JP4313618B2 - 変性プロピレン系重合体及びその製造方法 - Google Patents

変性プロピレン系重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性プロピレン系重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系重合体に不飽和カルボン酸又はその無水物が付加した酸変性体及びその製造法は公知である。このような酸変性体の多くは、酸付加量は高いが、分子量が極めて低いため、その用途が限られている。
一方、分子量と酸付加量とのバランス(高分子量、かつ、高酸付加量)に優れた酸変性体が、ポリプロピレン系ナノコンポジット材等の新規複合材料の開発において望まれている。このような酸変性体を製造する試みは既に幾つかなされている。例えば、超高分子量ポリプロピレンを出発原料として、酸変性体の上記バランスを向上させる方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、このような特殊なポリプロピレンは、汎用的な使用が困難であるのみならず、製造安定性等の点にも課題があると考えられる。また、この方法では、得られた酸変性体の分子量分布は、通常、極めて低く、フィルム等に使用した場合、成形性の低下の原因となる。
従って、このような問題を回避するため、一般的に使用されているポリプロピレンを用いて、上記バランスに優れ、かつ、分子量分布の広い酸変性体の開発が望まれていた。
【0003】
一方、通常の製法で得られた酸変性体中には、未反応の酸が相当量残留し、これが製品の物性低下や臭気等の問題の原因となっている。このような製品に悪影響を及ぼす未反応物を低減する手法として、変性ポリプロピレンを溶媒へ溶解後、貧溶媒中で析出させる方法、又は特定の溶媒で還流しながら抽出する方法により除去する技術が開示されている(特許文献2参照)。
また、変性ポリプロピレンに対し、30倍量の多量のジケトン化合物を用い、120℃の高温で未反応の不飽和カルボン酸又はその無水物を除去する技術が開示されている(特許文献3参照)。
さらに、変性ポリプロピレンに対し、7倍量の多量のジケトンと芳香族炭化水素の混合溶媒を用い、90〜110℃の高温で未反応の不飽和カルボン酸又はその無水物を除去する技術が開示されている(特許文献4参照)。
しかし、これらの手法は、多量の溶媒を使用する欠点の他、溶媒中で高温で処理するため、変性プロピレン重合体が融着するおそれがある。
以上のように、分子量と酸付加量とのバランスに優れ、分子量分布が広く、未反応の酸成分の含有量が少ない酸変性プロピレン系重合体を、一般的なポリプロピレン、及び少量の溶媒を使用して簡便に(経済的に)製造するという技術は殆ど見当たらない。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−20436号公報
【特許文献2】
特開昭63−90511号公報
【特許文献3】
特開平2−185505号公報
【特許文献4】
特開平4−202202号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、分子量と酸成分の含有量とのバランスに優れ、分子量分布が広く、未反応の酸成分の含有量が少ない変性プロピレン系重合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有する重合体原料を、特定の温度条件で十分に混合し、ポリプロピレンの分解反応の進行が少ない温度条件で溶融混練することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、下記(1)〜(4)を満たす変性プロピレン系重合体が提供される。
(1)135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]aが、0.5〜2.5dl/g
(2)分子量分布(Mw/Mn)が、3以上
(3)変性プロピレン系重合体中に含まれる、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部の含有量[b]、及び
(4)変性プロピレン系重合体中にグラフトされた、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部の含有量[B]が、
([b]−[B])×100/[b]≦2
の関係を満たす。
【0008】
本発明の第二の態様によれば、(A)135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]rが、1〜4dl/g、分子量100万以上の成分量が、10〜50重量%のプロピレン系重合体、
(B)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物、及び
(C)ラジカル開始剤を、
40〜(プロピレン系重合体(A)の融点−50)℃の温度で混合し、
プロピレン系重合体(A)の融点〜180℃の温度で溶融混練する
ことを含む上記の変性プロピレン系重合体の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の変性プロピレン系重合体について説明する。
本発明の変性プロピレン系重合体は、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度([η]a)が、0.5〜2.5dl/g、好ましくは0.8〜2.0dl/gである。この値が0.5dl/g未満になると、樹脂改質用に用いた場合、物性の低下が起こり易い。一方、2.5dl/gを超えると、安定生産が困難になると共に、成形加工も困難になる。
【0010】
また、上記極限粘度([η]a)と、本発明の変性重合体の原料であるプロピレン系重合体の、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度([η]r)との比([η]a/[η]r)は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上である。この比が0.3未満になると、変性重合体の分子量分布が3未満になり易くなる。
