JP4335934B2 - 熱収縮性多層フィルム及び熱収縮性ラベル - Google Patents
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Description
このような熱収縮性樹脂フィルムとしては、低温収縮性に優れることからポリスチレン系樹脂からなるものが主流である。しかし、ポリスチレン系樹脂フィルムは、耐熱性が不充分であることから、例えば、コンビニエンスストア等にあるホットウォーマー内で加熱時にペットボトルが倒れたときに収縮してラベルが歪んでしまったり破れてしまったりすることがあるという問題があった。また、ポリスチレン系樹脂フィルムは耐溶剤性が不充分であることから、油分を含む品物の包装に用いた場合に、油分が付着することによって収縮したり溶解したりすることがあるという問題もあった。
また、飲用のPETボトル等に使用する場合には、他社との差異化や、顧客に対するイメージ向上を目的として、印刷によるラベルの装飾が行われているが、印刷工程において使用される印刷用インキは、一般的に有機溶剤を含有することから、印刷、乾燥後の印刷面には、微量の有機溶剤が残留する。これにより、特許文献3に記載された熱収縮性フィルムを用いた場合には、残留溶剤によって、外面層と中間層との接着性が影響を受け、印刷工程後の外面層と中間層との接着強度が、印刷工程を行う前と比較して著しく低下するという問題が新たに生じていた。
従って、容器の熱収縮性ラベルとして用いた場合に、装着時において外面層と中間層との剥離が生じることなく、耐熱性、耐油性、ミシン目におけるカット性、外観に優れるとともに、印刷工程において使用される有機溶剤による影響が少なく、印刷工程後も充分な接着強度を有する熱収縮性多層フィルムが求められていた。
以下に本発明を詳述する。
上記ポリエステル系エラストマーは、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントである芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。更に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
また、上記の成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸又はそのエステルを少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルを共重合成分として用いてもよい。
なお、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用い、水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
また、上記変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物となるが、この場合、得られる反応物中の変性ポリエステル系エラストマーの含有率の好ましい下限は10重量%、より好ましい下限は30重量%であり、変性ポリエステル系エラストマーの含有率が100重量%であることが更に好ましい。
上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、変性すべきポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する共重合体や変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。なお、上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
上記ラジカル発生剤は、変性反応に使用するポリエステル系エラストマーの種類、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の種類及び変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。更に、ラジカル発生剤は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
より好ましい下限は0.005重量部、より好ましい上限は0.50重量部、更に好ましい下限は0.010重量部、更に好ましい上限は0.20重量部であり、特に好ましい上限は0.10重量部である。
また、添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、核剤、滑剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。
式(1)中、Aは7.8〜8.4ppmにおける積分値、Bは1.2〜2.2ppmにおけま積分値、Cは2.4〜2.9ppmにおける積分値を表す。
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体を用いると、低温雰囲気下でフィルムが破断しにくく、取り扱い性に優れた熱収縮性多層フィルムとなる。
また、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂を用いると、低温収縮性に優れた熱収縮性多層フィルムとなる。
このような樹脂を単独又は複数で用いて、スチレン含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜35重量%の組成とすることが好ましい。このような組成の樹脂は、特に低温収縮性やミシン目におけるカット性に優れる。一方、共役ジエン含有量が10重量%未満であると、フィルムにテンションをかけたときに切れ易くなり、印刷等のコンバーティングやラベルとして使用するときにフィルムが思いもよらず破断することがある。共役ジエン含有量が35重量%を超えると、成形加工時にゲル等の異物が発生しやすくなることがある。
また、ポリスチレン系樹脂を含む中間層のみに紫外線吸収剤を含有させることで、ポリエステル系樹脂に紫外線吸収剤を含有させた場合の熱劣化やロール汚染等の問題を解決することができる。また、紫外線吸収剤の含有量が少ない場合でも、所望の紫外線カット性を達成できることから、コスト面でも有利なものとなる。
なかでも、紫外線吸収性と耐熱性とのバランスに優れることから、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましい。
