JP4366833B2 - 共役ジエン化合物の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジエン化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共役ジエン化合物は、重合触媒によって種々のミクロ構造を有するポリマーを与えることが知られている。遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物を用い、ポリマーを製造する方法が数多く知られているが、このような配位重合触媒では微量の不純物が触媒を被毒することがあり、活性やポリマー物性に悪い影響を及ぼすことがある。
【0003】
共役ジエン重合においては、一般にモノマーの精製方法として、単蒸留や共沸蒸留あるいはモレキュラーシーブスと接触させることにより、水分などの不純物の除去や重合溶媒からの分離などをおこなっている。
しかしながら、上記の精製方法による共役ジエンを用いた重合で、水分などの含量がスペック範囲内にあるにもかかわらず、重合活性やポリマー物性が安定しないことがある。
【0004】
一方、共役ジエン化合物には、アセチレン化合物が微量含まれることがあり、これを選択的に除去する方法がいくつか知られている。
【0005】
末端アセチレン化合物は銅化合物あるいは銀化合物と反応して、不溶性の銅アセチリドあるいは銀アセチリドを生成することが知られており、銅化合物あるいは銀化合物との反応で生成した沈殿を除去することにより精製することができる。しかしながらこれらのアセチリドは不安定であり、爆発性を有することがある為危険である。
【0006】
特公平5-26540号公報および特公平5-26541号公報には、銅あるいは銀を担体に担持した吸着剤と接触させることによりアセチレン化合物を吸着除去する方法、およびその吸着剤を再生する方法が開示されている。しかしながら、銅あるいは銀と1:1のモル比で反応するため、吸着剤に対して多量のビニル化合物を処理することが困難で、吸着剤の再生を頻繁に行う必要があり実用的ではなかった。
【0007】
アセチレン類を水添して除去する方法としては、例えば、Applied Catalysis A: General vol.131, p.225(1995)に、シリカに担持した銅を触媒としたC4留分中の不純物除去法が報告されているが、共役ジエン化合物の水添が少なからず起こるうえに、高温を要するため好ましくない。
【0008】
さらに、Applied Catalysis A: General vol.120, p.163(1994)には、シリカに担持した銅を触媒として、C4留分中のアセチレン類を選択的に水添除去する方法が報告されているが、高温を要するうえ、オリゴマーの生成による活性低下があるため好ましくない。
【0009】
また、特開平9-194526号公報、特開平9-291108号公報、特開平9-316122号公報、ヨーロッパ特許公報(EP0778291A1)、ヨーロッパ特許公報(EP0919574A1)等には、特定構造のバナジウムメタロセン化合物を含む触媒系によるポリブタジエンの製造方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
共役ジエンを精製する簡便な方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
共役ジエンの重合触媒系による重合において、初期にモノマーに含まれる微量のアセチレン化合物が消費されていることを見出し、本発明を考案するに至った。本発明は、アセチレン化合物を含む共役ジエン化合物の精製方法において、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、並びに(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンから得られる触媒と接触処理し、かつ、接触時間が下記(1)式を満足することを特徴とする共役ジエン化合物の精製方法に関する。
t≦10.7a/c (1)
(但し、(1)式中、tは共役ジエン化合物と該触媒との接触時間(分)、aは未精製の共役ジエン化合物に含まれるアセチレン化合物の含量(ppm)、cは共役ジエン化合物に対するメタロセン型錯体の濃度(μmol/l)を示す。)
【0012】
また、本発明は、アセチレン化合物を含む共役ジエン化合物の精製方法において、水素の共存下に(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、並びに(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンから得られる触媒と接触処理し、かつ、接触時間が下記(2)式を満足することを特徴とする共役ジエン化合物の精製方法に関する。
t≦1.6a/{c(PH2+0.15)} (2)
(但し、(1)式中、tは共役ジエン化合物と該触媒との接触時間(分)、aは未精製の共役ジエン化合物に含まれるアセチレン化合物の含量(ppm)、cは共役ジエン化合物に対するメタロセン型錯体の濃度(μmol/l)、PH2は水素分圧(atm)を示す。)
【0013】
また、本発明は、共役ジエン1モルに対し、上記(A)成分のメタロセン型錯体が1×10-8〜1×10-3モルであることを特徴とする上記の条件を満たす共役ジエン化合物の精製方法に関する。
【0014】
また、本発明は、上記の触媒が、更に、(C)周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物及び(D)水からなることを特徴とする上記の共役ジエン化合物の精製方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらのモノマ−成分は、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
また、共役ジエンの他に、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の非環状モノオレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の環状モノオレフィン、及び/又はスチレンやα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等を少量含んでいてもよい。
【0017】
本発明において共役ジエン化合物の精製に用いられる触媒としては、例えば、(I)(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、並びに(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルミノキサンから得られる触媒などが挙げられる。
【0018】
あるいは、(II)(A)周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、(C)周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物、及び(D)水から得られる触媒などが挙げられる。
【0019】
上記の触媒で用いられる(A)成分の遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、周期律表第4〜8族遷移金属化合物のメタロセン型錯体が挙げられる。
【0020】
例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期律表第4族遷移金属のメタロセン型錯体(例えば、CpTiCl3など)、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体、クロムなどの第6族遷移金属メタロセン型錯体、コバルト、ニッケルなどの第8族遷移金属のメタロセン型錯体が挙げられる。
【0021】
中でも、周期律表第5族遷移金属のメタロセン型錯体が好適に用いられる。
【0022】
上記の周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、
(1) RM・La
(2) Rn MX2-n ・La
(3) Rn MX3-n ・La
(4) RMX3 ・La
(5) RM(O)X2 ・La
