JP4364565B2 - 静電アクチュエーター,マイクロスイッチ,マイクロ光スイッチ,電子機器および静電アクチュエーターの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエーター,マイクロスイッチ,マイクロ光スイッチ,電子機器および静電アクチュエーターの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に配置した吸引電極により、揺動板を静電的に引き付ける静電アクチュエーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、非特許文献1に記載のように、半導体微細加工技術(半導体プロセス)等を用いて、機械,電子,光,化学等の多様な機能を集積化したデバイスである。
そして、このMEMSを用いて、現在、静電アクチュエーターを応用したマイクロスイッチ(マイクロサイズのスイッチ)が開発されている。
【0003】
このようなマイクロスイッチは、例えば、特許文献1に開示されている。図28,図29は、この文献のスイッチを示す説明図である。
これらの図に示すように、このマイクロスイッチは、シーソー型のスイッチ構造となっている。すなわち、このマイクロスイッチは、梁(支持肢)84を中心に、両端部に電極の設けられた細板状のビーム81が配された構成である。
【0004】
また、ビーム81の両端に対向する基板部分には、吸引電極(静電力印加電極)82と基板接点83とが設けられている。そして、一方の吸引電極82に電界を印加することで、静電力によってビーム81を基板側に引き付け、ビームの電極と基板接点83とを接続するスイッチ動作を行うようになっている。
このように、このマイクロスイッチでは、シーソー型構造とすることで、ビーム81を低電圧で駆動できるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−287045号公報(公開日2002年10月3日)
【0006】
【非特許文献1】
『技術調査レポート(技術同後編)第3号;MEMSに関する技術の現状と課題 発行;経済産業省産業技術環境局技術調査室,製造産業局産業機械課』(公開日;2003年3月28日)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した公報のマイクロスイッチは、細板状のビーム81を、梁84を回転軸として上下方向に傾ける動作だけが可能なものである。従って、基板の接点83を、ビーム81の延びる2方向にしか設けられないという欠点がある。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するために成されたものである。そして、その目的は、基板接点の位置や数に関する自由度の高いマイクロスイッチを構成可能な、静電アクチュエーターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の静電アクチュエーター(本アクチュエーター)は、基板上に配置した吸引電極により、揺動板を静電的に引き付ける静電アクチュエーターにおいて、基板上に固定され、揺動板を軸支するための支持柱を備え、さらに、揺動板の端部に、吸引電極から静電力を受ける複数のビームが設けられていることを特徴としている。
【0010】
本アクチュエーターは、MEMS技術である静電アクチュエーター(静電駆動マイクロアクチュエーター)であり、静電アクチュエーターとは、静電力で可動部(揺動板)を動かす構造体である。
【0011】
すなわち、本アクチュエーターでは、基板上に揺動板を設けるとともに、基板面に、静電力を発生させるための吸引電極を設けている。そして、吸引電力の静電力により揺動板に引力を与えて揺動板を基板側に引き付ける(傾ける)ことで、スイッチングなどの機能を発現するようになっている。
【0012】
また、特に、本アクチュエーターは、基板上に支持柱を設け、その上に揺動板を載せた構造を有しており、支持柱によって揺動板を軸支(枢支)するように設定されている。
また、揺動板の端部には、複数のビーム(棒状(梁状)の部材)が設けられており、この部分で、吸引電極の静電力を受けるようになっている。
【0013】
このように、本アクチュエーターでは、揺動板を支持柱によって軸支する構成であるため、揺動板(ビーム)の傾く方向(揺動方向;吸引電極によって基板側に引き付けられる方向)を任意に設定できる。
これにより、本アクチュエーターでは、ユーザーの所望とする複数の方向にビームを設け、各ビームに応じて基板に吸引電極を配することで、揺動板を複数の任意の方向に傾ける(引き付ける)ことが可能となる。
【0014】
従って、本アクチュエーターをマイクロスイッチに応用すれば、基板接点の位置や数に関する自由度の高い、実用的なマイクロスイッチを構成することが可能となる。
【0015】
また、本アクチュエーターでは、支持柱を、基板に固定された脚部と、この脚部上に設けられた柱頭部とで構成することもできる。
この場合、柱頭部は、脚部よりも太くなっていることが好ましい。
さらに、この場合には、揺動板に、複数のビームを端部に備えた中空のドーム部を設けることが好ましい。そして、このドーム部によって、支持柱の柱頭部を係合するような構造であることが好ましい。
【0016】
この構成では、ドーム部が、支持柱の柱頭部を包む(覆う)ように、この柱頭部と(ピボット的に)係合することが好ましい。
この場合、支持柱の柱頭部がドーム部の内壁に当接し、当接部分で揺動板を軸支することとなる。また、揺動板が傾く場合、ドーム部の内壁が柱頭部上を摺動(スライド)することとなる。
この構成では、支持柱を支点として揺動板を任意の方向に傾けることが容易となるとともに、支持柱と揺動板とが離れてしまう(外れてしまう)ことを防止できる。
なお、上記のように柱頭部と脚部とで支持柱を構成する場合、これらを一体に形成することが好ましい。
【0017】
また、揺動板に上記のドーム部を設ける場合、ドーム部の内壁と、支持柱の柱頭部におけるドーム部との接触部分とを、球面形状とすることが好ましい。
ここで、球面形状とは、球面の一部をなす形状のことである。これにより、柱頭部上でドーム部を摺動させることが容易となる。
【0018】
また、柱頭部を球面形状とする場合、柱頭部の一部に窪み(切れ込み)を設けるようにしてもよい。また、この場合、ドーム部の内壁(柱頭部との接触部分)に、柱頭部の窪みに応じた突起部を設けることが好ましい。さらに、これらの窪みおよび突起部の延びる方向が、ビームの延びる方向に沿っていることが好ましい。
これにより、ドーム部(揺動板)は、柱頭部の窪みの延びる方向にだけ傾くこととなる。従って、揺動板が基板と平行に回転することを防止できる。
【0019】
また、本アクチュエーターに設けるビームの数は、3つ以上であることが好ましい。また、これらのビームは、異なる方向に延びていることが好ましい。
これにより、本アクチュエーターをマイクロスイッチに応用した場合に、スイッチの接点を3つ以上とできるので、1つのスイッチで3つ以上の状態を切り替えることが可能となる。
【0020】
また、本アクチュエーターでは、揺動板を支持柱によって軸支しているため、揺動板が支持柱を回転軸として、基板と平行方向に回転してしまい、ビームの延びる方向が変わってしまう可能性がある。
そこで、このような回転を防止するために、ビームに当接して回転を止める回転抑制柱を基板に設けておくことが好ましい。
【0021】
また、本アクチュエーターは、1つの基板に対して半導体プロセスによって形成できるものである。ここで、本アクチュエーターの吸引電極を制御(駆動)するための半導体素子である吸引電極制御回路を、本アクチュエーターの基板に一体形成するようにしてもよい。
【0022】
これにより、本アクチュエーターと上記の制御回路を1チップ化できる。従って、これらをプリント基板に実装する際、実装面積を小さくできる。従って、本アクチュエーター含む電子機器の小型化・低コスト化を実現することが可能となる。
【0023】
また、本発明のマイクロスイッチ(本スイッチ)は、上記した本アクチュエーターと、本アクチュエーターの基板に設けられ、基板側に引き付けられた(傾いた)揺動板のビームを介して互いに導通する1対の信号線電極とを備えたものである。
本スイッチは、本アクチュエーターを備えているため、基板接点の位置や数に関する自由度の高い、実用的なマイクロスイッチとなっている。
【0024】
また、本スイッチを用いて携帯無線機などの電子機器を構成すれば、1つのスイッチで多数の状態を切り替えることが可能であるため、小型で低コストの電子機器を実現できる。
【0025】
なお、本スイッチの信号線電極対は、揺動板のビームの数・位置に応じて、基板上に複数設けられているものである。
また、本スイッチは、信号線電極対の双方の電極をビーム(電導性)と当接させて短絡することで、信号線電極対を導通状態とする構成であってもよい。
【0026】
また、信号線電極間で高周波信号を伝達する場合には、ビームと信号線電極とを直接接触させる必要はない。この場合、信号線電極におけるビームとの当接部位、および、ビームにおける信号線電極との当接部位の少なくとも一方に、誘電体を設けるようにしてもよい。
【0027】
また、誘電体を設けなくとも、ビームと信号線電極との間隔を極狭とすることで、信号伝達を行うことも可能である。
この場合、上記ビームの駆動範囲(傾き度合い)を制限することで、基板側に引き付けられたビームと信号線電極との間に隙間を設けるストッパー(ビームと信号線電極との直接接触を回避するストッパー)を基板に備えるようにしてもよい。
