(通信システムの構成)
図1は、本実施の形態の通信システムの構成を示す図である。
本実施の形態の通信システムは、通信端末装置10と、通信端末装置10と公衆ネットワーク(図示せず)を介して接続された交換装置(以下、上記交換装置という)と、上位交換装置20と接続された複数の交換装置(以下、下位交換装置31,32…という)と、各下位交換装置31,32…と接続された複数の基地局41,42…と、移動端末50とを有する。
なお、本発明では、複数の下位交換装置は、複数の第1下位交換装置と、複数の第2下位交換装置であってもよい。
この場合、通信システムにおいては、各上位交換装置20には、複数の第1下位交換装置が接続されており、各第1下位交換装置には、複数の第2下位交換装置が接続されており、複数の第N(Nは整数)下位交換装置には、複数の基地局が接続されている。
本実施の形態では、一例として、上位交換装置20と各基地局との間の通信経路には、1つの下位交換装置が含まれている場合の説明が行われる。
移動端末50と通信端末装置10との間の通信開始時において、以下の処理が行われる。
移動端末50は、所定の基地局との間で無線通信を行うことを示す通信情報を、上記基地局に送信する。例えば、移動端末50は、図1に示す基地局42に通信情報を送信したとする。
この通信情報には、上記移動端末50を特定する情報と、上記移動端末50の通信相手である通信端末装置10の識別情報も含まれる。
ここで、装置の識別情報とは、装置を識別するための情報であり、例えば、アドレス情報などが該当する。
上記通信情報が送信された基地局42(後述する基地局42の制御部)は、上記通信情報を保持するとともに、上記基地局42と接続されている下位交換装置31に、上記通信情報を送る。
下位交換装置31に送られる通信情報には、上記通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、上記基地局42に送信するように指示する旨と、上記基地局42の識別情報と、が含まれる。
そして、下位交換装置31(後述する下位交換装置31の第1制御部)は、上記通信情報を保持するとともに、上位交換装置20に送信する。
上位交換装置20に送られる通信情報には、上記通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、上記下位交換装置31に送信するように指示する旨と、上記下位交換装置31の識別情報と、が含まれる。
このようにして、通信情報が、基地局42、下位交換装置31、上位交換装置20に送られる。
また、下位交換装置31,32(後述する下位交換装置31,32の第1制御部)は、自分と接続されている基地局41,42…の識別情報と、自分と接続されている上位交換装置20の識別情報を保持している。
また、上位交換装置20(後述する上位交換装置20の第1制御部)は、自分と接続されている下位交換装置31,32…の識別情報を保持している。
また、基地局41,42…の制御部は、自分と接続されている下位交換装置31,32の識別情報を保持している。
なお、通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、上述のようにして、各装置(基地局、各交換装置)を介して、移動端末50に送られる。
但し、上述した方法は、一例である。例えば、以下のようにして、上記データは、各装置(基地局、各交換装置)を介して、移動端末50に送られてもよい。
所定の装置が、各装置の識別情報と、移動端末50と無線通信を行う基地局の識別情報とを管理している。
そして、各装置は、上記所定の装置にアクセスすることにより、各装置は、移動端末50側に接続されている装置のうち、移動端末50との間で無線通信を行う基地局又は上記基地局に関係する交換装置を認識することができる。
そして、通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータを、各装置が取得した場合、上記認識した装置宛に送信する。
このようにして、通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、各装置(基地局、各交換装置)を介して、移動端末50に送られてもよい。
そして、通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータ(パケットデータ)は、上位交換装置20に送られる。
上位交換装置20は、保持している通信情報と、自分と接続されている下位交換装置31,32の識別情報とに基づいて、移動端末50と無線通信を行う基地局(例えば、基地局42)と接続されている下位交換装置(例えば、下位交換装置31)に、上記データを送ることができる。
そして、下位交換装置31は、上記データを取得すると、保持している通信情報と、自分と接続されている基地局42の識別情報とに基づいて、移動端末50と無線通信を行う基地局42に、上記データを送信することができる。
そして、基地局42は、通信情報に基づいて、上記データを移動端末50に送信することができる。
そして、移動端末50と通信端末装置10との間の通信中において、移動端末50が移動することにより、移動端末50の無線通信相手の基地局が変化する場合、以下の処理が行われる。
例えば、図1に示すように、移動端末50は、複数の基地局42、43、44との間で無線通信を行うことを示す通信情報を、各基地局に送信する。
この通信情報には、上記移動端末50を特定する情報と、上記移動端末50の通信相手である通信端末装置10の識別情報も含まれる。
上記通信情報が送信された各基地局42,43,44は、上記通信情報を保持するとともに、上記基地局42,43,44と接続されている下位交換装置31,32に、上記通信情報を送る。
下位交換装置31,32に送られる通信情報には、上記通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、上記基地局に送信するように指示する旨と、上記基地局の識別情報と、が含まれる。
そして、1又は複数の下位交換装置31,32は、上記通信情報を保持するとともに、上位交換装置20に送信する。
上位交換装置20に送られる通信情報には、上記通信端末装置10から送られた移動端末50宛のデータは、上記下位交換装置31,32に送信するように指示する旨と、上記下位交換装置31,32の識別情報と、が含まれる。
このようにして、通信情報が複数の基地局42、43,44、複数の下位交換装置31,32、上位交換装置20に送られる。
上述した処理により、移動端末50と通信端末装置10との間の通信において、移動端末50によるソフトハンドオーバー処理が行われる。
即ち、移動端末50と通信端末装置10との間の通信において、移動端末50は、複数の基地局(例えば、基地局42、43,44)と無線通信を行う。
本実施の形態は、このように、移動端末50が、複数の基地局と無線通信を行うことを前提としている。
本実施の形態では、一例として、図1に示すように、移動端末50が複数の基地局42,43,44と無線通信を行う場合についての説明を行う。
また、本実施の形態では、移動端末50と通信端末装置10との間の通信において、移動端末50が移動することにより、移動端末50が、異なる下位交換装置31,32と接続された複数の基地局(例えば、図1に示すような基地局42,43,44,)と無線通信を行うような場合、複数の交換装置(上位交換装置20、下位交換装置31)が、マルチキャスト通信を行うことができる。
以下、本実施の形態では、移動端末50と通信端末装置10との間の通信において、移動端末50が、複数の基地局と無線通信を行うとともに、複数の交換装置が、マルチキャスト通信を行う場合における各装置の構成、通信方法を以下に説明する。
(上位交換装置20)
図2は、上位交換装置20の構成を示す図である。
上位交換装置20は、通信端末装置10から送信されたパケットデータを受信する通信端末側通信部20aと、決定部20bと、生成部20cと、移動端末側通信部20dと、通信端末側通信部20aと移動端末側通信部20dと生成部20cと決定部20bとを制御する第2制御部20fと、移動端末側通信部20dと通信端末側通信部20aと第2制御部20fとを制御する第1制御部20gとを有する。
第1制御部20gは、自装置と接続されている複数の下位交換装置31,32…の識別情報(例えば、アドレス情報)を保持している。
そして、第1制御部20gは、複数の下位交換装置31,32から通信情報(移動端末50を特定する情報と、通信端末装置10の識別情報と、移動端末50と無線通信を行う基地局の識別情報と、上記基地局と接続された下位交換装置31,32の識別情報とが含まれる)を取得した場合、以下の処理を行う。
第1制御部20gは、保持している複数の下位交換装置31,32の識別情報と、通信情報に基づいて、上位交換装置20がパケットデータを複数の下位交換装置31,32にマルチキャスト送信すると判断する。
そして、第1制御部20gは、上位交換装置20がパケットデータを複数の下位交換装置31,32にマルチキャスト送信することを示すマルチキャスト情報を保持する。
第1制御部20gがマルチキャスト情報を保持している場合における上位交換装置20(以下、MP(マルチパスポイント)上位交換装置20という)の機能と、第1制御部20gがマルチキャスト送信を行うことを保持していない場合における上位交換装置20(以下、UP(ユニパスポイント)上位交換装置20という)の機能は、異なる。
なお、下位交換装置の第1制御部がマルチキャスト情報を保持している場合における下位交換装置を、以下、MP(マルチパスポイント)下位交換装置という。
以下、MP上位交換装置20の機能と、UP上位交換装置20の機能とを分けて説明する。
UP上位交換装置20においては、決定部20bと、生成部20cと、第2制御部20fは、機能しない。
UP上位交換装置20の第1制御部20gは、1つの下位交換装置から、上記通信情報を取得したときであって、通信情報に含まれる下位交換装置の識別情報が、第1制御部20gが保持している下位交換装置の識別情報のいずれかに一致するとき、以下の処理を行う。
第1制御部20gは、通信情報に含まれる移動端末50を特定する情報に基づいて、上記移動端末50宛のデータは、上記下位交換装置宛に送信するように、移動端末側通信部20dに指示する。
そして、UP上位交換装置20の通信端末側通信部20aに、パケットデータが送信された場合、第1制御部20gを介して、移動端末側通信部20dに送られる。移動端末側通信部20dは、パケットデータに含まれる宛先情報(移動端末50を特定する情報)に基づいて、上記下位交換装置に、上記パケットデータを送信する。
MP上位交換装置20においては、第2制御部20f、生成部20c、決定部20bが機能する。第2制御部20fは、第1制御部20gから送られたマルチキャスト情報及び通信情報を取得する。
この際、第2制御部20fには、複数の装置(MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置)の識別情報が送られる。
そして、第2制御部20fは、移動端末側通信部20dに対して、複数の装置に、パケットデータ(上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータ)をマルチキャスト送信するように指示する。詳細な説明は、後述する。
MP上位交換装置20の第2制御部20fは、取得した通信情報に含まれる複数の基地局42、43,44の識別情報(移動端末50と無線通信を行う複数の基地局の識別情報)を保持する。
また、第2制御部20fは、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数(図1の場合、2)を保持する。
(決定部20b)
