JP4329724B2 - 転炉スクラップ増配方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉吹錬時に炉内の溶銑に配合するスクラップ量の増加を可能とする転炉スクラップ増配方法に関する。
通常、転炉で溶銑の吹錬を行うに際し、熱的に余裕がある場合、炉内の溶銑にスクラップを配合する。これは、すでに金属鉄であるスクラップは還元する必要がなく、鉄鉱石のような酸化鉄に比べ、少ないエネルギーで溶鋼にできるからである。言い換えると、高炉で製造される溶銑量以上の溶鋼を溶製でき、溶鋼の生産量を増大できるからである。
特に、鉄の需要が旺盛な場合等においては、増産益が期待され、鉄歩留まりが多少悪くても、また造滓剤の消費量が多くても、溶銑へのスクラップ配合量を増加することが望ましい場合がある。
最近コスト面、品質面で有利であることから、溶銑脱Pが採用される場合が多いが、脱P銑には、熱源である[Si]が殆ど無くなっており、[C]濃度も0.5質量%程度低下していて、熱余裕がないため、スクラップの配合可能量が殆どないという問題があった。このため、溶鋼の増産が必要な場合、一時的に操業方法を変更して、溶銑脱Pを実施せず、転炉で脱Pと脱Cを同時に行うという以前の転炉吹錬に戻すこともあった。
しかしながら、高炉で得られる溶銑のみでは賄いきれないほど鉄の需要が多い場合、このような操業方法の変更をせず、前述のように溶銑脱Pを実施して転炉では脱Cのみを行うと共に、スクラップ配合量を増やすことが望ましい。
転炉でスクラップを増配する方法としては、転炉吹錬時に脱C反応により発生したCOガスを炉内で二次燃焼させ(2CO+O2→2CO2)、この燃焼による発熱を溶鋼に着熱させてスクラップ配合量をさらに多くする方法が一部実施されており、例えば、非特許文献1には、前記二次燃焼に用いる酸素吹き込みランスのジェット角度がスクラップ配合比に及ぼす影響、二次燃焼の着熱効果等についての詳細な報告がなされている。
しかしながら、二次燃焼法では、転炉を構成する耐火物の損耗が激しいという問題があり、このため二次燃焼率を例えば10%以下または5%以下に抑えているのが現状である。従って、この方法でスクラップ配合量を高くするには限界がある。
また、フェロシリコン(Fe−Si)、金属Alあるいはカーボン等の熱源を溶銑に添加し、酸素を吹精してこれら熱源と反応させ、その酸化反応熱(以下、単に「酸化熱」ともいう)を利用してスクラップ溶解量を増加させる方法も知られている。
表1に、これら熱源の単位質量当たりの酸化熱(すなわち、発熱量)およびそれら熱源の酸化に要する酸素の単位質量当たりに換算した酸化熱を示す。
Figure 0004329724
表1に示すように、フェロシリコン、金属Alは酸化時の発熱量が大きく、使い易い熱源であるが、いずれも製造に際し多量の電力を必要とするため高価で、溶鋼の製造コストが上昇するという問題がある。また、フェロシリコンや金属Alを使用する場合、生成するSiO2あるいはAl23を中和するのに、さらにCaOが大量に必要になる。すなわち、フェロシリコン1kgに対してCaOが約5kg必要であり、Al1kgに対しては約4kgのCaOが必要で、これも考慮に入れると、さらにコスト高になる。
カーボンとしては、コークス、無煙炭が使用される場合が多く、これらは熱源として比較的使用し易い。しかし、単位質量当たりの発熱量がフェロシリコンや金属Alに比べると少ない。また、吹精酸素量が一定という条件下では単位時間に燃焼できるカーボン量に制約があるので、カーボンを多量に添加しようとすれば転炉吹錬時間の大幅な延長が必要となり、その結果、転炉の生産性が逆に低下するという問題が生じる。すなわちカーボンの多量添加により1チャージ当たりのスクラップ配合量は増やせるが、溶鋼の生産量の増大には結びつかないという問題が生じる。
さらに、コークス、無煙炭を用いる場合、これらに含有されているSにより、溶鋼のSピックアップが生じる。このため特に低S鋼を溶製する場合、転炉吹錬後に二次精錬で脱硫することが必要となり、コスト高になるという欠点もある。
