JP4357924B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。本発明で得られるポリオレフィン系樹脂組成物は、柔軟性を有しつつ、特に耐熱性、力学的特性、耐溶剤性のバランスに優れ、電線被覆、各種ケーブルの被覆、チューブ、フィルム、シートなどの用途に有効に利用することができる。
ポリオレフィン系樹脂は、一般的に適度な耐熱性を持ち、耐溶剤性に優れるという特徴を生かして、電線被覆、ケーブル被覆、チューブ、ラミネート用フィルム、農業用フィルム、ストレッチ・ラップ用フィルム、接着フィルム、医療用フィルムなどのフィルム、農業用シートなどのシート用途、加工紙、射出成型用途、パイプ、結束テープ、フラットヤーン、繊維など広範囲の用途に使用されている。しかしながら、電線被覆、チューブ、フィルム、シートなどの用途においては、さらなる物性向上、例えば耐熱性や耐溶剤性の向上が要求されているのが現状である。
ポリオレフィン系樹脂に力学的特性、耐熱性、耐溶剤性を付与する方法として、ポリオレフィン系樹脂に架橋性モノマーを混合した架橋性ポリマー組成物に活性エネルギー線を照射する方法が知られている(特許文献1参照)。また、ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体、あるいはポリエチレンとスチレン系ブロック共重合体をブレンドする方法による試みがなされている(特許文献2参照)。
一方、炭素数8以上の非共役ジエンを共重合させた架橋性の高いエチレン共重合体をポリエチレンに配合してなる電子線架橋用ポリエチレン樹脂組成物(特許文献3参照)や、少なくとも1種の他のモノマーと共重合化されたエチレンインターポリマー(好ましくは均質分岐エチレンポリマー)を含み、硬化、照射または架橋された該エチレンポリマーを包含する成形品が提案されている(特許文献4参照)。さらに、シラン変性したポリオレフィンと、ポリプロピレンを含有する架橋組成物も提案されている(特許文献5参照)。
そして、エチレン−プロピレンゴムに結晶性ポリマー(好ましくはポリエチレン)および無機充填剤を配合した組成物を電離性放射線で架橋したエラストマーの製造方法(特許文献6参照)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体にポリプロピレン、油、安定剤および架橋助剤を添加してなる架橋性樹脂組成物を電子線架橋や化学架橋により架橋して、耐油性、カットスルー、加熱変形、耐はんだ性が改善された組成物(特許文献7参照)、ポリエチレンにスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体および難燃剤を配合した組成物を電子線照射または化学架橋で架橋してなる耐熱性、難燃性に優れる難燃性架橋ポリエチレン組成物が提案されている(特許文献8参照)。
特開平10−147671号公報 特開平11−130921号公報 特開平7−48482号公報 特表2002−515530号公報 国際公開第01/038433号パンフレット 特開昭51−59981号公報 特開昭58−145751号公報 特開昭59−105040号公報
しかしながら、架橋性モノマーを混合し、活性エネルギー線を照射する特許文献1の方法は、架橋性ポリマー組成物に必ずしも充分な耐熱性や耐溶剤性を付与することができない。一方、ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体、あるいはポリエチレンとスチレン系ブロック共重合体を混合する特許文献2の方法においては、ポリエチレンにエチレン−α−オレフィン共重合体を混合しても耐熱性付与効果は小さい。また、ポリエチレンにスチレン系ブロック共重合体を混合した場合には、得られる組成物の耐溶剤性が悪化する傾向となる問題点も有しており、必ずしも柔軟性と耐熱性とのバランスのとれた組成物は得られていない。
特許文献3〜特許文献5記載の方法では、架橋性が向上し、耐熱性が改良されるものの、柔軟性の改良効果は少なく、柔軟性が要求される用途には適さない。
また、特許文献6〜特許文献8記載の方法では、弾性を有する成分としてエチレン−プロピレン共重合ゴムあるいはスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を配合しているので柔軟性の改善については一定の効果が見られる。しかし、いずれの組成物においてもその架橋性は必ずしも充分であるとはいえないため、耐熱性の改良レベルについても、例えば自動車のエンジンルーム内で使用する電線被覆材のような高い耐熱性が要求される用途においては充分ではない。
よって、電線被覆、ケーブル被覆、チューブ、フィルム、シートなどの用途において有効に使用可能な、柔軟性、力学的特性、耐熱性、耐溶剤性のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂組成物が望まれていた。
しかして、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、柔軟性、耐熱性、力学的特性および耐溶剤性のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、
〔1〕 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)(以下、構造単位(a)と略称することがある)を10質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が活性エネルギー線によって架橋可能なブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)を、付加重合系ブロック共重合体(I)/ポリオレフィン系樹脂(II)=80/20〜1/99(質量比)の割合で含有してなり、成形後に活性エネルギー線によって架橋を行うことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物;
〔2〕 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)がp−メチルスチレン単位であることを特徴とする〔1〕のポリオレフィン系樹脂組成物;