(6) Rn MX3-n (NR' )
などの一般式で表される化合物が挙げられる(式中、nは1又は2、aは0,1又は2である)。
【0023】
中でも、RM・La、RMX3 ・La 、RM(O)X2 ・La などが好ましく挙げられる。
【0024】
Mは、周期律表第5族遷移金属化合物が好ましい。具体的にはバナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)であり、好ましい金属はバナジウムである。
【0025】
Rはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基を示す。
【0026】
置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基又は置換フルオレニル基における置換基としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジルなど芳香族炭化水素基、トリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基などが挙げられる。さらに、シクロペンタジエニル環がXの一部と互いにジメチルシリル、ジメチルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、エチレン、置換エチレンなどの架橋基で結合されたものも含まれる。
【0027】
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジ(t−ブチル)シクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−ベンジル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−フェニル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリメチルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリフルオロメチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
【0028】
置換インデニル基の具体例としては、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基などが挙げられる。
置換フルオレニル基の具体例としては、メチルフルオレニル基などが挙げられる。
以上の中でも、Rとしてシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、1,2,3−トリメチルインデニル基などが好ましい。
【0029】
Xは水素、ハロゲン、炭素数1から20の炭化水素基、アルコキシ基、又はアミノ基を示す。Xはすべて同じであっても、互いに異なっていてもよい。
【0030】
ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0031】
炭素数1から20の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらにトリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基も含まれる。中でも、メチル、ベンジル、トリメチルシリルメチルなどが好ましい。
【0032】
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。さらに、アミルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、チオメトキシなどを用いてもよい。
【0033】
アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノなどが挙げられる。
【0034】
以上の中でも、Xとしては、水素、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル、エチル、ブチル、メトキシ、エトキシ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどが好ましい。
【0035】
Lは、ルイス塩基であり、金属に配位できるルイス塩基性の一般的な無機、有機化合物である。その内、活性水素を有しない化合物が特に好ましい。具体例としては、エ−テル、エステル、ケトン、アミン、ホスフィン、シリルオキシ化合物、オレフィン、ジエン、芳香族化合物、アルキンなどが挙げられる。
【0036】
NR'はイミド基であり、R'は炭素数1から25の炭化水素置換基である。R' の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ネオペンチルなどの直鎖状脂肪族炭化水素基または分岐状脂肪族炭化水素基、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニル−2−プロピル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニルなどの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらにトリメチルシリルなどのケイ素原子を含有する炭化水素基も含まれる。
【0037】
(A)周期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、中でも、Mがバナジウムであるバナジウム化合物が好ましい。例えば、RV・La、RVX・La、R2V・La、RVX2・La 、R2VX・La、RVX3・La 、RV(O)X2・La などが好ましく挙げられる。特に、RV・La、RVX3・Laが好ましい。
【0038】
RM・La、すなわち、シクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+1の周期律表第5族遷移金属化合物としては、シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(トルエン)バナジウム、シクロペンタジエニル(キシレン)バナジウム、シクロペンタジエニル(トリメチルベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ヘキサメチルベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ナフタレン)バナジウム、シクロペンタジエニル(アントラセン)バナジウム、シクロペンタジエニル(フェロセン)バナジウム、メチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1−ブチル−3−メチルシクロペタジエニル(ベンゼン)バナジウム、テトラメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、トリメチルシリルシクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル(ベンゼン)バナジウム、インデニル(ベンゼン)バナジウム、2−メチルインデニル(ベンゼン)バナジウム、2−トリメチルシリルインデニル(ベンゼン)バナジウム、フルオレニル(ベンゼン)バナジウム、シクロペンタジエニル(エチレン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(ブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(1,4−ジフェニルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(2,3−ジメチルブタジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニル(2、4−ヘキサジエン)(トリメチルホスフィン)バナジウム、シクロペンタジエニルテトラカルボニルバナジウム、インデニルテトラカルボニルバナジウムなどを挙げることができる。
【0039】