【0028】
これらの構成では、ビームを直接に信号線電極に接触させないため、低損失、高アイソレーションを実現できる。
なお、ビームと信号線電極との間に配される誘電体の膜厚(あるいは間隔のサイズ)の精度は、容量値を決定するため、重要である。
この容量値は、伝達信号の周波数におけるスイッチング特性に適した値とすることが必要であり、周波数によっても異なる。
【0029】
また、本アクチュエーターによって、マイクロ光スイッチを構成することもできる。このマイクロ光スイッチは、本アクチュエーターによってレーザー光などの光路を変更するものである。例えば、このようなマイクロ光スイッチを、ビームに光反射膜を設けた本アクチュエーターと、光反射膜に光を照射する光源と、光反射膜からの反射光を受光する受光素子とから構成できる。
また、このようなマイクロ光スイッチを用いて電子機器を構成すれば、1つのスイッチで多数の状態を切り替えることが可能であるため、小型で低コストの電子機器を実現できる。
【0030】
なお、上記したように、本アクチュエーターでは、揺動板のビームを吸引電極によって引き付ける構成である。ここで、本アクチュエーターを、1つの吸引電極によって1つのビームを基板側に傾けるようにしてもよい。
【0031】
また、複数の吸引電極によって同時にビームを傾けるように、本アクチュエーターを駆動してもよい。この場合、揺動板の一部は、弾性的に変形することもある。また、本アクチュエーターをスイッチに応用した場合には、2カ所以上の接点(信号線電極対)を接続(導通)させることとなる。
【0032】
また、本アクチュエーターは、以下の第1〜第5工程によって製造することが可能である。
すなわち、まず、基板に対し、支持柱および吸引電極を形成する(第1工程)。次に、支持柱を含む基板全面に、絶縁膜等からなる犠牲膜(犠牲層)を形成する(第2工程)。
その後、この犠牲膜上に、多結晶シリコン膜等からなる電導膜を形成する(第3工程)。そして、この電導膜をパターニングして揺動板を形成する(第4工程)。さらに、揺動板の下部にある上記の犠牲膜を除去する(第5工程)。
【0033】
これにより、本アクチュエーターを、単一の基板に対する半導体プロセスによって容易に製造できる。従って、製造工程を簡略化できるとともに、本スイッチのサイズを容易に小さくできる。
【0034】
また、上記の上記第4工程において、揺動板の一部に貫通孔を設けるようにしてもよい。
第4工程の後に行われる犠牲膜の除去は、通常、エッチングによって行われる。このとき、揺動板に貫通孔のある場合、そこからエッチャントを注入できる。従って、犠牲膜を効率よく除去できる。
なお、この場合には、製造される本アクチュエーターの揺動板に、貫通孔が設けられることとなる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について説明する。
本実施の形態にかかるマイクロスイッチ(本スイッチ)は、MEMS技術である静電アクチュエーター(静電駆動マイクロアクチュエーター)を応用したスイッチであり、例えば、携帯電話(無線通信機器)などの電子機器に適用されるものである。
静電アクチュエーターとは、静電力で可動部を動かす構造体のことである。
そして、本スイッチは、スイッチ状態(スイッチ回路の開閉状態)を切り替える可動部(後述するキャップ板3)を、静電力によって駆動するスイッチである。
【0036】
図1は、本スイッチの構成を示す上面図であり、図2は、図1におけるA−A線矢視断面図である。
【0037】
これらの図に示すように、本スイッチは、シリコンの半導体からなる基板1上に、支持柱2,キャップ板3,信号線電極51,吸引電極61,拡散層7および回転抑制柱8を備えた構成である。
【0038】
拡散層7は、基板1の表面における支持柱2の設置部位を中心に、N・S方向に延びるように配されている低抵抗部位である。
この拡散層7は、基板1の所定部位にイオン注入を施すことで形成されている。また、この拡散層7の端部は接地されている。
【0039】
支持柱2は、球形の柱頭部11と、柱頭部11を支える円柱形状の脚部12とからなり、脚部12によって、基板1の拡散層7上に屹立しているものである。なお、柱頭部11の径は、脚部12の径より太く設定されている。
また、柱頭部11および脚部12は、リンを含む多結晶シリコンからなり、ともに電導体である。
【0040】
キャップ板3は、ともに電導体(リンを含む多結晶シリコン)からなるキャップドーム4とビーム5(4本)とを備えた揺動板(可動部)であり、支持柱2によって支えられている(軸支(枢支)されている)ものである。
キャップドーム(ドーム部)4は、球の一部を欠いた形状(中空)を有しており、キャップ板3の中央から突出するように設けられている。また、キャップドーム4の内壁も、球面形状(球面の一部をなす形状)を有している。
ビーム5は、キャップドーム4の端部(球の欠けている部分)から、N,S,W,Eの4方向(0°,90°,180°,270°の4方向)に延びる板状部分である。
また、図2に示すように、ビーム5の先端における下面(基板1に対向する面;底面)には、低抵抗配線からなる接点電極41が形成されている。
【0041】
このような構成のキャップ板3は、キャップドーム4によって支持柱2の柱頭部11を包む(覆う)ように、支持柱2上に配されている。すなわち、キャップ板3は、キャップドーム4と柱頭部11とを係合させた状態で、支持柱2上に配されている。
そして、キャップ板3は、支持柱2を支持軸(支え)として揺動できるようになっている。
【0042】
なお、本スイッチでは、支持柱2の柱頭部11がキャップドーム4の内壁に当接し、当接部分でキャップ板3を軸支している。また、キャップ板3が傾く(揺動する)場合、キャップドーム4の内壁が柱頭部11上を摺動(スライド)することとなる。
【0043】
また、回転抑制柱8は、キャップ板3における各ビーム5・5間に設けられた円柱である。
そして、この回転抑制柱8は、キャップ板3が支持柱2を回転軸として基板1の表面と平行に回転してしまうこと(N,S,W,Eの4方向からビーム5がずれてしまうこと)を防止するためのものである。
従って、キャップ板3は、支持柱2を支持軸として、N,S,W,Eの4方向に傾く(倒れる)方向だけに揺動できるように設定されている。
【0044】
信号線電極51および吸引電極61は、キャップ板3における各ビーム5の下部(基板1の表面)に形成された電極である。
【0045】
信号線電極51は、N,S,W,Eの各方向に延びるビーム5に対し、2つづつ(1対づつ)設けられている、スイッチの接点である。
そして、本スイッチでは、4方向に1対づつ設けられた信号線電極51・51のいずれかを短絡(ショート)させて電気的に接続することで、これらを信号伝達可能な状態とする。すなわち、本スイッチでは、信号伝達可能な状態とする信号線電極51を選択することで、4種類のスイッチ状態を切り替えられるようになっている。
すなわち、本スイッチでは、信号線電極51が、ON/OFFの切り替え対象となるスイッチ回路となっている。
【0046】
また、信号線電極51は、図2に示すように、傾いたビーム5の接点電極41と接するような高さを有している。従って、N,S,W,Eのいずれかの方向にキャップ板3が傾いた場合、その方向に位置する信号線電極51・51間が、ビーム5の接点電極41によって短絡されるように設定されている。
【0047】
吸引電極61は、1対の信号線電極51・51間に配されており、W,E方向では1枚の細板形状である一方、S方向およびN方向では、間に拡散層7を挟むように2つに枝分かれしている。
また、吸引電極61は、後述する吸引電極制御回路の制御により正電荷を与えられるようになっている。これにより、吸引電極61は、キャップ板3のビーム5における接点電極41を静電的に引き付け、キャップ板3を傾けて信号線電極51・51間を短絡させるようになっている。
【0048】
ここで、吸引電極61によるキャップ板3の駆動(揺動)について説明する。図3は、4方向の全ての吸引電極61に正電荷を与えていない場合における、E方向における吸引電極61近傍の状態を示す説明図である。
【0049】
この場合には、キャップ板3は、基板1が水平を保っている限り、支持柱2上で平衡を保っており、どの方向にも傾いていない。従って、E方向でも、ビーム5は信号線電極51に触れない位置にとどまっている。
なお、このようなキャップ板3の平衡状態は、支持柱2を中心に回転対称の関係にある2つ以上の吸引電極61に同等の正電荷(静電力)を与えることによっても実現できる。
【0050】
一方、図4は、制御回路によってE方向の吸引電極61だけの電圧を上げて、ここに正電荷を与えた場合における、吸引電極61近傍の説明図である。
この図に示すように、この場合、吸引電極61と接点電極41との間に静電的な引力(吸引力)が働き、キャップ板3がE方向に傾いて、信号線電極51・51が短絡されるようになっている。
【0051】
以上のように、本スイッチは、基板1上に支持柱2を設け、その上にキャップ板3を載せた構造を有しており、支持柱2によってキャップ板3を軸支(枢支)するようになっている。
また、キャップ板3の端部には、複数のビーム5が設けられており、この部分で、吸引電極61の静電力を受けるようになっている。
【0052】
このように、本スイッチでは、キャップ板3を支持柱2によって軸支する構成であるため、キャップ板3(ビーム5)の傾く方向(揺動方向;吸引電極61によって基板1側に引き付けられる方向)を任意に設定できる。
