JP4360083B2 - 鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 - Google Patents
鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4360083B2 JP4360083B2 JP2002365009A JP2002365009A JP4360083B2 JP 4360083 B2 JP4360083 B2 JP 4360083B2 JP 2002365009 A JP2002365009 A JP 2002365009A JP 2002365009 A JP2002365009 A JP 2002365009A JP 4360083 B2 JP4360083 B2 JP 4360083B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- charging
- voltage
- value
- lead
- current
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Charge And Discharge Circuits For Batteries Or The Like (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛蓄電池の充電の方法および該充電方法を適用した良否判定方法および鉛蓄電池用充電器に関するものであって、過放電に陥った鉛蓄電池の良否を判定することとその機能を回復するための充電の方法および前記良否判定と機能を回復するための充電に適用する充電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車(4輪車)用、二輪車(自動二輪)用等一般ユーザー用の鉛蓄電池は、使用の状況が様々である。自動車用電池の場合にはヘッドライトやルームランプの消し忘れ等により、蓄電池の持つ容量(定格容量)以上に放電されたり、補充電をしないままに長時間放置されて過放電状態に陥る場合も多く見受けられる。鉛蓄電池の過放電状態には大きく分けて、極板のサルフェーションが進行し充電しても機能が回復しないもの(便宜的に重度の過放電状態と表記する)と、充電によって機能を回復する(サルフェーションが起きていないかまたはサルフェーションがおきてはいるが進行していないもの、便宜的に軽度の過放電状態と表記する)ものに分類される。
【0003】
しかし、対象とする鉛蓄電池の過放電の状態が軽度なのかあるいは重度なのかを判定するためには、鉛蓄電池に関して高度の専門的知識を必要とし、一般のユーザーが見分けることは困難である。
【0004】
従来の充電方法および充電器では、軽度の過放電電池でも充電できない虞があった。また、鉛蓄電池用の充電器として市販されている充電器は、異種電池の充電や出力端子を短絡させた状態では通電しないよう保護装置が設けられており、充電しようとする電池が過放電に陥った鉛蓄電池のように蓄電池の電圧が所定値以下の場合には充電ができない問題があった。
【0005】
図9は、12V系鉛蓄電池の従来の良否判定および充電方法における工程を示す流れ図である。従来の充電方法は、例えば工程NO.12において対象とする鉛蓄電池の開回路電圧を計測し、該開回路電圧が7V未満であれば不良電池(充電による回復不能電池)、あるいは異種電池(例えば6V系の鉛蓄電池)と判定し、前記開回路電圧が7V以上であれば良品(充電により回復可)と判定し、充電電圧が所定の電圧になるまで通常の条件にて充電(正規充電)を行う。
【0006】
なお、ここでいう正規充電とは、鉛蓄電池を補充電するために一般的に行われている充電方法であり、温度室温で実施する充電であって、定電流充電と定電圧充電の2つの様式があり、定電流充電の場合は、例えば1/10ItAの電流で一般的に11〜12時間充電し、定電圧充電は12V系電池(6セルシリーズ接続)の場合14〜15V(2.33V/セル〜2.5V/セル)の充電電圧で10〜12時間充電することを指す。
【0007】
図9に示した従来の良否判定方法では、前記12V系の鉛蓄電池において、開回路電圧が7V未満であっても一時的に過放電に陥っているのみで充電によって機能が回復する見込みのある電池も不良と判定する場合が生じる。また、不良品(充電しても機能が回復しない鉛蓄電池)を良品と判定し無駄な充電を実施してしまう場合も生じる。さらに、良品と判定された電池でもいきなり正規充電にかけるために、殆ど充電できないケースが生じる。すなわち、過放電に陥った鉛蓄電池を正規充電で充電しようとすると充電開始直後に直ちに充電電圧が充電終止電圧に達してしまい、実際には殆ど充電されていないにも拘わらず充電が完了するために充電できていないにも拘わらず充電できていると誤った判断をされる虞がある。
【0008】
このように、過放電(軽度の過放電)に陥った鉛蓄電池を充電して回復させようとすると鉛蓄電池の取り扱いに関する専門知識を必要とするため、一般ユーザーが充電することは困難であった。また、従来過放電に陥った鉛蓄電池を回復させるための充電器は、高度に複雑な機能を備えなければならず、高価である欠点があった。また、過放電に陥った電池を微細な電流で充電する方法もあるが、該充電方法は簡単ではあるが、回復に長時間を要する欠点があった。
【0009】
過放電により充電不能となった鉛蓄電池の回復方法として特許文献1には、交流電圧を印加するか又は逆充電して正極格子表面と活物質との界面に生成した半導体的物質を破壊し、その後に正規の充電を施すことが提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特公昭63−23623号公報(ページ1、特許請求の範囲)
【0011】
また、特許文献2には、過充電が許されない密閉型電池にパルス状充電電流を供給して高速に充電する方法が記載されている。
【0012】
【特許文献2】
特公昭47−45462号公報(ページ7、特許請求の範囲)
【0013】
しかし、前記特許文献1の方法は、充電方法が複雑であり充電器が高価になること、対象とする鉛蓄電池が充電によって回復する見込みの有無を一般のユーザーが容易に判定できない欠点があった。特許文献2に記載の方法は、パルス充電を適用することによって高速充電の可能性を示唆しているものの、過放電に陥った鉛蓄電池の回復方法として適用可能な方法を示してはいない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来方法の欠点に鑑みてなされたものであって、過放電に陥った鉛蓄電池の良否(充電によって機能回復可能なものか否か)を容易に判定し、且つ当該鉛蓄電池を適正に、かつ、速やかに充電するための方法および充電器を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