Rn MX2-n・Laで表わされる化合物のうち、n=1、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として一個有する場合には、他のシグマ結合性配位子として、水素原子、塩素、臭素、沃素などのハロゲン原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ネオペンチル基、トリメチルシリル基、ビストリメチルシリルメチル基などの炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などの炭化水素オキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジオクチルアミノ基などの炭化水素アミノ基を有することができる。
【0040】
さらに、他の配位子としては、アミン、アミド、ホスフィン、エ−テル、ケトン、エステル、オレフィン、ジエン、芳香族炭化水素、アルキンなどの中性のルイス塩基を有することもできる。活性水素のないルイス塩基が好ましい。
【0041】
Rn MX2-n・Laで表わされる化合物のうち、n=2、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として二個有する場合には、各々のシクロアルカジエニル環が互いにMe2Si基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されたものも含まれる。
【0042】
本発明のRnMX2-n・Laで表わされる化合物のうち、n=1、すなわち、シクロアルカジエニル基を配位子として一個有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物の具体例としては、クロロシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(トリメチルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニルビス(トリメチルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(1,2−ビスジメチルホスフィノエタン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(トリフェニルホスフィン)バナジウム、クロロシクロペンタジエニル(テトラヒドロチオフェン)バナジウム、ブロモシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、ヨ−ドシクロペンタジエニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(メチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1−ブチル−3−メチルシクロペタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(テトラメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロインデニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(2−メチルインデニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロ(2−トリメチルシリルインデニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、クロロフルオレニル(テトラヒドロフラン)バナジウム、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(t− ブチルアミノ) バナジウム、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t− ブチルアミノ) バナジウムなどが挙げられる。
【0043】
本発明のRn MX2-n ・Laで表わされる化合物のうち、n=2、すなわちシクロアルカジエニル基を配位子として二個有する酸化数+2の周期律表第5族遷移金属化合物の具体例としては、ビスシクロペンタジエニルバナジウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペタジエニル)バナジウム、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(エチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(i−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(i−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(sec−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−メトキシエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジメチルアミノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジエチルアミノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1−ジメチルホスフィノエチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウム、インデニルシクロペンタジエニルバナジウム、(2−メチルインデニル)シクロペンタジエニルバナジウム、(2−トリメチルシリルインデニル)シクロペンタジエニルバナジウム、ビスインデニルバナジウム、ビスフルオレニルバナジウム、インデニルフルオレニルバナジウム、シクロペンタジエニルフルオレニルバナジウム、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ)バナジウム、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミノ)バナジウム、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ジメチルシリルビス(インデニル)バナジウム、ジメチルシリルビス(フルオレニル)バナジウムなどが挙げられる。
【0044】
Rn MX3-n・Laで表される具体的な化合物のうち、n=1の化合物としては、シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライド、インデニルバナジウムジクロライド、(2−メチルインデニル)バナジウムジクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムジクロライド、フルオレニルバナジウムジクロライドなどのジクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0045】
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0046】
シクロペンタジエニルバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジt−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジフェノキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムメトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムt−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムフェノキシクロライドなどのアルコキシド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0047】
(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジi−プロピルアミド)バナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジn−オクチルアミド)バナジウムなどのビスアミド体が挙げられる。
【0048】
シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリエチルホスフィン錯体、シクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリメチルホスフィン錯体、(シクロペンタジエニル)ビス(ジi−プロピルアミド)バナジウムトリメチルホスフィン錯体、モノメチルシクロペンタジエニルバナジウムジクロライド・ビストリエチルフォスフィン錯体などのホスフィン錯体が挙げられる。
【0049】
Rn MX3-n・Laで表される具体的な化合物のうち、n=2の化合物としては、ジシクロペンタジエニルバナジウムクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムクロライド、ジインデニルバナジウムクロライド、ビス(2−メチルインデニル)バナジウムクロライド、ビス(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムクロライド、ジフルオレニルバナジウムクロライドなどのクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0050】
ジシクロペンタジエニルバナジウムメトキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウムt−ブトキサイド、ジシクロペンタジエニルバナジウムフェノキサイド、ジシクロペンタジエニル(ジエチルアミド)バナジウム、ジシクロペンタジエニル(ジi−プロピルアミド)バナジウム、ジシクロペンタジエニル(ジn−オクチルアミド)バナジウムが挙げられる。
【0051】
Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライド、ジメチルビス(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムクロライドなどのクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0052】
RMX3 ・Laで示される具体的な化合物としては、以下の(i)〜(xvi)のものが挙げられる。
【0053】
(i) シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。モノ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、メチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、エチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、プロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、イソプロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、t−ブチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(1,1−ジメチルプロピル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(ベンジル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(2−フェニル−2−プロピル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−メチル−3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(3−フェニル−3−ペンチル)シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0054】
(ii) 1,2−ジ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−ビス(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、1,2−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−トリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2−(2,6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、などが挙げられる。
【0055】
(iia) 1,3−ジ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−プロピルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−ビス(トリメチルシリル)メチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−トリルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−3−(2,6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、などが挙げられる。
【0056】
(iii) 1,2,3−トリ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0057】
(iv) 1,2,4−トリ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0058】
(v) テトラ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0059】
(vi) ペンタ置換シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、例えば、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0060】
(vii)インデニルバナジウムトリクロライドが挙げられる。
(viii)置換インデニルバナジウムトリクロライド、例えば、(2−メチルインデニル)バナジウムトリクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)バナジウムトリクロライドなどが挙げられる。
【0061】
(ix) (i)〜(viii)の化合物の塩素原子をアルコキシ基で置換したモノアルコキシド、ジアルコキシド、トリアルコキシドなどが挙げられる。例えば、シクロペンタジエニルバナジウムトリt−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジi−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムジt−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムジフェノキシクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキシジクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムt−ブトキシジクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムフェノキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムトリt−ブトキサイド、トリメチルシクロペンタジエニルバナジウムトリi−プロポキサイド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジi−プロポキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジt−ブトキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムジフェノキシクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムi−プロポキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムt−ブトキシジクロライド、トリメチルシリルシクロペンタジエニルバナジウムフェノキシジクロライドなどが挙げられる。