これにより、本スイッチでは、ユーザーの所望とする複数の方向にビーム5を設け、各ビーム5に応じて基板1に吸引電極61を配することで、キャップ板3を複数の任意の方向に傾ける(引き付ける)ことが可能となる。
【0053】
従って、本スイッチは、基板1接点の位置や数に関する自由度の高い、実用的なマイクロスイッチとなっている。
【0054】
また、本スイッチでは、支持柱2が、基板1に固定された脚部12と、この脚部12上に設けられた柱頭部11とで構成されている。また、柱頭部11は、脚部12よりも太くなっている。
【0055】
そして、キャップ板3が、複数のビーム5を端部に備えた中空のキャップドーム4を備えており、このキャップドーム4によって、支持柱2の柱頭部11を包むように(ピボット的に)係合するような構造となっている。
この構成では、支持柱2を支点としてキャップ板3を任意の方向に傾けることが容易となるとともに、支持柱2とキャップ板3とが離れてしまう(外れてしまう)ことを防止できる。
【0056】
また、本スイッチでは、キャップドーム4の内壁と、支持柱2の柱頭部11におけるキャップドーム4との接触部分とが、球面形状となっている。これにより、柱頭部11上でキャップドーム4を揺動させる(摺動させる)ことが容易となる。
【0057】
また、本スイッチには、それぞれ異なる方向に延びる4本のビーム5が設けられている。これにより、スイッチの接点を4つ設けられるので、1つのスイッチで4つの状態を切り替えることが可能となっている。
【0058】
また、本スイッチでは、基板1上に、ビーム5に当接してキャップ板3の回転を止める回転抑制柱8を備えている。これにより、キャップ板3が基板1と平行方向に回転してしまい、ビーム5の延びる方向が変わってしまうことを回避できる。
【0059】
また、本スイッチでは、キャップ板3が、支持柱2によって軸支された半固定状態となっている。これにより、吸引電極61に印加する電圧を高くすることなく、キャップ板3を揺動させられる。
また、キャップ板3(ビーム5)のバネを利用していない(ビーム5を曲げない)構成であるため、キャップ板3・ビーム5の構造破壊や経時変化を低減でき、長期信頼性を高められる。
【0060】
ここで、本スイッチの製造方法について説明する。
【0061】
まず、図5に示すように、半導体のシリコンからなる基板1に、イオン注入法などにより低抵抗領域である拡散層7を形成する。そして、基板1上に、信号線電極51および吸引電極61と、それらの制御用配線(図示せず)とを形成する。その後、二酸化珪素からなる第1の絶縁膜(二酸化珪素膜)25を成膜する。なお、電極51・61については、蒸着やスパッタリング法による成膜とリフトオフ法(あるいはエッチング法)とによって形成できる。
【0062】
次に、図6に示すように、第1の絶縁膜25上にフォトレジストを塗布し、通常のフォトリソ法により開口27を形成してフォトレジストマスク26とする。なお、開口27の形状(表面開口形状)は円形である。
【0063】
次に、例えばフッ酸の水溶液によって、第1の絶縁膜25を、深さ方向(基板1の表面に垂直に向かう方向)に、第1の絶縁膜25の途中まで(第1の絶縁膜25の厚さが脚部12の長さとなるまで)等方性エッチングする。
さらに、例えばドライエッチング法のリアクティブエッチング法で、基板1の表面を露出させるまで異方性エッチングする。これにより、第1の絶縁膜25に、基板1に近い部分で狭くフォトレジストマスク26の表面部で広い開口パターンが形成される。
【0064】
次に、図7に示すように、フォトレジストマスク26を除去する。そして、第1の絶縁膜25上およびその開口内に、第1の多結晶シリコン膜29を、不純物(例えばリン)を拡散しながら、少なくとも第1の絶縁膜25の表面に達する膜厚に成膜する。
【0065】
なお、第1の絶縁膜25の開口内に成膜された第1の多結晶シリコン膜29が、本スイッチの支持柱2となる。すなわち、開口内における等方性エッチングされた部分に成膜された第1の多結晶シリコン膜29が、支持柱2の柱頭部11となる。また、異方性エッチングされた部分に成膜された第1の多結晶シリコン膜29が、支持柱2の柱頭部11となる。
【0066】
次に、図8に示すように、第1の絶縁膜25の開口をマスクするレジストパターン(レジストマスク)30を、フォトリソ法により形成する。その後、リアクティブエッチング法などにより、レジストパターン30でマスクされている部位(支持柱2となる部分)以外の第1の多結晶シリコン膜29を除去する。続いて、レジストパターン30を除去する。
【0067】
次に、図9に示すように、第1の絶縁膜25を除去する。
なお、この段階では、支持柱2となる第1の多結晶シリコン膜29の表面には、上記のエッチングによって鋭角な部分が残っている(特に、柱頭部11となる部分の先端)。
その後、第1の多結晶シリコン膜29の表面を、リアクティブエッチング法などにより、等方エッチング条件でエッチングして、鋭角な部分を丸める。
これにより、第1の多結晶シリコン膜29は、柱頭部11および脚部12からなる支持柱2となる。
そして、基板1上の全面(支持柱2も含む)に、二酸化珪素からなる第2の絶縁膜(二酸化珪素膜;犠牲膜)31を成膜する。
【0068】
次に、図10に示すように、第2の絶縁膜31上の所定部位に、接点電極41を形成する。
この接点電極41の形成(パターニング)についても、電極51・61と同様に、蒸着やスパッタリング法による成膜とリフトオフ法(あるいはエッチング法)とによって実施できる。
続いて、第2の絶縁膜31(接点電極41も含む)上に、第2の多結晶シリコン膜32を、不純物(例えばリン)を拡散しながら成膜する(この第2の多結晶シリコン膜32が、本スイッチのキャップ板3となる)。
【0069】
次に、第2の多結晶シリコン膜32上に、フォトリソ法によりフォトレジストマスク(図示せず)を形成する。その後、リアクティブエッチング法などにより、多結晶シリコン膜32をエッチング(パターニング)して、図11に示すように、キャップ板3を形成する。
【0070】
次に、レジストマスクを除去し、さらに、エッチングにより第2の絶縁膜31を除去する。
なお、このエッチングでは、図11に示すように、第2の絶縁膜31の剥き出し部分(キャップ板3の形成されていない部分)からキャップ板3の下部に向けて、エッチャントを浸透させる。
また、このエッチングには、フッ酸の水溶液によるウエットエッチング法やドライエッチング法を利用できる。
【0071】
これにより、支持柱2覆う形の、キャップ板3のキャップドーム(ジョイント部)4が形成され、支持柱(支柱材)2の上にキャップ板3がのる形となり、図1,図2に示す本スイッチの製造が完了する。
【0072】
このように、本スイッチは、単一の基板1に対する半導体プロセスによって製造可能なものである。従って、製造工程を簡略化できるとともに、本スイッチのサイズを容易に小さくできる。
【0073】
また、本実施の形態では、4方向に1対づつ設けられた信号線電極51・51のいずれかを短絡(ショート)させて電気的に接続することで、4種類のスイッチ状態を切り替えるとしている。このような短絡は、信号線電極51・51間で伝達する信号が直流信号(DC信号)である場合に必要である。
しかしながら、信号線電極51に高周波信号(RF信号)を出力する場合には、信号線電極51・51間を短絡しなくても、これらの間に誘電体(キャパシタ)を介することで、電極51・51間を導通させて信号伝達を行うことが可能となる。
【0074】
図12は、このような信号伝達を行うための、本スイッチの構成を示す上面図であり、図13は、図12におけるA−A線矢視断面図である。
これらの図に示すように、この構成では、4方向に延びるビーム5の接点電極41の表面に、誘電体膜71を設けている。この誘電体膜71としては、例えば、窒化珪素膜、酸化チタン膜、酸化タンタル膜を利用できる。
これにより、誘電体膜71を信号線電極51・51に接触させることで、スイッチ動作(信号線電極51・51間の信号伝達)を実現できる。
【0075】
なお、この誘電体膜71については、接点電極41でなく、信号線電極51の表面に設けてもよい。また、接点電極41および信号線電極51の双方の表面に、誘電体膜71を設けるようにしてもよい。
【0076】
また、RF信号の周波数によっては、誘電体膜71を用いなくとも、接点電極41を信号線電極51に近づけるだけで、信号線電極51・51間を導通させて信号伝達を行える場合もある。
図14は、このような信号伝達を行うための、本スイッチの構成を示す上面図であり、図15は、図14におけるA−A線矢視断面図である。
【0077】
これらの図に示すように、この構成では、基板1における信号線電極51と支持柱2との間に、接点電極41と信号線電極51との接触を妨げるためのストッパー(ストッパーとなるパターン)72を設けるようになっている。
これにより、吸引電極61の静電力によってビーム5を基板1に引き付けた場合に、ビーム5は、ストッパー72に接した状態で固定され、接点電極41と信号線電極51との間に極狭な隙間が生じる。従って、信号線電極51・51間の信号伝達を実現できることとなる。
【0078】
上記のように、RF信号の伝達は、信号線電極51・51間を短絡しなくても、信号線電極51と接点電極41との間に誘電体や極狭な隙間を介するだけで実現できる。これにより、低損失、高アイソレーションを実現できる。
【0079】
なお、このような場合、接点電極41と信号線電極51との間の誘電体の膜厚(あるいは隙間のサイズ)の精度は、容量値を決定するため、重要である。
