静置炉に移して,ここで静置工程を実施
することもできる。
炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲は,Al23 :20〜40wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35wt%,FeO:0〜35wt%となるように原料配合を調整するのが好ましいが,これは,PGM含有物質に含まれるAl,SiおよびFeの各酸化物の含有量を予め分析して把握しておき,これらの酸化物の含有量に応じ
て炉に装入するフラックス成分組成を調整するのが好ましい。
より具体的には,PGM含有物質を,炉に装入する前に5mm以下の粒状物に粉砕し,この粉砕混合された被処理原料から分析用サンプルを採集する。その分析値とフラックス成分(Al23 ,SiO2,CaOおよびFeOの群から選ばれる少なくとも1種を使用する)の調整によって,炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲を,前記の態
様4のように,
Al23 :20〜40wt%,
SiO2:25〜40wt%,
CaO:20〜35wt%,
FeO:0〜35wt%
に制御する。
これによって,メタル溶湯と分離されたスラグ系酸化物は,前記の態様5のように,
Al:10〜22wt%,
Si:10〜16wt%,
Ca:14〜22wt%,
Fe:27wt%以下(0%を含む),
Pt:10ppm以下,
残部は実質的に酸素からなる成分組成のものとすることができる。
スラグ系酸化物の成分組成が前記のようにAl23 :20〜40wt%,SiO2:25〜40wt%,CaO:20〜35wt%,FeO:0〜35wt%であると,適度な粘性を有し且つ分散して流れやすいスラグとなり,比重分離の過程で,被処理原料中に混在していた白金族元素が溶融金属銅に吸収され易くなる。これによって,処理末期の最終的なスラグは,前記のように,Al:10〜22wt%,Si:10〜16wt%,Ca:14〜22wt%,Fe:27wt%以下(0%を含む),Pt:10ppm以下,残部は実質的に酸
素からなる。
電気炉で生成するスラグが前記の制御範囲を外れると,例えばAl23 が40wt%を越えると,極端にスラグの粘性が上がり,その結果,白金族元素と,酸化銅から還元された溶融金属銅との接触速度が遅くなり,白金族元素を吸収した溶融金属銅がスラグ中に浮遊しやすくなることがその原因であろうと考えられるが,白金族元素のメタル溶湯への吸
収率が低下する。好ましいAl23 の範囲は20〜30wt%である。
前記の静置工程のあとは,上層のスラグはその一部を炉内に残したまま,大半は炉外に流出させて廃棄する。つぎに白金族元素を吸収したメタル溶湯を電気炉から出湯し,溶融状態で酸化を行う炉に移し入れて白金族元素の濃縮を図る。このためには,酸化炉で酸素ガスまたは酸素含有ガスによって該溶湯を酸化処理し,主として酸化銅からなる酸化物層と,白金族元素が濃縮した主として金属銅からなるメタル溶湯に比重差で分離する。酸化処理は1100℃〜1600℃の温度,好ましくは1200℃〜1500℃の温度に維持しながら,酸素ガスまたは酸素含有ガスを導入して行う。1100℃未満では酸化速度が低く,逆に1600℃を越すと炉体の破損が生じる。酸化処理のあとは上層の酸化物層は炉を傾けて炉外に流出分離し,次いで,下層の白金族元素が濃縮したメタル溶湯も炉外に
流出させて次回収工程へ送る。
この酸化処理の終了時に,通常は上層の酸化物層を流出させた後,その減量分,電気炉から新たに白金族元素を吸収したメタル溶湯を受入れ,炉内に残存しているメタル溶湯と合わせ湯にしたうえで,酸化処理を繰り返す。その繰り返しにより,下層のメタル溶湯中の白金族元素の含有量が10%〜75%となった時点で始めて酸化炉から該メタル溶湯を
出湯して,次工程の白金族元素採集工程に回すのがよい。
