JP4361582B2 - ガスタービンの性能診断方法及び性能診断システム - Google Patents

ガスタービンの性能診断方法及び性能診断システム Download PDF

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Description

本発明はガスタービンの性能の診断方法及び診断システムに関する。
ガスタービンの性能は、燃料流量などの操作条件だけでなく、吸気温度などの大気条件によっても大きく変化するため、単純にそのまま絶対値では評価できない。そこで対応策として、実機の運転条件を性能計算プログラムに入力し、計算された性能の計算値すなわち、あるべき予測値に対して、実測値を比較して評価するのが一般的である。
実際には、ガスタービンの性能計算プログラムの計算値が実測値と完全に一致することはないため、このずれをなくすように、計算の仕方に何らかの補正が加えられる。これは一般にチューニング、モデル調整などと呼ばれる。その方法として、例えば特許文献1では、性能モデルの計算値が実測値と一致するようにモデルの公称値を調整し、この調整結果に基づいてモデル計算値と計測値を比較し、欠陥の有無を診断する方法を提唱している。
特開2001−174366号公報
しかし、特許文献1をはじめとする従来の調整方法は、以下に述べるように複雑になりがちで、多量の分析が必要なため、多大な時間と労力を要するという課題があった。例えば、或る計測項目について、実測値と計算値が一致するように、設備の或る項目の公称値を調整するとする。この場合、目的の計測項目は計算値と実測値が一致するようになるが、ガスタービン内部の現象の因果関係によって、他の計測項目の計算値も変化し、実測値と一致しなくなることがある。このような副作用を避けるためには、さらに別の項目の公称値を調整する必要がある。しかし、これによってまた別の計測項目の計算値が変化し、実測値と一致しなくなるおそれがある。このような公称値の調整の連鎖をどのように扱うか、影響の低い項目を切り捨てて収束させるにはどのような基準で扱えばよいかは明確になっていない。
従って、これに対応するには、実際の現象の複雑な因果関係とその影響範囲を精査し、どの計測値のずれに対して公称値のどの項目を調整するか、そのときの他の計測値への影響はどの程度か、これら全体の複雑な相互関係を適切に把握し、適切な調整手順を定めることが必要になる。これには、複雑で多量の事前分析と、時間と労力が必要になる。
本発明の目的は、複雑な手順によらず、数少ない因子の調整によって、ガスタービンの性能診断を高精度化できるようにしたガスタービンの性能診断方法と性能診断システムを提供することにある。
本発明は、実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の入力を受けて、ガスタービンの発電出力と排気温度を計算して出力する性能計算回路と、該性能計算回路から出力された発電出力と排気温度の実機計測値からの偏差に基づいて性能を評価する評価回路を備えたガスタービン性能診断システムであって、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、燃料流量の値の補正値を計算し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路への入力として設定する補正回路を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、ガスタービンの性能計算回路に実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力して発電出力と排気温度を計算し、該計算で得られた発電出力と排気温度が実機での計測値に対して有する偏差に基づいて性能を評価するガスタービンの性能診断方法であって、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、燃料流量の値を補正し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路に入力することを特徴とする。
本発明の診断システムには、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値についての一定期間の時系列データまたは運転条件を複数に変えたデータ(これらを以下、複数データセットと呼ぶ)を入力して計算出力された発電出力と排気温度が実機計測値に対して有する偏差が、予め定められた許容基準内になるように、前記補正回路の関数関係を設定する演算回路(以下、補正関数設定回路と呼ぶ)を設けることができる。
また補正回路では、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、燃料流量の値を補正する計算を実行し、実機で計測された燃料流量の値を、補正された燃料流量の値で差替えて性能計算回路へ入力する。
本発明により、複雑な手順によらず、数少ない因子の調整によって、ガスタービンの性能診断を高精度化することができた。本発明では、実機の計測値と性能計算値とのずれに関わる諸要因に対して、数多くの情報を使った複雑な手順によらず、3項目の入力情報を用いて1つの入力情報を補正するだけで、誤差に関係する諸要因を包括的に網羅して効率的にシンプルに調整できる。また、この補正のために必要な情報も5項目の計測値情報で済む。
我々は、ガスタービンの性能計算において、計算値と実測値のずれを引き起こす要因を分析し、有力な要因の1つとして実測値の熱収支の不均衡に着目した。そして、この不均衡に影響する因子を分析し、影響が大きい重要因子を摘出した。これに基づき、この熱収支の不均衡によって生じる誤差を解消するモデル調整手段を構築し、本発明を見出した。以下、本発明の内容を詳細に説明する。
