JP4330389B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば氷雪路での走行性能を向上するのに役立つ空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スタッドレスタイヤと称される空気入りタイヤにおいては、トレッド部に設けられたブロックに、略タイヤ軸方向にのびる多数のサイピングを配置することが行われている。このようなブロックは、サイピングのエッジ効果により氷雪路面でのグリップ力を確保している。しかしながら、サイピングの配設密度を増加させると、ブロックの剛性が十分に確保できず、路面との接触に伴うせん断力によりブロックに大きな倒れ込みが生じるという欠点がある。
【0003】
このため、サイピングの深さを部分的に浅くすることや、サイピングを波状ないしジグザグ状とすることにより、該サイピングで区分されたブロック小片同士を互いに支え合わせることでブロックの倒れこみを防止する技術が提案されている。また下記特許文献1では、ブロックの変形をさらに抑制し、氷雪路面での走行性能を向上させることを目的として、プロックを内部領域と外部領域に区分するサイピングを設けるとともに、このサイピングを深さ方向で傾斜させる技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−165507号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サイピングの深さを部分的に浅くする方法では、摩耗によってサイピング効果が早期に消失してしまうという欠点がある。またジグザグ状のサイビングとする方法では、ブロック剛性、特にサイピングによって区分されたタイヤ周方向の両端部に位置するブロック小片の剛性が低下しやすく、この部分に偏磨耗が発生する傾向がある。さらに上記特許文献1が開示する技術については、ブロック剛性の低下を抑制しうるものの、サイピングの配設密度を高め難く、ひいてはブロックの柔軟性を確保し得ない。これは、多様な摩擦係数(以下、単にμという。)ないしは表面形状を持った路面、とわけ氷雪路等において路面に追従し得ず、グリップ域からスリップ域への変化が急激なものとなる。従って、限界走行時の挙動変化が唐突となる傾向がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ブロックに、該ブロックを中心部と、該中心部の回りを連続して取り囲む周辺部とに区分する環状サイピングを設けるとともに、前記中心部を、前記環状サイピング内をのびかつ両端部が該環状サイピングに連通した副サイピングで区分された2以上のブロック小片から形成することを基本として、氷雪路面での走行性能に優れた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部にブロックを設けた空気入りタイヤであって、少なくとも一つのブロックは、該ブロックを、中心部と、該中心部の回りを連続して取り囲む周辺部とに区分する環状サイピングが設けられるとともに、前記中心部は、前記環状サイピング内をのびかつ両端部が該環状サイピングに連通した副サイピングで区分された2以上のブロック小片からなり、前記副サイピングは、タイヤ軸方向にのびる複数本の横の副サイピングと、タイヤ周方向にのび前記横の副サイピングと交差する複数本の縦の副サイピングとを含み、前記横の副サイピングの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で小さくかつタイヤ周方向の中間部で大とすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従い1個当たりのブロック小片の接地面が小さくなることを特徴としている。
【0008】
また請求項2記載の発明は、トレッド部にブロックを設けた空気入りタイヤであって、少なくとも一つのブロックは、該ブロックを、中心部と、該中心部の回りを連続して取り囲む周辺部とに区分する環状サイピングが設けられるとともに、前記中心部は、前記環状サイピング内をのびかつ両端部が該環状サイピングに連通した副サイピングで区分された2以上のブロック小片からなり、前記副サイピングは、タイヤ軸方向にのびる複数本の横の副サイピングと、タイヤ周方向にのび前記横の副サイピングと交差する複数本の縦の副サイピングとを含み、前記横の副サイピングの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で大きくかつタイヤ周方向の中間部で小さくすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従いブロック小片の接地面が大きくなることを特徴としている。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記ブロックが矩形であり、前記環状サイピングが前記ブロックの輪郭縁とほぼ平行にのびた矩形状で連続する請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記一つのブロック小片は、その接地面の面積が1〜9mm2 であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記ブロック小片は、その接地面の面積が異なる3種以上が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0012】
