以下、添付図面を参照して、本発明の前提となるX線撮影装置の構成について説明する。このX線撮影装置では、局部的部位についてのCTX線撮影を行うことができるとともに、パノラマX線撮影を行うことができる。図1において、図示のX線撮影装置は、装置フレーム2を備えている。装置フレーム2は、床面に載置される基台4と、この基台4に設けられた支柱6と、昇降フレーム8とを備えている。支柱6は基台4から実質上垂直上方に延びており、この支柱6に昇降フレーム8が上下方向に昇降自在に装着され、昇降制御モータ15(図2、図7)によって昇降動される。昇降フレーム8には、被写***置調整機構10を介して、被写***置付け手段を構成するチンレスト12が位置調整自在に装着されている。被写体である患者は、基台4上に立ち、その顎がチンレスト12に位置付けられ、このように位置付けることによって、撮影すべき部位が撮影領域に位置付けられ、所定部位へのX線撮影が後述するようにして行われる。被写***置調整機構10およびこれに関連する構成については、後述する。
昇降フレーム8の上端部には、水平アーム16が設けられている。水平アーム16は、装置の前方、図1において右下方に延びており、その先端部に支持手段18が装着されてる。水平アーム16と支持手段18との間には、水平アーム16に対して前後方向(図1において右下から左上の方向)に移動自在であるX軸テーブルと、上記前後方向に対して垂直な横方向(図1において左下から右上の方向)に移動自在であるY軸テーブルとを含む平面移動機構20が介在され、この平面移動機構20の先端部に回転軸22(図2参照)が回転自在に支持され、この回転軸22に支持手段18が装着されている。したがって、回転軸22の中心軸線が支持手段18の回転軸線を構成し、支持手段18はこの回転軸線を中心として回転される。支持手段18は、所定方向に延びる支持アーム24を備え、この支持アーム24の中央部が上記回転軸22に取付けられている。支持アーム24の一端部には下方に延びる第1の取付部26が一体的に設けられ、この第1の取付部26にX線源28および一次スリット手段30が設けられている。一次スリット手段30は、X線源28に近接してその前方に配設され、X線源28に装着されている。また、支持アーム24の他端部には下方に延びる第2の取付部32が一体的に設けられ、この第2の取付部32にX線撮像ユニット34が装着されている。X線撮像ユニット34は、X線源28から照射されるX線を検出するX線撮像手段が設けられ、このX線撮像手段は、本構成ではイメージセンサ38(図2参照)から構成されている。また、X線撮像ユニット34は、イメージセンサ38に近接してその前方に配設される二次スリット手段40(図2参照)を備えている。
図1から理解されるとおり、X線撮影すべき被写体は、X線源28とイメージセンサ38との間に位置付けられ、X線源28からのX線が被写体に向けて照射される。一次スリット手段30は、X線源28から照射されるX線の幅および高さを規制し、不要なX線が被写体に向けて照射されることを阻止する。被写体を通過したX線はイメージセンサ38によって検出される。二次スリット手段40は、図2に示すように、イメージセンサ38に入るX線の幅および高さを規制し、不要なX線がイメージセンサ38に入るのを阻止する。X線撮影する際に選択される一次スリット手段30のスリットと二次スリット手段40のスリットとは、相互に相似形であり、二次スリット手段40のスリットは、一次スリット手段30を介して放射される放射ビーム形状よりも幾分小さくなるように設定するのが望ましい。なお、本構成のX線撮影装置においては、後に詳述するとおり、部分CT断層撮影およびパノラマ断層撮影が可能であるので、このことに関連して、一次スリット手段30および二次スリット手段40は、それぞれ、選択された断層撮影の様式に対応したスリット開口となるように構成されており、それらの構成については後述する。
次に、図2を参照して、X線撮影装置の概要についてさらに説明する。水平アーム16と支持アーム24との間に介在された平面移動機構20は、上述したとおり、X軸テーブルおよびY軸テーブルを含んでいる。たとえば、X軸テーブルは前後方向に移動自在に水平アーム16に装着されており、このX軸テーブルに関連して、これを前後方向に移動させるためのX軸制御モータ42が設けられている。また、Y軸テーブルは横方向に移動自在にX軸テーブルに装着されており、このY軸テーブルに関連して、これを横方向に移動させるためのY軸制御モータ44が設けられている。また、Y軸テーブルには回転軸22が回転自在に支持され、この回転軸22に関連して、これを回転させるための回転駆動手段を構成する回転制御モータ46が設けられている。このように構成されているので、X軸制御モータ42を回転駆動することによって、支持手段18を水平アーム16、すなわち装置フレーム2に対して前後方向に移動させることができ、またY軸制御モータ44を回転駆動することによって、支持手段18を水平アーム16に対して横方向に移動させることができ、さらに回転制御モータ46を回転駆動することによって、支持手段18を水平アーム16に対して上下方向に延びる軸線を中心として回動させることができる。X軸制御モータ42、Y軸制御モータ44および回転制御モータ46は、部分CT撮影およびパノラマ撮影にあたって支持手段18を所要のとおり移動させるための移動手段を構成する。
一次および二次スリット手段30,40には、それぞれ、スリットの幅を制御するためのスリット幅制御モータ52,54とスリットの高さを制御するためのスリット高さ制御モータ56,58が設けられている。本構成では、一次および二次スリット手段30,40は実質上同一の構成であり、図3および図4を参照してその具体的構成を説明する。一次(二次)スリット手段30(40)は、幅方向に配設された一対の幅遮蔽部材60,62と、高さ方向に配設された一対の高さ遮蔽部材64,66を備え、これら4枚の遮蔽部材によって矩形状のスリット67を規定する。一対の幅遮蔽部材60,62の一端部にはブロック状部材68,70が設けられ、ブロック状部材68,70を貫通してねじ軸72が設けられている。ねじ軸72にはねじ山が相互に反対方向である一対のねじ部が設けられ、片方のねじ部にブロック状部材68が螺合され、他方のねじ部にブロック状部材70が螺合されている。そして、ねじ軸72はスリット幅制御モータ52(54)に駆動連結されている。したがって、スリット幅制御モータ52(54)が所定方向(または所定方向と反対方向)に回転駆動されると、ねじ軸72の回転によって一対の幅遮蔽部材60,62は矢印74,76で示す方向(または矢印74,76で示す方向とは反対方向)に相互に近接(または離隔)する方向に移動され、一対の幅遮蔽部材60,62によって規制されるスリット67の幅が狭め(または広め)られる。また、一対の高さ遮蔽部材64,66の一端部にはブロック状部材78,80が設けられ、ブロック状部材78,80を貫通してねじ軸82が設けられている。ねじ軸82には、ねじ軸72と同様に、ねじ山が相互に反対方向である一対のねじ部が設けられ、片方のねじ部にブロック状部材78が螺合され、他方のねじ部にブロック状部材80が螺合されている。そして、ねじ軸82はスリット高さ制御モータ56(58)に駆動連結されている。したがって、スリット高さ制御モータ56(58)が所定方向(または所定方向と反対方向)に回転駆動されると、ねじ軸82の回転によって一対の高さ遮蔽部材64,66は矢印84,86で示す方向(または矢印84,86で示す方向とは反対方向)に相互に近接(または離隔)する方向に移動され、一対の高さ遮蔽部材64,66によって規制されるスリット67の高さが狭め(または広め)られる。
スリット幅制御モータ52,54およびスリット高さ制御モータ56,58によるスリット67の大きさの切換えは、選択される撮影モードに対応して次のとおりに設定される。図5(図5では、スリット開口を斜線を付して示している)を参照して、本構成では、部分CT断層撮影が選択された場合には、一次および二次スリット手段30,40は、図5(a)に示すように、小さい正方形状のスリット67aを規定し、スリット67aの大きさは、たとえば一辺が50mm程度に設定される。このようなスリット67aの場合、X線源28からのX線はスリット67aを通過することによって四角錐状に撮影領域に向けて照射される。また、パノラマ断層撮影が選択された場合には、一次および二次スリット手段30,40は、図5(b)に示すように、上下方向に細長い長方形状のスリット67bを規定し、スリット67bの大きさは、たとえば幅が6mm程度で、高さが150mm程度に設定される。一次および二次スリット手段30,40のスリット67の切換え動作については、後述する。
本構成では、一対の幅遮蔽部材60,62および一対の高さ遮蔽部材64,66が相互に近接または離隔する方向に移動されるが、これに代えて、一対の幅遮蔽部材60,62においては、それらの片方を他方に対して移動させるようにしてもよく、また一対の高さ遮蔽部材64,66においても、それらの片方を他方に対して移動させるようにしてもよい。また、このようなスリット手段30,40として所定形状の開口を複数個有するスリット板から構成し、スリット板を移動させるようにすることもできる。
次いで、図2および図6を参照して、チンレスト12を所定位置に位置付けるための被写***置調整機構10およびそれに関連する構成について説明する。被写***置調整機構10は、装置フレーム2の昇降フレーム8内に固定された案内フレーム90を備えている。案内フレーム90は、横方向(図6において紙面に垂直な方向)に間隔を置いて配設された一対の側壁部92(図6において片方のみ示す)を有し、一対の側壁部92間に接続壁部94が設けられている。接続壁部94の中央部には、上下方向に延びる細長いスロット96が形成されている。この案内フレーム90の側壁部92間には、第1の移動テーブル98が上下方向に移動自在に装着されている。第1の移動テーブル98は、矩形状の第1のテーブル本体100を有し、このテーブル本体100の両端部には、それぞれ、一対のコロ102が回転自在に装着されている。一対の側壁部92には、また、接続壁部94と所定の間隔を置いて案内壁部104(図6において片方のみ示す)が設けられており、接続壁部94の両側部と一対の案内壁部104との間に上記コロ102が回転自在に受入れられている。第1のテーブル本体100の中央部には、接続壁部94のスロット96を貫通して延びるブロック部材106が設けられている。また、接続壁部94の上下方向両端部には、取付部材110,118が固定され、これら取付部材110,118間にねじ軸112が回転自在に支持され、このねじ軸112にブロック部材106が螺合されている。ねじ軸112の一端部は取付部材118を貫通して下方に突出し、この突出端部にZ軸制御モータ114が駆動連結されている。このZ軸制御モータ114は取付部材118を介して接続壁部94に固定されている。このように構成されているので、コロ102が接続壁部94と案内壁部104に案内され、Z軸制御モータ114の回転駆動によって第1の移動テーブル98は上下方向に移動され、ブロック部材106がスロット96の上端部に位置する上端位置とブロック部材106がスロット96の下端部に位置する下端位置との間を移動自在である。
