JP4324365B2 - アルカリプロテアーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用酵素、特に洗剤用酵素として有用な新規アルカリプロテアーゼ及びこれをコードする遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
プロテアーゼは、衣料用洗剤をはじめとする各種洗浄剤、化粧料、浴用剤、食品改質剤、消化補助剤或いは消炎剤といった様々な用途、分野で利用され、工業用酵素の中で最も生産量が多い。中でもアルカリプロテアーゼは、洗剤用酵素として、洗浄力の向上に不可欠な一成分として重要な役割を果たしてきている。
【0003】
現在用いられている洗剤用アルカリプロテアーゼには、バチルス属細菌由来で、ズブチリシンファミリーに属し、分子量28kDa付近の、サビナーゼ(登録商標;ノボザイム社製)、カンナーゼ(登録商標;ノボザイム社製)、デュラザイム(登録商標;ノボザイム社製)、マキサカル(登録商標;ジェネンコア社製)、ブラップ(登録商標;ヘンケル社製)、KAP(花王社製)(特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)や、同様にバチルス属細菌由来であり、分子量が43kDa付近で、酸化剤耐性を有するアルカリプロテアーゼの一群が知られている(特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、これらのアルカリプロテアーゼは、アルカリ耐性、界面活性剤耐性、酸化剤耐性、低温活性、耐熱性、洗浄性、低い基質特異性、キレート剤耐性、金属イオン耐性等において一長一短のあるものであり、また、上記アルカリプロテアーゼのように分子量が28〜45kDa付近のものは、製造プロセスにおいて、培養液や酵素溶液の濃縮に用いる限外濾過膜から酵素が漏出して、濃縮収率を下げるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような洗剤用アルカリプロテアーゼ或いは従来の真性ズブチリシンと比べて分子量が大きく、且つアミノ酸配列において同一性が低い新たな洗剤用アルカリプロテアーゼ並びにこれをコードする遺伝子を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−349882号公報
【特許文献2】
特表平8−508643号公報
【特許文献3】
国際公開第99/18218号パンフレット
【非特許文献1】
Guptaら Appl. Microbiol. Biotechnol. 59, 15-32, 2002
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、好アルカリ性バチルス属細菌が生産する新規なプロテアーゼをを探索すべくスクリーニングを行ったところ、分子量の大きなアルカリプロテアーゼを生産している幾つかの微生物を見出し、さらに当該微生物からアルカリプロテアーゼコードする遺伝子をクローン化し、これを用いることにより洗剤用酵素として有用なアルカリプロテアーゼを工業的に製造できることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質;
(a)配列番号1〜4より選ばれるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)(a)の各アミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質、及び配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質、当該タンパク質をコードする遺伝子、当該遺伝子を含有する組換えベクター並びに該組換えベクターを含む形質転換体を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のタンパク質(以下、「アルカリプロテアーゼ」ともいう)は、(a)配列番号1〜4より選ばれるアミノ酸配列からなるタンパク質、(b)(a)の各アミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質、又は配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質であり、本発明の遺伝子は、当該タンパク質をコードするDNAである。
【0010】
ここで、(a)のアミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列とは、配列番号1〜4の各アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、依然としてアルカリプロテアーゼ活性を保持する配列をいい、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
