JP4314060B2 - 軸受用シールの識別構造及び識別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受用シールの識別構造並びに識別方法に係り、詳しくは、トーンホイール付きのシールと、トーンホイールの付かないシールとを間違えること無く識別できるようにする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するとともに、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)を制御すべく、車輪の回転速度を検出するために、固定側に装備される磁気センサと対を為してエンコーダを構成するトーンホイールが装備されたベアリングが組み込まれている。トーンホイールは、ベアリングの端部開口を塞ぐ左右一対のシールリングのうちの、車体内側となるインナーシールリングにおける回転側部分に一体的に装備されるものが多く、このような例としては特許文献1に示されたものが知られている。
【0003】
前述の車速検出用エンコーダは、車輪側(回転側)に取り付けられたトーンホイールと、このトーンホイールに近接させて固定側(非回転側)に対向配置された磁気センサとで構成されている。トーンホイールは、陽極と負極とが交互に着磁された磁性ゴムのリングで構成されており、それ自体では剛性に乏しいので、通常は、回転側部材に嵌装されるシール構成部材としての芯金(スリンガとも呼ばれる)に固着される構造が採られる。
【0004】
即ち、上述のシールは、回転側部材であって内輪となるハブと、固定側部材であって外輪となるハブキャリアと、これら両者の間に介装される左右2列のボールとから成る軸受ユニット用のものであって、各ボールの外側におけるハブとハブキャリアとの間の夫々に装備されるとともに、それら双方又はいずれか一方は組合せシールに構成されている。因みに、組合せシールは、環状の第1芯金と、この第1芯金に摺接自在なリップが形成された環状のシール部材を有する環状の第2芯金とを、固定側部材と回転側部材とに振り分けて嵌装して構成されるものであり、いわゆる「パックシール」と呼ばれるものである。
【0005】
また、FF車の後輪や、ABSが装着されない自動車の車輪の軸受ユニットに装備されるシールには、前述のトーンホイールは装着されないので、そのような場合には、トーンホイールが省略された以外は同じシールが用いられることになる。また、トーンホイール付きのシール(以後、トーンホイール装着シールと呼ぶ)においては、前述のようにトーンホイールが比較的柔らかいものであって他物との接触等によって傷付き易い傾向があるため、トーンホイールの外側面を覆う保護カバーを固着し、傷が付かないようにされたものもあった。このような例としては、特許文献2に開示されたものが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−013980号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−286739号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許文献2に記載されたように、トーンホイールの外側面を覆う鋼板製の保護カバーが装備されたシールは、当然ながら磁気センサと対をなすものであるから、「左右いずれか一方の駆動輪の軸受ユニットにおけるインナー側」といった具合にそのトーンホイール装着シールの装着箇所は予め決められている。そして、当然ながら、トーンホイールの付かないシール(以後、トーンホイール非装着シールと呼ぶ)が装着される箇所も予め決まっている。
【0009】
しかしながら、鋼板製の保護カバーが装備されたトーンホイール装着シールの外観は、芯金が剥き出し状態となるトーンホイール非装着シールの外観と同じようになってしまい、一見しただけではこれら両者の区別がつかないことから、トーンホイールの有無を間違えて組付けられてしまうおそれがあった。磁気センサと対を成すシールとして、誤ってトーンホイール装着シールが組み込まれると重大な欠陥になるため、組み間違いは絶対に回避しなければならない。
【0010】
そこで、トーンホイールの有無によるシールの種類を、一目見ただけで正確に識別できるようにするため、現状では、トーンホイール非装着シールにおける芯金の外側面に塗料をペイントすることにより、誰が見ても一目でトーンホイール装着シールか、非装着シールかを識別できるようにしていた。これにより、確かに組み間違いは解消されるのであるが、製品としてシールを出荷する際に芯金に塗布される防錆油の影響により、ペイントされた識別用の塗料が剥げ落ちてしまうおそれのあることが判ってきたのである。
【0011】