【0062】
(x) (i)〜(ix)の塩素原子をメチル基で置換したメチル体が挙げられる。
【0063】
(xi) Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものが挙げられる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(トリメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0064】
(xii) (xi)の塩素原子をメチル基で置換したメチル体が挙げられる。
【0065】
(xiii) (xi)の塩素原子をアルコキシ基で置換したモノアルコキシ体、ジアルコキシ体が挙げられる。
【0066】
(xiv) (xiii)のモノクロル体をメチル基で置換した化合物が挙げられる。
【0067】
(xv) (i)〜(viii)の塩素原子をアミド基で置換したアミド体が挙げられる。例えば、シクロペンタジエニルトリス(ジエチルアミド)バナジウム、シリルシクロペンタジエニルトリス(i−プロピルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルトリス(n−オクチルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルビス(ジエチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(i−プロピルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(n−オクチルアミド)バナジウムクロライド、シクロペンタジエニル(ジエチルアミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(i−プロピルアミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(n−オクチルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(ジエチルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(i−プロピルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリス(n−オクチルアミド)バナジウム、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(i−プロピルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(n−オクチルアミド)バナジウムクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(ジエチルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(i−プロピルアミド)バナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0068】
(xvi) (xv)の塩素原子を、メチル基で置換したメチル体が挙げられる。
【0069】
RM(O)X2 で表される具体的な化合物としては、
シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、ベンジルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、インデニルオキソバナジウムジクロライド、(2−メチルインデニル)オキソバナジウムジクロライド、(2−トリメチルシリルインデニル)オキソバナジウムジクロライド、フルオレニルオキソバナジウムジクロライドなどが挙げられる。
上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
【0070】
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0071】
シクロペンタジエニルオキソバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジt−ブトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジフェノキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムメトキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムi−プロポキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムt−ブトキシクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムフェノキシクロライドなどが挙げられる。
上記の各化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体も挙げられる。
【0072】
(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)オキソバナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジi−プロピルアミド)オキソバナジウム、(シクロペンタジエニル)ビス(ジn−オクチルアミド)オキソバナジウムなどが挙げられる。
【0073】
Rn MX3-n (NR')で表される具体的な化合物としては、
シクロペンタジエニル(メチルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニルイミド)バナジウムジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジi−プロピルフェニルイミド)バナジウムジクロライド、(メチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、インデニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、2−メチルインデニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライド、フルオレニル(フェニルイミド)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0074】
RとXが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライドなどのアミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0075】
Rが炭化水素基、シリル基によって結合されたものも含まれる。例えば、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、ジメチルビス(η5−シクロペンタジエニル)シラン(トリルイミド)バナジウムクロライド、ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(フェニルイミド)バナジウムクロライド、ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン(トリルイミド)バナジウムクロライドなどのイミドクロライド体、あるいはこれらの化合物の塩素原子をメチル基で置換したメチル体などが挙げられる。
【0076】
シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)ジメトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)ジi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウム(フェニルイミド)(i−プロポキシ)クロライド、(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)バナジウム(フェニルイミド)、(シクロペンタジエニル)ビス(ジi−プロピルアミド)バナジウム(フェニルイミド)などが挙げられる。