(従来方式の分析とモデル立案)
本発明と対比するため、はじめに、従来行ってきたガスタービン性能診断システムについて説明する。
図6は、従前の典型的なガスタービン診断システムの構成図である。以下、これを従来方式と呼ぶ。ここでは後述のように課題を分析するため、モデル調整しない場合を示している。この診断システム60は、実機計測値情報1(以下、実測値と略するときがある)のうち性能計算入力用の情報2を性能計算回路7に入力する入力手段5と、入力された前記情報2に基づいてガスタービンの性能の予測値を計算する性能計算回路7と、該計算の結果出力された計算結果情報8と前記実機計測値情報1のうち評価用の情報3との偏差に基づいて、実測された性能の状態を評価する評価回路9と、該評価回路9から出力された評価結果情報を格納する格納手段10と、該格納手段10に記憶された評価結果情報または前記評価回路9から出力された前記評価結果情報を診断情報13として外部出力する出力手段11からなる。
この従来方式の診断システム60の動作原理は以下のようなものである。
入力となる実機計測値情報1は、ガスタービンの実機の運転条件や運転状態の計測値であり、運転条件には、ガスタービン本体の燃料流量などの操作条件の他に、ガスタービン性能に影響する大気温度・圧力・湿度などの環境条件が含まれる。これら環境条件の計測値は実機が設置された現地の計測値でなく、最寄の気象台のデータなど、実機データに代用できる別のデータのこともある。
実機計測値情報1は入力用の情報2と評価用の情報3の2通りの用いられ方がある。入力用の情報2の代表的なものとしては、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量があり、これらは性能計算回路7に入力する運転条件の情報として用いられる。評価用の情報3の代表的なものとしては、発電出力と排気温度があり、これらは性能計算回路7で計算された発電出力と排気温度と比較して実機の状態を評価するのに用いられる。
入力手段5は、このような実機計測値情報1のうち入力用の情報2を、実機から、あるいは実機に接続したデータサーバから、有線または無線の通信回線を通じて電子データとして受け取り、性能計算回路7に入力する。具体的には、入力用の情報2を通信回路から情報受信装置によって受信し、受信した情報を情報変換手段によって性能計算回路7への入力書式に変換して入力する。実機計測値情報1からの入力用の情報2の分離は、入力手段5で受信される前を含めて、性能計算回路7に入力されるまで任意の段階で実行される。
また、入力手段5は、同じようにして、実機計測値情報1のうち評価用の情報3を、実機から、あるいは実機に接続したデータサーバから、有線または無線の通信回線を通じて電子データとして受け取り、評価回路9に入力する。具体的には、評価用の情報3を通信回路から情報受信装置によって受信し、受信した情報を情報変換手段によって性能計算回路9への入力書式に変換して入力する。実機計測値情報1からの評価用の情報3の分離は、入力手段5で受信される前を含めて、評価回路9に入力されるまでの任意の段階で実行される。
性能計算回路7は、前記入力手段5から性能計算入力用の実機計測値の情報2の入力を受け、ガスタービンの予想される性能を計算し、計算結果情報8を出力する。計算結果情報8には典型的には発電出力と排気温度が含まれる。この性能計算回路7は、熱力学的・空力的なサイクル計算、あるいはニューラルネットのような人工知能的なアルゴリズムなど、公知の計算方法をコンピュータプログラムまたは専用の計算回路として実装したものである。
なお、本発明において回路と記すものは、実装手段としては、コンピュータプログラムまたは演算チップ、専用回路など、電子的手段によって実現された公知の計算手段を指すものとする。また、これらは1つの回路単体で動作する場合だけでなく、複数の回路によって1つのプログラムや回路を構成する部品であってもよい。例えば、前記性能計算回路7と後に述べる評価回路9は、機能構成を明確に説明するためにそれぞれ別の回路名で区別しているが、別々の異なるハードウェアである必要はなく、実際には1つの診断プログラムを構成するサブモジュールとして実装されるのが一般的である。
前記性能計算回路7によって計算された計算結果情報8は、電子情報として出力され、評価回路9に入力される。
評価回路9では、計算結果情報8の発電出力と排気温度の値が、前記評価用の実機計測値の情報3との偏差に基づいて評価される。例えば、発電出力または排気温度についての、計算結果情報8と評価用実測値の情報3の値の偏差が、予め設定したしきい値を超過すれば、警告を発報するための情報が生成される。あるいは、次に述べる格納手段10に格納された過去の蓄積結果を読み込んで、その時系列変化から異常の有無の判定処理や、異常の程度の数量化処理、性能の変化量の計算などを実行することもある。本発明では、これら評価回路9の諸処理を総称して比較評価、またその結果情報を総称して比較結果情報と呼ぶことがある。
前記評価回路9での比較結果情報は格納手段10に格納される。格納される情報は典型的には実機計測値情報1と計算結果情報8である。格納手段10はハードディスクや光ディスク、メモリなど公知の情報格納手段である。一般には評価回路9が実行されるごとに、これらの比較結果情報が順次、格納手段10に蓄積される。
前記評価回路9での比較結果情報、あるいは前記格納手段10に格納された情報は、診断情報13として出力手段11によって外部出力される。該出力手段11は診断システム60から外部への情報出力手段のことであり、具体的には、モニタなどの表示画面、あるいはファイル転送プロトコルのようなファイル転送手段、データファイルを外部出力するファイル出力手段、ハードディスクなどの情報記録手段、プリンタのような電子媒体から別媒体への出力手段、などである。
