JP4359670B2 - 凍結用具 - Google Patents

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Description

本発明は、卵子、胚や組織細胞などの生物学的標本を凍結保存する際に使用する凍結用具に関する。
産業として確立している牛の胚移植技術に用いられる胚は、受胚牛の発情周期に合わせて移植を行うのが一般的である。そのため、生産した胚を液体窒素である凍結物質の中で一定期間保存することが必要である。このような生物標本の生存性を維持したまま長期間保存する方法として、低温での凍結保存法が多く利用されている。
凍結保存の従来法としては、保存液を氷結させて細胞内の自由水を脱水しながらゆっくりと冷却する緩慢冷却法と、高濃度耐凍剤を含んだ保存液を超急速に冷却してガラス化状に固化させることにより、種々の生物標本を高い生存性を維持したまま長期間保存することが可能なガラス化法とが知られている。
例えば、特許文献1には、生物学的標本を移動用器具に置いて、この移動用器具を直接凍結物質の中に置くことにより、生物学的標本を直接凍結物質に暴露し、ガラス化することが記載されている。また、移動用器具として、ループ、ネットおよびヘラからなる群から選択すること、好ましくはループであることが記載されている。なお、ヘラについての詳細な記載はない。
また、特許文献2には、ガラス化に用いる用具として、耐寒性材料により形成された本体部と、本体部の一端に取り付けられ、可撓性かつ透明性かつ液体窒素耐性材料により形成された卵付着保持用ストリップと、卵付着保持用ストリップを被包可能に本体部に着脱自在に取り付けられる一端が封鎖され、かつ耐寒性材料により形成された筒状部材からなる卵凍結保存用具が記載されている。卵付着保持用ストリップは、本体部の一端の円柱状部の先端に形成された軸方向に延びる凹部に、真っ直ぐに取り付けられている。
特表2002−543041号公報 特開2002−315573号公報
緩慢冷却法により牛胚を凍結すると、胚が凍結により障害を受けてしまうため、胚移植の融解時に生存率の減少が見られる。特に、体外受精胚は、従来の凍結による悪影響の感受性が高く、融解後72時間後の生存率が70%に達しない。そのため、移植後の受胎率も自ずと低い傾向にある。
そこで、別の保存法として高濃度耐凍剤を用いたガラス化法が考案され、牛胚移植技術においても、卵子および胚のガラス化技術が実験レベルで利用されているのであるが、商業レベルで利用するためには、ガラス化の費用が高いという問題がある。
また、特許文献2に記載の用具にあっては、卵付着保持用ストリップが、本体部の一端の円柱状部の先端に真っ直ぐに取り付けられているため、本体部を手で保持して卵付着保持用ストリップの先端部を液体窒素に浸漬する際、この卵付着保持用ストリップの先端に付着させた卵子およびガラス化液が安定しにくい。
そこで、本発明においては、標本の長期保存において融解後の標本の生存性を維持しつつ、保存作業を確実かつ簡便に行うことが可能な凍結用具を提供することを目的とする。
本発明の凍結用具は、卵子、胚や細胞組織などの生物学的標本を凍結液で包被して一端に保持し、凍結物質の中に浸漬することによりガラス化するための凍結用具であって、直線糸状の本体部と、この本体部の一端に勾配を設けて形成された平面状の保持部とを備えたものである。
本発明の凍結用具では、本体部の一端に平面状の保持部が勾配を設けて形成されているため、この平面状の保持部の平面が略水平となるように本体部を斜め下向きに保持した状態を維持したまま、平面状の保持部の上面に凍結液で包被した生物学的標本を滴下して保持し、凍結物質の中へ浸漬することにより、生物学的標本のガラス化を行うことができる。
ここで、平面状の保持部の本体部に対する勾配は、20〜40°とするのが望ましい。この範囲とすることで、凍結液で包被した生物学的標本の滴下および保持並びに凍結物質の中への浸漬時の作業性を維持しつつ、凍結用具全体の幅を小さくすることができる。勾配が20°より小さい場合、保持部の平面を略水平とするためには本体部を水平に近く保持することになり、生物学的標本および凍結液の重量によってこれらの滴下時および保持時に本体部が斜めになってしまい、保持部の平面を略水平に維持するのが困難となることがある。一方、勾配が40°より大きい場合、保持部の平面を略水平とするためには本体部を垂直に近く保持することになり、顕微鏡下で生物学的標本および凍結液の滴下および保持を行う場合に、顕微鏡に干渉してしまい、これらの作業が困難となることがある。