上記ジカルボン酸としては特に限定されず、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。
また、特に高い耐熱性と耐溶剤性を付与する場合には、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10〜40モル%であるものを用いることが好ましい。このようなポリエステル系樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜20モル%含有していてもよい。
上記外面層を構成するポリエステル系樹脂としては、上述した組成を有するポリエステル系樹脂を単独で用いてもよく、上述した組成を有する2種以上のポリエステル系樹脂を併用してもよい。
上記外面層の厚さの好ましい下限は3μm、好ましい上限は10μmである。3μm未満であると、充分な耐油性や耐熱性が得られないことがあり、10μmを超えると、充分なミシン目におけるカット性が得られないことがある。より好ましい下限は4μm、より好ましい上限は8μmである。
上記接着層の厚さの好ましい下限は0.7μm、好ましい上限は1.5μmである。0.7μm未満であると、充分な接着強度が得られないことがあり、1.5μmを超えると、熱収縮特性が悪化することがある。より好ましい下限は0.8μm、より好ましい上限は1.3μmである。
本発明の熱収縮性ラベルは、上記熱収縮性多層フィルムをベースフィルムとして、必要に応じて、印刷層等の他の層を積層してもよい。
本発明者らが、従来の多層フィルムをベースフィルムとする熱収縮性ラベルを用いた場合の装着不良の状況を詳細に調査したところ、特許文献2に記載された熱収縮性ラベルでは、図2(a)に示したように、センターシール後、熱収縮させた後に、熱収縮後に製品の輸送中にフィルム同士が擦れた場合や、人間の爪や物体で引掻かれた場合に中間層1と外面層2との間で剥離が生じることが判った(なお、比較のために図2(a)においては、フィルムの端部において剥離した図となっているが、実際にはフィルムの端部のみならず、中央部分等においても剥離は生じ得る)。また、特許文献1に記載された熱収縮性フィルムからなる熱収縮性ラベルでは、図2(b)に示したように、センターシール後、熱収縮させたときに、センターシール側の外面層2と接着層3’との間で剥離が生じることが判った。
一方、特許文献1に記載された熱収縮性フィルムでは、中間層1と外面層2とをオレフィン系樹脂からなる接着層3’を介して積層していることから、層間の接着強度は高いはずである。センターシール方式では、溶剤を用いて熱収縮性フィルムの端部間を接着する。このとき、溶剤としては外面層に用いたポリエステル系樹脂を溶解させるものを用い、外面層の一部を溶解して貼り合わせる。特許文献1において接着層として用いたオレフィン系樹脂は、ポリエステル系樹脂を溶解させる溶剤に対しては極めて耐溶剤性が高く、ほとんど溶解したり膨潤したりすることがない。そのため、センターシール時に外面層の一部が溶解しても、溶剤は熱収縮性ラベルの内部にまでは浸透することがなく、溶解した外面層とその内側の接着層との接着力が低下し、熱収縮時に応力がかかったときには、外面層1と接着層3’との間で剥離してしまったものと考えられる。
本発明の熱収縮性ラベルでは、中間層1と外面層2とを変性ポリエステル系エラストマーを含む接着層3を介して積層していることから、層間の接着強度は極めて高い。また、この接着層3を構成する樹脂は、ポリエステル系樹脂を溶解させる溶剤に対して溶解又は膨潤するものであることから、センターシール時には、溶剤が熱収縮性ラベルの内部にまで浸透し、全体として接着がなされる。このため、各層間の接着力はセンターシール部においてより向上することから、層間剥離が起こらないものと考えられる。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する成分として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)を用いた。
接着層を構成する樹脂として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量部含有するポリエステルエラストマー80重量部と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製、G1641H)20重量部との混合物に対し、無水マレイン酸を0.5重量部、及び、ナイパーBMTK40(日本油脂社製)0.15重量部を温度230℃で反応させることにより得られた変性ポリエステル系エラストマーを用いた。
これらの樹脂をバレル温度が160〜230℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスからシート状に押出し、25℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン110℃、延伸ゾーン90℃、固定ゾーン80℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、熱収縮性多層フィルムを得た。
得られた熱収縮性多層フィルムは、総厚みが45μmであり、外面層(6μm)/接着層(1μm)/中間層(31μm)/接着層(1μm)/外面層(6μm)の5層構成からなるものであった。
実施例1で得られた熱収縮性多層フィルムを用い、溶剤が水100重量部、エチルアルコール200重量部、n−メチルピロリドン2重量部の混合溶剤からなり、ビヒクルが水溶性アクリル樹脂からなる白と藍の2色の印刷インキを用いて、グラビア印刷機で、熱収縮性多層フィルムの片面に2色印刷を施した。印刷図柄は、熱収縮性多層フィルムの流れ方向に非印刷部が4mmの幅で間欠的にある格子図柄を使用した。
次いで、印刷面が内面になるように設定し、熱収縮性多層フィルムの両端を重ね合わせながら、1,3−ジオキソラン100重量部に対して、シクロヘキサン50重量部の混合溶剤を用いて、折り径107mmのチューブ状にセンターシールし、扁平に折り畳み、筒状の熱収縮性ラベルを得た。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を70モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を20モル%、およびジエチレングリコールに由来する成分を10モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