この容量値は、伝達信号の周波数におけるスイッチング特性に適した値とすることが必要であり、周波数によっても異なる。
【0080】
また、金属で形成された接点電極41と信号線電極51とを接触させる場合、接点の摩耗や固着が問題となる。しかしながら、上記のように、これらの間に誘電体や隙間を設けることで、磨耗や固着を回避でき、信頼性の向上を図れる。
【0081】
なお、図14,図15に示したように、電極41・51間に隙間を設ける場合、これらの間に、誘電体膜71の代わりに空気(気体)を介することとなる。この場合には、電極41・51が完全に非接触となるので、磨耗や固着を完全に排除できるので、信頼性をより高められる。なお、この場合、電極41・51間の隙間(ギャップ)については、空気の誘電率からみて、数10nmの極狭な値とすることが好ましいと考えられる。
【0082】
また、上記のように、本スイッチは、単一の基板1に対する半導体プロセスによって製造可能なものである。
また、さらに、本スイッチの吸引電極61を制御(駆動)する半導体素子である吸引電極制御回路(静電力印加用制御回路,駆動回路(駆動素子))についても、本スイッチの基板1上に形成することも可能である。
【0083】
図16は、吸引電極61を制御する吸引電極制御回路14を基板1に形成した構成を示す上面図であり、図17は、図16におけるA−A線矢視断面図である。
これらの図に示すように、この吸引電極制御回路14は、ソース拡散層15,ゲート電極配線16,ドレイン拡散層17,ウェル18,FETソース/ドレイン電極19を有している。
【0084】
また、図18に示すように、本スイッチの基板1上に、信号線電極51に接続される信号回路(高周波回路(RF回路)など)111を形成するようにしてもよい。
この信号回路111も、吸引電極制御回路14と同様に、ソース拡散層15,ゲート電極配線16,ドレイン拡散層17,ウェル18,FETソース/ドレイン電極19を有している。
【0085】
このように、本スイッチと回路14・111とを一体形成することで、これらを1チップ化できる。従って、これらをプリント基板に実装する際、実装面積を小さくできる。これにより、本スイッチを含む装置の小型化・低コスト化を実現することが可能となる。
【0086】
なお、上記では、回路14・111にFET素子を用いている。しかしながら、C−MOS、HBTなどその他の半導体素子を用いて回路14・111を形成しても、同様の効果(小型化・低コスト化)を得られる。
【0087】
また、図16〜図18では、E方向の電極61・51に関する回路14・111のみを示しているが、N,S,W方向の電極61・51に関する回路14・111についても、基板1上に形成可能である。
さらに、回路14・111だけでなく、その他の半導体素子(例えばアンプなど)を基板1に構成することで、さらなる小型化・低コスト化を図れる。
【0088】
また、図16〜図18に示した構成では、本スイッチの基板1上に、本スイッチと並べて回路14・111を形成している。
しかしながら、これに限らず、基板1上に回路14・111を形成した後、回路14・111の上に、本スイッチを積層形成することも可能である。これにより、本スイッチを含む電子機器をより小型化・低コスト化することが可能となる。
【0089】
次に、本スイッチを含む電子機器の例について説明する。
図19は、本スイッチをデジタル方式の携帯電話に適用した例を示す等価回路図である。
【0090】
一般に、デジタル携帯電話では、中継局からの距離に応じて電波の出力を切り替える(調整する)ようになっている。すなわち、この距離が近い時には低出力で、遠い場合は高出力で電波を送信する。従って、このようなデジタル携帯電話では、低出力用と高出力用との2種類のアンテナを備えており、送信に使用するアンテナをスイッチで切り替えるように設定されている。
【0091】
また、デジタル携帯電話では、送信時と受信時との双方において使用する高周波用パワーアンプを備えている。そして、送信時と受信時とで、高周波用パワーアンプに接続する回路をスイッチで切り替えるようになっている。
【0092】
そして、このような携帯電話に対し、図19に示すように本スイッチ(特に、図12,図14に示した高周波信号用のもの)を適用することで、送信アンテナの切り替えと、送信・受信の切り替えとを、1つの本スイッチで実行できるようになっている。
【0093】
すなわち、この例では、S方向の信号線電極51がアンテナ端子AT1(低出力用)に接続される一方、N方向の信号線電極51が、アンテナ端子AT2(高出力用)に接続されている。
また、E方向の信号線電極51が送信端子Trに接続される一方、W方向の信号線電極51が受信端子Reに接続されている。
【0094】
そして、例えば、アンテナ端子AT1を利用する場合、S方向の吸引電極61に正電荷が与えられる。これにより、キャップ板3がS方向に傾いて、S方向の信号線電極51・51間が導通して、アンテナ端子AT1がアクティブになる。また、アンテナ端子AT2,送信端子Trあるいは受信端子Reをアクティブにする場合も、同様に、S,N,W方向の信号線電極51・51間が導通することとなる。
【0095】
このように、本スイッチを用いることにより、複数種類の切り替えを1つのスイッチで行うことが可能となる。これにより、携帯電話の回路における実装面積の小型化(高効率化)を図れる。また、アイソレーションが高くロスの少ない切り替えが可能となり、その結果、低消費電力化を実現できる。
【0096】
また、本実施の形態では、支持柱2の柱頭部11が球形であるとしているが、全体が球形である必要はなく、キャップドーム4との接触部位だけが球面形状(球面の一部をなす形状)であればよい。
【0097】
また、柱頭部11の形状は、球形に限らない。
図20(a)の上面図,図20(b)の側面図に示すように、柱頭部11を、頂部に窪み(切り込み)11aを入れた形状としてもよい。窪み11aは、柱頭部11の頂部に複数設けられ、また、それらのうちの4本が、N,S,E,Wの4方向に沿っていることが好ましい。
【0098】
また、この場合、図21に示すように、キャップ板3におけるキャップドーム4の内壁に、窪み11aにあわせて突起部9を設け、これら突起部9を柱頭部11の窪み11aに嵌められるようにすることが好ましい。
【0099】
また、図22(a)の上面図,図22(b)の側面図に示すように、窪み11bを、柱頭部11の側部に設けるようにしてもよい。この場合も、4本の窪み11bが、N,S,E,Wの4方向に沿っていることが好ましい。そして、同様に、キャップ板3におけるキャップドーム4の内壁に、窪み11bに嵌め込むための突起部を設けることが好ましい。
【0100】
これらの構成では、キャップ板3は、柱頭部11の窪みに沿って揺動する。そして、柱頭部11の窪みにキャップドーム4内の突起部が嵌め込まれているため、キャップ板3は、基板1の表面に平行な方向に回転することがない。従って、回転抑制柱8を設ける必要がなくなる。
【0101】
なお、図5〜図11を用いて説明したように、本スイッチの製造工程では、キャップ板3は、柱頭部11の形状に沿った形で自己整合的に形成される。
このため、柱頭部11に窪みを設ける構成では、キャップドーム4の突起部9は、第2の多結晶シリコン膜32を積層する段階で、柱頭部11の窪みにあわせて自己整合的に、容易に形成される。また、このため、図21に示したように、キャップ板3のキャップドーム4の頂部(外側)には、窪み9aが形成されることとなる。
【0102】
また、本スイッチでは、図23,図24に示すように、キャップ板3におけるキャップドーム4の一部に、貫通孔10を設けるようにしてもよい。この貫通孔10は、第2の絶縁膜31をパターニングしてキャップ板3を形成する際に、容易に設けられる。
この構成では、図11に示した第2の絶縁膜31を除去する工程において、貫通孔10からエッチャントを注入できる。従って、犠牲膜である第2の絶縁膜31を効率よく除去できる。
なお、図23,図24に示した例では、キャップドーム4の頂部に1つの貫通孔10を設けている。しかしながら、貫通孔10は、キャップ板3の揺動を阻害しないなら、キャップ板3のどこに形成してもよく、また、いくつ形成してもよい。
【0103】
また、本実施の形態では、4方向に1対づつ設けられた信号線電極51のいずれかを、信号伝達可能な状態とするとしている。しかしながら、これに限らず、本スイッチを、複数の方向に配された複数対の信号線電極51を、同時に信号伝達可能な状態とするように設定してもよい。
【0104】
図25は、E方向およびW方向の双方の吸引電極61に正電荷を与え、これら両方向のビーム5を信号線電極51に接触させた状態(2ヶ所以上の接点を接続するスイッチング状態)の本スイッチを示す説明図である。
このように、本スイッチを用いれば、1つのスイッチで多接点を同時に接続することが可能となり、チップ面積の効率化を図れる。
【0105】
また、図26は、図25に示した本スイッチを応用したRF回路の例を示す等価回路図である。
【0106】
この回路では、複数のキャパシタを並列に接続して容量値を調整するようになっている。
【0107】
すなわち、この回路では、電送線路(RE−INからRE−OUTまで)の間に4つのキャパシタ101〜104を並列に接続している。
さらに、それぞれのキャパシタとグランドラインとの間に、本スイッチのN,S,E,Wの4方向に設けられた信号線電極51(51N〜51Wで示す)を配している。
【0108】
そして、同時に導通状態とする信号線電極51N〜51Wの数・種類の組み合わせを調整することで、回路の容量値を任意に調整でき、RF信号の特性を変化させられる。