また、本発明の凍結用具は、本体部の他端に磁力により引き寄せ可能な磁性体材料を備えたものとするのが望ましい。これにより、ガラス化後、凍結用具ごとそのまま細い標本保存筒内に入れて冷凍保存した生物学的標本を、この細い標本保存筒から取り出す際、磁力によって本体部の他端を引き寄せて容易に取り出すことができる。
また、この本体部の他端は、着色したものとするのが望ましい。これにより、ガラス化後、凍結用具ごとそのまま細い標本保存筒内に入れて冷凍保存した生物学的標本を、この着色によって識別することができる。
また、本体部および保持部は、有色透明とするのが望ましい。これにより、本体部および保持部が光を透過するため、凍結液で包被した生物学的標本をそのまま顕微鏡で確認することができるとともに、有色であることから、凍結物質の中に浸漬した際、凍結物質内で凍結用具を容易に視認することができる。
また、本体部は、ポリアミド繊維製の糸とするのが望ましい。本体部がポリアミド繊維製の糸であれば、−190〜−200℃の凍結物質内に浸漬されても、可撓性を保持することができる。
(1)直線糸状の本体部と、この本体部の一端に勾配を設けて形成された平面状の保持部とを備えたことにより、平面状の保持部の平面が略水平となるように本体部を斜め下向きに保持した状態を維持したまま、平面状の保持部の上面に凍結液で包被した生物学的標本を滴下して保持し、凍結物質の中へ浸漬することができる。これにより、ガラス化法による保存作業を確実かつ簡便に行うことができ、標本を高い生存性を維持したまま凍結保存することができる。また、保持部の上面に滴下した生物学的標本を含む凍結液が本体部と保持部との境界で堰き止められるため、少ない凍結液で確実に生物学的標本を包被することができる。さらに、この凍結用具は、主に直線糸状の本体部と、この本体部の一端に勾配を設けて形成された平面状の保持部とから構成され、簡単な構造であることから、安価に提供でき、ガラス化の費用を低廉とすることができる。
(2)勾配を20〜40°とすることで、凍結液で包被した生物学的標本の滴下および保持並びに凍結物質の中への浸漬時の作業性を維持しつつ、凍結用具全体の幅を小さくすることができるため、細い標本保存筒からの出し入れ作業も容易となる。
(3)本体部の他端に磁力により引き寄せ可能な磁性体材料を備えたことにより、ガラス化後、凍結用具ごとそのまま細い標本保存筒内に入れて冷凍保存した生物学的標本を、この細い標本保存筒から取り出す際、磁力によって本体部の他端を引き寄せて容易に取り出すことができる。
(4)本体部の他端を着色したことにより、ガラス化後、凍結用具ごとそのまま細い標本保存筒内に入れて冷凍保存した生物学的標本を、着色によって識別することができ、生物学的標本を容易に管理することが可能となる。
(5)本体部および保持部が、有色透明であることにより、凍結液で包被した生物学的標本をそのまま顕微鏡で確認することができるとともに、有色であることから、凍結物質の中に浸漬した際、凍結物質内で凍結用具を容易に視認することができ、作業性が向上する。
(6)本体部が、ポリアミド繊維製の糸であることにより、−190〜−200℃の凍結物質内に浸漬されても、可撓性を保持することができるため、本体部に加わる力が保持部に保持された生物学的標本および凍結液に伝わることがなく、生物学的標本を損傷することがない。
図1は本発明の実施の形態における凍結用具1を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は凍結液で包被した生物学的標本を保持した状態を示す側面図、(d)は凍結液で包被した生物学的標本を保持した状態を示す平面図である。図1に示すように、本実施形態における凍結用具1は、卵子、胚や細胞組織などの生物学的標本(以下、「標本」と称す。)Eを凍結液Lで包被して一端に保持し、凍結物質の中に浸漬することによりガラス化するための用具であって、本体部2、保持部3および識別部4により構成される。