そして、MP上位交換装置20の第2制御部20f及び決定部20bは、以下の処理を行う。第2制御部20fは、上記移動端末50と無線通信を行う複数の基地局42、43、44に対して、所定の情報の要求を移動端末側通信部20dを介して、送信する。
ここで、第2制御部20fは、時刻を計測する機能(計測機能)を有する。また、上記所定の情報とは、各基地局における時刻の計測に関する情報と、各基地局から移動端末50が受信したパイロット信号のシーケンスに関する情報である。
そして、第2制御部20fが、各基地局42、43,44から、それぞれ、所定の情報を取得し、決定部20bに送る。
そして、決定部20bは、第2制御部20fにおける時刻計測のタイミングと、各基地局42、43,44から取得した所定の情報とに基づいて、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、上記複数の基地局42、43,44間で、相互に同じになるように、各基地局42、43,44が所定のデータ(例えば、後述する1つの無線スロットデータ)を移動端末50に送信するタイミングと、移動端末50が上記所定のデータを受信するタイミングとを決定する(詳細内容は、3G TS 25.427“ UTRAN Iub/Iur interface user place protocol for DCH data streams”参照)。
そして、第2制御部20fは、基地局42,43、44が所定のデータ(後述する1つのパケットデータ)を受信してから、所定のデータ(後述する1つの無線スロットデータ)を送信するのに必要な処理時間をそれぞれ取得する。各処理時間は、決定部20bに送られる。
決定部20bは、取得した各処理時間と決定した送信タイミングに基づいて、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、上記複数の基地局42,43、44間で、相互に同じになるように、各基地局42、43,44が所定のデータ(後述する1つのパケットデータ)を受信するタイミングである受信タイミングをそれぞれ決定する。
決定部20bは、複数の交換装置(マルチキャスト送信を行う複数の交換装置)のうち1又は複数の交換装置から、上記複数の基地局42、43,44にパケットデータが送信されるのに必要な時間と、複数の交換装置のうち、1又は複数の交換装置から、上記交換装置と移動端末50側に接続された交換装置にパケットデータが送信されるのに必要な時間とに基づいて、以下の処理を行う。
即ち、決定部20bは、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、上記複数の基地局42、43,44との間で、相互に同じになるように、各交換装置(MP上位交換装置20及びMP下位交換装置31)が、上記交換装置と接続されている複数の装置にデータを送信するタイミングを示す送信タイミングをそれぞれ決定する。
この場合において、上記必要な時間は、データ伝送遅延に関する時間である。具体的な説明は、以下のとおりである。図3は、上述した決定部20bによる具体的な決定処理を説明するための補足図である。
決定部20bは、例えば、MP下位交換装置31に対して、MP下位交換装置31から複数の基地局42、43へ所定のデータを送信するのに必要な時間(経路C−1、C−2に対応する時間)の要求を送る。
そして、決定部20bは、上記MP下位交換装置31から複数の基地局42,43へ所定のデータを送信するのに必要な時間を、MP下位交換装置31から、取得する。
また、決定部20bは、MP上位交換装置20から所定のデータがMP下位交換装置31に送信されるのに必要な時間(経路C−3に対応する時間))を取得する。
また、決定部20bは、MP上位交換装置20から、マルチキャスト送信を行わない下位交換装置32を介して、所定のデータが基地局44(移動端末50と無線通信を行う基地局)に送信されるのに必要な時間(経路C−4に対応する時間)を取得する。
また、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、所定のデータ(後述する1つのパケットデータ)が通信端末側通信部20aに受信されてから、移動端末側通信部20dから送信されるまでに要する時間であるデータ処理時間を管理している。
例えば、第2制御部20fは、上記データ処理時間を定期的に監視することにより、上記管理処理を行う。
MP上位交換装置20の決定部20bは、データ処理時間の要求を、MP下位交換装置31及び上記複数の基地局42,43,44に送信する。
そして、MP上位交換装置20の決定部20bは、MP下位交換装置31及び上記複数の基地局42,43,44から送られてきたデータ処理時間を取得する。
なお、決定部20bは、MP下位交換装置31及び上記複数の基地局42,43,44を以下にようにして認識することができる。
MP上位交換装置20の第2制御部20fは、移動端末50と無線通信を行う複数の基地局41,42…の識別情報を決定部20bに送る。
また、第2制御部20fは、MP上位交換装置20に接続されている全ての下位交換装置31,32…に対して、問い合わせ情報を送信する。
この問い合わせ情報とは、下位交換装置が、通信端末装置10と移動端末50との間の通信に関するマルチキャスト送信を行うか否かを問い合わせることを示す情報である。
各下位交換装置は、問い合わせ情報に基づいて、マルチキャスト送信を行うか否かを示す情報と、下位交換装置の識別情報とを含む応答情報をMP上位交換装置20に送信する。
MP上位交換装置20の第2制御部は、各下位交換装置から送信された応答情報に基づいて、マルチキャスト送信を行う下位交換装置31の識別情報を取得する。
そして、第2制御部20fは、MP下位交換装置31の識別情報を決定部20bに送る。これにより、決定部20bは、MP下位交換装置31及び上記複数の基地局42、43,44を認識することができる。
決定部20bには、MP下位交換装置31から複数の42、43へ所定のデータ(例えば、後述する1つのパケットデータ)が送信されるのに必要な時間と、MP上位交換装置20から所定のデータがMP下位交換装置31に送信されるのに必要な時間と、MP上位交換装置20から、マルチキャスト送信を行わない下位交換装置32を介して、所定のデータが基地局44(移動端末50と無線通信を行う基地局)に送信されるのに必要な時間と、各装置(MP上位交換装置20、MP下位交換装置31、複数の基地局42、43、44)にそれぞれ対応するデータ処理時間と、移動端末50と無線通信を行う複数の基地局42、43、44の識別情報と、MP下位交換装置31の識別情報とが送られる。
そして、決定部20bは、送られてきた各情報に基づいて、以下の処理を行う。
決定部20bは、上記複数の基地局41,42…にそれぞれ対応する受信タイミング(既に決定された受信タイミング)で、上記複数の基地局42、43,44が所定のデータを受信できるように、マルチキャスト送信を行う各交換装置(例えば、MP上位交換装置20、MP下位交換装置31)が、上記交換装置と接続されている複数の装置に上記所定のデータを送信する送信タイミングと、MP下位交換装置31が上記所定のデータを受信するタイミングである受信タイミングとを決定する。
例えば、図3に示す場合において、通信端末装置10から送られたデータは、各基地局42,43、44を介して、移動端末50に送信される。この場合、所定のデータ(例えば、後述する1つのパケットデータ)が、MP上位交換装置20からMP下位交換装置31に送信されるのに必要な時間をT1とする。
所定のデータが、MP上位交換装置20から下位交換装置32を介して、基地局44に送信されるのに必要な時間をT2とする。MP下位交換装置31から各基地局42、43に所定のデータが送信されるのに必要な時間をT3、T4とする。そして、MP下位交換装置31における所定のデータの処理時間がt1であるとする。
この場合、MP上位交換装置20から各基地局41,42…に所定のデータを送信するための通信経路は、図3に示すように、経路C−3及び経路C−1からなる通信経路1、経路C−3及び経路C−2からなる通信経路2、経路C−4からなる通信経路3となる。
そして、通信経路1の場合、MP上位交換装置20から基地局42に所定のデータが送信されるのに要する時間は、T1+t1+T3=S1であり、通信経路2の場合、MP上位交換装置20から基地局43に所定のデータが送信されるのに要する時間は、T1+t1+T4=S2であり、通信経路3の場合、MP上位交換装置20から基地局44に所定のデータが送信されるのに要する時間は、T2である。
そして、決定部20bは、時間S1,S2,T2と、既に決定した各基地局42、43,44の受信タイミングとに基づいて、以下の処理を行う。決定部20bは、所定のデータが通信経路1、2,3を介して基地局42、43,44に受信されるタイミングが、既に決定した各基地局42,43,44に対応する受信タイミングと同じになるように、MP上位交換装置20に対応する所定のデータの送受信タイミングと、MP下位交換装置31に対応する所定のデータの送受信タイミングと、を決定する。
例えば、図3に示す通信システムの場合、決定部20bは、MP上位交換装置20が、MP下位交換装置31に所定のデータ(後述する1つのパケットデータ)を、送信するタイミングをW1と決定し、MP上位交換装置20が、基地局44(下位交換装置32)に所定のデータを、送信するタイミングをW2と決定する。
また、決定部20bは、MP下位交換装置31がMP上位交換装置20から所定のデータを受信するタイミングをW3と決定し、基地局44が、MP上位交換装置20(下位交換装置32)から所定のデータを受信するタイミングをW4と決定する。
また、決定部20bは、MP下位交換装置31が、基地局42、43に所定のデータを、送信するタイミングをW5、W6と決定する。
そして、決定部20bは、基地局42、43が、MP下位交換装置31から所定のデータを受信するタイミングをW7,W8と決定する。
決定部20bにより決定された各送信タイミング、各受信タイミングは、各装置の識別情報と対応づけられる。そして、送信タイミング、受信タイミングは、各装置に送信される。なお、MP上位交換装置20の送信タイミングは第2制御部20fに送られる。
第2制御部20fは、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたデータを、複数の装置(例えば、MP下位交換装置31,32及び基地局44)に、マルチキャスト送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部20dに指示する。
この際、上記決定部20bにより決定された送信タイミングを示す情報(以下、送信タイミング情報)は、移動端末側通信部20dに保持される。
移動端末側通信部は、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置(MP上位交換装置20と接続されている複数の装置)に対して、パケットデータを送信(マルチキャスト送信)する。
なお、決定部20bによる決定処理、送信タイミング、受信タイミングの送信処理は、MP上位交換装置20と接続されている複数の装置から通信情報が送られるたびに行われる。
また、移動端末50と無線通信を行う基地局42、43,44は変わらないが、移動端末50が移動することにより、移動端末50が複数の基地局42、43,44から同じタイミングでデータ受信できなくなった場合には、例えば、その旨を示す情報が各基地局42、43,44に送信される。
各基地局42,43、44は、再度、所定の情報を取得し、MP上位交換装置20の決定部20bに送る。