また酸化炉から流出させた酸化物層については,殆どが酸化銅であるのでこれを炉から流出させて冷却固化したあと,電気炉への銅源材料として再利用することができる。これによって,酸化物層に同伴していた白金族元素も回収できる。この酸化物を溶融状態から急水冷することによって水砕化することができ,これによって0.1mm以上10mm以
下の粒状物とすることができ,電気炉への装入原料として好適なものとなる。
〔実施例1〕
平均でPt約1200ppm,Pd約300ppm,Rh約90ppm含有した自動車排ガス浄化用廃触媒(平均でAl23 約38.5wt%,SiO2約39.6wt%,MgO約12.5wt%含有する)を10mm以下に破砕した。この粒状の廃触媒1000kgに,フラックス成分としてのCaO500kgとSiO2100kg,還元剤としてのコークス30kg,および酸化銅(0.1mm以上10mm以下の粒状物が約80wt%)3
00kgを混合し,電気炉に装入した。
使用した電気炉は,外径が約5m,高さが約2.2mの円筒状の鉄皮10によって炉壁を構成したものであり,鉄皮10の材質としては厚さ22mmの炭素鋼板を用いたものである。ヘッダー12から流出させる水量は全体で36m3/hrとし,ヘッダー12から流出するときの温度は45℃以下とした。炉の操業中は鉄皮10の内側に約30〜50mm
のセルフコーティング層14が形成されていることが推定された。
この装入物を電気炉内で約1500℃で加熱溶融した。メルトダウンのあと,材料温度が約1400℃に保たれるように通電しながら静置し,1時間ごとに上層のスラグの一部を電気炉の側面より流出させ,冷却固化させた。この操作をメルトダウン後20時間まで行い,各時間ごとに採集されたスラグ中のPGMを分析した。その分析結果を表1に示し
た。
表1の結果から,この保持温度では静置時間が5時間以内では相当量のPt,PdおよびRhがスラグに残存するが,5時間を越えると非常に少なくなり,ほぼ8時間程度でそ
の傾向はほぼ停止することがわかる。
〔実施例2〕
保持温度を1200℃,静置時間を5時間とした以外は,実施例1を繰り返した。実施例1と同様にスラグ中のPGMを分析したところ,表1に示したようにPt:0.9pp
m,Pd:0.2ppm,Rh:0.1ppm以下であった。
〔実施例3〕
保持温度を1300℃,静置時間を5時間とした以外は,実施例1を繰り返した。実施例1と同様にスラグ中のPGMを分析したところ,表1に示したようにPt:0.7pp
m,Pd:0.1ppm,Rh:0.1ppm以下であった。
〔比較例1〕
保持温度を1100℃,静置時間を5時間とした以外は,実施例1を繰り返した。実施例1と同様にスラグ中のPGMを分析したところ,表1に示したようにPt:2.5ppm,Pd:0.9ppm,Rh:0.2ppmであり,保持温度が1200℃未満ではP
GMをスラグから十分にメタル中に移行できなかった。
〔比較例2〕
保持温度を1550℃,静置時間を5時間とした以外は,実施例1を繰り返した。実施例1と同様にスラグ中のPGMを分析したところ,表1に示したようにPt:1.5ppm,Pd:0.4ppm,Rh:0.1ppmであり,保持温度が1500℃を越えても
PGMをスラグから十分にメタル中に移行できなかった。
Figure 0004370401
〔実施例4〕
実施例1と同様に処理して1400℃で8時間静置した段階で,電気炉から溶融メタルをタッピングし,これを加熱された酸化炉内に導いた。該酸化炉内の溶融メタルに対し,酸素濃度40%の酸化富化空気を溶湯表面に吹付け,溶湯の表面にほぼ1cm厚みの酸化物層が形成された時点で,炉を傾けてその酸化物の層を炉から排出し,大量の水が流れる水槽中に投入した。その後,再び炉を元にもどして同様の酸素富化空気を溶湯表面に吹付け,酸化物の層がほぼ1cm厚みに達したところで,それを水槽中に投入する操作を繰り返した。この水冷により粒径が10mm以下の水砕が形成された。このものは,電気炉装
入用原料の一部としての酸化銅として使用することができるものである。