実施例3で得られた熱収縮性多層フィルムを用いた以外は実施例2と同様にして、筒状の熱収縮性ラベルを得た。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を70モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を10モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を20モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体とをコンパウンドしたコンパウンド樹脂A(スチレン84.5重量%、イソプレン1.5重量%、ブタジエン14重量%:ビカット軟化点70℃、MFR9.0g/10分)を用いた。
接着層を構成する樹脂として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量部含有するポリエステルエラストマー80重量部と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製、G1641H)20重量部との混合物に対し、無水マレイン酸を0.5重量部、及び、ナイパーBMTK40(日本油脂社製)0.15重量部を温度230℃で反応させることにより得られた変性ポリエステル系エラストマーを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例1と同様にして、外面層(4μm)/接着層(1μm)/中間層(35μm)/接着層(1μm)/外面層(4μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムを得た。
実施例5で得られた熱収縮性多層フィルムを用いた以外は実施例2と同様にして、筒状の熱収縮性ラベルを得た。
接着層を構成する樹脂として、ポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス500FP)を用いた以外は、実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いて、単層の熱収縮性フィルムとする以外は、実施例1と同様にして厚みが45μmの熱収縮性フィルムを得た。
スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)を用いて、単層の熱収縮性フィルムとする以外は、実施例1と同様にして厚みが45μmの熱収縮性フィルムを得た。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂としてスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%:ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)を用いた。
接着層を構成する樹脂として無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いた。
これらの樹脂を用いて実施例1と同様にして、外面層(6μm)/接着層(1μm)/中間層(31μm)/接着層(1μm)/外面層(6μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムを得た。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂としてスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%:ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)を用いた。
これらの樹脂を用いて実施例1と同様にして、外面層(6μm)/中間層(33μm)/外面層(6μm)の3層構成からなる熱収縮性多層フィルムを得た。
接着層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)50重量%とジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂50重量%との混合樹脂を用いる以外は、実施例1と同様にして厚みが45μmの熱収縮性多層フィルムを得た。
接着層を構成する樹脂として、無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(スチレン含量30重量%、無水マレイン酸付加量0.5重量%、MFR4.0g/10分、比重0.91)を用いた以外は、実施例1と同様にして熱収縮性多層フィルムを得た。
実施例2、4、6で得られた熱収縮性ラベル、並びに、比較例及び実験例で得られた熱収縮性フィルムを用いて実施例2と同様の方法で得られた熱収縮ラベルについて、以下の方法で装着性・外観、耐熱性、ミシン目におけるカット性及び耐油性を評価した。また、実施例1、3、5、比較例1、4〜6及び実験例1で得られた熱収縮性フィルムについて、以下の方法で印刷加工前後の層間強度を評価した。
結果を表1に示した。
得られた熱収縮性ラベルを、直径約65mmの丸(多角)型の500mlのPETボトルに被せ、フジアステック社製「SH−5000」のスチームトンネルを用い、設定温度80−85−95℃、トンネル通過時間8秒で収縮させ、装着させた。なお、各熱収縮性ラベルには、予めミシン目を入れた。
各々100個についてペットボトルへの装着を行った後、更に、爪を用いて引掻いた後、センターシール部を中心に熱収縮性ラベル全体の装着状態を目視にて観察し、以下の基準により装着性・外観を評価した。
〇:層間剥離や、皺が全く認められなかった。
×:1個でも、層間剥離や、皺が認められた。
得られた熱収縮性ラベルを装着したペットボトル(層間剥離や皺がなく装着できたもの)30個を130℃に保温したホットプレート上に15分間静置した後、目視にて熱収縮性ラベルの状態を観察して、以下の基準により耐熱性を評価した。
〇:熱収縮性ラベルに皺や破れは全く認められなかった。
×:1個でも、熱収縮性ラベルに皺や破れが認められた。
得られた熱収縮性ラベルを装着したペットボトル(層間剥離や皺がなく装着できたもの)30個について、手にてミシン目から破いて熱収縮性ラベルを取り外した。このときの状態を観察して、以下の基準により耐熱性を評価した。