このような従来方式の有効性と精度、課題を分析するために、実際にガスタービンの性能を評価した事例を図7に示す。ここで誤差率は、正の場合は実測値よりも計算値が大きいことを、負の場合は実測値よりも計算値が小さいことを示す。図7の従来事例では、発電出力と排気温度について、実測値と計算値で概ね最大2%の誤差がある。そして、図7の領域Aでは、発電出力と排気温度の両方について実測値よりも計算値の方が大きく、逆に領域Bでは、発電出力と排気温度の両方について実測値よりも計算値の方が小さい。
これはガスタービンの入出熱収支、すなわち、ガスタービン設備への入力側にあたる吸込空気と燃料の熱量和(入熱)と、出力側にあたる発電出力と排ガスと損失の熱量和(出熱)が合っていないことを示す。すなわち、実測値を基準にするならば、計算結果は領域Aでは入熱に対して出熱が過剰であり、領域Bでは出熱が不足している。しかし、本ケースの性能計算回路7の計算モデルは入出熱収支が均衡するように計算が実行されている。このことは、入出力の熱収支が均衡していないのは、性能計算回路7の計算モデルではなく、実測値の側であることを示している。これが我々の着目点である。
このような実測値の入出熱収支の偏差の原因としては種々考えられるが、その1つに排気温度がある。排気温度はガスタービンのタービン出口側で周方向に10数点が計測され、一般にはその中央値または平均値が代表値として性能評価やプラントの運転制御に用いられる。しかし、実際には、タービン出口から排ガスダクトへの温度降下や、温度計測断面での周方向と直径方向の温度分布、流れの旋回など複雑な要因があるため、前記の代表値は入出熱収支上の排気温度の真値とは一致しない。
しかし、これらの複雑な諸要因を全て考慮して排気温度の真値を推定するのは極めて困難である。そこで、これらの熱収支と誤差の問題を解決し、高精度に性能を評価できる、簡便で効率的な方策が必要である。
上述の排気温度についての複雑な現象を考慮しながらも、実用に使える簡便な解決方法を見出すため、我々は、まず熱力学的考察により熱収支の偏差に支配的に影響する重要因子を摘出し、そして、これに基づくモデル調整方法を立案した。
はじめに、熱収支の偏差に影響する重要因子の摘出については、以下のように、ガスタービンの動力サイクルにそって関連する因子を整理し、さらに単純化することにより、重要因子を絞り込んだ。
すなわち、まず計測された入出熱収支の偏差ΔHについて、ガスタービンの動作原理から、圧縮仕事に影響する圧縮機効率ηcと、タービン仕事に影響するタービン効率ηtと、入熱量の大半を占める投入燃料熱量QFの3要素の関数として式(1)のようにモデル化した。ここでfは関数を示す。以下においても同様である。
ΔH = f(ηc, ηt, QF) …式(1)
式(1)の右辺の圧縮機効率とタービン効率は、熱力学的には各出入口の温度と圧力から計算できるが、単純化して出口温度を省略し、またタービンの圧力比は圧縮機の圧力比で代用し、式(2)、式(3)の関係を仮定した。ここで、Tciは吸気温度、Ttiはタービン入口温度、Φcは圧縮機圧力比を示す。
ηc = f(Tci, Φc) …式(2)
ηt = f(Tti, Φc) …式(3)
式(3)の右辺のタービン入口温度Ttiは、熱収支から式(4)のように考えた。ここでTcdは圧縮機出口温度を示す。
Tti = f(Tcd, QF) …式(4)
式(4)の右辺の圧縮機出口温度Tcdは、熱力学的に式(5)のように示される。
Tcd = f(Tci, ηc) …式(5)
以上の式(1)〜式(5)の関係を整理して、式(6)を得た。
ΔH = f(Tci, Φc, QF) …(6)
このようにして、入出熱収支の偏差に支配的に影響する重要因子として、大きくは吸気温度と、圧縮機圧力比、燃料熱量の3つを摘出した。
次に、こうにして摘出した重要因子である吸気温度と、圧縮機圧力比、燃料熱量を用いて熱収支偏差を補正する方法を検討した。偏差の不均衡を補正するために、具体的にどのような因子を補正するのが適切か検討し、燃料流量を補正することとした。
この根拠は以下の通りである。すなわち、熱収支の不均衡を補正するためには、モデルの計算部分の内部か、入出力のいずれかを補正する必要がある。このうち、計算部分の内部を調整・改造するのは、モデルは熱収支が取れていることが重要な前提であり、これを崩すことになるため不適切である。また、出力側にあたる発電出力と排気温度は、性能解析で性能の劣化や異常を診断する根拠として用いられるため、これらを補正するのも不適切である。従って、入力側にあたる燃料流量か、吸気流量を補正する必要がある。このうち熱量的には燃料流量が圧倒的に大きく影響も大きいことから、補正項目として燃料流量を選定した。
このように補正項目を燃料流量にしたことに基づき、熱収支偏差を補正するための補正式を次のようにした。式(8)では関数を単純化して線形仮定し、また式(7)、式(8)ともに、計算しないと得られない燃料熱量の代わりに、直接計測できる燃料流量で代用した。
Gf_cor = γ×Gf …式(7)
γ = f(Tci,Φc,Gf)
= (a1×Tci + a2×Φc + a3×Gf)+b …式(8)
ここで、Gfは燃料流量、Gf_corは補正された燃料流量、γは補正係数、ai(i=1,2,3)は係数、bは定数項を示す。
(発明システムの構成)
図1に以上の分析に基づく本発明のガスタービン診断システム4の構成図を示す。本システムは、従来方式の図6の構成要素に加え、性能計算用に入力する実機計測値情報のうち燃料流量の値を前述の式(7)、式(8)の関係によって補正する補正回路6と、該補正回路6の内容を設定する補正関数設定回路12を備えている。