酸化物の層を炉外に排出したあとの酸化炉内の溶融メタルに対し,電気炉側において実施例2に相当する処理を終えた溶融メタルを追加し,この合湯の表面に前記同様の酸素富化空気を吹付けた。そして,酸化物層の厚みがほぼ1cmに達した時点で酸化炉外に排出する操作を2回繰り返した。処理後の溶湯全量を酸化炉から排出して冷却固化したところ,約10.5kgの金属銅が得られ,この金属銅中のPGMの含有量は,Pt:約22wt
%,Pd:約5.5wt%,Rh:約1.5wt%であった。
〔実施例5〕
使用済のハニカム形状の自動車排ガス浄化用触媒1000kgをコンベア上に投入し,1段でジョウクラッシャー,2段でダブルロールクラッシャーに供給し,全量を5mm以下に破砕した。破砕した被処理原料の全量を3段式の2分器(1/2×1/2×1/2=1/8に縮分)2基に通し,1/64の代表試料15.5kgを採集した。残りの母体はサイロに保管した。代表試料を全量乾燥させ,水分量を測定したあと(水分量=(0.5wt%),パルベライザーでその全量を100メッシュアンダーまで粉砕し,V型混合機
で混合した後,回転型12分器を用いて100gの分析試料を得た。
この分析試料を蛍光X線分析装置にかけて酸化物を分析したところ,
Al23 :40.5wt%,
SiO2:41.6wt%,
MgO:11.5wt%,
FeO:1.5wt%であった。
電気炉で生成するスラグの目標成分組成を,
Al23 :22.3wt%,
SiO2:28.5wt%,
CaO:28.1wt%,
FeO:12.1wt%とし,
この目標成分組成となるように,前記の分析値を根拠として,サイロに保管した前記の母体984.5kgと,フラックス成分として,CaO500kg,SiO2100kg,FeO200kgを秤量した。さらに還元剤としてコークス30kgと,銅源材料として酸化銅(0.1mm以上10mm以下の粉粒状物が約80wt%)300kgを秤量し,こ
れらの4種の材料全部を混合した。
この混合物を電気炉に装入し,約1350℃で加熱溶融し,メルトダウンのあと1250〜1300℃の温度で約5時間静置したあと,上層のスラグ系酸化物を電気炉の側面より流出させ,冷却固化させた。このスラグ中の白金族元素を分析したところ,Pt=0.7ppm,Pd=0.1ppm,Rh=0.1ppm以下であり,スラグ中への白金族元
素のロスは非常に軽微であった。
また,該スラグの酸化物成分を分析したところ,
Al23 :21.5wt%,
SiO2:29.2wt%,
CaO:27.9wt%,
FeO:11.8wt%であり,各成分とも,前記の目標成分組成の±1.0wt%以内にお
さまっていた。
〔参考例1〕
フレコンの2袋に入った大小の割れた塊状のハニカム形自動車排ガス浄化用廃触媒(コンバータの破片)1000kgから15kgを代表試料としてランダムに抜き取った。この代表試料を全量乾燥させ,水分量を測定した後(水分=0.8wt%),ジョウクラッシャーで破砕した。破砕物をパルベライザーで全量を100メッシュアンダーまで粉砕し,
V型混合機で混合した後,回転型12分器を用いて100gの分析試料を得た。
この分析試料を蛍光X線分析装置にかけて酸化物の成分を分析したところ,
Al23 :37.8wt%,
SiO2:43.1wt%,
MgO:12.3wt%,
FeO:1.2wt%であった。
電気炉で生成するスラグの目標成分組成を,
Al23 :22.0wt%,
SiO2:25.1wt%,
CaO:29.1wt%,
FeO:12.6wt%とし,
この目標成分組成となるように,該分析値を根拠として,使用済の塊状のハニカム形自動車排ガス浄化用触媒(コンバータの破片)=985Kgと,フラックス成分としてCaO500Kg,FeO200Kgを秤量し,さらに還元剤としてコークス30Kg,および酸化銅(0.1mm以上10mm以下の粉粒状物が約80wt%)300Kgを秤量し,こ
れらを電気炉に装入し,1350℃で加熱溶融した。
電気炉において約1350℃で装入物を加熱溶融し,メルトダウンのあと1250〜1300℃の温度で約5時間静置したあと,上層のスラグ系酸化物を電気炉の側面より流出させ,冷却固化させた。このスラグ中の白金族元素を分析したところ,Pt=1.8ppm,Pd=0.4ppm,Rh=0.2ppmであり,実施例5の場合に比べて白金族元
