JP4342123B2 - 残存活性酸化水素の除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池の負極や電気二重層キャパンタの分極性電極の活物質として用いる炭素材料に関するもので、詳しくは、これらの炭素材料により電極を形成した場合に高い電圧で稼働させることができない原因のひとつである、炭素材料の表面あるいは細孔中に存在する活性酸化水素(酸素と結合した状態で存在する水素で、例えばCOOH、CHO、フェノール性OHなどの含ヘテロ元素官能基として存在する水素をいう)を比較的低温で、効率的に除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電気二重層キャパシタは、1対の分極性電極を電解質溶液中にセパレータを介して対向させて正極および負極を構成したもので、分極性電極と電解質溶液の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積することを原理とするものである。従って、電気二重層キャパシタの静電容量は、分極性電極の面積にほぼ比例するとの考え方から、分極性電極の活物質として、BET法による比表面積が1,000〜2,000m/gの多孔性炭素・活性炭がこれまで多用されてきた(例えば、平塚和也ら、DENKI KAGAKU, Vol.59, No.7, pp.607-613 (1991))。これに対して比表面積が100m/g以下しかない非多孔性炭が提案されている(M.Takeuchiら、DENK1 KAGAKU, Vol.66, No.12, pp.1311-1317 (1998))。このような炭素材料では、多孔性炭素や活性炭であれ、非多孔性炭であれ、いずれの場合も活性化処理によって炭素の表面には多くの残存官能基が残っている。これらの炭素材料を用いて分極性電極とするとき、有機溶媒系電解質溶液を用い、2.5V以上の電圧を対向する電極間に与えて用いると、炭素電極表面に残されている残存官能基、特に含へテロ元素官能基と電解質溶液とが反応し、ガスが発生したり、あるいは非電気伝導性の皮膜が成形されるなどにより、内部抵抗が増大して機能不全が生じたり、あるいは寿命を縮めるなどの不都合が生じる。このような残存官能基を取り除く手段として高温処理が考えられて来たが、充分なものではなかった。
【0003】
すなわち、この高温処理は、炭素に関する参考書(「カーボンブラック便覧−新版」、pp.11, 図9 カーボンブラックの揮発分組成)に示されているように不活性気流中でHO、COOH、CHO、C=Oなどが高温になるにしたがって、CO、HO、COの形で離脱することを基本とするものである。800℃を超えるあたりよりHとしての離脱が始まる。従って、200℃以上800℃以下の温度で熱処理すると残存官能基の除去に何らかの寄与があり、温度が高いほど脱離官能基の種類は多くなる。すなわち、800℃では、大方の含へテロ元素官能基は一旦取り除かれる。しかしながら、同時に遊離基(Free Radical)が炭素表面に発生する。この生じた遊離基は反応性に富み、炭素が空気中に取り出されると速やかに、あるいは緩慢に空気中のHOやOと反応し、再び活性酸化水素(例えば、COOH、CHO、OHなど)を生じる。このことは人為的に水蒸気を添加した炭素材料を後述するパルスNMR(Pulse NMR)法で観測することにより容易に確認されることである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題点に対して、本発明者は、上述の高温処理を改良して、発生した遊離基を水素で終端することを期待して、水素気流中(又は工業的にはNHガスをFe触媒を用いて分解した3H+N混合ガス中)で熱処理する方法を提案した(特許願2000−201849(2000年7月4日))。
【0005】
この水素気流中での高温処理では、温度が高いほど効果があるという結果が出ている。
【0006】
しかしながら、電気二重層キャパシタなどの分極性電極として用いた場合、活性炭とは異なり、初期段階でミクロ孔をほとんど持たず、電気化学的インターカレーション(Intercalation)によって、電気二重層を形成し、履歴効果で以後高容量が保持されるようになる非多孔性炭では、後熱処理の温度によって炭素組織内に発達している黒鉛状層の層問距離d002が図1の様に変化し、処理温度が高温になるほど層間距離d002は減少する傾向がある。層間距離d002が狭くなるとインターカレーション開始電圧も高くなり、初期充電後の履歴効果が少なくなり、低い電圧で稼働させるときの静電容量が低下する傾向がみられ(図2)、電気二重層キャパシタの設計するうえでの自由度(例えば、分子容の小さい電解質溶液の溶媒選択など)が制限されることになる。
【0007】
また、電極間に印加する電圧は3.75〜4.0Vを最大として、これ以上の電圧を加えると内部抵抗が急激に増大し、その後電圧を下げても内部抵抗が下がらないという事態が起こりやすい。このため、印加電圧の最大を3.75Vもしくは4.0Vとせざるを得ない。実稼働電圧はこの最大電圧より低い電圧、例えば2.7Vとか3.5V以下で用いることになるが、図2に見られるとおり、低温で処理した、層間距離d002の広い、インターカレーション開始電圧の低い材料が高温で処理したものに比べその履歴効果が大きく、低い電庄での静電容量が大きくなることがわかる。
【0008】
従って、なるべく低い温度で、且つ残存官能基をできるだけ完壁に取り除くことが要求される。
【0009】
また、工業的に活性炭・多孔質炭や非多孔性炭などの炭素材を水素気流中で熱処理する場合、空気中の酸素と漏洩水素ガス(あるいは水素気流中に外部より酸素が漏洩する場合)との混合ガスが550℃以上に加熱されるか、引火すると爆発的に反応する、いわゆる、「酸水素爆鳴気反応」をおこすため、注意が必要である。従って、550℃より十分余裕のある低い温度で実施し得るならば、安全性は高まり、過剰の設備コストを必要としないですむ。
【0010】
すなわち、本発明は、酸水素爆鳴気反応を起こすことのない550℃以下の、なるべく低い温度で、非多孔性炭ばかりでなく活性炭・多孔質炭などを含む分極性炭素電極の原料炭素の活性酸化水素、言い換えれば、COOH、CHO、OHなどのような残存する官能基をできるだけ安く、安全に、しかも完壁に取り除く手段を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は電気二重層キャパシタをはじめとする分極性電極に適した炭素活物質を提供することも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
非水系電解質溶液を用いる二次電池や電気二重層キャパシクにおいて、その分極性電極の活物質として用いられる活性炭や非多孔性炭は、活性化処理によって表面にCOOH、CHO、フェノール性OH等の含へテロ元素官能基を多く残している。このような活性炭や非多孔性炭を用いて、電極を組み立て動作極間電圧を2.5Vより高い電圧で稼働させると、電解質溶液がこれらの含へテロ元素官能基と電気化学的に反応するので、活性炭や非多孔性炭に存在するこれらの含へテロ元素官能基は取り除くことが必要とされる。
【0013】
このような除去の方法の一つとして、還元性ガス気流中で500〜800℃で加熱処理する方法がある。還元性ガスである水素気流中での熱処理において、温度が高いほど脱離官能基の種類が増え、効果的に除去することができる。このような高温による処理は、活性炭の場合何ら問題を生じることはないが、黒鉛類似の微結晶炭素を有し、比表面積が小さな非多孔性炭では、高温による処理により微結晶炭素中の層間距離d002の縮小が起こることも同時に観察された。
【0014】
本発明者は、上記の還元性ガス気流中での加熱処理に際し、遷移金属を用いることにより、処理温度を低下させることができることを見出し、また、炭素の表面構造をパルスNMR法により解析することができ、炭素材中に存在する含へテロ元素官能基の量は粉末炭素のパルスNMR法によるH共鳴の観測で、短緩和時間成分T=10〜50μsec(Gauss型)と中緩和時間成分T=55〜400μsec(Lorentz型)の存在量によって定量的に評価できることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
