JP4343870B2 - エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、共重合体組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
本発明は、引張特性に優れた架橋体を得ることができるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を提供する。
本発明は、ゴムなどの重合体の可塑剤として用いた場合に、加工性、架橋体の機械強度、ゴム弾性(圧縮永久歪)などに優れた重合体を与えるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を提供する。
さらに本発明は、引っ張り特性などの機械強度に優れた架橋体を得ることのできる、架橋可能な共重合体組成物を提供する。
また本発明は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および架橋可能な共重合体組成物の用途を提供する。
エチレン由来の構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位との重量比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
前記一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計の、エチレン由来の構成単位、炭素数3から20のα−オレフィン由来の構成単位および前期一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計に対する割合をV重量%としたときに、Vが0.01〜20の範囲にあり
135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜2.0dl/gの範囲にあり、
前記エチレン、前記炭素数3から20のα−オレフィンおよび下記一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンの少なくとも1種を、下記一般式(Y)で表されるバナジウム化合物と下記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の存在下で重合されて製造されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を提供する;
[式中、R3は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。]。
(Y) VO(OR) n X 3−n
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である)
(Z) R’ m AlX’ 3−m
(式中、R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1.20〜1.80である)。
(Y) VO(OR)nX3−n
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である)
(Z) R’mAlX’3−m
(式中、R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1.20〜1.80である)。
本発明によって、ゴムなどの重合体の可塑剤として用いた場合に、加工性、架橋体の機械強度、ゴム弾性(圧縮永久歪)などに優れた重合体を与えるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が提供される。
本発明によれば、さらに引っ張り特性などの機械強度に優れた架橋体を得ることのできる、架橋可能な共重合体組成物が提供される。
また本発明は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋可能な共重合体組成物の用途として、シーリング材、ポッティング材、コーティング材または接着剤などが提供される。
エチレン由来の構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位との重量比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
前記一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計の、エチレン由来の構成単位、炭素数3から20のα−オレフィン由来の構成単位および前期一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計に対する割合をV重量%としたときに、Vが0.01〜20の範囲にあり
135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜2.0dl/gの範囲にあり、
前記エチレン、前記炭素数3から20のα−オレフィンおよび下記一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンの少なくとも1種を、下記一般式(Y)で表されるバナジウム化合物と下記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の存在下で重合されるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)である。
本発明のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
これらのα−オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
この重量比が上記範囲内にあると、加工性に優れ、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性に優れた架橋体を提供できる共重合体組成物が得られる。
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。
R1が示す炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
R2が示す炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
R3が示す炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、上記R1が示す炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
2+0.05×V×[η]≦Mw/Mn≦2+4.8×V×[η] ‥(P)
(ここで、V;前述したポリエン含量である。)
好ましくは、下記式(P1)で表される範囲内であり、
2+0.2×V×[η]≦Mw/Mn≦2+4.0×V×[η] ‥(P1)
さらに好ましくは、下記式(P2)で表される範囲内であり、
2+0.5×V×[η]≦Mw/Mn≦2+3.0×V×[η] ‥(P2)
特に好ましくは、下記式(P3)で表される範囲内である。
2+0.5×V×[η]≦Mw/Mn≦2+1.24×V×[η] ‥(P3)
分子量分布Mw/Mnが上記範囲にあると、加工性に優れるとともに、強度特性、特に引張特性に優れた架橋体を提供することができる共重合体組成物が得られる。
以下に本発明のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を製造することができる好適な方法について説明する。
(Y) VO(OR)nX3−n
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。
nは1〜3の整数であるが、好ましくは1または2である。
(Z) R’mAlX’3−m
式中、R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子である。
mは1.20〜1.80であり、好ましくは1.20〜1.75、より好ましくは1.25〜1.75である。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム
などを挙げることができる。
化合物(Z)の有機アルミニウム化合物のハロゲン/Alが上記範囲にあると、狭分子量分布のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)が得られる。
