JP4318825B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力画像から3次元画像を生成する画像処理装置および画像処理方法に関し、特に、CCDカメラ等で得られた顔画像データ(2次元顔画像データ)を3次元画像とする等、数点の顔特徴点(顔特徴部分)の抽出制御を必要とする画像変換処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンに代表される情報機器において、カメラデバイスの小型化技術の進歩や、カメラデバイス部品の低価格化などに起因し、CCDカメラを内蔵するタイプの機種が増加している。そのため、このような機能を利用して、CCDカメラで取り込んだ自分や隣人、知り合い等の2次元顔画像を元に3D人物モデルを生成する機能や、2次元顔画像を似顔絵化/アニメーション化形成する等の機能を持つPCアプリケーションソフトウエア等が増加しつつある。
【0003】
これら2次元顔画像の成形技術は、従来より表情生成等をテーマとして、さまざまな研究開発がされており、3Dモデル生成(符号)化に関しては、例えば、目や口部分の形状変化の抽出、合成、符号化方法についての論文「形状変化の検出と3次元形状モデルに基づく顔動画像の符号化」(信学技報 IE87-101)が開示されており、また、似顔絵化/アニメーション化に関しては、例えば、人手で描いた正面顔と側面顔の似顔絵を材料として任意の方角から見た似顔絵を各個人の特徴をとらえて自動生成することを目的とした「3次元似顔絵生成方法および装置」(特開平10-74271号公報) が開示されており、また、入力された単一の画像データに基づいて画風や表情等の種別が異なる複数種の画像から単一または複数の画像を選択して生成することを目的とした「画像作成装置、画像作成方法および画像作成プログラム記録媒体」(特開平10-232950 号公報) が開示されている。
【0004】
ところで、上記したようにCCDカメラ等で得られた顔画像データ(2次元顔画像データ)を元に3D人物モデルを生成する方法や、2次元顔画像を似顔絵化/アニメーション化成形する方法においては、必ず、2次元顔画像データ内の顔特徴点の抽出が必須の構成要件となる。この顔特徴点を抽出するための概略ブロック図を図6に示す。すなわち、CCDカメラ等の原画像入力手段101より入力された顔画像データを特徴点抽出手段102に出力する。特徴点抽出手段102では、顔の各部(目、鼻、口等)の位置を抽出し、その抽出した各部の座標位置と原画像とを原画像成形手段103に出力する。ここで、特徴点抽出手段102による顔の各部の位置の抽出は、どのような成形をするのかによって異なる。すなわち、抽出されるデータ内容は、原画像成形手段103の成形内容に依存し、点ではなく領域であったり、各部の中心位置と形状とであったりする。
【0005】
ただし、ここでは説明を容易とするために、以降の説明では「点」として説明する。また、以降の制御内容については、個々に相違するため、詳細については省略するが、例えば、3D人物モデルの場合には、以下の制御手順となる。
【0006】
すなわち、(1)特徴点情報ならびに原画像データを元にテクスチャを生成する。(2)特徴点情報を用いてテクスチャマッピングするための3次元人物モデル(顔の部分がのっぺら棒の3D人物オブジェクト)を生成する(標準モデルを変形して生成する)。(3)テクスチャマッピングを行う。すなわち、原画像入力手段101より得られた顔画像が埋め込まれた3D人物オブジェクトを符号化する。(4)3D人物オブジェクトを表示する。このような(1)〜(4)の制御手順で行われる。ここで、(1)と(2)とは一般に並列処理される。すなわち、制御に後先の順番はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特徴点抽出手段102を具現化する方法として、抽出すべき特徴点を全て抽出する(これを方法1という)、抽出すべき特徴点を全てユーザに指定させる(これを方法2という)、の2種類が考えられる。
【0008】
方法1では、一般に、(a)与えられた原画像データより、顔の輪郭を抽出する。(b)得られた顔の輪郭領域の範囲で、各部を抽出する。の2ステップより実現することになる。ところが、(a)の処理において、図7に示すように、顔の輪郭領域の大きさ(左が大、右が小)や位置(左が中央、右が左端)が、極端に異なる原画像も等価に扱う必要があり、これは、抽出精度の低下や、速度パフォーマンスの低下等を引き起こす要因となる。また、顔の輪郭領域の抽出方法は、肌色部分の抽出により実現されるのが一般的(現時点では、自動抽出するためには、基本的に、肌色部分の抽出に頼るしか方法がない)であり、特に、次のステップ(b)での各部の抽出処理における鼻の抽出は、基本色が肌と同一のため、非常に困難である。また、これ以外にも、方法1による実現において、致命的な問題がある。それは、図8に示すように、複数の人物が撮影されている画像が原画像として入力されたときに発生し、成形対象が判別できなという問題である。