このような状況に鑑みることにより、本発明の目的は、塗料に代わるトーンホイール有無の識別用手段を、防錆油に影響されることが無く、しかも極力コストアップしないようにしながら実現させる点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構成は、回転側部材と固定側部材との間に装備された軸受に対する環状のシールを、回転側部材に嵌装される環状の芯金と、これと固定側部材とに跨って形成されるシール機構とで構成し、芯金を、回転側部材に嵌合される嵌合筒部と、これの端部から径方向に立ち上がるとともに外側面にトーンホイールを装着可能な立壁部とを有した円筒形状に形成し、
シールに、立壁部の外側面にトーンホイールが装着された装着仕様と、トーンホイールが装着されない非装着仕様とを設定し、装着仕様のシールには、トーンホイールの外側面を覆う状態の鋼板製保護カバーを設けてある軸受用シールの識別構造において、
装着仕様のシールにおける保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様のシールにおける立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布してあることを特徴とする。
【0013】
請求項1の構成によれば、装着仕様のシールと非装着仕様のシールとの識別用として、装着仕様シールの保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様シールの立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布したので、塗料のペイントに比べて金属面への付着力に優れ、防錆油の影響によって接着剤が薄れるとか、剥がれて消えてしまうといったことが無くなり、識別機能を良好に維持することが可能になる。また、塗料に代えて接着剤を塗布するだけであるから、コスト的にもさほど変化が無い。
【0014】
請求項2の構成は、請求項1の構成において、接着剤は、トーンホイールを立壁部の外側面に装着するための接着剤を用いてあることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の構成によれば、識別用の接着剤として、トーンホイールを立壁部の外側面に装着するための接着剤を用いるから、識別用として新たに接着剤を準備する必要がないとともに、トーンホイールの接着工程用の設備を用いて識別用接着剤の塗布を行うことも可能になる。
【0016】
請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、接着剤を、非装着仕様のシールにおける立壁部の少なくとも外側面に塗布してあることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3の構成によれば、トーンホイールの付かない非装着仕様の芯金における立壁部の外側面に、識別用の接着剤を塗布するから、結局は、トーンホイールの有無に拘わらず、全ての立壁部に接着剤を塗布することになり、接着剤を塗る芯金塗らない芯金という区別が不要となって、接着剤塗布の有無に起因したミスが解消されるとともに、その分生産効率が向上するようになる。また、識別用接着剤として、トーンホイール貼着用の接着剤を用いる場合では、トーンホイールの有無に拘わらずに、装着仕様の芯金と非装着仕様の芯金とが全く同一のものになり、生産設備及び生産工程共に共通化することができる。
【0018】
請求項4の構成は、請求項1〜3の構成において、保護カバーは、トーンホイールに固着されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4の構成によれば、トーンホイールの外側面を覆う鋼板製保護カバーが固着、即ち、一体的に装備されて、装着仕様と非装着仕様との識別が益々困難となるシールの識別として好適なものになる。
【0020】
請求項5の構成は、請求項1〜の構成において、シール機構は、固定側部材に嵌装される環状の芯金に、回転側部材に嵌装された芯金に摺接するリップを有した環状のシール部材を一体的に備えて構成してあることを特徴とするものである。
【0021】
請求項5の構成によれば、回転側部材に嵌装されたシールと、固定側部材に嵌装されたシール部材付き芯金とによるシール構造、いわゆる「組合せシール」における回転側部材のシールに本発明を適用する形態となる。
【0022】
請求項6の方法は、回転側部材と固定側部材との間に装備された軸受に対する環状のシールを、回転側部材に嵌装される環状の芯金と、これと固定側部材とに跨って形成されるシール機構とで構成し、芯金を、回転側部材に嵌合される嵌合筒部と、これの端部から径方向に立ち上がるとともに外側面にトーンホイールを装着可能な立壁部とを有した円筒形状に形成し、