【0109】
なお、キャパシタだけでなく、インダクタ,抵抗,フィルターなどを回路に設け、これらの接続状態を本スイッチで変化させる事も可能である。これにより、回路定数を調整し、任意の特性を得ることが可能となる。
このような回路に本スイッチを応用すれば、1つのスイッチで回路定数を複数種類(4種類)に設定できる。従って、回路を含む電子機器の小型化を図ることが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態では、本スイッチを、キャップ板3を揺動させることで(ビーム5を傾けることで)信号線電極51の導通状態を切り替えるスイッチであるとしている。
しかしながら、これに限らず、本スイッチを、キャップ板3を揺動させることでレーザー光などの光の光路を制御(変更)する、光スイッチ(光路スイッチ)として利用することも可能である。このような光スイッチは、光通信用の中継器などに使用されるものである。
【0111】
図27は、本スイッチを光スイッチとする場合における、本スイッチの構成を示す説明図である。
この図に示すように、この構成では、キャップ板3の表面に、アルミ箔膜33が積層されている。そして、レーザーダイオード等からなる光源Pから照射された入射光LIをビーム5上のアルミ箔膜33によって反射し、反射光LOを出力するようになっている。
【0112】
この構成では、反射光LOの光路が、ビーム5の傾き状態によって変化する。また、この構成では、キャップ板3における4つのビーム5の直上に4つの光源Pが配されている。
また、4つの反射光LOを受光するための、4つの受光素子(フォトデテクター等)Dが設けられている。なお、各受光素子Dの位置は、吸引電極61に引き寄せられた状態のビーム5からの反射光LOだけを受光する位置に設定されている。
【0113】
従って、キャップ板3を平衡状態とする場合(例えば、4つの吸引電極61に同等な静電力を発生させる場合)には、ビーム5からの反射光LOは、光源Pに向かうこととなる。従って、受光素子Dに反射光LOが到達しないため、光スイッチとしてはオフ状態となる。
そして、いずれかのビーム5における接点電極41が吸引電極61に静電的に引っ張られた場合に、キャップ板3が傾いて、傾いたビーム5に応じた受光素子Dに反射光LOが到達するように設定されている。
【0114】
このように、本スイッチでは、複数のビーム5によって反射光の光路を切り替えられるので、1つのスイッチで複数の光スイッチ状態(どの受光素子Dに反射光が到達しているか)を制御することが可能となっている。
【0115】
なお、上記では、4つの光源P・受光素子Dを、各ビーム5に応じて4つづつ備えるとしている。しかしながら、光源P・受光素子D数は、これに限らず、用途に応じて適切に設定することが好ましい(2組でも3組でもよい)。
【0116】
また、1つの光源P(ビーム5)に対し、2つ以上の受光素子を備えるようにしてもよい。
すなわち、各ビーム5の状態数(傾き具合の異なる状態の数)は、自身が吸引電極61に引き寄せられた場合(1種類)と、他のビーム5が吸引電極61に引き寄せられた場合(3種類)とで、平衡状態を含めずに、少なくとも4つはある(一度に複数のビーム5を吸引電極61によって引き寄せる場合には、さらに増える)。従って、ビーム5の各状態に応じた複数の受光素子Dを配置することで、より複雑なスイッチングを行うことが可能となる。
【0117】
また、本実施の形態では、キャップ板3を傾ける際に、いずれかの方向の吸引電極61に正の電荷を与えるとしている。しかしながら、吸引電極61の電圧を下げてここに負の電荷を与えた場合でも、吸引電極61と接点電極41との間に静電的な引力を発生させられるため、同様にキャップ板3を傾けることが可能である。
【0118】
また、本実施の形態では、ビーム5の裏面に接点電極41を1つ設け、基板1におけるN,S,W,Eの各方向に1対の信号線電極51を設けるとしている。しかしながら、1つのビームに複数の接点電極41を設けるとともに、各接点電極41に応じて複数対の信号線電極51を基板に配することも可能である。これにより、1方向における接点数を増やせる。
【0119】
また、本実施の形態では、キャップ板3に、4本のビーム5が備えられているとしている。しかしながら、これに限らず、キャップ板3に備えるビーム5の数は、5本以上であっても、また、3本以下であってもよい。ビーム5の数は、本スイッチの使用形態にあわせて、どのように設定されてもよい。
ビーム5を5本以上とし、ビーム5の位置に応じて信号線電極51,吸引電極61を基板1上に配置することで、接点の非常に多いスイッチを構成することが可能となる。
また、キャップ板3では、複数のビーム5を対称的に配置する必要はない。例えば、2本のビームを、直線状とならないように配置してもよい。
【0120】
また、本実施の形態では、基板1がシリコンの半導体基板からなるとしている。しかしながら、これに限らず、基板1としては、GaAsやガラス基板等の反絶縁性基板、セラミック基板,InP基板、GaN基板、SiC基板などを使用できる。
【0121】
また、本実施の形態では、絶縁膜25・31が二酸化珪素膜であるとしている。しかしながら、これに限らず、絶縁膜25・31としては、無機膜の窒化珪素膜や酸窒化珪素膜、リンやボロンなどを拡散させた酸化珪素膜、フォトレジスト,ポリイミド,フッ素樹脂などからなる有機絶縁膜を用いることも可能である。
【0122】
なお、本実施の形態では、第2の絶縁膜31が無機の絶縁膜(二酸化珪素(SiO2))であるため、この膜31を除去する際、フッ酸の水溶液によるウエットエッチング法やドライエッチング法を利用するとしている。
ここで、第2の絶縁膜31として有機膜の絶縁膜(レジストやポリイミド等)を使用する場合、膜31の除去には、有機溶剤(アセトンなど)によるウエットエッチング法やドライエッチング法を使用することが好ましい。
【0123】
また、本実施の形態では、支持柱2およびキャップ板3を、リンを含む多結晶シリコンから構成するとしている。しかしながら、これに限らず、支持柱2およびキャップ板3の材料としては、低温成膜の可能なスパッタリング法や蒸着法などで成膜する高融点金属(タングステン,チタン,モリブデン、それらの窒化物等)を用いることも可能である。すなわち、基板1の表面に金属配線を形成し、その配線上に金属柱の支持柱2を設けてもよい。
【0124】
特に、半導体基板に半導体素子を形成し、その上に本スイッチを形成して一体化(積層化)する場合、半導体素子の特性を変動させない温度範囲で本スイッチを製造する必要がある。このため、本スイッチの製造工程を300℃以下程度の温度範囲で行うことが好ましい。
そこで、スパッタリング法や蒸着法などによって金属から支持柱2・キャップ板3を形成することで、本スイッチの製造工程における温度を上記の範囲に抑えることが可能となる。
【0125】
また、本実施の形態では、基板1における支持柱2の形成部位に、イオン注入を施すことで拡散層7を形成するとしている。しかしながら、拡散層7に代えて、支持柱2の形成部位に(支持柱2と接触するように)低抵抗の金属配線を設け、その端部を接地するようにしてもよい。
【0126】
また、本実施の形態では、図6に示した本スイッチの製造工程において、開口27の形状を円形であるとしている。しかしながら、これに限らず、開口27の形状は、矩形や多角形としてもよい。この形状により、支持柱2における脚部12の形状が決定される。なお、開口27における最も望ましい形状は、円形である。
【0127】
また、本スイッチでは、電源供給を受けている間であって、スイッチングを必要とされていないアイドリング時(待機時)では、以下の状態1〜3のいずれかの状態となっていることが好ましい。
状態1:いずれかの吸引電極61によって1つのビーム5を信号線電極51に接触させている(固定している)状態。
状態2:2つ以上の吸引電極61によって、2つ以上のビーム5を信号線電極51に接触させている状態(キャップ板3は、弾性的に曲がっていてもよい)。
状態3:支持柱2を中心に回転対称の関係にある2つ以上の吸引電極61によって、キャップ板3を平衡とする(いずれのビーム5も信号線電極51に触れていない)状態(キャップ板3は、弾性的に曲がっていても、曲がっていなくてもよい)。
【0128】
また、本実施の形態では、キャップ板3のビーム5に、接点電極41を備えるとしている。しかしながら、吸引電極61によってビーム5を引き付けることが可能であり、さらに、ビーム5によって信号線電極51・51を導通させられる場合には、接点電極41を設ける必要はない。
【0129】
また、本発明の静電アクチュエーターを、基板上に配置した吸引電極により、揺動板を静電的に傾ける(駆動する)静電アクチュエーターにおいて、基板上に固定された揺動板を備え、この揺動板上に上記揺動板が載せられており、さらに、揺動板の端部に、吸引電極から静電力を受ける複数のビームが設けられている構成である、と表現することもできる。
【0130】
また、特許文献1のシーソー型のマイクロスイッチでは、梁84を中心に左右にビーム81を設け、それぞれのビーム81に接点を備えて、対向する基板側には静電力印加電極82と接点83を設けてあり、基板側の静電力印加電極82に電界を印加することで、ビーム81を基板側へ静電力で引き付けて、ビームに設けた電極と基板に設けた電極83とを接続するスイッチ動作を行うものであるともいえる。そして、この構造においては、梁型の支持肢を中心に基板の上下方向にビームを稼動させるものであり、支持肢の左右に設けたビームの部分に接点を配置するため、接点を増やすことが困難である。