決定部20bは、送られた所定の情報に基づいて、移動端末50が各基地局42、43,44から同じタイミングでデータ受信できるように、各基地局の送信タイミング、移動端末50の受信タイミングを決定する。
この際、各基地局42、43,44の受信タイミングは、例えば、変更されない(詳細内容は、3G TS 25.427“ UTRAN Iub/Iur interface user place protocol for DCH data streams”参照)。
そして、決定部20bは、新たに決定した各基地局42、43,44の送信タイミングを、移動端末側通信部20dを介して、各基地局に送信するとともに、移動端末50の受信タイミングを、移動端末側通信部20dを介して、移動端末50に送信する。
(生成部)
生成部20cは、MP上位交換装置20に送信されたパケットデータ(以下、送信対象パケットデータ)と、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、複数の無線スロットデータを生成する。図4は、生成部2cによる生成処理を説明するための補足図である。
具体的には、以下のとおりである。通信端末側通信部20aには、通信端末装置10から、所定の送信対象パケットデータ(L3パケットデータ、IPパケットデータともいう)が送信される。
この所定の送信対象パケットデータには、ヘッダ情報とペイロード情報とが含まれる。ヘッダ情報には、移動端末50を特定する情報(宛先情報)と、通信端末装置10の識別情報(送信元情報)が含まれる。
上記所定の送信対象パケットデータは、第2制御部20fを介して生成部20cに送られる。この際、生成部20cには、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数が送られる。
例えば、図3の場合には、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数は2つである。
また、第1制御部20gは、上記ヘッダ情報に基づいて、基地局44及びMP下位交換装置31へマルチキャスト送信する旨(下位交換装置32の識別情報と、基地局44の識別情報と、MP下位交換装置31の識別情報とが含まれる)と、データ送信は通信端末装置10から移動端末50へのデータ送信であることを示す情報とを、第2制御部20fを介して、生成部20cに送る。
そして、生成部20cは、所定の送信対象パケットデータを、所定数(例えば、4つ)に分割することにより、所定数の無線スロットデータ(無線L2フレームともいう)を生成する(S1)。
この際、生成部20cは、生成した各無線スロットデータに対して、それぞれ、送信順序を示す情報である送信順序情報(シーケンスナンバー、例えば1,2,3,4)を与える(S2)。
この送信順序情報は、例えば、W−CDMAにおけるCFN(Connection Frame Number)に相当するものである。ここで、各基地局42、43,44から移動端末50にそれぞれ送信されてくる無線スロットデータに対応する送信順序情報は、相互に同じとなっている。
そして、生成部20cは、所定数の無線スロットデータを、上記マルチキャスト送信先の装置の数(例えば、2つ)だけ、生成する(S3)。
そして、生成部20cは、各無線スロットデータをそれぞれ含む各パケットデータを生成する(S4)。
具体的には、以下のとおりである。例えば、図4に示すように、マルチキャスト送信先の装置数が2であり、所定数が4であり、マルチキャスト送信先の装置が基地局44,MP下位交換装置31である場合を考える。
生成部20cは、無線スロットデータ(送信順序情報1から4に対応する無線スロットデータ)と、ヘッダ情報(基地局44の識別情報(宛先情報))と、通信端末装置10から移動端末50宛へのデータ送信であることを示す情報と、を含む情報)とを含むパケットデータを複数(4つ)、生成する。
同じく、生成部20cは、無線スロットデータ(送信順序1から4に対応する無線スロットデータ)と、ヘッダ情報(MP下位交換装置31の識別情報(宛先情報)と、通信端末装置10から移動端末50宛へのデータ送信であることを示す情報と、を含む情報)とを含むパケットデータを複数(4つ)生成する。
生成部20cにより生成された各パケットデータは、第2制御部20fに送られる。第2制御部20fは、各パケットデータを移動端末側通信部20dに送る。
移動端末側通信部20dは、各パケットデータのヘッダ情報と、保持している送信タイミング情報とに基づいて、生成部20cにより生成された各パケットデータを、決定部20bにより決定された送信タイミング(MP上位交換装置20に対応する送信タイミング)に基づいて、MP上位交換装置20に接続されている複数の装置に送信する。具体的には、以下のとおりである。
例えば、決定部20bは、MP上位交換装置20が、MP下位交換装置31に1つのパケットデータを、送信するタイミングをW1と決定し、MP上位交換装置20が、基地局44に1つのパケットデータを、送信するタイミングをW2と決定したとする。そして、移動端末側通信部20dは、上記送信タイミングW1、W2を示す情報を保持しているとする。
この場合、移動端末側通信部20dは、MP下位交換装置31宛の各パケットデータを、上記送信タイミングW1で送信する。また、移動端末側通信部20dは、基地局44宛の各パケットデータを、上記送信タイミングW2で送信する。
具体的には、上記送信タイミングW1は、例えば、X1+NT(X1は所定の時刻タイミング、Nは整数、Tは周期時間)であるとする。この場合、移動端末側通信部20dは、MP下位交換装置31宛の各パケットデータを、上記送信タイミングに従って、MP下位交換装置31に送信する。
同じく、上記送信タイミングW2は、例えば、X2+NT(X2は所定の時刻タイミング、Nは整数、Tは周期時間)であるとする。この場合、移動端末側通信部20dは、基地局44宛の各パケットデータを、上記送信タイミングに従って、基地局44に送信する。
なお、ここで、W1のTとW2のTは、同じ値である。そして、Nは、送信対象情報に対応する値である。例えば、移動端末側通信部20dは、送信対象情報1に対応するパケットデータを、基地局44に対して、送信タイミングX2+1*Tで送信する。
(下位交換装置)
図5は、下位交換装置31,32…の構成を示す図である。下位交換装置31,32は、上位交換装置20(MP上位交換装置20)から送信されたパケットデータを受信する通信端末側通信部100と、生成部101と、移動端末側通信部102と、通信端末側通信部100と移動端末側通信部102と生成部101とを制御する第2制御部103と、移動端末側通信部102と通信端末側通信部100と第2制御部103とを制御する第1制御部104とを有する。
第1制御部104は、下位交換装置と接続されている複数の基地局の識別情報(例えば、アドレス情報)を保持している。そして、第1制御部104は、複数の基地局から通信情報(移動端末50を特定する情報と、通信端末装置10の識別情報と、移動端末50と無線通信を行う基地局の識別情報とが含まれる)を取得した場合、以下の処理を行う。
第1制御部104は、保持している複数の基地局の識別情報と、通信情報に基づいて、下位交換装置がパケットデータを複数の基地局にマルチキャスト送信すると判断する。そして、第1制御部104は、下位交換装置がパケットデータを複数の基地局にマルチキャスト送信することを示すマルチキャスト情報を保持する。
第1制御部104がマルチキャスト情報を保持している場合における下位交換装置31(MP下位交換装置31)の機能と、第1制御部104がマルチキャスト送信を行うことを保持していない場合における下位交換装置32(以下、UP(ユニパスポイント)下位交換装置32という)の機能は、異なる。
以下、MP下位交換装置31の機能と、UP下位交換装置32の機能とを分けて説明する。
UP下位交換装置32においては、生成部101及び第2制御部103は、機能しない。
UP下位交換装置32の第1制御部104の機能は、UP上位交換装置20の第1制御部20gの機能において、下位交換装置を基地局に置き換えた場合に相当する。
但し、第1制御部104は、MP上位交換装置20から、上記問い合わせ情報を取得した場合、マルチキャスト送信を行わないことを示す情報と、UP下位交換装置32の識別情報とを含む応答情報をMP上位交換装置20に送信する。
MP下位交換装置31においては、第2制御部103、生成部101が機能する。第2制御部103は、第1制御部104から送られたマルチキャスト情報及び通信情報を取得する。
この際、第2制御部103には、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置の識別情報が送られる。そして、第2制御部103は、移動端末側通信部102に対して、複数の基地局42、43に、パケットデータ(通信端末装置10から移動端末50宛に送られたパケットデータ))をマルチキャスト送信するように指示する。
MP下位交換装置31の第2制御部103は、取得した通信情報に対応する基地局42、43を特定する情報に基づいて、移動端末50と無線通信を行う複数の基地局42、43の識別情報を保持する。また、第2制御部103は、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置(基地局42、43)の数(2つ)を保持する。
そして、第2制御部103は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたデータを、複数の基地局42,43に、マルチキャスト送信するように移動端末側通信部102に指示する。
また、MP下位交換装置31の第2制御部103は、以下の処理を行う。第2制御部103は、MP上位交換装置20から送られた情報(MP下位交換装置31から、複数の基地局42、43にパケットデータが送信されるのに必要な時間の要求)を取得する。
第2制御部103は、MP下位交換装置31から、複数の基地局42,43にパケットデータが送信されるのに必要な時間を計測し、上記時間を、通信端末側通信部100を介して、MP上位交換装置20に送信する。
また、MP下位交換装置31の第2制御部103は、1つのパケットデータが通信端末側通信部100に受信されてから、移動端末側通信部102から送信されるまでに要する時間であるデータ処理時間を管理している。
例えば、第2制御部103は、上記データ処理時間を定期的に監視することにより、上記管理処理を行う。
そして、第2制御部103は、MP上位交換装置20から、データ処理時間の要求を取得した場合、上記データ処理時間を、通信端末側通信部100を介して、MP上位交換装置20に送信する。
なお、第1制御部104は、MP上位交換装置20から、上記問い合わせ情報を取得した場合、マルチキャスト送信を行うことを示す情報と、MP下位交換装置31の識別情報とを含む応答情報をMP上位交換装置20に送信する。
第2制御部103は、MP上位交換装置20から送られた、送信タイミングを示す情報と受信タイミングを示す情報とを取得する。
そして、第2制御部103は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、MP上位交換装置20から受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信端末側通信部100に指示する。この際、上記決定部20bにより決定された受信タイミングを示す情報(以下、受信タイミング情報)は、通信端末側通信部100に保持される。
同じく、第2制御部103は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、複数の基地局42、43に、マルチキャスト送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部102に指示する。