に対して、VOCl3で表されるバナジウム化合物を少量混合して用いることで、式(P)においてMw/Mnを上限に近づけることができる。
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;およびこれらの混合物などが挙げられる。
本発明によって前記したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、架橋剤(B)からなる架橋可能な共重合体組成物が提供されるので、以下に本発明の架橋可能な共重合体組成物について説明する。
本発明で用いられる架橋剤(B)としては、特に制限はなく、硫黄、有機過酸化物、以下に示すSiH基含有化合物(B1)などが挙げられるが、中でも特にSiH基含有化合物が好ましい。
本発明で用いられるSiH基含有化合物(B1)は、共重合体(A)と反応し、架橋剤として作用する。このSiH基含有化合物(B1)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などでも使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいることが必要である。 このようなSiH基含有化合物(B1)としては、通常、下記の一般組成式で表わされる化合物を使用することができる。
R4 bHcSiO(4−b−c)/2
(CH3)3SiO−(−SiH(CH3)−O−)d−Si(CH3)3
式中のdは2以上の整数であり、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、最も好ましくは2である。
(CH3)3SiO−(−Si(CH3)2−O−)e−(−SiH(CH3)−O−)f−Si(CH3)3
式中のeは1以上の整数である。fは2以上の整数であり、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、最も好ましくは2である。
HOSi(CH3)2O−(−SiH(CH3)−O−)2−Si(CH3)2OH
HOSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)e−(−SiH(CH3)−O−)f−Si(CH3)2OH
式中のeは1以上の整数である。fは2以上の整数であり、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、最も好ましくは2である。
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)e−Si(CH3)2H
(式中のeは1以上の整数である。)
HSi(CH3)2O−(−SiH(CH3)−O−)e−Si(CH3)2H
式中のeは0以上の整数であり、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1、最も好ましくは2である。
HSi(CH3)2O−(−Si(CH3)2−O−)e−(−SiH(CH3)−O−)h−Si(CH3)2H
式中のeは1以上の整数である。fは0以上の整数であり、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1、最も好ましくは0である。
本発明の架橋可能な共重合体組成物で任意成分として用いられる触媒(C)は、付加反応触媒であり、上記共重合体(A)のアルケニル基と、SiH基含有化合物(B1)のSiH基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものである。具体的には、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができ、中でも、白金系触媒が好ましい。
上記以外の触媒(C)としては、ルイス酸、コバルトカルボニルなどが挙げられる。
本発明の架橋可能な共重合体組成物で触媒(C)とともに任意成分として用いられる反応抑制剤(D)としては、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(例えばエチニルシクロヘキサノール等)、アクリロニトリル、アミド化合物(例えばN,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N’,N’−テトラアリル−p−フタル酸ジアミド等)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
50重量部以下の割合で反応抑制剤(E)を用いると、架橋スピードが速く、架橋成形体の生産性に優れた共重合体組成物が得られる。50重量部を超える割合で反応抑制剤(D)を用いると、コスト的に不利になるので好ましくない。
本発明で触媒(C)とともに任意成分として用いられるシランカップリング剤(E)は、さらに自己接着性を向上させる目的として用いられる。このようなシランカップリング剤(E)としては、アクリル(メタクリル)官能性シランカップリング剤、エポキシ官能性シランカップリング剤、アミノ(イミノ)官能性シランカップリング剤などが挙げられる。
H2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3、
H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3、
H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2、
(C2H5O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OC2H5)3
などのアミノ基および(または)イミノ基含有アルコキシシラン;
前記アミノ基および(または)イミノ基含有アルコキシシランと、
前記アミノ基および(または)イミノ基含有アルコキシシランと、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH2Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH2Si(OCH2CH2OCH3)3
のようなメタクリルオキシシラン化合物との反応生成物などが挙げられる。
本発明で用いられる可塑剤(F)としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができ、具体的には、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、エチレンとα−オレフィンとのコオリゴマ−、パラフィンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル、ペトロラタム、潤滑油、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;
石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;
フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2− 酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、リン酸誘導体、スルホン酸誘導体、グリセリン誘導体、グルタル酸誘導体、エポキシ誘導体、グリコール誘導体、パラフィン誘導体、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
上記割合で可塑剤(F)を用いると、流動性が向上し成形性が向上する。
さらに本発明に係る共重合体組成物中に、意図する架橋体の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。これらのなかでも、例えば(B)架橋剤がSiH基含有化合物(B1)である場合は、アルケンのヒドロシリル化反応を阻害しないものが好ましい。
(1)テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、
(2)3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
(3)2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)
などを好ましく挙げることができる。