【0131】
また、本スイッチは、本発明の静電駆動でビームを基板に対して吸着動作させた多接点を備えた静電アクチュエーターのマイクロスイッチであるともいえる。また、本スイッチの構成を以下のように表現することもできる。すなわち、基板1の上に支持柱2を設けその支持柱2は基板1と接している側が細くなっており、上面側が太くなっている。この基板1には、低抵抗の拡散層7が設けられており、その上に支持柱2が設けられている。その支持柱2の上にキャップ板3が支持柱2を覆う形で配置されている。そのビームの底面には接点電極(接点)41となる低抵抗配線が形成されている。その接点電極41に対向した基板1の表面に信号線電極51・吸引電極61が設けられている。ここで、吸引電極(静電力印加用電極)61に正の電荷を印加することで、ビーム5と吸引電極61間に静電力が発生して、ビーム5が基板1側に吸着され、ビーム5の接点電極41と基板1上の信号線電極51が接続される。ここで印加した電荷は負でも同様な動作をする。キャップ板3の可動方向のずれを防止するために、基板1の上に回転抑制柱8を設けてある。また、ビーム5が固定されていないことにより、可動させた際に動作方向が不安定となることを防止するため、基板上には回転防止用の柱8をビーム5の可動範囲の外側に配置してある。これにより、ビーム5の動作方向は基板に対して基板側の電極に対してずれることなく上下可動が可能となる。
【0132】
さらに、本スイッチでは、支持柱を金属の柱として基板表面に金属配線を形成しその配線上に支持柱を設け、ビームにも金属例えばタングステンなど高融点金属を窒化した金属を用いることも可能である。特に、基板に半導体基板を用いて、その基板に半導体素子を形成し、その上に本スイッチを形成し積層化する場合、半導体素子の特性変動が生じない温度範囲で形成する必要があり、300℃以下程度の製造工程が必要となる。そこで、支持柱およびビームの材料として金属を用い、その形成方法としてはスパッタリング法などを用いて本スイッチの構造を形成することで、半導体素子との一体化や積層化が可能となる。また、支持柱2と電位を獲るための基板1に設けた拡散層7を用いたが、ここは低抵抗の金属配線を用いても同様の効果が得られるといえる。
【0133】
また、キャップ板3は、アイドリング時では、『キャップ板3が、常にどれか一ヶ所のバイアスで固定された状態』,『2ヶ所以上の複数の吸引電極61に電圧を印加し、2ヶ所以上の複数のビームが曲がって基板側へ吸着された状態』,『対角線状に配置した吸引電極61毎にキャップ板3を曲げるまで高くない電圧を、均一に印加してビームが平行になる状態』のいずれかの状態をとるように設定されていてもよい。
【0134】
また、本スイッチでは、信号線電極51と対向したビーム5の接点電極41は、信号線電極51と接触する一方、吸引電極61とは接触しない(電極41・61間に隙間がある)。本スイッチは、吸引電極61と接点電極41との間にできる静電力でビームを基板側に引き付けるもので、これらが接触すると静電力がなくなる。また、本スイッチをRFスイッチとする場合には電極41・51間にキャパシタを挟んだ構造でも接続は行え、その隙間の精度が重要となる。即ち、隙間=誘電体の膜厚=容量値となる。この容量値は所望の周波数におけるスイッチング特性に適した値が必要で、周波数によっても異なる。また、金属と金属の接続(DCDC接続)の場合、接点の摩耗や固着が問題となるが、ここに誘電体を挟むことでこれらの課題が低減する。よって信頼の向上が図れる。
【0135】
また、図19に示した本スイッチの応用例に関し、デジタル携帯電話の場合、中継局からの距離に応じて電波の出力を調整しており、近い時には低出力で、遠い場合は高出力で行っている。その中でアンテナを複数備えており、スイッチによって出力に応じたアンテナに切り替えを行っている。また、送受の切り替えは、高周波用パワーアンプがあり、これは送信時と受信時のアンプとして使用する。送信する際と受信する際にはアンプの先につながっている回路が異なるので、その回路をスイッチで切り替えている。通常は半導体のスイッチで行っている。本スイッチを用いる事で、アイソレーションが高くロスの少ない切り替えが可能となり、その結果低消費電力化を図れる。
【0136】
また、図26の構成に関し、いくつかの回路定数を組み合わせて任意の特性を得る場合などに、必要な配線を設けておき、本スイッチを用いることで1回のスイッチング動作で複数の回路切り替えを行うことができ、小型化が実現するといえる。また、本実施例のマイクロスイッチの場合、ビーム5の支点である支持柱2を丸い柱としていることでビームの支点が半固定状態となっているため、構造駆動電圧を高くすることなくキャップ板3の可動が可能となり、さらにビームのバネを利用していないので、ビームの構造破壊や計時変化への影響が低減でき、長期信頼性が向上するといえる。また、支持柱2に括れがある(柱頭部11が脚部12より太い)ことで、基板1を逆さまにしても、キャップ板3が支持柱2から外れることはない。
【0137】
また、本発明を、以下の第1〜9静電アクチュエーター,第1〜第3静電アクチュエータースイッチ,第1無線通信装置,第1マイクロ光路スイッチおよび第1・2の静電アクチュエーターの可動方法として表現することもできる。
【0138】
すなわち、第1静電アクチュエーターは、基板上に固定電極と支持柱を設け、支持柱上に可動電極を設ける構成である。また、第2静電アクチュエーターは、第1静電アクチュエーターにおいて、上記支持柱に太さの差を設けて括れた形状とし、その柱の括れ部を覆う可動電極を設け、可動電極と基板との間に距離を設け、柱を支点とした可動電極と形成する構成である。
【0139】
また、第3静電アクチュエーターは、第1静電アクチュエーターにおいて、上記基板上に設けた支持柱の基板に近い部分を細く、柱の上面側を太くし、柱に太さの差を設けて括れた形状として、その柱の上面部の太い部分を覆う可動電極を設け、基板との間に距離を設け、支持柱を支点とした可動電極を備えた信号配線を形成する構成である。また、第4静電アクチュエーターは、第1〜3静電アクチュエーターにおいて、上記支持柱の太い部分を球状とする構成である。さらに、第5静電アクチュエーターは、第4静電アクチュエーターにおいて、上記球状部の一部に窪みを設ける構成である。
【0140】
また、第6静電アクチュエーターは、第1〜5静電アクチュエーターにおいて、上記可動電極が支持柱を中心に3つ以上の異なる方向に設けられている構成である。また、第7静電アクチュエーターは、第1〜6の静電アクチュエーターにおいて、上記可動電極の支点柱と重なる部分に貫通孔を設ける構成である。さらに、第8静電アクチュエーターは、第1〜7の静電アクチュエーターにおいて、可動電極の可動範囲の外側に可動距離よりも高い柱を設ける構成である。
【0141】
また、第1静電アクチュエータースイッチは、第1〜8静電アクチュエーターの可動電極の裏面に低抵抗接続電極を備え、それぞれの電極に対向した基板側に静電力印可用の固定電極と可動電極の低抵抗接続電極と接続する基板側の接続電極を設ける構成である。また、第2静電アクチュエータースイッチは、第1静電アクチュエータースイッチの可動電極裏面の低抵抗接続電極、若しくは基板側の接続電極のいずれか一方または両方の表面に誘電体膜を設ける構成である。さらに、第3静電アクチュエータースイッチは、第1静電アクチュエータースイッチにおいて、基板もしくは可動電極の接続電極よりも高さの高い電極を設け、接続電極が接触しない隙間を備える構成である。
さらに、第9静電アクチュエーターは、第1〜8静電アクチュエーターおよび第1〜第3静電アクチュエータースイッチの基板に信号処理回路を設ける構成である。
【0142】
また、第1無線通信装置は、第1〜9静電アクチュエーターおよび第1〜第3静電アクチュエータースイッチを備える構成である。また、第1マイクロ光路スイッチは、第1〜9静電アクチュエーターおよび第1〜第3静電アクチュエータースイッチの可動電極表面に光反射膜を成膜した構成である。
【0143】
また、第1静電アクチュエーターの可動方法は、第1〜9静電アクチュエーター,第1〜第3静電アクチュエータースイッチ,第1無線通信装置および第1マイクロ光路スイッチの可動電極が支持柱を中心に3つ以上の異なる方向に設けられた静電アクチュエーターの可動方法において、静電力印可用の固定電極の1ヶ所だけに電荷を印加する方法である。さらに、第2静電アクチュエーターの可動方法は、第1〜9静電アクチュエーター,第1〜第3静電アクチュエータースイッチ,第1無線通信装置および第1マイクロ光路スイッチの可動電極が支持柱を中心に3つ以上の異なる方向に設けられた静電アクチュエーターの可動方法において、同時に2ヶ所以上の静電力印可用の固定電極に電荷を印加し2ヶ所以上の接点を接続する方法である。
【0144】
上記の第1〜9静電アクチュエーター,第1〜第3静電アクチュエータースイッチ,第1無線通信装置,第1マイクロ光路スイッチおよび第1・2の静電アクチュエーターの可動方法では、まず、本発明のビーム(可動電極)は固定されておらずビームを可動させる場合に必要な電荷の量はビームを引き付けるだけの電荷量となり、低電圧での駆動が可能となる。さらに、ビームのバネ性を利用しない事から高速動作が可能となる。また、低電圧動作が可動になることで、他の電子回路との組み合わせる際に、高電圧を作る回路が不要となり、回路の単純化を図れる。さらに、本発明のスイッチを高周波回路に用いることで、入力損失の低減及びアイソレーション特性の向上により、回路の低消費電力が図れる。また、本発明のマイクロスイッチは接点を多点設けることが可能であるので、1つのスイッチで複数の信号線路などの切り替えが可能となり、実装面積の高効率化を実現し、低コスト化が図れる。さらに、光スイッチとして応用した場合、1つのスイッチで複数の光路を高速で光路切り替えが可能となり、光信号処理回路の高機能化が図れる。
