JP4327309B2 - 薬液注入による砂質土地盤の液状化対策工法 - Google Patents

薬液注入による砂質土地盤の液状化対策工法 Download PDF

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は薬液注入による砂質土地盤の液状化対策工法に関する。より詳しくは、砂質土地盤に対してシリカ粒子を含む薬液を注入する液状化対策工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
砂質土地盤が地震により液状化するのを防止する方法の一つとして、砂質土にセメントなどの固結剤を添加し混合する固結工法が知られている。この固結工法による既往の試験では、セメント量を5%程度にすれば液状化を防止できるという結果が得られている。ここで、液状化抵抗を表す指標としては一軸圧縮強さが採用され、液状化防止のための一軸圧縮強さの基準値は、実用上0.5kgf/cm2〜1.0kgf/cm2程度であるとされている。
【0003】
上記セメントを用いた固結工法は、新たに地盤を造成する場合には好適なものであるが、既設構造物直下の砂質土地盤を対象とし、直上から実施できない場合には、地盤中へのセメントの浸透距離が比較的短いことから不向きである。このため、既設構造物直下の砂質土地盤の液状化を防止するためには、砂質土地盤に対して超微粒子シリカを含む薬液を注入する工法が採用されている。その薬液は、超微粒子シリカを水に分散してなるコロイド溶液(主剤)に、中性塩からなる硬化剤を添加して調製されている。この薬液には、i)主剤に硬化剤を添加することによりゲル化する。ii)ゲルタイム(硬化時間)は数秒〜数日程度の範囲で調整でき、主として硬化剤の濃度により決定される。iii)ゲルタイムを調整してもゲル化物質の物性は影響を受けない、という基本的性質がある。
【0004】
従来は、この薬液注入による工法においても、セメントを用いた場合の液状化防止のための一軸圧縮強さ(液状化抵抗と正の相関を有する)の基準値(0.5kgf/cm2〜1.0kgf/cm2)をそのまま適用して、その基準値を満たすように主剤中のシリカ粒子の濃度を10重量%程度に設定していた。一軸圧縮強さが0.5kgf/cm2未満となるシリカ粒子の濃度のものは、液状化を防止できないものとして、従来においては使用あるいは考慮の対象とされていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、主剤中のシリカ粒子の濃度を10重量%と比較的高く設定した場合、地盤中への浸透距離が短くなる(硬化剤の量にもよるが1点からの球状の注入では半径2〜3mまでの浸透距離となる)という問題がある。また、超微粒子シリカの使用量も多くなるため、コストが高くつくという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、シリカ粒子を含む薬液の地盤中への浸透距離を長くでき、しかもコストを低減できる砂質土地盤の液状化対策工法を提供することにある。特に、特願平10−140973号に記載の工法で使用されていたシリカのコロイド溶液で得られる一軸圧縮強度と同等の性能を、更に低シリカ濃度で得られ、コストを更に低減できる砂質土地盤の液状化対策工法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、砂質土地盤に対してシリカ粒子を含む薬液を注入した場合の液状化抵抗が必ずしも一軸圧縮強さと正の相関をもたないという、本発明者による発見に基づいて創作されたものである。
【0008】
すなわち、図6に示すように、主剤中のシリカ粒子濃度wが0.28重量%〜2.25重量%の範囲において、主剤中のシリカ粒子濃度wと改良砂(薬液注入後)の一軸圧縮強さquとの間には、予想された通り正の相関がある。したがって、従来の一軸圧縮強さの基準値(0.5kgf/cm2〜1.0kgf/cm2)によれば、主剤中のシリカ粒子濃度wが2.25重量%以下のものは、一軸圧縮強さquが0.5kgf/cm2よりも低いことから、液状化抵抗が低く、使用に耐えないはずである。
【0009】
しかしながら、本発明者の実験により、主剤中のシリカ粒子濃度wを0.28重量%〜2.25重量%の範囲に設定した場合、改良砂の実際の液状化抵抗は、シリカ粒子濃度wに殆ど依存せずほぼ一定であり、かつ要求品質(液状化を防止する)を満たしていることが判明した。この場合の液状化防止のメカニズムは、セメントのような固結によるものではなく、砂の粒子間に存在する水がゲル化物質(薬液が硬化したもの)によって置換され、このゲル化物質が砂の粒子同士を繋ぎ止めるものである、と考えられる。
【0010】