【0015】
本発明は、上記の含ヘテロ元素官能基として存在し、電圧印加時に電解液と反応してしまうような炭素材中に残存する酸素などと結合した状態の水素である(いわゆる化学吸着した状態の水とも呼べる)「活性酸化水素」を除去する方法であって、まず、処理すべき炭素材に遷移金属あるいは遷移金属化合物を混合し、次いで、得られた炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物を還元性ガス気流中で熱処理することにより行われる。この処理により原料の炭素材中の含ヘテロ元素官能基が、HO、COあるいはCOとして除去され、活性酸化水素が残存しない精製された形の炭素材である精製炭素材が得られるが、この際、処理した原料炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物を分離することが好ましい。このようにして得られた精製炭素材は、電気二重層キャパシタなどの分極性電極の炭素活物質として用いることができる。
【0016】
また、処理される炭素材には特に制限はなく、炭素材が活性炭、多孔性炭のような細孔を有するもの、あるいは細孔をもたないような非多孔性炭であって差し支えないが、比較的低温で活性酸化水素の除去が可能となる本発明の効果を最大に享受するためには、炭素材として非多孔性炭を用いることが好ましい。なお、炭素材の形状に関しては、粉状、顆粒状、繊維状、ウイスカー状のようないずれの形状のものであっても処理する対象の炭素材として用いることができる。
【0017】
本発明では、処理すべき炭素材と、遷移金属あるいは遷移金属化合物とを混合し、これを還元雰囲気下、好ましくは還元性ガス気流中で熱処理するもので、還元性ガスとして、水素あるいはアンモニアをFe触媒などを用いて接触分解して得られる水素と窒素の混合ガス(3H+N混合ガス)を用いることを特徴とする。
【0018】
また、混合は、処理すべき炭素材に遷移金属あるいは遷移金属化合物が充分に分散された状態となれば良く、この状態を達成するための混合方法はどのようなものであってもよい。さらに、炭素材に分散させる遷移金属あるいは遷移金属化合物の形状も粉状、粒状、繊維状、細線状、片状などいずれの形状であっても差し支えなく、また遷移金属の細線を用いて網状加工品、樹状加工品あるいは綿状加工品を作成し、これらと炭素材とを混ぜ合わせるようにしてもよい。
【0019】
一方、遷移金属化合物を炭素材と混合するには、遷移金属の場合と同様粉状、粒状、繊維状、細線状、片状などの形状を有する固形の化合物そのもの自体を炭素材に混合・分散させてもよいが、これらの遷移金属化合物を水あるいは有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を炭素材に含浸させた後、水や有機溶媒を蒸発させることにより、炭素材表面に遷移金属化合物を担持せしめるという方法によっても、本発明でいう「炭素材と遷移金属化合物との混合」を達成することができる。
【0020】
また、本発明は、上記のようにして処理すべき炭素材から活性酸化水素が除去され、精製された炭素材の製造方法も包含し、この製造方法は、まず、(1)炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物とを混合し、そして、(2)得られた炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物を還元性ガス気流中で熱処理し、次いで、(3)熱処理された炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物を分離し、活性酸化水素が除去された精製炭素材を得ることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明では、上記のようにして得られた精製炭素材中の活性酸化水素の量は、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法によるH共鳴で観測される横緩和時間T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、横緩和時間T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを測定し、各成分の量比によって特定されるもので、本発明の精製炭素材は上記のパルスNMR法によるH共鳴によりT=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを求めたときの、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(すなわち、中緩和時間成分/短緩和時間成分)が1/3以下であるという、ようするに中緩和時間成分が極めて少ないという特徴を有するものである。このような精製炭素材は電気二重層キャパシタの分極性電極用の炭素活物質として使用することができ、これらの精製炭素材を用いて作製した電気二重層キャパシタは、充放電時のガスの発生や静電容量の減衰、内部抵抗の上昇がない優れたものになる。
【0022】
また、この精製炭素材が非多孔性炭である場合には、活性酸化水素の除去により生じる層間距離d002の減少もなく、静電容量の高い電気二重層キャパシタが得られた。なお、ここでいう「非多孔性炭」とは、特許願2000−201849号においても説明しているように、黒鉛類似の微結晶炭素を有し、細孔が少なく従って比表面積が小さな(例えば、BET法による測定で比表面積が270m/g以下、好ましくは層間距離d002が0.36〜0.38nm程度の)炭素を意味するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明において、処理すべき炭素材には、活性炭のような多孔性炭素や非多孔性炭など電気二重層キャパシタの分極性電極用の活物質として用いるものがあげられるが、本発明の活性酸化水素の除去方法の出発原料となる炭素材としては、いずれの場合も活性化(賦活)処理済みの乾燥品を用いることになる。まず、これらの出発原料となる炭素材としての非多孔性炭について簡単に説明する。
【0024】
図3は非多孔性炭およびこれを出発原料として得た精製炭素材の一つである精製非多孔性炭の製造法の概略を示したものである。本発明で出発原料となる炭素材(非多孔性炭)は、ニードルコークスや不融化処理したピッチ(300℃〜400℃で乾留して揮発成分が除去された易黒鉛化炭)を120μm以下に粉砕して「原料炭」を得、この「原料炭」を不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、650℃〜900℃、好ましくは700℃〜800℃で、2〜4時間熱処理し、前熱処理を行い「か焼炭」を得る。次いで、得られた「か焼炭」を重量比で、1.8〜2.2倍、好ましくは2倍程度の苛性アルカリ(例えば、KOH)と混合して、再度不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、800℃〜900℃、好ましくは800℃程度で、2〜4時間加熱し、苛性アルカリによる活性化処理を行い、その後、次のようにして炭素中に残存するアルカリを除去する。
【0025】
アルカリの除去は、得られたアルカリ活性化後の炭素を洗浄することにより行う。洗浄は、例えば上記アルカリ処理後の炭素から1μm以上の炭素粒子を回収し、ステンレス製のカラムに充填し、120℃〜150℃、10〜100kgf、好ましくは10〜50kgfの加圧水蒸気をカラムに導入し、排水のpHが〜7となるまで加圧水蒸気を導入し続けることにより行うことができる(通常6〜10時間)。アルカリ除去工程の終了後、アルゴンや窒素のような不活性ガスをカラムに流し、乾燥して目的の非多孔性炭を得る。
【0026】
一方、活性炭を製造するには、上記の原料炭を直接KOHと共に800℃で熱処理すると、細孔ができて活性炭となり、上記と同様にしてアルカリを除去した後、アルゴンや窒素のような不活性ガスをカラムに流し、乾燥して目的の活性炭を得る。
【0027】