〔3〕 活性エネルギー線として電子線を用いることを特徴とする〔1〕または〔2〕のポリオレフィン系樹脂組成物;
4〕 〔1〕〜〔〕のいずれかのポリオレフィン系樹脂組成物から得られる成形品;
および、
〕 〔1〕〜〔〕のいずれかのポリオレフィン系樹脂組成物からなる層を含有する
積層体;を提供することによって達成される。
本発明によれば、柔軟性、耐熱性、力学的特性および耐溶剤性のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂組成物を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(I)は、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)を10質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が活性エネルギー線によって架橋可能なブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体である。
重合体ブロックAにおいて、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8であるo−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類などを挙げることができる。より具体的には、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンとしては、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。
重合体ブロックAは、構造単位(a)として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上からなる単位を有することができる。そのうちでも、構造単位(a)としては、p−メチルスチレン単位が架橋反応性に優れ、入手が容易な点から好ましい。
また構造単位(a)以外の芳香族ビニル化合物単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、中でもスチレン、α−メチルスチレンからなる単位が好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)において、重合体ブロックAは熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当し、構造単位(a)におけるベンゼン環に結合したアルキル基は、活性エネルギー線の照射による静的な架橋反応により、重合体ブロックAからなるハードセグメントに架橋を導入する役割を有する。
重合体ブロックAにおける構造単位(a)の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に対し10質量%以上であ、40質量%以上であるのがより好ましく、さらにすべての単位が構造単位(a)からなっていてもよい。構造単位(a)の割合が1質量%未満であると、重合体ブロックAに架橋が充分に導入されず、得られるポリオレフィン系樹脂組成物において充分な耐熱性および力学的特性が発現しない。重合体ブロックAにおける構造単位(a)とそれ以外の芳香族ビニル化合物単位との結合形態は、ランダム、ブロック、テーパードなどのいずれの形態であってもよい。
付加重合系ブロック共重合体(I)における重合体ブロックAの含有量は10〜40質量%が好ましい。10質量%より少ない場合には架橋効果が充分に発現せず、充分な耐熱性、力学的特性を示さない傾向となる。また、40質量%より多い場合、ポリオレフィン系樹脂組成物が充分な柔軟性を示さなくなる傾向となる。
重合体ブロックAは、構造単位(a)を含む芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体からなる構造単位の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることできる。
本発明に用いる付加重合系ブロック共重合体(I)は、上記の構造単位(a)を含む芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックAの他に、構造単位(a)を含まない芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックを有していてもよい。
一方、付加重合系ブロック共重合体(I)における共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。重合体ブロックBはこれらの共役ジエン化合物の1種類のみから構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。中でもブタジエン、イソプレンまたはブタジエンとイソプレンの混合物から構成されているのが好ましい。なお、重合体ブロックBのミクロ構造の種類および含有量に特に制限はない。また、2種以上の共役ジエン化合物を併用した場合、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
重合体ブロックBは、共役ジエン化合物からなる構造単位とともに、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックBの質量[付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロックBを有する場合はその合計質量]に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、構造単位(a)を構成する前記したアルキルスチレン(好適にはp−メチルスチレン)などを挙げることができる。