補正回路6は、式(7)、式(8)の関数が実装された計算回路である。この回路では、これらの計算式に従って、実測値の燃料流量を吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の関数によって補正する計算を実行し、性能計算入力用データのうち、もとの燃料流量の値を補正された燃料流量(補正燃料流量)の値で差替えて性能計算回路7に入力する。
ここで、式(7)、式(8)の具体的内容、すなわち、式(8)の関数fの内容、あるいは係数a1〜a3、定数項bの値は、補正関数設定回路12によって予め設定されている。補正関数設定回路12は、図2に示すように、ある手順で取得された複数のデータ(以下、複数データセットと呼ぶ)20に基づいて、前記補正回路6内の補正関数(式(7)(8))の未定定数を具体的に決定する計算を実行する。
これに用いられる複数データセット20とは、実機の吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量、発電出力、排気温度を含む計測値についての、特定期間の時系列のデータ、または運転条件を複数に変えたデータを指す。以下、特定の1条件または1時点での実機の吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量、発電出力、排気温度を含む計測値一式を1つのデータセット、複数条件または複数時点の場合をまとめて複数データセットと呼んで区別する。また、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力用の情報2、発電出力と排気温度を評価用の情報3と呼んで適宜区別する。
なお、前記式(8)などに示す関数fは、数式化されていなくとも、右辺のカッコ内の項目を入力に含み、左辺の項目を出力に含むアルゴリズムを含めて指すものである。したがって、前記補正関数設定回路12における補正関数の設定とは、式(8)の関数のfを表す数式と、これに含まれる係数などの定数の決定に限らず、広義には、明示的に陽に数式化されていないアルゴリズムであっても、その計算の実行に必要な設定値の決定を含むものである。すなわち、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力すると、補正された燃料流量が出力されるような計算が実行されるために必要な設定全般をさす。
(補正関数設定回路の処理フロー)
補正関数設定回路12の実行内容を詳しく説明するために、図3にその処理フローを示す。処理フローは、大きく分けて、前記複数データセット20の各々のデータセットに対して、性能計算による発電出力と排気温度の計算値が実測値に対して有する偏差が、予め定めた許容基準内になるような燃料流量の修正値(修正燃料流量)と修正係数(後述)を収束計算により求める前半部分(工程22〜28)と、こうして求められた全データセット(複数データセット20の全て)の修正係数とこれに対応する吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量のデータから、式(8)の係数と定数項をフィッティングして決定する後半部分(工程29)からなる。以下、各工程を順に説明する。
性能計算工程22では、後述の工程28で次のデータセットに進む繰返しループにおける、その時点の(複数データセット20のうちの)単一データセットを入力として、ガスタービンの性能計算が実施される。この性能計算の内容は既述した性能計算回路7(図6)で実行される計算のことである。
前記性能計算工程22で計算された性能計算結果、すなわち発電出力と排気温度の計算値は、当該データセットに含まれる実測値すなわち評価用の情報2と比較され、計算値と実測値の偏差が予め定められた許容基準内にあるかどうかが、判定工程23によって判定される。
この判定結果が偽であれば、続く修正工程24によって燃料流量の値が修正され、このように修正された燃料流量の値で当該データセットの燃料の値をもとの値と差替えて、再度性能計算が実行される。この燃料流量の修正とこれを反映した性能計算は、前記判定工程23の判定結果が真になるまで繰り返される。
上述した前記判定工程23における、予め定められた許容基準とは、例えば、発電出力と排気温度のそれぞれの実測値と計算値の、偏差の割合ないし偏差の絶対値が、予め定められた上下限値内にあるかどうかである。あるいはさらに、これらの偏差の割合の和が予め定められた上下限値内にあるかどうかも判定するとなおよい。この判定工程23の基準に関しては、これらに限らず、発電出力と排気温度のそれぞれの実測値と計算値の偏差の大小について、予め定めた基準によって許容範囲かどうか判定するものであればよい。
前記修正工程24における燃料流量の修正方法の一例としては、発電出力と排気温度の計算値の、実測値に対する偏差をエネルギー換算し(ここで排気温度については排ガスのエンタルピーとして計算する)、これらの偏差の総和ΔH_erと燃料入熱量QFを使って、次の式(9)のように修正係数γを計算し、これを式(7)に入力することで、燃料流量の修正値を決めることができる。ここでkは繰返し計算の回数や精度を調整するための係数である。
γ = 1 − k×ΔH_er/QF …式(9)
なお、ここでγは「修正」係数として説明したが、これはこの係数が、前述の式(7)、式(8)で述べた「補正」係数と意味が異なるためである。すなわち、前述の式(7)、式(8)で述べた「補正」係数は、予め決められた関数によって燃料流量の「補正値」を計算するのに使われる「補正」係数であった。これに対して、ここで述べる「修正」係数とは、上述したような収束計算によって計算値と実測値がよく一致するように修正しながら求められた燃料流量の「修正値」に関する係数である。そこで両者を区別するために、このように呼び分けている。