また、第1の移動テーブル98には、第2の移動テーブル116が前後方向(図6において左右方向)に移動自在に装着されている。第1のテーブル本体100の外面には、案内フレーム118が固定されている。案内フレーム118は、横方向に間隔を置いて配設された一対の側壁部120(図6において片方のみ示す)を有し、一対の側壁部120の間に接続壁部122が設けられているとともに、各側壁部120に案内壁部124が設けられている。一対の側壁部120の間には、第2の移動テーブル116が前後方向に移動自在に装着されている。第2の移動テーブル116は、矩形状の第2のテーブル本体128を備え、このテーブル本体128の両端部に、それぞれ、一対のコロ130が回転自在に装着され、これらコロ130が接続壁部122と一対の案内壁部124との間に回転自在に受入れられている。第1の移動テーブル98と同様に、第2のテーブル本体128には、接続壁部122に形成されたスロット132を貫通して延びるブロック部材134が設けられ、このブロック部材134が、接続壁部122に設けられた取付部材136,138の間に回転自在に支持されたねじ軸140に螺合されている。ねじ軸140の一端部は取付部材136を貫通して前方に突出し、この突出端部にX軸制御モータ142が駆動連結されている。X軸制御モータ142は取付部材136を介して接続壁部122に固定されている。このように構成されているので、第2の移動テーブル116においても、第2のテーブル本体128は、コロ130が接続壁部122と案内壁部124に案内されることによって第1の移動テーブル98に対して垂直な前後方向に移動自在であり、ブロック部材134がスロット132の前端部に位置する前端位置とブロック部材134がスロット132の後端部に位置する後端位置との間を移動することができる。
さらに、第2の移動テーブル116には、第3の移動テーブル144が横方向(図6において紙面に垂直な方向)に移動自在に装着されている。第2のテーブル本体128の上面には、一対の案内部材146が前後方向に間隔を置いて固定されている。各案内部材146には、所定の間隔を置いて案内壁部148,150が設けられている。一対の案内部材146の間には、第3の移動テーブル144が配設される。第3の移動テーブル144は、矩形状の第3のテーブル本体152を備え、このテーブル本体152の両端部に、それぞれ、一対のコロ154が回転自在に装着され、これらコロ154が一対の案内壁部146の案内壁部148,150の間に回転自在に受入れられている。第3のテーブル本体152にはブロック部材153が設けられ、一方、第2のテーブル本体128に設けられた取付部材(図示せず)の間にはねじ軸156が回転自在に支持され、このねじ軸156にブロック部材153が螺合されるとともに、Y軸制御モータ158が駆動連結されている。このように構成されているので、第3の移動テーブル144においても、第3のテーブル本体152は、コロ154が案内壁部148,150に案内されることによって第2の移動テーブル116の移動方向に対して垂直な横方向に所定の範囲に渡って移動自在である。
チンレスト12は、支持ロッド160を有し、この支持ロッド160の下端部が第3の移動テーブル144に固定されている。本構成では、図1および図6から理解されるとおり、第2の移動テーブル116および第3の移動テーブル144は、保護カバー162によって覆われており、この保護カバー162は、第1の移動テーブル98の移動と一体的に上下動される。保護カバー162にはスロットが形成されており、このスロットを通して支持ロッド160が上方に突出している。本構成では、さらに第3の移動テーブル144に、イヤロッド163が設けられている。イヤロッド163の先端部は被写体である患者の耳に当てられ、このようにイヤロッド163を当てることによって、被写体を一層正確に所定位置に保持することができる。
このように構成されているので、Z軸制御モータ114が所定方向(または所定方向とは反対方向)に回転駆動されると、ねじ軸112の回動によって第1のテーブル本体100が昇降フレーム8、したがって装置フレーム2に対して上方(または下方)に移動される。また、X軸制御モータ142が所定方向(または所定方向と反対方向)に回動されると、ねじ軸140の回動によって第2のテーブル本体128が昇降フレーム8に対して前方(または後方)に移動される。さらに、Y軸制御モータ158が所定方向(または所定方向と反対方向)に回動されると、ねじ軸156の回動によって第3のテーブル152が左方(または右方)に移動される。そして、X軸、Y軸およびZ軸制御モータ142,158,114を所要のとおりに制御することによって、チンレスト12に位置付けられる被写体をX線源28およびイメージセンサ38間の所定位置に、換言すると所定の撮影領域に位置付けることができる。
上述した各種モータ15,42,44,46,52,54,56,58,114,142,158は、たとえばステッピングモータから構成され、図7に示すX線撮影装置の制御手段170によって作動制御される。制御手段170は、たとえばマイクロプロセッサから構成することができ、入力手段174からの入力信号に基づいてこれらモータを後述するとおり制御する。本構成では、入力手段174は、図8に示す操作パネル176を含んでいる。操作パネル176の左下に設けられた大きいスイッチ178は、装置の電源をオン、オフするためのものであり、一度押圧するとX線撮影装置の電源がオンとなり、もう一度押圧するとその電源がオフとなる。この操作パネル176には、さらに上から順に、次のスイッチが設けられている。2個のスイッチ180,182は、撮影モードを選択するモード切換手段を構成し、本構成では、CTモードおよびパノラマモードを撮影モードとして選択的に選択することができる。スイッチ180はCTモードスイッチであり、このスイッチ180を押圧すると、後述するようにして部分CT断層撮影が得られる。また、スイッチ182はパノラマモードスイッチであり、このスイッチ182を押圧すると、後述するようにしてパノラマ断層撮影が得られる。
撮影モード切換スイッチ180,182の下側には、被写体選択スイッチ186,188,190が配設されている。これら被写体選択スイッチ186,188,190は、その下側に配設された歯位置選択スイッチ192〜210と組合わせて使用され、撮影モードに対応し、かつ撮影部位に対応した位置にチンレスト12を位置付けるために用いられる。スイッチ186は、被写体が小さい子供のときに押圧され、スイッチ188は、被写体が普通の子供のときに押圧され、またスイッチ190は、被写体が大人のときに押圧される。また、スイッチ192,194は、撮影する歯が上顎歯か下顎歯かを選択するものであり、上顎歯を撮影するときには、スイッチ192が押圧され、下顎歯を撮影するときにはスイッチ194が押圧される。またスイッチ198,200は、撮影する歯が左顎歯か、右顎歯かを選択するものであり、左顎歯であるときにはスイッチ198が押圧され、右顎歯であるときにはスイッチ200が押圧される。スイッチ204〜210は、撮影する歯の位置を特定するスイッチであり、歯列弓の中央に位置する正中線を基準にして、第1および第2番目の歯のときにはスイッチ204が押圧され、第3および第4番目の歯のときにはスイッチ206が押圧され、第5および第6番目の歯のときはスイッチ208が押圧され、さらに第7および第8番目の歯のときにはスイッチ210が押圧される。これらのスイッチ186〜210によるチンレスト12の位置付けについては、後述する。
スイッチ204〜210の下側のスイッチ212〜222は、チンレスト12の位置を微調整するためのものである。スイッチ212は、チンレスト12を上方に移動させるためのスイッチであり、このスイッチ212を押圧している間Z軸制御モータ114が所定方向に回転駆動され、一方スイッチ214はチンレスト12を下方に移動させるためのスイッチであり、このスイッチ214を押圧している間Z軸制御モータ114が所定方向と反対方向に回転駆動される。スイッチ216はチンレスト12を左方に移動させるためのスイッチであり、このスイッチ216を押圧している間Y軸制御モータ158が所定方向に回転駆動され、一方スイッチ218はチンレスト12を右方に移動させるためのスイッチであり、このスイッチ218を押圧している間Y軸制御モータ158が所定方向と反対方向に回転駆動される。さらに、スイッチ220は、チンレスト12を前方に移動させるためのスイッチであり、このスイッチ220を押圧している間X軸制御モータ142が所定方向に回転駆動され、一方、スイッチ222は、チンレスト12を後方に移動させるためのものであり、このスイッチ222を押圧している間X軸制御モータ142が所定方向と反対方向に回転駆動される。
スイッチ220,222の下側に、撮影スタートスイッチ224が設けられている。撮影スタートスイッチ224を押圧すると、被写体へのX線の照射が開始され、X線撮影が行われる。
制御手段170は、各種モータを作動制御するための作動制御手段172を有し、この作動制御手段172は移動手段を構成するX軸制御モータ42、Y軸制御モータ44および回転制御モータを作動制御するための移動制御手段173を含み、この作動制御手段172からの制御信号は、図7に示すように各種モータに同時に時々刻々に送給される。本構成では、制御手段170は、位置記憶手段を構成するチンレスト位置記憶手段226および処理情報記憶手段228を含んでいる。チンレスト位置記憶手段226には、各撮影モードにおける被写***置情報、すなわちX線源28およびイメージセンサ38と被写体の撮影部位との位置関係に関する情報が記憶されており、操作パネル176(図8)に配置された撮影モードを選択するスイッチ180,182により選択された撮影モードに応じて撮影位置が決定される。特に、CTモードを選択した場合、被写体を選択するスイッチ186〜190によって選択された被写体の大きさと、撮影する歯の範囲乃至位置を指定するスイッチ192〜210によって指定された撮影範囲乃至位置とに基づいて、選択されたCT撮影モードにおける被写***置情報からそれに対応する特定被写***置情報が読出され、かく読出された特定被写***置情報に基づいて作動制御手段172は、X軸制御モータ142、Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を所要のとおり制御し、チンレスト12は、操作パネル176によってセットされた撮影位置に位置付けられる。したがって、スイッチ186〜210が被写***置を設定するための位置選択手段を構成し、この位置選択手段によって選択された位置にチンレスト12が自動的に位置付けられる。なお、このセットされた被写***置は、操作パネル176のスイッチ212〜222を押圧することによって、上下方向、左右方向および前後方向に微調整することができる。これに対して、パノラマモードを選択した場合、被写体を選択するスイッチ186〜190によって選択された被写体の大きさに基づいて、選択された大人、小人、女性等のパノラマ撮影モードにおける被写***置情報からそれに対応する特定被写***置情報が読出され、この読出された特定被写***置情報に基づいてモータ114,142,158が制御される。