そのうちでも、重合体ブロックBは、イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックまたは該イソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックまたは該ブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックまたは該イソプレン単位およびブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された共重合体ブロックであることが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとが結合している限りは、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であることが好ましく、その例としては重合体ブロックAをAで、また重合体ブロックBをBで表したときに、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−Aで示されるペンタブロック共重合体などを挙げることができる。それらのうちでも、トリブロック共重合体(A−B−A)が、付加重合系ブロック共重合体(I)の製造の容易性、柔軟性などの点から好ましく用いられる。
本発明において使用する付加重合系ブロック共重合体(I)の数平均分子量は特に制限されないが、好ましくは30000〜1000000の範囲であり、より好ましくは40000〜300000の範囲である。なお、ここでいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、例えば、次のような公知のアニオン重合法によって製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンまたは構造単位(a)を構成するアルキルスチレンと芳香族ビニル化合物の混合物、共役ジエン化合物を逐次重合させてブロック共重合体(すなわち未水添の付加重合系ブロック共重合体(I))を形成する。
また、得られた該ブロック共重合体は、必要に応じてさらに水素添加される。かかる水素添加反応は、例えば、該ブロック共重合体をシクロヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒中で、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;コバルト、ニッケルなどの第9族または第10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどからなる有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下で、通常、反応温度として20〜100℃の範囲で、水素圧力0.1〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、該ブロック共重合体の水素添加物(すなわち、水素添加されている付加重合系ブロック共重合体(I))を得ることができる。
水素添加率は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に要求される物性に応じて適宜調整することができるが、耐熱性、耐候性および耐オゾン性を重視する場合、かかる付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックBの共役ジエン化合物単位に基づく炭素−炭素二重結合の70%以上が水素添加されていることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることがさらに好ましい。
なお、重合体ブロックBの共役ジエン化合物単位に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率は、ヨウ素価滴定、赤外分光光度計、核磁気共鳴などの測定手段により水素添加反応前後における重合体ブロックB中の炭素−炭素二重結合の量を測定し、その測定値から算出することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を構成するポリオレフィン樹脂(II)としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレンのような単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ノネン共重合体およびエチレン−1−デセン共重合体などのようなエチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−1,7−オクタジエン共重合体のような架橋性エチレン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体およびこれらを無水マレイン酸などで変性した樹脂などが挙げられる。これらの中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いるのが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)が、質量比として、付加重合系ブロック共重合体(I)/ポリオレフィン系樹脂(II)=80/20〜1/99の割合で配合されており、80/20〜20/80であるのがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂(II)の割合が、付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)の合計質量に対して10質量%未満であるか、または99質量%を超えた場合には、いずれも、柔軟性、耐熱性、力学的特性および耐溶剤性のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂組成物を得られない傾向となる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において、構成成分である付加重合系ブロック共重合体(I)の少なくとも重合体ブロックA部分を架橋するのに用いられる活性エネルギー線としては、粒子線、電磁波、およびこれらの組み合わせが挙げられる。粒子線としては電子線(EB)、α線、電磁波としては紫外線(UV)、可視光線、赤外線、γ線、X線などが挙げられる。これらの中でも、電子線(EB)または紫外線(UV)が好ましい。