以上の燃料流量の修正方法は一例であり、この他の方法であっても、前記判定工程23の判定基準を満たす値を探索するために燃料流量の修正量を生成するものであれば、公知の最適化計算や収束計算の方法でよい。あるいは、前記判定工程23のように個別のデータセットに対して判定するのでなく、複数データセットに対して計算された発電出力と排気温度が実機実測値に対して有する偏差の平均値や最大値など、データセット全体での偏差を示す指標値が、予め定められた許容範囲内に収まるかどうかという許容基準で、前記式(7)、式(8)の関数の内容を設定すなわち、前述したように関数の数式や未定定数を決定、あるいはアルゴリズムを動作させるための設定値を決定する最適化ないし収束計算であってもよい。
このような燃料流量の修正とこれを反映した性能計算によって前記判定工程23の判定結果が真になれば、上述のようにして計算された燃料流量の修正値と修正係数γの値が、出力工程25によって出力され、データ蓄積工程26に送られる。この際、各データセットの吸気温度、圧縮機圧力比、元の燃料流量の値が合わせて一緒に送られ、データ蓄積工程26に蓄積される。
ここまでの工程22〜25までの処理は、複数データセット20の全データセットに対して終了するまで、データセットの繰返し終了判定工程27と、次のデータセットに進む工程28によって繰り返しが制御される。
この全データセットに対する繰返しが終了すると、後半の工程29では、以上の繰返しで前記データ蓄積工程26に蓄積された、全データセットに対する前記補正係数γとこれに対応する吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量のデータに基づいて、フィッティングにより式(8)の関数が特定される。フィッティングの具体的方法は、最も単純には式(8)の第二式の線形関数に対する最小二乗法によって同式の係数と定数項が決定される。しかし、関数の数式は線形に限ることはなく、修正係数γが吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量の関数として表されたものであればよい。また、フィッティングの手法も線形最小二乗法に限らず、公知の最適化や回帰分析の手法で、これらの関数の未定定数を、計算値と実測値の偏差が小さくなるように決定するものであればよい。
またここでは、関数の数式説明をわかりやすくするため式(8)の左辺は修正係数としたが、このように修正係数を使わず、左辺を修正燃料流量にして、直接燃料流量を計算する形式にしてもよいことはいうまでもない。この場合の関数の設定手順は、修正係数を左辺として上で述べたのと同様の手順で実行される。
(補正関数設定回路の構成図)
図4に、以上に説明した処理フローを実現するための補正関数設定回路12の構成図を示す。補正関数設定回路12は、前記複数データセット20を用いて性能計算回路7を起動させて前記燃料流量の修正値または修正係数を計算する逆算回路31と、このように逆算回路31で計算された前記燃料流量の修正値または修正係数を、各データセットの吸気温度、圧縮機圧力比、元の燃料流量の値と一緒に順次一時記憶して蓄積するデータ保持手段32と、該データ保持手段に蓄積されたこれらの情報に基づいて、前記補正関数の設定情報21を同定して出力する補正関数同定回路33からなる。なお、ここで「回路」と記したものは、図6の診断システムの説明において既述したように、コンピュータプログラムまたは専用チップなどの電子的な演算回路を示す。以下、それぞれを順に説明する。
逆算回路31には、少なくとも以下の3要素が実装されている。第1に、上述したように性能計算回路7を起動して前記燃料流量の修正値または修正係数を決定する計算を実行するために、ガスタービンの性能を計算する前記性能計算工程22(性能計算回路7)を呼び出して実行させる機能と、計算結果を判定する前記判定工程23と、判定結果が偽の場合に前記燃料流量を修正する前記修正工程24からなる収束計算ループが実装されている。第2に、この収束計算によって計算された燃料流量の修正値または修正係数を、対応する各データセットの吸気温度、圧縮機圧力比、元の燃料流量の値とともに出力する前記出力工程25が実装されている。第3に、この収束計算を複数データセット20の全データセットに対して繰返し処理するループ制御回路(工程27、28)が実装されている。
性能計算回路7は、前記性能計算工程22の性能計算を実行する実装回路であり、実行される計算内容は性能診断について説明した図6で述べたように、吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量を含む入力情報に基づいて、性能を計算し、発電出力と排気温度を含む計算結果情報を出力する。
データ保持手段32は、前記データ蓄積工程26を実現する手段であり、前記逆算回路31によって計算された全データセットに対する前記補正係数γの値が、対応する各データセットの吸気温度、圧縮機圧力比、元の燃料流量の値とともに格納され蓄積される。本データ保持手段32は、典型的にはコンピュータのメモリなどの一時記憶領域として実現されるが、これに限らず、情報を電子的に格納する媒体であればよい。
補正関数同定回路33は、補正関数の設定情報を同定する工程29の演算手順を実装した回路である。式(8)の関数の未定定数についての具体的な設定値が工程29の演算により決定され、補正関数設定情報21として出力される。
(設定済み補正回路を用いた性能診断の実施方法)