尚、この比は、変性重合体の分子鎖の切断度合いを表しており、この比が大きい程、変性重合体の分子鎖が切断されていないことを意味する。
原料プロピレン系重合体については後述する。
【0011】
本発明の変性プロピレン系重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が、3以上、好ましくは3.5以上である。この値が3未満では、フィルム等の成形性が低下する。
ここで、Mwは、重量平均分子量を表し、Mnは、数平均分子量を表す。
【0012】
本発明の変性プロピレン系重合体中に含まれる、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物(変性剤)に由来する極性基部の含有量[b]と、この変性プロピレン系重合体中にグラフトされた、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物(変性剤)に由来する極性基部の含有量[B]とは、([b]−[B])×100/[b]≦2の関係を満たす。この値が2を超えると、製品の臭気の原因、成形時の金型腐食、成形時の悪臭の原因になり易い。この値は、好ましくは1以下である。
【0013】
ここで、含有量[b]とは、具体的には、含有量[B]と、未反応の変性剤に由来する極性基部の含有量との合計の含有量である。
即ち、上記の関係式は、変性重合体中に含まれる未反応の変性剤に由来する極性基部の割合を示している。従って、この値が小さいほど、未反応の変性剤の含有量が少ないことを意味する。
【0014】
上記含有量[B]は、好ましくは20〜400ミリモル/kg、より好ましくは40〜350ミリモル/kg、さらに好ましくは80〜300ミリモル/kgである。この値が20ミリモル/kg未満になると、極性基部の濃度が低く、樹脂改質用としての性能が十分に発現しない場合がある。一方、400ミリモル/kgを超えると、0.5dl/g以上の極限粘度([η]a)を有する変性重合体が得られ難くなる場合がある。
この極性基部を構成する変性剤については後述する。
【0015】
本発明の変性プロピレン系重合体は、(A)135℃、テトラリン中で測定した極限粘度([η]r)が、1〜4dl/g、分子量100万以上の成分量が、10〜50重量%のプロピレン系重合体、(B)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物(変性剤)、及び(C)ラジカル開始剤を、40〜(プロピレン系重合体(A)の融点−50)℃、好ましくは50〜(プロピレン系重合体(A)の融点−70)℃の温度で混合し、プロピレン系重合体(A)の融点〜180℃の温度で溶融混練することにより製造することができる。
混合温度が40℃未満になると、温度制御が困難となる。一方、(プロピレン系重合体(A)の融点−50)℃を超えると、樹脂の部分溶融によりトルク上昇が起こり、生産性が低下する。
また、溶融混練温度がプロピレン系重合体(A)の融点未満になると、樹脂の部分溶融によりトルク上昇が起こり、生産性が低下する。一方、180℃を超えると、変性重合体の分子量低下が起こり、Mw/Mnが3未満になり易くなる。また、[η]a/[η]rも0.3未満になり易くなる。
【0016】
プロピレン系重合体(A)としては、上記の要件を満たす限り特に制限されず、例えば、プロピレンホモ重合体、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等)とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。このうち、好ましくは、プロピレンホモ重合体である。
【0017】
プロピレン系重合体(A)は、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]rが、1〜4dl/g、好ましくは2〜3.5dl/gである。1dl/g未満になると、0.5dl/g以上の極限粘度([η]a)を有する変性重合体を製造し難くなる。一方、4dl/gを超えると、各成分を押出機内で混合する際の温度制御が困難になり、品質がバラツキ易くなる。
【0018】
プロピレン系重合体(A)は、分子量100万以上の成分量が、10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%である。この成分量が10重量%未満になると、極性基部の含有量([B])が低下し、かつ、変性重合体の分子量分布(Mw/Mn)が3未満になり易くなる。一方、50重量%を超えると、各成分を押出機内で混合する際の温度制御が困難になり、品質がバラツキ易くなる。
尚、分子量100万以上の成分量とは、GPC曲線における分子量が100万以上の成分量を意味している。
【0019】
プロピレン系重合体(A)は、融点(Tm)が、好ましくは140〜170℃、より好ましくは150〜165℃である。
【0020】
このようなプロピレン系重合体(A)は、公知の高立体規則性触媒、例えば、特開昭63−234004号公報に記載されているような、マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子、多価カルボン酸エステルを含む固体触媒成分、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物、及びt−ブチルトリエトキシシラン等の電子供与性化合物から得られる高立体規則性触媒を用いて、プロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとを(共)重合することにより製造することができる。その際、重合時に供給する水素量を減らせば良い。
【0021】
変性剤(B)に含まれる極性基としては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸アミド基、カルボン酸イミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基等が挙げられる。このうち、好ましくは、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基である。
