しかしながら、この漏水用水受容器を配置するには、供給管を挿通孔に挿通するとともに、排水管を排水用挿通孔に挿通しなければならず、キャビネット内において配管が完了した状態、すなわち、供給管と止水栓とが接続され、また、排水管が洗面ボウル等の排水口に接続された状態では、配置することができず、供給管や排水管を一端取り外す必要があり、漏水用水受容器を配置する作業は、非常に面倒であった。
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、給水設備もしくは排水設備の配管に、簡単に取り付けることができる漏水受け具を提供することにある。また、その他の目的は、例えば、上下方向に延びる配管や水平方向に延びる配管といった、異なった方向に延びる配管のいずれに対しても、一つのもので対応できるような漏水受け具を提供することにある。
この発明に係る漏水受け具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
給水もしくは排水設備の接続部における漏水を受け止める、漏水受け具であって、上方に開口する開口部を有する受水容器と、その受水容器を、前記開口部が前記接続部の下方に位置するように、前記給水もしくは排水設備の配管に、その配管を前記接続部から取り外すことなく取り付けるための取付手段とを備える。そして、前記取付手段は、上下方向あるいはその方向と交差する方向に延びる前記配管に対して、いずれかが任意に選択される、少なくとも第一の取付部および第二の取付部を含む複数の取付部を備えてなることを特徴とする。
このように、漏水受け具は、受水容器を配管に取り付ける際に、取付手段としての、第一の取付部および第二の取付部のいずれかを選択することにより、上下方向に延びる配管およびその方向と交差する方向に延びる配管のいずれに対しても、前記受水容器の、上方に開口する開口部が、給水もしくは排水設備の接続部の下方に位置するように取り付けられる。そして、漏水受け具は、前記接続部から漏れ落ちる漏水を受け止めることができる。また、受水容器を配管に取り付ける際には、配管を前記接続部から取り外す必要がないので、取付作業が簡単である。
また、請求項2に記載の漏水受け具のように、請求項1に記載の漏水受け具において、
受水容器は、前記第一の取付部または第二の取付部によって、前記配管にその軸回り方向に回動可能に取り付けられてもよい。こうして、受水容器は、配管にその軸回り方向に回動可能に取り付けられるので、受水容器を配管に取り付けた後に、開口部が接続部の下方に位置するように回動してもよいので、取付作業がさらに簡単となる。
また、請求項3に記載の漏水受け具のように、請求項1または2に記載の漏水受け具において、前記第一の取付部は、前記開口部の開口方向と平行する方向に貫通する、前記配管が挿通される第一の挿通孔と、その第一の挿通孔と前記第一の取付部の外部とを連通する第一の連通部とを有し、前記配管が前記第一の連通部を介して、前記第一の挿通孔に嵌め込まれることにより、前記受水容器は、前記配管に取り付けられるのが望ましい。このように、第一の挿通孔の貫通方向が、開口部の開口方向と平行していることから、受水容器は、第一の取付部によって、上下方向に延びる配管に取り付けられる。また、受水容器を配管に取り付ける際には、配管が第一の連通部を介して、第一の挿通孔に嵌め込まれるので、配管を接続部から取り外す必要がなく、その取付作業が簡単である。
また、請求項4に記載の漏水受け具のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の漏水受け具において、前記第二の取付部は、前記開口部の開口方向と交差する方向に貫通する、前記配管が挿通される第二の挿通孔と、その第二の挿通孔と前記第二の取付部の外部とを連通する第二の連通部とを有し、前記配管が前記第二の連通部を介して、前記第二の挿通孔に嵌め込まれることにより、前記受水容器は、前記配管に取り付けられるのが望ましい。このように、第二の挿通孔の貫通方向が、開口部の開口方向と交差していることから、受水容器は、第二の取付部によって、上下方向と交差する方向に延びる配管に取り付けられる。また、受水容器を配管に取り付ける際には、配管が第二の連通部を介して、第二の挿通孔に嵌め込まれるで、配管を接続部から取り外す必要がなく、その取付作業が簡単である。
また、請求項5に記載の漏水受け具のように、請求項4に記載の漏水受け具において、前記第二の取付部は、前記開口部の周縁部から上方に立ち上がるように延設される立設部の先端、あるいは、前記貯水容器の底壁から上方に立ち上がって、前記開口部より上方に突出するように延設される立設部の先端に設けられることが望ましい。これによると、接続部で発生して、上下方向と交差する方向に延びる配管をつたって流れる漏水は、第二の取付部と立設部をつたって流れ、開口部から受水容器内に流れ込むので、漏水受け具は、接続部から漏れ落ちる漏水だけでなく、前記配管をつたって流れる漏水をも受け止めることができる。
また請求項6に記載の漏水受け具のように、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の漏水受け具において、前記接続部の下方であって、かつ、前記受水容器の上方に位置するように前記配管に取り付けられる、前記受水容器とは別体の集水器を備え、その集水器は、上方に開口する集水容器部と、その集水容器部に集められた前記漏水を、前記受水容器に排出するための排出部とを有してもよい。こうして、集水器を、接続部の下方であって、受水容器の上方に位置するように配管に取り付けると、漏水は、集水容器によって集められ、そして、排出部を介して、受水容器に排出される。
