JP4332786B2 - ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン構造を主構成成分としたものであれば限定はなく、ホモポリマー、共重合ポリマーおよびそれらの混合物のいずれであっても構わない。また、共重合ポリマーは、ランダム、ブロックおよびグラフトのいずれでも構わない。共重合ポリマーの場合の共重合成分も限定はなくエチレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテンおよびメチルペンテン等の低級α―オレフィン、ブタジエン、イソプレン等のジエン類等が挙げられる。共重合ポリマーの場合は該成分との二元系であっても、三元系以上の多元系であっても構わない。また、立体規則性に関しても限定はなくアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクッチクのいずれでも構わない。市場の要求特性に合わせて適宜選択すれば良い。
密度は870〜912kg/m3が好ましい。さらには、密度は、880〜905kg/m3が好ましい。密度が870kg/m3未満では剛性、耐熱性および耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。逆に、密度が912kg/m3超えた場合は低温ヒートシール性が悪化するので好ましくない。また、メルトマスフローレート(以下、MFRと記す)は、1〜100g/10分(230℃)の範囲内のものを用いるのが好ましい。
2〜50g/10分(230℃)の範囲のものがより好ましく、さらに好ましくは、5〜20g/10分(230℃)の範囲内である。MFRが1g/10分(230℃)未満では、フィルム成型において、溶融粘度が高くなり、押出し機のモーターにかかる負荷が大きくなると共に、フィルムの厚み精度が低下するので好ましくない。逆に、100g/10分(230℃)を超えと溶融粘度が低くなり過ぎ製膜が困難になる上、得られたフィルムの力学特性が悪化するので好ましくない。
[臭い評価]
測定環境は、23℃の環境下で行なう。ポータブル型臭いセンサーとして、熱線型半導体式ガスセンサー(キーエンス製:NS720、NS710)を使用する。機器調整終了後、測定するサンプルが入ったフラスコにセンサー部を入れ2分後の値を読み取る。
評価用サンプルは、流れ方向にカットしたA4サイズのフィルムを流れ方向に16分割し短冊状にする400mlのフラスコに入れ口部をアルミ箔で蓋をして、60℃×30分オーブン(根来製作所製循環式熱風乾燥機、形式:102.S.01)で加温した後、23℃×50%RH×2時間放置後、計測する。
滑剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルに代表される高級脂肪酸誘導体が挙げられる。
触媒残渣の中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩及びハイドロタルサイトが挙げられる。
帯電防止剤としては、炭素数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル等に代表される親水性化合物が挙げられる。
加工性改良剤として、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、サリシレート系、シアノアクリレート系に代表される有機系の紫外線吸収剤が挙げられる 防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル系、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系に代表される親水性化合物が挙げられる。
従って、外部に溶出してしまうような添加剤、例えば、内容物が液体の場合は、該液体に溶出されてしまうような添加剤、臭気が移行してしまう添加剤、あるいは時間とともにフィルム表面に偏在するような添加剤が樹脂中に含まれていないことにより、例えば食品の包装材や容器として用いた場合は、臭いや味覚の変化が少なく衛生的であり、また、医療や電子材料の包装材や容器として使用した場合は内容物を汚染しないクリーンフィルムが得られる。
可能になってきており、このことにより従来技術で得られた樹脂に比べ耐酸化安定性が飛躍的に向上し上記の酸化防止剤を添加しなくても良いことが可能となってきた。
なお、本発明における上記厚み斑は、フィルム幅400mm以上で、フィルム長1000m以上のロールにおいて満たされるのが好ましい。幅が400mmに満たないフィルムロールは、工業的に一部では利用されている場合もあるが、多くの場合利用価値の低いものであり、又、長さ1000mに満たないフィルムロールは本発明の効果が発現しにくくなる。本発明でのフィルムロールの幅は400mm以上がより好ましく、600mm以上がさらに好ましい。又、フィルムロールの長さは1000m以上がより好ましく2000m以上がさらに好ましい。フィルムロールの幅及び巻長の上限は特に制限されるものではないが、取扱いのしやすさから一般的には幅2000mm以下、巻長はフィルム厚み150μmの場合に2000m以下程度である。又、本発明における巻取りコアとは、フィルムロールの巻芯となる3インチ、6インチ、8インチ等の紙管、プラスチックコア、金属製コアのことをさす。
特徴1として、Tスリット型ダイのアスペクト比を大きくした直線状のマニホールドになっており、それにより、厚みの均一性を向上させることが出来きる。さらに樹脂が流れる面に力が均一にかかるのでクラムシェルが発生しない。特徴2として、プレランドを2段階にしてその段差部分の形状を曲線状に作ることにより、ダイス全体でバランスの取れた均一の流れになるような設計がなされており、溶融樹脂の各種粘度に対応できるように改良されている。従って、請求項3に記載のごとくTスロット型ダイを使用することが重要である。
90〜185℃がより好ましく、100〜180℃がさらに好ましい。シール開始温度が80℃未満では耐ブロッキング性が低下し二次加工適性が低下するので好ましくない。一方、140℃を超えた場合は低温シール性が悪化し、高速ヒートシール加工におけるシール強度低下に繋がるので好ましくない。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)の間に、シール面がお互い向き合うようにフィルムを挟み込み0.2MPa×1秒で熱傾斜型シーラー(東洋精機社製)にて、シール面同士シールする。引張試験機(島津製作所製オートグラフ、形式:S−100−D)にて速度200mm/分で15mm巾での強度(N/15mm)を評価する。ポリエチレンテレフタレートとしては、東洋紡績(株)社製:E5100(12μm)を使用する。シール開始温度とは、シール強度が4.9N(500g)/15mmに到達する温度をいう。
後述する実施例および比較例で得られた長さ1000m、幅400mmのフィルムが巻回されたフィルムロールについて、JIS K7130:1999年に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。
計測は上記フィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部からしわのない部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部からしわの無い部分から2巻きほど剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを連続で取り、その6サンプルの平均値を求める。