また請求項6記載の発明は、前記ブロック小片は、その接地面の高さが異なる2種以上が含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンの展開図を示す。この実施形態では乗用車用のスタッドレスタイヤのものが例示される。空気入りタイヤ(全体不図示)は、トレッド部2に、タイヤ周方向にのびる複数本の縦主溝3と、この縦主溝3と交わる向きにのびる横溝4とが設けられる。これによりトレッド部2には、縦主溝3と横溝4(又は縦主溝3と横溝4とトレッド縁E)とで囲まれる矩形状のブロック5が複数個区分される。
【0014】
縦主溝3及び横溝4は、排水性能を向上するために、いずれも溝幅が3.5mm以上で形成されることが望ましい。本実施形態の縦主溝3及び横溝4はいずれも直線状でタイヤ周方向及びタイヤ軸方向にのびるものを示すが、曲線状、波状及び/又はジグザグ状など種々の形状で実施できる。同様に、本実施形態のトレッドパターンは、全てがブロック5から構成されたブロックパターンを例示するが、これに限定されるものではなくリブ列などを含む各種のパターンに適用できる。
【0015】
少なくとも一つのブロック5には、サイピング6が設けられる。本実施形態では、全てのブロック5にサイピング6を設けた好ましい態様を示す。サイピング6は、溝幅が小さい切り込み状で形成される。走行時の外力(せん断力等)の作用により、この切り込みは容易に閉じることができる。このため、サイピング6は、排水性に関与する縦主溝3及び横溝4とは区別できる。本発明の空気入りタイヤでは、前記サイピング6に、環状サイピング7と副サイピング8とが含まれている。
【0016】
環状サイピング7は、図2、図3に拡大して示すように、ブロック5を、中心部5aと、該中心部5aの回りを連続して取り囲む周辺部5bとに区分する環状で形成される。本明細書で言う環状とは、円形の輪という意味ではなく、無端で連続するといったより広い概念である。本実施形態の環状サイピング7は、ブロック5の接地面において、ブロック5の輪郭縁5eとほぼ平行にのびた矩形状で連続するものが示される。深さ方向には、実質的にタイヤ半径方向に沿ってのびている。またブロック5の周辺部5bは、他のサイピングや細溝等が設けられていない。従って、周辺部5bは、ほぼ一定の幅で矩形状に折れ曲がりながら環状に繋がって連続している。
【0017】
環状サイピング7の溝幅dw1(図2に示す)は特に限定はされない。ただし、溝幅dw1が大きすぎるとブロック5の剛性が過度に低下する傾向があり、逆に小さすぎても加工が困難となり生産性を悪化させる。このような観点より、前記溝幅dw1は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは0.5〜1.0mmとするのが望ましい。
【0018】
また環状サイピング7のタイヤ半径方向の深さdp1(図3に示す)は3mm以上とする。前記深さdp1が3mm未満では、ブロック5を柔軟化しそのエッジ効果によるグリップ力の向上といったサイピングの基本性能が得られないためである。他方、深さdp1が大きすぎてもブロック剛性を過度に低下させる傾向がある。特に好ましくは、前記深さdp1をブロック5の最大高さHBの40〜90%、より好ましくは50〜80%、さらに好ましくは55〜70%とするのが望ましい。
【0019】
前記副サイピング8は、環状サイピング7内をのびており、かつその両端部8e、8eは該環状サイピング7に連通して終端している。これにより、ブロック5の中央部5aは、副サイピング8で区分された2以上のブロック小片10から形成される。副サイピング8の両端部8e、8eが環状サイピング7に連通していないと、該中央部5aを柔軟化し得ないため、種々のμないし表面形状の路面に対するブロックの追従性が低下してしまう。
【0020】
本実施形態の副サイピング8は、タイヤ軸方向にのびる複数本の横の副サイピング8A…と、タイヤ周方向にのび前記横の副サイピング8Aと交差する複数本の縦の副サイピング8Bとを含む態様が示される。各副サイピング8A、8Bには、それぞれ平行な複数本が含まれている。また本実施形態では、各副サイピング8は同一の隔設ピッチで設けられている。これにより、ブロック5の中央部5aは、碁盤状に区分され、具体的にはタイヤ軸方向に3個×タイヤ周方向に4個の合計12個の実質的に同じ大きさかつ同じ形状のブロック小片10に区分されたものが例示される。
【0021】
このようなブロック5は、ブロック5の中央部5aが複数のブロック小片10に区分されかつそれらのエッジ成分が表れる。これにより、該エッジ成分が路面を掻き削り、これまで通り氷雪路でのグリップ力を発揮することができる。またブロック小片10は、副サイピング8にて区分されるため、適度に緩和された圧縮剛性に容易に調節でき、例えばエンベロープ性能を改善して路面のμないし形状変化に対しても追従できる。この結果、限界走行時の唐突な挙動変化等を減じ操縦安定性を向上しうる。