本体部2は、耐寒性、液体窒素耐性、耐伸縮性かつ耐変質性を有するポリアミド繊維(例えば、表面円滑ナイロン等)からなる直線糸状の線維素材である。この本体部2の全長は5〜40mm、直径は0.2〜0.4mmである。また、本体部2は有色透明とすることにより、凍結物質の中に浸漬した際、凍結物質内でその目視確認が容易となり、かつピンセットなどの把持具による把持および誘導が容易となるようにしている。
保持部3は、本体部2の延長であり、本体部2の一端に20〜40°の勾配を設けて平面状に形成されたものである。保持部3の幅は、0.3〜0.6mm、長さは0.5〜2.0mmである。なお、少なくとも保持部3の内側(本体部2とのなす角が鈍角である面(以下、「上面」と称す。)の側)は、平面状とする。また、保持部3は、本体部2と同じ材質であり、保持部3の厚さは約0.1mmである。
保持部3は、本体部2と同様、有色透明であるため、凍結液Lにより包被した標本Eを平面部の内側に滴下すると、標本がピペット内から保持部3に移行したことを容易に確認できる。また、この保持部3から凍結物質内へと浸漬していく際も、保持部3が凍結物質内へ挿入されていくのを容易に確認できる。
なお、本体部2および保持部3は、ポリアミド繊維製であるため、−190〜−200℃の凍結物質内に浸漬されても、可撓性を保持することができる。したがって、本体部2に外部から加わる力が保持部3に保持された標本Eおよび凍結液Lに伝わることがなく、標本Eを損傷することがない。
また、このポリアミド繊維製の本体部2の全長が5〜40mmであるため、可撓性を有する本体部2自らの重量に耐えて直線状を保つことができ、過剰な振動も本体部2から保持部3へ伝わらないため、凍結液Lで包被した生物学的標本Eの保持部3への滴下が容易に行える。また、凍結物質内での凍結用具1の視認が容易である。
なお、本体部2の全長が5mmより短い場合、凍結用具1の小型化による取り扱いが不便になり、凍結物質内での凍結用具1の存在確認が困難となる。また、全長が40mmより長い場合、可撓性を有する本体部2自らの重量で傾斜が起こり、また、過剰な振動が本体部2から保持部3へ伝わるようになるため、保持部3への凍結液Lで包被した生物学的標本Eの滴下が困難となる。
また、本体部2の直径が0.2mmよりも小さく過細な場合、凍結用具1の強度が減少してしまうため、凍結液Lで包被した生物学的標本Eの滴下が困難となるとともに、凍結物質内での凍結用具1の確認が困難となる。また、本体部2の直径が0.4mmよりも大きく過大な場合、凍結完了後に標本保存筒内へ多数保存するのが困難となる。
また、保持部3の幅が0.3〜0.6mm、長さが0.5〜2.0mmであることによって、滴下量を少なくすることができ、滴下量が少ないことによって、生存性の高い凍結を行うことが可能となる。なお、保持部3の長さが0.5mmより短い場合、保持部3の長さが小さすぎることによって滴下作業が困難になるとともに、滴下量が少なすぎて生物学的標本Eの凍結が困難となる。また、2.0mmより長い場合、滴下量が過剰となり、高い生存性の凍結が困難となる。
識別部4は、本体部2に対して保持部3の反対側の他端に形成されている。識別部4は、外径0.5〜0.8mm、内径0.3〜0.5mmの1〜2mm長の着色鉄製管を、本体部2の末端部に包被装着したものである。また、装着した鉄製管は、振動や伸縮による本体部2からの脱落を防止する目的で、本体部2の反対側の保持部3の平面部と同じ側の面を軽度に押し潰して平面化している。
なお、この識別部4は、磁性体材料としての強磁性体である鉄により形成されているため、磁力により引き寄せ可能である。そのため、磁石等の利用により、この識別部4を引き寄せることで、本実施形態における凍結用具1を容易に誘導することが可能である。
次に、上記構成の凍結用具1の使用法について、図2を参照して説明する。図2は本実施形態における凍結、保存および融解の工程を示す説明図である。なお、生物体を取り扱うにあたり、本凍結用具1は、清浄かつ滅菌用ガスや生物死活線等で滅菌処理したものを使用する。