【0009】
次に、方法2の問題点について説明するが、その前に、3D人物モデルを生成する場合を例として、特徴点抽出手段102で抽出すべき特徴点について説明する。
【0010】
−特徴点抽出手段102で抽出すべき特徴点−
特徴点を多く抽出すればするほど、より実体にあったテクスがチャマッピングされる3次元人物モデル(顔の部分がのっぺら棒の3D人物オブジェクト)の生成が可能であるため、最終的に生成される3D人物モデルもより高度な表情生成が可能となり、高品質なものとなることは当然のことである。この場合、以下に示すさまざまな要因[1)〜4)として記載]から考えると、方法2における抽出特徴点は、鼻部、目部(左右)、口部、耳部(左右)、顎部の7点と考えるのが妥当である。
【0011】
1)顔の凹凸の認識
最終目的が立体画像(3次元画像)の生成と表示にあることから、多少なりとも顔の凹凸検出処理が必要であり、その意味から、最低限、鼻部(顔の頂点部分に相当)と目部の抽出が必要である。なお、目部については、口部でも代替可能であるが、顔の表情を表現する意味では、目部が優先されると考えられる。
【0012】
2)原画像の顔の向き
原画像は、必ずしも完全な正面画像となっている保障はない。従って、立体画像を生成するために、原画像の顔の向きを算出する必要がある。顔の向きを算出するためには、少なくとも顔の各部のうち、3点(そのうち2点は、目部などの対を成すものである必要がある)の指定が必要となるが、この場合、目部(左右)と、ほぼ顔の中央に存在する鼻部とがベストであると考えられる。すなわち、左右の向きに限定すれば、鼻部を口部で代替することも可能であるが、上下の顔の向きの算出まで考えると、目部(左右)と口部だけでは算出不可能である。また、目部(左右)の代替として耳部(左右)も可能であるが、より高度な表情生成等を行うときの視線検出を考慮すると、ややふさわしくないと考えられるため、目部(左右)と鼻部とがベストであると考えられる。
【0013】
3)原画像に対する顔の輪郭領域の抽出
上述の通り、顔の特徴点を自動検出する場合、一般的に、原画像より顔の輪郭領域の抽出処理を実施する。この処理は、すべての顔の特徴点をユーザ指定する方法で実現した場合においても、詳細な処理内容は異なるが、3次元人物モデル(顔の部分がのっぺら棒の3D人物オブジェクト)を生成(場合によっては、あらかじめ準備された標準モデルを変形して生成)するときの、3次元人物モデルの顔の輪郭生成時に処理される。この処理(顔の輪郭生成/変形)を容易とするためには、顔の輪郭を成す特徴点を、少なくとも3点指定することになるが、この3点は、耳部(左右)と顎部とするのが一般的である。
【0014】
4)特徴点としての指定
似顔絵生成の場合においても3Dモデル生成においても、原画像内の人物に似た成形画像を出力することを目的とするので、少なくとも目部と口部とは、特に重要な顔の特徴点となる。なお、髪型や眼鏡の有無、形状等も、人物を特定するのに重要な特徴点となるが、これらは部品化しやすい部分、および部品化すべき部分であるため、本発明では主たるテーマとしていない。すなわち、眼鏡については、眼鏡部の抽出も可能ではあるが、それよりも眼鏡をかけていない原画像に限定し、眼鏡部品をいくつか準備する方が好ましいアプリケーションソフトとなる場合がある。また、髪型についても眼鏡と同様である。だだし、髪型の場合は、原画像を坊主頭にするわけにいかないので、何らかの抽出処理は必要となる。ここでは、説明を容易とするために、眼鏡については、原画像には眼鏡をかけた人物画像はないという原則で記載している。また、髪型については、顔の輪郭領域の抽出処理に髪型抽出が含まれているという原則で記載している。
【0015】
以上、1)〜4)で説明したように、方法2(すなわち、「抽出すべき特徴点を全てユーザに指定させる。」)であっても、その特徴点として顔のどの部品を指定させるかは、最終目的(成形画像)にもよるが、鼻部、目部(左右)、口、耳部(左右)、顎部の7点、もしくはそれ以上とするのが一般的である。
【0016】
そして、この「抽出すべき特徴点を全てユーザに指定させる。」という方法2においても、次の2つの問題が発生する。すなわち、ユーザの指定付加の問題と、対を成す部品(目部、耳部)の指定誘導メッセージの問題である。
【0017】