一般に鉛蓄電池の極板にサルフェーションが生じそれが極板の大部分にまで進行すると充電しても機能が回復しない。従来、過放電状態であって、サルフェーションが生じている程度が軽度(サルフェーションが極板のごく一部分にのみ生じている)であり、大部分の活物質が正常であるにも拘わらず、従来充電不能として判定される場合が多く見受けられた。それは、極板の格子体と活物質の界面あるいは極板の表面にサルフェーションが生じると、それによって生成した生成物が格子体から離れた部分あるいは極板の内部に存在する活物質の充電を妨げるために極板の活物質全体が充電できないと判定されたことによるものと考えられる。
【0016】
本発明に係る鉛蓄電池の充電方法は、過放電状態に陥った鉛蓄電池をパルス波状の電力で充電する方法であって、充電開始時に1セル当たり波高値において2.5〜6.0V/セルの電圧を印加する。
【0017】
従来の鉛蓄電池の充電においては、1セル当たり2.0〜2.5V(2.0/セル〜2.5V/セル)の充電電圧を印加していた。この従来の方法では、極板の極一部分にのみサルフェーションが生じている場合でも充電電圧が直ちに前記充電電圧(2.0/セル〜2.5V/セル)に達してしまい充電ができなかった。これに対して、本発明に係る鉛蓄電池の充電方法においては、パルス波形状の電力による充電において波高値を2.5〜6.0V/セルという従来に比べて高い充電電圧とする。このことによって、本発明は、従来難しいとされている軽度のサルフェーションを生じている鉛蓄電池の充電を可能にした。軽度の過放電状態にある鉛蓄電池の充電において、充電開始時に前記のように高電圧を印加すると何故充電ができるかは定かではないが、高電圧を印加することにより前記格子体と活物質の界面または極板の表面に存在した充電阻害物質が変質するか破壊されるために電気が流れるようになり、充電が可能となると考えられる。
【0018】
また、本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法は、過放電に陥った鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、被検電池を定電流または定電圧で充電を行い、そのときの充電電圧あるいは充電電流の挙動に基づいて良否を判定する。なお、ここでいう良品とは、充電によって機能が回復する鉛蓄電池(以下良品または軽度の過放電電池と表記する)を指し、不良品とは、充電しても機能が回復しない鉛蓄電池(以下不良品または重度の過放電電池と表記する)を指す。
【0019】
過放電に陥った鉛蓄電池、特にサルフェーションを生じた鉛蓄電池(被検電池)を充電した場合、良品と不良品とは異なる挙動を示す。すなわち、定電流で充電を行った場合、良品においては充電電圧が時間の経過と共に垂下し規定充電電圧値以下になる。これに対して不良品の場合は、充電電圧が時間の経過とともに垂下しないか、または、垂下の幅が小さく充電電圧が規定充電電圧値以下にならない。また、定電圧で充電を行った場合、良品においては充電電流が時間の経過とともに上昇し、規定充電電流値以上になる。これに対して、不良品の場合は、充電電流が時間の経過とともに上昇しないかまたは上昇幅が小さく、規定充電電流値以上にならない。
【0020】
本発明は、前記良品と不良品の充電における挙動の差に基づいて過放電に陥った鉛蓄電池の良否を判定するものである。
【0021】
正常(過放電に陥っていない)な鉛蓄電池を充電する時の充電電圧は、通常最大2.3〜2.5V/セルである。しかし、過放電に陥った鉛蓄電池においては前記通常の充電電圧を印加しても電池電圧が充電開始直後にすぐに前記充電電圧の最大値にまで上昇してしまうために充電ができない。本発明に係る充電方法は、少なくとも充電開始時点において鉛蓄電池に2.5V/セル以上、最大4.0V/セル、パルス充電の場合は少なくとも充電開始時点において鉛蓄電池に波高値が2.5V/セル〜6.0V/セルの電圧を印加することによって、過放電に陥った鉛蓄電池であっても良品であれば充電ができ、充電電圧が規定充電電圧値以下に垂下するかまたは充電電流値が規定充電電流値以上に上昇した後は前記正規の充電方法によって充電可能であるという知見の基に充電する充電方法である。
【0022】
本発明に係る鉛蓄電池の充電方法は、前記のようにパルス充電開始時に波高値が2.5〜6.0V/セルの充電電圧を印加して充電し、電圧の波高値または平均値を一定にした場合にはパルス充電における電流の波高値または平均値が規定電流値以上になるまで、電流の波高値または平均値を一定にした場合にはパルス充電における電圧の波高値または平均値が規定電圧値以下に垂下するまで充電を行った後、後記診断充電において良と判定された鉛蓄電池のみを対象として正規充電を行う。
【0023】
本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法は、被検電池を定電流充電により充電(診断充電)することによって過放電状態に陥った鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、充電電流を一定、充電電圧を可変として規定時間充電し、該充電時の充電電圧または充電終了後の開回路電圧が規定充電電圧値または規定開回路電圧値以上に上昇したときに被検電池を良と判定する。該良否判定のための診断充電において、規定充電時間は、特に限定されるものではないが長くとも3分間で十分であり、0.5〜2分間とすることもできる。該診断充電において、良否を精度良く判定するためには、充電電流値を1/100〜1/15ItAの範囲に設定することが好ましく、1/50〜1/20ItAに設定することがさらに好ましい。また、充電開始時点での充電電圧が1.5V/セル〜2.0V/セルの範囲に入ることが好ましい。また、規定充電電圧値および規定開回路電圧値を1.2V/セル以上に設定することが好ましい。開回路電圧値に基づいて良否を判定する場合、充電終了時点から開回路測定時点に到るまでの時間は特に限定されるものではないが、一定時間に規定することが好ましく、1分間以上の一定の値に規定することがさらに好ましい。
【0024】
本発明に係る鉛蓄電池の別の良否判定方法は、被検電池をパルス波状の電流により充電(診断充電)することによって過放電状態に陥った鉛蓄電池(被検電池)の良否を判定する方法であって、前記充電がパルス充電における充電電流の波高値または平均値を一定、電圧の波高値または平均値を可変として、規定時間充電を行い、該充電時の充電電圧の波高値または平均値または充電終了後の被検電池の開回路電圧が規定充電電圧値(波高値または平均値)または規定開回路電圧値以上に上昇したときに被検電池を良と判定する。該良否判定のための診断充電において、規定充電時間は、特に限定されるものではないが長くとも3分間で十分であり、0.3〜2分間とすることが好ましい。該診断充電において、良否を精度良く判定するためには、充電電流値の波高値を1/50〜1/5ItAの範囲に設定することが好ましく、1/30〜1/10ItAの範囲に設定することがさらに好ましい。また、充電電流の平均値を規定する場合は、平均値を1/100〜1/15ItAの範囲に設定することが好ましく、1/50〜1/20ItAの範囲に設定することがさらに好ましい。また、充電開始時点での充電電圧の波高値が2.0V/セル〜4.0V/セルの範囲に入ることが好ましい。規定充電電圧値(波高値)は2.0V以上、規定充電電圧値(平均値)および規定開回路電圧値(平均値)を1.2V/セル以上に設定することが好ましい。開回路電圧値に基づいて良否を判定する場合、充電終了時点から開回路測定時点に到るまでの時間は特に限定されるものではないが、一定時間に規定することが好ましく、1分間以上の一定の値に規定することがさらに好ましい。