カーボンとしては、これらの他に石炭を使うことも考えられるが、石炭の場合、約30%の揮発分があり、溶鋼に添加するとこの揮発分の分解反応に伴う吸熱により溶銑が冷却されるので、熱源としてはあまり機能しない。
このような問題に対処するため、特許文献1には、転炉内にコークス等の炭材を投入し、上吹き酸素と反応させて二次燃焼率を60%以上に高める方法が開示され、また、特許文献2には、さらにスラグ攪拌指標を導入してこれを適正に調整し、溶融スラグ層内で発生した炭材の燃焼熱を有効に鉄浴に着熱させる等の方策を講じて炭材燃焼を最大限に利用するスクラップ溶解方法が提案されている。
しかし、これらの方法では二次燃焼率を高めるために炉内スラグ量を100kg/t以上とし、その中に炭材を巻き込ませなければならない。これは炉内容積に占めるフォーミングスラグの存在比率を高くすることを意味しており、スクラップおよび溶鉄の存在量を高めることが困難であるため、スクラップの溶解能率は低下せざるを得ないという問題がある。
一方、安価な熱源としては、表1に示すFe(すなわち、転炉内の溶鉄)そのものが考えられる。特に、Feと反応する酸素の1kg当たりに換算した発熱量は、フェロシリコンのそれに近く、吹き込む酸素を効率よく利用することが可能である。しかしながら、鉄を酸化する場合、従来のように溶銑中の[C]濃度を酸素の吹精により低下させる方法(C吹き下げ法)では、スラグ中の(FeO)濃度が35質量%以上の高濃度となり、耐火物の溶損が激しくなるという問題がある。
特開平8−260022号公報 特開平10−265820号公報 「鉄と鋼」第71年(1985)第15号 1787〜1794頁
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、その目的は、脱P溶銑を転炉で吹錬する際、吹錬時間をあまり延長することなく、大掛かりな設備も必要なく、これまでのフェロシリコン、金属Al等の高価な熱源も使用しないで、スクラップ配合量を増大させること(すなわち、スクラップの増配合)を可能とする方法を提供することにある。
本発明者らは、転炉でスクラップを増配するための熱源について種々検討を加えた。その結果、Fe(転炉内の溶鉄)の酸化熱を利用するのが最も安価で、かつ効果的であることが判明した。
このFeの酸化熱を利用するに際し、従来の脱P溶銑の転炉吹錬時における造滓剤使用量を維持したままで酸素を吹精して溶鉄を多量に酸化させると、スラグ中の酸化鉄分(FeOが主体)が増加し、(FeO)濃度が高くなって転炉耐火物が溶損し易くなる。そのため、従来はFeを熱源とする溶銑の加熱方法は採用されることはなかった。
しかしながら、炉内の溶銑にスクラップを配合すると共に、その配合量に見合った造滓剤を添加することによってFeをFeOに酸化する時の生成熱(酸化反応熱)と、この生成したFeOが造滓剤と反応してスラグになる時の造滓熱を利用してスクラップを溶解すると同時に、生成するFeOが造滓剤で希釈されることになるので、耐火物の目立った溶損を防止することが可能であることを見いだした。
また、この方法によれば、高価なフェロシリコン、金属Al等を用いず、吹錬時間をあまり延長することなく、また、特別な設備を必要とすることもないので、スクラップの増配合を安価に実施することができる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は、下記(2)に記載の転炉スクラップ増配方法にある。また、本発明の参考例としての発明は、下記(1)に記載の転炉スクラップ増配方法である。
(1)転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、スクラップを配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を添加し、生成するスラグ中の(FeO)の濃度が耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化熱でスクラップを溶解する転炉スクラップ増配方法。