ユーザの指定付加の問題について説明すると、CCDカメラ等が比較的高価なデバイスで、本デバイスが標準装備された情報機器が特殊な用途用に商品化されていた時代では、上述した2次元の人物画像を3次元画像としたりといった利用シーンは、それなりに高価なシステム(例えば、TV会議システム)の1機能(アプリケーションソフト)として商品化されていた。そのため、利用者の3次元画像の生成にかかる負荷よりも、3次元画像の品質(リアルな表情を如何にして生成するか等)の方が重視される傾向にあった。
【0018】
しかしながら、最近では、CCDカメラの低価格化や、CPUや画像処理用演算処理の速度面での高パフォーマンス化に伴い、例えば、送信者をイメージする3次元画像をメールに付加して送信する等といった具合に、3次元画像もエンターテイメント的な用途に使われるようになりつつある。そのため、3次元画像生成のためのユーザ負荷(ユーザインタフェース)を少なく、かつ安易としたいといった要望が増大する傾向にある。
【0019】
次に、対を成す部品(目部、耳部)の指定誘導メッセージの問題について説明すると、一般に、各特徴点指定のユーザインタフェースは、図9に示すように、「×××を指定してください。」というメッセージを表示する対話型のユーザインタフェースとなる。ここで、図9に示すように、「右目を指定してください。」というメッセージが表示されたとき、ユーザ(以下、利用者ともいう)は、どちらの目がポインティングするかといった問題である。すなわち、人物画像の本来の右目と、利用者から見て右側にある右目のどららの眼を利用者がポインティングするかといった問題である。
【0020】
人物の原画像は、利用者(ポインティングする人)からは、向かい合ったものになり、右眼は左側、左眼は右側に存在するが、それを利用者が意識して指定するか否か、右目といわれて左側の目の部分をポインティングするか否かは、おそらく利用者に依存することになる。
【0021】
ただし、処理ロジック上は、次に続くであろう「左目を指定して下さい。」のメッセージで、「右目を指定してください。」のメッセージ時に指定した逆側の目の部分を指定さえすれば、何ら問題もないが、途中で利用者が迷ったとき、例えば「右目を指定して下さい。」のメッセージで誤って(勘違いして)、左側の眼を指定し、次の「左目を指定して下さい。」のメッセージで、先程の入力の誤りに気づいて、利用者がどうすれば良いか悩んだり、再度、右側の眼、すなわち正しい左側を指定したりする、といったシーンが発生し得るという問題である。
【0022】
なお、補足すると、現状では、上記の問題を擬似的に解決する方法として、図10に示すように、各指定部位を名前ではなく番号で指定させることによって、利用者に誤りや迷いを起こさせないように考慮したユーザインターフェイスをとる方法もある。しかしながら、例えば、口部(番号4の部分)といった場合に、口の中心か、それとも口のどこでも良いのかという疑問が生じる問題までは解決できない。すなわち、利用者は、内部ロジックまでは分からない。この場合、口周辺であればどこでも良いロジックとする(すなわち、指定された点を基点に抽出処理する)のが一般であるが、利用者はそのこと自体を知らないので、どうすればよいのかといった疑問を持つことになるが、その疑問を持つこと自体が問題となる。
【0023】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、2次元顔画像の3次元変換やアニメ化変換等において、顔特徴点抽出処理に伴う利用者の入力指定を簡便なものとし、かつ、高速な顔特徴点抽出処理を実現し得る画像処理装置および画像処理方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の画像処理装置は、原画像を入力する画像入力手段と、顔部品の抽出を補助するための予め用意されているカラーパレットと、前記画像入力手段により入力された原画像データおよびこの原画像データ内に存在する顔画像の1つの顔部品である鼻の表示位置の指定を利用者に促すメッセージを表示する一方、前記原画像データと前記カラーパレットとを並べて表示する表示手段と、顔部品である鼻の表示位置の指定を促す前記メッセージに従い、表示上の1点である鼻の位置座標を入力する入力手段と、前記表示手段に表示された前記カラーパレットを用いて前記鼻の色値を指定するパラメータ指定手段と、前記入力手段により入力された鼻の位置座標および前記パラメータ指定手段により指定された鼻の色値を用いて、鼻以外の顔部品を肌色もしくは肌色以外の個所を抽出することで抽出する顔部品抽出手段と、この顔部品抽出手段にて抽出された顔部品および入力された基点の座標情報に基づいてテクスチャを生成し、3次元人物モデルにマッピングを行って3次元画像を生成する画像生成手段と、を備えたことを特徴とする。また、前記顔部品抽出手段は、前記鼻の位置座標との相対位置関係より前記原画像を複数の検索領域に分割し、各検索領域について、前記鼻の色値に所定の許容範囲を持たせた範囲でなくなった閉空間または閉図形を抽出することで、各検索領域での顔部品を抽出する構成とする。