【0022】
さらに、ブロック5の周辺部5bは、区分された各ブロック小片10を連続して取り囲む。このため、例えばタイヤ周方向に大きなせん断力が作用した場合でも、該周辺部5bのタイヤ周方向前後に位置する前縁部12及び後縁部13は、タイヤ周方向にのびる側縁部14、14で互いに一体連結されているため、ブロック小片10の大きな倒れ込みや位置ずれを小さな範囲に制限できる。以上のように、ブロック5は、剛性の低下を抑制しつつその柔軟性を確保し得、氷雪路面での走行性能に特に適したものとなる。
【0023】
副サイピング8の溝幅dw2及び深さdp2については、環状サイピング7と同様に設定することができる。また本実施形態のように、副サイピング8の溝深さdp2を環状サイピング7の溝深さdp1よりも小としても良い。またこれとは逆に副サイピング8の深さdp2を環状サイピング7の深さdp1よりも大とすることもできる。
【0024】
またブロック5の中央部において、区分された一つのブロック小片10の接地面CPの面積が小さすぎると、中央部5aの剛性が著しく低下し周辺部5bとの剛性差が大きくなってブロック耐久性が悪化する。逆に前記接地面CPの面積が大きすぎると、ブロック5の柔軟性を損ねる。このような観点より、前記接地面CPの面積は、例えば1〜9mm2 、好ましくは2〜8mm2 、より好ましくは3〜7mm2 であることが望ましい。
【0025】
また図2に示すように、ブロック5の周辺部5bにおいて、そのタイヤ軸方向の幅W1又はタイヤ周方向の幅W2が小さすぎると、該周辺部5bの剛性が低下し、ブロック小片10の大きな動きを拘束する作用が十分に得られない傾向があり、逆に大きすぎてもブロック小片10の動きが過度に抑制されてしまいブロック5の柔軟性を阻害する傾向がある。好ましくは前記幅W1をブロックのタイヤ軸方向の幅BWの10〜25%、より好ましくは15〜20%とし、また前記幅W2をブロック5のタイヤ周方向の長さBLの10〜25%、より好ましくは15〜20%とするのが望ましい。
【0026】
図4(A)、(B)には、本発明の実施形態を示している。
これらの実施形態において、ブロック小片10には、その接地面CPの面積が異なる2種以上が含まれるものが例示される。図4(A)の態様では、横の副サイピング8Aの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で小さくかつタイヤ周方向の中間部で大とすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従い1個当たりのブロック小片10の接地面CPが小さくなっている。各ブロック小片10S、10M及び10Lの接地面CPの関係は次の通りである。
ブロック小片10S<ブロック小片10M<ブロック小片10L
【0027】
このようなブロック5は、駆動制動時に大きなせん断力が作用するブロック5のタイヤ周方向両端部でのサイピング6のエッジ密度を高め、低μ路でのグリップ力を重視して高めるのに役立つ。また接地面CPの面積が異なることにより剛性やエンベロープ特定の異なったブロック小片10を一つのブロック5内に含むことにより、より効果的に様々な路面形状やμ変化に追従することが可能となる。なお接地面の面積の差が過度に大きくなると偏摩耗などのおそれがあるため、一つのブロック5内において、ブロック小片10の接地面の面積の平均値に対して、各ブロック小片10の接地面の面積がその平均値の±30%以内に収まっていることが望ましい。
【0028】
また図4(B)の態様では、横の副サイピング8Aの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で大きくかつタイヤ周方向の中間部で小さくすること、即ち前記態様とは逆とすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従いブロック小片の接地面CPが大きくなっている。このようなブロック5は、駆動制動時に大きなせん断力が作用するブロック5のタイヤ周方向両端部での剛性を相対的に高めることにより、相対的に周方向両端部のブロック小片10の動きを小さく抑制する。これによりヒール&ト摩耗といった偏摩耗の発生を抑制するのに特に有利となる。なお図4では、縦の副サイピング8Bについては、同一の配設ピッチとしているが、これを変化させることも勿論可能である。
【0029】
図5(A)〜(C)には、参考例の実施形態を示す。(A)のものは、副サイピング8がほぼ平行に隔設された複数本の横の副サイピング8Aのみからなる態様を示している。この横の副サイピング8Aは、慣例に従い波状又はジグザグ状部分を一部ないし全部に含んでも良い。なお図示していないが、縦の副サイピング8Bだけで副サイピングを形成しても良い。また、(B)のものは、環状サイピング7の一部及び縦の副サイピング8Bがジグザグ状で形成されたものが例示される。この実施形態では、ブロック小片10が平行四辺形状で形成される。また(C)のものは、縦横の副サイピング8B、8Aがジグザグ状をなし、またブロック5の輪郭縁5eもジグザグ状部分を含む態様が示されている。