【0025】
本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法は、定電圧又は定電流で充電(診断充電)することによって被検電池の良否を判定する方法であって、充電開始時に2.5〜4.0V/セルの充電電圧を印加し、定電流充電の場合は充電電流値を好ましい範囲である1/100〜1/15ItAの一定の値となるよう充電電圧を可変として規定時間充電し、該充電時の充電電圧が規定充電電圧値、例えば2.5V/セル以下に垂下したとき、定電圧充電の場合は2.5〜4.0V/セルの充電電圧を印加して規定時間充電した時の充電電流値が規定充電電流値、例えば1/20ItA以上に上昇したときに前記被検電池を良と判定する。
【0026】
本発明に係る鉛蓄電池の別の良否判定方法は、パルス充電することによって該鉛蓄電池(被検電池)の良否を判定する方法であって、被検電池に、充電開始直後に波高値が2.5/セル〜6.0V/セルの充電電圧を印加し、充電電流の波高値または平均値を一定、充電電圧を可変にして規定の時間充電例えば30秒充電を行い、該充電時の充電電圧の波高値または平均値が規定充電電圧値、波高値においては例えば2.8Vセル以下に垂下したとき、あるいは平均値においては例えば2.5V/セル以下に垂下したときに被検電池を良と判定する。
【0027】
本発明に係る鉛蓄電池の別の良否判定方法は、また、前記パルス充電において充電電圧の波高値を例えば3.0V/セルで一定または充電電圧の平均値を例えば2.5V/セルで一定とし、充電電流値を可変にして規定の時間充電例えば30秒間充電を行い、充電電流の波高値が規定充電電流値例えば1/20ItA以上に上昇したとき、充電電流の平均値が規定充電電流値例えば1/50ItA以上に上昇したときにその鉛蓄電池を良と判定する。
【0028】
本発明に係る鉛蓄電池の良否判定においては、前記診断充電に先だって被検電池の開回路電圧の測定を行い、該測定結果と開回路電圧の基準値(A){6セルシリーズ接続の鉛蓄電池の場合は例えば12V(2.0v/セル)以上}を比較して被検電池の開回路電圧が前記基準値を満たしておれば正常電池(過放電されていない電池)として過放電電池あるいは直列接続されているセル数が少ない異種電池と区分することも有効である。このことによって、正常電池を診断充電経ることなくただちに正規充電にかけることができる。
【0029】
本発明に係る鉛蓄電池の充電器は、前記本発明に係る鉛蓄電池の充電方法のうち少なくともいずれかを満たす充電機能および前記本発明に係る良否判定機能のうち少なくともいずれかを満たす良否判定機能を備える。
【0030】
本発明に係る鉛蓄電池の充電器は、前記良否判定の結果を告知する機能を備える。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る蓄電池の実施の形態を説明する。なお、以下に示す形態は1例であって、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鉛蓄電池の良否判定と該電池の充電の流れを示すフロー図である。図1のフロー図は、前記請求項2および3に記載の良否判定方法を備える良否判定の流れを示す図である。図1で対象としている被検電池は、公称電圧が12ボルト(V)、公称容量が4アンペアアワー(Ah)、6セルシリーズ接続の二輪車用鉛蓄電池である。
【0033】
工程NO.11において被検電池の開回路電圧をチェックし開回路電圧が12V(2.0V/セル)以上の場合には正常品(ここで対象とする過放電に陥った電池ではない)と判定し、工程NO.50の通常の充電プロセスに移行する。
【0034】
被検電池の開回路電圧が12V(2.0V/セル)未満の場合は、過放電に陥った電池または他機種の蓄電池(例えば6V系の蓄電池)と判定する。被検電池の開回路電圧が12V未満のうち、開回路電圧が規定開回路電圧値7.2V(1.2V/セル)以上の場合には、充電による機能回復の可能性を診断するために工程NO.30の診断充電(2)に進む。開回路電圧が規定開回路電圧値7V未満の場合には、直ぐに工程NO.30に進まずに、規定の充電によって開回路電圧が規定開回路電圧値7.2V(1.2V/セル)以上になるか否かを調べるため、あるいは、他機種の蓄電池を排除するために工程NO.20の診断充電(1)に移行する。
【0035】
診断充電(1)において被検電池に印加する電圧を最大2.0V/セル(6セルシリーズ接続電池の場合は最大12V)とする。本例のように、パルスではなく連続して印加する電圧が2.0V/セルを超えると診断を誤る虞があるので、2.0V/セルを超える電圧を印加することを避けることが望ましい。診断充電(1)において例えば1/20ItA(充電電流0.2アンペア(A)、公称容量4Ahの電池においては1/20ItAの電流値に相当)の電流で3分間充電した後充電を打ち切り、開放状態として充電打ち切り直後の開回路電圧を計測する。なお、診断充電(1)における充電電流の値は特に限定されるものではないが、1/100〜1/15ItAが好ましい。
【0036】
また、図1 HYPERLINK "http://128.31.3.46/patweb/patweb.exe?Command=imgform&DocDir=tma006042&ImageNo=3" \t "imageframe" に示した例では診断充電(1)における良否判定基準を開回路電圧としたが、診断充電(1)の充電電圧を判定基準としてもよい。図2 HYPERLINK "http://128.31.3.46/patweb/patweb.exe?Command=imgform&DocDir=tma006042&ImageNo=4" \t "imageframe" は、過放電の程度が異なる2つの被検電池を1/20ItAの電流で充電した時の充電時間と充電電圧の関係を示すグラフである。図2 HYPERLINK "http://128.31.3.46/patweb/patweb.exe?Command=imgform&DocDir=tma006042&ImageNo=4" \t "imageframe" に示したように、過放電した電池であっても1/20ItAの電流で3分間充電すると充電電圧が規定充電電圧値7.2V(1.2V/セル)以上になる。診断充電(1)における充電電圧が7.2V(1.2V/セル)未満の場合は、内部短絡等の何等かの異常を起こしている可能性が極めて高いか異種電池(例えば6V系電池)と判断される。従って、診断充電(1)の充電電圧が規定電圧値7.2V(1.2V/セル)未満の場合は、前記のように不良と判定し、図1に示した工程NO.A0へ進み、不良(充電による回復不可)であることを告知する(電池異常警告)。一方、前記診断充電(1)の充電電圧が規定充電電圧値7.2V(1.2V/セル)以上の場合には、充電による機能回復の可能性を診断するために工程NO.30に進む。