この際、上記決定部20bにより決定された送信タイミングを示す情報(以下、送信タイミング情報)は、移動端末側通信部102に保持される。
通信端末側通信部100は、決定部20bにより決定された受信タイミングに基づいて、MP上位交換装置20から送信されてきたパケットデータ(上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータ)を受信する。
また、移動端末側通信部100は、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置(基地局42,43)に対して、パケットデータ(上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータ)を送信(マルチキャスト送信)する。
生成部101は、MP下位交換装置31に送信された各パケットデータと、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、無線スロットデータを含むパケットデータを、複数生成する。図6は、生成部101による生成処理を説明するための補足図である。
具体的には、以下のとおりである。
通信端末側通信部100には、MP上位交換装置20から、各パケットデータ(例えば、送信順序情報1から4に対応する各パケットデータ)が送信される(S6)。
上記各パケットデータは、第2制御部103を介して、生成部101に送られる。この際、生成部101には、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数が送られる。例えば、図6の場合には、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数は2つである。
また、第1制御部104は、各パケットデータに含まれる情報(通信端末装置10から移動端末50宛にデータ送信が行われることを示す情報)に基づいて、複数の基地局42、43へデータを送信(マルチキャスト送信)する旨(基地局42、43の識別情報とが含まれる)を、第2制御部103を介して、生成部101に送る。
そして、生成部101は、上記各パケットデータを、上記マルチキャスト送信先の装置の数だけ、生成する(S7)。
例えば、上記マルチキャスト送信先の装置数が2である場合、生成部101は、各パケットデータの複製処理を行うことにより、上記各パケットデータを、上記マルチキャスト送信先の装置の数(例えば2つ)だけ、生成する。
そして、生成部101は、各パケットデータのヘッダ情報の変換処理を行う。
具体的には、以下のとおりである。
例えば、図3に示すように、マルチキャスト送信先の装置数が2であり、マルチキャスト送信先の装置が基地局42、43である場合を考える。生成部101は、送信対象情報が同じである2つのパケットデータのうち、あるパケットデータのヘッダ情報に含まれる宛先情報(MP下位交換装置31の識別情報)を、基地局42の識別情報に変換する。
同様にして、生成部101は、送信対象情報が同じである2つのパケットデータのうち、他のパケットデータのヘッダ情報に含まれる宛先情報(MP下位交換装置31の識別情報)を、基地局43の識別情報に変換する。
そして、生成部101は、変換処理を施した各パケットデータを、第2制御部103に送る。第2制御部103は、各パケットデータを移動端末側通信部102に送る。
なお、生成部101による生成処理において、パケットデータの複製処理の代わりに、パケットデータに含まれる無線スロットデータの複製処理が行われてもよい。
移動端末側通信部102は、各パケットデータのヘッダ情報と、保持している送信タイミング情報とに基づいて、生成部101により生成された各パケットデータ(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータ)を、決定部20bにより決定された送信タイミング(MP下位交換装置31に対応する送信タイミング)に基づいて、MP下位交換装置31に接続されている複数の装置に送信する(S8)。
具体的には、以下のとおりである。
例えば、決定部20bは、MP下位交換装置31が、基地局42に所定のデータ(1つのパケットデータ)を、送信するタイミングをW10と決定し、MP下位交換装置31が、基地局43に所定のデータ(1つのパケットデータ)を、送信するタイミングをW20と決定したとする。そして、移動端末側通信部102は、上記送信タイミングW10、W20を示す情報を保持している。
この場合、移動端末側通信部102は、基地局42宛の各パケットデータを、上記送信タイミングW10で送信する。また、移動端末側通信部102は、基地局43宛の各パケットデータを、上記送信タイミングW20で送信する。
(基地局41,42…)
図7は、基地局41,42…の構成を示す図である。基地局41,42…は、下位交換装置31,32からデータを受信する通信端末側通信部110と、移動端末側通信部111と、各部を制御する制御部112とを有する。
制御部112は、基地局と接続されている下位交換装置の識別情報を保持している。また、制御部112は、移動端末50から送信された通信情報(移動端末50と基地局との間で無線通信が行われることを示す通信情報)を通信部110を介して、下位交換装置に送信する。
また、制御部112は、MP上位交換装置20から送信された所定の情報(基地局における時刻の計測に関する情報、上述したパイロット信号のシーケンスに関する情報)の要求を取得した場合、制御部112は、上記所定の情報を、通信端末側通信部110を介して、MP上位交換装置20に送信する。
また、制御部112は、所定のデータ(上述した1つのパケットデータ)が通信端末側通信部110に受信されてから、所定のデータ(上述した1つの無線スロットデータ)が移動端末側通信部111から送信されるまでに要する時間であるデータ処理時間を管理している。
制御部112は、MP上位交換装置20から、データ処理時間の要求を取得した場合、上記データ処理時間を、通信端末側通信部110を介して、MP上位交換装置20に送信する。
制御部112は、MP上位交換装置20から送られた、送信タイミングを示す情報と受信タイミングを示す情報を取得する。そして、制御部112は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信端末側通信部110に指示する。
この際、上記決定部20bにより決定された受信タイミングを示す情報である受信タイミング情報は、通信端末側通信部110に保持される。
同じく、制御部112は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータに含まれる無線スロットデータを、移動端末50に、送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部111に指示する。
この際、上記決定部20bにより決定された送信タイミングを示す情報である送信タイミング情報は、移動端末側通信部111に保持される。
通信端末側通信部110は、決定部20bにより決定された受信タイミングに基づいて、下位交換装置31から送信されてきたパケットデータ(上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータ)を受信する。
また、移動端末側通信部111は、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、移動端末50に対して、上記パケットデータに含まれる無線スロットデータ(上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたデータ)を送信する。
(移動端末50)
図8は、移動端末50の構成を示す図である。移動端末50は、複数の基地局からデータ(無線スロットデータ)を受信する通信部50aと、通信部50aを制御する制御部50bとを有する。
制御部50bは、MP上位交換装置20から、受信タイミング情報を取得する。制御部50bは、各基地局42,43,44から送られた無線スロットデータを受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信部50aに指示する。
この際、上記決定部20bにより決定された受信タイミングを示す情報である受信タイミング情報は、通信部50aに保持される。
通信部50aは、決定部20bにより決定された受信タイミング(1つの同じ受信タイミング)に基づいて、各基地局42,43,44から送信されてきた無線スロットデータを受信する。
例えば、通信部50aは、各基地局42,43,44から送信された、同じ送信順序情報N(Nは整数)に対応する3つの無線スロットデータを、同じタイミングで受信する。受信された各無線スロットデータは、制御部50bに送られる。
制御部50bは、複数の基地局42,43,44から送信された複数の無線スロットデータに基づいて、上記送信対象パケットデータを生成する。
具体的には、以下のとおりである。
移動端末50の制御部50bに、例えば、同じタイミングで、送信順序情報1,2,3…にそれぞれ対応する3つ(上記複数の基地局の数)の無線スロットデータが送信されてきたとする。この場合、制御部50bは、各送信順序情報ごとに以下の処理を行う。即ち、制御部50bは、上記3つの無線スロットデータに基づいて、周知の最大比合成処理を行い、1つの無線スロットデータを生成する。
そして、制御部50bは、最大比合成処理が行われた複数の無線スロットデータ(全ての送信順序情報に対応する無線スロットデータ)を組み合わせることにより、送信対象パケットデータを生成する。
(通信方法)
本実施の形態の通信システムを用いた通信方法を以下に説明する。上述したようにして、移動端末50と通信端末装置10との間の通信において、図3に示すように、移動端末50が複数の基地局42、43,44と無線通信を行うことを示す情報(通信情報)は、各交換装置に送られている。
また、上述したようにして、MP上位交換装置20の第1制御部20g及びMP下位交換装置31の第1制御部104は、マルチキャスト情報を保持し、下位交換装置32の第1制御部104は、マルチキャスト情報を保持しない。
そして、上述したように、MP下位交換装置31の識別情報及び上記複数の基地局42,43、44の識別情報は、MP上位交換装置20の決定部20bに送られる。
そして、MP上位交換装置20の決定部20bにより、以下のような決定処理が行われる。図9は、決定部20bによる決定処理を説明するためのフローチャート図である。
MP上位交換装置20の第2制御部20f及び決定部20bは、以下の処理を行う。第2制御部20fは、上記移動端末50と無線通信を行う複数の基地局42、43,44から、所定の情報を取得し、決定部20bに送る。
そして、決定部20bは、取得した所定の情報に基づいて、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、上記複数の基地局42,43、44間で、相互に同じになるように、各基地局が所定のデータ(例えば、後述する1つの無線スロットデータ)を移動端末50に送信するタイミングと、移動端末50が上記所定のデータを受信するタイミングを決定する(S20)。
そして、第2制御部20fは、各基地局42,43,44の制御部112から、各基地局が所定のデータ(1つのパケットデータ)を受信してから、所定のデータ(1つの無線スロットデータ)を送信するのに必要な処理時間をそれぞれ取得する。各処理時間は、決定部20bに送られる。