そこで、上記目的を達成するため、請求項1に記載の液状化対策工法は、シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、上記薬液中の硬化剤として中性塩を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.01重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の液状化対策工法は、シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、上記薬液中の硬化剤として酸性塩を用いるとともに、上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至1.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の液状化対策工法は、シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、上記薬液中の硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定し、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至5.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする
これらの請求項1乃至3の液状化対策工法では、主剤中のシリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定しているので、従来(シリカ粒子濃度を10重量%程度に設定)に比して、薬液の地盤中への浸透距離が長くなる。また、特願平10−140973号に記載の工法で使用されていたシリカ濃度1.9重量パーセント乃至6.0重量パーセントに比較して超微粒子シリカの使用量が少なくなるため、コストダウンが可能となる。これは、特願平10−140973号に記載の工法ではコロイド溶液のシリカ平均粒径が15ナノメートルであるのに対して、本工法のコロイド溶液のシリカ平均粒径が3ナノメートル乃至6ナノメートルと小さく設定されているためである。
【0013】
また、請求項1の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として中性塩を用いるとともに、上記薬液中のその中性塩の濃度を0.01重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定している。請求項2の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として酸性塩を用いるとともに、上記薬液中のその酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至1.0重量パーセントの範囲内に設定している。また、請求項3の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定し、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至5.0重量パーセントの範囲内に設定している。これにより、硬化剤としてのそれらの中性塩、酸性塩の濃度に応じて、上記薬液のゲルタイムを数秒から数日の範囲内で調整することができる。
【0014】
また、既設構造物直下の砂質土地盤を対象とし、直上から実施できない場合には、地盤中への薬液の浸透距離を10メートル以上確保するのが望ましい。
【0015】
請求項1乃至3の液状化対策工法では、硬化剤の量にもよるが、直線状の浸透の場合、実際的な条件下で地盤中への薬液の浸透距離を10メートル以上にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の液状化対策工法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(1)まず、本発明者は、この発明の試験を行うために、次のような主剤と硬化剤とからなる薬液を用意した。
【0018】
▲1▼主剤は、超微粒子シリカを水に分散してなるコロイド溶液である。
【0019】
この例では、主剤として、市販の超微粒子シリカグラウト(シリカ(SiO2)濃度3.7〜7.0重量%、旭電化工業(株)製、商品名パーマロックASF)と水とを割合を変えて混合して、図6に示すように、シリカ粒子濃度wが0.28重量%、0.38重量%、0.45重量%、0.56重量%、0.75重量%、1.13重量%、2.25重量%のものを作製した。
【0020】
この主剤は、水ガラス中の塩分をイオン交換樹脂により除去した後に、弱アルカリ領域で安定化させたものである。通常の水ガラス系注入薬液や酸性シリカゾルと比較すると、ゲル中に塩分が殆ど無く、ゲル化領域がほぼ中性であるので、環境に対する影響が殆ど無い。また、ゲルより溶脱する成分が無いので、恒久性、高耐久性に優れているという特長をもつ。
【0021】
また、特願平10−140973号に記載の工法ではコロイド溶液のシリカ平均粒径が15nmであるのに対して、この主剤のシリカ平均粒径は3〜6nm(典型的には5nm)と小さい。したがって、要求される一軸圧縮強度を達成せしめるシリカ濃度が少なく、コスト削減に優れているという特徴を持つ。