上述した構成では、被写体を撮影位置に位置付けるための位置付け手段(上記構成ではチンレスト12)をチンレスト位置記憶手段226に記憶された被写***置情報に基づいて自動的に位置付けしているが、必ずしも自動的に行う必要はなく、手動操作によって位置付けるように構成することもできる。
また、処理情報記憶手段228には、部分CT断層画像を得るためのCT処理情報とパノラマ断層画像を得るためのパノラマ処理情報とが記憶されている。スイッチ180を押圧してCTモードを選択した場合、処理情報記憶手段228のCT処理情報が選択され、このCT処理情報に基づいて制御手段170は種々のモータ等の各種構成要素を作動制御する。すなわち、作動制御手段172の移動制御手段173は、部分CT撮影中、このCT処理情報に基づいて回転制御モータ46を回転駆動し、X線源28およびイメージセンサ38はCT画像形成軌跡に沿って移動される。また、スイッチ182を押圧してパノラマモードを選択した場合、処理情報記憶手段228のパノラマ処理情報が選択され、このパノラマ処理情報に基づいて制御手段170は種々のモータ等の各種構成要素を作動制御する。すなわち、作動制御手段172の移動制御手段173は、パノラマ撮影中、このパノラマ処理情報に基づいて、X軸制御モータ42、Y軸制御モータ44および回転制御モータ46を作動制御し、X線源28およびイメージセンサ38はパノラマ画像形成軌跡に沿って移動される。CT画像形成軌跡およびパノラマ画像形成軌跡については、後述する。
この構成では、CTモードを選択した場合、CT処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30、40は一次および二次CTスリット67aを規定する。CTモードを選択すると、作動制御手段172は上記CT処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30,40のスリット幅制御モータ52,54およびスリット高さ制御モータ56,58を作動制御し、一次および二次スリット手段30,40は、それぞれ、図5(a)に示す小さい正方形状のスリット67aを規定する。また、パノラマモードを選択した場合、パノラマ処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30,40は一次および二次パノラマスリット67bを規定する。パノラマモードを選択すると、作動制御手段172は上記パノラマ処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30,40のスリット幅制御モータ52,54およびスリット高さ制御モータ56,58を作動制御し、一次および二次スリット手段30,40は、それぞれ、図5(b)に示す細長いスリット67bを規定する。
このように制御されるので、一次および二次スリット手段30,40のスリット幅制御モータ52,54ならびにスリット高さ制御モータ56,58は、それぞれ、一次および二次スリット切換手段を構成し、かかる一次および二次スリット切換手段によって一次および二次スリット手段30,40のスリット67の大きさが制御される。
イメージセンサ38にて検出された画像信号は、次のとおりに処理される。図9を参照して、イメージセンサ38からの画像信号は、画像信号処理手段236に送給される。画像信号処理手段236は、たとえば画像処理用マイクロプロセッサから構成することができる。本構成の画像信号処理手段236は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段238、画像情報を記憶するフレームメモリ240および演算用画像メモリ241を含んでいる。イメージセンサ38から画像信号処理手段236に送給された画像信号は、A/D変換手段238によってデジタル信号に変換され、デジタル変換された画像情報がフレームメモリ240に格納される。フレームメモリ240に格納された複数の画像情報は、演算用画像メモリ241に記憶され、演算用画像メモリ241から読出された画像情報に対して、選択された撮影モードに対応した所定の演算処理が行われ、選択されたモードの断層画像が生成される。
さらに説明すると、制御手段170の処理情報記憶手段228に記憶されたCT処理情報にはCT画像処理情報が含まれており、またパノラマ処理情報にはパノラマ画像処理情報が含まれている。スイッチ180(図8)を押圧してCTモードを選択した場合には、処理情報記憶手段228からCT処理情報が選択されて画像処理手段236に送給され、画像信号処理手段236は、CT処理情報に含まれたCT画像処理情報に基づいてフレームメモリ240に格納された画像情報を処理し、これによって部分CT断層画像が生成される。また、スイッチ182(図8)を押圧してパノラマモードを選択した場合には、処理情報記憶手段228からパノラマ処理情報が選択され、画像信号処理手段236は、パノラマ処理情報に含まれたパノラマ画像処理情報に基づいてフレームメモリ240に格納された画像情報を処理し、これによってパノラマ断層画像が生成される。
画像信号処理手段236にて生成された断層画像(部分CT断層画像またはパノラマ断層画像)の信号は、たとえばディスプレイでよい表示手段248に送給され、断層画像信号が断層画像情報として表示手段248に表示される。かくのとおりに画像処理されるので、選択された撮影モードの断層画像が表示手段248に表示される。また、断層画像を保存するための外部記憶手段246が設けられている。この外部記憶手段246としては、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置を用いることができ、磁気ディスク、光磁気ディスクに記憶することができる。
なお、この構成では、フレームメモリ240に格納された画像情報の濃度に基づいてX線源28から照射されるX線照射量が調整されるように構成されている。X線源28は、X線管(図示せず)を備えており、管電圧、管電流、通電時間等を制御することによって、被写体へのX線照射量が調整され、かく調整することによって、均一な断層画像が得られる。
イメージセンサ38として、MOSイメージセンサを好都合に用いることができる。次に、図10を参照して、MOSイメージセンサの動作原理について説明する。
図10(a)において、受光画素を構成するフォトダイオードPDは入射した光を電気信号に変換する。フォトダイオードPDには、MOSFETから成るスイッチSWが直列接続されており、さらに演算増幅器Q1の反転端子に接続される。演算増幅器Q1は帰還抵抗R1が接続されて電流電圧変換回路を構成しており、入力電流が電圧信号として出力される。また演算増幅器Q1の非反転端子にはグランド(GND)に対して電圧V1が印加されている。
図10(b)において、正の読出しパルスRDがスイッチSWのゲートに入ると、スイッチSWが開いて、フォトダイオードPDが逆バイアス状態になり、接合容量C1に一定の電荷が充電される。次にスイッチSWが閉じて、蓄積期間中に光が入射すると、充電されていた電荷は光入射による電荷によって放電し、フォトダイオードPDのカソード電位はグランド電位に近づいていく。この放電電荷量は入射光量に比例して増加する。次に読出しパルスRDがスイッチSWのゲートに入ってスイッチSWが開くと、蓄積時間内に放電した電荷に相当する電荷が帰還抵抗R1を介して供給されるとともに、フォトダイオードPDは再び逆バイアス状態になって初期化される。このとき帰還抵抗R1の両端には充電電流による電位差が生じ、演算増幅器Q1から電圧信号として出力される。この充電電流は光入射による放電電流に相当するため、この出力電圧により入射光量が検知される。
図11は、X線イメージセンサ38の構造を示す断面図である。受光画素となるフォトダイオードPDが2次元配列したMOSイメージセンサ252の上に、光学像を伝送する光ファイバ素子(FOP)254が設置され、さらにその上にX線を可視光に変換するシンチレータ層256が形成される。被写体を通過したX線像は、シンチレータ層256によって可視光像に変換され、さらに光ファイバ素子254によって伝送され、そのままMOSイメージセンサ252で光電変換される。
図12は、MOSイメージセンサ252の駆動回路である。受光画素となるフォトダイオードPDがm行×n列のマトリクス状に配列しており、各フォトダイオードPDに接合容量C1が並列接続され、読出し用のスイッチSWが直列接続されている。スイッチSWのゲートはアドレス選択回路SLが接続され、画像信号処理手段236からの信号に基づいて読出すべきフォトダイオードPDが選択される。
スイッチSWの出力側は列単位で共通接続され、電流電圧変換回路を構成する演算増幅器Q1に入力される。演算増幅器Q1の出力は、サンプルホールド(S/H)回路によってサンプリングされる。各サンプルホールド回路はm段のシフトレジスタSRによって開閉するスイッチSWbに接続されている。各スイッチSWbが順番に開閉することによって、サンプリングされた信号は時系列信号として画像信号処理手段236のA/D変換手段238に出力される。なお、各演算回路Q1と各サンプルホールド回路との間に積分回路を設けることもできる。積分回路は電流(または電圧)を積算し、サンプルホールド回路は上述の積算した量(積算量)をサンプリングする。このように積分回路を設けることによって、その出力は積算時間を含んだものとなり、その結果検出信号の感度を上げることができる。