尚、当該等価のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット[ Mutan-super Express Km キット(Takara)]等を用いて変異を導入すればよい。
【0011】
本発明の配列番号1〜4のアミノ酸配列からなるタンパク質は、アミノ酸配列において互いに類似するプロテアーゼであり、配列番号1のアミノ酸配列と配列番号2、3及び4のアミノ酸配列とは、それぞれ95.0%、90.5%、82.6%の同一性を有する。
すなわち、本発明のアルカリプロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列において相当する配列を適切にアライメントした時、80%以上の同一性を有するアルカリプロテアーゼを包含するものであり、配列番号1〜4のアミノ酸配列における同一性が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であるものが望ましい。
【0012】
配列番号1〜4のアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼを他の公知であるアルカリプロテアーゼのアミノ酸配列と比較した場合、Bacillus subfilis 由来のマイナーセリンプロテアーゼ(Vpr)と54〜57%の同一性を示すにすぎない。また、この他に同一性を示すようなアミノ酸配列も見当たらない。これらの結果は、本発明のアルカリプロテアーゼが新規な酵素であることを示唆するものである。
尚、ここでいう同一性の検索はGENETYX−WIN(ソフトウェア開発)のサーチホモロジ−プログラムを用いて算出できる。
【0013】
本発明の遺伝子は、上記の通り、配列番号1〜4より選ばれるアミノ酸配列からなるタンパク質、当該アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードするものであるが、例えば、配列番号5の第457番目から第2424番目までの塩基配列で示されるDNA、配列番号6の第457番目から第2424番目までの塩基配列で示されるDNA、配列番号7の第457番目から第2424番目までの塩基配列で示されるDNA、配列番号8の第454番目から第2421番目までの塩基配列で示されるDNAが挙げられ、好ましくは、(a)配列番号5〜8より選ばれる塩基配列で示されるDNA、又は(b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。
【0014】
ここで「ストリンジエントな条件下」とは、例えば「Molecular cloning - a Laboratory manual 2nd edition」(Sambrookら、1989)に記載の条件等が挙げられる。例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン***DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
【0015】
本発明のアルカリプロテアーゼは、分子量43kDa付近の酸化剤耐性を有するアルカリプロテアーゼを生産する公知のバチルス属細菌の染色体DNAからクローニングすることにより大量に生産することができる。
すなわち、配列番号1のアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼについては、例えばバチルス エスピー KSM−KP43株(FERM BP−6532)、配列番号2のアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼについては、例えばバチルス エスピー KSM−9865株(FERM P−18566)、配列番号3のアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼについては、例えばバチルス エスピー KSM−KP9860株(FERM BP−6534)、配列番号4のアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼについては、例えばバチルス エスピーNCIMB12289株の染色体DNAからクローニングし、適当なベクターと宿主菌を用いて大量に生産することができる。
【0016】
本発明の遺伝子は、上述したアルカリプロテアーゼ産生菌、例えばBacillus属に属する微生物、好ましくはバチルス エスピー KSM−KP43株(FERM BP−6532)、KSM−9865株(FERM P−18566)、KSM−KP9860株(FERM BP−6534)、NCIMB12289株等から、例えばショットガン法、PCR法を用いることよりクローニングすることができる。
【0017】
本発明遺伝子を用いてアルカリプロテアーゼを生産するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターに、上記アルカリプロテアーゼ遺伝子(例えば、配列番号5〜8の塩基配列で示されるDNA)を組込み、該組換えベクターを用いて宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、当該培養液からアルカリプロテアーゼを採取すればよい。