【0030】
図6には、さらに他の実施形態を示している。
この実施形態では、ブロック小片10は、その接地面CPの高さが異なる2種以上が含まれている。具体的には、接地面CPが周辺部5bの接地面と実質的に同高さの第1のブロック小片10Aと、該第1のブロック小片10Aよりも接地面CPの高さがタイヤ半径方向内方に位置している第2のブロック小片10Bとを含んでいる。そして、第1、第2のブロック小片10A、10Bは、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に交互に配されている。このようなブロック5は、その中央部5aにおいて、ブロックの接地圧が変化することとなり、ブロック小片10の剛性ないしエンベロープ特性が多様化し、さらに有利な効果が発揮できる。
【0031】
第1のブロック小片10Aと第2のブロック小片10Bとの接地面CPの高さの差h(タイヤ半径方向の差)は、大きすぎると偏摩耗やグリップ力の悪化を招きやすくなり、逆に小さすぎてもブロック剛性やエンベロープ特性の変化が小さくなる。このような観点より、前記接地面の高さの差は1.0〜1.5mm程度とするのが好ましい。
【0032】
以上本発明の実施形態について説明したが、例えば副サイピング8の形状を非直線とすることにより、ブロック小片10の形状を矩形以外にも、円形や三角形状など種々の形態とすることができる。また本実施形態では、全てのブロックがサイピング付きのブロックであるものを示したが、その一部だけに適用されても良いのは言うまでもない。
【0033】
【実施例】
図1に示すトレッドパターンを有する乗用車用スタッドレスタイヤ(サイズ195/65R15)を図7(A)のサイピングを基調として表1の仕様に基づき製造し、耐偏摩耗性能、制動能力及び操縦安定性についてテストを行った。なお比較のために、図7(B)に示すサイピングを有する同じ大きさのブロックを有するタイヤ(比較例1)及び図7(C)に示すサイピングを有する同じ大きさのブロックを有するタイヤ(比較例2)についても合わせてテストを行い性能を比較した。サイピングの深さは、いずれもブロック高さの75%とし、サイピングの溝幅は1.0mmとした。テスト方法は次の通りである。
【0034】
<耐偏摩耗性能>
各試供タイヤを排気量2000ccの後輪駆動車の全輪に装着し(タイヤ1本当たりの縦荷重350kgf)、テストコースを2000km走行し、ブロックのトウ及びヒールの摩耗量の平均値と、ブロック中央部の摩耗量との差を測定した。なお測定はタイヤ周上均等に4カ所で行いその平均値で示している。数値が小さいほど良好である。
【0035】
<制動能力>
各供試タイヤを排気量2000ccの後輪駆動車の全輪に装着し(タイヤ1本当たりの縦荷重350kgf)、乾燥舗装路で約100kmのならし走行を行った後、雪路、氷路それぞれにおいて制動テストを行った。制動テストは、試験路面上を30km/hの速度で走行させ、4輪をロックさせた急ブレーキをかけ、車が停止するまでの制動距離を各タイヤ毎3回づつ測定しその平均値を計算した。評価は、比較例1の制動距離の平均値を100とする指数で表示している。数値が大きいほど、制動距離が短く性能が優れていることを示す。
【0036】
<操縦安定性>
上記車両を用いて氷路及び雪路を5:5に含むテストコースで旋回走行等を行い、限界走行時の車両の挙動をドライバーの官能により10点法で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
テストの結果より、本発明の空気入りタイヤは、氷路及び雪路での制動性能、操縦安定性に優れていることが確認できる。また摩耗性能においても問題のないレベルである。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤでは、ブロックの中央部に複数のブロック小片のエッジ成分が表れることにより、該エッジ成分が路面を掻き削ることによって氷雪路でのグリップ力を発揮しうる。またブロック小片は、副サイピングにて区分されることにより、その圧縮剛性が緩和されるため、例えばエンベロープ性能を改善しうる他、μないし表面形状が異なる種々路面に対して変形し追従しうる。この結果、滑りやすい低μの氷雪路においても粘り強く路面にグリップし、グリップ域からスリップ域への変化を滑らかとする。従って、限界走行時の挙動変化を安定化し操縦安定性の向上に役立つ。
【0039】
さらに、ブロックの周辺部は、区分された各ブロック小片を連続して取り囲む。このため、例えばタイヤ周方向に大きなせん断力が作用した場合でも、ブロック小片の大きな倒れ込みや位置ずれを小さな範囲に制限できる。従って、ブロックは、剛性の低下を抑制しつつその柔軟性を確保でき、氷雪路面での制動性能を向上しうる。また、請求項1の発明では、駆動制動時に大きなせん断力が作用するブロックのタイヤ周方向両端部でのサイピングのエッジ密度を高め、低μ路でのグリップ力を重視して高めるのに役立つ。また接地面の面積が異なることにより、剛性やエンベロープ特定の異なったブロック小片を一つのブロック内に含ませることこより、より効果的に様々な路面形状やμ変化に追従することが可能となる。