シールに、立壁部の外側面にトーンホイールが装着された装着仕様と、トーンホイールが装着されない非装着仕様とを設定し、装着仕様のシールには、トーンホイールの外側面を覆う状態の鋼板製保護カバーを設けてある軸受用シールの識別方法において、
装着仕様のシールにおける保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様のシールにおける立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布することを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の方法は、請求項1の構成を方法化したものであり、請求項1の構成による作用効果と同等の作用効果を発揮する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、自動車のタイヤ等の駆動輪を回転自在に支持する軸受ユニット、即ちアンギュラ型のベアリング(軸受の一例)9、及びその周辺の構造を示してある。また、図2と図3には、ベアリング9及び組み込まれている内外シールリング16,17等の拡大断面図を夫々示してある。
【0025】
ベアリング9は、図1に示すように、車輪を構成するためのものであって回転側となるハブ(図示省略)を内嵌する内輪(回転側部材の一例)5を、非回転側であるハブキャリア(固定側部材の一例)8に対して回転自在に支持するものであり、ハブキャリア8の一部分である外輪13と、内輪5と、これら外輪13と内輪5との間に装備された左右2列の転動体であるボール15と、これらボール15を周方向に等間隔配置するためのリテーナ1,2とから構成されている。
【0026】
外輪13と内輪5との左右方向で内側の端部間には、図2に示すように、固定側シールリング18と回転側シールリング19との対で成る環状の内側シール16が、そして、外側の端部間には、図3に示すように、固定側シールリング25と回転側シールリング26との対で成る環状の外側シール17が夫々装備されている。尚、内側とは、自動車における車体左右方向で内側のことであり、図1では磁気センサ24(後述)が配置された側である。そして、その反対側が、ホイール(図示省略)が配置される外側であると定義する。
【0027】
3は、外輪13を兼ねるハブキャリア8を、例えば車体側の支持部材14に取付け固定するための取付ボルトであり、周方向で等間隔に複数個装備されている。内輪5の中心部には、前述のハブや等速ジョイントの軸部等を挿入して装着するための装着孔4が形成されている。内外のシール16,17は、ボール15部分に充填されているグリース等の潤滑油の外部流出を防止するとともに、外部からゴミ、異物等のダストがボール15部分に流入するのを防止する。
【0028】
内側シール16の側方近傍位置には、取付けステー6を介してハブキャリア8に固定される磁気センサ24が装備されており、この磁気センサ24と、内側シール16に装備されているトーンホイール21(後述)とによって、車輪の、すなわち、内輪5の単位時間当りの回転数を検出自在な回転速度検出用エンコーダ10を構成している。尚、7は、磁気センサ24に接続されたリード線である。次に、内外のシール16,17について詳しく説明する。
【0029】
内側シール16は、図2に示すように、内輪5に圧入によって外嵌される環状の第1芯金(スリンガとも言う)11と、これと外輪13とに跨って形成されるシール機構12とで成る組合せシール(いわゆるパックシール)に構成されている。第1芯金11を、内輪5に外嵌される第1嵌合筒部11aと、これの端部から径方向に立ち上がり、かつ、外側面にトーンホイール21が貼着された第1立壁部11bとを有した断面が略L字状の円筒形状に形成してあるとともに、第1立壁部11bには、環状のトーンホイール21を覆う鋼板製の保護カバー20が装備されている。保護カバー20は、断面が略コ字状を呈する環状のものであり、保護カバー20の外周フランジ部20aを内径側に縮径変形させてのカシメ(加締め)加工により、第1立壁部11bの外端面に取付けられている。
【0030】
シール機構12は、外輪13に圧入によって内嵌される第2芯金22と、この第2芯金22の内側に一体装備されたゴム製のシール部材23とで構成されている。第2芯金22は、外輪13の内周面に内嵌支持される筒状の第2嵌合筒部22aと、この第2嵌合筒部22aの軸方向端(図2における左側端)から内輪5の外周面に向けて直径方向内方に折れ曲がったリング状の第2立壁部22bとを有している。
【0031】
シール部材23は、第2芯金22のほぼ内側面における全周に亙って添着されたもので、第1芯金11に押圧接触する3箇所のリップ23a〜23cを有している。第1及び第2リップ23a,23bは第1立壁部11bに摺接するアキシャルリップに、そして、第3リップ23cは第1嵌合筒部11aに摺接するラジアルリップに夫々形成されている。シール部材23は、一般的に、第2芯金22に焼き付けにより一体的に結合されることが多い。つまり、第2芯金22とシール部材23とで(即ちシール機構12で)固定側シールリング18が構成され、保護カバー20及びトーンホイール21付きの第1芯金11で回転側シールリング19が構成されている。