これらの活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。電子線(EB)の場合の加速電圧としては0.1〜10MeV、照射線量としては1〜500kGyの範囲が適当である。紫外線(UV)の場合、その線源として放射波長が200nm〜450nmのランプを好適に用いることができる。線源としては、電子線(EB)の場合は、例えばタングステンフィラメントが挙げられ、紫外線(UV)の場合は、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線用水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において、構成成分である付加重合系ブロック共重合体(I)の少なくとも重合体ブロックA部分を架橋させるために活性エネルギー線を照射する際には、重合体ブロックA部分に架橋が生成するほかにも、付加重合系ブロック共重合体(I)の重合体ブロックB部分、ポリオレフィン系樹脂(II)にも一部架橋が生成し得る。しかしながら、これらの架橋が生成しても本発明の目的を何ら阻害するものではない。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には必要に応じて、特に活性エネルギー線として紫外線(UV)を用いる場合、光重合開始剤をさらに配合することができる。使用できる光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾイン、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、α−t−ブチルベンゾインなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。光重合開始剤を配合する場合、そのポリオレフィン系樹脂組成物中の含有量に特に制限はないが、通常、付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)の合計質量に対して0.01〜5質量%の範囲であるのが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて架橋助剤をさらに配合することができる。使用できる架橋助剤にはトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、N,N’−フェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの架橋助剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。架橋助剤を配合する場合、そのポリオレフィン系樹脂組成物中の含有量に特に制限はないが、通常、付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)の合計質量に対して0.01〜5質量%の範囲であるのが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて軟化剤をさらに配合することができる。使用できる軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイルなどの石油系軟化剤;流動パラフィン;落花生油、ロジンなどの植物油系軟化剤などが挙げられる。これらの軟化剤は1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して用いることができる。軟化剤を配合する場合、そのポリオレフィン系樹脂組成物中の含有量は、本発明の趣旨を損なわない限り特に制限はないが、通常、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して300質量部以下であり、100質量部以下であるのが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、充填効果、耐熱性付与、剛性補強などの改質を目的としてフィラーをさらに配合することができる。フィラーとしては、例えばタルク、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタンタルク、クレー、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラス中空球、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウムアルミネート、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、ポリリン酸アンモニウム、ハイドロタルサイト類、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、活性炭、炭素中空球、チタン酸カルシウム、炭化ケイ素、木粉、でんぷんなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、例えば熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、撥水剤、防水剤、蛍光剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、抗菌剤などの他の添加剤を配合してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、柔軟性および流動性などの改質を目的として他の重合体、例えば天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴムおよびその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体やポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体またはそれらの水素添加物などのスチレン系エラストマーなどを配合することが可能である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲で、耐熱性や耐溶剤性などのバランスをとる補強性樹脂として、比較的分子量の低い熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などを配合することが可能である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、例えば、通常の槽式混合機、高速攪拌機、密閉式ニーダー、インターナルミキサー、一軸押出機や二軸押出機などの押出機などを用いて、必要に応じて窒素雰囲気中で、通常、130℃〜230℃の範囲で付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリオレフィン系樹脂(II)、必要に応じて光重合開始剤、架橋助剤、軟化剤、その他の任意添加成分を溶融混練して調製することができる。