(凍結法)
標本の凍結方法は、図2に示すように、(ア)一またはそれ以上の標本Eを平衡液B1,B2で数段階平衡した後、凍結液Lに短時間浸漬する。その後、標本Eを凍結液Lとともにパスツールピペット5に吸引し、(イ)実体顕微鏡下で確認しながら、ピンセット6により把持する凍結用具1の保持部3に滴下し、(ウ)決められた時間に凍結用具1全体を液体窒素等の凍結物質Fに投入し凍結する。次に、(ウ)凍結した凍結用具1の識別部4側を保持し、既存の耐寒性の標本保存筒7に凍結物質Fとともに挿入し、(エ)閉蓋して保管器8で保存する。
(融解法)
標本の融解方法は、図2に示すように、(オ)予め用意した凍結物質F内へ保管器8から取り出した標本保存筒7を入れ、標本保存筒7から凍結用具1を引き出し、(カ)識別部4を保持して、速やかに融解希釈液Wに保持部3を投入し、融解する。(キ)融解した標本Eは顕微鏡下で必要な段階希釈(希釈液W1,W2)を行い、保存液Mに投入後、種々の作業に利用する。
以上のように、本実施形態における凍結用具1は、直線糸状の本体部2と、この本体部2の一端に勾配を設けて形成された平面状の保持部3とを備えたことにより、平面状の保持部3の平面が略水平となるように本体部2を斜め下向きに保持した状態を維持したまま、平面状の保持部3の上面に凍結液Lで包被した標本Eを滴下して保持し、凍結物質Fの中へ浸漬することができる(図2(イ)、(ロ)参照。)。
したがって、本実施形態における凍結用具1を利用することで、ガラス化法による保存作業を確実かつ簡便に行うことができ、標本Eを高い生存性を維持したまま凍結保存することができる。また、本実施形態における凍結用具1では、保持部3の上面に滴下した標本Eを含む凍結液Lが本体部2と保持部3との境界で堰き止められるため、少ない凍結液で確実に標本Eを包被することができる。
本実施形態における凍結用具1では、滴下に必要な液量は約0.3μlと極少量である。このように本実施形態における凍結用具1では、標本Eの凍結に必要な凍結液Lは微少量であるため、凍結物質Fに直接暴露することで、融解後の生存率の高い超急速冷却が可能である。
また、保持部3の本体部2に対する勾配を20〜40°とすることで、凍結液Lで包被した標本Eの滴下および保持並びに凍結物質Fの中への浸漬時の作業性を維持しつつ、凍結用具1全体の幅を小さくすることができるため、細い標本保存筒7であっても出し入れ作業が容易である。
また、本体部2の保持部3と反対側の他端に磁力により引き寄せ可能な磁性体材料である鉄により形成された識別部5を備えたことにより、ガラス化後、凍結用具1ごとそのまま細い標本保存筒7内に入れて冷凍保存した標本Eを、この細い標本保存筒7から取り出す際、磁力によってこの識別部5を引き寄せて容易に取り出すことができる。
また、この識別部5を着色していることから、ガラス化後、凍結用具1ごとそのまま細い標本保存筒7内に入れて冷凍保存する場合に、この冷凍保存した標本Eを、この識別部5の着色によって識別することができ、標本Eを容易に管理することが可能となる。
また、本体部2および保持部3が、有色透明であることにより、凍結液Lで包被した標本Eをそのまま顕微鏡で確認することができるとともに、有色であることから、凍結物質Fの中に浸漬した際、凍結物質F内で凍結用具1を容易に視認することができ、作業性が向上している。
また、本実施形態における凍結用具1は、その材質により常温において、過剰な圧力等を加えない限り、変性、伸縮、脆弱化することがないため、衛生的処理を行うことで再利用することも可能である。
本実施形態における凍結用具1を用いてウシ体外受精胚の超急速ガラス化を行い、その生存性を調査した。
(1)卵子採取
と畜場でと畜された雌ウシから卵巣を切り取り、20℃の抗生物質を添加したビタミンB1加リンゲル液で洗浄後、と畜から6時間内に卵胞卵子を吸引した。吸引は、直径10mm以内の形態的に正常な卵胞から、18ゲージまたは20ゲージの鈍尖注射針を装着した注射筒に予め吸引しておいた0.3%ウシ血清アルブミン(BSA)を添加したダルベッコリン酸緩衝液(D−PBS)とともに、卵丘細胞卵子複合体(COCs)を吸引した。