本発明の性能診断システムでは、以上で述べたようにして補正関数設定回路12で決定された補正関数設定情報21(図4)が、前述の補正回路6(図1)に設定されて利用される。その診断の処理フローを図5に示す。
処理フローは、実機の吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量、発電出力、排気温度の実測値(以下、実機データセット40と呼ぶ)を入力とし、前述の図3、図4で述べたように設定された補正回路6を使って燃料流量の補正値を計算する補正計算工程41と、該補正計算工程41で計算された燃料流量の前記補正値を入力に使ってガスタービンの性能を計算する性能計算工程22と、該性能計算工程の計算結果を評価する評価処理工程43と、該評価工程43から出力された情報を蓄積するデータ蓄積工程44と、前記評価処理工程43からの出力情報または前記データ蓄積工程44に蓄積された情報を外部出力する結果出力工程45と、これら工程41〜工程45の処理を実機データセットに対して繰り返し処理するための終了判定工程46と、次のデータセットに進む工程47と、以上のデータセット全体に対する評価結果を出力する結果出力工程48からなる。以下、各工程について説明する。
補正計算工程41では、実機データセットのうち、前述の図3、図4で説明したように設定された補正回路6、すなわち、前述の式(7)(8)の関数の未定定数の値が決定された状態になった燃料流量の補正回路6に対して、実機の吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量の実測値が入力され、該燃料流量の補正値が計算される。
続く性能計算工程22では、実機データセットの性能計算用の入力データ(吸気温度、圧縮機圧力比、燃料流量)のうち、燃料流量の値が前記補正計算工程41で補正された値によって差替えられて入力される。具体的には、この入力に基づいて既述の性能計算回路7が実行されてガスタービンの性能が計算され、発電出力と排気温度を含む項目が計算される。なお、この計算結果は前述の図1の計算結果情報8となる。
このように性能計算工程22で計算された発電出力と排気温度の計算値が、評価処理工程43でそれぞれの実測値、すなわち、前記実機データセット40のうちの、評価用の発電出力と排気温度の実測値と、比較評価される。この評価の処理は具体的には、既述の評価回路9(図1、図6)によって実行される。
前記評価処理工程43で評価された結果の情報、あるいは評価に供された情報すなわち、実機データセット40の各項目の情報と、性能計算工程22の計算結果情報8(図1)は、データ蓄積工程44に蓄積される。該データ蓄積工程44は、具体的には既述の格納手段10(図1、図6)と同様のハードウェアで実現される。
こうして前記評価処理工程43で評価された結果情報、または前記データ蓄積工程44に蓄積された情報は、続く結果出力工程45によって外部出力される。外部出力は具体的には既述の出力手段11(図1、図6)によって実行される。
以上に述べたような、補正計算工程41ならびに性能計算工程22の計算と、これに基づく計算値と実測値の評価処理(評価処理工程43)、データ蓄積(データ蓄積工程44)、結果出力(結果出力工程45)は、実機データセット40の一定期間のデータまたは全体について繰り返される。この繰返しは、終了判定工程46で真すなわち終了と判定されるまで、次のデータの処理に進む工程47が繰り返されることによって制御される。ここでの終了判定は、前記実機データセット40の全てのデータに対して終了しているか、あるいは、診断を中止する指令がユーザ等によって入力されたか、などの診断のための計算を続行するかどうかの判定である。
こうして、終了判定されるまで繰り返された結果、前記データ蓄積工程44に蓄積された評価結果情報は、結果出力工程48で外部出力される。外部出力は具体的には既述の出力手段11(図1、図6)によって実行される。
なお、結果の出力について、上記結果出力工程45と48の組み合わせは一例である。両者の違いは大まかには出力するタイミングの違いであり、扱っているデータの量が実機データセットの全体か、一部分のデータセットかということを別にすると、出力内容は同様であり、出力するタイミングと内容はこれらのいずれにあってもよい。例えば、バッチ処理によって特定期間中の全ての実機データセットに対して繰返し処理する場合、結果出力は結果出力工程48のタイミングで実施される。また、例えば、一日に一回というように定期的に自動起動して、前回起動時との間のデータセットに対して繰返し処理する場合も同様である。逆に、例えば実機計測システムとオンライン接続されており、リアルタイムで評価する場合は、結果出力は、特に警報などは結果出力工程45のタイミングで出力される。
(解析事例)
発明方式による性能評価精度の改善効果を検証するため、発明のモデル調整方式を実機の性能評価に適用して精度を評価した。表1に比較評価したモデル調整方式を示す。従来方式の例として一定値の補正係数を乗じて補正する単純な方式(定率型)を示した。また、発明方式については、影響度の低い因子を除いて、吸気温度だけで補正するようにした方式(簡略型)も示した。発明方式で全ての因子を考慮したケースは、簡略型と区別するため、ここでは完全型と呼ぶ。実機の運転データを対象に各方式でモデル調整し、この結果を使って図5の手順で性能計算した場合の、発電出力と排気温度の計算値と実測値の誤差の最大値(絶対値)、平均値(絶対値)、標準偏差を評価した。
この際、定率型のモデル調整は、具体的には前述の式(7)の補正係数γを評価期間全体で誤差が最も小さくなるような一定値に固定して実施した。簡略型のモデル調整は、前述の式(8)で圧縮機圧力比と燃料流量の項を除外したものをモデル式とし、このほかは完全型と同様の手順で実施した。完全型のモデル調整は図3で述べた手順で実施した。