このようにして得られた非多孔性炭や活性炭は、炭素表面にCOOH、CHO、フェノール性OHなどの含ヘテロ元素官能基を有しており、本発明ではこれらの含ヘテロ元素官能基として含有されている活性酸化水素を除去するものである。すなわち、この活性酸化水素の除去方法は、図3で例示するように、出発原料となる非多孔性炭を遷移金属あるいは遷移金属化合物と混合し、水素気流中のような還元性雰囲気下で熱処理し、次いで、該処理混合物から遷移金属または遷移金属化合物を除去して精製非多孔性炭を得るものである。なお、図3において、遷移金属除去における「Dry法」とは、熱処理後の炭素の粉体と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から後述するような方法により炭素の粉体と遷移金属あるいは遷移金属化合物とを直接分離する分離方法をいい、また、「Wet法」とは、熱処理後の炭素の粉体と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物を一旦、溶媒中に分散してから、後述するような方法により炭素の粉体と遷移金属あるいは遷移金属化合物とを分離した後、溶媒を除去し乾燥する一連の工程からなる分離方法や、熱処理後の炭素の粉体と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物を酸または塩基の溶液のような化学薬品を用いて処理し、可溶性の塩に変えて溶出除去するような液媒体を用いて分離する方法を意味している。
【0028】
本発明で出発原料として使用する非多孔性炭や活性炭のような炭素材は、一般に、粒子径1μm〜100μmの範囲にあり、望ましくは20μm〜60μm程度の範囲にあることが好ましい。
【0029】
本発明の残存活性酸化水素の除去方法は、上記の炭素材に遷移金属あるいは遷移金属化合物を混合し、次いで還元雰囲気下で熱処理するものである。
【0030】
使用する遷移金属としては、周期表の3〜11の各属の金属元素があげられるが、特に、Fe、Ni、Co、Cu、Mo、Cr、Mn、Thであることが好ましい。
【0031】
また、使用する遷移金属はこれらの単体金属でもよいし、これらの金属元素を含む合金、例えば、パーマロイ(Fe−Ni系)、鉄コバルト(Fe−Co系)のようなものであってもよい。さらに、炭素材と混合する遷移金属の形状としては、遷移金属の微粉末の他、チップ、薄片、繊維、細線などでもよく、さらに、細線状のもの加工して網状加工品や、樹状加工品あるいは綿状加工品としたものでもよい。これらの加工品としては、例えば、ブラシやスポンジニッケルのようなものを例示することができ、これらの加工品を用いることにより、処理後における炭素材と遷移金属との分離が容易になる。
【0032】
一方、遷移金属をそのまま使用するには、粉末の場合、粒子径が3μm〜30μm程度、特に3〜10μm程度であることが好ましい。
【0033】
なお、混合に際しては、上記のような遷移金属の1種を単独で、または2種以上の遷移金属を併用して用いることができ、炭素材との混合割合としては、混合後に遷移金属が均一に分散している状態を達成できることが必要であり、混合する遷移金属の形状にもよるが、一般に、炭素材100重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜5重量部程度である。
【0034】
炭素材と、例えば遷移金属粉末とを混合し、充分に分散させた後、還元性の雰囲気下で熱処理を行うが、熱処理は200〜850℃、好ましくは400〜500℃の温度で2〜6時間程度行う。熱処理終了後、炭素材と遷移金属粉末とを分離し、遷移金属粉末を回収するとともに活性酸化水素が除去された炭素材(精製炭素材)を得る。なお、上記の熱処理は還元性雰囲気下で行うが、還元性雰囲気の条件としては、水素ガスあるいは水素を不活性ガスで希釈した混合ガス流通下が好ましく、このような混合ガスとして、工業的に実施する場合には、NHガスをFe触媒を用いて分解した3H+N混合ガスが利用できる。なお、水素ガスの流通速度としては、炭素100g当たり0.2〜0.5リットル/min程度あれば充分である。
【0035】
遷移金属粉末の分離回収は、炭素と遷移金属との顕著な物理的性質の違いによって分ける方法が考えられる。一般的には、密度の違いを利用することができる。
【0036】
すなわち、炭素の密度は2.0g/cm以下であり、一方金属は、例えば、Fe:7.87g/cm、Ni:8.91g/cm、Co:8.90g/cm、Cu:8.96g/cm、Mo:10.22g/cm、Cr:7.14g/cm、Mn:7.43g/cm、Th:11.85g/cmなど、炭素に比べると顕著に大きい。従って、粒子径がほぼ同程度なら、サイクロンなどの粉体分離器により容易に分離可能である。しかし、極めて微小な遷移金属粉末が比較的大きい粒子径をもつ炭素粉末に混入しているときは分離は完全とはいえない。この様な場合は、金属と炭素の中間の密度を有し、両者に対して濡れ性の良い液体に、超音波などの手段で強制分散させることにより、炭素粉末は浮き、金属を沈降させることができるので、両者を容易に分離することができる。その後、濾過などの通常の固液分離により炭素および遷移金属を分離回収する。
【0037】
ところで、遷移金属がFe、Ni、Coの強磁性体やこれらの強磁性体合金であれば、磁性の違いによって容易に分離することができる。
【0038】
実験的な簡便法としては、ポリ袋につつんだ強力な磁石を炭素試料中に挿入し、全体を真空濾過器の濾紙上に離して設置した網の上に置き、この上で振動を与え、磁石に捕らえられた上記遷移金属(あるいは合金)粉末から、炭素粉末を濾紙上に分離回収する。あるいは、筒状のコイル内に軟鉄などの強磁性体の網を挿入し、外部より電磁石を用いて網を磁化すれば、網上に上記磁性体粉末は残り、炭素粉末は筒を通して流す気流によって分けられ、筒の先に設けたフィルター上に集積する。磁化のための電流を交番電流にすると、磁性粉体の集合体の形状を変化させることができ、磁性体粉末と共に取り込まれた炭素粉末は分離回収される。また、炭素粉末を回収した後、網上に集められた磁性体は磁化電流の「on-off」によって作用力を切り換えることができ便利である。なお、試料粉末の粒度や磁性体の粒度により、捕集効果や試料からの磁性体の分離しやすさが異なるので、実装置への適用にあったては吟味が必要となる。
【0039】
また、このような強磁性体の分離は、還元雰囲気中で熱処理された混合物を溶媒中に超音波などの手段により分散させ、磁石を用いてFe、Ni、Coの強磁性体やこれらの強磁性体合金を分離回収後、溶媒を除去し、乾燥することによって分離することができる。この方法は、炭素粒子と遷移金属粒子とが強く接合して粉体、すなわち乾燥状態のままでは分離されにくい場合に好適な方法である。分散に使用できる溶媒としては、水やアセトニトリル、炭酸ジエチル、メタノールなどの有機溶媒があげられる。
【0040】
一方、本発明で使用する遷移金属化合物としては、上記の遷移金属の化合物があげられ、化合物としては、処理温度で揮発性物に熱分解され金属に還元されるような化合物であって、各遷移金属の塩化物、硫化物、酢酸塩などの有機酸塩などを使用することができる。これらの遷移金属化合物を炭素材と混合する際には、固形や液状の化合物をそのまま炭素材と混合するよりも、これらの遷移金属化合物を、一旦水や有機溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を炭素材に含浸させ、その後、水や有機溶媒を蒸発させ炭素材上に遷移金属化合物を担持させるようにすることが望ましい。この場合、担持量としては、遷移金属化合物の種類により異なるが、金属に還元された場合の量に換算して、炭素重量の0.1重量%以上、望ましくは0.5重量%以上の量とすることが好ましい。
【0041】
これらの遷移金属化合物は、一般には熱処理中に還元され大部分が遷移金属の状態となり作用しているものと推定される。熱処理後における遷移金属化合物の分離は、遷移金属の場合と同様強磁性体の場合は磁石によって分離できるが、この他に酸やアルカリによって可溶化して、洗浄などによっても炭素材から分離除去することができる。
【0042】