図13は、図12の駆動回路の動作を示すタイミング図である。ここではアドレス選択回路SLとしてシフトレジスタを用いる例を説明する。アドレス選択回路SLは、画像信号処理手段236からのスタートパルスによって起動され、画像信号処理手段236からの読出しクロックに同期して、第1列の読出しパルスRD1、第2列の読出しパルスRD2、…、第n列の読出しパルスRDnを順番に出力する。
たとえば第1列の読出しパルスRD1が第1列の各スイッチSWのゲートに入力されると、第1列の各フォトダイオードPDへの入射光量に相当する電荷が読出され、演算増幅器Q1から電圧信号が出力される。次に演算増幅器Q1の出力がピークになる時点をサンプリングするように、サンプリングパルスSPが各サンプルホールド回路に入力される。サンプリングされた信号はシフトレジスタSRより次のサンプリングパルスSPが入るまでにm個のパルスから成るシフトクロックCKによって転送され、1走査線分の画像信号として外部に出力される。第2列以降についても同様に、1つの読出しパルスによってm行分の信号が並列的に読出され、シフトレジスタSRによって1走査線分の時系列信号が構成される。
図14は、MOSイメージセンサを多段接続した回路例である。m行n列の受光画素を有する2つのMOSイメージセンサ252a、252bが列方向に連んで配置され、アドレス選択回路SLであるシフトレジスタSLaからの各読出しパルスRD1〜RDnが同一列で駆動されるように接続されている。1つの読出しパルスによって2m個のフォトダイオードから信号が並列的に読出されて、各列に対応した2m個の演算増幅器Q1およびサンプルホールド回路に入力される。2つのシフトレジスタSRa、SRbが2つのMOSイメージセンサ252a、252bに対応して配置され、2m個のスイッチSWbを順番に開閉することによって各サンプルホールド回路からの出力を画像信号処理手段236へ時系列信号として転送する。画像信号処理手段236に送給された信号はA/D変換手段238によってデジタル信号に変換され、しかる後、フレームメモリ240に格納される。図14においては、2個のMOSイメージセンサ252a,252bを用いた例を説明したが、MOSイメージセンサを3段以上接続することもできる。
次に、主として図2、図7、図9および図15〜図17を参照して、上述したX線撮影装置の撮影動作について説明する。
図15を参照して、まず、撮影モードの選択に関するフローチャートを説明する。操作パネル176の電源スイッチ178(図8)を閉(オン)にすると、ステップS1に進み、X線撮影装置に電流が供給され、後述するX線撮影が可能となる。
次に、ステップS2において、CTモードであるか否かが判断される。操作パネル176のスイッチ180(図8)を押圧してCTモードを選択したした場合には、ステップS2からステップS3に進み、CTモード撮影動作が遂行される。スイッチ180を押圧しないと、ステップS4に進み、スイッチ182(図8)を押圧したか否かが判断される。スイッチ182を押圧してパノラマモードを選択した場合には、ステップS4からステップS5に進み、パノラマ撮影動作が遂行される。このスイッチ182が押圧されないとステップS2に戻り、スイッチ180,182のどちらかが押圧されるまで、上述したルーチンが繰返し遂行される。
ステップS2でCTモードが選択された場合におけるステップS3で遂行されるCTモード撮影動作は、図16のフローチャートに従って行われる。図7〜図9および図16を参照して、CTモードを選択した場合には、ステップS3−1において、制御手段170の処理情報記憶手段228から選択された撮影モードに対応した処理情報、すなわちCT処理情報が選択される。次いで、ステップS3−2において、選択されたCT処理情報に基づいて一次スリット手段30のスリット開口が一次CTスリット67a図5(a)に設定される。また、ステップS3−3において、CT処理情報に基づいて二次スリット手段40のスリット開口が二次CTスリット67a図5(a)に設定される。ステップS3−2およびS3−3におけるスリット開口に切換えは、上述したように、CT処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30,40のスリット幅制御モータ52,54およびスリット高さ制御モータ56,58を作動制御することによって行われる。このように、一次および二次スリット手段30,40が一次および二次CTスリット67aに設定されると、X線撮影装置は部分CT撮影の撮影可能状態となる。なお、ステップS3−2およびステップS3−3は、この順序で遂行される必要はなく、その順序が逆でもよい。
その後、チンレスト12を所定の位置に位置付ける。チンレスト12の位置付けは、上述したように、操作パネル176のスイッチ186〜210、さらに必要に応じてスイッチ212〜222を押圧することによって行う。スイッチ186〜210を押圧して、部分CT撮影の被写体の大きさ、撮影部位等に関する情報を入力すると、制御手段170のチンレスト位置記憶手段226に記憶された被写***置情報から入力した情報に対応した位置情報が読出され、読出された位置情報に基づいてチンレスト12の位置付けが行われる。この位置付けは、上述したように、被写***置情報から読出された位置情報に基づいて、被写***置調整機構10のX軸制御モータ142、Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を作動制御することによって行われる。このようにチンレスト12を撮影位置に位置付けると、チンレスト12に顎部を載せた状態で、被写体の撮影すべき部位が撮影領域262(図18)に位置付けられる。
次いで、ステップS3−6においてスタートスイッチ224を押圧して支持手段18、すなわち支持アーム24を横方向に延びる特定角度位置に位置付け、X線源28およびイメージセンサ38を部分CTX線線撮影開始位置に位置付ける(ステップS3−6)。この支持手段18の位置付けは、CT処理情報に基づいて作動制御手段172が回転制御モータ46を作動制御することによって行われる。この横方向に延びる特定角度位置とは、X線源28とイメージセンサ38とを結ぶ線Qが真横に対して±30度の角度範囲θ内の特定角度位置であり、この構成では上記線Qが真横に延びる図20に示す角度位置に位置付けられる。
その後、被写体である患者を基台4上に立たせてその顎部をチンレスト12に載置させ、イヤロッド163を患者の耳に当てる。このようにすると、撮影すべき部位(たとえば患部の撮影部位)がX線源28(図2)とイメージセンサ38(図2)との間に存在する撮影領域262(図18に円で示す)に位置付けられ、煩雑な位置設定操作を行うことなく良好な断層画像を得ることができる。
この構成では、図20から理解されるとおり、支持アーム24の第1の取付部26と第2の取付部32との間を通して前方から患者が撮影領域262に向けて移動するようになっており、このことに関連して撮影領域262への患者の出入経路は、支持アーム24の第1および第2の取付部26,32の間を上記前後方向(図20において上下方向)に延びている。このような構成のX線撮影装置では、部分CT撮影前、支持手段18をたとえば図20に示す特定角度位置に位置付けることによって、第1の取付部26(これに取付けられたX線源28等)が上記出入経路の図20において左側に、また第2の取付部32(これに取付けられたイメージセンサ38等)が上記出入経路の図20において右側に位置し、かくして患者の出入経路から第1および第2の取付部26,32が外れ、患者は撮影領域262に容易に入ることができる。なお、上記特定角度位置において、第1の取付部26が上記出入経路の右側に、第2の取付部32が上記出入経路の左側に位置するように構成することもできる。
なお、上述した手順では、まず、チンレスト12を撮影位置に位置付け、次いでX線源28およびイメージセンサ38を撮影開始位置に位置付け、しかる後に患者を撮影領域262に導入させているが、これらの順序は適宜変更することができる。たとえば、患者を撮影位置に導入させ、次いでチンレスト12に顎部を載せた状態でこれを撮影位置に位置付け、しかる後X線源28およびイメージセンサ38を撮影開始位置に位置付けるようにすることもできる。
X線撮影装置に対する被写体の位置付けが終了すると、操作パネル176のスタートスイッチ224を再度押圧する。このようにすると、図16のステップS3−7からステップS3−8に進み、部分CTX線撮影が遂行される。すなわち、X線源28から発生するX線が撮影領域262に照射され、被写体を通過したX線がイメージセンサ38にて検出され、このX線照射中、X線源28および一次スリット手段30ならびにイメージセンサ38および二次スリット手段40は、CT画像形成軌跡に沿って、すなわち、これらを支持する支持手段18はその回転軸線を中心として回動される。さらに詳述すると、部分CT断層撮影においては、図18に示す通り、X線源28とイメージセンサ38とを結ぶ線264の中央の点P(この中央点Pは、回転軸22の中心軸線と一致している)を中心に、たとえば50mm程度の範囲、換言すると2〜3本の歯を含む局部的領域が撮影領域262となる。そして、部分CT撮影のときには、撮影中上記中央点Pは変動することなく、この中央点Pを中心としてたとえば矢印266で示す時計方向にX線源28およびイメージセンサ38が一定の回転速度で360度回転され、このように回転することによって、撮影領域262に位置する撮影部位についての360度の全方向からの撮影画像が得られる。X線源28からのX線は一次スリット手段30を通して照射されるので、X線は四角錐状に照射され、したがってこの撮影領域262は、たとえば直径が50mm、高さが50mm程度の円柱状となり、この撮影領域262は、回転軸22の回転軸線の延長線上に配置される。イメージセンサ38にて得られた画像信号は、A/D変換手段238によってデジタル信号に変換された後フレームメモリ240に格納される。本構成では、一次スリット手段30は正方形状の一次CTスリット67aを規定するので、X線源28からのX線は、撮影領域262に向けて四角錐状に照射される。また、イメージセンサ38は、矢印266で示す回動方向に1度間隔毎に対応する撮影画像の信号を生成し、360度回転することによって360の撮影画像に対応する信号が生成され、これら撮影画像信号が、それぞれ、フレームメモリ240に記憶される。上述したようにX線源28およびイメージセンサ38が移動されるので、CT軌跡情報は、X線源28およびイメージセンサ38を変動しない中央点Pを中心として旋回させるというものであり、CTモードの場合には、部分CT撮影中このCT処理情報に基づいて回転制御モータ46が作動制御され、支持アーム24が矢印266で示す方向に回動される。