培養は微生物が資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従って行えばよい。
【0018】
かくして得られた培養物中からのアルカリプロテアーゼの採取及び精製は、一般の方法に準じて行うことができる。即ち、培養物から遠心分離又は濾過することで菌体を除き、得られた培養上清液から常法手段により目的酵素を濃縮することができる。このようにして得られた酵素液又は乾燥粉末はそのまま用いることもできるが更に公知の方法により結晶化や造粒化することができる。
【0019】
本発明のアルカリプロテアーゼの特徴としては、次のような性質が好ましい。すなわち、分子量72,000±2,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、合成基質(Ala−Ala−Pro−Leu−pNA)を用いた場合、最適反応pHを10−11付近(炭酸緩衝液)、最適温度を45℃付近に有し、耐熱性は45℃付近まで安定(pH10、15分間の処理)である。
【0020】
【実施例】
実施例1 バチルス エスピー KSM−KP43株由来のアルカリプロテアーゼFTの精製
バチルス エスピー KSM−KP43株を6.0%(w/v) ポリペプトンS(日本製薬)、0.1% 酵母エキス(Difco)、0.1%KH2PO4、0.02%MgSO4・7H2O、5.0%マルトース、1.5% Na2CO3から成る培地に接種し、30℃で3日間振盪培養を行った。菌体を遠心分離により除去し上清を得た後、氷冷下にて80%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し塩析を行った。生じた沈殿を遠心分離により集め、5mMの塩化カルシウムを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液(緩衝液A:pH7.5)に溶解した後、同緩衝液にて一晩透析を行った。透析内液を、あらかじめ、緩衝液Aにて平衡化しておいたDEAE トヨパール 650C(東ソー:2.5×12cm)に添着した。次に0.5M 塩化ナトリウムまでの濃度勾配法により吸着タンパク質の溶出を行い、0.25Mの塩化ナトリウム濃度付近にプロテアーゼ活性を示す画分を得た。この画分を集め、緩衝液Aにて透析後、同緩衝液にて平衡化しておいたSP トヨパール 550C(東ソー:2.5×12cm)に添着した。次いで0.5M 塩化ナトリウムまでの濃度勾配法により吸着タンパク質の溶出を行い、0.35Mの塩化ナトリウム濃度付近にプロテアーゼ活性を示す画分を得た。この画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法により分析した結果、アルカリプロテアーゼFTは分子量72,000±2,000の均一なタンパク質バンドとして検出された。
【0021】
実施例2 アルカリプロテアーゼFTのN末アミノ酸配列の決定
実施例1において精製されたアルカリプロテアーゼ溶液をメタノールで処理したProsorb filter(アプライドバイオシステム)に吸着させ、プロテインシーケエンサー(476A型:アプライドバイオシステム)によりN末端アミノ酸配列を決定した。その結果、Met−Phe−Asp−Ser−Ala−Pro−Phe−IIe−Gly−Ala−Asn−Asp−Ala−Trp−Asp−Leu−Gly−Phe−Asp−Glyの20残基のアミノ酸配列が得られた。
【0022】
実施例3 アルカリプロテアーゼFT遺伝子のクローニング
バチルス エスピー KSM−KP43株をLBに0.05%炭酸ナトリウムを添加した培地に接種し、30℃で適当な時間振盪培養を行い菌体を集めた。斎藤と三浦の方法(Biochim. Biophys. Acata, 72, 619-629, 1963)に準じ菌体からゲノムDNAを調製し、EcoRIで部分分解を行った。LA PCR in vitro cloningキット(Takara)中のEcoRIカセットに上記部分分解断片を連結させ、実施例2で決定したN末アミノ酸配列をもとに合成したプライマーA(配列番号9)とキット付属のプライマーC1を用いてPCRを行った。反応は、カセットを連結したDNA断片(1.0〜50ng)を鋳型とし10〜20pmolの各プライマーを用い(50μL反応系)、94℃1分間の熱変性後、94℃30秒、45℃2分間、72℃1分間を1サイクルとし30サイクル行った。得られた増幅DNA断片をHigh Pure PCR Product Purification キット(ロシュ)にて精製し、100倍希釈したもの1μLを鋳型に10〜20pmolのN末アミノ酸配列をもとに合成したプライマーB(配列番号10)とキット付属のプライマーC2を添加し(50μL反応系)、上記条件と同様にPCRを行った。増幅した約860bpのDNA断片の塩基配列はBigDyeTM Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction(アプライドバイオシステム)及び377DNAシーケンサー(アプライドバイオシステム)を用いて決定した。得られた塩基配列を基に上流及び下流方向の塩基配列決定に適したプライマーを合成し、先に調製したEcoRIカセットを鋳型にPCRを行い全塩基配列決定した。