結果の誤差率の推移を図7〜図9に、また、誤差の統計値を表2から表4に示す。結果をみると、誤差率は定率型では、図7に示すように発電出力と排気温度ともに最大2%程度を超えたのに対して、簡略型では図8に示すように概ね1.5%以内に縮小し、完全型では図9に示すようにほぼ1%以内に縮小した。従来の定率型に対して、発明方式の簡略型は、表2および表3に示すように排気温度の誤差は殆ど改善されなかったが、発電出力の誤差を平均値と標準偏差で2/3程度に低減できた。簡略型に対して完全型ではさらに、表3と表4に示すように、発電出力と排気温度ともに誤差は最大値がほぼ半減し、平均値と標準偏差もさらに2/3程度に低減した。
以上のように、簡略型でも従来型よりも精度を向上できるが、完全型ではさらに改善できることがわかった。簡略型と完全型の違いは、発電出力の誤差改善の程度の差だけでなく、排気温度の誤差を低減できるかどうかという差として現れた。これは完全型では、熱収支の偏差を補正するように摘出した因子を全て使っていることによる効果といえる。
なお、簡略型には吸気温度だけで燃料流量を補正した例を示したが、吸気温度と圧縮機圧力比、または吸気温度と燃料流量で、燃料流量を補正するようにすれば、より精度が向上し、完全型に近づくものと推定される。
Figure 0004361582
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(発明方式の代替案との比較)
本発明は以上で述べたように、入出熱収支の偏差を補正するために、燃料流量を補正することを提案している。これに対して、入出熱収支の偏差の主原因は排気温度の計測値と理論値のずれにあると考えられることから、排気温度を補正するアプローチもありうる。それにもかかわらず、燃料流量を補正するのは以下に述べる実用上の長所があるためである。
すなわち、排気温度を補正するとした場合、先の図6の従来方式で実施すると、発電出力と排気温度の誤差のうち、排気温度は補正されるが、発電出力は補正されずに誤差がそのまま残る(図7の解析事例の場合、発電出力の誤差の値はそのまま変化しない)。この発電出力の誤差を補正するために考慮すべき要因としては、入出熱収支以外にもガスタービン性能計算回路での性能特性の実機とのずれなど様々な要因がある。これを補正するには、ガスタービン性能特性に基づく発電出力の補正回路を新たに別に設ける必要があり、このために、ガスタービン性能計算モデルにおける各要素機器の性能特性マップの実機とのずれなど、複雑で多岐にわたる要因を検討する必要がある。さらに、発電出力を補正すると、排気温度にも影響が出るため、発電出力の補正と、排気温度の補正の間を適切に関係づけてモデル化し、両補正回路に組み合わせる必要がある。これらは全て、補正という目的に対しては複雑すぎ、システムが複雑化し、運用するコストと手間が増加する要因となる。
これに対して、本発明の燃料流量の補正では、補正された燃料流量が性能計算回路に入力されることにより、計算される排気温度だけでなく発電出力も変化する。このため、単一の補正回路6(式(7)(8))を補正関数設定回路12で設定するだけで、発電出力と排気温度の両方の誤差が小さくなるようにモデル調整できる。発明の方式では、入出熱量の偏差やガスタービン性能特性の実機とのずれなど多岐にわたる誤差要因に対して、このように燃料流量という1点によって補正できるように企図されている。このため、性能診断の中心部分である性能計算回路7の本体の改造や調整を最小限に抑え、診断システムの調整や運用が容易かつ効率的に実施できる。
本発明では、上述したような実機と計算のずれに関わる複雑な諸要因の調整を、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量という3つ入力項目により燃料流量を補正する(補正回路6)だけで実現できる。またこの補正回路6を設定するための補正関数設定回路12も、上記3項目に発電出力と排気温度を加えた5項目のデータだけで実行できる。上述した複雑な誤差要因に対して、このように数少ない項目のデータで調整できるのは、前述したようにガスタービンサイクル全体について包括的に熱力学的に分析し、さらに単純化により重要因子を抽出する工夫をしたこと(式(1)〜(6))によるものである。
本発明のガスタービン性能診断システムの構成図。 補正関数設定回路の機能を示す入出力図。 補正関数設定回路の処理フロー図。 補正関数設定回路の構成図。 設定済み補正回路を用いた性能診断の処理フロー図。 従来の診断システムの構成図。 従来方式による性能評価事例(定率型)を示す図。 発明方式による性能評価事例(簡略型)を示す図。 発明方式による性能評価事例(完全型)を示す図。
符号の説明
1…実機計測値情報、4…ガスタービン診断システム、6…補正回路、7…性能計算回路、8…計算結果情報、12…補正関数設定回路、31…逆算回路、33…補正関数同定回路、41…補正計算工程。

Claims (9)

  1. 実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の入力を受けて、ガスタービンの発電出力と排気温度を計算して出力する性能計算回路と、該性能計算回路から出力された発電出力と排気温度の実機計測値からの偏差に基づいて性能を評価する評価回路を備えたガスタービン性能診断システムであって、
    前記吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、該燃料流量の値の補正値を計算し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路への入力として設定する補正回路を備えたことを特徴とするガスタービンの性能診断システム。