【0025】
ここで、画像入力手段には、CCDカメラ等のカメラデバイスだけでなく、ファイル化された画像データ群より対象とするファイルを選択することも、画像入力手段の範疇に含まれる。また、入力手段には、マウスなどの表示上の任意の1点を入力するポインティングデバイスが含まれる。
【0026】
このような特徴を有する本発明によれば、従来の方法1「顔部品を全て自動抽出する」の場合と比較して、処理速度の向上、生成もしくは成形する画像データの品質の向上を図ることができる。また、複数の人物が含まれる原画像データであっても、1つの特徴点(顔部品)を指定するのみで、対応することが可能となる。また、従来の方法2「2以上の顔部品をユーザ指定させる」の場合と比較しても、生成もしくは成形される画像データの品質をさほど劣化させることなく、利用者の操作負担の軽減や誤操作の防止を図ることができる。
【0027】
また、本発明の画像処理装置は、入力手段により入力される1点を鼻の位置座標としている。すなわち、「1つの顔部品の表示位置の指定を促すメッセージ」は、鼻の入力を促すメッセージである。顔の特徴点の抽出制御を考えると、入力する原画像として、横を向いた画像や、後ろ向きの写真が入力されることはまずなく、通常はほぼ正面を向いた写真が入力される。この場合、鼻は顔のほぼ中心に位置することになる。また、「鼻を指定してください。」というメッセージを表示したときに、鼻の付け根部分等を指定する人はほとんどいないと考えられる。さらに、鼻は1人1つしかない。さらにまた、顔輪郭や顔部品の抽出ロジックの基本は、肌色の部分または肌色でない部分を検出することであり、この場合、鼻の抽出は、口や目などの他の部品と比較して、自動抽出が難しい。さらにまた、人の顔部品のレイアウトは万人共通である。このようなさまざまな理由から、特に、鼻点をユーザ指定させることで、複数点指定させる場合と比較して、最終出力データの品質を劣化させることなく、利用者の操作負担の軽減や誤操作の防止を図ることができる。
【0028】
また、本発明の画像処理装置は、顔部品の抽出を補助するカラーパレットを備えており、パラメータ指定手段は、原画像の鼻位置にドロップすることで、前記ドラッグ位置のカラーパレット値を前記ドロップ位置の鼻の色値として指定するようになっている。本発明によれば、特徴点を補助するパラメータ(カラーパレット値)は、表示オブジェクト化された各パラメータ値の表示位置を押下し続ける操作(ドラッグ操作:マウスではマウスボタンを押し続けてポインティング移動させる操作、ペンではタブレットにペンを押し付けてポインティング移動させる操作)により、その押下したときの座標にて決定し、顔部品の表示位置は、その押下し続ける操作(ドラッグ操作)の継続をストップする操作(ドロップ操作:マウスボタンアップやペンアップ)時の座標にて決定する。
【0029】
また、本発明の画像処理装置は、顔部品の抽出を補助するカラーパレットを備えており、パラメータ指定手段は、前記表示手段に表示された前記カラーパレットに設けられたスライダーを操作することにより、そのスライダー位置のカラーパレット値(補助パラメータ)を前記鼻の色値として指定するようになっている。また、前記表示手段には、髪色のカラーパレットと複数パターンの顔形状とが合わせて表示され、前記パラメータ指定手段は、前記表示手段に表示された前記髪色のカラーパレットに設けられたスライダーを操作することにより、そのスライダー位置のカラーパレット値を髪色に指定し、前記表示手段に表示された複数パターンの顔形状の中から一つの顔形状を指定するようになっている。
【0030】
この補助パラメータ(カラーパレット値)の指定は、特徴点の指定数を減らしても高品質な出力データを得るための代替手段であるが、1点も指定しない場合と、1点指定する場合とでは、補助パラメータ指定量は激減する。つまり、細かな指定をさせなくても品質はそれなりに確保できる。また、利用シーン、商品コンセプト、抽出ロジック等にも関係するが、1つのパラメータの指定で目的が達成する場合もあり、この場合のマンマシンインターフェイスとしては、ドラッグ・アンド・ドロップ操作が最適である。
【0031】