決定部20bは、取得した各処理時間と、決定した送信タイミングに基づいて、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、上記複数の基地局42,43,44間で、相互に同じになるように、各基地局42,43,44が所定のデータ(例えば、1つのパケットデータ)を受信するタイミングである受信タイミングを決定する(S22)。
決定部20bは、決定部20bにより決定された受信タイミングで、上記複数の基地局42,43、44が所定のデータを受信できるように、マルチキャスト送信を行う各交換装置(MP上位交換装置20、MP下位交換装置31)が、上記交換装置と接続されている複数の装置に上記所定のデータを送信するタイミングである送信タイミングと、MP下位交換装置31が上記所定のデータを受信するタイミングである受信タイミングとを決定する(S24)。
決定部20bにより決定された各送信タイミング、各受信タイミングは、各装置の識別情報と対応づけられる。そして、送信タイミングを示す情報、受信タイミングを示す情報は、各装置に送信される。そして、送受信タイミングを示す情報が各装置に送られた場合、各装置では、以下のような処理が行われる。
MP下位交換装置31では、以下の処理が行われる。
第2制御部103は、MP上位交換装置20から送られた、送信タイミング情報と受信タイミング情報を取得する。
そして、第2制御部103は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、MP上位交換装置20から受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信端末側通信部100に指示する。
同じく、第2制御部103は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、複数の基地局42、43に、マルチキャスト送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部102に指示する。
基地局42、43,44では、以下の処理が行われる。
制御部112は、MP上位交換装置20から送られた、送信タイミング情報と受信タイミング情報を取得する。そして、制御部112は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータを、受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信端末側通信部110に指示する。
同じく、制御部112は、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたパケットデータに含まれる無線スロットデータを、移動端末50に、送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部111に指示する。
移動端末50では、以下の処理が行われる。
制御部50bは、MP上位交換装置20から送信されてきた受信タイミング情報を取得する。制御部50bは、各基地局42、43,44から送られた無線スロットデータを受信する場合、決定部20bにより決定された受信タイミングで受信するように、通信部50aに指示する。
なお、MP上位交換装置20の送信タイミングを示す情報は、MP上位交換装置20の第2制御部20fに送られる。
第2制御部20fは、上記通信端末装置10から上記移動端末50宛に送られたデータを、複数の装置に、マルチキャスト送信する場合、決定部20bにより決定された送信タイミングで送信するように、移動端末側通信部20dに指示する。
次に、通信端末装置10から移動端末50へのデータ送信方法の説明を行う。
先ず、通信端末装置10から送られた送信対象パケットデータは、例えば、公衆ネットワークを介して、MP上位交換装置20に送られる。
この際、公衆ネットワークに配置されている各中継装置が、ルーティングテーブルに基づいて、ルーティング処理を行うことにより、上記送信対象パケットデータは、MP上位交換装置20に送られる。
図10は、MP上位交換装置20における処理を説明するためのフローチャート図である。
通信端末側通信部20aには、通信端末装置10から、所定の送信対象パケットデータが送信される。
上記所定の送信対象パケットデータは、第2制御部20fを介して生成部20cに送られる(S30)。この際、生成部20cには、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数が送られる。
そして、生成部20cは、送信対象パケットデータと、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、複数の無線スロットデータを生成する(S32)。
そして、生成部20cは、各無線スロットデータをそれぞれ含む各パケットデータを生成する(S34)。生成部20cにより生成された各パケットデータは、第2制御部20fに送られる。第2制御部20fは、各パケットデータを移動端末側通信部20dに送る。
移動端末側通信部20dは、各パケットデータのヘッダ情報と、保持している送信タイミング情報とに基づいて、生成部20cにより生成された各パケットデータを、決定部20bにより決定されたMP上位交換装置20に対応する送信タイミングに基づいて、MP上位交換装置20に接続されている複数の装置(MP下位交換装置31、基地局44)に送信する(S36)。
各パケットデータが送信されたMP下位交換装置31では、以下の処理が行われる。図11は、MP下位交換装置31における処理を説明するためのフローチャート図である。
通信端末側通信部100には、MP上位交換装置20から、各パケットデータ(例えば、送信順序情報1から4に対応する各パケットデータ)が送信される。
上記各パケットデータは、第2制御部103を介して、生成部101に送られる(S40)。この際、生成部101には、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数が送られる。
生成部101は、MP下位交換装置31に送信された各パケットデータと、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、無線スロットデータを含むパケットデータを、複数生成する(S42)。この際、生成部101は、各パケットデータのヘッダ情報の変換処理を行う。具体的な説明は、上述したとおりである。
そして、生成部101は、変換処理を施した各パケットデータを、第2制御部103に送る。第2制御部103は、各パケットデータを移動端末側通信部102に送る。
移動端末側通信部102は、各パケットデータのヘッダ情報と、保持している送信タイミング情報とに基づいて、生成部101により生成された各パケットデータを、決定部20bにより決定されたMP下位交換装置31に対応する送信タイミングに基づいて、MP下位交換装置31に接続されている複数の装置(基地局42、43)に送信する(S44)。
各パケットデータが送信された各基地局と、各無線スロットデータが送信された移動端末50とにおいては、以下の処理が行われる。図12は、その処理を説明するためのフローチャート図である。
各基地局42,43,44の通信端末側通信部110は、決定部20bにより決定された受信タイミングに基づいて、送信されてきたパケットデータを受信する(S50)。
また、移動端末側通信部111は、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、移動端末50に対して、無線スロットデータを送信する(S52)。
移動端末50では、以下の処理が行われる。
移動端末50の通信部50aは、決定部20bにより決定された受信タイミング(1つの同じ受信タイミング)に基づいて、各基地局42,43,44から送信されてきた無線スロットデータを受信する(S54)。受信された各無線スロットデータは、制御部50bに送られる。
制御部50bは、複数の基地局42,43,44から送信された複数の無線スロットデータに基づいて、上記送信対象パケットデータを生成する(S56)。
(作用効果)
本実施の形態においては、例えば、MP上位交換装置20の決定部20bは、移動端末50によるデータ受信のタイミングが、複数の基地局42,43,44との間で、相互に同じになるように、各交換装置(マルチキャスト送信を行う交換装置)が、上記交換装置と接続されている複数の装置にパケットデータを送信するタイミングを示す送信タイミングをそれぞれ決定することができる。
そして、上記各交換装置の移動端末側送信部は、それぞれ、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、上記交換装置と接続されている複数の装置に対して、上記パケットデータを送信することができる。
このため、移動端末50が複数の基地局42,43,44との間で無線通信を行う場合(ソフトハンドオーバー状態)、移動端末50と通信端末装置10との間のデータ通信の際に、複数の交換装置がマルチパス通信処理を行うことができるので、ネットワークリソースの無駄な消費が防止される。
また、通信端末装置10から移動端末50宛に送信されたデータは、マルチキャスト送信を行う各交換装置に送信される。マルチキャスト送信を行う各交換装置は、決定部20bにより決定された送信タイミングに基づいて、上記交換装置と接続されている複数の装置に対して、上記パケットデータを送信することができる。
これにより、複数の交換装置がマルチキャスト送信を行う場合においても、各基地局42,43,44から送信されたデータを、移動端末50は、同じタイミングで受信することができる(ハンドオーバー処理の実現が可能になる)。
従って、本実施の形態によれば、移動端末50と通信端末装置10との間のデータ通信において、移動端末50が複数の基地局41,42…との間で無線通信を行う場合、ネットワークリソースの無駄な消費が防止されるとともに、移動端末50が各基地局からデータを受信するタイミングが相互に同じになる。
上述の効果を得るために、具体的には、マルチキャスト送信を行う各交換装置は、それぞれ、対応する処理(ハンドオーバー制御に関する処理)を行う必要がある。
本実施の形態では、一例として、マルチキャスト送信を行う各交換装置が、それぞれ以下のような処理を行うようにしている。
本実施の形態では、マルチキャスト送信を行う複数の交換装置のうち、MP上位交換装置20は、以下の処理を行う。
MP上位交換装置20は、通信端末装置10から送られたパケットデータである送信対象パケットデータと、MP上位交換装置20のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、複数の無線スロットデータを生成する。
また、MP上位交換装置20は、各無線スロットデータをそれぞれ含む各パケットデータを生成し、生成した各パケットデータを、決定部20bにより決定されたMP上位交換装置20に対応する送信タイミングに基づいて、MP上位交換装置20に接続されている複数の装置に送信する。
また、本実施の形態では、マルチキャスト送信を行う複数の交換装置のうち、MP下位交換装置31は、送信された各パケットデータと、MP下位交換装置31のマルチキャスト送信先の装置数とに基づいて、無線スロットデータを含むパケットデータを、複数、生成する。
そして、MP下位交換装置31は、生成した各パケットデータを、決定部20bにより決定されたMP下位交換装置31に対応する送信タイミングに基づいて、MP下位交換装置31に接続されている複数の装置に送信する。
このように、マルチキャスト送信を行う各交換装置が、それぞれに対応する処理を行うことにより、上記複数の基地局42、43,44が、移動端末50に、各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータを送信した場合、移動端末50は、各基地局から送信されたデータを、同じタイミングで受信することができる。