素のスラグ中へのロスが多くなった。
また,該スラグの酸化物成分を分析したところ,
Al23 :23.5wt%,
SiO2:22.1wt%,
CaO:29.5wt%,
FeO:11.8wt%であった。すなわち,前記の目標成分組成とした値に比べると,A
23 とSiO2の含有量が1.5%以上ずれている結果となった。
〔実施例6〕
実施例1を実施したあとの電気炉内の白金族元素含有のメタル溶湯を電気炉下部から出湯し,これを加熱した酸化炉内に導いた。そして,酸化炉内のメタル溶湯に対して酸素40%の酸素富化空気を溶湯表面に吹きつけて酸化処理し,溶湯表面に生成する酸化物の層が約1cmの厚さとなったところで炉を傾けて該酸化物を炉外に流出させ,大量の水の流
れる水槽内に投入した。
さらに,酸化炉内のメタル溶湯に対して同様に酸素富化空気を吹き込み続け,酸化物の厚みがほぼ1cmに成長したところで,これを炉外に流出させて水冷する操作を繰り返した。この操作を5回繰り返したあと,前記の比較例1で得られた電気炉内の白金族元素含有メタル溶湯を電気炉下部より導き,この酸化炉内に導き,酸化炉内のメタル溶湯と合わせ湯にした。その後,炉内のメタル溶湯に対して同様の酸素富化空気を吹き込み,生成した酸化物を炉外に流出させて水冷する操作を繰り返した。処理後に得られたメタル溶湯を全量酸化炉から出湯させ,冷却固化し,これを分析したところ,金属銅=5.4Kgであり,白金族元素の含有量は,Pt=21.3wt%,Pd=6.7wt%,Rh=1.4wt%
であった。
本発明に従う製錬炉の要部を示す略断面図である。 本発明に従う製錬炉の炉壁の要部を示す略斜視図である。 本発明に従う製錬炉の冷却水の処理系統図である。
符号の説明
1 炉内装入物
2 電極
3 炉蓋
4 炉本体
5 溶融スラグ層
6 メタル溶湯
7 スラグ排出口
8 メタル溶湯排出口
9 材料投入用シュート
10 鉄皮
11 水膜流
12 ヘッダー
13 環状樋
14 セルフコーティング層
15 ノズル口
16 貯留槽
19 冷却塔
22 水頭槽

Claims (13)

  1. 炉内に装入された酸化物原料を炭素質還元剤で還元してメタル溶湯を得る製錬炉において、該炉が炉内装入物を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体と上方から該炉内に挿入配置され該炉内装入物を通電加熱するための電極とを備えた密閉型の電気炉であり、炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成し、最外周面とした該鉄皮外側表面と接して下降する水膜流を形成し該鉄皮の炉内側表面に接して前記スラグの凝固層からなるセルフコーティング層が生成されてなることを特徴とする製錬炉。
  2. 炉内に装入された酸化物原料を炭素質還元剤で還元してメタル溶湯を得る製錬炉において、該炉が炉内装入物を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体と上方から該炉内に挿入配置され該炉内装入物を通電加熱するための電極とを備えた密閉型の電気炉であり、炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成すると共に該溶融スラグ層の下端近傍レベルにおいて該鉄皮を取り巻くように且つ該鉄皮の外側表面に接して樋を設置し、最外周面とした該鉄皮外側表面と接して該溶融スラグ層の上端レベルより上方のレベルから該樋のレベルまで下降する水膜流を形成し該鉄皮の該溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉内側表面に接して該スラグの凝固層からなるセルフコーティング層が生成されてなることを特徴とする製錬炉。
  3. 鉄皮の外側表面と接して下降する水膜流は、該炉壁の外側上部に設置されたヘッダーから、該鉄皮の同高さレベルの全外周に向けて、所定の水頭圧の水が均等に配分されることによって形成される請求項1または2に記載の製錬炉。