【0032】
トーンホイール21は、図4に示すように、S極とN極とが円周方向に亙って交互に且つ等間隔で配置される状態に着磁された磁性ゴムで構成されている。すなわち、トーンホイール21は、ゴム中にフェライト等の磁性粉末を混入したゴム磁石を円輪状に形成したもので、着磁方向は、円周方向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。トーンホイール21は、第1芯金11(内輪5、即ちタイヤ)の回転速度を検出するものであり、第1立壁部11bの外側面(図2における右側面)に接着剤を用いて貼着されている。保護カバー20により、他物との接触等によるトーンホイール21の変形や破損が生じないようにしてある。
【0033】
図2に示すように、トーンホイール21の側面側位置には、ハブキャリア8に取付け支持された磁気センサ24が近接配備されており、この磁気センサ24と回転側シールリング19と、すなわち回転するトーンホイール21との協働により、懸架装置に対し回転自在に支持された車輪(タイヤ1)の回転速度を検出するエンコーダ10を構成している。正確に回転速度を検出するには、トーンホイール21におけるS極とN極とが基準以上の精度で等ピッチ配列されていること、及び各極の磁力が所定以上の強さであることとが必要である。
【0034】
次に、外側シール17は、図3に示すように、トーンホイール21及び保護カバー20が省略された以外は、基本的に内側シール16と同じ組合せシールである。即ち、トーンホイール21及び保護カバー20を持たない単一部品の第1芯金11のみで成る回転側シールリング26と、シール部材23を有した第2芯金22で成る固定側シールリング25とで外側シール17が構成されており、第1芯金11は内輪5に、かつ、第2芯金22は外輪13に夫々圧入によって嵌装されている。つまり、内外のシール16,17は、トーンホイール21と保護カバー20の有無以外は同一部品から構成されている。
【0035】
但し、この外側シール17における第1芯金11の少なくとも外側面11Aには、図3、図5に示すように、トーンホイール21を貼着するための接着剤mを、識別用としてこれのみ塗布されている。図3においては、図面理解上、接着剤mの層を厚くして描いてある。尚、実際には、接着剤mの層は無視できるぐらい薄いので、図2においては省略してある。つまり、内側シール16は、第1立壁部11bの外側面にトーンホイール21が装着された装着仕様の組合せシールに設定され、外側シール17は、第1立壁部11bの外側面にトーンホイール21が装着されない非装着仕様の組合せシールに設定されている。尚、識別用の接着剤mは、第1芯金11の外側面11Aのみに塗布する手段でも、第1芯金11全体に塗布する手段のいずれでも良く、少なくとも外側面11Aには塗布する。
【0036】
さて、この外側シール17に接着剤mを塗る、言わば空塗りを行うのは、次のような理由による。即ち、内側シール16も外側シール17も、第1及び第2芯金11,22を互いに嵌合させた組付け状態で出荷し、その状態で運送されて仕入先に納入されるのであるが、トーンホイール21の外側が、第1芯金11と同様な鋼板で成る保護カバー20で覆われているので、一見しただけでは、内側シール16と外側シール17とが同じに見える。それ故、納入先にてシールを軸受ユニット等に組み込む工程において、内外のシール16,17を間違って組付けてしまうおそれがあったので、これを阻止すべく、外側シール17の第1芯金11の外側面11Aにも接着剤mを塗布するようにしたのである。
【0037】
内外のシール16,17を出荷する際には、錆防止等のために防錆油や潤滑油が塗布されるので、ラッカー等の一般的な塗料を識別用に塗布した場合には、防錆油の影響によって塗料が剥がれ落ちたり薄くなって用を成さないことがあった。これに対して、接着剤は防錆油の影響を受け難く、識別用の印として確実に機能できるとともに、もともとトーンホイール21を接着するための設備をそのまま利用できる(要するに、トーンホイール21の有無に関係なく全ての第1芯金11に接着剤mを塗る)ので、識別用塗料や識別用接着剤のための新たな設備が一切不要になるという利点もある。加えて、第1芯金11を、接着剤を塗布するものと塗布しないものとに区別する必要も無くなり、寧ろ管理コストを下げることが可能になる効果も期待できる。
【0038】
〔別実施形態〕