(2)転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、スクラップを3質量%以上配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を、下記(i)式を満足するように添加し、生成するスラグ中の(FeO)の濃度が35%未満という耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化熱でスクラップを溶解する転炉スクラップ増配方法。
(4.5×S)<Z<(6.6×S+12) ・・・(i)
ただし、Z:造滓剤添加量(kg/t)
S:スクラップ配合量(%)
なお、前記の「造滓剤添加量Z」は、溶銑1t当たりの添加量(kg)であり、「スクラップ配合量(%)」とは、転炉内の溶銑に対するスクラップの質量比を百分率で表したものである。
前記(1)または(2)に記載の転炉スクラップ増配方法において、造滓剤として生石灰、ドロマイト、酸化マグネシウム、珪石およびアルミナ含有物質のうちの1種または2種以上を使用するのが一般的であり、かつ望ましい。
本発明の転炉スクラップ増配方法によれば、転炉での吹錬時に、転炉内の溶鉄(Fe)の酸化熱を利用し、吹錬時間もあまり長くならず、耐火物の目立った溶損もなく、安価にスクラップ配合量を増大させることが可能である。
以下に、前記(1)に記載の本発明の参考例としての発明および前記(2)に記載の本発明の転炉スクラップ増配方法を具体的に説明する。なお、溶銑、溶鋼またはスラグ中の元素の「%」は「質量%」を意味する。
前記(1)に記載の本発明の転炉スクラップ増配方法は、転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、スクラップを配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を添加し、生成するスラグ中の(FeO)の濃度が耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化熱でスクラップを溶解する方法である。
前記(1)に記載のスクラップ増配方法における特長は、Feの酸化熱を利用してスクラップの溶解に必要な熱を補償するところにあり、そのために、スクラップの配合量に応じて造滓剤を添加する。
具体的には、転炉吹錬時に、目標とする配合量のスクラップを溶銑に配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を添加し、酸素を吹き込んで溶鉄(Fe)と反応させ、FeOが生成するときの生成熱〔3767×103J/kg−FeO(900kcal/kg−FeO)〕、つまりFeの酸化反応熱を利用して、スクラップの添加により温度が低下した溶銑を加熱するのである。このとき、生成したFeOが前記スクラップの配合量に応じて添加した造滓剤と反応してスラグになる時の造滓熱〔586×103J/kg−slag(140kcal/kg−slag)〕も利用することができる。
したがって、前記の溶銑加熱能力は、FeOの生成熱と、この生成したFeOが造滓剤と反応し溶融スラグとなるときに発生する造滓熱との和から、常温の造滓剤が溶鋼温度まで上昇するのに必要な熱(換言すれば、造滓剤の冷却能力)を差し引いた熱量として求められる。
前記(1)に記載のスクラップ増配方法では、スクラップを配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を添加する。
造滓剤を添加するのは、通常行われている溶銑の転炉吹錬時における造滓剤使用量を維持したままでC吹き下げを行い、引き続き、溶鉄を多量に酸化させた場合、スラグ中の(FeO)濃度が増加して転炉の耐火物が溶損し易くなるので、生成するFeOを造滓剤で希釈して(FeO)濃度を下げるためである。