また、2次元顔画像の3次元変換やアニメ化変換等において、顔特徴点抽出処理に伴う利用者の入力指定を簡便なものとする顔特徴点抽出処理の手法は、必ずしも装置という形態には限られず、方法としても実現し得る。そこで、本発明の画像処理方法は、入力画像から3次元画像を生成する画像処理装置を用いた画像生成方法であって、顔部品の抽出を補助するためのカラーパレットが予め用意されており、画像入力手段から入力された原画像を記憶するステップと、画像入力手段から入力された原画像データおよびこの原画像データ内に存在する顔画像の1つの顔部品である鼻の表示位置の指定を利用者に促すメッセージを表示手段に表示するステップと、前記画像入力手段から入力された原画像データと前記カラーパレットとを並べて表示手段に表示するステップと、入力手段から入力された表示上の1点である鼻の位置座標を記憶するステップと、前記表示手段に表示された前記カラーパレットを用いて指定された鼻の色値を記憶するステップと、顔部品抽出手段が、前記入力手段より入力された鼻の位置座標および前記指定された鼻の色値を用いて、鼻以外の顔部品を肌色もしくは肌色以外の個所を抽出することで抽出するステップと、画像生成手段が、前記顔部品抽出手段にて抽出された顔部品および入力された基点の座標情報に基づいてテクスチャを生成し、3次元人物モデルにマッピングを行って3次元画像を生成するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0032】
さらに、本発明にかかる技術的思想は、上記の画像処理方法の各ステップをコンピュータに実効させる画像処理プログラムを記録した記録媒体として提供することも可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、人物の2次元顔画像データを3次元顔画像に変換する本発明の画像処理装置のブロック構成図である。
【0035】
この画像処理装置は、2次元画像入力制御部10、原画像指定部11、鼻点指定部12、特徴点抽出部13、3D画像符号化部14、3D画像表示部15、CCDカメラ20、入力装置30、出力装置40、原画像記憶装置50、各種変数・定数記憶装置51、標準人物モデル等(符号化用定数)記憶装置52、および成形画像記憶装置53によって構成されている。
【0036】
2次元画像入力制御部10は、接続されたCCDカメラ20に対し、原画像データを送るようにシャッターを制御し、CCDカメラ20より送られてきた原画像データを原画像記憶装置50に記憶(ファイル化)するまでの制御を行う。本実施形態では、CCDカメラ20はカラー画像が入力可能な画像取り込みデバイスとしている。
【0037】
原画像指定部11は、原画像記憶装置50に記憶されている複数の原画像ファイルの中から、入力装置30により指定された原画像ファイルを読み込み、鼻点指示部12へ原画像ファイルを引き渡すまでの制御を行う。
【0038】
鼻点指示部12は、原画像指定部11から引き渡された原画像データを、出力装置40に出力するとともに、入力装置30を介して利用者より入力された鼻点と抽出補助パラメータ(ここでは、後述する顔色値)を特徴点抽出部13に引き渡すまでの制御を行う。
【0039】
特徴点抽出部13は、鼻点指示部12より引き渡された鼻点座標と顔色値(抽出補助パラメータ)を参考に、各種変数・定数記憶装置51より抽出用の各種変数・定数値等を読み出し、これらの値を利用して各顔の特徴点を抽出する。抽出方法は、鼻点座標を拠点座標とし、顔色値等を元に読み出された各種変数・定数値(抽出補助パラメータ)を使って、原画像をいくつかの領域に分割し、目部、口部等の抽出する各部品の抽出処理を、それに対応する領域内のみ処理する。また、ここで抽出された特徴点は3D画像符号化部14へ特徴点情報として引き渡される。ここまでの一連の制御を特徴点抽出部13で行う。
【0040】
3D画像符号化部14は、引き渡された特徴点情報と原画像データを基にテクスチャを生成した後、標準人物モデル等記憶装置52より特徴点情報を基に適切な3次元人物モデルを読み込み、テクスチャマッピングを行って、成形画像記憶装置53に記憶させる一連の制御を行う。
【0041】
3D画像表示部15では、成形画像記憶装置53より3D画像を読み込み、出力装置40に3D画像を表示する制御を行う。
【0042】
以上が本発明の画像処理装置の各部の制御であるが、以下に、本発明の特徴部分である鼻点指示部12の制御内容について、さらに詳しく説明する。
【0043】
図2は、抽出補助パラメータとして原画像の人物顔色のおおよそ値(カラーパレット値)をユーザ指定させるときの、鼻点指示部12の画面レイアウト例を示している。ここで、出力画面右側の顔色カラーパレット指定域[(cX min,cY min)〜(cX man,cY man)]に、人物の顔色となり得る色(Cmin〜Cman)をグラデーション表示し、また、出力画面左側の原画像表示域[(uX min,uY min)〜(uX man,uY man)]には、原画像指定部11より入力した画像データを表示する。さらに、原画像の人物の顔色に近い個所より原画像の鼻位置までをドラッグ・アンド・ドロップすることを利用者に誘導するメッセージ(この例では、「人物顔色にあったカラーパレットをドラッグし、鼻位置にドロップください」という文字列)を、出力画面下部のメッセージ表示部に表示する。
【0044】