【0037】
なお、前記診断充電(1)には、前記パルス波状の電流であって、電流の波高値および/または平均値を一定としたパルス充電も適用できる。パルス充電を適用する場合は、充電電流値の波高値を1/50〜1/5ItAの範囲に設定することが好ましい。また、充電電流の平均値を規定する場合は、平均値を1/100〜1/15ItAの範囲に設定することが好ましい。また、充電開始時点での充電電圧の波高値が2.0V/セル〜4.0V/セルの範囲に入ることが好ましい。規定充電電圧値(波高値)は2.0V以上、規定充電電圧値(平均値)または規定開回路電圧値(平均値)を1.2V/セル以上に設定することが好ましい。
【0038】
本発明の診断充電(1)に適用するパルスの波形は、特に限定されず、矩形波、ノコギリ形状のパルス波、サインカーブ形状のパルス波等、種々の形状のパルス波を適用出来る。また、パルスの幅および周期は、特に限定されるものではないが、充電時の濃度分極を抑制するためにはパルス幅を小さくした方が有利である。但しパルスの幅を小さくするとその波高値または平均値を検知するのにより高価な検出器を必要とする。この観点から前記パルス電圧またはパルス電流の波高値を高く設定するためおよびパルスの波高値を容易に検出するためには、パルス幅およびパルスの間隔を数ミリ秒(ms)〜数十ミリ秒(ms)、1秒間当たりのパルス数を数十〜百回(回/s)とすることが好ましい。パルス幅が数ms未満の場合には、パルスの発生およびその検知のための装置が複雑且つ高価になる欠点がある。
【0039】
前記のように、工程NO.12において被検電池の充電電圧が規定開回路電圧値7.2V(1.2V/セル)を超えている時には、工程NO.30の診断充電(2)に進み、充電電圧を最大で24Vに設定し、かつ可変として、1/20ItA(0.2A)の定電流で最大30秒間充電を行う。定電流充電による診断充電における電流値は、充電開始時の充電電圧が2.5〜4.0Vになるように設定する。充電電圧が2.5V/セル未満では、前記過放電電池の充電阻害要因を取り除く効果が期待できず良品(軽度の過放電電池)を不良品(重度の過放電電池)と判定してしまう虞がある。また、連続して印加する電圧が4.0Vを超えると電池を破壊する虞があるので避ける。本発明では、充電電圧値が前記条件を満たしておればよく、充電電流値を特に限定するものではないが、短時間で良否を判定するためには、充電電流を1/100〜1/15ItAとすることが好ましく、1/50〜1/20ItAとすることがさらに好ましい。充電電流値が1/100ItA未満では、良否判定に長時間を要する欠点がある。充電電流値を1/15ItAを超える値に設定したときには、セル当たりに印加する電圧が高くなり、前記上限値4.0Vを超える虞がある。
【0040】
被検電池が良品(充電により回復する)の場合は、充電時間が経過するとともに充電電圧が大きく垂下する。被検電池が不良品(充電しても回復しない)の場合は、充電電圧が垂下しないかまたは垂下の幅が小さい。良品の場合は充電時間の経過と共に前記充電阻害物質が除去されるために充電電圧が垂下し、不良品の場合は充電阻害物質が除去されないために充電時間が経過しても充電電圧が高い状態のままであると考えられる。充電電圧が本例のように12V系の電池の場合、前記充電中に充電電圧が規定充電電圧値15V以下(2.5V/セル)に垂下した場合は、良品と判定し、工程NO.50の通常の条件での充電プロセスに移行する。被検電池の充電電圧が規定充電電圧値15V(2.5V/セル)を超える場合は、工程NO.40の診断充電(3)に進むか、必要と認めた場合には工程NO.30に戻り、再度同じ操作を繰り返し行う。
【0041】
放電後放置された鉛蓄電池は、サルフェーションを起こし充電を受け入れ難くなる。サルフェーションの進み具合が重度になると充電してももはや機能が回復しなくなる(重度の過放電電池)。図2は、軽度の過放電電池(良品)と重度の過放電電池(不良品)を1/20ItAの電流で充電した時の充電電圧を示すグラフである。
【0042】
軽度の過放電電池は、充電直後において充電の受け入れが悪く、充電電圧が跳ね上がる、しかし、充電時間が経過するとともに充電受け入れが良くなり、充電電圧は垂下する。図2に示したように充電を開始してから30秒後には充電電圧が規格充電電圧(A)の15V(2.5V/セル)以下にまで低下する。これに対して重度の過放電電池の場合は、時間が経過しても充電受け入れが良くならず充電電圧は20V(3.4V/セル)を超えたままである。
【0043】
診断充電(2)の規定充電時間および規定充電電圧値は、充電電流値によって影響を受けるものであり、特に限定されるものではない。前記好ましい電流値で充電した場合、規定充電時間は最大でも60秒で十分であり、好ましくは最大30秒とすることもできる。精度良く良否判定をするためには規定充電電圧値を16V以下とすることが好ましく、図1に示した如く15V以下とすることがさらに好ましい。
【0044】
サルフェーションの進行度合い(過放電の度合い)には種々あり、前記診断充電(2)において充電受け入れ性が回復しなかった鉛蓄電池の中には、さらに長時間充電するうちに充電受け入れ性が回復するもの(良品に区分されるもので、以下便宜上中程度の過放電電池と表記する。)もある。中程度の過放電電池と重度の過放電電池を区別するために、診断充電(2)を1回実施した時点または2回繰り返し行っても充電電圧が規定充電電圧値15V(2.5V/セル)を超える場合は、工程NO.40の診断充電(3)に移行し、例えば診断充電(2)と同じ電流で規定時間充電し、その間の充電電圧を計測する。該充電電圧が規定充電電圧値の15V以下に降下した場合は、良(充電により回復可)と判定し、その旨告知するとともに工程NO.50の通常の条件での充電プロセスに移行する。充電電圧が規定充電電圧値の15Vを超える場合は不良と判定し工程NO.A0へ移行し該蓄電池が不良であることが告知される。
【0045】
なお、診断充電(3)の規定充電時間および規定充電電圧値は、診断充電(2)の場合と同様に充電電流値によって影響を受けるものであり、特に限定されるものではない。前記好ましい電流値で充電した場合、規定充電時間は最大でも60分で十分であり、好ましくは最大30分とすることもできる。また、精度良く良否判定をするためには規定充電電圧値を16V以下とすることが好ましく、図1に示した如く15V以下とすることがさらに好ましい。
【0046】