【0022】
▲2▼硬化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化アルミニウム等の中性塩を用いることができる。また、クエン酸塩、リン酸塩等の弱酸性塩を用いることもできる。さらに、これらの中性塩、酸性塩をそれぞれ複数種類混合して使用することもできるし、中性塩と酸性塩との混合物を使用することもできる。
【0023】
この例では、硬化剤として中性塩である塩化ナトリウムを採用し、薬液中の硬化剤の濃度が2.0重量%となるように設定した。
【0024】
この中性塩は主剤中に溶解してイオンとなり、超微粒子シリカのコロイド粒子の表面に形成されている拡散二重層を破壊する。これにより、コロイド粒子同士の衝突(ブラウン運動)による結合が始まり、ゲル化が始まる。この中性塩の添加量が多いほど拡散二重層の破壊も大きく、その分だけゲル化も促進される。また酸性塩は主剤中のアルカリ成分を中和させ、超微粒子シリカのコロイド粒子の結合を更に促進する。またゲル化後のシリカ重合を破壊するアルカリ成分を除去することにより耐久性に好影響をもたらす。
【0025】
硬化剤の濃度が薄すぎる場合には、ゲルタイムが長くなり過ぎる。一方、硬化剤の濃度が濃すぎる場合には、薬液が早く固まるため浸透距離が短くなり過ぎる。実用レベルでは、硬化剤として中性塩を用いる場合は、上記薬液中のその中性塩の濃度を0.01重量%〜10.0重量%の範囲内に設定する。硬化剤として酸性塩を用いる場合は、上記薬液中のその酸性塩の濃度を0.1重量%〜1.0重量%の範囲内に設定する。硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いる場合は、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量%〜10.0重量%の範囲内に設定し、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量%〜5.0重量%の範囲内に設定する。
【0026】
(2)次に、上述のシリカ粒子濃度が異なる複数の薬液をそれぞれ豊浦砂(標準砂)に浸透注入して、円柱状の形状をもつ供試体を作製した。
【0027】
具体的には、空中落下法を用いて相対密度約60%の豊浦砂を円筒形の型枠内に堆積し、飽和度を高めるために−0.95kgf/cm2の負圧を作用させた状態で上記各薬液を浸透注入させた。これにより、シリカ粒子濃度が異なる薬液ごとに供試体を作製した。また、比較のために、薬液を浸透させない未改良砂からなる供試体も併せて作製した。
【0028】
なお、次に述べる一軸圧縮強さ測定用の供試体の寸法は直径φ=3cm、高さH=6cmとした。また、その後に述べる液状化試験用の供試体の寸法は直径φ=6cm、高さH=2cmとした。
【0029】
(3)各供試体の一軸圧縮強さquは図6に示すようなものとなった。
【0030】
すなわち、シリカ粒子濃度wが0.28重量%の主剤を浸透させた供試体の一軸圧縮強さquは0.10kgf/cm2となった。以下それぞれ、w=0.38重量%のものはqu=0.13kgf/cm2、w=0.45重量%のものはqu=0.14kgf/cm2、w=0.56重量%のものはqu=0.14kgf/cm2、w=0.75重量%のものはqu=0.16kgf/cm2、w=1.13重量%のものはqu=0.39kgf/cm2、w=2.25重量%のものはqu=0.50kgf/cm2となった。既に述べたように、これ自体は、従来の技術常識から予想された結果である。
【0031】
(4)次に、上記供試体の液状化抵抗を把握するために、液状化試験として、単純せん断装置を用いた応力振幅一定試験とひずみ振幅漸増試験を行った。
【0032】
応力振幅一定試験では、上述のw=0.28重量%〜2.25重量%に相当する供試体はいずれも、せん断応力τが繰り返し載荷された結果±5%程度のせん断ひずみγを受けたとしても、流動的な液状化に至らないという結果が得られた。図1(b),(c)に、それぞれw=0.38重量%の主剤を用いて得られたqu=0.13kgf/cm2の供試体、w=1.13重量%の主剤を用いて得られたqu=0.39kgf/cm2の供試体についての測定結果を例示している。図1(b),(c)から分かるように、この2つの供試体は、せん断応力τの繰り返し載荷によって図中に矢印で示す向きに±5%程度まで次第にひずみγが増加するけれども、依然としてせん断抵抗力を維持している。これに対して未改良砂の供試体は、図1(a)に示すように、せん断応力τの7回目の載荷でせん断抵抗力が激減してほぼゼロとなり(図中にAで示す)、液状化が生じている。
【0033】