これにより、顔色カラーパレット指定域内の原画像の人物の顔色に近い個所をドラッグし、原画像の鼻位置にドロップするという一連の入力操作を誘導し、その利用者の入力操作により得られた入力情報を基に、原画像表示域内の鼻点座標と顔色カラーパレット値を算出することになる。
【0045】
図3は、鼻点指示部12の制御内容、すなわち上記の算術ロジック(すなわち、鼻点座標ならびに顔色カラーパレット値の算術ロジック)を示すフローチャートである。
【0046】
すなわち、まず最初に、図2に示される顔色カラーパレット指定域内の原画像の人物の顔色に近い個所をドラッグし、原画像の鼻位置にドロップするという一連の入力操作を誘導する入力画面(図2)を生成して表示する(ステップS1)。次に、入力装置30である例えばマウスより「左ボタンダウン」メッセージが入力されると(ステップS2)、マウスがダウンされた座標が顔色カラーパレット指定域内であることを条件に(ステップS3でYESと判断されることを条件に)、ボタンダウンされた座標より、顔色カラーパレット値を変数FaceC に代入する(ステップS4)。この処理に引き続き、マウスダウン中に、マウスより「左ボタンアップ」メッセージが入力されると(ステップS5でYESと判断されると)、マウスがアップされた座標が原画像表示域内であることを条件に(ステップS6でYESと判断されることを条件に)、ボタンアップされた座標を(NosePx,NosePy )に代入する(ステップS7)。そして最後に、変数FaceC 、NosePx、NosePyをパラメータとし、制御を特徴点抽出部13へ遷移する(ステップS8)。
【0047】
なお、特徴点抽出部13では、鼻点指定部12より入力された変数FaceC 、NosePx、 NosePy を利用して、鼻以外の顔特徴点(座標となるか、領域となるか、オブジェクトとなるかは、この特徴点抽出部13の仕様に依存する)を抽出することになる。この抽出処理の基本ロジックは、従来の顔特徴点の抽出ロジックと同様であるので、ここでは詳細な説明を省略するが、抽出ロジックの基本的な考え方は、肌色もしくは肌色以外の個所を抽出することで実現される。
【0048】
図4は、特徴点抽出部13で鼻点座標(顔色カラーパレット)値(FaceC 、NosePx、 NosePy の3変数)をどのように利用するかの概要(この3変数を利用しての抽出ロジックの概要)を、表形式にまとめて列記している。
【0049】
図4に沿って説明すると、まず、輪郭の抽出は、鼻点(NosePx、 NosePy )を中心に顔色カラーパレット値FaceC ±d(dは許容範囲)でなくなった閉空間を抽出することで実現できる。あらかじめ指定された鼻点を中心に処理できるため(すなわち、顔色でない領域を抽出するための基点を鼻点とできるため)、抽出すべき特徴点を自動検出する方法(発明が解決しようとする課題の欄で説明した方法1)と比較した場合、抽出ロジックは極めて容易に、また、極めて精度の高い抽出が可能となる。
【0050】
次に、右目部の抽出は、鼻点との相対的位置関係より、検索領域はu1とし、抽出基本ロジックは、顔色カラーパレット値FaceC ±d(dは許容範囲)でなくなった閉図形で白目と黒目が存在することから抽出することで実現できる。これを上記と同様方法1と比較すると、ロジックの簡便化、精度の正確さの向上以外に、検索領域を絞ることによる検索時間の高速化を可能とする。なお、検索領域が異なるだけで、左目部、口部の抽出も同様である。
【0051】
次に、耳部や顎部の抽出は、方法1では特に抽出されないのが一般である。また、抽出すべき特徴点を全てユーザ指定させる方法(発明が解決しようとする課題の欄で説明した方法2)によって耳部や顎部をユーザ指定させるのは、輪郭抽出や顔の向きを求める等の処理において精度の向上やロジックの簡易化を図ることが目的であり、特にそれほど精度が要求されないアプリケーションソフトを考えると、代替にするのが望ましい。つまり、「顔の向き」は、鼻点と左右の目点より、ほぼ顔の向きに近い向きが算出できるので、これで代替しても、精度面でもさほど問題はない。また、顔の輪郭抽出等は、抽出の基点が明確にさえなっていれば、速度面、精度面とも特に大きな問題は発生せず、また、顔の特徴点を指定させる方法以外にも、後述するような抽出補助パラメータを複数指定させるという方法で代替可能である。
【0052】
なお、上記実施形態は、鼻点指示部12の制御内容において、利用者に指定させる抽出補助パラメータを、顔色の1パラメータとしたときの実施形態であるが、上述した通り、利用者に複数の抽出補助パラメータを指定させることで、顔の特徴点の抽出精度や処理速度の短縮化を図ってもよい。
【0053】