すなわち、一般に、遷移金属化合物を炭素材に担持させた場合には、上記のように遷移金属微粉末を物理的に混合した場合に比べて、還元された遷移金属は炭素材上に比較的細かく原子状に分散しており、上述の物理的分離方法のみでは分離が難しい場合がある。このような場合、炭素から遷移金属を完全に除去するには化学的方法が有効である。すなわち、炭素は化学的にinertであり、酸や塩基に侵され難い性質を有しているので、酸や塩基で炭素上の遷移金属を可溶性の塩に変換し、次いで洗浄することにより遷移金属を分離除去することができる。しかしながら、除去された官能基が、酸や塩基で処理することにより再び発生してしまっては意味がない。そこで、使用する酸や塩基を選択する場合、その酸や塩基が遷移金属と反応した際に、その反応生成物が可溶性であって、しかも炭素自体に与える影響が少ないものを選ぶことになる。このような物質の例としてはとして、HFの水溶液が挙げられる。
【0043】
また、遷移金属および遷移金属化合物を、熱処理後の炭素材から分離することは必ずしも必要ではないが、電気二重層キャパシタの分極性電極の炭素活物質に用いるような場合には、組み立てられた分極性電極の信頼性を確保するために、残存する遷移金属あるいは遷移金属化合物を炭素材から分離することが好ましい。
【0044】
すなわち、Fe、Ni、Coなどの遷移金属が炭素材中に金属状態で存在したとしても、理想的電解質溶液で作られた電気二重層キャパシタであれば、特別な不具合は生じない。事実、遷移金属が残存する炭素材で作られた電気二重層キャパシタであっても、充電・放電試験の初期では何の不具合も認められない。しかし、長期に使用していると、静電容量の低下や、内部抵抗の増加、無効電流の増加による充・放電効率の低下が見られることがある。この原因としては、電解質イオンBF は、水が存在するとゆっくりと反応し、HFを含む各種のフッ素含有酸を形成することが知られていることから、これらの反応により生じたフッ素含有酸が遷移金属と反応し、電解質溶液中に遷移金属イオンを発生させ、さまざまな電気化学反応を惹起するためではないかと、考えられる。
【0045】
また、電気二重層キャパシタやLiイオン電池などの構成物では、極力水を含まないように工夫されているものであるが、完全に水を排除することは困難である。一方、Freeの水ではなくとも、形態を変えた水、すなわちCOOH、CHO、OHに含まれる水素が存在する場合、比較的高い電圧(例えば、2.5V以上)で作動させると、電気化学反応がおこり、この結果としてFreeの水が徐々に発生してくることも考えられる。このように、電気二重層キャパシタやLiイオン電池などの構成物中に、僅かの水が存在するということは避けられないものである。従って、この僅かに存在する水によりBF からフッ素含有酸が生じたとしても、このフッ素含有酸と反応する遷移金属がなければ不具合は生じないことになる。従って、炭素材中には、Fe、Ni、Coなどの遷移金属が残留していないことが望ましい。
【0046】
なお、炭素材中に、Fe、Ni、Coなどの強磁性体の微粒子が残留すると、後述するパルスNMRにより横緩和時間を測定した場合、これらの強磁性体の微粒子が近傍の磁場均一度を乱すため、パルスNMRで測定される水素核の横緩和時間Tが本来の値よりも短い横緩和時間として観測された。
【0047】
次に、炭素上に存在する活性酸化水素の量を定量的に評価するために用いたパルスNMR法によるH共鳴の測定について説明する。測定により得られた横緩和時間T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、横緩和時間T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分との量から活性酸化水素の量を以下のようにして求めることができる。
【0048】
図4は、パルスNMR法を用いて各緩和時間成分を求めるための炭素試料の調製法の概要を示したものである。すなわち、露点温度−80℃程度のグローブボックスに隣接した、真空加熱焼出し炉で、試料を深底ガラス試料ビンに少量採取し、これをSUS製深底バットに入れ、軽く蓋をのせてゆっくりと焼き出す。
【0049】
焼出し処理を行った後、グローブボックスの内側扉から、上記試料を取り出し、図4に示したように、10mmφのNMR試料管に試料を詰め、PETF製内栓で固定する。内栓の中心にはガラスフィルター繊維を詰め、挿入時内部ガスの気流により試料粉が出てこないようにする。
【0050】
専用試料キャップで栓をし、これをラミネートポリ袋に入れ、クランプする。グローボックスの外に取り出し、熱シールする。
【0051】
以上の状態で保存し、測定寸前にシールをあけて試料を取り出し測定する。試料充填長さ(L)と炭素正味重量(W)は試料充填補正に用いる。
【0052】
パルスNMR法によるH共鳴の測定は次のようにして行う。
【0053】
測定周波数:25MHz、パルス幅Pwl:2.0μsec、パルス間隔Pil:8.0μsecで90°位相差の第2パルスを与え、パルス間隔2Pil後のエコー信号を観測する。この操作を、繰返し時間Rep:2.0secで繰返し数Scans:128〜512だけ行い積算し、データを集積する。
【0054】
以上のようにして粉末状態でパルスNMR装置で、H核共鳴を行うと、緩和時間の異なる多くは2つないし3つの成分を重ね合わせた減衰信号が観測される。一つは横緩和時間Tが10〜50μsecという短い成分で、Gauss型分布を示す共鳴線で近似できる成分である。この成分はたとえこの炭素を800℃で焼成しても変化しない成分であって、炭素骨格に直接結合した水素からなる成分である。この他に、横緩和時間Tが55〜400μsecのLorentze型分布をした中緩和時間成分があり、これは単に加熱真空乾燥してもなかなか無くならない成分である。これは化学吸着水に相当し、COOH、CHO、OHなど酸素と水素との官能基に起因するものである。また、さらに長い緩和時間をもつ成分T=500〜2000μsecの物理吸着水による水素も観測されるが、これは上記加熱真空乾燥によって大方取り除かれるものである。
【0055】
本発明では、上記の「炭素骨格に直接結合した水素」を「T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分」と、「COOH、CHO、OHなど酸素と水素とを含む含へテロ元素官能基に起因する水素」、すなわち、活性酸化水素を「T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分」として定義した。
【0056】
すなわち、本発明の除去方法により「T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分」が減少するとともに、還元雰囲気中(水素気流中など)で熱処理されることにより、炭素中の活性部位が水素でターミネートあるいはブロックされて、「炭素骨格に直接結合した水素」が生成されることから、「T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分」が増加すると推定される。従って、本発明で得られる活性酸化水素が除去された精製炭素材としては、T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分に対するT=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分の比、すなわち、「[T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分]/[T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分]」の値が1/3以下、好ましくは1/5以下であることが電気二重層キャパシタなどの分極性電極の炭素活物質として使用した場合、ガスの発生や非電気伝導性の皮膜が成形されることがなく、内部抵抗の増大がない安定したものが得られるという点で望ましいものである。
【0057】
なお、炭素中の活性部位が水素でターミネートあるいはブロックされて生じる炭素に直接結合した水素は、処理終了後に精製炭素材が空気中に取り出されたとき、空気中の酸素や水により炭素中の活性部位が再びCOOH、CHO、OH等に変換されるのを防止している。