各サンプルの測定は、各サンプルフィルムの両端5cmづつをカットし、該両端がカットされたサンプルを幅方向に40等分し測定位置に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージにて行う。厚み斑は下式で求める。
厚み斑(%)=(最大厚みー最小厚み)÷6サンプルの平均値×100
本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定する。Tダイの幅方向等分した5箇所をn=3で計測し、その平均値を求める。チノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型を使用し、溶融樹脂から10〜15cmの位置で計測する。
測定環境は、23℃の環境下で行なう。ポータブル型臭いセンサーとして、熱線型半導体式ガスセンサー(キーエンス製:NS720、NS710)を使用する。機器調整終了後、測定するサンプルが入ったフラスコにセンサー部を入れ2分後の値を読み取る。
評価用サンプルは、流れ方向にカットしたA4サイズのフィルムを流れ方向に16分割し短冊状にする400mlのフラスコに入れ口部をアルミ箔で蓋をして、60℃×30分オーブン(根来製作所製循環式熱風乾燥機、形式:102.S.01)で加温した後、23℃×50%RH×2時間放置後、計測する。
JIS K 7210:1999年に準じて、評価条件は、2.16kg、230℃で原料樹脂の粘度を評価した。
JIS K 7112:1999年に準じて、密度を評価した。
通常のポリプロピレン系樹脂に添加されている酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤等の安定剤や滑り性向上等の機能性付与のための添加剤は全く添加されていない樹脂密度899kg/m3およびMFR6g/10minのブロック共重合(ゴム量12質量%)されたポリプロピレン系樹脂をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmのTスロット型ダイを用いて、ダイス出口の樹脂温度180℃で押出した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、厚み40μmのポリプロピレン系フィルムを得た。原料のポリプロピレン樹脂の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。また、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で厚み調整実施後、1000m以上に亘って連続的に製膜した。
得られたフィルムを幅1000mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、熱収縮性フィルムロールを得た。
得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1の方法において、押出し機をシングルステージ型に、ダイスをコートハンガー型に替え、かつ冷却ロールとの密着をエアーチャンバーのみに変更し、ダイス周りの囲いを無くすように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1のポリプロピレン系フィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
比較例1の方法において、押出し温度を240℃にする以外は、比較例1と同様にして比較例2のポリプロピレン系フィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
[比較例3]
比較例1の方法において、ポリプロピレン系樹脂として添加剤を入れた樹脂を使用する以外は、比較例1と同様にして比較例3のポリプロピレンフィルムを得た。添加剤は、酸化防止剤として、イルガノックス1010:1500ppm(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガフォス168:1000ppm、(チバスペシャルティケミカルズ社製)、中和剤として、カルシウムステアレートS:1000ppm、(日本油脂社製)、滑剤として、アーモスリップE:800ppm(ライオン社製)、サイリシア450:5000ppm(富士シリシア化学社製)添加した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
空冷インフレーション方式、プラコー製押出し機(スクリュー直径55mm)、樹脂温度190℃、フィルム幅300mm、ブロー比2.7で単層押出しし、フィルム成型した。使用樹脂は、実施例1と同じ密度でMFR2g/10minものを用いた。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1の方法において、ポリプロピレン系樹脂を通常のポリプロピレン系樹脂に添加されている、酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤等の安定剤や滑り性向上等の機能性付与のための添加剤は全く添加していないエチレンを2モル%共重合したランダム共重合ポリプロピレン樹脂(密度895kg/m3、MFR6g/10min)に、押出し温度を170℃に、フィルム厚みを50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2のポリプロピレン系フィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
Claims (3)
- 酸化防止剤等の被接触物に移行する添加剤が含まれていないポリプロピレンを主構成成分とするポリプロピレン系樹脂をダイス出口の樹脂温度を150〜200℃としてTスロット型ダイより押し出す工程と、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用させて押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させる工程により製膜されたヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であることを特徴とするヒートシール性ポリプロピレン系フィルム。
- シール開始温度が80〜190℃であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルム。
- 酸化防止剤等の被接触物に移行する添加剤が含まれていないポリプロピレンを主構成成分とするポリプロピレン系樹脂をダイス出口の樹脂温度を150〜200℃としてTスロット型ダイより押し出す工程と、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用させて、押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させる工程を有することを特徴とするフィルムの幅方向の厚み斑が、10%以内であるヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
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