ステップS3−8における部分CTX線撮影が終了すると、ステップS3−9に移り、得られた撮影画像に基づいて部分CT断層撮影画像が生成される。部分CT断層撮影画像を生成するときには、フレームメモリ240に格納された撮影画像の情報が読出され、読出された画像情報が演算用メモリ241に記憶され、画像信号処理手段236は、演算用メモリ241から読出された撮影画像を、CT画像処理情報に基づいて画像処理し、このように画像処理することによって部分CT断層画像が生成される。
生成された部分CT断層画像は、ステップS3−10において、表示手段248に表示される。このようにして、被写体の所定部位の部分CT断層画像が得られ、表示手段248に表示された部分CT断層画像を見ながら、たとえば歯科治療におけるインプラント手術を容易に行うことができる。
なお、部分CTX線撮影終了後、支持アーム24は再び図20に示す特定角度位置に位置付けられる。撮影終了後もこのように支持アーム24を位置付けることによって、被写体である患者は、撮影領域262から前方に移動して撮影領域262の外に出ることができる。なお、上記特定角度位置においては、X線源28とイメージセンサ38とを結ぶ線Qが真横に対して±30度の角度範囲θ内の特定角度位置に位置するので、患者の撮影領域262への出入りが容易となる(図20)。
また、ステップS4でパノラマモードが選択された場合におけるステップS5で遂行されるパノラマモード撮影動作は、図17のフローチャートに従って行われる。図7〜図9および図17を参照して、パノラマモードを選択した場合には、ステップS5−1において、処理情報記憶手段228から選択された撮影モードに対応した処理情報、すなわちパノラマ処理情報が選択される。次いで、ステップステップS5−2において、選択されたパノラマ処理情報に基づいて一次スリット手段30のスリット開口が一次パノラマスリット67b図5(b)に設定される。また、ステップS5−3において、パノラマ処理情報に基づいて二次スリット手段40のスリット開口が二次パノラマスリット67b図5(b)に設定される。ステップS5−2およびS5−3におけるスリット開口の切換えは、上述した如く、パノラマ処理情報に基づいて一次および二次スリット手段30,40のスリット幅制御モータ52,54およびスリット高さ制御モータ56,58を作動制御することによって行われる。このように一次および二次スリット手段30,40が一次および二次パノラマスリット67bに設定されると、X線撮影装置はパノラマ撮影の撮影可能状態となる。なお、ステップS5−2およびS5−3は、順序が逆でもよい。
その後、チンレスト12を所定の位置に位置付ける。この位置付けは、被写***置調整機構10のX軸制御モータ142、Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を作動制御することによって行われる(ステップS5−4)。
次いで、ステップS5−5においてスタートスイッチ224を押圧して支持手段18を所定位置における所定角度位置、たとえば支持アーム24の回転軸線が包絡線268(図19)の一端に位置するとともに、X線源28からイメージセンサ38へのX線が歯列弓272(図19)に対して実質上垂直に照射される角度位置に位置付け、X線源28およびイメージセンサ38をパノラマX線撮影開始位置に位置付ける(ステップS5−7)。
この支持手段18の位置付けは、パノラマ処理情報に基づいて移動制御手段173が平面移動機構20のX軸制御モータ42およびY軸制御モータ44ならびに回転制御モータ46を作動制御することによって行われる。
その後、被写体である患者を基台4上に移動させてその顎部をチンレスト12に載置させ、患者の耳にイヤロッドを当接させる。このようにすると、撮影すべき部位(たとえば患部)がX線源28(図2)とイメージセンサ38(図2)との間の所定位置に位置付けられ、煩雑な位置設定操作を行うことなく良好なパノラマ断層画像を得ることができる。
なお、このパノラマX線撮影においてもチンレスト12を撮影位置に位置付け、次いでX線源28およびイメージセンサ38を撮影開始位置に位置付け、しかる後に患者を導入させているが、たとえば、患者を基台4上に導入させ、次いでチンレスト12に顎部を載せた状態でこれを撮影位置に位置付け、しかる後X線源28およびイメージセンサ38を撮影開始位置に位置付けるように手順を変更することもできる。また、支持アーム24を上記特定角度位置(図20)に一旦位置付け、この特定角度位置に位置する状態で患者を基台4上に導入し、その後X線源28およびイメージセンサ38を撮影開始位置に位置付けるようにすることもできる。
X線撮影装置に対する被写体の位置付けが終了すると、操作パネル176のスタートスイッチ224を再度押圧する。スイッチ224を押圧すると、ステップS5−7からステップS5−8に進み、パノラマX線撮影が遂行される。すなわち、X線源28から発生するX線が被写体に照射され、被写体を通過したX線がイメージセンサ38にて検出され、このX線照射中、X線源28および一次スリット手段30ならびにイメージセンサ38および二次スリット手段40は、パノラマ画像形成軌跡に沿って移動される。図19にて、実線で示す曲線270は歯列弓272の断層面である。パノラマ撮影においては、X線源28からのX線は、この断層面270に対して実質上垂直に入射するように照射される。それゆえに、歯列弓272に沿ってパノラマ断層撮影するときには、支持アーム24が平面内で移動するとともに、支持アーム24が回転軸22を中心として所要のとおり旋回する。このように、パノラマ撮影においては、回転軸22の位置が刻々と変化し、この位置の変化は平面移動機構20によって回転軸22を刻々と移動させることによって達成される。本構成では、一次スリット手段30は細長い矩形状の一次パノラマスリット67bを規定するので、X線源28からのX線は、細い四角錐状に照射される。このように回転軸22の回転軸線が移動されるとともに、上記回転軸22を中心として支持アーム24が回動されるので、パノラマ軌跡情報は、支持アーム24の回転軸線の上述した移動と支持アーム24の上記回転軸線を中心とする旋回との組合せによってX線源28(一次スリット手段30を含めて)およびイメージセンサ38(二次スリット手段40を含めて)を移動させるというものである。このパノラマX線撮影においては、一般に、支持アーム24は、前歯部を撮影するときよりも臼歯部を撮影するときの方が速く回転駆動される。パノラマモードの場合、パノラマ撮影中、このパノラマ軌跡情報に基づいてX軸制御モータ42、Y軸制御モータ44および回転制御モータ46が作動制御され、支持アーム24が上述したように移動および旋回される。
図17に示すとおり、ステップS5−8におけるパノラマX線撮影が終了すると、ステップS5−9に移り、得られた撮影画像に基づいてパノラマ断層撮影画像が生成される。パノラマ断層撮影画像を生成するときには、フレームメモリ240に格納された撮影画像の情報が読出され、読出された画像情報が演算用メモリ241に記憶され、画像信号処理手段236は、演算用メモリ241から読出された撮影画像を、パノラマ処理情報に含まれたパノラマ画像処理情報に基づいて画像処理し、このように画像処理することによってパノラマ断層画像が生成される。
生成されたパノラマ断層画像は、CT断層画像と同様に、ステップS5−10において、表示手段248に表示される。このようにして、被写体の所定部位のパノラマ断層画像が得られ、表示手段248に表示されたパノラマ断層画像を、たとえば歯科治療の際の資料とすることができる。
上述したとおりであるので、選択された撮影モードに対応した断層画像、すなわちCT断層画像およびパノラマ断層画像から任意に選択される断層画像を1台のX線撮影装置から得ることができる。
なお、パノラマ撮影終了後、水平アーム16に対して支持アーム24を図20に示す特定角度位置に位置付けるようにするのが望ましく、このように構成することによって、患者は撮影領域から容易に出ることができる。
上述した構成では、一次および二次スリット手段30,40は、一対の幅遮蔽部材60,62と一対の高さ遮蔽部材64,66を備え、これら幅遮蔽部材60,62および高さ遮蔽部材64,66を移動させてスリット開口の大きさを調整しているが、これに代えて、たとえば図21または図22で示すとおりに構成することもできる。一次(または二次)スリット手段の構成を示す図21において、図示の一次(または二次)スリット手段302(または304)は、矩形状の遮蔽プレート306を備えている。遮蔽プレート306は4個の支持ローラ308によって図21において左右方向に移動自在に支持されている。遮蔽プレート306には駆動ねじ軸310が螺合されており、この駆動ねじ軸310の一端部がスリット制御モータ312に駆動連結されている。遮蔽プレート306には、その移動方向(図21において左右方向)に間隔をおいて2個のスリット、すなわち図21の左側の一次(または二次)パノラマスリット316および右側の一次(または二次)CTスリット318が設けられている。このように構成されているので、一次(または二次)スリット手段302(または304)のスリット開口は、スリット制御モータ312を回転させて遮蔽プレート306を矢印320で示す右方に、または矢印322で示す左方に移動させることによって切換ることができる。上述した記載から理解されるとおり、パノラマモードを選択した場合には、X線源20(またはイメージセンサ38)の前方に一次(または二次)パノラマスリット316が位置付けられ、またCTモードを選択した場合には、X線源20(またはイメージセンサ38)の前方に一次(または二次)CTスリット318が位置付けられる。このような構成の一次(または二次)スリット手段302(または304)を用いても、上述したと同様にスリット開口の大きさを、選択した撮影モードに対応したものに自動的に切換えることができる。
図22は、一次(または二次)スリット手段の他の構成を示している。図22において、図示の一次(または二次)スリット手段332(または334)は、円形状の遮蔽プレート336を備えている。遮蔽プレート366は回転軸338に装着され、この回転軸338に回転自在に支持されている。遮蔽プレート336の外周面にはウォーム歯車337が設けられ、このウォーム歯車337にウォームねじ軸340が噛合しており、このウォームねじ軸340の一端部がスリット制御モータ342に駆動連結されている。遮蔽プレート336には、周方向方向に間隔をおいて2個のスリット、一次(または二次)パノラマスリット344および一次(または二次)CTスリット346が設けられている。かく構成されているので、一次(または二次)スリット手段332(または334)のスリット開口は、スリット制御モータ342を回転させて遮蔽プレート336を矢印350で示す時計方向に、または矢印352で示す反時計方向に回動させることによって切換ることができる。すなわち、パノラマモードを選択した場合には、X線源20(またはイメージセンサ38)の前方に一次(または二次)パノラマスリット344が位置付けられ、またCTモードを選択した場合には、X線源20(またはイメージセンサ38)の前方に一次(または二次)CTスリット346が位置付けられる。このような一次(または二次)スリット手段332(または334)を用いても、上述したと同様にスリット開口の大きさを、選択した撮影モードに対応したものに自動的に切換えることができる。