スクラップの配合量に応じて添加する造滓剤の量は、前述のように、Feの酸化熱と造滓熱の和から造滓剤の冷却能を差し引くことにより求められる熱量と、スクラップが溶鉄になる際に必要な熱量との熱収支から決定される。
さらに、(1)に記載のスクラップ増配方法では、生成するスラグ中の(FeO)の濃度が耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化熱でスクラップを溶解する。
前記の「耐火物の溶損を促進しない範囲」とは、従来の吹錬時に比べて転炉耐火物の溶損の程度が大きく変わらない範囲を意味する。すなわち、溶鉄の酸化(酸素の吹き込み)により生成するFeOは造滓剤と反応して溶融スラグとなりスラグの(FeO)濃度を上昇させるが、この上昇の程度を耐火物の目立った溶損が生じない範囲にとどめるように酸素の吹き込みを行うのである。
溶鉄の酸化を耐火物の溶損を促進しない範囲にとどめるためには、例えば、スラグ中の(FeO)濃度を、スクラップを配合しないか、配合しても極僅かの配合にとどめる通常吹錬時の(FeO)濃度と同じ濃度以下にすればよい。この(FeO)濃度は、転炉耐火物の溶損の程度をどの程度まで容認するかにより決まるが、例えば、スラグ中のT.Fe(全Fe)濃度で27%未満(FeOに換算して34.7%未満)とすれば、耐火物の激しい溶損を抑えることができる。さらに、(FeO)濃度を27%以下とすれば、目立った溶損を防止できるので望ましい。
そして、前記溶鉄の酸化により生じる熱、さらには、生成したFeOの造滓熱を、スクラップの配合により温度が低下した溶銑の加熱に利用する。
この(1)に記載の転炉スクラップ増配方法は、転炉を用いて脱P溶銑を対象として精錬する際に適用する。前述したように、脱P銑には、熱源である[Si]が殆ど含まれておらず、[C]濃度も0.5質量%程度低下していて、そのままでは、熱余裕がないためスクラップを配合することができないが、この脱P溶銑の吹錬に本発明の転炉スクラップ増配方法を適用することにより、コスト面、品質面で有利な溶銑脱Pを実施しつつ、溶銑へのスクラップの配合量を増加させることができる。
このように、転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、スクラップの配合量に応じて造滓剤を添加し、生成するスラグ中の(FeO)濃度が、耐火物の溶損を促進しない範囲内にとどまるように吹錬する操業を行うことによって、溶銑へのスクラップ配合量を増大させることが可能となり、また、吹錬時間もあまり長くならず、安価にスクラップ配合量を増大させることができる。
前記(2)に記載の本発明の転炉スクラップ増配方法は、転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、スクラップを3質量%以上配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を、下記(i)式を満足するように添加し、生成するスラグ中の(FeO)の濃度が35%未満という耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化熱でスクラップを溶解する方法である。なお、(i)式において、Zは造滓剤添加量(kg/t)であり、Sはスクラップ配合量(%)である。
(4.5×S)<Z<(6.6×S+12) ・・・(i)
一般に、溶銑に酸素を吹き込む転炉吹錬の場合、脱C速度が低下した後に、溶鉄(Fe)が酸化され始める。この時、スラグが少ないと、脱Cの進行と共にスラグ中の(FeO)濃度が急激に高まり、転炉耐火物の溶損が起こり易いスラグとなる。その一方で、生成するFeOの絶対量は少ないので、Feの酸化による発熱量が少ないだけではなく、生成したFeOと造滓剤との反応による滓化熱も少なくなり、スクラップの溶解に必要な熱が得られない。
また、造滓剤の添加量が多く、スラグが多くなるに伴い、脱Cの進行速度が遅くなり、Feの酸化が十分に進行すると共に、生成したFeOとスラグとの滓化反応も進行する。そのため、発熱量が大きく、スクラップの溶解に必要な熱が得られるので、[C]濃度の極端な低下が少なくなり、所望の(FeO)レベルで吹錬を的中させやすくなる。