決定した配列を基に構造遺伝子上流の推定プロモーター領域から終始コドン下流のインバーティッドリピート配列を含む領域を増幅するためにプライマーC(配列番号11)及びプライマーD(配列番号12)を合成した。バチルス エスピー KSM−KP43株のゲノムDNA(0.1〜1.0ng)を鋳型とし10〜20pmolのプライマーC及びDを用いてPCRを行った。反応は94℃で3分間の熱変性後、94℃30秒、55℃30秒、72℃3分間を1サイクルとし30サイクル行った。得られたPCR増幅断片を精製し、TaKaRa BKL キット(Takara)にて末端平滑化とリン酸化を行った後、SmaI及びアルカリフォスファターゼ(ロシュ)処理を行ったプラスミドpHY300PLK(Takara)に結合し、組換えプラスミドpHYFTを調製した。
【0023】
実施例4 バチルス エスピー KSM−9865株由来のアルカリプロテアーゼSF遺伝子のクローニング
バチルス エスピー KSM−9865株から実施例3と同様にゲノムDNAを調製した。これを鋳型としてアルカリプロテアーゼSFをコードする遺伝子の推定プロモーター領域の配列を利用し合成したプライマーE(配列番号13)及び終始コドン下流の配列を利用し合成したプライマーF(配列番号14:5'末端にはPstIリンカーを付与)を添加し、Pyrobest DNA Polymerase(Takara)を用いてプロテアーゼ遺伝子領域を増幅した。反応は94℃で2分間熱変性後、96℃20秒、52℃30秒、72℃5分を1サイクルとして30サイクルを行った。得られたPCR増幅断片を精製し、プライマーE、F及び塩基配列決定の過程で得られた情報を基に構築したプライマーを用いて塩基配列を決定した。さらに精製増幅断片をPstIにて処理し、同様
に処理したプラスミドpHY300PLKに組込みpHYSFを作製した。
【0024】
実施例5 バチルス エスピー KSM−9860株由来のアルカリプロテアーゼSZ遺伝子のクローニング
バチルス エスピー KSM−KP9860株のゲノムDNAを実施例3と同様に調製した後、これを鋳型としプライマーG及びH(配列番号15及び16)を用いてExTaq(Takara)によりPCRを行った。反応は94℃で2分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、50℃1分間、72℃1分30秒間を1サイクルとし30サイクル行った。その結果、約1kbのDNA増幅断片が認められた。PCR産物を精製し、プライマーG及びHを用いて塩基配列の解析を行った。次にインバースPCRにより全構造遺伝子の塩基配列を決定した。即ち、KSM−KP9860株のゲノムDNAを制限酵素EcoRI或いはBglIIにより37℃にて完全分解した後、70℃で15分間処理し制限酵素を熱失活させた。その後、反応液と等量のDNA Ligation キット ver.2(Takara)を加え、16℃で1昼夜ライゲーション反応を行い、インバースPCR用の鋳型を調製した。約1kbの部分遺伝子配列からプライマーI及びJ(配列番号17及び18)を合成し、得られたインバースPCR用の鋳型を用いてLaTaq(Takara)によりPCRを行った。反応は94℃で2分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、50℃1分間、72℃4分間を1サイクルとし30サイクル行った。その結果、EcoRI分解物のセルフライゲーションDNAを鋳型としたPCRにより、約2.2kbのDNA増幅断片、又、BglII分解物のセルフライゲーションDNAを鋳型としたPCRにより、約2kbのDNA増幅断片が認められた。得られたPCR産物を精製し、プライマーI及びJを用いて塩基配列の解析を行った。その結果、3293bpの塩基配列が決定され、プロモーター領域からターミネーター領域を含む遺伝子領域を増幅出来るプライマーK及びL(配列番号19及び20)を合成した。その際にプライマーKの5’末端にはSalIリンカーをプライマーLの5’末端側にXbaIリンカーを付与した。
KSM−KP9860株のゲノムDNAを鋳型としプライマーK及びLを用いてPyrobest DNA PolymeraseによりPCRを行った。反応は94℃で2分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、55℃1分間、72℃3分間を1サイクルとし、30サイクル行った。その結果、約2.8kbのDNA増幅断片が認められた。PCR産物を精製し、得られた約2.8kbのDNA断片を、SalI、XbaIにより処理し、同様に処理したプラスミドpHY300PLKを混合した後、Ligation High(東洋紡)により、ライゲーション反応を行い、pHYSZを作製した。