使用するイオウ系老化防止剤に特に制限はないが、特に2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
このような加工助剤は、通常、共重合体(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
本発明に係る架橋可能な共重合体組成物は、例えばシーリング材、コーティング材、ポッティング材、接着剤の用途に好適に用いることができる。なおここでシーリング材とは、シール(封印,密封)する材料のことをいう。よって、機械、電気、化学等各種工業において、接合部や接触部の水密、気密の目的で使用される材料も広義のシーリング材である。シーリング材はペースト状でも定型でもよい。シーリング材について必要なら「建築用シーリング材−基礎と正しい使い方−」(第1版、日本シーリング材工業会、(株)耕文社)p141を参照することができる。ここでは、隙間などに充填した後硬化させる形式のシーリング材、あるいは物体と物体の間に塗り込んだ後硬化させる形式のシーリング材を、特に好ましく例示することができる。
本発明に係る架橋可能な共重合体組成物から架橋体を製造するには、通常一般の室温架橋ゴム(RTVゴム)と同様に、エチレン・α−オレフィン非共役ポリエン共重合体(A)、SiH基含有化合物(B1)、および必要に応じて触媒(C)、反応抑制剤(D)、シランカップリング剤(E)、可塑剤(F)、意図する架橋体の用途等に応じて、従来公知のゴム補強剤、無機充填剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を混ぜ合わせ、次いで、この組成物を意図する形状に成形(隙間に充填したり、物体と物体の間に塗り込んだり、物体にコーティングしたり、物体をポッテイングしたり)した後に、室温で放置し架橋(加硫)を行なえばよい。また、架橋反応を促進するために加温してもよい。
本発明のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、可塑剤として好適に用いることができ、さらに好ましくは反応性可塑剤の態様として用いられる。ここで本発明における反応性可塑剤とは、ポリマーに対して添加され、加工中は可塑剤として働き、加硫後は高分子化あるいはゴム分子に付加反応するような物質のことを指す。(ゴム用語辞典、ゴム協会出版「反応性可塑剤」の項目を参照)
本発明の可塑剤は、特にゴム用可塑剤であることが好ましい。ゴムとしては、炭化水素重合体からなるゴムに用いることが好ましく、オレフィン系重合体に用いることがさらに好ましく、最も好ましくはエチレンと炭素数3から20のα−オレフィンと必要に応じて非共役ポリエンとの共重合体である(ただし共重合体(A)の要件を満たさない共重合体であることが好ましい)。
本発明の可塑剤は、ゴムや樹脂に加工性を付与し、柔軟性および加工性を付与することができる。またゴムや樹脂を架橋させた場合においては、優れた機械物性を得ることができる。また架橋体から可塑剤がしみだすことも少ない。この理由は、架橋後前述のように高分子化あるいはゴム分子に付加反応を起こしているためと推定される。
(1)共重合体の組成
共重合体の組成は、13C−NMR法で測定した。
(2)極限粘度[η]
共重合体の極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。
(3)分子量分布(Mw/Mn)
共重合体の分子量分布は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で表した。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
(製造例1)
[エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体(A−1)の製造]
攪拌羽根を備えた実質内容積100Lのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの三元共重合を行った。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを45.5L、エチレンを1.4kg、プロピレンを6.8kg、5−ビニル−ノルボルネンを170gの速度で、また水素を300NL、触媒VO(OEt)Cl2を16mmol、Al(Et)1.5Cl1.5を112mmolの速度で連続的に供給した。
(製造例2〜5)
製造例1において、重合条件を表1の条件に変えることにより、異なる性状のランダム共重合体であるエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−2)、(A−3)、(A−4)および(A−5)を得た。得られた共重合体(A−2)、(A−3)、(A−4)および(A−5)の物性を表1に示す。
まず、製造例1で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−1)100重量部、C6H5Si(−OSiMe2H)3(B)[信越化学工業(株)製]4.3重量部および2%塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液(C)0.3重量部をラボプラストミルを用い、室温で混練し、共重合体組成物を得た。
得られた共重合体組成物を深さ2mmの金枠に流し込み、その後、室温で3日間放置し、厚さ2mmの架橋シートを得た。
引張試験:
JIS K−6251に従って、測定温度23℃,引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、架橋シートの葉男児の引張強度TBと引張伸びEBを測定した。
結果を表2に示す。
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−1)の代わりに、製造例2で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−2)を用いた以外は、実施例1同様に行った。結果を表2に示す。
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−1)の代わりに、製造例3で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−3)を用いた以外は、実施例1同様に行った。結果を表2に示す。
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−1)の代わりに、製造例4で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−4)を用いた以外は、実施例1同様に行った。結果を表2に示す。
実施例1において、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−1)の代わりに、製造例5で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−5)を用いた以外は、実施例1同様に行った。結果を表2に示す。
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(三井化学株式会社製、商品名三井EPT3085)および製造例2で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−2)を用い、表3に示す各種配合剤の処方に従って、2.95L容量のバンバリーミキサーを用いて150℃の温度で4分間混練して配合物1を得た。
上記で得られた配合物1を8インチオープンロールに巻きつけ、このオープンロール上で加硫剤としてメルカプトベンゾチアゾール(MBT)を、共重合体ゴム(三井EPT3085)100重量部に対して0.5重量部、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)を、共重合体ゴム(三井EPT3085)100重量部に対して1重量部、および硫黄を共重合体ゴム(三井EPT3085)100重量部に対して1.5重量部添加し、混練後、未加硫ゴムシート1を得た。この時のロール温度は、前ロール・後ロールともに50℃である。
上記のように得られたシートを160℃、15分間プレスすることにより、厚さ2mmの加硫ゴムシートを作製した。また、160℃、20分間プレスすることにより、JIS K 6262に準拠した圧縮永久歪測定用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、表4に示す各項目の測定を行った。各項目の測定条件は下記に示す方法によって行った。測定の結果を表4に示す。