図22の構成では、一次および二次スリット手段332,334の一次および二次CTスリット346は円形状に形成されている。この場合、X線源28からのX線は一次スリット手段332を通過することによって円錐状に撮影領域262に向けて照射され、撮影領域262は球状となる。このような形状の一次CTスリットを用いても所望の局所的CTX線撮影を行うことができる。
以上、部分CTX線撮影とパノラマX線撮影との双方を行うことができる兼用X線撮影装置の構成について説明したが、このような兼用X線撮影装置においては、パノラマX線撮影によって得られたパノラマX線撮影画像を利用して部分CTX線撮影を行うときのチンレスト12の位置付けを行うことができる。
図23に示すX線撮影装置は、その基本的構成は、図1〜図20に示す装置と実質上同一であり、チンレスト12を所定位置に位置付けるための様式のみが異なっている。このX線撮影装置におけるパノラマ撮影では、X線撮影画像を表示する表示手段248(図9参照)には、図24に示すとおりにパノラマ撮影画像が表示される。画像信号処理手段236からの画像信号には、この処理手段236にて位置情報502が付加され、この位置情報502を含むパノラマ画像が表示手段248に表示される。実施例における位置情報502は、表示画面の左側から右側に実質上等間隔に付された目盛503を含み、これら目盛503に対応して「1」〜「21」の数字504が付され、この番号が歯弓列曲線の位置に対応したものとなっている。また、位置情報502の記号「R」は右側であることを示し、位置情報502の記号「L」は左側であることを示している。また、この位置情報502は、表示画面の上側から下側に実質上等間隔に付された目盛505を含み、これら目盛505に対応して上側から下側に向けて「A」〜「J」の記号507が付されている。
このようなパノラマ撮影画像を見て、たとえば番号506で示す臼歯の部分CTX線撮影を希望する場合には、図23に示す装置フレーム2の昇降フレーム8に設けられる操作キー手段508によって指定操作される。操作キー手段508は、上顎歯、下顎歯を指定する操作キーならびに数字および記号を指定するテンキー等を含むキー510と、表示装置512を有している。キー510を押圧すると、押圧したキー510の内容やX線撮像が表示装置512に表示される。たとえば、臼歯506を指定するときには、表示画面248の座標3−Eに従って「3」、「−」,「E」の各キー510を押圧すればよく、このように押圧すると表示装置512に「3−E」と表示される。この操作キー手段508に関連して、歯弓列曲線の位置情報を有する位置情報記憶手段(図示せず)が設けられており、この記憶手段に記憶された位置情報に基づいてチンレスト12が所定位置に位置付けられる。この位置付けは、上述したと同様に、被写***置調整機構10(図1)のX軸制御モータ142、Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を読出された位置情報に基づいて制御することによって行われる。なお、この位置付けは、操作キー手段508と図8に示す操作パネル176とを併用するようにすることもできる。
このようにしても、部分CTX線撮影する際に被写体を所定の撮影領域に自動的に位置付けることができる。特に本構成のように部分CTX線撮影とパノラマX線撮影の双方の撮影が可能な装置においては、簡単にパノラマ撮影画像を得ることができるので、このパノラマ画像を利用することによって部分CTX線撮影の際の被写体の位置付けを簡単にかつ正確に行うことができる。
上述した兼用X線撮影装置では、被写***置付け手段(本構成ではチンレスト12)が昇降フレーム8に被写***置調整機構10を介して前後方向、左右方向および上下方向に位置調整自在に装着され、被写体に応じて被写***置付け手段の位置を調整しているが、これらのX線撮影装置において、被写***置調整機構10をたとえば次のとおりに構成することもできる。すなわち、図6における被写***置調整機構10における第1の移動テーブル98(上下方向に移動するテーブル)を省略し、被写***置付け手段の位置付けは昇降フレーム8(図1)の上下移動によって位置調整することもできる。この場合には、第2の移動テーブル116(前後方向に移動するテーブル)、第3の移動テーブル144(左右方向に移動するテーブル)および昇降フレーム8を含む上下動機構が被写***置調整機構を構成する。また、上述した構成に代えて、図6における被写***置調整機構10における第2の移動テーブル116および第3の移動テーブル144を省略し、平面移動機構20を利用して支持手段18を前後方向および左右方向に移動させるようにすることもできる。この場合には、第1の移動テーブル98が被写***置調整機構を構成し、平面移動機構20が、被写体に対してX線源28およびイメージセンサ38を相対的に移動する支持手段位置調整機構を構成する。また、これらの構成に代えて、第1〜第3の移動テーブル98,116,144を省略し、昇降フレーム8の昇降機構を利用して上下方向に、平面移動機構20を利用して前後方向および横方向に移動させることができる。この場合には、昇降フレーム8の昇降機構および平面移動機構20が支持手段位置調整機構を構成する。上述のように構成することによって、X線撮影装置に装備される移動機構、すなわち昇降フレーム8の昇降機構および/または平面移動機構20を利用して被写体の撮影領域への位置付けを行うことができる。いずれの場合も、発光素子と患部からの反射光を検出するPSD素子と呼ばれる非接触式の光測距センサとの組合わせからなる検出センサを用いることができる。この検出センサにおいては、光測距センサが装置フレーム2と患者との前後方向の距離を測定し、その測定結果に基づいて平面移動機構20および/または昇降フレーム8の各モータを制御して位置決めすることもできる。この方式によれば、支持手段18側が移動し、患者は移動しなくてもよいメリットがある。
このような支持手段位置調整機構を備えた兼用X線撮影装置では、たとえばCTモードでもって部分CTX線撮影を行うとき、図25で示すフローチャートに沿って遂行される。この場合、図16のフローチャートと図25のフローチャートとを比較することによって容易に理解される如く、チンレストの位置付けに代えて、支持手段18の位置付け、換言するとX線源28およびイメージセンサ38の位置付けによって、被写体が撮影領域に相対的に位置付けられる。なお、この支持手段18の位置付けは、昇降フレーム8を上下動する昇降制御モータ15(図2参照)ならびに平面移動機構20のX軸制御モータ42およびY軸制御モータ44を作動制御することによって行うことができる。
また、兼用X線撮影装置において、被写***置付け手段の位置付けを、昇降フレーム8に対するチンレスト12の上下移動と、平面移動機構20による昇降フレーム8に対する支持手段18の前後移動および横移動とによって行うことができる。
図26および図27を参照して、この構成では、図1〜図20の実施例と同様に、装置フレーム2の支柱6に昇降フレーム8が昇降自在に装着され、この昇降フレーム8に平面移動機構20を介して支持手段18が前後方向および横方向に移動自在に装着されている。
この構成では、昇降フレーム8に被写***置調整機構602(図27)を介して支持フレーム605が上下方向に移動自在に装着され、この支持フレーム605に支持ロッド160を介してチンレスト12が装着されている。また、チンレスト12の両側に一対の側頭押え部材631(図26にて一方のみ示す)が配設され、これら側頭押え部材631が支持フレーム605に位置調整自在に取付けられている。一対の側頭部押え部材631は、ダイアル639を回転変位することによって、相互に近接/離反変位される。また、それらの先端部にはイヤロッド637(図26にて一方のみ示す)が取付けられている。
昇降フレーム8は、図27に示すように、枠体641と、筺体642と、左右一対の案内車輪643、動滑車644、モータ645および定荷重ばね646とを備えている。前記枠体641は支柱6を外囲するように形成されており、その上端部からは水平アーム16(図26)が延設されている。枠体641の内面における前記支柱6の両側面6c,6dに対向する面には、前記両側面6c,6dに沿って摺動することができる案内車輪643がそれぞれ2個取付けられており、これによって昇降フレーム8は支柱6に沿って昇降自在に支持される。
枠体641の上部各内面には、また、動滑車644が設けられており、この動滑車644には、一端が支柱6の頂部に固定されたワイヤ647が巻掛けられており、このワイヤ647は、動滑車644を経て、支柱6の頂部に設けられた固定滑車648に巻掛けられ、その他端がバランスウエイト649に連結されている。バランスウエイト649は、支柱6内を上下方向に移動自在に設けられている。各動滑車644はまた、対応するモータ645の出力軸に取付けられた歯車650に噛合しており、したがってモータ645が回転駆動されることによって昇降フレーム8は昇降動される。なお、所望の昇降位置に到達すると、一方の固定滑車648に関連して設けられている電磁ブレーキ651によって固定滑車648の回転が阻止され、こうして昇降フレーム8を所定位置で安定して保持することができる。
昇降フレーム8の枠体641の下端部には、昇降フレーム8の昇降方向と平行に一対の案内軸652が架設されている。各案内軸652には支持フレーム605の一対の案内片605aに形成された案内孔がそれぞれ嵌り込み、こうして支持フレーム605は昇降フレーム8に対して上下方向に移動自在に支持される。案内片605aの上端部には、枠体641に取付けられた定荷重ばね646の遊端部が接続される。前記定荷重ばね646の個数は、吊下げられるべき支持フレーム605の重量に対応して選ばれる。したがって術者は、支持フレーム605を手動で容易に昇降動させることができ、この支持フレーム605と一体的にチンレスト12および側頭部押え部材631が昇降動される。