【0058】
得られた解析結果の一例として、本発明の活性酸化水素除去処理をする前の炭素材の測定結果を図6に示した。図6の(a)は石油系ニードルコークスを処理して得た非多孔性炭A、(b)はフェノール樹脂系KOH賦活活性炭MPS−20、(c)は炭素種が異なる石油系ニードルコークスを処理して得た非多孔性炭Bの測定結果である。図6の(a)において、初期立ち上がり強度が観測試料中の全水素核量を表し、その減衰カーブを解析して減衰時間の異なる成分の組合せを計算してLine Fittingして求めた結果が示してあり、図中に示した(1)は、横緩和時間Tが177.99μsecの中緩和時間成分であり、その成分量として0.591(任意単位、「AM=」で表示され、全水素核量を1.000としたときの値である、以下同様)であり、同様に(2)は、横緩和時間Tが34.82μsecの短緩和時間成分であり、その成分量として0.409であることが示されている。なお、この場合、上記の各成分の比、すなわち[中緩和時間成分/短緩和時間成分]の値は、0.591/0.409=1.445と計算される。同様にして、(b)および(c)について、[中緩和時間成分/短緩和時間成分]の値は、それぞれ、0.259および1.899と計算される。
【0059】
本発明の方法に従って得られた活性酸化水素が除去された処理後の炭素材(精製炭素材)は電気二重層キャパシタなどの分極性電極用の炭素活物質として用いることができる。このような分極性電極は従来の電気二重層キャパシタ用の分極性電極と同様の方法により作製することができる。例えば、シート状の電極を作製するには、得られた精製炭素材を5〜100μm程度に粉砕し粒度を整えた後、炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤として例えばカーボン・ブラックと、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを添加して混練りし、圧延伸によりシート状に成形することにより行う。導電性補助剤としては、カーボン・ブラック(例えば、アセチレンブラック)の他、粉末グラファイトなどを用いることができ、また、結着剤としては、PTFEの他、PVDF、PE、PPなどを使用することができる。この際、非多孔性炭素と導電性補助剤(カーボン・ブラック)と結着剤(PTFE)との配合比は、一般に、10:0.5〜1.0:0.5〜0.25程度である。
【0060】
このようにして得られた分極性電極に集電体を取り付け、セパレータを介して重ね合わせることにより正極と負極とを形成した後、電解質を含む有機溶媒を含浸させて電気二重層キャパシタに組み立てることができる。
【0061】
なお、炭素活物質として非多孔性炭を用いた場合には、得られる電気二重層キャパシタは、キャパシタの組み立て当初は電気二重層を形成している界面は実質的に無いが、初期充電時に印加電圧がある閾値を越えると電解質イオンが溶媒を伴って炭素組織内に侵入することによって、初めて電気二重層を形成する界面を発生し、以後履歴効果でこの界面が維持され、電気二重層キャパシタとして有効に機能するというものであるため、最初に定格電圧の10ないし20%高い電圧(通常、3.5〜3.75V程度)を印加し充電することが必要である。しかし、炭素活物質として活性炭を用いる場合には、組み立てられた時点で直ちに電気二重層を形成することができ、初期充電のような操作を必要とすることなく、そのまま電気二重層キャパシタとして使用することができる。
【0062】
【実施例】
次に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0063】
実験例1
図3に示すように、原料炭として石油系ニードルコークスを原料炭として用い、これをを不活性雰囲気下で前熱処理(750℃、4時間)して得た「か焼炭」に、炭素に対して重量比で2倍のKOHを加え、800℃で、4時間処理し、活性化した後、アルカリ分を水洗除去し、乾燥して非多孔性炭Aを得た。得られた非多孔性炭Aに、非多孔性炭3gに対し、金属Co粉末(モリテックス社製、31G、純度99.8%、200メッシュ(74μm以下)品)を0.5gおよび1.5gをそれぞれ添加し、乳鉢中で乳棒でよくすり合わせを行い、非多孔性炭中に金属Co粉末を充分に分散させた。
【0064】
次いで、容積10ml程度のアルミナ製ボート状の容器3個を用意し、上記の金属Coを分散させた非多孔質炭および金属Coを添加しないものをそれぞれボート状容器に充填(非多孔性炭素として、各3g)し、図5に示すように横型真空炉の炉芯部にこれらの三つのボートを一列に配置した。炉内部を窒素ガスで置換後、水素ガスで置換し、0.2L/minの流量で水素を流しながら熱処理を行った。炉内の温度分布は、設定温度の±10℃以内であった。熱処理の温度条件は、500℃に達してから4時間保ち、その後、装置を室温まで冷却してから、各処理試料を取り出した。
【0065】
取り出した試料は、浅い底のプラスチック容器に移し、ポリ袋に包んだ小型磁石(希土類磁石)を挿入し、掻き混ぜ、金属Co粉末を回収した。この際、磁石に取り付いた金属Co粉末には、多量の炭素粉末も取り込まれていたので、上記の操作を繰り返して行い、金属Co粉末と炭素粉末とを分離し、処理された炭素材(精製炭素材という)約3gを得た。
【0066】
次に、得られた精製炭素材について次のようにして評価した。
【0067】
(1)パルスNMR法による炭素材中の活性酸化水素の存在量
図4に示すように、得られた精製炭素材の炭素粉末を処理に用いたボート状容器に戻し、アルミバットに載せ、グローブボックスに隣接する真空焼き出し炉に収納し、250℃、5×10−5Torrで4時間乾燥する。放置冷却後、グローブボックス内に取り出し、あらかじめ用意した核磁気共鳴、NMR分析用試料管に充頃し、ポリ袋に収納シールした。この状態で保存された試料ついて、測定直前に開封し、パルスNMR測定装置(日本電子データム社製、JNM−MU25)により測定した。測定法、測定条件などは前記したとおりである。得られた結果を図7および表1に示した。図7において、上段の(a)は、Co未添加の場合、中段の(b)はCoを0.5g添加した場合、下段の(c)はCoを1.5gを添加した場合の測定結果を示している。
【0068】
なお、表1中、「炭素種・処理条件」の欄は、用いた炭素材の種類と、熱処理条件を示したもので、炭素材の種類に加えて、遷移金属の種類と、熱処理温度を上2桁で表示し、3桁目に処理時間を記載し、続けて処理雰囲気を示す記号を水素気流中の処理を表す「H」を末尾に表示した。なお、元素の記号は添加した金属を示し、これの記載がないものは「未添加」を表し、元素記号に付した数値は添加した金属の量(3は3倍量)を示している。例えば、実験例1の場合において、炭素材として「非多孔性炭A」を用い、Coを炭素3gに対して0.5g添加し、500℃で4時間、水素中で熱処理をしたものは、「A+Co+504H」と表示され、3倍量のCo、1.5gを添加したものは、「A+3Co+504H」と表示される。
【0069】
(2)電気二重層キャパシ夕の評価(充・放電特性)
2-1)炭素電極およびキャパシタの作製
評価用の分極性電極を以下のようにして作製した。まず、活物質として、得られた精製炭素材を加熱真空乾燥(200℃、0.1Torr、2〜4時間)した炭素試料と、導電性補助剤としてカーボンブラック(電気化学工業社製、電化ブラック)と、PTFEバインダー(三井・デュポンフルオロケミカル社製、6J)とを重量比で10:0.5:0.25の割合で秤量採取し、乳鉢で丹念に混合、練り合わせ、ホットローラーで圧延し、厚さt=0.25〜0.4mmのシートに仕上げ、20mmφの円盤状にパンチャーで成型した。
【0070】
上記成型電極2枚と、別途同型のt=0.2mmの活性炭電極シート電極1枚、合計3枚を1セットとして、それぞれ未添加、0.5g添加、および1.5g添加の試料についてそれぞれ2組づつ作製し、得られた18枚の電極(各試料につき6枚×3種類)を専用に設けた厚手のアルミ板に彫り込んだ18コの皿穴に、それぞれセットしたうえ、一枚づつ、厚さ、重さを計測し皿穴の番号とともに記録した。