また、請求項7に記載の漏水受け具のように、請求項6に記載の漏水受け具において、前記集水容器部は、その開口方向と平行する方向に貫通する、前記配管が挿通される取付孔と、前記集水容器部の外部から前記取付孔に通ずる切り込みとを有し、前記切り込みは、前記配管が、前記切り込みを通って前記取付孔に嵌まるよう開閉可能となっていることが望ましい。これによると、集水器を取り付けるに際しては、配管が切り込みを通過して、取付孔内に嵌まり込むので、配管を接続部から外す必要がなく、取付作業が容易である。
また、請求項8に記載の漏水受け具のように、請求項6に記載の漏水受け具において、前記集水容器部は、容器部本体と、その容器部本体が取り付けられる取付体とからなり、前記容器部本体は、前記配管が側方から進入する窪みを備えた凹部と、係合部とを有し、前記取付体は、前記凹部を塞ぐ覆い部と、前記係合部が係合する被係合部とを備え、前記覆い部は、前記集水容器部の開口方向と平行する方向に貫通する、前記配管が挿通される取付孔と、前記取付体の外部から前記取付孔に通ずる切り込みとを有し、前記切り込みは、前記取付体に前記容器部本体が取り付けられていない状態で、前記配管が、前記切り込みを通って前記取付孔に嵌まるよう開閉可能となっていてもよい。これにより、取付体の取付孔に配管を挿通させ、その取付体に容器部本体を取り付けると、集水器は、上方が開口した容器状を呈して、前記配管に取り付けられる。そして、取付孔に配管を挿通させる際には、配管が切り欠きを通過して、取付孔内に嵌まり込むので、配管を接続部から取り外す必要がないので、集水器の取付作業は、容易である。
また、請求項9に記載の漏水受け具のように、請求項7または8に記載の漏水受け具において、前記集水器は、前記配管にその全周を囲むように取り付けられるのが望ましい。
これにより、集水器は、配管にその全周を囲むように取り付けられるので、接続部で発生して、配管をつたい流れる漏水をも集めることができる。したがって、漏水受け具は、確実に漏水を受け止めることができる。
また、請求項10に記載の漏水受け具のように、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の漏水受け具において、前記第一の取付部は、前記開口部の開口方向と平行する方向に貫通する、前記配管が挿通される第一の挿通孔と、その第一の挿通孔と前記第一の取付部の外部とを連通する第一の連通部とを有し、前記配管が前記第一の連通部を介して、前記第一の挿通孔に嵌め込まれることにより、前記受水容器は、前記配管にその軸回り方向に回動可能に取り付けられる。また、前記受水容器の開口部は、その受水容器の、前記配管を軸とした少なくとも90度の範囲のいずれの回動位置においても、前記排出部から排出される漏水を受けるように開口していてもよい。
また、請求項11に記載の漏水受け具のように、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の漏水受け具において、前記受水容器には、その受水容器によって受けた前記漏水を外部に排出するための排水ホースが設けられ、その排水ホースの先端部は、人目に付き易いところに配置されてもよい。このように、受水容器で受けた漏水は、排水ホースを通って、人目に付き易いところへと排水される。したがって、漏水が発生したときには、速やかに発見することが可能となる。
また、請求項12に記載の漏水受け具のように、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の漏水受け具において、前記受水容器には、その受水容器によって受けた前記漏水を外部に排出するための排水ホースが取り付けられる、ホース接続部が設けられ、前記ホース接続部は、前記受水容器に貫通形成された排水孔に連通する連通路と、その連通路の先端側を閉塞する閉塞部とを備えるのが望ましい。これによれば、ホース接続部の閉塞部を取り除き、ホース接続部に排水ホースを接続すると、受水容器で受けた漏水は、排水ホースを通って外部に排出される。したがって、排水ホースの先端を、人目に付き易いところに配置すると、容易に漏水を発見することができる。ところで、閉塞部を取り除かなければ、受水容器に受けた漏水は、外部に排出されることなく、受水容器内に溜められる。このように、状況に応じて、排水ホースを使用したりあるいは使用しなかったりすることができる。
この発明に係る漏水受け具によれば、上下方向に延びる配管およびその方向と交差する方向に延びる配管のいずれに対しても、簡単に取り付けることができる漏水受け具を提供することができる。
以下、この発明に係る漏水受け具を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明に係る漏水受け具を、洗面台あるいは流し台等のキャビネットCの内部に配設される給水設備の接続部に使用した、一実施の形態を示す。図中符号1は、給水もしくは排水設備の配管としての、例えば、ポリエチレン管あるいはポリブデン管等の合成樹脂製の給水本管である。この給水本管1は、給水源につながっており、図示実施の形態においては、床面2から上方に立ち上がるように、すなわち、上下方向に延びるように配設されている。また、3は、止水栓、詳しくは、水の進路方向を変更しないストレート形の止水栓である。4は、湯水混合水栓等の水栓装置Wにつながれた給水ホースである。5aは、給水本管1と、止水栓3とをつなぐアダプターであり、一方の端部が給水本管1に接続され、他方の端部が止水栓3に接続されている。5bは、止水栓3と給水ホース4とをつなぐ継手であって、一方の端部が止水栓3に接続され、他方の端部が給水ホース4に接続されている。これら止水栓3、給水ホース4、アダプター5aおよび継手5bは、それぞれ給水設備の一部を構成している。6は、給水もしくは排水設備の接続部Jでの漏水を受け止める漏水受け具である。ここで、給水もしくは排水設備の接続部Jとは、図示実施の形態においては、給水本管1とアダプター5aとの接続部J1、アダプター5aと止水栓3との接続部J2、止水栓3と継手5bとの接続部J3、継手5bと給水ホース4との接続部J4、および、止水栓3の本体部3aとハンドル部3bとの接続部J5を意味している。