  4. 炉内を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体と上方から該炉内に挿入配置され通電加熱するための電極とを備えた密閉型の電気炉からなり該炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成した製錬炉に、白金族元素同伴の酸化物原料、酸化銅、固形の炭素質還元剤およびフラックスを装入し、これらの炉内装入物を該電極により通電加熱すると共に最外周面とした該鉄皮外側表面と接して下降する水膜流を形成して、該装入物を溶融および還元処理して溶融スラグ層の下方にメタル溶湯の層を形成させこのメタル溶湯中に白金族元素を濃縮させると共に該鉄皮の炉内側表面に接して前記スラグの凝固層からなるセルフコーティング層を生成することを特徴とする該製錬炉を用いた白金族元素の回収法。
  5. 炉内を外気雰囲気と実質的に遮断するための蓋体と上方から該炉内に挿入配置され通電加熱するための電極とを備えた密閉型の電気炉からなり該炉内で生成する溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉壁を鉄皮で構成すると共に該溶融スラグ層の下端近傍レベルにおいて該鉄皮を取り巻くように且つ該鉄皮の外側表面に接して樋を設置した製錬炉に、白金族元素同伴の酸化物原料、酸化銅、固形の炭素質還元剤およびフラックスを装入し、これらの炉内装入物を該電極により通電加熱すると共に最外周面とした該鉄皮外側表面と接して該溶融スラグ層の上端レベルより上方のレベルから該樋のレベルまで下降する水膜流を形成して、該装入物を溶融および還元処理して溶融スラグ層の下方にメタル溶湯の層を形成させこのメタル溶湯中に白金族元素を濃縮させると共に該鉄皮の該溶融スラグ層の高さレベルを包含する炉内側表面に接して前記スラグの凝固層からなるセルフコーティング層を生成することを特徴とする該製錬炉を用いた白金族元素の回収法。
  6. 酸化物原料、酸化銅、固形の炭素質還元剤およびフラックスはいずれも粉粒状物の形態で準備され、これらの粉粒状物が予め混合された上で該製錬炉に装入される請求項4または5に記載の白金族元素の回収法。
  7. 炉内装入物の加熱溶融のあと、1200〜1500℃の温度に少なくとも5時間以上保持する静置工程を設けたあとで、白金族元素含有のメタル溶湯を炉外に排出する請求項4〜6のいずれかに記載の白金族元素の回収法。
  8. 炉内で生成するスラグ系酸化物の成分組成の範囲を、Al23:20〜40wt%、SiO2:25〜40wt%、CaO:20〜35wt%、FeO:0〜35wt%に制御する請求項4〜7のいずれかに記載の白金族元素の回収法。
  9. 白金族元素同伴の酸化物原料に含まれるAl、SiおよびFeの少なくとも1種の酸化物の含有量を予め分析して把握しておき、これらの酸化物の含有量に応じて炉に装入するフラックス成分組成を調整することにより、前記のスラグ系酸化物の成分組成を制御する請求項8に記載の白金族元素の回収法。
  10. フラックスは、Al23、SiO2、CaOおよびFeOの群から選ばれる少なくとも1種の成分を含む請求項9に記載の白金族元素の回収法。
  11. メタル溶湯と分離されるスラグが、
    Al:10〜22wt%、
    Si:10〜16wt%、
    Ca:14〜22wt%、
    Fe:27wt%以下(0wt%を含む)、
    Pt:10ppm以下、
    残部が実質的に酸素からなる成分組成となるように調整される請求項8または9に記載の白金族元素の回収法。
  12. スラグ系酸化物と分離されたメタル溶湯を別の炉に移して酸化処理し、酸化銅を主成分とする酸化物層と、白金族元素が濃縮された金属銅を主成分とするメタル溶湯とに比重差で分離する請求項4または5に記載の白金族元素の回収法。
  13. 請求項12における酸化銅を主成分とする酸化物層は、請求項4または5の酸化銅として再利用される請求項4または5に記載の白金族元素の回収法。
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