得られるポリオレフィン系樹脂組成物は、その用途、使用態様などに応じて適切な形態にしておくことができ、例えばブロック状、粒状、フレーク状、ペレット状、棒状、フィルム状、シート状などの形態において、それぞれ電線被覆、各種ケーブルの被覆、チューブ、フィルム、シート用途などに用いることができる。
なお、上記混練中に、無水マレイン酸および過酸化物(例えばジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなど)をさらに添加することにより、付加重合系ブロック共重合体(I)およびポリオレフィン系樹脂(II)の一方または両方が無水マレイン酸変性され、フィラー分散性および/またはポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの極性樹脂との複層成形性、接着特性などの特性がさらに付与されたポリオレフィン系樹脂組成物を得ることもできる。
上記の方法で得られたポリオレフィン系樹脂組成物は、各種成形法、例えば射出成形法(インサート成形法、二色成形法、サンドイッチ成形法、ガスインジェクション成形法など)、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などの成形法により成形、加工した後、活性エネルギー線を照射することで架橋を生成させることができる。
このようにして成形および加工された成形品は、電線被覆材、食品包装用フィルム、繊維包装用フィルムなどのフィルム、加工紙、パイプ、シート、文具、食品容器、日用雑貨品などの用途に使用できる。
また、上記の方法で得られたポリオレフィン系樹脂組成物は、かかるポリオレフィン系樹脂組成物によって形成される層と、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレンなどの他のポリオレフィン系樹脂によって形成される層、さらに必要に応じて接着層などの他の層を設けて積層させることによって、柔軟性を有する積層体として使用することができる。
さらに、上記の方法で得られたポリオレフィン系樹脂組成物にロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与樹脂を、該ポリオレフィン系樹脂組成物に対して好ましくは1〜500質量部の範囲で配合して粘着性を付与し、得られた該組成物を例えばフィルムに成形して、接着性を有するフィルムとして使用することもできる。
以下、実施例などにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例では、次の方法により、得られたポリオレフィン系樹脂組成物の硬度、力学的特性(破断強度、破断伸度)、耐熱性および耐溶剤性の評価を行なった。
1)硬度
JIS K 6253に記載された方法に従って測定した。すなわち、実施例および比較例で得られたポリオレフィン系樹脂組成物より作製した縦15cm×横15cm×厚さ0.2cmのシートを3枚重ねて、ASTM D硬度計を用いて測定し、柔軟性の指標とした。
2)力学的特性(破断強度、破断伸度)
JIS K 6251に記載された方法に従って測定した。すなわち、実施例および比較例で得られたポリオレフィン系樹脂組成物より作製した縦15cm×横15cm×厚さ0.1cmのシートからダンベル状5号形の試験片を打ち抜き、インストロン万能試験機を使用して、23℃および80℃の2種の条件下で、引張速度500mm/minで引張試験を行い、破断強度(MPa)および破断伸度(%)を測定した。
3)耐熱性
3−1)破断強度残率、破断伸度残率
JIS C 3005の第17項に記載された方法に準じて測定した。すなわち、実施例および比較例で得られたポリオレフィン系樹脂組成物より作製した縦15cm×横15cm×厚さ0.1cmのシートを120℃下で96時間放置し、該シートよりJIS K 6251に規定されたダンベル状5号形の試験片を打ち抜き、インストロン万能試験機を使用して、23℃の条件下で、引張速度500mm/minで引張試験を行い、破断強度(MPa)および破断伸度(%)を測定し、次式により破断強度残率および破断伸度残率を算出した。
破断強度残率(%)=100×F/F
但し、F:加熱前の破断強度(MPa)
:加熱処理後の破断強度(MPa)
破断伸度残率(%)=100×L/L
但し、L:加熱前の破断伸度(%)
:加熱処理後の破断伸度(%)
3−2)加熱変形率
JIS C 3005の第23項に記載された方法に準じて測定した。すなわち、実施例および比較例で得られたポリオレフィン系樹脂組成物より作製した縦15cm×横15cm×厚さ0.2cmのシートから長さ3cm×幅1.5cmの試験片を打ち抜いた。その試験片と加熱変形試験機を予め150℃で30分間加熱した後、試験片を測定装置の平行板間の半径5mm、長さ35mmの半円状の丸棒の上に置き、平行板の上から1kgの荷重を加え、さらに同温度で30分間静置した後、そのままの状態で試験片の厚さを測り、加熱後の厚さと加熱前の厚さから加熱変形率を次式によって算出した。加熱変形率が小さいほど、耐熱性に優れるといえる。
加熱変形率(%)=100×(M−M)/M
但し、M:加熱前の試験片の厚さ(mm)
:加熱変形後の試験片の厚さ(mm)
3−3)変形温度
実施例および比較例で得られたポリオレフィン系樹脂組成物より作製した縦15cm×横15cm×厚さ0.1cmのシートから、JIS K 6251に規定されたダンベル状6号形の試験片を打ち抜いた。該試験片をオーブン中に72gの荷重をかけた状態で吊り下げ、3℃/minでオーブン内を昇温し、試験片が100%伸びた時の温度を測定し、耐熱性の指標とした。
4)トルエン抽出率
容量50mlのスクリュー管にトルエン30mlを入れ、その中に、力学的特性の測定に使用したダンベル状5号形試験片の一部を切り取って予め質量を精秤した試験片(約0.3g)を入れた。このスクリュー管を、振盪機を用いて25℃で12時間振盪した後、試験片を取り出して、100℃、180分間減圧下に乾燥し、乾燥後の試験片の質量を測定した。得られた値から、下式に従ってトルエン抽出率を算出し、その結果を耐溶剤性の指標とした。
トルエン抽出率(%)=100×(A−A)/A
但し、A:試験前の試験片の質量(g)
:試験後の試験片の質量(g)
参考例1
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン39kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)180mlを加え、この溶液にp−メチルスチレンとスチレンの混合液(p−メチルスチレン/スチレン=50/50(質量比))1.32kgを30分かけて加えて50℃で60分間重合し、次にイソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50(質量比))10.7kgを60分かけて加えて50℃で90分間重合し、さらにp−メチルスチレンとスチレンの混合液(p−メチルスチレン/スチレン=50/50(質量比))1.32kgを30分かけて加えて50℃で60分間重合することで、ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は94000であり、H−NMRによって測定したp−メチルスチレンとスチレンを合わせた含有量は20質量%であった。
上記ブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)56gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)380gを加えて別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行ない、上記したポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(I)−1と称する)を得た。得られたブロック共重合体(I)−1の数平均分子量は100000であり、H−NMRによって測定した、p−メチルスチレンとスチレンを合わせた含有量および水素添加率はそれぞれ19質量%、97%であった。
参考例2
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン39kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)265mlを加え、この溶液にp−メチルスチレン2.25kgを30分かけて加えて50℃で60分間重合し、次にテトラヒドロフラン100mlを加えたのち、ブタジエン10.5kgを60分かけて加えて50℃で90分間重合し、さらにp−メチルスチレン2.25kgを30分かけて加えて50℃で60分間重合することで、ポリp−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリp−メチルスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は80000であり、H−NMRによって測定したp−メチルスチレンの含有量は30質量%であった。
上記ブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)56gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)380gを加えて別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行い、上記したポリp−メチルスチレン−ポリブタジエン−ポリp−メチルスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(I)−2と称する)を得た。得られたブロック共重合体(I)−2の数平均分子量は81000であり、H−NMRによって測定したp−メチルスチレン含有量および水素添加率はそれぞれ29質量%、97%であった。
参考例3
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン39kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)180mlを加え、この溶液にスチレン1.32kgを30分かけて加えて50℃で30分間重合し、次にイソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50(質量比))10.7kgを60分かけて加えて50℃で90分間重合し、さらにスチレン1.32kgを30分かけて加えて50℃で60分間重合することで、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は94000であり、H−NMRによって測定したスチレン含有量は20質量%であった。
上記ブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)56gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)380gを加えて別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行い、上記したポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体1と称する)を得た。得られたブロック共重合体1の数平均分子量は100000であり、H−NMRによって測定したスチレン含有量および水素添加率はそれぞれ19質量%、97%であった。
参考例4
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン39kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)265mlを加え、この溶液にスチレン2.25kgを30分かけて加えて50℃で30分間重合し、次にテトラヒドロフラン100mlを加えたのち、ブタジエン10.5kgを60分かけて加えて50℃で90分間重合し、さらにスチレン2.25kgを30分かけて加えて50℃で30分間重合することで、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は80000であり、H−NMRによって測定した、スチレンの含有量は30質量%であった。
上記ブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)56gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)380gを加えて別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行い、上記したポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体2と称する)を得た。得られたブロック共重合体2の数平均分子量は81000であり、H−NMRによって測定した、スチレン含有量および水素添加率はそれぞれ29質量%、97%であった。
〈実施例1〜6〉
参考例1および2で得られたブロック共重合体(I)−1、ブロック共重合体(I)−2、ポリオレフィン系樹脂[PE1:「ノバテックLD EH30」(商品名、日本ポリケム(株)社製、低密度ポリエチレン、MFR(190℃、2.16kg荷重)=2.0g/10分)、PE2:「ウルトゼックス 1520L」(商品名、三井化学(株)社製、線状低密度ポリエチレン、MFR(190℃、2.16kg荷重)=2.3g/10分)]、および酸化防止剤を表1に示す配合(すべて質量部)で、二軸押出機にて200℃で溶融混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得た。得られたポリオレフィン系樹脂組成物より、プレス成形(成形温度200℃、プレス圧力10MPa、プレス時間3分)によって縦15cm×横15cm×厚さ0.1cmのシートおよび縦15cm×横15cm×厚さ0.2cmのシートを作製した後、電子線を加速電圧5.0MeVで200kGy照射した。このようにして得られたポリオレフィン系樹脂組成物のシートを用いて、上記した各種性能を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004357924
〈比較例1〜6〉
実施例1〜6において、ポリオレフィン系樹脂組成物よりプレス成形によってシートを作製した後、電子線を照射せずに、得られたシートの上記した各種性能を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004357924
〈比較例7〜12〉
参考例1および2で得られたブロック共重合体(I)−1、ブロック共重合体(I)−2の代わりに、参考例3および4で得られたブロック共重合体1、ブロック共重合体2を用いた以外は実施例1〜6と同様にしてポリオレフィン系樹脂組成物のシートを作製し、上記した各種性能を評価した。結果を表3および表4に示す。
〈比較例13〜14〉
参考例1〜4で得られたブロック共重合体のいずれをも配合せず、ポリオレフィン系樹脂(PE1またはPE2)および酸化防止剤のみを配合して、実施例1〜6と同様にしてシートを作製し、上記した各種性能を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0004357924
Figure 0004357924
表1および表2の結果より、実施例1〜6のポリオレフィン系樹脂組成物より得られる成形体は、比較例1〜6の成形体に比べて、活性エネルギー線を照射して架橋することにより、力学的特性、耐熱性、耐溶剤性に優れることがわかる。
また、表1、表3および表4の結果より、実施例1〜6のポリオレフィン系樹脂組成物より得られる成形体は、スチレン単位のみからなるブロックをハードセグメントとするブロック共重合体を用いた比較例7〜12のポリオレフィン系樹脂組成物より得られる成形体に比べ、特に耐熱性および耐溶剤性に優れ、比較例13〜14のポリオレフィン系樹脂のみより得られる成形体に比べ、特に柔軟性および耐熱性に優れることがわかる。
本発明によれば、柔軟性、耐熱性、力学的特性および耐溶剤性のバランスに優れたポリオレフィン系樹脂組成物を得ることができる。得られるポリオレフィン系樹脂組成物は、かかる特徴を活かして、電線被覆、各種ケーブルの被覆、チューブ、食品包装用フィルム、繊維包装用フィルムなどのフィルム、加工紙、パイプ、シート、文具、食品容器、日用雑貨品などの用途に有効に使用することができる。

Claims (5)

  1. 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)を10質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が活性エネルギー線によって架橋可能なブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)とポリオレフィン系樹脂(II)を、付加重合系ブロック共重合体(I)/ポリオレフィン系樹脂(II)=80/20〜1/99(質量比)の割合で含有してなり、成形後に活性エネルギー線によって架橋を行うことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)がp−メチルスチレン単位であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 活性エネルギー線として電子線を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物から得られる成形品。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなる層を含有する積層体。
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