【0040】
また請求項2記載の発明では、横の副サイピングの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で大きくかつタイヤ周方向の中間部で小さくすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従いブロック小片の接地面が大きくなる。このようなブロックは、駆動制動時に大きなせん断力が作用するブロックのタイヤ周方向両端部での剛性を相対的に高めることにより、相対的に周方向両端部のブロック小片の動きを小さく抑制する。これによりヒール&ト摩耗といった偏摩耗の発生を抑制するのに特に有利となる。
【0042】
また請求項4記載の発明のように、一つのブロック小片は、その接地面の面積を限定したときには、ブロック小片の柔軟性と剛性とを好適にバランスさせ、氷雪路での走行性能と耐偏摩耗性能とを両立しうる。
【0043】
また請求項5記載の発明のように、ブロック小片は、その接地面の面積が異なる3種以上が含まれる場合、さらには請求項6記載の発明のように、接地面の高さが異なる2種以上が含まれる場合には、ブロック中央部の接地圧を積極的に不均一化し、多様な路面状況、とりわけ氷雪路のようにμの変化が大きい路面に好適に追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【図2】 ブロックの平面図である。
【図3】 ブロックの斜視図である。
【図4】 (A)、(B)は本発明の実施形態を示すブロックの平面図である。
【図5】 (A)〜(C)は他の実施形態を示すブロックの平面図である。
【図6】 他の実施形態を示すブロックの斜視図である。
【図7】 (A)は参考例、(B)は比較例1、(C)は比較例2のブロックをそれぞれ示す平面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 縦主溝
4 横溝
5 ブロック
5a ブロックの中心部
5b ブロックの周辺部
6 サイピング
7 環状サイピング
8 副サイピング
8e 副サイピングの端部
8A 横の副サイピング
8B 縦の副サイピング
10 ブロック小片
Claims (6)
- トレッド部にブロックを設けた空気入りタイヤであって、
少なくとも一つのブロックは、該ブロックを、中心部と、該中心部の回りを連続して取り囲む周辺部とに区分する環状サイピングが設けられるとともに、
前記中心部は、前記環状サイピング内をのびかつ両端部が該環状サイピングに連通した副サイピングで区分された2以上のブロック小片からなり、
前記副サイピングは、タイヤ軸方向にのびる複数本の横の副サイピングと、タイヤ周方向にのび前記横の副サイピングと交差する複数本の縦の副サイピングとを含み、
前記横の副サイピングの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で小さくかつタイヤ周方向の中間部で大とすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従い1個当たりのブロック小片の接地面が小さくなることを特徴とする空気入りタイヤ。 - トレッド部にブロックを設けた空気入りタイヤであって、
少なくとも一つのブロックは、該ブロックを、中心部と、該中心部の回りを連続して取り囲む周辺部とに区分する環状サイピングが設けられるとともに、
前記中心部は、前記環状サイピング内をのびかつ両端部が該環状サイピングに連通した副サイピングで区分された2以上のブロック小片からなり、
前記副サイピングは、タイヤ軸方向にのびる複数本の横の副サイピングと、タイヤ周方向にのび前記横の副サイピングと交差する複数本の縦の副サイピングとを含み、
前記横の副サイピングの配設ピッチを、タイヤ周方向の両側で大きくかつタイヤ周方向の中間部で小さくすることにより、タイヤ周方向の両端側に向かうに従いブロック小片の接地面が大きくなることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ブロックが矩形であり、前記環状サイピングが前記ブロックの輪郭縁とほぼ平行にのびた矩形状で連続する請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
- 前記一つのブロック小片は、その接地面の面積が1〜9mm2 であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロック小片は、その接地面の面積が異なる3種以上が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロック小片は、その接地面の高さが異なる2種以上が含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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