また、移動端末50は、各基地局42,43、44から送信された複数の無線スロットデータに基づいて、上記送信対象パケットデータを生成することができる。
この結果、移動端末50と通信端末装置10との間のデータ通信において、移動端末50が複数の基地局との間で無線通信を行う場合、ネットワークリソースの無駄な消費が防止されるとともに、移動端末50が各基地局からデータを受信するタイミングが相互に同じになる。
(変形例1)
上述した実施の形態は、以下のように変形することができる。なお、本変形例において、実施の形態と同じ構成、機能については、その説明を省略する。また、実施の形態と同じ構成については、同一符号を付す。
図1に示すように、通信端末装置10から移動端末50へのデータ送信において、通信システムは、1つのMP上位交換装置20と、1つのMP下位交換装置31と、マルチキャスト送信を行わない下位交換装置31と、複数の基地局42,43,44と、複数の基地局42,43、44と無線通信を行う移動端末50とを有する場合の説明を一例として、行う。
基地局42,43、44の制御部112と、MP下位交換装置31の第2制御部103は、通信端末側通信部100が各パケットデータを受信したタイミングと、決定部20bにより決定された上記各パケットデータの受信タイミングとを比較し、差があるか否かを判断する。
具体的には、以下のとおりである。
例えば、基地局42、43,44の制御部112には、通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの受信タイミングY1を示す情報が送られる。
また、MP下位交換装置31の第2制御部103には、通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの受信タイミングY2を示す情報が送られる。
受信タイミングY1は、例えば、y1+nT(y1は、所定の時刻タイミング、nは整数、Tは周期)であり、受信タイミングY2は、例えば、y2+nT(y2は、所定の時刻タイミング、nは整数、Tは周期)であるとする。ここで、Y1のTとY2のTは、同じ値である。そして、nは、送信対象情報に対応する値である。
そして、基地局42,43、44の制御部112及びMP下位交換装置31の第2制御部103は、通信端末側通信部が1つのパケットデータ(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータ)を受信した場合、上記パケットデータに含まれる送信順序情報と、通信端末側通信部が、上記パケットデータを受信した時刻である受信時刻を取得する。
そして、基地局42,43、44の制御部112及びMP下位交換装置31の第2制御部103は、取得した送信順序情報に対応する受信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの受信タイミング)と、取得した受信時刻とを比較し、差があるか否かを判断する。
差があると判断した場合には、基地局42,43、44の制御部112(差分情報生成部)及びMP下位交換装置31の第2制御部103(差分情報生成部)は、上記差を示す差分情報を生成する。
そして、基地局42、43、44の制御部112は、通信端末側通信部110を介して、上記差分情報を、通信端末装置側に接続された所定の交換装置(例えば、MP下位交換装置31)に送信する。この際、差分情報には、基地局の識別情報が与えられる。
同じく、MP下位交換装置31の第2制御部103は、通信端末側通信部100を介して、上記差分情報を、通信端末装置側に接続された所定の交換装置(例えば、MP上位交換装置20)に送信する。この際、差分情報には、MP下位交換装置31の識別情報が与えられる。
所定の交換装置(MP上位交換装置20又はMP下位交換装置31)の第2制御部は、上記差分情報を取得した場合、上記差分情報に対応づけられている所定の装置(MP下位交換装置31又は基地局)の識別情報を取得する。
そして、第2制御部20f、103は、上記所定の装置が、決定部20bにより決定された受信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの受信タイミング)でパケットデータを受信できることに対応する所定の送信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの送信タイミング)で、パケットデータを上記所定の装置に送信するように、通信端末側通信部20d、102に指示する。通信端末側通信部は、所定の送信タイミングで、パケットデータを上記所定の装置に送信する。
具体的には、以下のとおりである。
例えば、差分情報が時間p(実際に受信したタイミングの方が決定部20bにより決定された受信タイミングより時間pだけ遅い)であり、差分情報に対応する装置の識別情報は、基地局42の識別情報であるとする。
この場合、所定の交換装置は、MP下位交換装置31となる。そして、MP下位交換装置31の第2制御部103は、上記基地局42にパケットデータを送信するタイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの送信タイミング)がw3(=y3+nT)であることを示す情報を保持しているとする。
この場合、MP下位交換装置31の第2制御部103は、決定部20bにより決定された受信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの受信タイミング)で基地局42がパケットデータを受信できることに対応する所定の送信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの送信タイミング)として、例えば、(y3−p)+nTを算出する。
そして、MP下位交換装置31の第2制御部103は、上記所定の送信タイミングで、パケットデータを送信するように、移動端末側通信部102に指示する。
これにより、基地局42は、パケットデータを時間pだけ早く受信することになり、決定部20bにより決定された受信タイミングでパケットデータを受信することができる。
本変形例によれば、以下のような作用効果が得られる。通信端末装置10から移動端末50へのデータ送信においては、時間が経過するに従い、各装置における処理負荷の変化や、各通信経路における伝送負荷の変化が起こる場合がある。
このような場合、移動端末50と無線通信を行う基地局やMP下位交換装置は、決定部20bで決定された受信タイミングでパケットデータを受信できないことがある。
本変形例では、移動端末50と無線通信を行う基地局やMP下位交換装置31は、実際にパケットデータを受信したタイミングと、決定部20bにより決定された受信タイミングとの差を示す差分情報を生成することができる。
そして、生成された差分情報は、所定の装置(上記MP下位交換装置31)と、通信端末装置側に接続された所定のMP交換装置(MP下位交換装置31又はMP上位交換装置20)に送信される。
そして、所定のMP交換装置は、所定の装置から差分情報を取得する。なお、所定のMP交換装置が、例えば、MP上位交換装置20の場合には、所定の装置は、基地局44又はMP下位交換装置31であり、所定のMP交換装置が、MP下位交換装置31の場合には、所定の装置は、基地局42又は基地局43である。
そして、所定のMP交換装置は、差分情報に基づいて、所定の送信タイミング(所定の装置が決定部20bにより決定された受信タイミングでパケットデータを受信できることに対応する所定の送信タイミング)で、パケットデータを所定の装置に送信することができる。
この結果、所定の装置は、決定部20bで決定された受信タイミングで、パケットデータを受信することができる。
従って、本変形例では、基地局やMP下位交換装置による実際の受信タイミングが決定部20bにより決定された受信タイミングからずれてしまっても、迅速に、上記実際の受信タイミングが、決定部20bにより決定された受信タイミングに戻される。
(変形例2)
また、上述した変形例1は、上記所定の交換装置がMP下位交換装置である場合、以下のように変形してもよい。本変形例では、一例として、所定の装置が基地局42であり、上記所定の交換装置がMP下位交換装置31である場合の説明を行う。
所定の交換装置(MP下位交換装置31)の移動端末側通信部102が、上記所定の送信タイミングで、パケットデータを所定の装置(例えば、基地局42)に送信できない場合、移動端末側通信部102は、その旨を示す送信不能情報を、上記所定の交換装置と通信端末装置10側に接続された交換装置である端末側交換装置(例えば、MP上位交換装置20)に送信する。
この処理の具体的な一例は、以下のとおりである。例えば、MP下位交換装置31の受信タイミング(決定部20bにより決定された受信タイミング)から、パケットデータ処理時間(上記MP下位交換装置31のパケットデータ処理時間)を経過するタイミングを示す所定タイミングより、上記所定の送信タイミングが、早い場合には、MP下位交換装置31の移動端末側通信部102は、上記所定の送信タイミングで、パケットデータを基地局42に送信できない。
このような場合には、MP下位交換装置31の第2制御部103は、上記所定の送信タイミングでパケットデータを送信できないことを示す送信不能情報を生成する。
この送信不能情報には、上記所定タイミングと上記所定の送信タイミングとの差を示す差分情報も含まれる。この際、送信不能情報には、MP下位交換装置31の識別情報が与えられる。
そして、MP下位交換装置31の第2制御部103の指示に基づいて、通信端末側通信部100は、上記送信不能情報をMP上位交換装置20(端末側交換装置)に送信する。
MP上位交換装置20(端末側交換装置)の移動端末側通信部20dは、送信不能情報に基づいて、以下の処理を行う。
上記移動端末側通信部20dは、上記移動端末側通信部102が所定の送信タイミングでパケットデータを所定の装置(基地局42)に送信できることに対応する送信タイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの送信タイミング)で、パケットデータを所定の交換装置(上記MP下位交換装置31)に送信する。
具体的には、以下のとおりである。
例えば、送信不能情報に含まれる差分情報が時間qであり、送信不能情報に対応する所定の交換装置の識別情報は、MP下位交換装置31の識別情報であり、所定の装置は基地局42…であり、端末側交換装置は、MP上位交換装置20であるとする。
そして、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、MP下位交換装置31へパケットデータを送信するタイミング(通信端末装置10から移動端末50宛のパケットデータの送信タイミング)がw1(y1+nT)であることを保持しているとする。
この場合、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、保持している送信タイミングを示す情報と、差分情報とに基づいて、以下の処理を行う。
即ち、第2制御部20fは、MP下位交換装置31の移動端末側通信部102が上記所定の送信タイミングでパケットデータを基地局42に送信できることに対応する送信タイミングとして、(y1−q)+nTを算出する。
そして、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、上記送信タイミングで、パケットデータを送信するように、移動端末側通信部20dに指示する。
これにより、MP下位交換装置31は、パケットデータを時間qだけ早く受信することになり、上記所定の送信タイミングで、パケットデータを基地局42に送信することができる。