その入力画面の一例を図5に示す。この例では、顔色と髪色をスライダーによる指定とし、あらかじめ数パターン準備された顔形状をラジオボタンの指定としていることが模式化されている。なお、ここで新たに指定可能(図2の顔色カラーパレットの指定に加えて新たに指定可能)となった髪色や顔形状のパラメータは、顔色のパラメータと同様、そのまま特徴点抽出部13に引き渡される。特徴点抽出部13では、このパラメータを、主に顔の輪郭抽出に利用することになる。
【0054】
抽出補助パラメータの数を増やすことは、抽出ロジックの簡便化、抽出の高速化、正確さの向上のみならず、ユーザ操作の多い「抽出すべき特徴点を全て指定させる」場合(方法2)と比較しても、「右目をクリックしてください」がどちらの目をクリックするのか、また、「口をクリックしてください」が口のどこをクリックするのかといった迷いがない。つまり、顔色や髪型の色のスライダーバーでの変更や、輪郭の選択を、直観的にかつ容易に行うことができる。
【0055】
以上、上記実施形態の画像処理装置は、その装置の3次元顔画像の生成処理を、図示していない記憶部に格納されている3次元顔画像処理プログラムによって実現されている。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体は、図示していないが、画像処理装置の内部にプログラム読み取り装置を備え、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよいし、あるいは装置内部のプログラムメモリ等の記憶手段に格納されているものであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムは直接アクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、図示していない主記憶メモリにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは、あらかじめ装置本体に格納されているものとする。
【0056】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピディスクやハードディスク等の磁気ディスクや、CD−ROM、MO、MD、DVD等の光ディスクのディスク系、ICカードや光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0057】
また、本発明においては外部との通信が可能な手段(無線通信機能、あるいはインターネット等の公衆回線を介する有線通信機能)を備えている場合には、これを用いて外部と接続し、そこからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムはあらかじめ装置本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置によれば、従来の顔部品を全て自動抽出する場合と比較して、処理速度の向上、生成もしくは成形する画像データの品質の向上を図ることができる。また、複数の人物が含まれる原画像データであっても、1つの特徴点を指定するのみで、対応することができる。また、従来の2以上の顔部品を指定させる場合と比較しても、生成もしくは成形される画像データの品質をさほど劣化させることなく、利用者の操作負担の軽減や誤操作の防止を図ることができる。
【0059】
また、本発明の画像処理装置によれば、入力手段により入力される1点を鼻の位置座標としているので、鼻点をユーザ指定させることで、複数点指定させる場合と比較して、最終出力データの品質を劣化させることなく、利用者の操作負担の軽減や誤操作の防止を図ることができる。
【0060】
また、本発明の画像処理装置によれば、顔部品の抽出を補助するパラメータ指定手段をさらに備え、このパラメータ指定手段は、表示された補助パラメータをドラッグ操作で鼻の位置まで移動させた後ドロップ操作を行うことで指定するように構成したので、特徴点の指定数を減らしても高品質な出力データを得ることができる。
【0061】
さらに、本発明のによれば、従来の顔部品を全て自動抽出する方法と比較して、処理速度の向上、生成もしくは成形する画像データの品質の向上を図ることができる画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理装置のブロック構成図である。
【図2】抽出補助パラメータとして原画像の人物顔色のおおよそ値をユーザ指定させるときの画面レイアウト例を示す説明図である。
【図3】鼻点座標ならびに顔色カラーパレット値の算術ロジックを示すフローチャートである。
【図4】特徴点抽出部での鼻点座標値の利用概要を示す説明図である。
【図5】抽出補助パラメータ指定の入力画面例を示す説明図である。
【図6】顔特徴点を抽出するための概略ブロック図である。
【図7】顔の輪郭領域の大きさや位置が極端に異なる原画像の例を示す説明図である。