【0071】
この3種各2組みづつの炭素電極を載せたアルミ皿をアルミバットに入れ、GA−100(ガラス繊維セパレーター、1μm)のセパレータとともに加熱真空炉で、250℃、5×10−5Torrで2〜4時間処理し、グローブボックス中にセットした、真空含浸槽に和紙セパレータを加えてマウントし、内部を真空にしたうえ、溶液取り込み口のコックを開いて、活性アルミナと共存させて十分乾燥した電解質溶液(濃度1.0モル/LのEtNBFのPC(炭酸プロピレン)溶液(三菱化学社製、ソルライト))を取り込ませた。覗き窓から電極の状態を観察し、電極、セパレータ中から泡が生じる間真空引きを続け、電解質溶液をよく含浸させた後、槽から取り出し、予め用意した、表面粗面化処理した、アルミ集電極箔にはさんで3電極セルを組み立て、治具で挟んでポリ袋に挿入し、真空パックして評価用キャパシタを作製した。
【0072】
なお、真空パックに用いるポリ袋は内部の状態が観察できるように透明のラミネートポリパックを用いたが、充・放電試験の性能、特に長期試験の結果については、真空パックに用いるパック材の種類にも影響を受けることがわかっており、このため、特に長期間の性能を評価するには、水分の透過がないアルミ箔内蔵のラミネートポリパックを使用することが好ましく、また、これにより長期寿命試験の性能は大幅に向上する。
【0073】
2-2)充・放電特性試験
充・放電特性は、一定電流で充電し、キャパシタに電荷が蓄積していくに従って電圧が上昇するのをモニターすることによって評価した。すなわち、一定電流10mA(もしくは5mA)で充電し、正・負両極間の電圧が設定した例えば3.75Vに達したら、その電圧を保持することで定電圧充電モードとなり電流は減衰し始める。予め設定した充電時間T(通常4500秒)が経過したとき、極性を切り替え、一定電流10mA(もしくは5mA)の定電流モードで放電させ、電圧が0Vになるまで継続する。この後、休止時間(通常180秒)を経て再び上記と同様にして一定電流の充電・放電を繰り返し、指定した回数だけこの充放電サイクルを繰り返して測定を行う。測定は4チャンネル同時処理可能な専用充電放電試験器(Power System社製、CDT−5RZ−4)を用いて実施した。得られた測定結果のうち代表値をまとめて表2に示した。なお、表中、「炭素種・処理条件」は表1と同様である。
【0074】
実験例2
実験例1で用いた炭素材に代えて、市販のフェノール樹脂系、KOH賦活の活性炭MPS−20(関西熱化学社製)を2.5g使用し、活性炭2.5gに対して、Co金属を0.5g、1.5gを添加した試料および未添加の試料の3種をそれぞれ、実験例1と同様に調製して精製炭素材を得た。
【0075】
得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。得られた結果を、図8、表1および表2に示した。
【0076】
実験例3
実験例1で用いた炭素材に代えて、炭素種の異なる非多孔性炭Bを用いて実験例1と同様にして、Co金属未添加、0.5gおよび1.5gを添加した3種類の精製炭素材を調製した。得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。得られた結果を、図9、表1および表2に示した。
【0077】
なお、上記非多孔性炭Bは、入手元の異なる石油系ニードルコークス(興亜石油社製)を不活性雰囲気下で前熱処理(750℃、4時間)して得た「か焼炭」に、炭素に対して重量比で2倍のKOHを加え、800℃、4時間処理し、活性化した後、アルカリ分を水洗除去し、乾燥して調製したものである。
【0078】
実験例4
実験例1で用いた遷移金属Coに代えて、Fe(モリテックス社製、47II、純度99.5%、325メッシュ(13μm以下)品)を用いて、実験例1と同様にして非多孔性炭Aを処理し精製炭素材を得た。得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。得られた結果を図10、表1、および表2に示した。
【0079】
実験例5
実験例1で用いた遷移金属Coに代えて、Ni(関東化学社製、純度>99.0%、粒径3〜7μm)を用いて、実験例1と同様にして非多孔性炭Aを処理し精製炭素材を得た。得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。得られた結果を図11、表1、および表2に示した。
【0080】
実験例6
実験例1で行った処理温度を、300℃に変えて実験例1と同様にして精製炭素材を得た。得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。得られた結果を、図12、表1および表2に示した。
【0081】
実験例7
実験例1で用いた非多孔性炭Aに、Ni(CHCOO)・4HO(関東化学社製、純度98.0%)の3.2gを100mlのEtOHに溶解した溶液を100μlを20回、その後60回滴下し、よく混合してから、空気中200℃で溶媒を除去し、炭素材にNi化合物を担持せしめてから、水素気流中で熱処理を実施した。酢酸ニッケルの担持量(混合量)は、3gの炭素に対して、Ni換算で0.015g、および0.045gとなるように調製した。これらのNi化合物を担持した試料と未添加のものとについて、実験例1と同様にして水素気流中で500℃、4時間処理を行い精製炭素材を得た。得られた精製炭素材について、実験例1と同様にして、パルスNMRで活性酸化水素の量(短緩和時間成分および中緩和時間成分)を測定した。また、得られた精製炭素材を炭素活物質として用いキャパシタを組み立て、充・放電特性を評価した。それぞれの金属について得られた結果を図13、表1、および表2に示した。
【0082】
【表1】
Figure 0004342123
【0083】
【表2】
Figure 0004342123
【0084】
図6〜13および表1によると、次のことがわかる。すなわち、図6は、一例として処理に用いた出発原料の炭素材、非多孔性炭A、活性炭MPS−20、および非多孔性炭BをパルスNMRにより、H共鳴を測定した結果を示したものであり、図7はこの炭素材(非多孔性炭A)を、金属Co存在下で処理した時のH共鳴を測定結果を示したものであるが、Co未添加の場合、大なり小なり中緩和時間成分が観測されるのに対して、Co粉末を添加した場合は、この中緩和時間成分が全く観測されないことがわかり、いずれの場合も、出発原料の炭素材に比べて短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(m/s)の値が大幅に減少し、有効に活性酸化水素の除去が行われることがわかる。
【0085】
同様に、図8および図9は、炭素材をそれぞれ、活性炭MSP−20および非多孔性炭Bに代え処理を行った場合であるが、いずれの炭素材を用いた場合であっても、Co未添加の場合、大なり小なり中緩和時間成分が観測されるのに対して、Co粉末を添加した場合は、この中緩和時間成分が全く観測されず、原料炭の種類にかかわらず活性酸化水素の除去が可能であることがわかる。なお、出発原料である炭素材と比較すると、活性炭MSP−20の場合は当初からm/sが低く、Coを添加しない場合には、処理を行ってもその値に変化は見られなかったが、Co添加によりm/sが低下し、有効に活性酸化水素の除去が行われていることがわかる。また、非多孔性炭Bでは、Coを添加しない場合には、m/sの値はほぼ同様な値を示すものの、Co添加によりm/sが低下し、有効に活性酸化水素の除去が行われていることがわかる。
【0086】
一方、遷移金属の種類を代えて実験したものが、図10、図11であり、これらはそれぞれCoに代え、FeならびにNiを用いたものである。これらの結果によると、金属未添加の場合にいずれも大なり小なり中緩和時間成分が観測されるのに対して、Ni粉末を添加した場合、この中緩和時間成分が全く観測されなかった。一方、Fe粉末を添加した場合には、この中緩和時間成分が観測されたが、その量は少なく、短緩和時間成分に対する比は、1/3以下であり、いずれの遷移金属を使用しても、有効に活性酸化水素の除去が行われることがわかる。
【0087】