スクラップの配合量とそのために必要な造滓剤の量は、前述のように、Feの酸化熱と造滓熱の和から造滓剤の冷却能を差し引くことにより求められる熱量と、スクラップが溶鉄になる際に必要な熱量との熱収支から決定される。しかし、造滓剤の添加量が少なく、Feの酸化によりスラグ中の(FeO)濃度が高くなり、(全Fe)濃度が例えば27%を超えると転炉耐火物の溶損が目立ち始めるので、これを超えないことが望ましい。一方、造滓剤の添加量が多すぎてスラグ中の(全Fe)濃度が18%以下になると、加熱効率が悪く、スクラップの溶解ができなくなる場合も生じる。
(2)に記載の転炉スクラップ増配方法における(i)式は、これらの点を考慮すると共に、転炉の熱的状況等を勘案して決定した望ましい条件を数式で表したものである。
また、図1は、(i)式により定まる造滓剤添加量およびスクラップ配合量の適正範囲を示す図である。
図1において、直線「Z=6.6×S+12」よりも下方で、直線「Z=4.5×S」よりも上方の斜線を施した領域(ただし、前記両直線を含まない)が前記(i)式を満たす範囲で、この領域では前述の熱収支に基づいてスクラップ配合量を増大させることができる。
直線「Z=4.5×S」またはそれよりも下方の領域は、造滓剤の添加量が少なく、スラグ中の(FeO)濃度が高い領域で、転炉耐火物の溶損が促進される。また、直線「Z=6.6×S+12」またはそれよりも上方の領域では、得られる発熱量の割には造滓剤の添加量が多く、熱量が足りないため目標のスクラップ溶解ができなくなる。
スクラップ配合量は特に限定しないが、3%以上とするのが望ましい。3%未満であると、スラグ量が少なくなってスピッティングやヒュームロスが多くなり、鉄歩留まりが悪くなるからである。なお、図1では、スクラップ配合量が3%以上の領域に斜線を施している。
このように、(2)に記載のスクラップ増配方法では、脱P溶銑の精錬を実施するに際し、前記(i)式の規定によって造滓剤の添加量を数値により適正化でき、溶銑へのスクラップ配合量の増大をより効果的に行うことができる。
前記(1)に記載の本発明の参考例としての発明または前記(2)に記載の本発明の転炉スクラップ増配方法において、添加する造滓剤は特別なものである必要はなく、生石灰、ドロマイト、酸化マグネシウム(MgO)、珪石およびアルミナ(Al23)含有物質のうちの1種または2種以上を使用するのが一般的である。これらの造滓剤は、優れた性能に加え、入手のし易さ、取り扱い性、安全性、その他種々の面で望ましい。なお、アルミナ含有物質としては、アルミナの他、ボーキサイトなどの天然鉱物を用いることができ、スラグを改質して行う清浄鋼溶製用取鍋精錬後の取鍋スラグを用いることもできる。
通常は、生石灰と珪石を基本とし、溶製しようとする鋼種や、操業条件等を勘案してその混合比率(塩基度)を適宜調整したものであればよい。しかしながら、耐火物の溶損の軽減を重視する場合等においては、ドロマイトあるいは酸化マグネシウム(MgO)を使用することも可能である。特に、MgOは炉体レンガと同じ成分であり、望ましい造滓剤である。
一方で、造滓剤は、スラグになること、すなわち滓化し易いことが重要である。滓化が悪いと、脱Cが進行しやすく、[C]濃度の低下が速くなると共に、着熱しにくいため、発生した熱が無駄になるからで、滓化し易くするためにはアルミナおよびこれを含むものが有効である。
なお、脱C炉で発生したスラグは、場合によっては若干P等を含んでいるが、CaO、MgO、FeO等の有用な成分を含むものであり、高炉へリサイクルすることが可能である。
容量2tの上下両吹き転炉を用い、表2に示す化学組成の脱P溶銑にスクラップを配合して精錬する試験を行い、本発明の効果について調査した。
Figure 0004329724
(比較例1)