【0077】
本発明の(B)成分のうち、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物を構成する非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トリイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどが挙げられる。
【0078】
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0079】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリス(置換フェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリス(置換フェニル)カルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
【0080】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0081】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0082】
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる
【0083】
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましい。
【0084】
イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
また、(B)成分として、アルモキサンを用いることができる。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R‘)O−)nで示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R‘は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R‘として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基及びエチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0086】
トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0087】
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ−ルなどが挙げられる。
【0088】
本発明における(C)成分の周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
【0089】
具体的な化合物としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、三フッ化ホウ素、トリフェニルホウ素などを挙げられる。
【0090】
さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物も含まれる。
【0091】
本発明における(C)成分の周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物が好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、上述したアルモキサンも用いることができる。
上記の有機金属化合物は、二種類以上併用することができる。
【0092】
(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のイオン性化合物とのモル比は、好ましくは、1:0.1〜1:10、より好ましくは、1:0.2〜1:5である。
【0093】
(B)成分としてアルミノキサンを用いる場合は、(A)成分のメタロセン型錯体と(B)成分のアルミノキサンのモル比は、好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:1〜1:5000である。
【0094】
(A)成分のメタロセン型錯体と(C)成分の有機アルミニウム化合物とのモル比は、好ましくは1:0.1〜1:1000、より好ましくは1:0.2〜1:500 である。
【0095】
(C)成分の有機アルミニウム化合物と(D)成分の水とのモル比(C)/(D)は、好ましくは0.5〜10、より好ましくは0.66〜5である。
【0096】
用いられる(A)成分のメタロセン型錯体の量は、はじめに含まれるアセチレン化合物の量によって最適な使用量が定まるが、好ましくは、はじめに含まれるアセチレン化合物1モルあたり(A)成分が1×10-3モル以上、より好ましくは2×10-3モル以上、さらに好ましくは5×10-3モル以上となるような量である。
【0097】
さらに、(A)成分のメタロセン型錯体の使用量は、ブタジエン1モルに対し、通常、1×10-8〜1×10-3モル、好ましくは1×10-7〜5×10-4モルの範囲である。
【0098】
触媒成分の添加順序は、特に制限はないが、例えば、次の順序で行うことができる。
▲1▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物と(B)成分との接触混合物に(A)成分を添加する。
▲2▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物と(B)成分及び(C)成分を任意の順序で添加した接触混合物に(A)成分を添加する。
▲3▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物と(C)成分の接触混合物に(B)成分、次いで(A)成分を添加する。
▲4▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物に(A)成分と(B)成分を任意の順序で接触させた混合物を添加する。
▲5▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物に(A)成分と(B)成分と(C)成分を任意の順序で接触させた混合物を添加する。
▲6▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物に(D)成分を添加し、(C)成分を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
▲7▼精製すべき共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と溶媒の混合物に(C)成分を加えさらに(D)成分を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0099】
ここで、精製すべき共役ジエン化合物とは、全量であっても一部であってもよい。共役ジエン化合物一部の場合は、上記の接触混合物を残部の共役ジエン化合物あるいは残部の共役ジエン化合物溶液と混合することができる。
【0100】
本発明においては、上記の触媒を用いて、水素の存在下に共役ジエン化合物を精製してもよい。
【0101】
水素の存在量は、共役ジエン1モルに対して、好ましくは500ミリモル以下、あるいは、20℃1気圧で12L以下であり、より好ましくは50ミリモル以下、あるいは、20℃1気圧で1.2L以下であり、さらに好ましくは0.005〜20ミリモル、あるいは、20℃1気圧で0.00001〜0.48Lである。また、水素は連続的に反応槽に導入してもよい。
【0102】
精製時間、精製温度については特に制限はなく、工業的に経済的な条件でおこなうことができるが、精製温度は−100〜120℃の範囲が好ましく、−50〜100℃の範囲が特に好ましい。
【0103】
精製時間は、精製温度、アセチレン以外の不純物量、触媒量などに依存するが、水素の存在しない系では、以下の式で規定される時間が好ましい。
t≦10.7a/c (1)
水素の存在する系では、以下の式で規定される時間が好ましい。
t≦1.6a/{c(PH2+0.15)} (2)