図12は処理温度を下げ、300℃で処理したものであるが、この場合もCo未添加の場合に比べて、Co粉末を添加した場合は、中緩和時間成分が著しくの減少していることがわかる。しかしながら、電気二重層キャパシタの分極性電極用の炭素活物質と使用するには、中緩和時間成分が若干多い傾向にあり、この中緩和時間成分を少なくするためにはもう少し処理時間を長くする必要があるが、いずれにしても、活性酸化水素の除去が可能であることがわかる。
【0088】
図13は、炭素材に酢酸ニッケルを担持せしめて処理した場合を示している。この場合も同様に、酢酸ニッケルを担持せしめたものは中緩和時間成分が全く観測されなかった。この場合、使用した遷移金属の量は、Ni換算で、遷移金属微粉末を用いたとき(実験例5)の約30分の1の量と少ない量でも活性酸化水素が除去されていることから、炭素材と遷移金属化合物とを混合する際に、炭素材に遷移金属化合物を担持させることが、極めて有効な活性酸化水素の除去の方法であることがわかる。
【0089】
また、以上の測定結果をまとめたものが表1であるが、表1によると、500℃4時間の処理で、Feの場合活性がやや低いものの、遷移金属を用いた場合、炭素材中の含へテロ官能基に由来する活性酸化水素がほぼ完全に除去されていることがわかる。なお、Feの場合も[中緩和時間成分/短緩和時間成分]の値は1/3であり、電気二重層キャパシタなどの分極性電極用炭素活物質として使用することができる。ただし、処理温度が低い場合には、活性酸化水素は除去されるものの、その除去程度は少なくなる傾向が認められた。
【0090】
充放電特性に関する表2の結果によると、いずれの遷移金属を用いた場合も、未添加のものと金属を添加したものとを比較すると、安定時の静電容量は添加試料で同等ないし増加する傾向を示し、内部抵抗も添加試料で同等ないし低下する傾向を示していることががわかる。
【0091】
また、低温度(300℃)で処理したものも、僅かに気泡の発生が認められたが、現実の電気二重層キャパシタとしての使用に支障は無かった。これは、[中緩和時間成分/短緩和時間成分]の値としては、高いものの実際に存在する含ヘテロ官能基に由来する活性酸化水素の絶対量が極めて少ないためと考えられる。
【0092】
さらに、酢酸ニッケルを担持した試料は、Dry法により、磁石で取り除ける成分をのみを取り除いただけのものであるが、充放電試験の結果は表2に示したとおり、短期の使用では全く変わらず、現実の電気二重層キャパシタとしての使用に問題は生じなかった。
【0093】
なお、表2中、「印加電圧」の欄において下付の数字は採用したデータのサイクル数を示し、「備考」の欄に電流値の記載のない場合は、10mAで充放電サイクルを実施した結果が示してある。
【0094】
本発明において、炭素材中の活性酸化水素の有無は、長期間の使用、すなわち充放電サイクルを繰り返した場合に、大きな差として顕著に現れる。一例を図14に示した。図14は、非多孔性炭BおよびNiを用いて処理した精製非多孔性炭(B+Ni+504H)とを用いてそれぞれ作製した電気二重層キャパシタの場合について、10mAで3.3Vまで充電し、次いで放電する充放電工程を1サイクルとして、この充電放電サイクルを繰り返して行ったときの静電容量の変化を示すグラフである。図14によれば、充電放電サイクル数が500回を超えたあたりから、処理をしていない非多孔性炭Bでは、静電容量の低下が著しく、特性劣化が起こっていることがわかる。
【0095】
一方、これまでの事例で、Fe、Ni、Coの金属微粉末、あるいはこれらの化合物で高温処理時分解して金属が析出するような場合は、いわゆるスピルオーバー(Spill over)の効果があることがわかった。スピルオーバー効果とは、活性炭触媒の領域において、遷移金属元素Co、Ni、Fe、Cu、Mo、Cr、Mn、Thなどの金属またはこれらの硫化物が炭素を担体として用いられた場合に、生じる現象であって、気相の分子状のHが金属界面で可逆的に解離し、原子状のHとなり、炭素の上に流れ出すという現象である(例えば、理科学辞典、「スピルオーバー」;真田雄三ら編、「新版 活性炭 基礎と応用」、pp.162 (1995);K. Fujimoto, S. Toyoshi, Proceeding of the 7th International Congress on Catalysis Tokyo, pp.235(1980)など)。しかしながら、スピルオーバー効果に関しては、触媒作用効果については知られているが、炭素自体の表面構造の変化に及ぼす影響については明らかにされていなかった。この面からいえば、本発明において、スピルオーバー効果を含めてパルスNMRの解析により炭素の表面構造の変化が明らかにされた意義は大きいものである。
【0096】
このスピルオーバーの効果という点で、実験例を考察すると次のようになる。
【0097】
そもそも、スピルオーバーとは、遷移金属の表面にある分子状水素が活性な原子状水素になる解離反応活性点からの「溢れ出し」を意味するものである。従って、同一重量の遷移金属粉末であれば、その遷移金属がよりよく分散されていれば、粒子径が小さいほど、活性点は多くなり、炭素へのスピルオーバーの広がりは狭くてすみ、この結果炭素は近くの活性点から高濃度の活性水素の供給を受けることができるようになる。そして、この活性水素が炭素と結合して、本発明でいう短緩和時間成分量で表される「炭素骨格に直接結合した水素」となる。
【0098】
この理論に基づくならば、原子状の分散が最も効果的になるはずであり、事実、遷移金属化合物を溶液に溶解して、炭素材に担持して分散したときが、遷移金属微粉末を混合分散したときにくらべ、少ない遷移金属量で活性酸化水素の除去が達成されていることがわかる。
【0099】
従って、本発明の活性酸化水素の除去において、炭素材と遷移金属を混合する際に、遷移金属をできるだけ細かく均一に分散させることにより、使用する遷移金属の量を減少させることができることが判明した。このことからいえば、本発明の実験例で使用した遷移金属については、遷移金属自体の活性よりも、むしろ遷移金属の粒子径の影響を受けている可能性が推定される。
【0100】
スピルオーバーの効果に関連して、炭素のKOHによる活性化処理時、鉄を含む容器、例えばSUS304製の容器を使った場合、800℃の高温でKOHが容器を侵し、Feが溶出し、炭素のなかにFeが残存することになる。このことはKOH処理後にアルカリ成分を除去し、乾燥した炭素粉末のXRD測定で、Fe(cubic)を示すピークが検出されることで確認された。このような炭素の場合、新たに金属粉末を添加しない未添加品において、スピルオーバーの効果による活性酸化水素の除去が認められる。図15はこのような事例であり、炭素材として非多孔性炭Bを水素気流中で500℃、4時間処理したものであるが、Coの未添加の場合でも中緩和時間成分は認められず活性酸化水素が除去されていることがわかる(A)。なお、(B)および(C)はそれぞれCoを0.5gおよび1.5g添加したものであるが、この場合も当然の結果として中緩和時間成分は認められなかった。
【0101】
炭素中の残存Feは、その後電解質溶液を用いキャパシタを組み立て、充電−放電試験を繰り返した後、炭素電極を取り出し、XRD測定を行うと、使用前に見られたFe(体心立方、Bodycenter Cubic)のピークが消失していた。このことは電解質溶液中で何らかの反応が生じたものと考えられ、望ましいことではない。
【0102】
炭素中残存金属がどのような反応をしていて、どの様な影響を与えるかは、まだ明らかにされていないが、活性酸化水素の除去に関し、炭素材中の残存遷移金属の影響は配慮しなければならないことである。
【0103】
炭素それ自体は酸・アルカリに極めて安定であることを認識すれば、これを用いた電気二重層キャパシタは本来耐久性の高いものである。この意味ではこのような炭素内残存金属は望ましいものではあり得ないと考えられる。この意味では、触媒として用いるものであっても、金属類は炭素材から完全に取り除かれることが望ましい。