(2)卵子成熟
形態的に良好なCOCsを、5%仔ウシ血清(CS)を添加したTCM199(卵子成熟液)で2回洗浄後、1ウェルあたり50個のCOCsを流動パラフィンで覆った卵子成熟液500μlで、5%CO2、95%空気および38.5℃の気相条件下で20時間から22時間成熟した。
(3)体外受精
黒毛和種牛凍結***を38℃で融解後、融解***をテオフィリンおよびカフェインを添加したブラケットとオリファント液(BO液)で希釈して遠心分離を2回施して洗浄し、濃縮***を***濃度で107/mlにBSAおよびヘパリンを添加したBO液で***液を調製した。***液で200μlドロップを作成し、成熟卵子50個を導入し、流動パラフィンで覆い、5%CO2、95%空気および38.5℃の気相条件下で4時間媒精した。
(4)体外発生
媒精完了した卵子を、10%CSを添加したグルコース不含TCM199(初期発生培地)で洗浄後、1ウェルあたり50個の卵子を卵子成熟に用いた同じウェルに、初期発生培地500μl内で3日または4日培養し、その後10%CSを添加したTCM199(後期発生培地)に交換し、その後2日おきに新鮮な後期発生培地200μlを交換し、受精8日まで培養した。培養気相条件は5%CO2、95%空気および38.5℃で行った。
(5)供試胚
体外受精後7日または8日において、形態的に栄養膜細胞が単層で均一に発育した上、充実した内部細胞塊を有している拡張胚盤胞期胚を、20%CS添加D−PBS(保存液)で洗浄後、37℃の保存液中で保存して、緩慢冷却による凍結またはガラス化に供試した。
(6)胚の緩慢冷却凍結
発生胚を10%エチレングリコール、0.1Mシュクロースおよび20%CSを添加したD−PBS(10ES)に導入し、15分平衡し、0.25mlプラスチックストローに吸引封入した。プログラムフリーザを用い、−7℃の冷媒中にストローをセットし、2分経過後液体窒素で冷却した金属製ピンセットを用い強制植氷した。強制植氷して10分経過後、0.3℃/分で緩慢冷却して、−30℃に到達した後、液体窒素へ導入し保存した。
(7)胚の超急速ガラス化
発生胚を2種類のガラス化液でガラス化した。1つは、10%グリセロール、0.1Mシュクロース、0.1Mキシロースおよび1%ポリエチレングリコールを添加したD−PBS(VS1)、および、10%グリセロール、10%エチレングリコール、0.2Mシュクロース、0.2Mキシロースおよび2%ポリエチレングリコールを添加したD−PBS(VS2)に順次5分前平衡し、20%グリセロール、20%エチレングリコール、0.3Mシュクロース、0.3Mキシロースおよび3%ポリエチレングリコールを添加したD−PBS(GESX)に浸漬した。
もう一つのガラス化は、10%エチレングリコール、10%ジメチルスルホキシドおよび20%CSを添加したTCM199で5分前平衡を行い、20%ジメチルスルホキシド、20%エチレングリコールおよび20%CSを添加したTCM199(VS)に浸漬して、GESXも同様に胚をパスツールピペットで吸い上げ、実体顕微鏡下で凍結用具1の保持部3に滴下した。
胚をGESXまたはVSへ浸漬してから30秒後に凍結用具1を、素早く液体窒素に投入し、超急速ガラス化を行った。ガラス化した凍結用具1は、液体窒素中で市販の耐寒性サンプルチューブに導入後、封閉して液体窒素内で保存した。
(8)緩慢冷却凍結胚の融解
凍結ストローを液体窒素から取り出し、室温で6秒保持し、その後30℃温湯中で20秒維持することで胚を融解した。次に融解したストローを室温で5分保持し、封印側をストローカッターで切断し、ストローの綿栓側から圧力をかけ、凍結液とともに胚を押し出した。次に胚を保存液に導入して凍結液を希釈した。
(9)超急速ガラス化胚の加温
液体窒素からピンセットでガラス化した凍結用具1をつまみ、保持部3を素早く0.5Mシュクロースおよび20%CSを添加したD−PBSへ導入して、胚を凍結用具1から加温離脱した。この状態で5分浸漬し、次に胚を0.25Mシュクロースおよび20%CSを添加したD−PBSへ導入し、再び5分浸漬してガラス化液の希釈を行った。加温希釈は室温下で行い、ガラス化液希釈後は37℃の保存液に導入して保存した。