【図8】複数の人物が撮影されている画像を原画像として入力されたときに発生する問題点を説明するための図である。
【図9】特徴点を指定させるユーザインタフェースの例を示す説明図である。
【図10】各指定部位を名前ではなく番号で指定させるユーザインタフェースの例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 2次元画像入力制御部
11 原画像指定部
12 鼻点指定部
13 特徴点抽出部
14 3D画像符号化部
15 3D画像表示部
20 CCDカメラ
30 入力装置
40 出力装置
50 原画像記憶装置
51 各種変数・定数記憶装置
52 標準人物モデル等(符号化用定数)記憶装置
53 成形画像記憶装置
Claims (6)
- 原画像を入力する画像入力手段と、
顔部品の抽出を補助するために予め用意されているカラーパレットと、
前記画像入力手段により入力された原画像データおよびこの原画像データ内に存在する顔画像の1つの顔部品である鼻の表示位置の指定を利用者に促すメッセージを表示する一方、前記原画像データと前記カラーパレットとを並べて表示する表示手段と、
顔部品である鼻の表示位置の指定を促す前記メッセージに従い、表示上の1点である鼻の位置座標を入力する入力手段と、
前記表示手段に表示された前記カラーパレットを用いて前記鼻の色値を指定するパラメータ指定手段と、
前記入力手段により入力された鼻の位置座標および前記パラメータ指定手段により指定された鼻の色値を用いて、鼻以外の顔部品を肌色もしくは肌色以外の個所を抽出することで抽出する顔部品抽出手段と、
この顔部品抽出手段にて抽出された顔部品および入力された基点の座標情報に基づいてテクスチャを生成し、3次元人物モデルにマッピングを行って3次元画像を生成する画像生成手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記パラメータ指定手段は、前記表示手段に表示された前記カラーパレット指定域内の所望の個所をドラッグし、前記原画像の鼻位置にドロップすることで、前記ドラッグ位置のカラーパレット値を前記ドロップ位置の鼻の色値として指定することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記パラメータ指定手段は、前記表示手段に表示された前記カラーパレットに設けられたスライダーを操作することにより、そのスライダー位置のカラーパレット値を前記鼻の色値として指定することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項3に記載の画像処理装置において、
前記表示手段には、髪色のカラーパレットと複数パターンの顔形状とが合わせて表示され、
前記パラメータ指定手段は、前記表示手段に表示された前記髪色のカラーパレットに設けられたスライダーを操作することにより、そのスライダー位置のカラーパレット値を髪色に指定し、前記表示手段に表示された複数パターンの顔形状の中から一つの顔形状を指定することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記顔部品抽出手段は、前記鼻の位置座標との相対位置関係より前記原画像を複数の検索領域に分割し、各検索領域について、前記鼻の色値に所定の許容範囲を持たせた範囲でなくなった閉空間または閉図形を抽出することで、各検索領域での顔部品を抽出することを特徴とする画像処理装置。 - 入力画像から3次元画像を生成する画像処理装置を用いた画像処理方法であって、
顔部品の抽出を補助するためのカラーパレットが予め用意されており、
画像入力手段から入力された原画像を記憶するステップと、
画像入力手段から入力された原画像データおよびこの原画像データ内に存在する顔画像の1つの顔部品である鼻の表示位置の指定を利用者に促すメッセージを表示手段に表示するステップと、
前記画像入力手段から入力された原画像データと前記カラーパレットとを並べて表示手段に表示するステップと、
入力手段から入力された表示上の1点である鼻の位置座標を記憶するステップと、
前記表示手段に表示された前記カラーパレットを用いて指定された鼻の色値を記憶するステップと、
顔部品抽出手段が、前記入力手段より入力された鼻の位置座標および前記指定された鼻の色値を用いて、鼻以外の顔部品を肌色もしくは肌色以外の個所を抽出することで抽出するステップと、
画像生成手段が、前記顔部品抽出手段にて抽出された顔部品および入力された基点の座標情報に基づいてテクスチャを生成し、3次元人物モデルにマッピングを行って3次元画像を生成するステップと、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
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