前記の転炉にスクラップを配合率が3%(30kg/t)になるように装入した後、前記脱P溶銑を注銑し、生石灰6kg/tと珪石2kgを添加し、3孔ラバールノズルを有するランスを用いて送酸速度2.7Nm3/minで吹錬を行った。途中、フレームダウンしたが溶鋼温度が1650℃に上がるまで吹錬を続けた。
この時点での溶鋼の[C]濃度は0.025%であり、スラグ中の(FeO)濃度は40%と高く、スラグラインでの耐火物溶損が大きかった。そのため、造滓剤の添加量を変えずに、これ以上のスクラップの配合はできなかった。
この比較例1で用いたスクラップの配合量(3%)から前記(i)式により必要な造滓剤添加量Zを求めると13.5〜31.8kg/tとなるが、実際の造滓剤添加量は生石灰と珪石を合わせて8kg/tであり、(i)式の規定から外れている。
(実施例1)
前記転炉にスクラップを配合率が7%(70kg/t)になるように装入した後、前記脱P溶銑を注銑し、生石灰34kg/tと珪石8.5kgを添加し、3孔ラバールノズルを有するランスを用いて送酸速度2.7Nm3/minで吹錬を行った。
途中、酸素センサー(OXP)にて吹錬を制御し、[C]濃度0.05%で吹錬を終了した。その時の溶鋼温度は1675℃、スラグ中の(FeO)濃度は29%であり、耐火物の溶損は従来の転炉吹錬時と変わらず、問題なかった。
実施例1で用いたスクラップ配合量および造滓剤添加量は、前記(i)式の条件を満足している。
(実施例2)
前記転炉にスクラップを配合率が8%(80kg/t)になるように装入した後、脱P溶銑を装入し、生石灰25kg/t、ドロマイト4kg/t、MgO4kg/tおよび珪石11kg/tを添加し、3孔ラバールノズルを有するランスを用いて送酸速度2.7Nm3/minで吹錬を行った。
途中、OXPにより溶鋼の[C]濃度を確認し、[C]濃度が0.07%になった時点で吹錬を終了した。この時の鋼浴温度は1660℃であり、スラグ中の(FeO)濃度は30%であり、耐火物の溶損は従来の吹錬時と変わらず、問題なかった。
実施例2で用いたスクラップ配合量および造滓剤添加量は、前記(i)式の条件を満足している。
(実施例3)
前記転炉にスクラップを配合率が10%(100kg/t)になるように装入した後、脱P溶銑を注銑し、生石灰45kg/t、アルミナ(Al23)5kg/tおよび珪石10kg/tを添加し、3孔ラバールノズルのランスを用いて送酸速度2.7Nm3/minで吹錬を行った。
途中、OXPにより溶鋼の[C]濃度を確認し、[C]濃度が0.07%になった時点で吹錬を終了した。この時の鋼浴温度は1650℃であり、スラグ中の(FeO)濃度は25%であり、耐火の溶損は従来の吹錬時と変わらなかった。
実施例3で用いたスクラップ配合量および造滓剤添加量は、前記(i)式の条件を満足している。
本発明の転炉スクラップ増配方法によれば、脱P溶銑を転炉で吹錬する際にスクラップ配合量を増大させることが可能である。このスクラップ増配方法は転炉内の溶鉄(Fe)の酸化熱を利用する方法で、吹錬時間もあまり長くならず、耐火物の目立った溶損もなく、安価に実施できるので、スクラップ増配合が困難な脱P溶銑の転炉での吹錬に好適に利用することができる。
造滓剤添加量およびスクラップ配合量の適正範囲を示す図である。

Claims (2)

  1. 転炉を用いて脱P溶銑の精錬を実施するに際し、
    スクラップを3質量%以上配合すると共に、その配合量に応じて造滓剤を、下記(i)式を満足するように添加し、
    生成するスラグ中の(FeO)の濃度が35%未満という耐火物の溶損を促進しない範囲で溶鉄を酸化し、その酸化反応熱でスクラップを溶解することを特徴とする転炉スクラップ増配方法。
    (4.5×S)<Z<(6.6×S+12) ・・・(i)
    ただし、Z:造滓剤添加量(kg/t)
    S:スクラップ配合量(%)
  2. 造滓剤として生石灰、ドロマイト、酸化マグネシウム、珪石およびアルミナ含有物質のうちの1種または2種以上を使用することを特徴とする請求項1に記載の転炉スクラップ増配方法。
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