【0022】
本発明で用いる変性剤(B)は特に制限されないが、好ましくは、上記の極性基を含む不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体である。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、不飽和モノ若しくはジカルボン酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、具体的には、カルボン酸の無水物、エステル、ハライド、アミド、イミド及び塩等が挙げられる。このうち、好ましくは、不飽和ジカルボン酸又はその無水物である。
【0023】
不飽和モノ又はジカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸(エンディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸等が挙げられる。
【0024】
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水エンディック酸、アクリル酸メチル、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アミド、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル等が挙げられる。
【0025】
これら不飽和カルボン酸又はその誘導体のうち、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸無水物であり、より好ましくは、マレイン酸無水物である。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
ラジカル開始剤(C)としては、ブチルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルジエチルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)へキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、4,4−ジ−t−ブチルペルオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサハイドロフタレート、ジ−t−ブチルペルオキシアゼレート、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキソエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルモノカーボネート、サクシニックアシッドペルオキシド及びビニルトリス−(t−ブチルペルオキシ)シラン、t−ブチルぺルオキシベンゾエート等が挙げられる。このうち、好ましくは、ベンゾイルペルオキサイド、t−ブチルぺルオキシベンゾエート、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキシン−3、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキサンである。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の変性重合体の製造時には、必要に応じて、酸化防止剤、ステアリン酸カルシウム等の添加剤をさらに配合することができる。
【0028】
変性剤(B)は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、好ましくは2〜10重量部、より好ましくは3〜8重量部配合する。
【0029】
ラジカル開始剤(C)は、プロピレン重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.2〜3重量部、より好ましくは0.3〜2重量部配合する。
【0030】
本発明の製造方法では、上記の各成分を、例えば、図1に示す二軸押出機を用いて、シリンダーの混合ゾーン(Mゾーン)2において、40〜(Tm−50)℃、好ましくは50〜(Tm−70)℃の温度で混合し、シリンダーの反応ゾーン(Rゾーン)3及び4において、Tm〜180℃の温度で溶融混練することができる。
ここで、混合ゾーンとは、変性プロピレン系重合体の製造原料が混合されるが、変性反応はあまり発生してない領域であり、反応ゾーンとは、未変性プロピレン系重合体に変性剤が活発に変性反応している領域である。
一つの押出機を用いる場合でも、変性条件により、混合ゾーン及び反応ゾーンの部位は変化することもあるが、シリンダー内のスクリューデザインで用いられる一般的な用語で言えば、フィードゾーン又はフィードゾーンとコンプレションゾーンの一部を含むゾーンが混合ゾーンであり、メータリングゾーン又はメータリングゾーンとコンプレションゾーンの一部を含むゾーンが反応ゾーンであることが通常である。
尚、本発明では、二軸押出機等の成形機で、混合及び溶融混練する前に、各成分をドライブレンド等の方法で予め混合させておいてもよい。
混合及び溶融混練時には、好ましくは、二軸押出機シリンダーのホッパー下部1から混合ゾーン2までの樹脂温度を、40〜(Tm−50)℃の温度とし、シリンダーの反応ゾーン3及び4からダイス5までの樹脂温度を、Tm〜180℃の温度とする。このとき、ホッパー下部1の樹脂温度は、変性剤の飛散を防ぐため、好ましくは、130℃以下、より好ましくは、100℃以下、特に好ましくは、常温〜60℃とする。
尚、溶融混練温度とは、二軸押出機のシリンダーで、最も高温部の温度を意味し、図1では、ダイス5からシリンダーの反応ゾーン3及び4の間の温度を意味する。
【0031】
溶融混練(滞留)時間は、好ましくは、10〜120秒である。