本変形例によれば、以下のような作用効果が得られる。差分情報を取得した所定のMP下位交換装置31において、上述した所定の送信タイミングで、パケットデータを所定の装置(例えば、基地局42)に送信できない場合がある。
このような場合、MP下位交換装置31は、通信端末装置10側に接続されたMP交換装置である端末側交換装置(例えば、MP上位交換装置20)に、送信不能情報を送信することができる。
そして、端末側交換装置は、送信不能情報に基づいて、ある送信タイミング(MP下位交換装置31が所定の送信タイミングでパケットデータを所定の装置(基地局42)に送信できることに対応する送信タイミング)で、パケットデータを上記MP下位交換装置31に送信することができる。
この結果、所定の交換装置(MP下位交換装置31)は、所定の送信タイミングで、パケットデータを、所定の装置(例えば、基地局42)に送信することができる。これにより、所定の装置(例えば、基地局42)は、決定部20bで決定された受信タイミングで、パケットデータを受信することができる。
従って、本変形例では、基地局やMP下位交換装置による実際の受信タイミングが決定部20bにより決定された受信タイミングからずれてしまっても、変形例1に比べて確実に、実際の受信タイミングを決定部20bにより決定された受信タイミングに戻すことができる。
(変形例3)
上述した実施の形態は、以下のように変形することにより、移動端末50は、複数の基地局42、43,44を介して、通信端末装置10へのデータ送信を行うことができる。
なお、本変形例においては、既に、各交換装置のうち、マルチキャスト送信を行う交換装置は決定されている。また、通信情報も、各交換装置に送信されている。
ここで、実施の形態で示したマルチキャスト送信を行う交換装置(MP上位交換装置20、MP下位交換装置31,32)は、移動端末50側に接続された複数の装置からパケットデータを受信し、直接、通信端末側に接続された装置に、上記パケットデータを送信する。
また、本変形例において、実施の形態と同じ構成、機能については、その説明を省略する。また、実施の形態と同じ構成については、同一符号を付す。
本変形例では、移動端末50から通信端末装置10へのデータ送信において、通信システムは、1つのMP上位交換装置20と、1つのMP下位交換装置31と、1つのUP下位交換装置32と、複数の基地局41,42…と、複数の基地局42、43、44と無線通信を行う移動端末50とを有する場合の説明を一例として、行う。
本変形例においては、移動端末50の制御部50bの機能、基地局の制御部112の機能、基地局の通信端末側通信部110の機能、MP下位交換装置31の第2制御部103の機能、MP下位交換装置31の通信端末側通信部100の機能、MP上位交換装置20の第2制御部20fの機能、MP上位交換装置20の通信端末側通信部20aの機能が、実施の形態とは、以下のように異なる。
なお、本変形例においても、本実施の形態では、一例として、上位交換装置と基地局との間の通信経路には、1つの下位交換装置が含まれている場合の説明が行われる。
以下、本変形例の通信システムを用いた通信方法(通信システムの動作)の説明を行う。図13は、本変形例の通信方法を説明するためのフローチャート図である。
移動端末50の制御部50b(無線スロット生成部)は、通信端末装置10に送信する対象のパケットデータである送信対象パケットデータと、上記複数の基地局42、43,44の数(例えば、3つ)とに基づいて、各無線スロットデータを、送信順序を示す送信順序情報と対応づけて、生成する(S100)。
具体的には、以下のとおりである。
移動端末50の制御部50bは、移動端末50が無線通信を行う基地局42、43,44の識別情報と、上記基地局の数を保持している。
そして、制御部50bは、送信対象パケットデータを、所定数に分割することにより、所定数の無線スロットデータを生成する。この際、制御部50bは、生成した各無線スロットデータに対して、それぞれ、送信順序を示す情報である送信順序情報を与える。
そして、制御部50bは、所定数の無線スロットデータを、上記基地局42,43,44の数だけ、生成する。
例えば、上記基地局の数が3であり、所定数が4の場合、制御部50bは、送信対象パケットデータから、4つの無線スロットデータを生成する。そして、各無線スロットデータには、送信順序情報(1、2,3,4)が与えられる。そして、制御部50bは、生成した4つの無線スロットデータの複製処理を行う。
制御部50bは、生成した各所定数の無線スロットデータを、それぞれ、通信部50aを介して、各基地局42,43,44に送信する。この際、各無線スロットデータには、宛先情報(通信端末装置10の識別情報)と、送信元装置である移動端末50を特定する情報とが与えられる。
各基地局42,43,44では、以下の処理が行われる。
各基地局42,43,44の制御部50bは、所定数の無線スロットデータを取得した場合、無線スロットデータと、上記無線スロットデータの受信品質を示す信頼度情報とを含むパケットデータを、無線スロットデータごとに生成する(S102)。
具体的には、以下のとおりである。各基地局42,43,44の制御部112は、移動端末側通信部111から送られた無線スロットデータの受信品質(例えば、ビット誤りの有無、受信SIRなど)を、無線スロットデータごとに監視する。
そして、各基地局42,42,44の制御部112は、監視した受信品質に対応する信頼度情報を、無線スロットデータごとに生成する。
そして、制御部112は、無線スロットデータと、この無線スロットデータに対応する信頼度情報とを含むパケットデータを、無線スロットデータごとに生成する。
この際、各パケットデータには、宛先装置(交換装置)の識別情報と、データ送信は移動端末50から通信端末装置10へのデータ送信であることを示す情報と、通信端末装置10の識別情報と、移動端末50を特定する情報が含まれる。各パケットデータは、通信端末側通信部110に送られる。
そして、各基地局42,43、44の通信端末側通信部110は、制御部(パケット生成部)112により生成された複数のパケットデータを、上記基地局42、43、44に接続されている交換装置に送信する(S104)。
即ち、基地局42,43の制御部112は、上記所定数のパケットデータを、MP下位交換装置31に送る。基地局44の制御部112は、上記所定数のパケットデータを、下位交換装置32を介して、MP上位交換装置20に送る。
MP下位交換装置31に、複数の装置(基地局42,43)から各パケットデータが送信された場合、上記MP下位交換装置31の第2制御部103は、上記各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、上記各パケットデータに対応づけられた送信順序情報と信頼度情報とに基づいて、複数の無線スロットデータを選択する(S106)。
具体的には、例えば、以下のとおりである。図14は、MP下位交換装置31における処理を説明するための補足図である。MP下位交換装置31の第2制御部103には、基地局42、43から、上記所定数のパケットデータがそれぞれ送られる(S1060)。
第2制御部103は、各パケットデータに含まれる無線スロットデータをそれぞれ取得する。そして、第2制御部103は、各送信順序情報ごとに以下の処理を行う。
第2制御部103は、同じ送信順序情報に対応する2つの無線スロットデータに対応する信頼度情報を比較し、信頼度情報の高い無線スロットデータを選択する(S1062)。
そして、第2制御部103は、すべての送信順序情報(1から4)に対応する無線スロットデータを選択した場合、選択した無線スロットデータと、これに対応する信頼度情報とを含むパケットデータを、選択した無線スロットデータごとに生成する(S1064)。
この際、各パケットデータには、宛先装置(MP上位交換装置20)の識別情報と、データ送信は、移動端末50から通信端末装置10へのデータ送信であることを示す情報と、通信端末装置10の識別情報と、移動端末50を特定する情報が含まれる。
そして、第2制御部103は、通信端末側通信部100に各パケットデータを、上記MP上位交換装置20に送信するように指示する。
通信端末側通信部100は、第2制御部103により選択された各無線スロットデータをそれぞれ含む各パケットデータを、上記MP上位交換装置20に送信する(S108)。
MP上位交換装置20に、複数の装置(MP下位交換装置31,基地局44)から各パケットデータが送信された場合、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、上記各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、各パケットデータに対応づけられた送信順序情報と信頼度情報とに基づいて、複数の無線スロットデータを選択する(S110)。
図15は、MP上位交換装置20における処理を説明するための補足図である。図15において、ステップS1065、ステップS1066では、それぞれ、ステップS1060、S1062に対応する処理が行われる。そして、第2制御部20fが、すべての送信順序情報に対応する無線スロットデータを選択した場合、以下の処理が行われる。
そして、第2制御部20fは、選択した複数の無線スロットデータに基づいて、送信対象パケットデータを生成する(S112)。
具体的には、第2制御部20fは、選択したすべての送信順序情報(例えば、図15に示す1から4)に対応する無線スロットデータを組み合わせることにより、送信対象パケットデータを生成する。
そして、第2制御部20fは、送信対象パケットデータを、通信端末装置10に送信するように通信端末側通信部20aに指示する。
通信端末側通信部20aは、送信対象パケットデータを、送信対象パケットデータに含まれる宛先情報(通信端末装置10の識別情報)に基づいて、例えば、公衆ネットワークを介して、通信端末装置10に送信する(S114)。
本変形例によれば、以下のような作用効果が得られる。
移動端末50から通信端末装置10へのデータ送信の場合において、移動端末50が複数の基地局42、43、44と通信を行うときでも、複数の交換装置(MP上位交換装置20、MP下位交換装置31)は、複数の装置から送られたパケットデータを直接、移動端末50側に接続された装置に送信することができる。
例えば、MP下位交換装置31は、複数の基地局42、43から送られたパケットデータを直接、移動端末50側に接続されたMP上位交換装置20に送信するができるとともに、MP上位交換装置20は、複数の装置から送られたパケットデータを直接、公衆ネットワークを介して、通信端末装置10に送信することができる。
このため、本変形例によれば、移動端末50から通信端末装置10へのデータ送信の場合において、移動端末50が複数の基地局42、43,44と無線通信を行うとき、ネットワークリソースの無駄な消費が防止される。
また、基地局42、43,44では、無線スロットデータと、上記無線スロットデータの受信品質を示す信頼度情報とを含むパケットデータを、無線スロットデータごとに、生成し、複数のパケットデータを、MP交換装置(MP下位交換装置31又はMP上位交換装置20)に送信する。
そして、各MP交換装置では、送信されてきた各パケットデータを取得した場合、各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、上記各パケットデータに対応づけられた送信順序情報と信頼度情報とに基づいて、例えば、高い信頼度情報に対応する複数の無線スロットデータを選択することができる。
そして、各MP交換装置は、選択した各無線スロットデータをそれぞれ含む各パケットデータを、移動端末50側に接続されている装置(例えば、MP上位交換装置20)に送信することができる。