図示実施の形態において、漏水受け具6は、上方に開口する開口部7aを有する受水容器7と、その受水容器7を、前記開口部7aが前記接続部J(J1〜J5)の下方に位置するように、前記給水本管1に、その給水本管1を止水栓3との接続部J1から取り外すことなく着脱可能に取り付けるための取付手段8と、前記接続部J(J1〜J5)の下方であって、かつ、前記受水容器7の上方に位置するように、前記給水本管1に取り付けられる、集水器9とを備える。ここで、取付手段8は、上下方向あるいはその方向と交差する方向に延びる配管に対して、任意に選択される(図示実施の形態においては任意に択一的に選択される)、第一の取付部10および第二の取付部11を備える。そして、前記受水容器7は、選択された第一の取付部10または第二の取付部11によって、前記配管にその軸回り方向に回動可能に取り付けられる。図示実施の形態においては、上下方向に延びる配管(給水本管1)に対しては、第一の取付部10が選択され、受水容器7は、第一の取付部10によって、前記給水本管1に回動可能に取り付けられる。
具体的には、受水容器7は、合成樹脂製、好ましくは、半透明あるいは透明な合成樹脂製であって、一側方に張り出す張出し部7d、7dを有する底壁7bと、その底壁7bの周縁部から上方に延設される周壁7cとからなっており、上方に全面的に開口する、詳しくは、前記底壁7bと同一の形状で上方に開口する開口部7aを有している。そして、この開口部7aは、その受水容器7の、前記給水本管1を軸とした少なくとも90度の範囲(図示実施の形態においては、180度の範囲)のいずれの回動位置においても、集水器9の後述する排出部14から排出される漏水を受けるように開口している。具体的には、開口部7aは、前記受水容器7が、前記給水本管1を軸として、受水容器7の長手方向と集水器9の長手方向とが一致した状態(図2において、実線で示す。)から、時計回り方向および反時計回り方向に90度回動されたときにも、前記排出部14から排出される漏水を受けられるようになっている(図2において、受水容器7が、時計回り方向に90度回動された状態を一点鎖線で示し、反時計回り方向に90度回動された状態を二点鎖線で示す。)。また、受水容器7には、その受水容器7によって受けた漏水を外部に排出するための排水ホースが取り付けられる、ホース接続部12が設けられる。このホース接続部12は、受水容器7の底壁7bに貫通形成された排水孔7hに連通する連通路12aと、その連通路12aの先端側を閉塞する閉塞部12bとを備える。図示実施の形態においては、閉塞部12bは、排水孔7hの周縁部から下方に延びるように延設される、円筒形状の筒壁12cの先端に形成されている。ここで、前記連通路12aは、前記筒壁12cの内部空間によって形成されている。また、筒壁12cの先端近辺部分の外周には、筒壁12cの厚さ方向に窪む溝部12dが設けられるとともに、その溝部12dよりも上方に位置する部分には、上方ほど径大となるように外方に突出する、突起部12eが形成されている。
第一の取付部10は、受水容器7の周壁7c(詳しくは、周壁7cのうち前記張出し部7d、7d間に立設位置する側壁部7e)に設けられるとともに、前記開口部7aの開口方向と平行する方向(上下方向)に貫通する第一の挿通孔10aと、その第一の挿通孔10aと前記第一の取付部10の外部とを連通する第一の連通部10bとを有する。詳しくは、第一の取付部10は、例えば、合成樹脂製からなり可撓性を備えるものであって、給水本管1の外径よりも小さい内径を有する短円筒形状の一側部(側壁部7eとは反対側の側部)が軸方向全長に渡って切り欠かれることにより、横断面略C字形状に形成された第一の本体部10cと、この本体部10cの両端部から一側方に延設される第一の延設片10d、10dとを備えている。これら第一の延設片10d、10dは、先端側ほど互いに離れるように開いている。ここで、第一の本体部10cの内側が第一の挿通孔10aとなるとともに、第一の本体部10cの両端部に挟まれた部分が第一の連通部10bとなっている。また、第一の連通部10bによって形成される、前記第一の本体部10cの開口部Q1は、第一の挿通孔10aの径よりも寸法が小さくなるように幅狭に形成されている。図示実施の形態においては、二つの第一の取付部10、10が、受水容器7の周壁7c、詳しくは、側壁部7eに上下方向に並んで設けられている。そして、圧入によって、前記給水本管1が、前記開口部Q1を押し広げるようにして前記第一の連通部10bを通って、第一の挿通孔10aに嵌め込まれることにより、第一の取付部10が、給水本管1を弾性的に挟持し、受水容器7は、前記給水本管1に回動可能に取り付けられるようになっている。
第二の取付部11は、前記開口部7aの周縁部(詳しくは、周壁7cの上端、さらに詳しくは、第一の取付部10が設けられた側壁部7dと対面する周壁7cの上端)から立ち上がるように延設される立設部7fの先端に設けられるとともに、前記開口部7aの開口方向と交差する方向(図示実施の形態においては、開口部7aの開口方向と直交する方向である水平方向、すなわち、横方向)に貫通する第二の挿通孔11aと、その第二の挿通孔11aと前記第二の取付部11の外部とを連通する第二の連通部11bとを有している。詳しくは、第二の取付部11は、第一の取付部10と同様に、合成樹脂製からなり可撓性を有するものであって、給水本管1の外径より小さい内径を有する横向き短円筒形状の上部が軸方向全長に渡って切り欠かれることにより、縦断面略C字形状に形成された第二の本体部11cと、この第二の本体部11cの両端部から上方に延設される第二の延設片11d、11dとを備えている。これら第二の延設片11d、11dは、先端側ほど互いに離れるように開いている。ここで、第二の本体部11cの内側が前記第二の挿通孔11aとなる(この第二の挿通孔11aの径は、前記第一の挿通孔10aの径と同一となっている。)とともに、第二の本体部11cの両端部に挟まれた部分が第二の連通部11bとなっている。また、第二の連通部11bによって形成される、前記第二の本体部11cの開口部Q2は、第二の挿通孔11aの径よりも寸法が小さくなるように幅狭に形成されている。そして、圧入によって、前記給水本管1と交差する方向(図示実施の形態においては、上下方向と直交する横方向)に延びる配管としての、後述する給水本管25が、前記開口部Q2を押し広げるようにして前記第二の連通部11bを通って、第二の挿通孔11aに嵌め込まれることにより、第二の取付部11が、前記給水本管25を弾性的に挟持し、受水容器7は、前記給水本管25に回動可能に取り付けられるようになっている。