〇:容易のミシン目が破れて熱収縮性ラベルを取り外すことができた。
×:手ではかたくて取り外しにくいものがあった。
得られた熱収縮性ラベルを装着したペットボトル(層間剥離や皺がなく装着できたもの)30個の熱収縮性ラベル上に食用油を塗布した後、目視にて熱収縮性ラベルの状態を観察して、以下の基準により耐油性を評価した。
〇:熱収縮性ラベルに皺や破れは全く認められなかった。
×:1個でも、熱収縮性ラベルに皺や破れが認められた
下記の条件で、得られた熱収縮性多層フィルム(フィルム幅:500mm)にグラビア印刷法によるエンドレス印刷を行った。
使用インキ:NEW LPスーパー 白(東洋インキ社製)
インキ粘度:ザーンカップ#3で17秒(ザーンカップ法)
印刷版:版深度30μm、線数175線のダイレクトレーザー製版により作製した版
印刷回数:3回
印刷速度:150m/min
そして、得られたサンプルを引張速度200mm/minで、図4に示すように180度方向に剥離させたときの強度を剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON−17、新東科学社製)を用いて測定した。なお、図3、図4では接着層を省略した。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.5重量部添加したものを用いた。
接着層を構成する樹脂として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量部含有するポリエステルエラストマー80重量部と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製、G1641H)20重量部との混合物に対し、無水マレイン酸を0.5重量部、及び、ナイパーBMTK40(日本油脂社製)0.15重量部を温度230℃で反応させることにより得られた変性ポリエステル系エラストマーを用いた。
これらの樹脂をバレル温度が160〜250℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから5層構造のシート状に押出し、30℃の引き取りロールにて冷却固化した。次いで、予熱ゾーン110℃、延伸ゾーン90℃、熱固定ゾーン80℃のテンター延伸機内で延伸倍率6倍にて延伸した後、巻き取り機で巻き取ることにより、熱収縮性多層フィルムを得た。得られた熱収縮性多層フィルムは総厚みが45μmであり、外面層(6μm)/接着層(1μm)/中間層(31μm)/接着層(1μm)/外面層(6μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムであった。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を70モル%、ジエチレングリコールに由来する成分を10モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を20モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体とをコンパウンドしたコンパウンド樹脂A(スチレン84.5重量%、イソプレン1.5重量%、ブタジエン14重量%:ビカット軟化点70℃、MFR9.0g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.0重量部添加したものを用いた。
接着層を構成する樹脂として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量部含有するポリエステルエラストマー80重量部と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製、G1641H)20重量部との混合物に対し、無水マレイン酸を0.5重量部、及び、ナイパーBMTK40(日本油脂社製)0.15重量部を温度230℃で反応させることにより得られた変性ポリエステル系エラストマーを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(4μm)/接着層(1μm)/中間層(35μm)/接着層(1μm)/外面層(4μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを7.5重量部添加したものを用いた。
接着層を構成する樹脂として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量部含有するポリエステルエラストマー80重量部と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製、G1641H)20重量部との混合物に対し、無水マレイン酸を0.5重量部、及び、ナイパーBMTK40(日本油脂社製)0.15重量部を温度230℃で反応させることにより得られた変性ポリエステル系エラストマーを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(6μm)/接着層(1μm)/中間層(31μm)/接着層(1μm)/外面層(6μm)の5層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
外面層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)からなるポリスチレン系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.5重量部添加したものを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(7μm)/中間層(31μm)/外面層(7μm)の3層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
外面層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)からなるポリスチレン系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを7.5重量部添加したものを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(7μm)/中間層(31μm)/外面層(7μm)の3層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.5重量部添加したものを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(7μm)/中間層(31μm)/外面層(7μm)の3層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
外面層を構成する樹脂として、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールに由来する成分を67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を33モル%含有するポリエステル系樹脂を用いた。
中間層を構成する樹脂として、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン78重量%、ブタジエン22重量%:ビカット軟化点72℃、MFR5.6g/10分)100重量部に対して、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.5重量部添加したものを用いた。
これらの樹脂を用いて実施例7と同様にして、外面層(7μm)/中間層(31μm)/外面層(7μm)の3層構成からなる熱収縮性多層フィルムとした。
実施例7〜9、比較例7〜9及び実験例2で製造した熱収縮性多層フィルムについて、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
得られた熱収縮性多層フィルムについて、分光光度計(U−3410、日立製作所社製)を用い、紫外線(波長:200〜380nm)の透過率を測定した。スキャンスピードは120nm/minとした。なお、紫外線透過率が200〜380nmの全ての領域で1%未満であれば、充分な紫外線カット性を有するものと考えられる。また、表2には、200〜380nmにおける紫外線透過率の最大値を記載した。
得られた熱収縮性多層フィルムについて、温度23℃、湿度55%の雰囲気下で製膜直後から1週間保管した後、フィルム表面を指で拭くことにより、ブリードアウトの有無を以下の基準により評価した。
〇:指に付着する物質はなかった。
×:粉末状の物質が指に付着した。
共押出終了後、引き取り機の冷却ロールの汚れを目視で観察し、紫外線吸収剤のブリードに由来する曇りが見られるかどうかを観察した。
〇:曇りは全く認められなかった。
×:曇りが認められた。
熱収縮性多層フィルムを223mm幅にスリットし、その両端を重ね合わせながら、1,3―ジオキソラン100重量部に対し、シクロヘキサン50重量部の混合溶剤を用いて、折径107mmのチューブ状にセンターシールし、扁平に折り畳み、筒状のシュリンクラベルを得た。
次いでシュリンクラベルを蒸気トンネルを用いて装着させたペットボトル(層間剥離や皺がなく装着できたもの)30個について、手にてミシン目から破いてシュリンクラベルを取り外した。このときの状態を観察して、以下の基準により耐熱性を評価した。
〇:容易にミシン目が破れてシュリンクラベルを取り外すことができた。
×:手ではかたくて取り外しにくいものがあった。
(4)と同様にしてシュリンクラベルを装着した容器30個のシュリンクラベル上に食用油を塗布した後、目視にてシュリンクラベルの状態を観察して、以下の基準により耐油性を評価した。
○:シュリンクラベルに皺や破れは全く見られなかった。
×:シュリンクラベルに皺や破れが見られた。
熱収縮性多層フィルムを長さ100mm×幅10mmのサイズにカットし、引張速度200mm/minで、図4に示すように180度方向に剥離させたときの強度を剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON−17、新東科学社製)を用いて測定した。以下の基準により中間層と外面層との密着性を評価した。
○:層間強度が0.5N/10mm以上
×:層間強度が0.5N/10mm未満
2 外面層
3、3’ 接着層
Claims (6)
- ポリエステル系樹脂を含む外面層と、ポリスチレン系樹脂を含む中間層とが、変性ポリエステル系エラストマーを含む接着層を介して積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、前記接着層を構成する変性ポリエステル系エラストマーは、ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールとからなるブロック共重合体を主成分としゴム成分を添加した混合物を、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸で変性した変性物であることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
- 中間層を構成するポリスチレン系樹脂は、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
- 中間層を構成するポリスチレン系樹脂は、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
- 芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体及び/又はスチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体であることを特徴とする請求項2又は3記載の熱収縮性多層フィルム。
- 外面層を構成するポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含み、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含むことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の熱収縮性多層フィルム。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の熱収縮性多層フィルムを用いてなることを特徴とする熱収縮性ラベル。
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