溶融混練時には、不活性ガス雰囲気下におくことが好ましい。このとき、スチームを添加したり、減圧下揮発分を除去してもよい。
成形機としては、単軸押出機、二軸押出機等が使用される。
二軸押出機としては、20mmラボプラストミル、35mmTEM(東芝機械製二軸押出機)等が挙げられる。
【0032】
本発明の製造方法では、好ましくは、上記操作で得られた変性重合体を、さらに、(D)炭素数6〜20、好ましくは6〜10の脂肪族炭化水素と、(E)ジアルキルケトンとの混合溶媒中で、40〜90℃の温度で処理し、100℃以上の温度で真空加熱処理する。ここで、真空加熱処理とは、0〜100Torrに減圧した状態で加熱処理を行うことをいう。減圧方法は特に制限されない。
混合溶媒の処理温度が40℃未満になると、ペレットの膨潤不足のため、未反応の変性剤(B)の除去効率が低下する場合がある。一方、90℃を超えると、水やスチーム系の加温システムでの実施が困難となり、かつ、ペレット性状が変化する(融着等)場合がある。
真空加熱処理の温度が100℃未満になると、ペレット中の残留モノマーの除去が十分に行われない場合がある。
【0033】
脂肪族炭化水素(D)の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の直鎖状炭化水素、シクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。このうち、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、オクタンである。
【0034】
ジアルキルケトン(E)のアルキル基は同一でもよく、また、異なっていてもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜6である。ジアルキルケトン(E)の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。このうち、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンである。
【0035】
本発明では、変性重合体100重量部に対して、脂肪族炭化水素(D)を、好ましくは50〜300重量部、より好ましくは80〜150重量部、また、ジアルキルケトン(F)を、好ましくは50〜300重量部、より好ましくは80〜150重量部用いる。
【0036】
このような方法で変性プロピレン系重合体を製造すれば、製造原料として、一般的なプロピレン系樹脂の使用が可能となるので、超高分子量の重合体等を用いる必要がない。また、製造原料等の分解倍率が小さく、処理溶媒の使用量が低減されるので、製造時の生産安定性やコストダウンが図れ、経済的である。
【0037】
本発明の変性プロピレン系重合体は、分子量が高く、原料重合体の特性を保持しているため、フィルムや成形体として使用することができる。また、未反応の変性剤を殆ど含有せず、低分子量体の含有量も少ないため、低分子量体のブリードアウトが少ない。従って、フィルム等のブリードアウトが問題となる用途にも使用することができる。
本発明の変性プロピレン系重合体は、これらの特性に加え、極性基部の含有量が多く、分子量分布が広いという特性も有しているため、ポリオレフィン系ナノコンポジットの製造材料として好適である。本発明の変性重合体であれば、ナノコンポジットの製造時に多量に配合しても、物性の低下を著しく抑制することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、本実施例における各種パラメータの測定方法は、以下の通りである。
(1)変性プロピレン重合体の極限粘度([η]a
135℃、テトラリン中で測定した。
(2)変性プロピレン重合体の分子量分布(Mw/Mn)
下記の装置及び条件で測定した。
(GPC測定装置)
カラム:TOSOGMHHR−H(S)HT
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
(測定条件)
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:145℃
流速:1.0ミリリットル
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量:160マイクロリットル
検量線:Univesal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(3)変性プロピレン重合体中に含まれる極性基部の含有量([b])
変性重合体を、5tプレス成形機(小平製作所製)を用いて、厚さ0.1mmのフィルムに成形し、それを用いてフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定し、1,700〜1,800cm-1に生ずるカルボニル基に起因する赤外吸収ピークの強度を測定することにより求めた。
(4)変性プロピレン重合体中にグラフトした極性基部の含有量([B])
変性重合体5gを、パラキシレン500mlに溶解後、アセトン5,000ml中に沈殿析出させ、未反応の変性剤を完全に除去する操作を行った。この変性重合体を、含有量[b]の場合と同様にフィルム成形し、フーリエ変換赤外吸収スペクトルから求めた(溶媒精製法)。
(5)原料プロピレン重合体の極限粘度([η]r
135℃、テトラリン中で測定した。
(6)原料プロピレン重合体の融点(Tm)
示差走査熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製、DSC7(商品名))を用い、試料0.01gを窒素気流下、220℃で3分間溶融した後、10℃/分で25℃まで降温し、25℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱曲線のピークトップを融点として求めた。
(7)原料プロピレン重合体中の分子量が100万以上の成分量(MW≧100万)
上記(2)で用いた装置及び条件から得られるGPC曲線から求めた。
(8)試験例で用いたプロピレンホモ重合体(a)のメルトインデックス(M.I.)