(但し、(1)式中、tは共役ジエン化合物と該触媒との接触時間(分)、aは未精製の共役ジエン化合物に含まれるアセチレン化合物の含量(ppm)、cは共役ジエン化合物に対するメタロセン型錯体の濃度(μmol/l)、PH2は水素分圧(atm)を示す。)
【0104】
精製した共役ジエンの後処理の仕方にも特に制限はない。所定時間精製を行った後、反応槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、蒸留、乾燥等の後処理を行う。
【0105】
上記の処理に加えて、さらにモレキュラーシーブスなどで接触処理することが好ましい。モレキュラーシーブスとの接触処理は、精製前、精製後のいずれでも良く、精製前後の両方で行っても良い。また、精製、洗浄工程の後の乾燥工程で行っても良い。
【0106】
【実施例】
1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物の定量は、ガスクロマトグラフィーによって行った。
【0107】
実施例1(1,3-ブタジエンの精製)
内容量2.0Lのオ−トクレ−ブの内部を窒素置換し、メチルアセチレン10ppm、エチルアセチレン14ppm、ビニルアセチレン3ppmを含む1,3-ブタジエンを、モレキュラシーブスを通して600ml(372g)仕込み、攪拌した。次いで水4μlを添加し、30℃で30分間撹拌溶解した後、水素ガスを積算マスフロメ−タ−で20℃、1気圧換算で300ml注入した(水素分圧0.22気圧)。次いで、トリエチルアルミニウム(1mmol/mlのトルエン溶液)を0.6ml(600μmol)添加し、3分間攪拌後、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド(CpVCl3)(0.005mmol/mlのトルエン溶液)0.72ml、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト(Ph3CB(C6F5)4)(0.005mmol/mlのトルエン溶液)1.08mlの順に加え、温度40℃で15分間攪拌を続けた。水1mlを添加して反応を停止した後、蒸留によって精製1,3−ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中にメチルアセチレン、エチルアセチレン及びビニルアセチレンは検出されなかった。
【0108】
実施例2(1,3-ブタジエンの精製)
実施例1において、水素の注入を行わない以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物は、メチルアセチレン5ppm、エチルアセチレン7ppm、ビニルアセチレン1ppmに減少していた。
【0109】
実施例3(1,3-ブタジエンの精製)
実施例2において、水の添加量を2μlとし、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド(CpVCl3)(0.005mmol/mlのトルエン溶液)0.96ml、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト(Ph3CB(C6F5)4)(0.005mmol/mlのトルエン溶液)1.44mlを用いた以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物は、メチルアセチレン2ppm、エチルアセチレン3ppm、ビニルアセチレン1ppmに減少していた。
【0110】
実施例4(1,3-ブタジエンの精製)
実施例3において、水の添加量を1μlとし、CpVCl3の代わりにシクロペンタジエニルバナジウムオキシジクロライド(CpVOCl2)(0.005mmol/mlのトルエン溶液)0.96mlを用いた以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物は、メチルアセチレン4ppm、エチルアセチレン6ppm、ビニルアセチレン1ppmに減少していた。
【0111】
実施例5(1,3-ブタジエンの精製)
実施例2において、攪拌時間を30分とした以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物は、メチルアセチレン3ppm、エチルアセチレン5ppm、ビニルアセチレン1ppmに減少していた。
【0112】
実施例6(1,3-ブタジエンの精製)
実施例3において、攪拌時間を30分とした以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中にメチルアセチレン、エチルアセチレン及びビニルアセチレンは検出されなかった。
【0113】
実施例7(1,3-ブタジエンの精製)
実施例4において、攪拌時間を30分とした以外は同様の操作を行い、精製1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、精製1,3−ブタジエン中のアセチレン化合物は、メチルアセチレン2ppm、エチルアセチレン3ppmに減少し、ビニルアセチレンは検出されなかった。
【0114】
比較例1
実施例1において、CpVCl3溶液を添加しなかった以外は同様の操作を行い、1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、メチルアセチレン、エチルアセチレン及びビニルアセチレンの量に変化は認められなかった。
【0115】
比較例2
実施例1において、Ph3CB(C6F5)4溶液を添加しなかった以外は同様の操作を行い、1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、メチルアセチレン、エチルアセチレン及びビニルアセチレンの量に変化は認められなかった。
【0116】
比較例3
実施例1において、 トリエチルアルミニウム溶液を添加しなかった以外は同様の操作を行い、1,3-ブタジエンを得た。分析の結果、メチルアセチレン、エチルアセチレン及びビニルアセチレンの量に変化は認められなかった。
【0117】
【発明の効果】
極めて少量の触媒を用い、共役ジエン中の微量のアセチレン化合物を極めて短時間のうちに高い選択性で除去する方法を提供する。
Claims (4)
- アセチレン化合物を含む共役ジエン化合物の精製方法において、(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、並びに(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンから得られる触媒と接触処理し、かつ、接触時間が下記(1)式を満足することを特徴とする共役ジエン化合物の精製方法。
t≦10.7a/c (1)
(但し、(1)式中、tは共役ジエン化合物と該触媒との接触時間(分)、aは未精製の共役ジエン化合物に含まれるアセチレン化合物の含量(ppm)、cは共役ジエン化合物に対するメタロセン型錯体の濃度(μmol/l)を示す。) - アセチレン化合物を含む共役ジエン化合物の精製方法において、水素の共存下に(A)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、並びに(B)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンから得られる触媒と接触処理し、かつ、接触時間が下記(2)式を満足することを特徴とする共役ジエン化合物の精製方法。
t≦1.6a/{c(PH2+0.15)} (2)
(但し、(1)式中、tは共役ジエン化合物と該触媒との接触時間(分)、aは未精製の共役ジエン化合物に含まれるアセチレン化合物の含量(ppm)、cは共役ジエン化合物に対するメタロセン型錯体の濃度(μmol/l)、PH2は水素分圧(atm)を示す。) - 共役ジエン1モルに対し(A)成分のメタロセン型錯体が1×10−8〜1×10−3モルであることを特徴とする請求項1または2に記載の共役ジエン化合物の精製方法。
- 該触媒が、更に、(C)周期律表第1〜3族元素の有機金属化合物及び(D)水からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン化合物の精製方法。
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