(10)融解または加温胚の培養
融解または加温した緩慢冷却凍結胚および超急速ガラス化胚は、100μMベータメルカプトエタノールおよび20%ウシ胎仔血清を添加したTCM199(培養液)で数回洗浄後、流動パラフィンで覆った1胚あたり20μlの培養液ドロップで72時間培養した。培養の気相条件は5%CO2、95%空気および38.5℃で行った。
(11)保存胚の生存性調査
融解または加温した胚は培養開始から24時間、48時間および72時間で生存、発育および状態を観察した。
(12)統計処理
保存胚の融解または加温後の生存胚数および透明帯脱出胚数を同系列内でカイ自乗検定を行った。
(13)保存胚の生存率
融解または加温後培養した体外受精胚の生存率は、24時間後で10ES:72%、VS:87%およびGESX:100%、48時間後で67%、86%および99%、72時間後で65%、83%および99%とガラス化液VSおよびGESXは80%以上の生存率を維持した。
しかし、緩慢冷却区は24時間後で生存率72%であり、その後も経時的に下降が見られ、両ガラス化液は緩慢冷却液より有意(p<0.05)に高い生存率を示した。また、両ガラス化液では加温後72時間後で99%の生存性を示したGESXがVSより有意(p<0.001)に高い生存率を示した。表1に保存胚の融解または加温後生存率を示す。表1から分かるように、aとbの有意差はp<0.05、cとdの有意差はp<0.01、eとfの有意差はp<0.005、gとhの有意差はp<0.001、iとjの有意差はp<0.0005であった。
Figure 0004359670
(14)保存胚の透明帯脱出率
融解または加温後培養した体外受精胚の透明帯脱出率は、24時間後で10ES:15%、VS:10%およびGESX:62%、48時間後で33%、51%および96%、72時間後で48%、61%および97%と全ての試験区で経時的に上昇が見られた。48時間および72時間後ではガラス化が緩慢冷却より透明帯脱出率が高い傾向にあった。特に、ガラス化液GESXは加温後24時間後で62%、48時間後には96%が透明帯を脱出し、脱出した胚は細胞発育並びに内部細胞塊の形態等良好な発生経過を示した。表2に保存胚の融解または加温後透明帯脱出率を示す。表2から分かるように、aとbの有意差はp<0.05、cとdの有意差はp<0.0005であった。
Figure 0004359670
本発明の凍結用具は、卵子、胚や組織細胞などの生物学的標本を凍結保存する用具として有用である。特に、種々の生物標本を高い生存性を維持したまま長期間保存することが可能なガラス化法の凍結用具として好適である。
本発明の実施の形態における凍結用具1を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は凍結液で包被した生物学的標本を保持した状態を示す側面図、(d)は凍結液で包被した生物学的標本を保持した状態を示す平面図である。 本実施形態における凍結、保存および融解の工程を示す説明図である。
符号の説明
1 凍結用具
2 本体部
3 保持部
4 識別部

Claims (5)

  1. 物学的標本を凍結液で包被して一端に保持し、凍結物質の中に浸漬することによりガラス化し、ガラス化後、そのまま標本保存筒内に入れて冷凍保存するための凍結用具であって、ポリアミド繊維からなる直径0.2mm〜0.4mmの直線糸状の本体部と、この本体部の一端に勾配を設けて形成された平面状の保持部とを備え、前記本体部の前記保持部に対して反対側の他端に磁力により引き寄せ可能な磁性体材料を備えた凍結用具。
  2. 前記勾配は、20〜40°である請求項1記載の凍結用具。
  3. 前記磁性体材料は、鉄である請求項1または2に記載の凍結用具。
  4. 前記本体部の前記保持部に対して反対側の他端を着色した請求項1からのいずれかに記載の凍結用具。
  5. 前記本体部および保持部は、有色透明である請求項1からのいずれかに記載の凍結用具。
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