【0145】
また、本発明の目的は、多接点を備え、低電圧で動作し機械的信頼性の高いMEMSスイッチ構造を提供するものであるともいえる。本発明のビームは基板に括れを持った支持柱を設け、その上に自己整合的に形成し、その柱を支点としてビームを基板に対して上下稼動させて、スイッチング動作を行うものである。本構造の場合、スイッチを上下逆さまにしてもビームが抜けることはない。本発明のビームは支持柱を中心に多方向に羽を広げた形とすることが可能で、それぞれのビームの部分に接点を設けることで、多接点のビームが形成できることで、部品の小型化が可能となる。さらに、本願のビームは半固定状態で動作させるため、低電圧動作が可能となる。また、ビームの変形が少ない動作であることから、長時間の稼動を行った場合でもビームの組成変形などが軽減でき、長期信頼性が向上する。
【0146】
また、本発明の構造を、ビームとビームに設けた接続電極と半導体基板上に設けた静電力印加用電極と半導体素子と、その素子から配線した電気的接続点とを含み、基板に設けた静電力印加電極に電荷を印加し、ビームとの間に静電力を発生させ、ビームを基板側に引き付けて、基板の接点とビームの接点とを接続するスイッチング動作を行うものであるともいえる。このようなマイクロスイッチを、例えば、高周波無線通信用のアンテナ切り替えや送信受信の切り替え用に用いることで、低損失の回路切り替えを可能とし、機器の低消費電力化を図れる。また、光スイッチに用いた場合には一つのスイッチで多方向への偏光が可能となる。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明の静電アクチュエーター(本アクチュエーター)は、基板上に配置した吸引電極により、揺動板を静電的に引き付ける静電アクチュエーターにおいて、基板上に固定され、揺動板を軸支するための支持柱を備え、さらに、揺動板の端部に、吸引電極から静電力を受ける複数のビームが設けられている構成である。
【0148】
すなわち、本アクチュエーターは、基板上に支持柱を設け、その上に揺動板を載せた構造を有しており、支持柱によって揺動板を軸支(枢支)するように設定されている。
また、揺動板の端部には、複数のビーム(棒状(梁状)の部材)が設けられており、この部分で、吸引電極の静電力を受けるようになっている。
【0149】
このように、本アクチュエーターでは、揺動板を支持柱によって軸支する構成であるため、揺動板(ビーム)の傾く方向(揺動方向;吸引電極によって基板側に引き付けられる方向)を任意に設定できる。
これにより、本アクチュエーターでは、ユーザーの所望とする複数の方向にビームを設け、各ビームに応じて基板に吸引電極を配することで、揺動板を複数の任意の方向に傾ける(引き付ける)ことが可能となる。
【0150】
従って、本アクチュエーターをマイクロスイッチに応用すれば、基板接点の位置や数に関する自由度の高い、実用的なマイクロスイッチを構成することが可能となる。
【0151】
また、本アクチュエーターでは、支持柱を、基板に固定された脚部と、この脚部上に設けられた柱頭部とで構成することもできる。
この場合、柱頭部は、脚部よりも太くなっていることが好ましい。
さらに、この場合には、揺動板に、複数のビームを端部に備えた中空のドーム部を設けることが好ましい。そして、このドーム部によって、支持柱の柱頭部を係合するような構造であることが好ましい。
【0152】
この構成では、ドーム部が、支持柱の柱頭部を包む(覆う)ように、この柱頭部と(ピボット的に)係合することが好ましい。
この場合、支持柱の柱頭部がドーム部の内壁に当接し、当接部分で揺動板を軸支することとなる。また、揺動板が傾く場合、ドーム部の内壁が柱頭部上を摺動(スライド)することとなる。
この構成では、支持柱を支点として揺動板を任意の方向に傾けることが容易となるとともに、支持柱と揺動板とが離れてしまう(外れてしまう)ことを防止できる。
なお、上記のように柱頭部と脚部とで支持柱を構成する場合、これらを一体に形成することが好ましい。
【0153】
また、揺動板に上記のドーム部を設ける場合、ドーム部の内壁と、支持柱の柱頭部におけるドーム部との接触部分とを、球面形状とすることが好ましい。
ここで、球面形状とは、球面の一部をなす形状のことである。これにより、柱頭部上でドーム部を摺動させることが容易となる。
【0154】
また、柱頭部を球面形状とする場合、柱頭部の一部に窪み(切れ込み)を設けるようにしてもよい。また、この場合、ドーム部の内壁(柱頭部との接触部分)に、柱頭部の窪みに応じた突起部を設けることが好ましい。さらに、これらの窪みおよび突起部の延びる方向が、ビームの延びる方向に沿っていることが好ましい。
これにより、ドーム部(揺動板)は、柱頭部の窪みの延びる方向にだけ傾くこととなる。従って、揺動板が基板と平行に回転することを防止できる。
【0155】
また、本アクチュエーターに設けるビームの数は、3つ以上であることが好ましい。また、これらのビームは、異なる方向に延びていることが好ましい。
これにより、本アクチュエーターをマイクロスイッチに応用した場合に、スイッチの接点を3つ以上とできるので、1つのスイッチで3つ以上の状態を切り替えることが可能となる。
【0156】
また、本アクチュエーターでは、揺動板を支持柱によって軸支しているため、揺動板が支持柱を回転軸として、基板と平行方向に回転してしまい、ビームの延びる方向が変わってしまう可能性がある。
そこで、このような回転を防止するために、ビームに当接して回転を止める回転抑制柱を基板に設けておくことが好ましい。
【0157】
また、本アクチュエーターは、1つの基板に対して半導体プロセスによって形成できるものである。ここで、本アクチュエーターの吸引電極を制御(駆動)するための半導体素子である吸引電極制御回路を、本アクチュエーターの基板に一体形成するようにしてもよい。
【0158】
これにより、本アクチュエーターと上記の制御回路を1チップ化できる。従って、これらをプリント基板に実装する際、実装面積を小さくできる。従って、本アクチュエーター含む電子機器の小型化・低コスト化を実現することが可能となる。
【0159】
また、本発明のマイクロスイッチ(本スイッチ)は、上記した本アクチュエーターと、本アクチュエーターの基板に設けられ、基板側に引き付けられた(傾いた)揺動板のビームを介して互いに導通する1対の信号線電極とを備えたものである。
本スイッチは、本アクチュエーターを備えているため、基板接点の位置や数に関する自由度の高い、実用的なマイクロスイッチとなっている。
【0160】
また、本スイッチを用いて携帯無線機などの電子機器を構成すれば、1つのスイッチで多数の状態を切り替えることが可能であるため、小型で低コストの電子機器を実現できる。
【0161】
なお、本スイッチの信号線電極対は、揺動板のビームの数・位置に応じて、基板上に複数設けられているものである。
また、本スイッチは、信号線電極対の双方の電極をビーム(電導性)と当接させて短絡することで、信号線電極対を導通状態とする構成であってもよい。
【0162】
また、信号線電極間で高周波信号を伝達する場合には、ビームと信号線電極とを直接接触させる必要はない。この場合、信号線電極におけるビームとの当接部位、および、ビームにおける信号線電極との当接部位の少なくとも一方に、誘電体を設けるようにしてもよい。
【0163】
また、誘電体を設けなくとも、ビームと信号線電極との間隔を極狭とすることで、信号伝達を行うことも可能である。
この場合、上記ビームの駆動範囲(傾き度合い)を制限することで、基板側に引き付けられたビームと信号線電極との間に隙間を設けるストッパー(ビームと信号線電極との直接接触を回避するストッパー)を基板に備えるようにしてもよい。
【0164】
これらの構成では、ビームを直接に信号線電極に接触させないため、低損失、高アイソレーションを実現できる。
なお、ビームと信号線電極との間に配される誘電体の膜厚(あるいは間隔のサイズ)の精度は、容量値を決定するため、重要である。
この容量値は、伝達信号の周波数におけるスイッチング特性に適した値とすることが必要であり、周波数によっても異なる。
【0165】
また、本アクチュエーターによって、マイクロ光スイッチを構成することもできる。このマイクロ光スイッチは、本アクチュエーターによってレーザー光などの光路を変更するものである。例えば、このようなマイクロ光スイッチを、ビームに光反射膜を設けた本アクチュエーターと、光反射膜に光を照射する光源と、光反射膜からの反射光を受光する受光素子とから構成できる。
また、このようなマイクロ光スイッチを用いて電子機器を構成すれば、1つのスイッチで多数の状態を切り替えることが可能であるため、小型で低コストの電子機器を実現できる。
【0166】
なお、上記したように、本アクチュエーターでは、揺動板のビームを吸引電極によって引き付ける構成である。ここで、本アクチュエーターを、1つの吸引電極によって1つのビームを基板側に傾けるようにしてもよい。
【0167】
また、複数の吸引電極によって同時にビームを傾けるように、本アクチュエーターを駆動してもよい。この場合、揺動板の一部は、弾性的に変形することもある。また、本アクチュエーターをスイッチに応用した場合には、2カ所以上の接点(信号線電極対)を接続(導通)させることとなる。