このため、MP下位交換装置31は、通信品質の良好な各スロットデータを生成し、送信することができる。
そして、MP上位交換装置20は、送信されてきた各パケットデータを取得した場合、各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、各パケットデータに対応づけられた送信順序情報と信頼度情報とに基づいて、以下の処理を行うことができる。
MP上位交換装置20は、例えば、高い信頼度情報に対応する複数の無線スロットデータを選択し、選択した複数の無線スロットデータに基づいて、送信対象パケットデータを生成することができる。そして、この送信対象パケットデータは、通信端末装置10に送られる。
このため、本変形例によれば、移動端末50から送られたデータが通信端末装置10宛に送信される場合、通信端末装置10が取得できるデータの通信品質が良好になる。
(変形例4)
上述した変形例3は、以下のように変形してもよい。
例えば、MP上位交換装置20の第2制御部20fに、複数の装置から各パケットデータが送信された場合、第2制御部20fは、上記各パケットデータを取得する。
そして、各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、所定の送信順序情報に対応するすべての無線スロットデータの信頼度情報が低い場合には、例えば、第2制御部20fは、上記所定の送信順序情報に対応する無線スロットデータを選択できないようにしてもよい。
このような場合には、MP上位交換装置20は、以下のような機能を有する。
なお、上記所定の送信順序情報に対応する無線スロットデータが、第2制御部20fに送られなかったような場合でも、MP上位交換装置20は、以下のような機能を有しても良い。
また、移動端末50の制御部50bは、生成した所定数の無線スロットデータを、送信順序情報と対応づけて保持している。制御部50bは、MP上位交換装置20からの再送要求(後述する)が送られると予想される時間の間、上記保持処理を行う。
MP上位交換装置20の第2制御部20f(第2選択部)が、上記各パケットデータにそれぞれ含まれる各無線スロットデータのうち、所定の複数の無線スロットデータを選択するとともに、所定の送信対象情報に対応する無線スロットデータを選択できない場合、移動端末側通信部20dは、上記移動端末50に対して、上記所定の送信対象情報に対応する無線スロットデータの要求(この要求とは、周知の自動再送要求(ARQ)であり、以下、再送要求という)を送信する。
具体的には、以下のとおりである。
図16は、本変形例のMP上位交換装置20の処理の説明を補足するための図である。図16に示すように、MP上位交換装置20の第2制御部20fに、送信順序情報1から4にそれぞれ対応するパケットデータ(無線スロットデータと信頼度情報とを含む)が2つの装置(MP下位交換装置31、基地局44)から、送られたとする(S1060)。
この場合において、例えば、送信順序情報3に対応する無線スロットデータの信頼度情報が2つとも低いとする。この場合、第2制御部20fは、送信順序情報1、2,4に対応する無線スロットデータをそれぞれ選択し、いったん保持する。
一方、第2制御部20fは、送信順序情報3に対応する無線スロットデータは選択できないことを判断する(S1070)。
そして、第2制御部20fの指示により、移動端末側通信部20dは、所定の送信順序情報3に対応する無線スロットデータの再送要求を、移動端末50に送信する(S1072)。
移動端末50の制御部50bは、上記再送要求を取得した場合、保持している所定の送信順序情報3に対応する無線スロットデータを、通信部50aを介して、MP上位交換装置20に送信する。
上位交換装置20の第2制御部20fは、移動端末50から送られた、所定の送信対象情報3に対応する無線スロットデータを取得する。
第2制御部20fは、取得した所定の送信対象情報3に対応する無線スロットデータと、保持している無線スロットデータ(既に選択した送信順序情報1,2,4に対応する無線スロットデータ)とに基づいて、以下の処理を行う。
即ち、第2制御部20fは、各無線スロットデータ(送信順序情報1,2,3,4に対応する無線スロットデータ)を組み合わせることにより、上記送信対象パケットデータを生成する。そして、変形例3におけるステップS114の処理が行われる。
本変形例によれば、MP上位交換装置20に送信されてきた各パケットデータのうち、所定の送信順序情報に対応する全ての無線スロットデータの通信品質が悪い場合とか、所定の送信順序情報に対応するパケットデータが送信されなかった場合には、上述した再送要求が移動端末50に送信される。
そして、移動端末50は、再送要求に基づいて、上記所定の送信順序情報に対応するパケットデータを、MP上位交換装置20に送信するので、MP上位交換装置20の第2制御部20fは、既に選択した複数の無線スロットデータと、送信されてきた無線スロットデータとに基づいて、送信対象パケットデータを生成することができる。
このため、本変形例によれば、変形例3と比較して、通信端末装置10が取得できるデータの通信品質が一層良好になる。
(変形例5)
上述した実施の形態、変形例1から4は、以下のように変形することができる。なお、本変形例において、実施の形態、変形例1から4と同一処理については、その説明を省略する。
上位交換装置20の機能は、上位ルータ(図示せず)と、上位ルータと回線を介して接続された上位制御機(図示せず)とに分担するようにしてもよい。この場合、上位交換装置20は、上位ルータと、上位制御機とを有することになる。
そして、上位ルータは、移動端末側通信部20dと、第1制御部20gと、通信端末側通信部20aと、上位制御機との間でデータ通信を行う制御機側通信部(図示せず)とを有する。
上位制御機は、上位ルータとの間でデータ通信を行う通信部(図示せず)と、第2制御部20fと、生成部20cと、決定部20bとを有する。同じく、下位交換装置31,32の機能は、下位ルータ(図示せず)と、下位ルータと回線を介して接続された下位制御機(図示せず)とに分担するようにしてもよい。
この場合、下位交換装置31,32は、下位ルータと、下位制御機とを有することになる。
そして、下位ルータは、移動端末側通信部102と、第1制御部104と、通信端末側通信部100と、下位制御機との間でデータ通信を行う制御機側通信部(図示せず)とを有する。
下位制御機は、下位ルータとの間でデータ通信を行う通信部(図示せず)と、第2制御部103と、生成部101とを有する。
第1制御部20g、104は、制御機(上位制御機、下位制御機)が行う処理に関するデータを、制御機側通信部を介して、制御機に送信する。
また、第1制御部20g、104は、第2制御部20f、103から送られてきたデータを、制御機側通信部を介して、取得する。
また、実施の形態において、決定部20bは、各基地局(例えば、基地局42、43,44)の受信タイミングを決定した後、以下のような処理を行う。
即ち、実施の形態の決定部20bによる決定処理の説明において、以下のような置き換えを行う必要がある。
即ち、MP上位交換装置20が、MP上位交換装置20に含まれる上位制御機に置き換えられ、MP下位交換装置31が、MP下位交換装置31に含まれる下位制御機に置き換えられ、マルチキャスト送信を行わない下位交換装置32が、上記下位交換装置32に含まれるルータに置き換えられ、通信端末側通信部20a,100及び移動端末側通信部20d,102が、制御機(上位制御機、下位制御機)の通信部に置き換えられる。
そして、第2制御部20f,103は、決定部20bにより決定された送受信タイミングで、パケットデータを送受信できるように、制御機(上位制御機、下位制御機)の通信部に指示する。
また、実施の形態の説明において、以下のような置き換えが行われる必要がある。
下位交換装置31,32の識別情報は、下位ルータの識別情報及び下位制御機の識別情報に置き換えられ、MP下位交換装置31の識別情報は、MP下位交換装置31の下位制御機の識別情報に置き換えられ、第2制御部が制御する移動端末側通信部及び通信端末側通信部は、制御機(上位制御機、下位制御機)の通信部に置き換えられる。
また、第2制御部20f,103が管理するデータ処理時間は、制御機(上位制御機、下位制御機)の通信部にデータが受信されてから、制御機の通信部からデータが送信されるまでに要する時間である。
また、変形例1、2の説明においては、以下のような置き換えが行われる必要がある。
MP下位交換装置31の移動端末側通信部は、MP下位交換装置31の下位制御機の通信部に置き換えられる必要がある。同じく、MP上位交換装置20の移動端末側通信部は、MP上位交換装置20の上位制御機の通信部に置き換えられる必要がある。そして、MP下位交換装置31の識別情報は、MP下位交換装置31の下位制御機の識別情報に置き換えられる必要がある。
また、変形例3、4の説明においては、以下のような置き換えが行われる必要がある。
MP上位交換装置20は、MP上位交換装置20に含まれる上位制御機に置き換えられ、MP下位交換装置31は、MP下位交換装置31に含まれる制御機に置き換えられ、MP上位交換装置20(及びMP下位交換装置31)の識別情報は、MP上位交換装置20(及びMP下位交換装置31)の上位制御機(及び下位制御機)の識別情報に置き換えられ、第2制御部が制御する移動端末側通信部及び通信端末側通信部は、制御機(上位制御機、下位制御機)の通信部に置き換えられる。
(変形例6) 上述した実施の形態、各変形例においては、上位交換装置20と基地局41,42…との間の通信経路には、1つの下位交換装置31,32が含まれている場合の説明が行われたが、本発明は、これに限定されず、上位交換装置20と基地局41,42…との間の通信経路には、複数の下位交換装置が含まれていても良い。
この場合においても、上述した実施の形態、各変形例の適用が可能である。但し、この場合には、基地局と接続された下位交換装置以外の交換装置(MP上位交換装置となりうる交換装置)には、上述した決定部20bが設けられる必要がある。
また、本発明は、マルチキャスト送信を行う交換装置が複数の場合に限定されず、1つの場合でも適用できる。
例えば、図17に示すような場合、移動端末50は、1つの下位交換装置31と接続された複数の基地局42、43と無線通信を行う。この際、マルチキャスト通信を行う交換装置は、上記1つの下位交換装置31だけである。
この場合、上記1つの下位交換装置31が、MP上位交換装置として機能する必要がある。これにより、移動端末50と通信端末装置10との間のデータ通信が可能となる。
また、上述した実施の形態、各変形例では、全ての交換装置(下位交換装置31,32、上位交換装置20)がマルチキャスト通信を行う機能を有していたが、本発明は、特に、この場合に限定されない。
例えば、本発明の効果をある程度達成できるように、全ての交換装置のうち、所定数の交換装置だけが、マルチキャスト通信を行う機能を有するようにしてもよい。これにより、通信システムの実現に要するコストを低減させることができる。
また、上述した実施の形態、各変形例では、決定部20bは、上位交換装置20に設けられていたが、決定部20bは、例えば、下位交換装置31,32にあってもよい。また、決定部20bは、全ての交換装置に具備されていてもよい。
そして、全ての交換装置のうち、MP上位交換装置となる交換装置において、上記決定部20bが起動するようにしてもよい。
また、決定部20bは、交換装置とは独立した構成である装置内に設けられても良い。この場合には、決定部20bにより決定された各送受信タイミングを示す情報は、MP上位交換装置20、MP下位交換装置31、各基地局、移動端末50に送信される必要がある。