図3は、中程度の過放電電池と重度の過放電電池を診断充電(3)にかけたときの充電電圧を示すグラフである。図3に示した例では充電電流値を診断充電(2)と同じ1/20ItAとした。図3に示すように、中程度の過放電電池の場合、充電を開始して約3分間は充電電圧が20Vを超えているが、3分経過以後徐徐に充電電圧が低下し、30分後には規定充電電圧値の15V以下にまで垂下し、良と判定された。
【0047】
前記診断充電で良品と判定された電池は、工程NO.50に進み、前記正規充電により充電する。本方法によれば、短時間で精度よく過放電された鉛蓄電池の良否を判定することができ、かつ不良品を正規充電にかけるという無駄を省くことができる。
【0048】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る過放電に陥った鉛蓄電池の良否判定および充電の流れを示す図である。本実施形態の場合は、前記請求項1、2および3に記載の判定の操作を組み合わせた方法である。
【0049】
前記第1の実施形態と異なる点は、計測された開回路電圧が規定開回路電圧値7Vを超えている場合に、工程NO.30´の診断充電(2´)へ移行する。前記のようにサルフェーションを起こした電池は、充電受け入れが悪い、従って、一定の充電電圧を印加した時に充電によって回復する見込みのある電池は、充電電圧を連続して印加すれば時間の経過とともに充電受け入れが良くなり、充電電流は上昇する。一方充電しても機能が回復せずに不良と判定される電池は、充電電流の上昇が認められない。工程NO.30´の診断充電(2´)において被検電池に16V(2.5V/セル)の一定の充電電圧を最大30秒間印加し、充電電流を計測する。
【0050】
図5は、軽度の過放電電池と重度の過放電電池を診断充電(2´)にかけたときの充電電流を示すグラフである。軽度の過放電電池においては充電開始後10〜20秒後に充電電流が規定充電電流値0.2A(1/20ItAに相当)以上の値にまで上昇している。一方重度の過放電電池においては充電電流が規定の充電時間内に殆ど上昇しない。このように充電電流が規定充電電流値以上になった場合に良と判定し、工程NO.50の通常の充電に進む。充電電流が規定充電電流値に達しない場合、必要と認めた場合には工程NO.30´に戻り再度診断充電(2´)を実施する。診断充電(2´)において充電電流が規定充電電流値に達しない場合は、前記実施形態と同じく、充電によって回復可能な電池と回復の見込みのない電池を区分するために、工程NO.40の0.2Aの定電流による診断充電(3)(回復充電を兼ねる)へ移行する。
【0051】
なお、ここでは省略するが、診断充電(3)の充電様式を診断充電(2´)と同じく定電圧充電様式{診断充電(3´)}とし、規定充電時間を30分間とすることもできる。該規定充電時間の充電で充電電流が前記規定充電電流値以上に上昇すれば良と判定し、通常の充電工程NO.50へ進む。一方充電電流値が規定充電電流値以上に上昇しない時は不良と判定し不良を示す電池異常を告知する。
【0052】
診断充電(2´)の規定充電時間および規定充電電流値は、充電電圧値によって影響を受けるものであり、特に限定されるものではない。前記好ましい電圧値で充電した場合、規定充電時間は最大でも60秒で十分であり、好ましくは最大30秒とすることもできる。精度良く良否判定をするためには規定充電電流値を1/50ItA以上とすることが好ましく、図4に示した如く1/20ItA以上とすることがさらに好ましい。
【0053】
本発明の別の実施形態は、前記実施形態に示した定電流または定電圧による充電に替えて、パルスを印加する。パルスを印加するメリットは、蓄電池の電解液あるいは電極内の充電反応に関与する反応物質あるいは充電によって生成する反応生成物の濃度の偏りによる濃度分極を抑制出来る点にあると考えられる。パルス充電を適用した場合、定電圧または定電流充電に比べて印加する電圧もしくは電流の波高値を高く設定することができる。このことによって、前記充電時の電気の流れを阻害している要因を除く効果が大きい利点がある。また、充電による蓄電池の良否判定、あるいは機能回復のための充電の速さを向上させることができる。診断充電において良と判定された鉛蓄電池を正規充電にて充電する。
【0054】
本発明の診断充電(2)、(2′)、(3)、(3′)に適用するパルスの波形は、特に限定されず、矩形波、ノコギリ形状のパルス波、サインカーブ形状のパルス波等、種々の形状のパルス波を適用出来る。パルス充電のメリットを生かす意味において、パルス電圧またはパルス電流の波高値を定電圧や定電圧充電の電圧や電流に比べて高く設定する。但し、パルス電圧、パルス電流の上限値を被検電池を破壊する虞のない値とする。
【0055】
パルス充電の場合、被検電池に印加する電圧は、波高値で2.5〜6.0Vが適当である。パルス電流値を一定にして充電する場合、充電開始時の印加電圧(波高値)が前記範囲にはいるように設定する。波高値の好ましい値は、パルス幅やパルスの周期によって影響されるが、波高値の設定は、被検電池を破壊せず、充電が促進されることを勘案して選ぶ。本発明においては、パルスの波高値として2.5〜6.0V/セルが適当であり、3.5〜5.0V/セルが好ましい。また、パルス電流の波高値が、1/20〜1/3ItAが好ましく、1/10〜1/5ItAがさらに好ましい。パルスの波高値が1/20ItA未満では診断充電に時間を要し、1/3ItA以上では電圧の波高値が6.0Vを超える虞が生じる。
【0056】
また、パルスの幅および周期は、特に限定されるものではないが、前記パルス充電を診断充電(1)に適用するときと同様、パルス幅およびパルスの間隔を数ミリ秒(ms)〜数十ミリ秒(ms)、1秒間当たりのパルス数を数十〜百回(回/s)とすることが好ましい。
【0057】
パルス充電において、電圧(波高値)を一定にして充電する場合、規定時間充電し、該充電時の充電電流の波高値が規定充電電流値以上になった場合に良と判定する。電流(波高値)を一定にして充電する場合、充電電流の波高値が一定のパルス波を印加して規定時間充電し、該充電時の充電電圧の波高値が規定充電電圧値以下に垂下した場合に良と判定する。
【0058】
パルス充電による診断充電における充電の規定時間、規定充電電流値、規定充電電圧値は、特に限定されないが、診断充電にパルス充電を適用した場合、前記図1に示した定電流充電における診断充電(2)に相当する診断充電においては、規定充電時間は最大40秒間あれば十分であり、好ましくは最大20秒間に設定する。また、図1に示した定電流充電における診断充電(3)に相当する診断充電においては、最大10分間で十分であり、好ましくは最大5分間に設定する。精度良く判定するために、規定充電電流値(波高値)を1/20ItA以上とすることが好ましく、1/10ItA以上とすることがさらに好ましい。また、規定充電電圧値(波高値)を2.8V/セル以下とすることが好ましく、2.5V/セル以下とすることがさらに好ましい。診断充電において良と判定された鉛蓄電池を正規充電にて充電する。
【0059】