【0025】
実施例6 バチルス エスピー NCIMB12289株由来のアルカリプロテアーゼNV遺伝子のクローニング
前記、バチルス エスピー KSM−KP43株、バチルス エスピー KSM−KP9860株、バチルス エスピー KSM−9865株由来のアルカリプロテアーゼをコードする遺伝子間の同一性検索の結果からプライマーM及びN(配列番号21及び22)を合成した。バチルス エスピーNCIMB12289株のゲノムDNAを鋳型としてプライマーM及びNを用いてExTaqによりPCRを行った。反応は94℃で2分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、55℃1分間、72℃2分間を1サイクルとし30サイクル行った。PCR産物を精製し、プライマーM及びNを用いて約2kbのDNA増幅断片の塩基配列解析を行った。次いで実施例5と同様にインバースPCRによりプロモーター、ターミネーター領域を含めた全構造遺伝子の塩基配列を決定した。即ち、NCIMB12289株のゲノムDNAを制限酵素EcoRI、BglII或いはPstIにより37℃にて完全分解した後、70℃で15分間処理し制限酵素を熱失活させた。その後、16℃で1昼夜セルフライゲーション反応を行い、インバースPCR用の鋳型を調製した。合成したプライマーO、P及びQ(配列番号23−25)を用い、LaTaqによりPCRを行った。EcoRI分解物のセルフライゲーションDNA及びBglII分解物のセルフライゲーションDNAに対してはプライマーO及びQをPstI分解物のセルフライゲーションDNAに対してはプライマーP及びQを用いた。反応条件は94℃で2分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、55℃1分間、72℃4分間を1サイクルとし30サイクル行った。その結果、EcoRI分解物のセルフライゲーションDNAを鋳型としたPCRにより、約2kbのDNA増幅断片、BglII分解物のセルフライゲーションDNAを鋳型としたPCRにより、約3kbのDNA増幅断片、又、PstI分解物のセルフライゲーションDNAを鋳型としたPCRにより、約3kbのDNA増幅断片がそれぞれ認められた。得られたPCR産物を精製し、プライマーO及びQを用いて塩基配列の解析を行った。次いで実施例5と同様に合成したプライマーR及びS(配列番号26及び27)とNCIMB12289株のゲノムDNAを鋳型にしPCRを行い、最終的にpHYNVを作製した。
【0026】
実施例7 アルカリプロテアーゼの組換え生産
pHYFT、pHYSF、pHYSZ及びpHYNVを用いて、KSM−9865株の変異株(分子量28kDa、72kDaの2種類のアルカリプロテアーゼ遺伝子を破壊した株)をエレクトロポレーション法で形質転換処理した。スキムミルク含有アルカリLB寒天培地(0.05%炭酸ナトリウム並びに15ppmテトラサイクリンを含む)に塗沫し、スキムミルク溶解斑の有無からプロテアーゼ遺伝子が導入された形質転換体を選抜した。得られた各形質転換体を5mLの種母培地[6.0%(w/v)ポリペプトンS、0.1%酵母エキス、1.0%マルトース、0.02%硫酸マグネシウム7水和物、0.1%リン酸2水素カリウム、0.3%無水炭酸ナトリウム、30ppmテトラサイクリン]に植菌し、30℃で16時間振盪培養を行った。この種母培養液を30mLの主培地[8%ポリペプトンS、0.3%酵母エキス、10%マルトース、0.04%硫酸マグネシウム7水和物、0.2%リン酸2水素カリウム、1.5%無水炭酸ナトリウム、30ppmテトラサイクリン]に1%(v/v)植菌し、30℃で3日間振盪培養を行った。
【0027】
実施例8 組換えアルカリプロテアーゼの精製
実施例7で得られたKP43株由来の組換えプロテアーゼFTを含む培養液80mLを0.2M塩化カリウム含有の50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたSuperQトヨパール650Mカラム(東ソー:2.5×14cm)へ添着した。同緩衝液で非吸着タンパク質を溶出させた後、0.2〜0.4M塩化カリウムまでの濃度勾配法により吸着タンパク質の溶出を行った。その結果、0.3M塩化カリウム付近にプロテアーゼ活性を含む画分が溶出された。この画分に0.75Mになるように硫酸アンモニウムを添加し、予め0.75M硫酸アンモニウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたフェニルトヨパールカラム(東ソー:2.5×8cm)に添着させた。同緩衝液にて非吸着タンパク質を溶出させた後、0.75M〜硫酸アンモニウム無添加までの濃度勾配法により吸着タンパク質の溶出を行った。その結果、0.25M以下の硫酸アンモニウム付近にプロテアーゼ活性を示す画分を得た。この画分のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、分子量約72000のほぼ均一なタンパク質バンドを検出した。上記の精製法によりKP43株由来の組換えプロテアーゼは、活性収率84%、約4倍に精製され、比活性102U/mgであった。実施例7で得られたいずれの培養液からも同様の操作により各精製プロテアーゼを得ることができた。