〈1〉 内側シール(装着仕様の組合せシール)16を、図6に示すような構造としても良い。即ち、回転側シールリング19を、トーンホイール21が貼着された第1芯金27と、トーンホイール21の外側面と第1芯金27の内摺面とを覆い、かつ、内輪5に嵌装される断面L字状で環状の鋼板製保護カバー28とから構成する。つまり、保護カバー28は、その筒状部分28aの径方向の内側に内輪5が、かつ、外側に第1芯金27の嵌合筒部27aが夫々圧入される。
【0039】
固定側シールリング18を、外輪13に内嵌される第2芯金29と、これの内側面に焼付け一体装備されるシール部材30とで構成する。シール部材30は、第1芯金27の立壁部27bに摺接する第1リップ(アキシャルリップ)30aと、嵌合筒部27aに摺接する第2及び第3リップ(ラジアルリップ)30b,30cとを有している。この場合、図示しない外側シール(非装着仕様の組合せシール)の構造は特に規定しないが、内輪5に外嵌される芯金の外側面には、図6に示す内側シール16と識別するために、トーンホイール21を貼着するための接着剤を空塗りする。
【0040】
〈2〉 内側シール16を、図7に示すように、保護カバー31が着脱自在に装備される構造とした装着仕様の組合せシールでも良い。即ち、図7に示す内側シール16は、図2に示す内側シール16における固着された保護カバー20に代えて、第1芯金11の第1嵌合筒部11aに軽く押込む状態で装備される断面L字状で鋼板製の保護カバー31を備える。
【0041】
つまり、この場合の保護カバー31は、トーンホイール21を、出荷時から納入先における組立工程迄の間において保護するものであり、第1嵌合筒部11aから抜出ないように極軽く圧入された状態としてある。従って、組付け工程の直前に、第1芯金11から保護カバー31を取去り、トーンホイール21付き第1芯金11で成る回転側シール16として用いるのである。
【0042】
〈3〉 尚、「回転側部材に嵌装される環状の芯金と固定側部材とに跨って形成されるシール機構」(請求項1)における「シール機構」とは、図1に示す組合せシールにおけるシール部材23付きの第2芯金22以外に、直接外輪13に摺接すべく第1芯金11に一体装備させたシール部材(図示省略)や、図3に示す固定側シールリング25において、直接内輪5に摺接させるようにしたシール部材も含んでいる。
【0043】
〈4〉 図8、図9に示すように、本発明を、一つのアキシャルリップ23aと二つのラジアルリップ23d,23cとを有したダブルラジアルリップ型のシールに適用しても良い。これら内側シール16及び外側シール17は、図2及び図3に示す二つのアキシャルリップ23a,23bと一つのラジアルリップ23cを有したダブルサイドリップ型のものとは、アキシャルリップ23bがラジアルリップ23dに変わった以外は同じである。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1による発明は、回転側部材と固定側部材との間に装備された軸受に対する環状のシールを、回転側部材に嵌装される環状の芯金と、これと固定側部材とに跨って形成されるシール機構とで構成し、芯金を、回転側部材に嵌合される嵌合筒部と、これの端部から径方向に立ち上がるとともに外側面にトーンホイールを装着可能な立壁部とを有した円筒形状に形成し、
シールに、立壁部の外側面にトーンホイールが装着された装着仕様と、トーンホイールが装着されない非装着仕様とを設定し、装着仕様のシールには、トーンホイールの外側面を覆う状態の鋼板製保護カバーを設けてある軸受用シールの識別構造において、
装着仕様のシールにおける保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様のシールにおける立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布してあることを特徴としている。
【0045】
それゆえ、塗料のペイントに比べて金属面への付着力に優れ、防錆油の影響によって接着剤が薄れるとか、剥がれて消えてしまうといったことが無くなり、識別機能を良好に維持することが可能になるとともに、塗料に代えて接着剤を塗布するだけであるから、コスト的にもさほど変わらない。その結果、コスト的な不利益の無い経済的な状態としながら、防錆油の影響を受けず確実に識別機能を発揮でき、信頼性に優れる軸受用シールの識別構造を提供することができた。
【0046】
請求項2に記載の軸受用シールの識別構造では、識別用の接着剤として、トーンホイールを立壁部の外側面に装着するための接着剤を用いたので、接着剤及びその塗布工程、並びに設備の兼用化が行え、新たな設備投資やそれによるコストアップ無く合理的に識別させることができた。
【0047】
請求項3に記載の軸受用シールの識別構造では、トーンホイールの有無に関係無く、全ての芯金の立壁部に接着剤を塗れば良いので、接着剤有無の区別やそれによる管理作業が不要となって生産効率やコストの点で有利になる。そして、トーンホイール貼着用の接着剤を識別用接着剤に兼用すれば、装着仕様の芯金と非装着仕様の芯金とが全く同一のものになって生産設備及び性差工程共に共通化でき、生産効率の向上やコストダウンが可能な利点がある。