パルスの電圧および電流の波高値を検知するには高価な検知機が必要となる。それに対してパルスの電圧および電流の平均値の検知は容易であり、安価な検知器により検知できる。従って、本発明におけるパルス充電を適用した鉛蓄電池の充電および良否判定においては、パルスの電圧および電流の平均値に基づいて充電を制御したり、良否を判定することがさらに好ましい実施形態である。
【0060】
前記パルス充電の例(印加するパルスの電圧または電流の波高値を一定とした充電)において、充電電圧または充電電流の平均値を基準値として良否を判定することも出来る。規定電圧値または規定電流値(パルスの平均値)は特に限定されるものではないが、精度良く良否判定を行うためには、規定充電電圧値(パルスの平均値)として、2.5/セル以下がこのましく、2.3V/セル以下がさらに好ましい。また、規定充電電流値(パルスの平均値)として、1/50ItA以上が好ましく、1/20ItA以上がさらに好ましい。
【0061】
パルス充電において印加するパルスを電圧または電流の平均値で規定することもできる。図6は、前記12V、4Ah、6セルシリーズ接続の二輪車用鉛蓄電池の診断充電{図1の診断充電(2)に相当}に、図7に示す平均値が0.16A(波高値が0.4A、パルス幅が0.2ms、パルスの間隔が0.6ms)で一定としたパルスを適用した時における充電電圧の平均値の時間的推移を示すグラフである。図6に示す如く、軽度の過放電電池は、充電電圧(パルス)の平均値が規定充電電圧値(15V、2.5V/セル)以下になり、良と判定する。一方、重度の過放電電池は、充電電圧の平均値が垂下せず不良と判定する。
【0062】
パルス充電において印加するパルスの電圧あるいは電流の平均値は、特に限定されるものではない。但し、1セル当たりに印加されるパルスの電圧の波高値が6.0V/セルを超えないように設定する。本発明においては、パルス幅、パルスの間隔(パルスの周期)を勘案してパルスの電圧または電流の平均値を設定する。設定に際しては、パルス幅を小さくして1セル当たりに印加するパルスの電圧の波高値が6.0V/セルを超えない範囲で印加電圧をできるだけ高くする方が前記充電阻止要因を取り除くのに有利である。具体的には印加するパルスの電圧の平均値を2.0〜2.5V、電流の平均値を1/50〜1/20ItAに設定することが好ましい。また、この場合の良否判定のための規定充電電圧や規定充電電流(パルスの平均値)も前記パルス充電の良否判定値と同様に特に限定されるものではないが、精度良く判定するためには、規定充電電圧(パルスの平均値)としては2.5V/セル以下が好ましく、2.3V/セル以下がさらに好ましい。また、規定充電電流(パルスの平均値)は、1/50ItA以上が好ましく、1/20ItA以上がさらに好ましい。
【0063】
図6に示した良品の充電電圧は、前記図2に示した良品の充電電圧に比べて早く垂下している。図6に示した例では、図7に示した波高値0.4ItAの充電電流(図2に示した例の充電電流は0.2ItA)という大きな充電電流を流している。このため、図6に示した例では充電開始時点における充電電圧の波高値が約30V(5V/セル、図示せず)に達しており、図2に示した例の約21V(約3.6V/セル)に比べて高い電圧が印加されている。このことによって、前記充電阻害要因が早く取り除かれ、良品の充電受け入れ性が早く回復したものと考えられる。このようにパルス充電を採用して瞬間的に高い電圧を印加することによって、被検電池の良否判定を速やかに行うことができる。なお、本発明の診断充電に適用するパルスは、前記のように電圧または電流の波高値が高いものであり、該パルスを長時間電池に印加すると電池の特性が劣化する虞があり好ましくはない、従って、本発明においては、パルス充電を鉛蓄電池の良否判定のための診断にのみ適用し、容量回復のための通常の充電には適用しない。
【0064】
以上、ブロック図で示した実施の形態においては診断充電(1)、診断充電(2)、および診断充電(3)を併せて備えるか、診断充電(1)、診断充電(2′)、および診断充電(3′)を併せて備える例を示した。前記実施形態のように複数の診断充電機能を併せて備えている場合には良否判定の精度が高く、好ましい実施の形態ではあるが、本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法においては必ずしもこれらの診断充電機能を全て備える必要はなく、前記の診断充電機能のうち少なくとも1つの診断充電機能を備えておればよい。
【0065】
図8は、本発明に係る充電器の回路構成の1例を示すブロック図である。B0は、該充電器の電源プラグであって商用の100Vないし200Vの電源に接続する。B1は、該充電器のON、OFFの操作をするためのスイッチである。B2は、AC電源の過電流保護用のヒューズである。
【0066】
C0は、一次側のACの電圧を降下して二次側に供給するための変圧器である。変圧器C0によって電圧を降下させた交流はリレースイッチD1をONにすることによってダイオードD0により整流された直流が診断用充電(診断兼回復充電を含む)の充電電流として充電器の正極出力端子G0および負極出力端子G1に接続された鉛蓄電池H0に供給される。E1は、充電電流の過電流保護用のヒューズである。
【0067】
蓄電池H0に印加される電圧または鉛蓄電池の開回路電圧は、分圧抵抗器F0によって調整され、電圧検出器F1によって計測される。充電電流は、電流検出器F2によって検出される。
【0068】
また、サイリスタE0によって整流され位相制御された直流が電流診断用兼普通充電用の充電電流として鉛蓄電池H0に供給され、充電中の充電電流および充電電圧は、電圧・電流検出回路F3によって計測される。F4は、検出状態監視、判定、経過時間管理、充電電圧、充電電流の管理、充電操作の管理を司る制御回路である。F5は、充電器の出力電圧、出力電流の操作、リレー操作、充電器の運転/警報表示操作を行うための操作回路である。
【0069】
F6は、運転状態の表示、判定結果を告知するための表示装置である。該表示装置がとり得る告知の方法は特に限定されず光や音が適用できる。ことに光による表示は電圧診断中、電流診断中、回復充電中、普通充電中など運転に応じて別々の光源を点灯または点滅することによって運転状態の区分を表示できる。また、判定結果の告知も良否の区分以外に診断充電(1)による不良判定、診断充電(2)電圧診断による不良判定、回復充電不能による不良判定など判定に応じて別々の光源を点灯することによって不良判定を区分して詳細に告知できる利点がある。
【0070】
本充電器は、1台で過放電に陥った鉛蓄電池の判定機能、良品を回復させるための充電機能および正規充電機能を併せ持っており、鉛蓄電池の取り扱いに関して専門的な知識のないユーザーにとって利便性の高い充電器である。
【発明の効果】
【0071】
本発明の請求項1に係る発明は、過放電に陥った鉛蓄電池の機能を短時間で回復させるのに有効な充電方法である。
【0073】
本発明の請求項2に係る発明は、過放電に陥った鉛蓄電池の機能を回復させるのに有効な充電方法である。
【0074】
本発明の請求項3に係る発明は、充電によって回復すると判定された鉛蓄電値のみを正規充電にかけることができ、回復不能の蓄電池の充電を長時間かけて試みるという無駄を省くことができる。