【0028】
実施例9 組換えアルカリプロテアーゼの酵素学的性質
実施例8で得られた精製アルカリプロテアーゼの活性を測定する場合は合成基質法により行った。即ち、0.25mLの0.1M緩衝液、0.025mLの50mMAAPL(N-succinyl-Ala-Ala-Pro-Leu-p-nitroanilide)、0.2mLの脱イオン水からなる反応液を30℃で5分間、恒温した後、適当に希釈した酵素液を0.025mL添加し、反応を開始した。30℃で10分間恒温した後、2mLの5%(w/v)クエン酸を添加し、反応を停止した。次いで反応中に生成された−ニトロアニリンの420nmにおける吸光度を測定した。酵素1単位(U)は、上記反応条件下において1分間に1μmoLの−ニトロアニリンを生成する量とした。
【0029】
(1)最適反応pH
pH4−12.5の各緩衝液中にて酵素反応を行った結果、いずれの酵素もpH10.5の炭酸緩衝液において最も高い分解活性を示した。
【0030】
(2)最適温度
50mMホウ酸緩衝液(pH10)中、5〜60℃の範囲で酵素反応を行った結果、いずれの酵素も40〜45℃において最も高い分解活性を示した。また、反応液に2mM塩化カルシウムを添加しても最大活性を与える反応温度は変化せず、活性化も殆ど起こらないことが特徴であった。
【0031】
(3)耐熱性
50mMホウ酸緩衝液(pH10)中、20〜55℃の範囲で各酵素を15分間恒温した。その後、氷冷し酵素反応を行った結果、いずれの酵素も40℃までは安定であった。また、5mM塩化カルシウムを添加し、恒温処理した場合においても同様な結果であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明のアルカリプロテアーゼは、最適温度が中低温域にあることから洗剤用酵素として有用であり、且つ従来のズブチリシンとは異なり分子量が大きいことから、製造プロセスにおいて、培養液や酵素溶液の濃縮に用いる限外濾過膜から酵素が漏出することによって濃縮収率が低下することがない。
【0033】
【配列表】
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Claims (9)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質:
    (a)配列番号1〜4より選ばれるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)(a)の各アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 配列番号1のアミノ酸配列と82.6%以上の同一性を有し、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質。
  3. 配列番号1〜4のアミノ酸配列のいずれかと90%以上の同一性を有する、請求項2記載のタンパク質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  5. 以下の(a)又は(b)のDNAからなるアルカリプロテアーゼ遺伝子;
    (a)配列番号5〜8より選ばれる塩基配列で示されるDNA、
    (b)(a)の各塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 請求項4又は5記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  7. 請求項記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  8. 宿主が微生物である請求項記載の形質転換体。
  9. さらに以下の性質を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のタンパク質:
    (1)分子量72,000±2,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、
    (2)合成基質(Ala−Ala−Pro−Leu−pNA)を用いた場合、以下の性質を示す
    最適反応pH: 10〜11
    最適温度: 40〜45℃(pH10、15分間の処理)
    耐熱性: 40℃まで安定(pH10、15分間の処理)、
    及び
    (3)2mMカルシウム存在下及び非存在下で当該最適温度及び耐熱性を有する。
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