JP4367666B2 - ねじ締付装置 - Google Patents
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Description
そのため、特許文献1の発明に係るねじ締付装置を自動化して構成しようとすると、締付トルクの反力や自重等の影響により平行リンクを回動させる駆動モータ等の性能を上げる(高トルク化)必要があり容易に自動化することができない。しかも、自動化にあたっては、車体を位置決めする位置決めユニット等も備える必要があり、特許文献1の発明に係るねじ締付装置を自動化するには、駆動モータの高トルク化や構造が複雑化する等様々な問題が有り実現することが困難であった。
なお、本明細書で述べる低推力とは、上述したような従来の、安全柵を設けて専用スペースを有する巨大なねじ締付装置の自動化に採用されるような高推力ではなく、自動車等の通常の組立ラインで、作業者が付近に配置されるような組立ライン上で使用可能な推力レベルであり、特別な仕様ではない汎用の駆動部材に採用される推力レベルである。
これにより、ねじ締付装置の自動化を低推力で実現することができる。
なお、本発明のねじ締付装置の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項、(2)項及び(5)項の各々が、請求項1乃至3の各々に相当する。
従って、(1)項のねじ締付装置では、ワークを位置決め手段により位置決めした後、ナットランナ等の回転工具が、X軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットによりX軸、Y軸及びZ軸方向それぞれに沿って自動で移動されて、回転工具によりボルト、ナット等のねじを締付けることができる。また、回転工具の締付トルクの反力は反力支持部材により支持されるので、X軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットに締付トルクの反力が作用することはない。そのため、低推力で駆動する汎用のX軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットを採用することが可能になる。
また、締付トルクの反力(回転軸周りの回転力)は、回転工具の本体部から平行リンクを介して支持部材に伝達され、該支持部材により支持される。しかも、回転工具と支持部材との間に平行リンクを配置したので、回転工具の本体部に付与される回転力(荷重)が大幅に低減されて支持部材に伝達される。
さらに、回転工具の本体部に、X軸直動ロボット、Y軸直動ロボットまたはZ軸直動ロボットの内いずれか一つの直動ロボットが連結されれば、回転工具が、X軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットによりX軸、Y軸及びZ軸方向に沿って自動で移動可能になり、構造が複雑になることはない。
さらにまた、位置決め手段によりワークを位置決めした後、ワークの微小な揺れ等をフローティングテーブルにより吸収することができる。
従って、(2)項のねじ締付装置では、X軸直動ロボット、Y軸直動ロボットまたはZ軸直動ロボットの内いずれか一つの直動ロボットが、故障等により作動不能になった場合には、作業者が、直動ロボットユニットと回転工具との連結を解除し、回転工具の本体部を把持して締付位置に順次移動させてねじを締付けることが可能となる。また、この場合も、ねじ締付けの際の締付トルクの反力は、反力支持部材により支持されるので、作業者が締付トルクの反力を受けることなく、容易に締付作業を行うことができる。
従って、(3)項のねじ締付装置では、締付トルクの反力を支持する反力支持部材は、その構造を複雑化することなく、直動ロボットユニットによる回転工具のX軸、Y軸及びZ軸方向への移動を許容することができる。
従って、(4)項のねじ締付装置では、ワークをフローティングテーブルに対して正確に位置決めすることができる。
従って、(5)項のねじ締付装置は、一定速度で進行するオーバーヘッドコンベアのハンガに吊下げられた状態で搬送されるワークのねじ締付け作業に非常に効果的である。
本発明の実施の形態に係るねじ締付装置1は、図1に示すように、自動車の組立ラインにおいて、連続的に一定速度で進行するオーバーヘッドコンベアのハンガ3に吊下げられた状態で搬送されるボディ2(ワーク)に部品を組み付ける際、ボディ2の下方からボルト、ナット等のねじを締付けるために用いられるものである。
なお、本実施の形態では、図1において、X軸方向は、図1に対して直交する方向であり、Y軸方向は、図1の左右方向であり、Z軸方向は、図1の上下方向である。
また、ナットランナ4の本体部5の上部には、Y軸方向に延びる本体プレート20が固定されている。この本体プレート20に後述する昇降ロッド41の上端が固定されると共に、エアシリンダ70からのバランスロッド(シリンダロッド)71の上面が当接される。
スライダ21は、図1及び図4に示すように、底板26と、各ガイドレール25と直交する方向(X軸方向)に延びる縦板27と、縦板27の一側面から延びる補強リブ28と、縦板27の他側面から突設される、平行リンク22との係合ブロック29とから構成されている。また、スライダ21の底板26には、各ガイドレール25上をスライドする一対のスライドコマ30が2組固定されている。
そして、スライダ21は、各ガイドレール25により、締付台車7の天板31上を締付台車7の走行方向と直交する方向(Y軸方向)にスライド可能に支持され、また、スライダ21は、各ガイドレール25により、ナットランナ4の本体部5の回転軸6周りの回動が規制されて支持される。