ひずみ振幅漸増試験でも同様に、上述のw=0.28重量%〜2.25重量%に相当する供試体はいずれも、漸増するせん断ひずみが繰り返し載荷された結果±5%程度のせん断ひずみγを受けたとしても、流動的な液状化に至らないという結果が得られた。図2(b),(c)に、それぞれw=0.38重量%の主剤を用いて得られたqu=0.13kgf/cm2の供試体、w=1.13重量%の主剤を用いて得られたqu=0.39kgf/cm2の供試体についての測定結果を例示している。これに対して未改良砂の供試体は、図2(a)に示すように、せん断ひずみが約±1%に達するとせん断抵抗力が激減してほぼ0となり(図中にBで示す)、液状化が生じている。
【0034】
図3、図4および図5は、それぞれ上記試験によって得られた、漸増するせん断ひずみの繰返しによる剛性低下率G/G1とせん断ひずみγとの関係、正規化累積損失エネルギーΣΔW/σ′mcとせん断ひずみγとの関係、漸増するせん断ひずみの繰返しによる剛性低下率G/G1と正規化累積損失エネルギーΣΔW/σ′mcとの関係を示している。これらの図中、〇印は未改良砂からなる供試体、◇印はqu=0.13kgf/cm2の供試体、▽印はqu=0.16kgf/cm2の供試体、△印はqu=0.39kgf/cm2の供試体、●印はqu=0.50kgf/cm2の供試体のデータをそれぞれ表している。分かるように、qu=0.13kgf/cm2〜0.50kgf/cm2の供試体(改良砂の供試体)のデータは、いずれの図においても同一の曲線上に乗り、本質的に同じ挙動を示している。したがって、これらの供試体は、一軸圧縮強さquが互いに異なるにもかかわらず、同じ様な液状化抵抗を示しているということが言える。これに対して未改良砂の供試体のデータは、改良砂のデータ曲線とは異なる曲線上に乗っている。
【0035】
このように主剤中のシリカ粒子濃度wを0.28重量%〜2.25重量%の範囲に設定した場合、改良砂の実際の液状化抵抗は、シリカ粒子濃度wに殆ど依存せずほぼ一定であり、かつ要求品質(液状化を防止する)を満たしている。
【0036】
(5)また、上述のqu=0.13kgf/cm2〜0.50kgf/cm2の供試体(改良砂の供試体)と未改良砂の供試体とについて、実際の地震に近い状態で液状化を防止できるか否かを確認するために、最大加速度150gal入力のオンライン地震応答実験を行った。このオンライン地震応答実験においても、qu=0.13kgf/cm2〜0.50kgf/cm2の供試体(改良砂の供試体)は液状化せず、かつそれぞれ同様の挙動を示した。一方、未改良砂の供試体だけが液状化を示した。
【0037】
(6)各試供体と同じシリカ粒子濃度wの主剤および硬化剤濃度2.0重量%とした薬液が10.0m浸透可能であるかを測定したところ、すべての場合において、浸透距離が10.0m以上となることがわかった。
【0038】
(7)このように、超微粒子シリカを水に濃度w=0.28重量%〜2.25重量%の範囲内で分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に中性塩からなる硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入することにより、その砂質土地盤の液状化を有効に防止することができる。そして、この液状化対策工法の場合、従来(シリカ粒子濃度を10重量%程度に設定)に比して、薬液の地盤中への浸透距離を長くすることができる。また、超微粒子シリカの使用量が比較的少なくなるため、コストダウンが可能となる。また、特願平10−140973号に記載の工法で使用されている薬液中のシリカ濃度(1.9重量%〜6.0重量%)よりも低いシリカ濃度で目的強度を達成できるため、さらなるコストダウンが可能となる。
【0039】
さらに、上述のように主剤中のシリカ粒子濃度wを0.28重量%≦w<2.25重量%の範囲内に設定するとともに、硬化剤として中性塩を用いる場合は、上記薬液中のその中性塩の濃度を0.01重量%〜10.0重量%の範囲内で、硬化剤として酸性塩を用いる場合は、上記薬液中のその酸性塩の濃度を0.1重量%〜1.0重量%の範囲内で、硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いる場合は、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量%〜10.0重量%の範囲内、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量%〜5.0重量%の範囲内で適切に選択すれば、直線状の浸透の場合、実際的な条件下で地盤中への薬液の浸透距離を10メートル以上にすることができる。したがって、この液状化対策工法は、既設構造物直下の砂質土地盤を対象とし、直上から実施できない場合に好ましく適用することができる。
【0040】
なお、既設構造物直下の砂質土地盤に対して実際に上記薬液を注入する場合は、薬液の注入圧をその地盤の間隙水圧の3〜5倍に設定するのが望ましい。