【0048】
請求項4に記載の軸受用シールの識別構造では、トーンホイールの外側面を覆う鋼板製保護カバーが固着されて、製品としての装着仕様と非装着仕様との識別が益々困難となるシールを確実に識別できる有用なものにできた。
【0049】
請求項5に記載の軸受用シールの識別構造では、回転側部材に嵌装されたシールと、固定側部材に嵌装されたシール部材付き芯金とによる「組合せシール」における回転側部材のシールの識別が確実に行えるようになった。
【0050】
請求項6に記載の軸受用シールの識別方法では、コスト的な不利益の無い経済的な状態としながら、防錆油の影響を受けず確実に識別機能を発揮でき、信頼性に優れる軸受用シールの識別構造を提供できた、という請求項1の構成による効果と同等の効果を奏することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホイールベアリングとその周辺構造を示す断面図
【図2】内側シール部分の拡大断面図
【図3】外側シール部分の拡大断面図
【図4】トーンホイールにおける磁極の配列状態を示す部分側面図
【図5】外側シールの部分斜視図
【図6】装着仕様のシールの別構造を示す断面図
【図7】着脱式保護カバーを設けた内側シールの断面図
【図8】内側シール部分の別構造を示す拡大断面図
【図9】外側シール部分の別構造を示す拡大断面図
【符号の説明】
5 回転側部材
9 軸受
11 芯金
11a 嵌合筒部
11b 立壁部
12 シール機構
13 固定側部材
16 装着仕様のシール
17 非装着仕様のシール
20 保護カバー
21 トーンホイール
22 芯金
23 シール部材
23a リップ
m 接着剤

Claims (6)

  1. 回転側部材と固定側部材との間に装備された軸受に対する環状のシールを、前記回転側部材に嵌装される環状の芯金と、これと前記固定側部材とに跨って形成されるシール機構とで構成し、前記芯金を、前記回転側部材に嵌合される嵌合筒部と、これの端部から径方向に立ち上がるとともに外側面にトーンホイールを装着可能な立壁部とを有した円筒形状に形成し、
    前記シールに、前記立壁部の外側面に前記トーンホイールが装着された装着仕様と、前記トーンホイールが装着されない非装着仕様とを設定し、装着仕様の前記シールには、前記トーンホイールの外側面を覆う状態の鋼板製保護カバーを設けてある軸受用シールの識別構造であって、
    装着仕様の前記シールにおける前記保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様の前記シールにおける前記立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布してある軸受用シールの識別構造。
  2. 請求項1において、
    前記接着剤は、前記トーンホイールを前記立壁部の外側面に装着するための接着剤を用いてある軸受用シールの識別構造。
  3. 請求項1又は2において、
    前記接着剤を、非装着仕様の前記シールにおける前記立壁部の少なくとも外側面に塗布してある軸受用シールの識別構造。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記保護カバーは、前記トーンホイールに固着されている軸受用シールの識別構造。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記シール機構は、前記固定側部材に嵌装される環状の芯金に、前記回転側部材に嵌装された芯金に摺接するリップを有した環状のシール部材を一体的に備えて構成してある軸受用シールの識別構造。
  6. 回転側部材と固定側部材との間に装備された軸受に対する環状のシールを、前記回転側部材に嵌装される環状の芯金と、これと前記固定側部材とに跨って形成されるシール機構とで構成し、前記芯金を、前記回転側部材に嵌合される嵌合筒部と、これの端部から径方向に立ち上がるとともに外側面にトーンホイールを装着可能な立壁部とを有した円筒形状に形成し、
    前記シールに、前記立壁部の外側面に前記トーンホイールが装着された装着仕様と、前記トーンホイールが装着されない非装着仕様とを設定し、装着仕様の前記シールには、前記トーンホイールの外側面を覆う状態の鋼板製保護カバーを設けてある軸受用シールの識別方法であって、
    装着仕様の前記シールにおける前記保護カバーの少なくとも外側面、又は、非装着仕様の前記シールにおける前記立壁部の少なくとも外側面に接着剤を塗布する軸受用シールの識別方法。
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