(i)食い込み時間
8インチロールに、前ロール温度50℃、後ロール温度50℃、ロール間隙0.2mmの条件にて、900gの配合物1を通し、全量が通過するまでの時間を測定した。
(ii)ML(1+4)125℃
JIS K6300に基づき、125℃で、配合物1のムーニー粘度を測定した。
(iii)tc(90)
JIS K6300に基づき、レオメーターを用いて、未加硫ゴムシート1から得たサンプルの160℃における90%加硫時間(tc(90))を測定した。
(iv)モジュラス、TB、EB
JIS K 6251に従って、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、標線間がそれぞれ200%,300%の時のモジュラスを測定し、M200,M300とした。また同引張試験で、破断時の強度TBおよび伸びEBを測定した。
JIS K 6253に従って測定した。
(vi)圧縮永久歪CS
JIS K 6262に従って測定した。圧縮時の温度は100℃、圧縮時間は24hとした。
(vii)溶剤抽出率
20mm×20mmの形状の加硫ゴムシートをトルエンに、37℃×72hの条件で、浸漬した。取り出したサンプルを80℃で2h、真空乾燥した。試験前の重量をW1、真空乾燥後の重量をW2とし、その重量変化率(W1−W2)/W1×100を溶剤抽出率とした。
実施例4において、エチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−2)に代えて製造例5で得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−ノルボルネン共重合体(A−5)を用いる(比較例3)か、同共重合体(A−2)の使用を省略する(比較例4)ほかは同様にして配合物2および3を得た。配合物2および3の処方は表3のとおりである。得られた配合物について実施例4と同様にして、未加硫ゴムシート2および3を得た。これらを実施例4と同様に加硫し、各項目の測定を行った。測定結果を表4に示す。
本発明により提供されるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および該共重合体を含む組成物は、架橋後の引張特性が改善されたシーリング材、ホッティング材、コーティング材、接着剤の提供を可能とするものである。
本発明によって提供されるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ゴムに添加した場合、従来の可塑剤、オイル等と同等の加工性を付与するだけでなく、共架橋性を有するため、架橋時に強度が向上し、耐溶剤抽出性能にも優れるので、可塑剤としても好適に用いることができる。
Claims (14)
- エチレン由来の構成単位、炭素数3から20のα−オレフィン由来の構成単位および下記一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンの少なくとも一種に由来の構成単位を含む共重合体であって、
エチレン由来の構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位との重量比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
前記一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計の、エチレン由来の構成単位、炭素数3から20のα−オレフィン由来の構成単位および前記一般式[I]および[II]で表される非共役ポリエン由来の構成単位の重量の合計に対する割合をV重量%としたときに、Vが0.01〜20の範囲にあり
135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01〜2.0dl/gの範囲にあり、
前記エチレン、前記炭素数3から20のα−オレフィンおよび下記一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンの少なくとも1種を、下記一般式(Y)で表されるバナジウム化合物と下記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の存在下で重合させて製造されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A);
[式中、nは0〜10の整数であり、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
[式中、R3は水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基である。]。
(Y) VO(OR) n X 3−n
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である)
(Z) R’ m AlX’ 3−m
(式中、R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1.20〜1.80である)。 - 135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が0.01dl/g以上、0.5dl/g未満であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)。
- エチレン、炭素数3から20のα−オレフィンおよび一般式[I]または[II]で表される非共役ポリエンの少なくとも1種を、下記一般式(Y)で表されるバナジウム化合物と下記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の存在下で重合する請求項1に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の製造方法;
(Y) VO(OR)nX3−n
(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である)
(Z) R’mAlX’3−m
(式中、R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1.20〜1.80である)。 - 重合圧力が1.2MPa以上で、共重合体のポリマー濃度が5g/L〜100g/Lで、重合温度が30〜60℃の条件で重合することを特徴とする、請求項3に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の製造方法。
- 請求項1または2に記載の該共重合体(A)と、架橋剤(B)からなる架橋可能な共重合体組成物。
- 前記架橋剤(B)が、1分子中に珪素に結合した水素を2個以上有するSiH基含有化合物(B1)であることを特徴とする、請求項5に記載の架橋可能な共重合体組成物。
- さらに触媒(C)を含むことを特徴とする請求項6に記載の架橋可能な共重合体組成物。
- さらに反応抑制剤(D)およびシランカップリング剤(E)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項7に記載の架橋可能な共重合体組成物。
- シーリング材用、ポッティング材用、コーティング材用または接着剤用であることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の共重合体組成物からなるシーリング材。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の共重合体組成物からなるポッティング材。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の共重合体組成物からなるコーティング材。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の共重合体組成物からなる接着剤。
- 請求項1または2に記載のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体からなる可塑剤。
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