【0075】
本発明の請求項4、5に係る発明によれば、充電の対象外である異種電池や不良品を迅速に排除することができる。
【0076】
本発明の請求項6、7に係る発明によれば、過放電に陥った鉛蓄電池の良否を精度良く短時間で判定することが出来る。
【0077】
本発明の請求項8に係る発明によれば、過放電に陥った鉛蓄電池の良否を精度良く、さらに短時間で判定することが出来る。
【0078】
本発明の請求項9に係る発明によれば、1台の充電器で過放電に陥った鉛蓄電池の良否判定および充電を容易に且つ速やかに行うことができるとともに、良否判定結果を即座に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法および充電過程の1例を示すブロック図である。
【図2】過放電に陥った鉛蓄電池を本発明係る定電流充電による診断充電(2)を行ったときの被検電池の開回路電圧と充電時間の関係を示すグラフである。
【図3】過放電に陥った鉛蓄電池を本発明係る定電流充電による診断充電(3)を行ったときの充電電圧と充電時間の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に係る鉛蓄電池の良否判定方法および充電過程の1例を示すブロック図である。
【図5】過放電に陥った鉛蓄電池を本発明係る定電圧充電による診断充電(2´)を行ったときの充電電流を示すグラフである。
【図6】本発明に係るパルス充電における充電電圧の平均値と充電時間の関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係るパルス充電に適用するパルス波の波形の1例を示すグラフである。
【図8】本発明に係る充電器の1構成例を示すブロック図である。
【図9】従来の鉛蓄電池の良否判定方法および充電方法の1例を示すブロック図である。
【符号の説明】
D0 ダイオード
E0 サイリスタ
F1 電圧検出器
F2 電流検出器
F3 電圧・電流検出回路
H0 被充電(被検)電池
Claims (9)
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池にパルス波状の電力を印加して充電(パルス充電)する方法であって、前記パルス波状電力の電圧の波高値を1セル当たり2.5〜6.0V/セルとし、前記印加する電力の電圧の波高値または平均値、あるいは電流の波高値または平均値を一定として充電することを特徴とする鉛蓄電池の充電方法。
- 請求項1に記載の方法を適用して過放電状態に陥った鉛蓄電池を充電する方法であって、電圧を一定またはパルス波状電力の電圧の波高値または平均値を一定にした場合には充電電流の波高値または平均値が規定電流値以上になるまで、電流を一定またはパルス波状電力の電流の波高値または平均値を一定にした場合には充電電圧の波高値または平均値が規定電圧値以下に垂下するまで充電を行うことを特徴とする鉛蓄電池の充電方法。
- 請求項2に記載の充電に引き続き、正規充電を行うことを特徴とする鉛蓄電池の充電方法。
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池を定電流充電することによって該鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、規定時間の定電流充電時の充電電圧が規定充電電圧値以上に上昇したときに、または該充電終了後の開回路電圧が規定開回路電圧値以上に上昇したときに該鉛蓄電池を良と判定する鉛蓄電池の良否判定方法。
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池を、電流の波高値および/または平均値を一定にしたパルス波状の充電電流により充電(パルス充電)することによって該鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、規定時間のパルス充電時の充電電圧の波高値もしくは平均値が規定充電電圧値以上に上昇したときに、または該充電終了後の開回路電圧が規定開回路電圧値以上に上昇したときに該鉛蓄電池を良と判定する鉛蓄電池の良否判定方法。
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池を定電流充電することによって該鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、充電開始時に該鉛蓄電池に2.5〜4.0V/セルの充電電圧が印加されるように充電電流を設定し、該充電電流を一定、充電電圧を可変として規定時間充電したときの充電電圧が規定充電電圧値以下に垂下したときに該鉛蓄電池を良と判定する鉛蓄電池の良否判定方法。
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池を定電圧充電することによって該鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、充電開始時に該鉛蓄電池に2.5〜4.0V/セルの充電電圧を印加して規定時間充電したときの充電電流が規定充電電流値以上に上昇したときに該鉛蓄電池を良と判定する鉛蓄電池の良否判定方法。
- 過放電状態に陥った鉛蓄電池に電圧の波高値が2.5〜6.0V/セルのパルス波状の電力を印加して充電(パルス充電)することによって該鉛蓄電池の良否を判定する方法であって、充電開始時の充電電圧の波高値が2.5〜6.0V/セルの範囲で変化する一定の充電電流の波高値または平均値を設定して規定時間の充電を行い、該充電時の充電電圧の波高値または平均値が規定充電電圧値以下に垂下したとき、または充電開始時の充電電圧の波高値が2.5〜6.0V/セルの範囲の一定値に設定して規定時間の充電を行い、該充電時の充電電流の波高値または平均値が規定電流値以上に上昇したときに、該鉛蓄電池を良と判定する鉛蓄電池の良否判定方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の充電機能と、請求項4〜8記載の少なくとも一つの良否判定機能および/または前記良否判定機能に基づく良否判定結果の告知機能とを備えることを特徴とする充電器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365009A JP4360083B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002365009A JP4360083B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004199933A JP2004199933A (ja) | 2004-07-15 |
JP4360083B2 true JP4360083B2 (ja) | 2009-11-11 |
Family