各案内片605aには、枠体641の内面に対向して位置決め突起661が取付けられており、X線撮影時にはこの位置決め突起661が枠体641の位置決め凹所662に嵌り込み、これによって昇降フレーム8に対する支持フレーム605の位置付けが行われる。さらにまた、一方の案内片605aには当接片663が設けられており、この当接片663に対応して枠体641には上下方向に間隔をおいて一対のリミットスイッチ653,654が設けられている。昇降フレーム8は、支持フレーム605に対して、このリミットスイッチ653,654の範囲内で昇降動自在となる。
支持フレーム605の案内片605aにはまた、ストッパ軸655が取付けられている。このストッパ軸655にはハンドル656が固着されており、ハンドル656を回動することによってストッパ軸655は案内片605aに対して突出または後退し、突出状態で支柱6の側面6dに摩擦圧接し、支柱6に対する支柱フレーム605の昇降動が阻止され、支持フレーム605は所定位置に位置決め固定される。
このように構成することによって、一対の案内軸652、支持フレーム605の位置決め凹所662および枠体641の位置決め突起661などが被写***置調整機構として機能し、この被写***置調整機構によって昇降フレーム8に対して支持フレーム605を昇降動させることができる。このように構成することによって、図6の被写***置調整機構10の第1の移動テーブル98の上下方向の位置付けを支持フレーム605の昇降機構でもって置換えることができる。また、平面移動機構20が支持手段位置調整機構として機能し、この平面移動機構20によって支持フレーム605に対して支持手段18、すなわちX線源28およびイメージセンサ38を前後方向および横方向に位置調整できる。このような位置付け機構は、兼用X線撮影装置における平面移動機構20を利用して比較的簡単な構成でもって被写体を所定位置に位置付けることができる。
図26および図27の構成において、チンレスト12の上下移動に代えて、支持手段18を上下移動させるようにすることもできる。この場合、昇降フレーム8と平面移動機構20との間、または平面移動機構20と支持手段18との間に、両者を相対的に上下移動する上下移動機構を介在させることができる。
以上、部分CTX線撮影とパノラマX線撮影を行うことができる兼用X線撮影装置について説明したが、この兼用X線撮影装置からパノラマX線撮影を行うための機能を省略して、専用の部分CTX線撮影装置とすることもできる。このような部分CTX撮影装置においては、位置付け手段としてのチンレスト12に代えて、咬合センサ、バイトブロック、イヤロッド、前頭部押え部材等のそれ自体公知のものを単独で、またはこれらを組合せて用いることもできる。
図28および図29は、印象を用いたバイトブロックとイヤロッドの組合わせを用いた実施態様を示している。なお、図28および図29において、上述した実施形態と同一のものは同一の番号を付してその説明を省略する。
図28および図29を参照して、部分CTX線撮影装置の専用装置の実施形態において、装置フレーム2に図6に示すものと実質上同一の構成の被写***置調整機構10を介して前後方向、横方向および上下方向に移動自在に支持された第3の移動テーブル144にバイトブロック372が取付けられている。また、X線源28およびイメージセンサ38(図2)を支持する支持アーム24に、光ビーム指示器373が設けられている。さらに説明すると、被写***置調整機構10の第3の移動テーブル144(図6参照)のテーブル本体152の前端部には、図29に示すとおり前方に突出する取付突部374が一体に設けられ、この取付突部374の先端部に印象を用いるバイトブロック372が装着される。患者がこのバイトブロック372を噛むことによって患者の歯型が形成される。このバイトブロック372は、必要に応じてイヤロッド376,378と組合わせて用いることができる。イヤロッド376,378は、たとえば、バイトブロック372と同様に、テーブル本体152に開閉自在に設けることができる。図示の形態では、テーブル本体152の先端部の両側面には、ロッド取付部材380,382が装着され、ロッド取付部材380,382にイヤロッド376,378の一端部が固定されている。イヤロッド376,378の他端部は斜め上方に延びており、このイヤロッド376,378の先端部を患者の耳部に当接することによって装置フレーム2(図1)に対して患者の頭部を所定位置に確実に位置付けることができる。
光ビーム指示器373は、支持手段18を構成する支持アーム24の回転軸線上に配置される。光ビーム指示器373は、たとえば投光素子から構成することができる。光ビーム指示器373からの光ビームは、図29に一点鎖線で示すとおりに、上記回転軸線と実質上一致して垂直下方にバイトブロック372に向けて投射される。
このように、バイトブロック372、イヤロッド376,378および光ビーム指示器373とを組合わせた形態においては、被写体の位置付けは、次のとおりに行われる。すなわち、まず、患者はバイトブロック372を噛み、患者の歯型に対応するバイトブロック372を形成する。次いで、患者の部分CTX線撮影すべき部位に対応するバイトブロック372の部位に光ビーム指示器373からの光ビームが投射されるように、被写***置調整機構10を作動させてバイトブロック372を所定位置に位置付ける。容易に理解されるとおり、光ビーム指示器373からの光ビームが投射される領域が部分CTX線撮影における撮影領域に対応しており、したがって、このようにバイトブロック372を位置付けることによって、撮影すべき部位を撮影領域に正確に位置付けることができる。なお、バイトブロック372の位置付けは、たとえば手動操作されるスイッチを押圧してX軸制御モータ142、Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を所要のとおり作動させることによって行うことができるが、自動的にX軸、Y軸およびZ軸の制御モータ142,158,114を作動させるようにすることもできる。
その後、患者がこの位置付けされたバイトブロック372を噛めばよい。撮影すべき部位に対応するバイトブロック372の部位が撮影位置にあるので、これを噛むことによって撮影すべき部位は、正確に撮影領域に位置付けられる。その後、イヤロッド376,378を患者の耳に当てて、その位置に一層正確に保持する。このようにバイトブロック372と光ビーム指示器373を用いた場合には、手動操作でもって容易にかつ正確に位置付けすることができる。
なお、専用の部分CTX線撮影装置では、容易に理解されるごとく、X線源28およびイメージセンサ38が撮影領域262(図18)を中心として回転すればよいので、図28に示すように、平面移動機構を省略し、支持手段18の支持アーム24を水平アーム16に回転自在に支持することができ、このように構成することによって装置の簡略化を図ることができる。
図28および図29に示す実施形態では、バイトブロック372とイヤロッド376,378とを組合せて用いているが、イヤロッド376,378に代えて、前頭部押え部材との組合せを用いるようにすることもできる。前頭部押え部材とは、バイトブロック372を噛んでいる患者の前頭部の位置を規制するための部材であり、たとえば平面移動機構20(図1)に設けることができる。すなわち、平面支持機構20から支持アーム24に形成した開口を通して支持ロッドを貫通させ、この貫通した先端部に取付部材を設け、この取付部材に前頭部押え部材をバイトブロック372の上方に延びるように設けることができる。
上述した形態では、バイトブロック372と光ビーム指示器373の組合わせを用いているが、これに代えて、たとえば図30に示すとおり、チンレストと2個の光ビーム指示器の組合わせを用いることもできる。部分CTX線撮影装置の他の実施形態を示す図30において、一方の光ビーム指示器402は、昇降フレーム8の前面(図30において左側の面)に設けられ、他方の光ビーム指示器404は、支持手段18を構成する支持アーム24に設けられている。他方の光ビーム指示器404は、図28および図29の実施形態と同様に、支持手段18の回転軸線上に配置され、この回転軸線と実質上合致してほぼ垂直下方にチンレスト12に向けて光ビームを投射する。光ビーム指示器402は、チンレスト12に向けて正面のほぼ正中線位置から前方に光ビームを投射する。
このように2個の光ビーム指示器402,404を用いた場合には、光ビーム指示器402,404からの光ビームが交差する領域が撮影領域となる。したがって、顎をチンレスト12に載置した状態で、光ビーム指示器402,404からの光ビームが交差する領域を、患者の撮影すべき部位に位置付けることによって、被写体を撮影領域に非接触測定でもって位置付けることができる。なお、チンレスト12の位置付けは、上述したと同様に、被写***置調整機構10のX軸制御モータ142,Y軸制御モータ158およびZ軸制御モータ114を所要のとおり制御する、たとえば手動操作されるスイッチを押圧することによって行うことができる。
以上、種々の被写***置調整機構および/または支持手段位置調整機構を備えた兼用X線撮影装置および部分CTX線撮影装置について説明したが、兼用X線撮影装置および部分CTX線撮影装置それぞれの機能上の特徴、製造コスト等を考慮して、被写***置付け手段(たとえばチンレスト)とX線源およびイメージセンサとの相対的位置を、次のとおりに調整するように構成するのが望ましい。
兼用X線撮影装置では、パノラマX線撮影を行うために平面移動機構を必要とするので、最も好ましい位置付け機構は、この平面移動機構を用いて支持手段を前後方向および横方向に移動させるとともに、被写***置調整機構(図6の被写***置調整機構から第2および第3の移動テーブルを省略したもの)を用いて被写***置付け手段を上下方向に移動させる形態である。次いで好ましい位置付け機構は、図26および図27に示すとおり、平面移動機構を用いて支持手段を前後方向および横方向に移動させるとともに、被写***置調整機構を用いて被写***置付け手段を設けた支持フレームを上下方向に移動させる形態である。その次に好ましい位置付け機構は、X−Yテーブル以外の従来公知の曲線溝等を用いる断層形成機構を平面移動機構として用いる場合にて、パノラマ撮影時には支持手段を前後方向および横方向に移動させるとともに、図6に示す被写***置調整機構を用いて、CT撮影時には上記平面移動機構を使用することなく被写***置付け手段を前後方向、横方向および上下方向に移動させる形態である。また、これら以外の好ましい形態は、たとえば平面移動機構にZ軸テーブルとZ軸制御モータを追加する形態である。