そして、ナットランナ4の本体部5から延びる本体プレート20の下面にエアシリンダ70からのバランスロッド(シリンダロッド)71の上面が当接される。
一方、ボディ側係合ピンユニット51は、ハンガ側係合ピンユニット52の構成と基本的に同じであり、上端のボディ側係合ピン58がハンガ側係合ピン57よりも小径に形成されることから、全体の構成部品がハンガ側係合ピンユニット52の構成部品よりも若干小径に形成されている。
このハンガ同期バー60は、締付台車7が所定の作業区間を走行し始めると、締付台車7から上昇してハンガ3の進行方向前面を引っ掛けるように係合されるもので、該ハンガ同期バー60(連結部材83)の下方に向かって開口された係合孔に、ハンガ側係合ピンユニット52のハンガ側係合ピン57が係合されるようになっている。
これらX軸直動ロボット8、Y軸直動ロボット9及びZ軸直動ロボット10には、フローティングテーブル50とボディ2との相対位置が決まった後の動作が予めティーチングされている。
部品が仮組みされたボディ2がハンガ3に吊下げられた状態で所定の作業区間に搬送されると、該作業区間に配備された本ねじ締付装置1の締付台車7がボディ2に同期して各レール12、12上を走行する。
すると、まず、締付台車7からハンガ同期バー60が上昇してハンガ3の前面を引っ掛けるようにしてハンガ3に装着される。
次に、フローティングテーブル50に固定されたボディ側係合ピンユニット51のボディ側係合ピン58及びハンガ側係合ピンユニット52のハンガ側係合ピン57がそれぞれ上昇され、ボディ2の係合孔及びハンガ同期バー60(連結部材83)の係合孔のそれぞれに挿通されて係合される。
なお、フローティングテーブル50は、予め、回転軸6と略直交する平面上(X−Y平面上)において、ボディ側係合ピン58及びハンガ側係合ピン57が、ボディ2の係合孔及びハンガ同期バー60(連結部材83)の係合孔のそれぞれに挿通できる所定位置に配置されている。また、フローティングテーブル50は、ボディ2の微小な揺れや締付け時の微小な揺れを吸収するために常にX−Y平面に沿って移動自在となっている。
また、フローティングテーブル50は、常にX−Y平面に沿って移動自在であるので、特に、ボディ側係合ピンユニット51のボディ側係合ピン58がボディ2の係合孔にうまく挿通されない場合等には、作業者がボディ側係合ピンユニット51のX−Y平面上での位置を微調整してボディ側係合ピン58をボディ2の係合孔に挿通させることができる。
その後、この動作が順次繰り返されて、全ての締付位置にて締付けが完了すると、ボディ側係合ピンユニット51のボディ側係合ピン58及びハンガ側係合ピンユニット52のハンガ側係合ピン57がそれぞれ下降して、ボディ2のフローティングテーブル50に対する位置決めが解除される。これと同時に、X軸直動ロボット8、Y軸直動ロボット9及びZ軸直動ロボット10が図1に示す原点に戻り、締付台車7が所定の作業区間の走行開始地点に復帰する。
そして、スライダ21に伝達された締付トルクの反力は、各ガイドレール25、25を介して締付台車7に伝達されて、各レール12、12に支持された締付台車7によって受止められる。なお、一対のレール12、12の間の幅及び締付台車7の前後の車輪13、13の間の距離を充分大きくすることにより、各車輪13に作用する力を軽減することができる。
この場合も、ねじ締付けの際の締付トルクの反力は、反力支持部材15により支持されるので、作業者が締付トルクの反力を受けることなく、容易に締付作業を行うことができる。
また、本ねじ締付装置1では、従来の自動化された巨大なねじ締付装置のように、安全柵で囲まれた専用スペースを必要としないので、組立ラインの長さを相当短縮することができ、さらに、本ねじ締付装置1は、その自動化を低推力で実現できたため、作業者が組立ライン付近で作業する場合でも安全性を確保することができる。
しかも、本ねじ締付装置1では、車種追加や締付位置の変更時でも、構造等を変更することなく、X軸直動ロボット8、Y軸直動ロボット9及びZ軸直動ロボット10のティーチング内容を変更することにより対応できるので汎用性があり実用的である。
Claims (3)
- ワークにねじを締付ける回転軸及び本体部を有する回転工具と、
該回転工具を互い直交するX軸、Y軸及びZ軸方向それぞれに沿って移動させるX軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットを互いに連結して構成される直動ロボットユニットと、
前記回転工具の本体部をX軸、Y軸及びZ軸方向それぞれに沿って移動可能に支持すると共に、該本体部の前記回転軸周りの回動を規制するべく、前記回転工具の本体部の前記回転軸周りの回動を規制する支持部材と、前記回転工具の回転軸に略直交する平面上に配置されて、前記回転工具の本体部と前記支持部材とを連結する平行リンクとからなる反力支持部材と、
前記ワークを位置決めする位置決め手段と、
前記直動ロボットユニット及び前記位置決め手段が連結され、前記回転工具の回転軸に略直交する平面に沿って移動自在なフローティングテーブルと、
を備えていることを特徴とするねじ締付装置。 - 前記直動ロボットユニットと、前記回転工具とは着脱自在に連結されることを特徴とする請求項1に記載のねじ締付装置。
- 前記ワークと同期走行する締付台車に、前記回転工具と、前記X軸直動ロボット、Y軸直動ロボット及びZ軸直動ロボットと、前記反力支持部材と、前記位置決め手段とが備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載のねじ締付装置。
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