ID=32762678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002365009A Expired - Fee Related JP4360083B2 (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4360083B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4893312B2 (ja) * | 2005-01-17 | 2012-03-07 | 株式会社Gsユアサ | 鉛蓄電池の良否判定方法及び良否判定装置 |
CN100428558C (zh) * | 2006-09-22 | 2008-10-22 | 北京清大华美环保节能技术研究院 | 一种铅酸蓄电池检测修复方法及*** |
WO2008078552A1 (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-03 | Panasonic Corporation | 非水系電解質二次電池の充電方法、電子機器、電池パックおよび充電器 |
FR2914429B1 (fr) * | 2007-03-28 | 2009-08-21 | Peugeot Citroen Automobiles Sa | Methode de determination d'une capacite de charge d'une batterie de type plomb-liquide |
JP5616043B2 (ja) * | 2009-09-28 | 2014-10-29 | 株式会社マステック | 鉛蓄電池の再生方法および該方法に用いられる鉛蓄電池の再生装置 |
CN102427147A (zh) * | 2011-12-07 | 2012-04-25 | 山东圣阳电源科技有限公司 | 一种车用铅酸蓄电池的充电方法 |
JP5938633B2 (ja) * | 2012-09-28 | 2016-06-22 | 三菱自動車工業株式会社 | 電池の充電可否判断装置 |
CN114374003B (zh) * | 2021-12-13 | 2024-04-19 | 安徽力普拉斯电源技术有限公司 | 一种识别两轮车用深循环电池内化成充电微短路的方法 |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002365009A patent/JP4360083B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004199933A (ja) | 2004-07-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4377164B2 (ja) | 蓄電装置の異常検出方法、蓄電装置の異常検出装置および蓄電システム | |
US8106632B2 (en) | Method for managing a bank of rechargeable batteries using the coup de fouet effect on charging | |
WO2012053487A1 (ja) | バッテリー充電器およびバッテリー充電方法 | |
US11735779B2 (en) | Reconditioned battery pack and method of making same | |
US20110234166A1 (en) | Battery module state detection method | |
US20100213901A1 (en) | Secondary battery charge control method and charge control circuit | |
JP7145865B2 (ja) | 充電可能電池短絡予測装置および充電可能電池短絡予測方法 | |
US20100117604A1 (en) | Lead acid battery de-sulfation | |
CN105510831A (zh) | 用于监测机动车辆中电池的状态的方法 | |
JP4360083B2 (ja) | 鉛蓄電池の充電方法と良否判定方法および充電器 | |
JP2008125199A (ja) | パック電池の制御方法 | |
KR20220102454A (ko) | 배터리 시스템 진단 장치 및 방법 | |
CN108695912A (zh) | 电池充放电电流监测方法、装置 | |
JPH0937478A (ja) | 充電器 | |
CN103401037A (zh) | 一种牵引蓄电池的充电方法 | |
KR100984556B1 (ko) | 황산화된 배터리를 복원하는 장치 및 방법 | |
KR101004762B1 (ko) | 배터리 복원장치 및 방법 | |
JP7508711B2 (ja) | バッテリー診断装置、バッテリーパック、電気車両、及びバッテリー診断方法 | |
JP2021525437A (ja) | バッテリー管理装置及び方法 | |
CN1647340A (zh) | 微处理器控制的具有极性保护的升压装置 | |
CN114600299A (zh) | 一种电池组保护方法及装置 | |
KR20130039684A (ko) | 축전지 수명 진단 기능을 구비한 충전 시스템 | |
EP3611817A1 (en) | Appratus and method of controlling battery | |
TWI288516B (en) | Method and apparatus for vehicle battery power management system | |
JP3862078B2 (ja) | 二次電池回復方法と二次電池充電装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050909 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20051219 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060125 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080207 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080324 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090721 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090803 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4360083 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |