JP4352597B2 - 高耐候性鋼材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性鋼材に係わり、とくに海浜地域など塩分の多い環境で使用可能な海浜耐候性に優れた鋼材に関する。ここでいう海浜耐候性とは、海浜地域の大気中で使用した場合の耐候性をいう。なお、本発明でいう鋼材は、厚鋼板、薄鋼板、棒鋼、形鋼等を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
鋼中に、P,Cu,Cr,Ni等の合金元素を添加し大気中における耐食性を向上させた耐候性鋼は、橋梁等の構造物に広く利用されている。耐候性鋼は、屋外において腐食の原因である酸素、水を通しにくい安定さびと呼ばれるさびを数年で形成し、その後の腐食を抑制している。このため、耐候性鋼は防錆塗料の塗布が不要であり、いわゆる裸使用が可能な安価な高耐食性材料である。
【0003】
一方、近年、建設省から耐候性鋼の適用指針(「耐候性鋼の橋梁への適用に関する共同研究報告著(XX)」、1993.3, 建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会発行)が公表され、飛来塩分量が0.05mg/dm2/day以上の地域、すなわち海浜地域では、従来の耐候性鋼(JIS G 3114:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)は無塗装で使用できないことになっている。
【0004】
したがって、海浜地域などの塩分の多い環境下では、普通鋼材にフタル酸樹脂、塩化ゴム、タールエポキシ樹脂等の塗装を行って対処している。しかしながら、河口付近の海浜地域に建設される橋梁は腐食が著しく再塗装の要求が高いが、長大橋が多く、しかも再塗装作業が困難な場合が多い。このようなことから、依然として無塗装で使用できる鋼材への要望が高い。
【0005】
さらに、海岸地帯といっても、場所により飛来する塩分量は大きく相違する。鋼材の腐食は飛来塩分量が多くなるにしたがい激しくなるため、耐食性と経済性の観点からは、飛来塩分量に応じた耐候性鋼材が必要となる。
また、橋梁といっても、使用される場所により鋼材の腐食環境は同一とは限らない。たとえば、桁外部では、降雨、結露水および日照に曝される。一方、桁内部では、結露水のみに曝され雨掛かりはない。一般に、飛来塩分量が多い環境では、桁外部より桁内部の方が腐食が激しいと言われている。
【0006】
このような問題に対し、例えば特開平6−136557号公報には、硫酸クロム水溶液あるいは硫酸銅水溶液を塗布し、水分乾燥後さらに有機樹脂被覆を行う鋼材の表面処理方法が提案されている。さらに、特開平8−13158 号公報には、アルミニウムイオンを含む水溶液を塗布し、水分乾燥後さらに有機樹脂被膜を形成する鋼材の表面処理方法が提案されている。しかしながら、特開平6−136557号公報および特開平8−13158 号公報に記載された技術では、安定さびが短期間で形成されるが、工程が複雑であるうえ使用する表面処理剤が高価であるなどの問題を残しており、表面処理を必要としない耐候性鋼材の開発が要望されていた。
【0007】
この点、特開昭63−255341号公報には、耐塩害性に優れた溶接構造用耐食性鋼板が提案されている。この鋼板は、P:0.04〜0.15wt%、Cu:0.1 〜0.5wt %、Cr:3〜10wt%、Al:0.02〜1.0wt %含有し、海塩粒子が関与する腐食環境下でも無塗装使用に耐え得るとされている。しかし、この鋼板は、P含有量が高く靱性の低下、溶接性の低下が大きいという問題があった。
【0008】
また、特開平3−158436号公報には、海浜耐候性構造用鋼が提案され、この鋼は、Pを多量添加することなく、Mn、Cu、Cr、Ni、Moの含有量を調整することにより海浜地帯で優れた耐候性を示し、鋼板への塗装を省略できるとされている。しかし、この鋼は、Crの含有量が高く、靱性、溶接性の低下という問題が残されていた。
【0009】
また、特開平10-251797 号公報には、C:0.15%以下、Si:0.7 %以下、Mn:0.2 〜1.5 %、P:0.03〜0.15%、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.1 %、Cr:0.1 %以下、Ni:0.4 〜4%、Cu:0.4 %以下、Mo:0.05〜1%と、さらにSn:0.01〜0.5 %、Sb:0.01〜3%のうちの1種または2種を含有する、0.05mg/dm2/day以上10mg/dm2/day未満の塩分が飛来する環境において高い耐候性を有する溶接構造用鋼が提案されている。しかし、特開平10-251797 号公報に記載された鋼は、強度確保のためにCを比較的高く含有し、さらに強度向上と耐食性確保のために、Pを0.03%以上含有しており、靱性、溶接性に難点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、海浜地域などの塩分が多く、雨掛かりがない環境下でも、靱性および溶接性を損なわずに優れた海浜耐候性を保持し、塗装、表面処理などを必要としない海浜耐候性に優れた高耐候性鋼材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、耐候性鋼材に形成されるさび層について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、耐候性鋼材に形成されるさび層について、つぎのような知見を得た。
耐候性鋼材の初期にできるさび層はγ−FeOOH やFe3O4 が主体である。数年の乾湿繰り返し腐食反応によって、さび層はγ−FeOOH やFe3O4 が減少し、X線回折レベルでの非晶質さびが主体となる。また、このさび層はTEM (透過型電子顕微鏡)観察レベルでも結晶系を特定できない非晶質さびが多くを占め、このような状態のさびとすることが耐候性の点で好ましい。
【0012】
しかしながら、海浜地域で暴露された耐候性鋼材に形成されるさび層では、さび粒子として、TEM 観察レベルで笹状のγ−FeOOH あるいはα−FeOOH が主体となっている。これら笹状のさび粒子の形成は、さび層に空隙を生成するため、さび層が水、酸素、Clイオンを通し易い構造となる。したがって、海浜耐候性を改善するためには、これら笹状のさび粒子の形成を抑制したさび層とすることが肝要であることを知見した。
【0013】
そこで、本発明者らは、笹状のさび粒子の形成を抑制する方策について鋭意研究した。その結果、鋼中にSbを添加することによって、笹状のさび粒子の形成が抑制され、TEM 観察レベルでも非晶質さび主体のさび層となることを見いだした。また、本発明者らは、C含有量を極低炭素域に低減し、さらにP含有量を0.030 %以下、好ましくは0.025 %未満と低P化することにより、耐候性鋼材の溶接性、とくに大入熱溶接における溶接性が顕著に改善されるという新規な知見を得た。
【0014】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.001 〜0.025 %、Si:0.60%以下、Mn:0.1 〜3.0 %、P:0.005 〜0.030 %、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、Cu:0.1 〜1.5 %、Ni:0.1 〜6.0 %、Sb:0.005 〜1.0 %を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高耐候性鋼材である。
【0015】
また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:0.005 〜0.5 %、W:0.005 〜1.0 %、Co:0.005 〜1.0 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することが好ましく、また本発明では、前記各組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%、B:0.0001〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することが好ましく、また、本発明では、前記各組成に加えてさらに、質量%で、REM :0.02%以下、Ca:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明鋼材の成分限定理由について説明する。以下、質量%は単に%と記す。
C:0.001 〜0.025 %
Cは、強度を増加する元素であり、所望の強度を確保するためには、0.001 %以上の含有を必要とするが、0.025 %を超えて含有すると、靱性、溶接性が劣化する。そこで、Cは0.001 〜0.025 %の範囲に限定した。
【0017】
Si:0.60%以下
Siは、脱酸剤として作用し、さらに鋼の強度を増加させる元素であるが、0.60%を超えて多量に含有すると、靱性および溶接性を劣化させる。このため、Siは0.60%以下に限定した。なお、好ましくは0.10〜0.30%である。
Mn:0.1 〜3.0 %
Mnは、鋼の強度および靱性の増加に大きく寄与する元素であり、所望の強度を確保するために、本発明では0.1 %以上の含有を必要とするが、3.0 %を超えて多量に含有すると靱性、溶接性に悪影響を及ぼす。このため、Mnは0.1 〜3.0 %の範囲に限定した。なお、寒冷地等で高靱性が要求される場合には、低Mn化が効果的であり、0.10〜0.50%とするのが好ましい。
【0018】
P:0.005 〜0.030 %
Pは、さび粒子を緻密化し耐候性を向上させる元素であり、本発明では0.005 %以上の含有を必要とする。しかし、0.030 %を超えて含有すると、溶接性が顕著に劣化する。このため、Pは0.005 〜0.030 %の範囲に限定した。本発明では、C含有量を極低炭素域に低減し、さらにP含有量を0.030 %以下、好ましくは0.025 %未満と低Pとすることにより、大入熱溶接における溶接性が顕著に改善される。なお、好ましくは0.005 〜0.020 %である。
【0019】
S:0.01%以下
Sは、耐候性を劣化させ、さらに溶接性、靱性を劣化させるため、本発明では、Sはできるだけ低減するのが好ましいが、0.01%までは許容できる。なお、好ましくは0.005 %以下である。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として添加するが、0.10%を超えて含有すると溶接性に悪影響を及ぼす。このため、Alは0.10%を上限とした。なお、好ましくは0.010 〜0.050 %である。
【0020】
Cu:0.1 〜1.5 %
Cuは、さび粒子を緻密化し耐候性を向上させる元素であり、本発明では0.1 %以上の含有を必要とする。一方、1.5 %を超えて含有すると、熱間加工性を阻害するとともに、耐候性向上の効果も飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Cuは0.1 〜1.5 %の範囲に限定した。なお、好ましくは0.10〜0.60%である。
【0021】
Ni:0.1 〜6.0 %
Niは、さび粒子を緻密化し耐候性を向上させる元素であり、本発明では、0.1 %以上の含有を必要とする。一方、6.0 %を超えて含有しても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Niは0.1 〜6.0 %の範囲とした。なお、飛来塩分量が多い場合には、2.0 %以上とするのが好ましく、飛来塩分量が少ない場合には2.0 %未満とするのが好ましい。
【0022】
Sb:0.005 〜1.0 %
本発明では、最も重要な元素である。Sbは、さび層で、笹状のさび粒子の形成を抑制し、さび層を非晶質さび主体とする効果を有する。このような効果は、0.005 %以上の含有で認められるが、1.0 %を超えて含有しても、効果が飽和し含有量に見合う効果が認められない。このため、Sbは0.005 〜1.0 %の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005 〜0.7 %である。
【0023】
Mo:0.005 〜0.5 %、W:0.005 〜1.0 %、Co:0.005 〜1.0 %のうちから選ばれた1種または2種以上
Mo、W、Coはいずれも、耐候性を向上させる元素であり、必要に応じ1種または2種以上を選択して含有できる。
Mo:0.005 〜0.5 %
Moは、耐候性を向上させ、さらに強度を増加させる元素であるが、0.005 %未満の含有ではその効果が少ない。一方、0.5 %を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が認められず、経済的に不利となる。このため、Moは0.005 〜0.5 %の範囲に限定するのが好ましい。なお、靱性の観点から、0.005 〜0.35%の範囲とするのがより好ましい。
【0024】
W:0.005 〜1.0 %
Wは、耐候性を向上させ、さらに強度を増加させる元素であるが、0.005 %未満の含有ではその効果が少ない。一方、1.0 %を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が認められず、経済的に不利となる。このため、Wは0.005 〜1.0 %の範囲に限定するのが好ましい。なお、経済性の観点から、0.005 〜0.6 %の範囲とするのがより好ましい。
【0025】
Co:0.005 〜1.0 %
Coは、耐候性を向上させる元素であるが、0.005 %未満の含有ではその効果が少ない。一方、1.0 %を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が認められず、経済的に不利となる。このため、Coは0.005 〜1.0 %の範囲に限定するのが好ましい。なお、経済性の観点から、0.005 〜0.6 %の範囲とするのがより好ましい。
【0026】
Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%、B:0.0001〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、Ti、V、Bは、鋼材の強度を増加させる元素であり、必要に応じ1種または2種以上を含有できる。
Nb、Ti、Vは、いずれも0.005 %以上の含有で、Bは、0.0001%以上の含有で効果が認められるが、Nb、Ti、Vはそれぞれ0.20%を超えて、Bは0.0050%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このため、Nb、Ti、Vはいずれも0.005 %〜0.20%、Bは0.0001〜0.0050%の範囲に限定するのが好ましい。
【0027】
REM :0.02%以下、Ca:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種
REM 、Caは、溶接性を向上させる元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果は、REM 0.001 %以上、Ca0.001 %以上の含有で顕著に認められるようになるが、REM 、Caとも0.02%を超える多量の含有は、鋼材の清浄度を劣化させる。このため、REM :0.02%以下、Ca:0.02%以下の限定するのが好ましい。
【0028】
上記した成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。
不可避的不純物として、Cr:0.05%以下、N:0.010 %以下、O:0.010 %以下が許容できる。
Crは、耐候性を向上させる元素といわれてきたが、耐候性を向上させるのは、塩分の少ない環境下における場合であり、本発明が目的とする海浜地域のような塩分の多い環境では、逆に耐候性を劣化させる元素である。このため、本発明では敢えて添加しないが、0.05%までは許容できる。
【0029】
本発明鋼材は、転炉、電気炉等、通常公知の溶製方法で溶製され、連続鋳造法あるいは造塊法により鋼素材とされる。また、溶製方法は、真空脱ガス精錬等を実施してもよい。
ついで、これら鋼素材は、加熱炉等で加熱され、あるいは加熱なしで直接、熱間圧延により所望の形状に圧延される。
【0030】
【実施例】
表1に示す化学成分の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。ついで、これらスラブを加熱し、熱間圧延により25mm×2500mm幅の厚鋼板とした。これら厚鋼板について、引張特性、靱性および溶接性を調査した。
引張特性は、各厚鋼板の全厚(C方向)からJIS 4 号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを測定した。
【0031】
靱性は、各厚鋼板の1/2T(C方向)からJIS 4 号衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して、試験温度−5℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギー vE-5を求めた。
溶接性は、各厚鋼板から試験片を採取し、入熱100kJ/cm溶接熱影響部1mm相当の再現熱サイクルを付与したのち、試験温度−5℃におけるシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギー vE-5を求めた。
【0032】
また、各厚鋼板から、5mm×50mm×100mm の腐食試験片を採取し、ショットブラスト後、大気暴露試験に供し、海浜耐候性を評価した。
大気暴露試験は、飛来塩分量0.8mg/dm2/day (JIS Z 2381ガーゼ法により測定)の海岸地帯を選定し、雨掛かりのない条件で、それぞれ試験片の地鉄面を水平上向きに設置し、1年間暴露した。暴露試験後、地鉄表面に形成されたさび層を除去し、試験片の重量減少量を測定し、板厚減少量に換算した。
【0033】
それらの結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004352597
【0035】
【表2】
Figure 0004352597
【0036】
本発明例は、いずれも強度、靱性および溶接性ともに優れ、かつ板厚減少量が29〜45μmと、従来例(鋼板No.12 )の143 μmにくらべて著しく減少しており、本発明鋼材が優れた耐候性を有していることが分かる。
一方、本発明範囲の下限からSb含有量が外れる比較例(鋼板 No.8、No.10 )は、板厚減少量が、それぞれ102 、145 μmと、大きく、耐候性が劣化している。比較例(鋼板No. 9)は、Sb含有量が1.25%と多いにもかかわらずSb含有量が0.89%と少ない本発明例(鋼板 No.3)と同じ板厚減少量を示し、Sbの効果が本発明範囲を高く外れると飽和していることを示している。なお、P含有量が本発明の範囲を外れて高い比較例(鋼板 No.11)の板厚減少量は、26μmと非常に少ない値を示しているが、靱性、溶接性が劣化している。
【0037】
また、比較例(鋼板No.15 )は、それぞれC、Pが本発明の範囲を外れており、溶接性が劣化している。
また、比較例(鋼板No.13 、No.14 )は、それぞれCu、Niが本発明の範囲を外れており、耐候性が劣化している。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明によれば、海浜地域など塩分が多い環境下で、耐候性を保持できる耐候性鋼材を提供できる。これら鋼材を橋梁などの構造物へ適用すると、塗装、表面処理等の省略が可能となり、保守費用の削減という経済的効果も期待でき、産業上格段の効果を奏する。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.001 〜0.025 %、 Si:0.60%以下、
    Mn:0.1 〜3.0 %、 P:0.005 〜0.030 %、
    S:0.01%以下、 Al:0.10%以下、
    Cu:0.1 〜1.5 %、 Ni:0.1 〜6.0 %、
    Sb:0.005 〜1.0 %
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高耐候性鋼材。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mo:0.005 〜0.5 %、W:0.005 〜1.0 %、Co:0.005 〜1.0 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高耐候性鋼材。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.005 〜0.20%、Ti:0.005 〜0.20%、V:0.005 〜0.20%、B:0.0001〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高耐候性鋼材。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、REM :0.02%以下、Ca:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高耐候性鋼材。
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