  2. 前記補正回路が、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、該燃料流量の値を補正する計算を実行し、実機で計測された燃料流量の値を、補正された燃料流量の値で差替えて前記性能計算回路へ入力するものであることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンの性能診断システム。
  3. 前記性能計算回路に、実機での吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の計測値についての一定期間の時系列データまたは運転条件を複数に変えたデータよりなる入力用複数データセットを入力して計算出力された発電出力と排気温度の、実機計測値に対する偏差が、予め定められた許容基準内になるように、前記補正回路の前記関数関係を設定する補正関数設定回路を備えたことを特徴とする請求項2に記載のガスタービンの性能診断システム。
  4. 前記補正関数設定回路が、
    前記入力用複数データセットの各データセットのデータを前記性能計算回路入力して計算出力された発電出力と排気温度の値の実測値に対する偏差が、予め定められた上下限範囲内になるように、各データセットの燃料流量のデータを修正する逆算回路と、
    該逆算回路によって修正された燃料流量のデータを、当該データセットの吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量のデータとともに保持するデータ保持手段と、
    該データ保持手段に保持された複数のデータセットの修正燃料流量と吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量のデータに基づいて、修正燃料流量を吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の関数としてフィッティングする補正関数同定回路を具備することを特徴とする請求項3に記載のガスタービンの性能診断システム。
  5. 実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の入力を受けて、ガスタービンの発電出力と排気温度を計算して出力する性能計算回路と、該性能計算回路から出力された発電出力と排気温度の実機計測値からの偏差に基づいて性能を評価する評価回路を備えたガスタービン性能診断システムであって、
    前記吸気温度の実機計測値、吸気温度と圧縮機圧力比の実機計測値、または吸気温度と燃料流量の実機計測値に基づいて、該燃料流量の値の補正値を計算し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路への入力として設定する補正回路を備えたことを特徴とするガスタービンの性能診断システム。
  6. 前記補正回路が、吸気温度の実機計測値、または吸気温度と圧縮機圧力比の実機計測値、または吸気温度と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、該燃料流量の値を補正する計算を実行し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路への入力として設定するものであることを特徴とする請求項5に記載のガスタービンの性能診断システム。
  7. ガスタービンの性能計算回路に実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力して発電出力と排気温度を計算し、該計算で得られた発電出力と排気温度が実機での計測値に対して有する偏差に基づいて性能を評価するガスタービンの性能診断方法であって、
    前記吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、該燃料流量の値を補正し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路に入力することを特徴とするガスタービンの性能診断方法。
  8. 燃料流量を補正するための予め定められた前記関数関係が、前記性能計算回路に、実機の吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量についての一定期間の時系列データまたは運転条件を複数に変えたデータよりなる入力用複数データセットを入力して計算出力された発電出力と排気温度が、実機計測値に対して有する偏差が、予め定められた許容基準内になるように予め設定された関数関係であって、吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力として、該燃料流量の値の補正値を出力するものであることを特徴とする請求項7に記載のガスタービンの性能診断方法。
  9. ガスタービンの性能計算回路に実機で計測された吸気温度と圧縮機圧力比と燃料流量を入力して発電出力と排気温度を計算し、該計算で得られた発電出力と排気温度が実機での計測値に対して有する偏差に基づいて性能を評価するガスタービンの性能診断方法であって、
    前記吸気温度の実機計測値、または吸気温度と圧縮機圧力比の実機計測値、または吸気温度と燃料流量の実機計測値に基づいて、予め定められた関数関係に従って、該燃料流量の値を補正し、かかる計算で得られた補正燃料流量を前記性能計算回路に入力することを特徴とするガスタービンの性能診断方法。
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