【0168】
また、本アクチュエーターは、以下の第1〜第5工程によって製造することが可能である。
すなわち、まず、基板に対し、支持柱および吸引電極を形成する(第1工程)。次に、支持柱を含む基板全面に、絶縁膜等からなる犠牲膜(犠牲層)を形成する(第2工程)。
その後、この犠牲膜上に、多結晶シリコン膜等からなる電導膜を形成する(第3工程)。そして、この電導膜をパターニングして揺動板を形成する(第4工程)。さらに、揺動板の下部にある上記の犠牲膜を除去する(第5工程)。
【0169】
これにより、本アクチュエーターを、単一の基板に対する半導体プロセスによって容易に製造できる。従って、製造工程を簡略化できるとともに、本スイッチのサイズを容易に小さくできる。
【0170】
また、上記の上記第4工程において、揺動板の一部に貫通孔を設けるようにしてもよい。
第4工程の後に行われる犠牲膜の除去は、通常、エッチングによって行われる。このとき、揺動板に貫通孔のある場合、そこからエッチャントを注入できる。従って、犠牲膜を効率よく除去できる。
なお、この場合には、製造される本アクチュエーターの揺動板に、貫通孔が設けられることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるマイクロスイッチの構成を示す上面図である。
【図2】図1に示したマイクロスイッチにおけるA−A線矢視断面図である。
【図3】図1に示したマイクロスイッチに関し、平衡状態となっているキャップ板を示す説明図である。
【図4】図1に示したマイクロスイッチに関し、1つのビームが基板側に傾いている状態となっているキャップ板を示す説明図である。
【図5】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図6】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図7】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図8】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図9】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図10】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図11】図1に示したマイクロスイッチの製造工程を示す説明図である。
【図12】図1に示したマイクロスイッチに誘電体膜を備えた構成のスイッチを示す説明図である。
【図13】図12に示したマイクロスイッチにおけるA−A線矢視断面図である。
【図14】図1に示したマイクロスイッチにストッパーを備えた構成のスイッチを示す説明図である。
【図15】図14に示したマイクロスイッチにおけるA−A線矢視断面図である。
【図16】図1に示したマイクロスイッチにおける吸引電極を制御する吸引電極制御回路を基板に形成した構成を示す上面図である。
【図17】図16におけるA−A線矢視断面図である。
【図18】図16に示した構成に信号回路を加えた構成を示す上面図である。
【図19】図1,図12あるいは図14に示したマイクロスイッチをデジタル方式の携帯電話に適用した例を示す等価回路図である。
【図20】図20(a)は、図1に示したマイクロスイッチの支持柱を示す説明図であって、支持柱の柱頭部11に窪みを設けた構成を示す説明図であり、図20(b)は同じく側面図である。
【図21】図20(a)(b)に示した支持柱を備えたマイクロスイッチの構成を示す説明図である。
【図22】図22(a)は、図1に示したマイクロスイッチの支持柱を示す説明図であって、支持柱の柱頭部11に窪みを設けた構成を示す説明図であり、図22(b)は同じく側面図である。
【図23】図1に示したマイクロスイッチであって、キャップ板のキャップドームに貫通穴を設けた構成を示す上面図である。
【図24】図23に示したマイクロスイッチにおけるA−A線矢視断面図である。
【図25】図1に示したマイクロスイッチにおける、2ヶ所以上の接点を接続した状態を示す説明図である。
【図26】図25に示したマイクロスイッチを応用したRF回路の例を示す等価回路図である。
【図27】図1に示したマイクロスイッチを光スイッチに応用する場合の構成を示す説明図である。
【図28】従来のマイクロスイッチを示す説明図である。
【図29】従来のマイクロスイッチを示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 支持柱
3 キャップ板(揺動板)
4 キャップドーム(ドーム部)
5 ビーム
7 拡散層
8 回転抑制柱
9 突起部
10 貫通孔
11 柱頭部
12 脚部
14 吸引電極制御回路
15 ソース拡散層
16 ゲート電極配線
17 ドレイン拡散層
18 ウェル
19 FETソース/ドレイン電極
25 第1の絶縁膜
26 フォトレジストマスク
27 開口
29 第1の多結晶シリコン膜
30 レジストパターン
31 第2の絶縁膜(犠牲膜)
32 多結晶シリコン膜
32 第2の多結晶シリコン膜
33 アルミ箔膜
41 接点電極
51 信号線電極
51N〜51W 信号線電極
61 吸引電極
71 誘電体膜
72 ストッパー
101〜104 キャパシタ
111 信号回路
AT1 アンテナ端子
AT2 アンテナ端子
D 受光素子
LI 入射光
LO 反射光
P 光源
Re 受信端子
Tr 送信端子

Claims (13)

  1. 基板上に配置した吸引電極により、揺動板を静電的に引き付ける静電アクチュエーターにおいて、
    上記基板上に固定され、上記揺動板を軸支するための支持柱を備え、
    さらに、上記揺動板の端部に、上記吸引電極から静電力を受ける複数のビームが設けられており、
    上記支持柱が、上記基板に固定された脚部と、当該脚部上に設けられた、上記脚部よりも太い柱頭部とを備えている一方、
    上記揺動板が、上記複数のビームを端部に備えた中空のドーム部を有しており、
    上記ドーム部に、上記支持柱の上記柱頭部が係合されており、
    上記ドーム部は、上記柱頭部と外れないように上記柱頭部を包んで形成されていることを特徴とする静電アクチュエーター。
  2. 上記ドーム部の内壁と、上記支持柱の上記柱頭部における上記ドーム部との接触部分とが、球面形状であることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
  3. 上記柱頭部の一部に窪みが設けられており、上記ドーム部の内壁に、上記柱頭部の窪みに嵌め込むための突起部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の静電アクチュエーター。
  4. 異なる方向に延びる3つ以上のビームが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
  5. 上記ビームに当接することによって、上記揺動板が上記基板と平行に回転することを防止する回転抑制柱が、上記基板に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
  6. 上記吸引電極を制御するための吸引電極制御回路を上記基板に備えていることを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエーター。
  7. 請求項1に記載の静電アクチュエーターと、
    上記基板に設けられ、上記基板側に引き付けられた上記揺動板のビームを介して互いに導通する1対の信号線電極とを備えたマイクロスイッチ。
  8. 上記信号線電極におけるビームとの当接部位、および、ビームにおける上記信号線電極との当接部位の少なくとも一方に、誘電体が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のマイクロスイッチ。
  9. 上記ビームの駆動範囲を制限することで、上記基板側に引き付けられたビームと上記信号線電極との間に隙間を設けるストッパーを上記基板に備えていることを特徴とする請求項7に記載のマイクロスイッチ。
  10. 上記ビームに光反射膜を設けた請求項1に記載の静電アクチュエーターと、
    上記光反射膜に光を照射する光源と、
    光反射膜からの反射光を受光する受光素子とを備えていることを特徴とするマイクロ光スイッチ。
  11. 請求項7に記載のマイクロスイッチ、あるいは、請求項10に記載のマイクロ光スイッチを備えていることを特徴とする電子機器。
  12. 請求項1に記載の静電アクチュエーターの製造方法であって、
    上記基板に、上記支持柱および上記吸引電極を形成する第1工程と、
    上記支持柱を含む上記基板全面に犠牲膜を形成する第2工程と、
    この犠牲膜上に、上記柱頭部を包む上記ドーム部を有する電導膜を形成する第3工程と、
    上記電導膜をパターニングして上記揺動板を形成する第4工程と、
    上記揺動板の下部にある上記犠牲膜を除去することにより、上記ドーム部と上記柱頭部とを外れないように係合させる第5工程とを含むことを特徴とする静電アクチュエーターの製造方法。
  13. 上記第4工程において、上記揺動板の一部に貫通孔を設けることを特徴とする請求項12に記載の静電アクチュエーターの製造方法。
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