【0104】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明によると、含ヘテロ元素官能基(例えばCOOH、CHO、OHなど)に起因する活性酸化水素の除去を容易に行うことができ、電気二重層キャパシタをはじめとする分極性電極用の材料として適した炭素活物質が得られる。この炭素活物質を用いて作製した電気二重層キャパシタは、使用に際し、充放電を繰り返しても、ガスの発生や内部抵抗の上昇がないサイクル安定性および経時安定性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種非多孔性炭の後熱処理による層間距離d002の変化を示すグラフである。縦軸にX線回折(XRD)で得られた層間距離d002の値を、横軸に熱処理温度を示した。なお、横軸の初めの部分に、か焼炭、およびKOH活性化処理の時点での層間距離d002も示した。図から、KOH活性化処理後が最も大きい層間距離を示し、その後の熱処理によって狭くなっていることがわかる。一般的傾向としては温度が高い程、層間距離d002は小さい値を示している。なお、各プロットは次の炭素材を示している。▼:不融化石油ピッチを原料炭として調製した非多孔性炭D、▽:石油系ニードルコークスを原料炭として調製した非多孔性炭A、■:石油系ニードルコークスを原料炭として調製した非多孔性炭C、□、▲および●:石油系ニードルコークスを原料炭として調製した非多孔性炭Bであって、前熱処理条件および活性化処理条件がそれぞれ異なるものである。
【図2】熱処理温度を変えたときの非多孔性炭の初期充電特性を示すグラフである。印加電圧を0.5V〜3.75Vまで0.5Vないし0.25V単位で漸次上昇させながら充・放電特性を測定し、同様に3.75V〜0.5Vまで同様に漸次減少させながら測定した結果を示したものである。測定した試料は石油系ニードルコークスを原料炭として調製した非多孔性炭Bについて還元雰囲気下で熱処理したもので、測定対象とした試料に付記してある「+504H」などの意味は前述したとおりである。図によると、各試料ともそれぞれ履歴効果により印加電圧減少時に、印加電圧増加時に比べて高い静電容量を示すが、高い温度で熱処理したものほど、立ち上がりの電圧が高く、静電容量も小さいことがわかる。これは層間距離d002に起因するものである。
【図3】非多孔性炭および精製炭素材の調製方法の概略を示す図である。
【図4】パルスNMR測定のための試料の調製の概要を示す図である。
【図5】実験に用いた熱処理試験用電気炉の概要を示す図である。熱処理は次のようにして行う。ステンレス製筒状炉心内部に、アルミナ製ボート状容器▲1▼、▲2▼、▲3▼をガイド板に載せて挿入する。還元用ガス(水素など)は〜0.2L/min程度の流量で流し続ける。3つのボート状容器には、それぞれ未添加、0.5g添加、および1.5g添加の炭素試料が充填されている。この状態で温度を上昇し設定温度(例えば500℃)に保って、4時間放置し、その後放置冷却する。
【図6】処理に用いる原料である炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図中、(a)は非多孔性炭A、(b)は市販の活性炭「MPS−20」、(c)は非多孔性炭Bの場合の測定結果である。
【図7】非多孔性炭Aについて、Coを用い処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はCo未添加の場合、(b)はCoを0.5g添加した場合、および(c)はCoを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図8】フェノール樹脂系KOH賦活活性炭「MSP−20」について、Coを用い処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はCo未添加の場合、(b)はCoを0.5g添加した場合、および(c)はCoを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図9】非多孔性炭Bについて、Coを用い処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はCo未添加の場合、(b)はCoを0.5g添加した場合、および(c)はCoを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図10】非多孔性炭Aについて、Feを用い処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はFe未添加の場合、(b)はFeを0.5g添加した場合、および(c)はFeを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図11】非多孔性炭Aについて、Niを用い処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はNi未添加の場合、(b)はNiを0.5g添加した場合、および(c)はNiを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図12】非多孔性炭Aについて、Coを用い処理温度を下げて処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)はCo未添加の場合、(b)はCoを0.5g添加した場合、および(c)はCoを1.5g添加した場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図13】非多孔性炭Aについて、酢酸ニッケルを担持せしめて処理して得た精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図である。図において、上段から、(a)は酢酸ニッケル未担持の場合、(b)は酢酸ニッケルをNi換算で0.001g担持させた場合、および(c)は酢酸ニッケルをNi換算で0.003g担持させた場合の試料についての測定結果をそれぞれ示した。
【図14】充電放電サイクルを繰り返して行ったときの静電容量の変化を示すグラフである。
【図15】KOH活性化処理中にFeが混入した非多孔性炭Bの場合について、処理後の精製炭素材のパルスNMRの測定結果を示す図であり、スピルオーバー効果を示すものである。図のAにおいて、Co未添加の場合であっても、混入Feの作用により中緩和時間成分、すなわち活性酸化水素が除去されている。

Claims (3)

  1. 炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物とを混合する工程と、得られた炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物を還元性ガス気流中で熱処理する工程と、熱処理された炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物を分離する工程と、を含む炭素材中に存在する残存活性酸化水素の除去方法であって、
    遷移金属がFe、Ni、Coのいずれか1種あるいはこれらの2種以上の混合物または当該元素を含む合金であり、熱処理された炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物の分離を磁力により行う残存活性酸化水素の除去方法。
  2. 炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物とを混合する工程と、得られた炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物を還元性ガス気流中で熱処理する工程と、熱処理された炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物を分離する工程と、を含む炭素材中に存在する残存活性酸化水素の除去方法であって、
    熱処理された炭素材と遷移金属あるいは遷移金属化合物との混合物から、遷移金属あるいは遷移金属化合物の分離を炭素材との密度の差により行う残存活性酸化水素の除去方法。
  3. 熱処理時の温度が200℃以上850℃以下である請求項1または2に記載の残存活性酸化水素の除去方法。
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