JIS−K7210に準拠し、樹脂温:230℃、荷重:2.16kgで測定した。
【0039】
製造例1
[原料プロピレン重合体の合成]
(1)予備重合触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付き三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン:400ミリリットル、ジエチルアルミニウムクロライド:18グラム、市販のソルべー型三塩化チタン触媒(東ソー・ファインケム社製):2gを加えた。内温を20℃に保持し、攪拌しながらプロピレンを導入した。80分後、攪拌を停止し、固体触媒1g当たり0.8gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分を得た。
【0040】
(2)原料プロピレン重合体の合成
内容積10リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン:6リットルを加え、系内の窒素をプロピレンで置換した。その後、水素:0.06MPaGを加え、攪拌しながらプロピレンを導入した。内温:65℃、プロピレン圧力:0.75MPaGに系内が安定した後、上記(1)で調製した予備重合触媒成分を、固体触媒換算で0.5g含んだヘプタンスラリー:50ミリリットルを加え、プロピレンを連続的に供給しながら、65℃で2時間重合を行った。
【0041】
次に、内温を50℃として攪拌を弱め、脱圧を行なった。その後、水素:0.04MPaGを加え、攪拌しながらプロピレンを導入した。内温:50℃、プロピレン圧力:0.75MPaGでプロピレンを連続的に供給しながら、50℃で6時間重合を行った。重合終了後、50ミリリットルのメタノールを添加し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し、85℃に昇温し、固液分離し、脱圧した。さらに、85℃のヘプタン6リットルで固体部を2回洗浄し、真空乾燥して、プロピレン重合体2.4kgを得た。この重合体の極限粘度[η]rは、3.91dl/gであり、分子量100万以上の成分量は29.8重量%、融点は、162℃であった。また、固体触媒1g当たりの触媒活性は、重合8時間で4.8kg/g−cat.・8hrであった。これと同一条件でプロピレン重合を繰り返し、得られた重合体を原料プロピレン重合体(PP−1)とした。
【0042】
製造例2
[原料プロピレン重合体の合成]
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付き三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したオクタン:60ミリリットル、ジエトキシマグネシウム:16gを加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素:2.4ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル:1.6ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き、四塩化チタン:77ミリリットルを滴下し、内温125℃で、2時間攪拌して接触操作を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。次に、脱水オクタン:100ミリリットルを加え、攪拌しながら125℃まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。さらに、四塩化チタン:122ミリリットルを加え、内温125℃で、2時間攪拌して2回目の接触操作を行った。その後、上記の125℃の脱水オクタンによる洗浄を6回繰り返し、固体触媒成分を得た。
【0043】
(2)予備重合触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付き三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン:400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム:25ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン:2.5ミリモル、上記(1)で調製した固体触媒成分:4gを加えた。室温下、攪拌しながらプロピレンを導入した。1時間後、攪拌を停止し、固体触媒1g当たり4gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分を得た。
【0044】
(3)原料プロピレン重合体の合成
内容積10リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、脱水処理したヘプタン:6リットル、トリエチルアルミニウム:15ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.4ミリモルを加えた。系内の窒素をプロピレンで置換した。攪拌しながらプロピレンを導入し、内温:80℃、プロピレン圧力:0.80MPaGに系内が安定した後、上記(2)で調製した予備重合触媒成分を、Ti原子換算で0.04ミリモル含んだヘプタンスラリー:50ミリリットルを加え、プロピレンを連続的に供給しながら、80℃で3時間重合を行った。
【0045】