【0041】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1乃至3の液状化対策工法では、主剤中のシリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定しているので、従来(シリカ粒子濃度を10重量パーセント程度に設定)に比して、薬液の地盤中への浸透距離を長くすることができる。また、特願平10−140973号に記載の工法で使用されていた薬液よりも超微粒子シリカの使用量が少なくなるため、さらなるコストダウンが可能となる。
【0042】
また、請求項1の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として中性塩を用いるとともに、上記薬液中のその中性塩の濃度を0.01重量パーセント乃至10.0重量パーセントに設定し、請求項2の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として酸性塩を用いるとともに、上記薬液中のその酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至1.0重量パーセントの範囲内に設定している。また、請求項3の液状化対策工法では、上記薬液中の硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定し、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至5.0重量パーセントの範囲内に設定している。これにより、硬化剤としてのそれらの中性塩、酸性塩の濃度に応じて、上記薬液のゲルタイムを数秒から数日の範囲内で調整することができる。したがって、直線状の浸透の場合、実際的な条件下で地盤中への薬液の浸透距離を10メートル以上にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を適用して作製した供試体の応力振幅一定方式の液状化試験の結果を未改良のものと比較して示す図である。
【図2】 この発明を適用して作製した供試体のひずみ振幅漸増方式の液状化試験の結果を未改良のものと比較して示す図である。
【図3】 この発明を適用して作製した供試体の、漸増するせん断ひずみの繰返しによる剛性低下率G/G1とせん断ひずみγとの関係を示す図である。
【図4】 この発明を適用して作製した供試体の、正規化累積損失エネルギーΣΔW/σ′mcとせん断ひずみγとの関係を示す図である。
【図5】 この発明を適用して作製した供試体の、漸増するせん断ひずみの繰返しによる剛性低下率G/G1と正規化累積損失エネルギーΣΔW/σ′mcとの関係を示す図である。
【図6】 主剤中のシリカ粒子濃度wと作製した供試体の一軸圧縮強さquとの対応を示す図である。
【符号の説明】
A 液状化を示す部分

Claims (3)

  1. シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、
    上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、
    上記薬液中の硬化剤として中性塩を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.01重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする液状化対策工法。
  2. シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、
    上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、
    上記薬液中の硬化剤として酸性塩を用いるとともに、上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至1.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする液状化対策工法。
  3. シリカ粒子を水に分散してなるコロイド溶液を主剤とし、この主剤に硬化剤を添加して調製された薬液を、砂質土地盤に対して注入する液状化対策工法において、
    上記主剤中のシリカ粒子の平均粒径を3ナノメートル乃至6ナノメートルの範囲内に設定するとともに、上記主剤中の上記シリカ粒子の濃度を0.28重量パーセント乃至0.56重量パーセントの範囲内に設定し、
    上記薬液中の硬化剤として中性塩と酸性塩との混合物を用いるとともに、上記薬液中の上記中性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至10.0重量パーセントの範囲内に設定し、かつ上記薬液中の上記酸性塩の濃度を0.1重量パーセント乃至5.0重量パーセントの範囲内に設定することを特徴とする液状化対策工法。
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