集水器9は、上方に開口する集水容器部13と、その集水容器部13に集められた、前記接続部J(J1〜J5)からの漏水を、前記受水容器7に排出するための排出部14とを有する。集水容器部13は、その開口方向と平行する方向に貫通する、前記給水本管1が挿通される取付孔13aと、集水容器部13の外部から前記取付孔13aに通ずる切り込み13bを有している。ここで、前記切り込み13bは、前記給水本管1の径よりも大きく開くことができるように開閉可能となっており、給水本管1が切り込み13bを介して、取付孔13aに嵌め込まれることにより、前記集水器9は、給水本管1にその全周を囲むようにして着脱可能に取り付けられる。詳しくは、集水器9は、例えば、発泡性の合成ゴム等の柔軟性を備えた合成樹脂素材によって、前記受水容器7とは別体に形成される。そして、前記集水容器部13は、平面視略矩形形状(図示実施の形態においては、長方形形状)の底板部13cと、その底板部13cの周縁部から上方に立ち上がるように立設される、外周壁部13dと、前記底板部13cの中央近辺から前記外周壁部13dよりも高く上方に立ち上がるように突設される、円筒状の突設部13e(図示実施の形態においては、突設部13eは、下部突設部13fと、その下部突設部13fよりも径小な上部突設部13gとからなる。)とを有し、上方に開口している。そして、この突設部13eの内側には、集水器9の開口方向と平行する方向、すなわち、上下方向に貫通する、取付孔13aが形成されている。図示実施の形態においては、取付孔13aは、径の異なる複数の取付孔からなる。詳細には、取付孔13aは、前記給水本管1の外径と同一もしくは若干小さな径を有する、第一取付孔13iと、その第一取付孔13iより径大で、かつ、後述する給水本管20の外径と同一もしくは若干小さな径を有する、前記第一取付孔13iの下端部とつながる第二取付孔13hとからなっている。また、切り込み13bは、集水容器部13の外部から前記取付孔13aに通ずるように、外周壁部13d、底板部13c、および、突設部13eの一側部を横断するように設けられている。また、排出部14は、前記集水容器部13内と連通する排出路14aを備えて、前記底板部13cから下方に向かって突設されている。
次に、以上の構成からなる漏水受け具6の作用効果について説明する。まず、漏水受け具6の受水容器7を給水本管1に取り付け、漏水受け具6の集水器9を前記受水容器7の上に載せ置くようにして給水本管1に取り付ける。詳しくは、漏水受け具6の集水器9は、給水本管1に、その給水本管1とアダプター5aとの接続部J1のすぐ下方で、取り付けられる。このとき、集水器9の集水容器部13に設けられた切り込み13bは、給水本管1の径より大となるように拡開することができ、給水本管1は、切り込み13bを通過して、前記取付孔13a内、詳しくは、第一取付孔13i内に嵌め込まれる。そして、切り込み13bが、閉じた状態に復帰することで、集水容器部13は、給水本管1にその全周を囲むように取り付けられる。したがって、給水本管1を、止水栓3との接続部J1から取り外すことなく、集水器9を取り付けることができるので、集水器9の取付作業は、簡単である。ところで、集水器9は、上方に開口し、かつ、取付孔13aが上下方向に貫通形成されていることから、上下方向に延びる給水本管1に取り付けられると、集水器9は、上方に開口するので、上方の接続部J(J1〜J5)からの漏水を集めることができる。さらに、集水器9は、給水本管1と同一もしくは若干小さな径の第一取付孔13iによって、給水本管1の全周を囲うように取り付けられることから、接続部J(J1〜J5)で発生して、給水本管1をつたい流れる漏水をも集めることができるので、接続部J(J1〜J5)からの漏水を確実に集めることができる。こうして集められた漏水は、排出部14を介して下方に排出される。
一方、漏水受け具6の受水容器7は、給水本管1に、前記集水器9よりも下方の位置で、かつ、開口部7aが排出部14の下方に位置するように、取り付けられる。図示実施の形態においては、取付手段8として、第一の取付部10を選択し、この第一の取付部10を給水本管1に押し当てるようにすると、第一の取付部10の第一の延設部10d、10dが、給水本管1によって、相対的に押圧される。これにより、第一の連通部10bすなわち開口部Q1の間隔が拡開されるので、給水本管1は、第一の連通部10bを通過して、第一の挿通孔10a内に嵌まり込むことができる。このように、給水本管1が第一の連通部10bを介して、第一の挿通孔10aに圧入によって嵌め込まれることにより、受水容器7は、給水本管1に、その軸回り方向に回動可能で、かつ、着脱可能に取り付けられる。したがって、給水本管1を、アダプター5aとの接続部J1から取り外すことなく、受水容器7を取り付けることができるので、受水容器10の取付作業は、簡単である。ところで、受水容器7は、上方に開口し、かつ、第一の挿通孔10aが上下方向に貫通形成されていることから、上下方向に延びる給水本管1に取り付けられると、受水容器7は、上方に開口することとなり、開口部7aを排出部14の下方に位置させることで、集水器9で集められて、排出部14から排出される漏水を受けることができる。ここで、受水容器7は、給水本管1にその軸回り方向に回動可能に取り付けられるので、開口部7aを排出部14の下方に位置させるには、受水容器7を給水配管1に取り付けた後に、回動してもよいので、取付作業が簡単である。また、受水容器7は、半透明あるいは透明な合成樹脂製であるので、受水容器7が受けた漏水を容易に視認することができるので、漏水の発生を容易に確認できる。
図示実施の形態に示す漏水受け具6は、前記給水本管1と異なった径を有する配管にも取り付けることができ、その使用例を図6に示す。
図6において、20は、給水もしくは排水設備の配管としての、例えば、金属製からなる給水本管であり、前記給水本管1よりも大きな外径となっている。この給水本管20は、給水源につながっており、床面2から上方に立ち上がるように、すなわち、上下方向に延びるように配設されている。そして、この給水本管20の一端は、止水栓3に接続されている。
この給水本管20に、受水容器7を、給水もしくは排水設備の接続部J(止水栓3と継手5bとの接続部J3、継手5bと給水ホース4との接続部J4、止水栓3の本体部3aとハンドル部3bとの接続部J5、および、給水本管20と止水栓3との接続部J6)の下方に位置するよう取り付けるには、取付手段8として、第一の取付部10を選択する。ここで、第一の取付部10は、可撓性を備えているので、前記第一の取付部10を給水本管20に押し当てるようにすると、第一の取付部10の第一の延設部10d、10dが、給水本管20によって、相対的に押圧されて、第一の連通部10bすなわち開口部Q1の間隔が給水本管20の外径以上に拡開されことから、給水本管20は、第一の連通部10bを通過して、第一の挿通孔10a内に嵌まり込むことができる。このように、給水本管20が第一の連通部10bを介して、第一の挿通孔10aに圧入によって嵌め込まれることにより、受水容器7は、給水本管20に、その軸回り方向に回動可能で、かつ、着脱可能に取り付けられる。
また、集水器9を前記給水本管20に取り付けるには、まず、集水容器部13の突設部13eに形成された第一取付孔13iおよび第二取付孔13hのうち、第二取付孔13hのみを残すようにして、突設部13eの上端部分(詳しくは、上部突設部13gと、下部突設部13fとの境界部分)を切断等によって取り除く。そして、突設部13eの上端部分が取り除かれた前記集水容器部13を、前記給水本管20に取り付ける。このとき、集水容器部13に設けられた切り込み13bは、給水本管20の径より大となるように拡開することができ、給水本管20は、切り込み13bを通過して、前記取付孔13a内、詳しくは、第二取付孔13h内に嵌め込まれる。そして、切り込み13bが、閉じた状態に復帰することで、集水容器部13は、給水本管20にその全周を囲むように取り付けられる。このように、集水容器部13の取付孔13aは、径の異なる二つの取付孔(第一取付孔13iおよび第一取付孔13h)とからなるので、外径の異なる二つの配管(給水本管1および給水本管20)のいずれにも取り付けることができる。
したがって、受水容器7および集水器9は、合成樹脂製の給水本管1だけでなく金属製の給水本管20にも取り付けることができる。また、その取り付けに際して、給水本管20を、止水栓3との接続部J6から取り外す必要がないので、漏水受け具6(受水容器7および集水器9)の取付作業は、簡単である。
図示実施の形態に示す漏水受け具6の受水容器7は、上下方向に延びる給水本管1、20に取り付けられるだけではなく、上下方向と交差する方向に延びる配管にも取り付けることができ、その使用例を図7に示す。
図7において、25は、給水もしくは排水設備の配管としての、例えば、金属製からなる給水本管であり、前記給水本管20と同一の外径となっている。この給水本管25は、給水源につながっており、壁面26から前方に突き出るように、すなわち、上下方向と交差する方向である横方向(水平方向)に延びるように配設されている。また、27は、止水栓、詳しくは、水の進路方向を直角に変更するアングル形の止水栓であり、前記給水本管25に接続されている。
受水容器7を、前記給水本管25に、開口部7aが給水もしくは排水設備の接続部J(給水本管25と止水栓27との接続部J6、止水栓27と継手5bとの接続部J3、継手5bと給水ホース4との接続部J4、および、止水栓27の本体部27aとハンドル部27bとの接続部J5を意味している。)の下方に位置するように取り付けるには、取付手段8として、第二の取付部11を選択し、この第二の取付部11を給水本管25に押し当てるようにすると、第二の取付部11の第二の延設部11d、11dが、給水本管25によって、相対的に押圧される。これにより、第二の連通部11bすなわち開口部Q2の間隔が拡開されるので、給水本管25は、第二の連通部11bを通過して、第二の挿通孔11a内に嵌まり込むことができる。このように、給水本管25が第二の連通部11bを介して、第二の挿通孔11aに圧入によって嵌め込まれることにより、受水容器7は、給水本管25に、その軸回り方向に回動可能で、かつ、着脱可能に取り付けられる。したがって、給水本管25を、止水栓27との接続部J6から取り外すことなく、受水容器7を取り付けることができるので、受水容器7の取付作業は、簡単である。ところで、第二の挿通孔11aが、開口部7aの開口方向と交差する方向である横方向(水平方向)に貫通形成されており、かつ、第二の取付部11が開口部7よりも上方にあることから、受水容器7は、横方向(水平方向)に延びる給水本管25に取り付けられると、開口部7aは、接続部J(J3〜J6)の下方に位置することとなり、接続部J(J3〜J6)からの漏水を受けることができる。ここで、受水容器7は、給水本管25にその軸回り方向に回動可能に取り付けられるので、開口部7aが接続部J(J3〜J6)の下方となるように受水容器7を給水本管25に取り付けるには、受水容器7の第二の取付部11を給水本管25の下方から上方に向かって圧入するばかりでなく、例えば、給水本管25の側方から圧入するようにして取り付け、その後、開口部7aが接続部J(J3〜J6)の下方になるように、受水容器7を前記軸回り方向に回動してもよい。また、第二の取付部11が立設部7fの先端に設けられることから、接続部J(J3〜J6)で発生して、給水本管25をつたって流れる漏水は、第二の取付部11と、立設部7fをつたって流れ、開口部7aから受水容器7内に流れ込む。したがって、受水容器7は、接続部J(J3〜J6)から漏れ落ちる漏水だけでなく、給水本管25をつたって流れる漏水をも受け止めることができる。なお、第二の挿通孔11aの径は、前述のとおり、第一の挿通孔10aの径と同一であるので、給水本管25よりも径小な配管、すなわち、給水本管1と同一の径を有する配管にも取り付けることができることは言うまでもない。
また、漏水受け具6は、受水容器7は、ホース接続部12を有しているので、そのホース接続部12に排水ホース15を取り付けて使用することも可能である。図8および9に、その使用例を示す。
図8および9は、給水設備の大部分が隠蔽されているような、キャビネットCにおいて、その給水設備の接続部に、漏水受け具6を使用する例を示している。図中符号30は、キャビネットC内に配設された給水設備を外部から見えなくするように覆い隠す、隠蔽壁である。この隠蔽壁30には、前記給水設備の接続部Jの前方に位置する部分に、給水設備の点検をするための点検口31が設けられている。この点検口31には、取り外し可能な閉塞蓋32が設けられており、この閉塞蓋32を取り外すことで、点検口31から、給水設備を確認できる。
まず、受水容器7のホース接続部12の閉塞部12bを取り除き(図示実施の形態においては、円筒形状の筒壁12cの下端部分、好ましくは、溝部12dを切断するか、あるいは、閉塞部12bに下方から貫通孔を開ける)、排水ホース15を嵌め込むようにして、排水ホース15を接続する。ここで、ホース接続部12には、突起部12eが設けられており、この突起部12eが排水ホース15に食いつくので、排水ホース15は、確実に接続される。
次に、漏水受け具6を、給水本管1に取り付ける。このとき、給水設備の前方は、閉塞蓋32によって、前方が塞がれているので、その閉塞蓋32を取り外す。そして、漏水受け具6の集水器9を、接続部J(給水本管1とアダプター5aとの接続部J1、アダプター5aと止水栓3との接続部J2、止水栓3と継手5bとの接続部J3、継手5bと給水ホース4との接続部J4、および、止水栓3の本体部3aとハンドル部3bとの接続部J5)の下方に位置するように取り付ける。さらに、排水ホース15が接続された受水容器7を、第一の取付部10によって、給水本管1に取り付ける。このとき、受水容器7は、その長手方向と集水器9の長手方向とが一致する状態(図9において、一点鎖線で示す。)から、給水本管1を軸として、反時計回り方向に90度回動されている。詳しくは、受水容器7は、底壁7bの張出し部7dの上方に位置する開口部7aが、集水器9の排出部14の下方に位置するように、回動されている(図9において、実線で示す。)。これは、給水本管1と閉塞蓋32との離間距離が、受水容器7の長手方向の寸法よりも短いために、受水容器7を、その長手方向と集水器9の長手方向とが一致する状態で取り付ける(図9において、一点鎖線で示す。)ことができないためである。もちろん、受水容器7を、その長手方向と集水器9の長手方向とが一致する状態(図9において、一点鎖線で示す。)から、給水本管1を軸として、時計回り方向に90度回動させることもできる。このように、前記受水容器7の開口部7aは、前記受水容器7の、前記給水本管1を軸とした180度の範囲のいずれの回動位置においても、前記排出部14と対面して、前記排出部14から排出される漏水を受けるように開口形成されているので、受水容器7の回りに障害物があるような場合であっても、その障害物を避けるようにして取り付けることができる。
最後に、例えば閉塞蓋32に排水ホース15が通る程度の取出孔33を穿設し、その取出孔33に排水ホース15の先端を通すようにして、閉塞蓋32を取り付ける。そして、排水ホース15の先端を、人目の付き易いところに配置したコップ等の容器16に入れる。
これによれば、集水器9で集めた漏水は、排出部14を介して受水容器7に排出され、そして、受水容器7の排水孔7h、連通路12aおよび排水ホース15を介して、容器16内に排出される。このように、外部から容易に視認できない場所に配設された給水設備の接続部J(J1〜J5)で発生した漏水であっても、排水ホース15を介して外部に排出させることで、容易に確認することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。漏水受け具6は、洗面台あるいは流し台等のキャビネットの内部に配設される給水設備の接続部において限定的に使用されるものではない。また、漏水受け具6は、給水設備の接続部における漏水を受け止めるために使用されるだけでなく、排水設備の接続部における漏水を受け止めるために使用されてもよい。また、給水設備の配管は、給水本管1、20、25に限定されるわけではなく、給湯本管であってもよく、そして、漏水受け具6は、この給湯本管に取り付けられるものであってもよい。
また、漏水受け具6を、床面2から立ち上がるように、すなわち、上下方向に延びるように配設された配管に取り付けるに際しては、必ずしも、集水器9を取り付ける必要はない。したがって、この場合においては、漏水受け具6は、集水器9を備えないものとなる。
また、漏水受け具6は、図10に示すように、給水もしくは排水設備の配管(給水本管1)が傾斜した状態で上下方向に延びている場合にも取り付けて使用することができる。また、その傾斜方向は、図10に示すような前方への傾きに限らず、様々な方向への傾きであっても構わない。同様に、上下方向と交差する方向に延びる配管についても、必ずしも水平方向に延びるように配設された配管に限られず、傾斜した状態で横方向に延びるように配設された配管に対しても、この漏水受け具6を取り付けて使用することができる。
また、漏水受け具6を上下方向に対して交差する方向である横方向(水平方向)に延びる配管(給水本管25)に取り付けるに際して、図11に示すように、集水器9を給水本管25にその全周を囲うように取り付けてもよい。このとき、集水器9は、第二の取付部11よりも止水栓27寄りの位置に取り付けられるのが好ましい。これによれば、給水設備の接続部J(J3〜J6)で発生して、給水本管25をつたい流れる漏水は、集水器9によって、受け止められ、その受け止められた前記漏水は、開口部7aから受水容器7内に流れ落ちる。したがって、受水容器7は、接続部J(J3〜J6)から漏れ落ちる漏水だけでなく、給水本管25をつたって流れる漏水をも受け止めることができ、確実に漏水を受け止めることができる。さらには、給水本管25が完全に水平でない場合、すなわち、壁面26側ほど低くなるように傾斜する場合であっても、漏水を確実に受け止めることができる。
また、漏水受け具6の取付手段8は、第一の取付部10および第二の取付部11以外に、第三の取付部あるいはその他の取付部等の、いずれかが任意に選択される複数の取付部を備えても構わない。
また、第一の取付部10および第二の取付部11は、例えば、給水本管1、20、25を挟持することができるような湾曲挟持部を備えた、クリップ類等の取付手段から構成されてもよく、図示実施の形態に示す形状および構造のものに限定されるわけではない。また、第一の取付部10は、必ずしも、二つ設けられる必要はなく、一つだけ設けられてもよいし、あるいは、三つ以上の複数個設けられてもよい。同様に、第二の取付部11は、必ずしも一つだけに限られるものでなく、二つ以上の複数個設けられてもよい。
また、排水ホース15は、図示実施の形態のように、ホース接続部14に着脱可能に接続されるものである必要はなく、受水容器7に固着されていてもよい。なお、受水容器7にホース接続部14が設けられているのは、漏水受け具6を使用する場所に応じて、受水容器7に排水ホース15を取り付けて使用したり、あるいは、排水ホース15を取り付けずに使用したりできるようにするために設けられるものであり、排水ホース15を取り付ける必要がないのであれば、ホース接続部14は、設けられなくてもよい。
また、受水容器7の開口部7aは、前記受水容器7の、配管(給水本管1、20)を軸とした少なくとも90度の範囲のいずれの回動位置においても、排出部14から排出される漏水を受けるように開口形成されていればよく、図示実施の形態のように、180度の範囲のいずれの回動位置においても、排出部14から排出される漏水を受けるように開口形成されている必要はない。
また、集水器9の集水容器部13の取付孔13aは、図示実施の形態においては、径の異なる二つの取付孔(第一取付孔13iおよび第二取付孔13h)からなっているが、これは、集水容器部13を二つの異なる径の配管のいずれにも取り付けることができるようにするためであって、異なる径の配管に取り付ける必要がないのであれば、複数の取付孔からなる必要はない。また、取付孔13aは、三つ以上の複数の取付孔からなってもよい。さらに、集水器9の集水容器部13の取付孔13aは、必ずしも円筒状の突設部13eの内側に形成されるものに限定されるわけでなく、例えば、底板部13cに貫通形成される孔からなるものであっても構わない。
また、集水器9の集水容器部13は、図12ないし図15に示すように、容器部本体16と、その容器部本体16が取り付けられる取付体17とからなってもよい。ここで、前記容器部本体16は、給水もしくは排水設備の配管としての給水本管1(20)が側方から進入する窪みを備えた凹部16dと、係合部16aとを有する。また、前記取付体17は、前記凹部16dを塞ぐ覆い部17eと、前記係合部16aが係合する被係合部17cとを備える。そして、前記覆い部17eは、前記集水容器部13の開口方向と平行する方向に貫通する、前記給水本管1(20)が挿通される取付孔17aと、前記取付体17の外部から前記取付孔17aに通ずる切り込み17bとを有している。そして、この切り込み17bは、前記取取付体17に前記容器部本体16が取り付けられていない状態で、前記給水本管1(20)が、前記切り込み17bを通って前記取付孔17aに嵌まるよう開閉可能となっている。
詳しくは、容器部本体16は、例えば、合成樹脂製であって、底板部16bと、その底板部16bの周縁部にて上方に立ち上がるように立設される外周壁部16cと、外周壁部16cの一側部Mから内側に向かって延びる、長孔状の凹部16dと、凹部16dの周縁部にて、上方に立ち上がるように立設される内周壁部16eとを有している。ここで、前記凹部16dの幅寸法Lは、前記給水本管1(20)の外径寸法よりも大となっており(図示実施の形態においては、取付体17の後述する筒部17dの外径と同一寸法あるいはほぼ同一寸法となっている。)、また、前記内周壁部16eの高さは、前記外周壁部16cよりも低く形成されている。ここで、内周壁部16eの一部、詳しくは、凹部16dの奥側に位置する部分(図示実施の形態においては、内周壁部16eのうち、円弧状に形成されている部分)が、凸状の前記係合部16aとなっている。
一方、取付体17は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)とかのゴム素材等の柔軟性を備えた素材によって、前記容器部本体16とは別体に形成される。この取付体17は、前記容器部本体16の前記凹部16d内に収まるほどの外径および高さを備えた円筒状の筒部17dと、その筒部17dの中間外周部の一側方を円弧状に囲むとともに、他側方に向かって長く延びるように延出形成された覆い部17eとを有する。そして、筒部17dの内側には、集水器9の開口方向と平行する方向、すなわち、上下方向に貫通する取付孔17aが形成されている。図示実施の形態においては、取付孔17aは、径の異なる複数の取付孔からなる。詳細には、取付孔17aは、前記給水本管1の外径と同一もしくは若干小さな径を有する、第一取付孔17iと、その第一取付孔17iより径大で、かつ、前記給水本管20の外径と同一もしくは若干小さな径を有する、前記第一取付孔17iの上端部とつながる第二取付孔17hとからなっている。また、切り込み17bは、前記取付体17の外部から前記取付孔17aに通ずるように、前記筒部17dおよび前記覆い部17eの一側部を横断するように設けられている。また、前記覆い部17eは、前記容器部本体16が取付体17に取付けられたときに、前記凹部16dを全面的に塞ぐことができるように、前記凹部16dよりも一回り大きく形成されている。そして、覆い部17eの他側部には、上方に立ち上がるように突設される立壁部17fが形成される。この立壁部17fの上端部は、前記容器部本体16が取付体17に取り付けられたときに、容器部本体16の外周壁部16cの上端部と高さがほぼ一致する(一致する場合も含む)ようになっている。また、覆い部17eの裏面には、凸状の前記係合部16aが嵌まり込む凹状の被係合部17cが形成されている。ここで、被係合部17cは、覆い部17eの、前記他側部を除く周縁部から下方に向かって突設される、突出部17gの円弧状突出部分と前記筒部17dの間に形成される、溝部17mからなっている。なお、排出部14は、前記集水容器部13内と連通する排出路14aを備えて、前記容器部本体16の底板部16aから下方に向かって突設されている。
この集水器9を、給水本管1に取り付けるには、まず取付体17を前記給水本管1に取り付ける。このとき、切り込み17bは、給水本管1の径よりも大となるように拡開することができ、給水本管1は、切り込み17bを通過して、前記取付孔17a内、詳しくは、第一取付孔17i内に嵌め込まれる。そして、切り込み17bが、閉じた状態に復帰することで、取付体17は、給水本管1にその全周を囲むように取り付けられる。したがって、給水本管1を接続部J(詳しくは、アダプター5aとの接続部J1)から取り外すことなく、取付体17を取り付けることができるので、取付体17の取付作業は、簡単である。次に、容器部本体16を前記取付体17に取り付ける。詳しくは、給水本管1を凹部16dの奥側へと進入させるようにして、容器部本体16を取付体17の下方に位置させる。その後、容器部本体16を上方に移動させて(あるいは、前記取付体17を下方に移動させて)、容器部本体16に設けられた前記係合部16a(詳しくは、内周壁部16eの一部)の先端部を、前記取付体17の底面に設けられた被係合部17c(詳しくは、溝部17m)に嵌め込むようにする。これにより、係合部16aが被係合部17cに係合して、容器部本体16は、取付体17に取り付けられる。このように、容器部本体16が取付体17に取り付けられることにより、集水器9は、上方が開口した容器状を呈して、前記給水本管1にその全周を囲むようにして着脱可能に取り付けられる。
かくして、取付体17を給水本管1に取り付け、その取付体17に容器部本体16を取り付けることにより、集水器9は、給水本管1にその全周を囲うように取り付けられるので、接続部J(J1〜J5)から漏れ落ちる漏水だけでなく、前記接続部J(J1〜J5)で発生して、給水本管1をつたい流れる漏水をも集めることができる。こうして集められた漏水は、排出部14を介して受水容器7に排出される。なお、取付体17を給水本管1に取り付けるとき、および、容器部本体16を取付体17に取り付けるときのいずれのときにも、給水本管1を前記接続部Jから取り外す必要がないので、集水器9の取付作業は容易である。また、取付孔17aは、径の異なる二つの取付孔(第一取付孔17iおよび第二取付孔17h)からなるので、径の異なる二つの配管(給水本管1および給水本管20)のいずれにも取り付けることができる。詳しくは、取付部17の筒部17dに形成された第一取付孔17iおよび第二取付孔17hのうち、第二取付孔17hのみを残すようにして、筒部17dの下端部分を切断等によって取り除くことにより、給水本管1より径大な給水本管20に取り付けることができる。
なお、係合部16aおよび被係合部17cの形態は、図示実施の形態に示すものに限定されない。例えば、凸状の係合部16aが取付体17に設けられ、その凸状の係合部16aが嵌まり込む凹状の被係合部17cが容器部本体16に設けられてもよいし、さらに、係合部16aは、凹部16dの周縁部にピン状に突出形成される突出ピンからなり、一方の被係合部17cは、覆い部17eの前記突出ピンと対応する位置に、前記突出ピンが嵌入されるように貫通形成される貫通孔からなってもよい。
また、取付体17の取付孔17aは、取付体17を異なる径の配管に取り付ける必要がないのであれば、複数の取付孔からなる必要はない。また、取付孔17aは、三つ以上の複数の取付孔からなってもよい。
また、第二の取付部11は、必ずしも、周壁7cの上端から立ち上がるように延設される立設部7fの先端に設けられる必要はない。例えば、第二の取付部11は、受水容器7の底壁7bから上方に立ち上がって、前記受水容器7の開口部7aより上方に突出するように延設される立設部7fの先端に設けられてもよい(図12および図13において、二点鎖線で示す。)。これによると、受水容器7を、例えば、図7に示したような、水平方向に延びる配管(給水本管25)に取り付けて使用すると、接続部J(J3〜J6)で発生して、給水本管25をつたって流れる漏水は、第二の取付部11と、立設部7fをつたって流れ、開口部7aから受水容器7内に流れ込わけであるが、立設部7fが受水容器7の底壁7bから立ち上がっているので、漏水が立設部7fの裏面や側面をつたい流れるときにも、その漏水を確実に受水容器7に流れ込ませることができる。したがって、受水容器7は、接続部J(J3〜J6)から漏れ落ちる漏水だけでなく、給水本管25をつたって流れる漏水をも受け止めることができ、確実に漏水を受け止めることができる。さらには、給水本管25が完全に水平でない場合、すなわち、壁面26側ほど低くなるように傾斜する場合であっても、漏水を確実に受け止めることができる。