次に、内温を80℃として攪拌を弱め、脱圧を行なった。その後、水素:0.20MPaGを加え、攪拌しながらプロピレンを導入した。内温:80℃、プロピレン圧力:0.60MPaGでプロピレンを連続的に供給しながら、80℃で2時間重合を行った。重合終了後、50ミリリットルのメタノールを添加し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し、85℃に昇温して固液分離した。さらに、85℃のヘプタン6リットルで固体部を2回洗浄し、真空乾燥して、プロピレン重合体2.3kgを得た。この重合体の極限粘度[η]rは、3.97dl/gであり、分子量100万以上の成分量は19.4重量%、融点は166℃であった。また、固体触媒1g当たりの触媒活性は、重合5時間で23.9kg/g−cat.・5hrであった。これと同一条件でプロピレン重合を繰り返し、得られた重合体を原料プロピレン重合体(PP−2)とした。
【0046】
製造例3
[原料プロピレン重合体の合成]
製造例2(3)において、製造例2(2)で調製した予備重合触媒成分を、Ti原子換算で0.08ミリモル含んだヘプタンスラリー:50ミリリットルを用い、また、二段目の重合を実施しなかった以外は、製造例2(3)と同様に行い、プロピレン重合体2.5kgを得た。この重合体の極限粘度[η]rは、7.61dl/gであり、分子量100万以上の成分量は41重量%、融点は164℃であった。また、固体触媒1g当たりの触媒活性は、重合3時間で10.5kg/g−cat.・3hrであった。これと同一条件でプロピレン重合を繰り返し、得られた重合体を原料プロピレン重合体(PP−3)とした。
【0047】
実施例1
原料プロピレン重合体(H100M(商品名)、出光石油化学(株)製、極限粘度[η]r:2.94dl/g、分子量100万以上の成分量:18.5重量%、融点:162℃、PP−4):100重量部に、無水マレイン酸:6重量部、パーブチルZ(商品名、t−ブチルペルオキシベンゾエート、純度98%、日本油脂社製):1.2重量部、イルガノックス1010(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.06重量部、イルガフォス168(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.14重量部、ステアリン酸カルシウム:0.04重量部をドライブレンドし、ベント付き32ミリの二軸押出機を用いて、さらに混合し、溶融混錬した。混合、溶融混練時の二軸押出機の温度は、ホッパー下部:40℃、混合ゾーン(Mゾーン):80℃、反応ゾーン(Rゾーン):170℃、ダイス:180℃とした。尚、これら各部分は、図1の参照番号を付した部分に対応する。
得られたペレット状サンプル:100重量部に、アセトン:85重量部、ヘプタン:85重量部を加え、85℃で2時間加熱攪拌した(耐圧反応器中で実施)。同操作終了後、金網でペレットを回収し、これを140℃、0.1Torrで20時間真空乾燥して、無水マレイン酸変性プロピレン重合体を得た(ペレット処理法A)。配合条件、製造条件、及び分析結果を表1及び表2に示す。
【0048】
実施例2
実施例1において、パーブチルZの配合量を1.8重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0049】
実施例3
実施例1において、パーブチルZの配合量を0.6重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0050】
実施例4
実施例1において、パーブチルZの代わりに、パーブチルI(商品名、t−ブチルぺルオキシイソプロピルモノカーボネート、純度98%、日本油脂社製)を用い、その配合量を1重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0051】
実施例5
実施例1において、パーブチルZの代わりに、ナイパーBW(商品名、ベンゾイルペルオキサイド、純度98%、日本油脂社製)を用い、その配合量を0.8重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0052】
実施例6
実施例1において、パーブチルZの代わりに、パーカドックス14/40C(商品名、1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン/炭酸カルシウム:40/60(重量比)、化薬アクゾ社製):3重量部(過酸化物の実量:1.2重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0053】
実施例7
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を4.5重量部にし、パーブチルZの配合量を0.9重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0054】
実施例8
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を4.5重量部にし、パーブチルZの配合量を0.6重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0055】
参考例1
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を4.5重量部にし、パーブチルZの配合量を0.3重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0056】
実施例
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を3重量部にし、パーブチルZの配合量を0.5重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0057】
実施例10
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を3重量部にし、パーブチルZの配合量を0.8重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0058】
参考例2
実施例1において、無水マレイン酸の配合量を3重量部にし、パーブチルZの配合量を0.2重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0059】
実施例11
実施例1において、PP−4の代わりに、製造例1で合成したPP−1を用いた以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0060】
実施例12
実施例1において、PP−4の代わりに、製造例2で合成したPP−2を用い、パーブチルZの配合量を1.5重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0061】
実施例13
実施例1において、混合ゾーンの温度を50℃にし、パーブチルZの配合量を1.0重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0062】
実施例14
実施例1において、混合ゾーンの温度を60℃にし、反応ゾーンの温度を180℃にし、パーブチルZの配合量を1.4重量部にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0063】
実施例15
実施例1において、ペレット状サンプルの処理温度を70℃にし、真空乾燥温度を120℃にした(ペレット処理法B)以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0064】
実施例16
実施例1において、ペレット状サンプルの処理に際し、アセトンの代わりに、メチルエチルケトンを用いた(ペレット処理法C)以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0065】
実施例17
実施例1において、ペレット状サンプルの処理に際し、ヘプタンの代わりに、ヘキサンを用いた(ペレット処理法D)以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0066】
比較例1
実施例1において、PP−4の代わりに、PP−5(原料プロピレン重合体、F704NP(商品名)、出光石油化学(株)製、極限粘度[η]r:1.67dl/g、分子量100万以上の成分量:6.4重量%、融点:163℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0067】
比較例2
実施例1において、混合ゾーンの温度を170℃にし、反応ゾーンの温度を230℃にした以外は、実施例1と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体を合成した。結果を表1及び表2に示す。
【0068】
比較例3
製造例3で合成したPP−3:100重量部に、無水マレイン酸:1重量部、及びカヤブチルB:1重量部をドライブレンドし、35ミリの二軸押出機を用いて溶融混錬した。溶融混練時の二軸押出機の温度は、ホッパー下部、混合ゾーン、反応ゾーン、ダイスの全てを210℃とした。
本比較例では、得られたペレット状サンプルの処理を行わないで、無水マレイン酸変性プロピレン重合体を得た。結果を表1及び表2に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
処理法A:無水マレイン酸変性プロピレン重合体/ヘプタン/アセトン:100/50/50(重量比)、85℃、2hr→140℃、20hr真空乾燥
処理法B:無水マレイン酸変性プロピレン重合体/ヘプタン/アセトン:100/50/50(重量比)、70℃、2hr→120℃、20hr真空乾燥
処理法C:無水マレイン酸変性プロピレン重合体/ヘプタン/メチルエチルケトン:100/50/50(重量比)、85℃、2hr→140℃、20hr真空乾燥
処理法D:無水マレイン酸変性プロピレン重合体/ヘキサン/アセトン:100/50/50(重量比)、85℃、2hr→140℃、20hr真空乾燥
【0071】
【表2】
【0072】
試験例1〜6及び比較試験例1〜5
[無機フィラー強化プロピレン重合体組成物の調製]
(a)プロピレンホモ重合体(J3000GP(商品名)、出光石油化学(株)製、M.I.:30g/10分)、(b)変性プロピレン重合体を、表3に示す配合割合でブレンドした。このブレンド物を、径35ミリの二軸押出機(東芝機械(株)製、TEM35(商品名))のホッパーに投入し、(c)ガラス繊維(CS03JAFT17(商品名)、旭ファイバーガラス社製、ストランド長さ:3mm、繊維径:10μm)を、表3に示す配合割合となるように、押出機の途中からトップフィードにより供給し、シリンダー温度230℃で溶融混錬して組成物を作製し、押出したストランドをカットして、無機フィラー強化プロピレン重合体組成物のペレットを得た。
【0073】
尚、変性プロピレン重合体(b)としては、下記b−1〜b−8を用いた。
b−1:実施例1で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−2:実施例2で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−3:実施例7で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−4:実施例12で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−5:比較例2で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−6:比較例3で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体
b−7:市販の無水マレイン酸変性プロピレン重合体(ポリボンド3200(商 品名)、クロンプトン社製、極性基部の含有量:48mmol/kg、
[η]a:0.76dl/g、Mw/Mn:2.4)
b−8:市販の無水マレイン酸変性プロピレン重合体(ユーメックス1010( 商品名)、三洋化成社製、極性基部の含有量:429mmol/kg、
[η]a:0.19dl/g、Mw/Mn:4.1)
【0074】
[物性評価]
このペレットを、射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度50℃で射出成形して、ASTM規格のテストピースを作製し、下記(1)〜(4)の力学物性を評価した。評価結果を表3に示す。
(1)引張破断強度:ASTM D638に準拠
(2)曲げ強度:ASTM D790に準拠
(3)IZOD衝撃強度:ASTM 256に準拠(23℃、ノッチ付)
(4)熱変形温度:ASTM D648に準拠(荷重:18.6kgf)
【0075】
【表3】
【0076】
比較試験例の組成物は、本発明の要件を満たす変性重合体を用いていなかったため、試験例の組成物に比べて物性値が低かった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、分子量と酸成分の含有量とのバランスに優れ、分子量分布が広く、未反応の酸成分の含有量が少ない変性プロピレン系重合体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二軸押出機の模式図である。
【符号の説明】
1 ホッパー下部
2 混合ゾーン(Mゾーン)
3、4 反応ゾーン(Rゾーン)
5 ダイス

Claims (6)

  1. (A)135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η] r が、2〜4dl/g、分子量100万以上の成分量が、10〜50重量%のプロピレン系重合体、
    (B)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物、及び
    (C)ラジカル開始剤を、
    40〜(前記プロピレン系重合体(A)の融点−50)℃の温度で混合し、
    前記プロピレン系重合体(A)の融点〜180℃の温度で溶融混練する、
    下記(1)〜(4)を満たす変性プロピレン系重合体の製造方法
    (1)135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]aが、0.8〜2.0dl/g
    (2)分子量分布(Mw/Mn)が、3以上
    (3)前記変性プロピレン系重合体中にグラフトされた前記化合物(B)に由来する極性基部の含有量[B]と、前記含有量[B]と前記変性プロピレン系重合体中に含まれる未反応の化合物(B)に由来する極性基部の含有量との合計の含有量[b]が、
    ([b]−[B])×100/[b]≦2
    の関係を満たす。
    (4)前記含有量[B]が、80〜300ミリモル/kg
  2. 前記変性プロピレン系重合体の極限粘度[η]aと、その原料である前記プロピレン系重合体(A)の極限粘度[η]rとの比([η]a/[η]r)が、0.3以上である請求項1に記載の変性プロピレン系重合体の製造方法
  3. 前記化合物(B)が、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体である請求項1又は2に記載の変性プロピレン系重合体の製造方法
  4. 前記含有量[B]と前記含有量[b]が、([b]−[B])×100/[b]≦1の関係を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性プロピレン系重合体の製造方法。
  5. さらに、(D)炭素数6〜20の脂肪族炭化水素と、(E)ジアルキルケトンとの混合溶媒中で、40〜90℃の温度で処理し、
    100℃以上の温度で真空加熱処理する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性プロピレン系重合体の製造方法
  6. 前記プロピレン系重合体(A)の融点が、140〜170℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載の変性プロピレン系重合体の製造方法
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