一方、部分CTX線撮影装置では、基本的に平面移動機構を必要としないので、図6に示す被写***置調整機構を用いて被写***置付け手段を前後方向、横方向および上下方向に移動させる形態である。次いで好ましい位置付け機構は、部分CTX線撮影装置に付加的に平面移動機構を設け、この平面移動機構を用いて支持手段を前後方向および横方向に移動させるとともに、被写***置調整機構(図6の被写***置調整機構から第2および第3移動テーブルを省略したもの)を用いて被写***置付け手段を上下方向に移動させる形態であり、その次に好ましい位置付け機構は、図26および図27に示すとおりの、平面移動機構を用いて支持手段を移動させるとともに、被写***置調整機構を用いて支持フレームを移動させる形態である。
上述した兼用X線撮影装置の構成および専用部分CTX線撮影装置の本実施形態では、X線撮像手段の一つであるイメージセンサ38としてMOSセンサを用いているが、このMOSセンサに代えて、CCDセンサ、X.I.I(X線イメージインテンシファイア)、X.I.CCDカメラ(X線イメージインテンシファイアドCCDカメラ)、薄膜電界効果トランジスタ(FET)等から成るX線固体素子(X線ソリッドステートデバイス)等のその他のセンサを用いることもできる。
また、上述した実施形態では、X線撮像手段としてX線画像情報を電気信号で得るセンサ等を用いているが、パノラマ撮影については従来のX線フィルムを用いることもできる。X線フィルムを用いる場合、X線撮像手段はX線フィルムを収容するX線フィルムカセットと、このフィルムカセットをX線ビームに直交する方向に搬送するフィルム搬送モータとを含む。
以上、本発明の部分CTX線撮影装置の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱することなく種々の変形ないし修正が可能である。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
部分CTX線撮影とパノラマX線撮影を行うことができるX線撮影装置に関する構成について記載する。
(1)X線を発生するX線源と、被写体を通過したX線を検出するX線撮像手段と、被写体を間にして前記X線源および前記X線撮像手段を相互に対向して支持する支持手段と、前記支持手段を支持する装置フレームと、前記装置フレームに対して前記支持手段を移動させるための移動手段とを具備するX線撮影装置において、部分CT断層画像を生成するCTモードとパノラマ断層画像を生成するパノラマモードに切換えるモード切換手段を備えており、前記モード切換手段によって前記CTモードが選択された場合、部分CT撮影中、前記移動手段は、前記X線源および前記X線撮像手段をCT画像形成軌跡に沿って移動し、一方前記モード切換手段によってパノラマモードが選択された場合、パノラマ撮影中、前記移動手段は、前記X線源および前記X線撮像手段をパノラマ画像形成軌跡に沿って移動することを特徴とするX線撮影装置。
撮影モードはモード切換手段によって選択される。そして、モード切換手段によってCTモードを選択した場合、移動手段はX線源およびX線撮像手段をCT画像形成軌跡に沿って移動するので部分CTX線撮影を行うことができる。一方、モード切換手段によってパノラマモードを選択した場合、移動手段はX線源およびX線撮像手段をパノラマ画像形成軌跡に沿って移動するので、パノラマX線撮影を行うことができる。このように、モード切換手段で撮影モードを選択することによって、選択したX線撮影を行うことができる。
(2)前記CT画像形成軌跡は、前記支持手段の回転軸線を移動させることなく前記支持手段を前記回転軸線を中心として回動させる軌跡であり、前記パノラマ画像形成軌跡は、前記支持手段の回転軸線を包絡線に沿って移動させるとともに、前記支持手段を前記回転軸線を中心として所要のとおり回動する軌跡であり、前記X線源および前記X線撮像手段が前記パノラマ画像形成軌跡に沿って移動すると、前記X線源から前記X線撮像手段に向かう前記X線は、歯列弓に対して実質上垂直な方向に照射されることを特徴とするX線撮影装置。
部分CT撮影中、移動手段は支持手段の回転軸線を中心としてこの支持手段を回動させるので、所望の部分CTX線撮影を行うことができる。また、パノラマ撮影中、移動手段は支持手段の回転軸線を包絡線に沿って移動するとともに、前記支持手段をその回転軸線を中心として所要のとおり回動するので、X線源からのX線は歯列弓に対して実質上垂直な方向に照射され、所望のパノラマ撮影を行うことができる。
(3)前記移動手段を制御するための移動制御手段が設けられており、前記移動制御手段は、前記CTモードの場合に前記X線源および前記X線撮像手段が前記CT画像形成軌跡に沿って移動するように前記移動手段を作動制御し、前記パノラマモードの場合に前記X線源および前記X線撮像手段が前記パノラマ画像形成軌跡に沿って移動するように前記移動手段を作動制御することを特徴とするX線撮影装置。
移動制御手段は、CTモードの場合にX線源およびX線撮像手段がCT画像形成軌跡に沿って移動するように、またパノラマモードの場合にX線源およびX線撮像手段がパノラマ画像形成軌跡に沿って移動するように移動手段を作動制御するので、モード切換手段で撮影モードを選択することによって、選択したX線撮影を自動的に行うことができる。
(4)前記移動手段は、前記支持手段を前後方向に移動させるためのX軸制御モータと、前記支持手段を横方向に移動させるためのY軸制御モータと、前記支持手段を回転軸線を中心として回動させるための回転制御モータとを備え、前記移動制御手段は、前記CTモードの場合に前記回転制御モータを作動制御し、前記パノラマモードの場合に前記X軸制御モータ、前記Y軸制御モータおよび前記回転制御モータを作動制御することを特徴とするX線撮影装置。
CTモードの場合、移動制御手段は回転制御モータを作動制御するので、X線源およびX線撮像手段はCT画像軌跡に沿って移動される。また、パノラマモードの場合、移動制御手段はX軸制御モータ、Y軸制御モータおよび回転制御モータを作動制御するので、X線源およびX線撮像手段はパノラマ画像形成軌跡に沿って移動される。
(5)前記X線撮像手段は、前記X線源からのX線を画像信号として検出し、前記X線撮像手段に関連して、前記画像信号に基づいて断層画像を形成するための画像信号処理手段が設けられており、前記画像信号処理手段は、前記CTモードの場合に前記X線撮像手段からの前記画像信号に基づいて部分CT断層画像を生成し、前記パノラマモードの場合に前記X線撮像手段からの前記画像信号に基づいてパノラマ断層画像を生成することを特徴とするX線撮影装置。
X線撮像手段はX線源からX線を画像信号として検出し、画像信号を処理する画像信号処理手段は、CTモードの場合にX線撮像手段からの画像信号に基づいて部分CT断層画像を生成し、パノラマモードの場合にX線撮像手段からの画像信号に基づいてパノラマ断層画像を生成する。したがって、モード切換手段で撮影モードを選択することによって、画像信号処理手段は、選択したモードに対応した画像処理を施し、選択した撮影モードに対応する断層画像を自動的に得ることができる。
(6)前記移動制御手段および前記画像信号処理手段に関連して処理情報記憶手段が設けられ、前記処理情報記憶手段には、部分CT断層画像を得るためのCT処理情報とパノラマ断層画像を得るためのパノラマ処理情報とが記憶されており、前記モード切換手段によって前記CTモードが選択された場合、前記処理情報記憶手段の前記CT処理情報が選択され、前記CT処理情報に基づいて、前記移動制御手段が前記X線源および前記X線撮像手段を前記CT画像形成軌跡に沿って移動するとともに、前記画像信号処理手段は前記X線撮像手段からの前記画像信号に基づいて前記部分CT断層画像を生成し、また前記モード切換手段によって前記パノラマモードが選択された場合、前記処理情報記憶手段の前記パノラマ処理情報が選択され、前記パノラマ処理情報に基づいて、前記移動制御手段が前記X線源および前記X線撮像手段を前記パノラマ画像形成軌跡に沿って移動するとともに、前記画像信号処理手段は前記X線撮像手段からの前記画像信号に基づいて前記パノラマ断層画像を生成することを特徴とするX線撮影装置。
処理情報記憶手段には、部分CT断層画像を得るためのCT処理情報とパノラマ断層画像を得るためのパノラマ処理情報とが記憶されている。そして、CTモードの場合、CT処理情報が選択され、このCT処理情報に基づいてX線源およびX線撮像手段がCT画像形成軌跡に沿って移動されるとともに、画像信号処理手段がX線撮像手段からの画像信号に基づいて部分CT断層画像を生成する。一方、パノラマモードの場合、パノラマ処理情報が選択され、このパノラマ処理情報に基づいてX線源およびX線撮像手段がパノラマ画像形成軌跡に沿って移動されるとともに、画像信号処理手段がX線撮像手段からの画像信号に基づいてパノラマ断層画像を生成する。したがって、モード切換手段で撮影モードを選択することによって、選択したモードに対応する撮影を行い、かつ選択したモードに対応する断層画像を得ることができる。
(7)前記X線源から被写体に向けて照射されるX線の範囲を規制する一次スリット手段と、前記X線撮像手段に入るX線の範囲を規制する二次スリット手段とが設けられており、前記一次スリット手段には、一次CTスリットと一次パノラマスリットに切換えるための一次スリット切換手段が設けられ、前記二次スリット手段には、二次CTスリットと二次パノラマスリットに切換えるための二次スリット切換手段が設けられており、前記モード切換手段によってCTモードが選択された場合には、前記一次スリット切換手段によって前記一次CTスリットが選択されるとともに前記二次スリット切換手段によって前記二次CTスリットが選択され、前記モード切換手段によってパノラマモードが選択された場合には、前記一次スリット切換手段によって前記一次パノラマスリットが選択されるとともに、前記二次スリット切換手段によって前記二次パノラマスリットが選択されることを特徴とするX線撮影装置。
モード切換手段によってCTモードを選択した場合、選択したCTモードに対応して、一次スリット切換手段によって一次CTスリットが、また二次スリット切換手段によって二次CTスリットが選択される。一方、モード切換手段によってパノラマモードを選択した場合、一次スリット切換手段によって一次パノラマスリットが、また二次スリット切換手段によって二次パノラマスリットが選択される。このように、モード切換手段によって選択された撮影モードに対応するスリットが一次および二次スリット手段において選択されるので、選択された所望の断層画像を得ることができる。
(8)前記X線源と前記X線撮像手段との間の撮影領域に被写体を位置付けるための被写***置付け手段が設けられており、前記被写***置付け手段と前記X線源および前記X線撮像手段との位置関係は、前後方向、横方向および上下方向に相対的に位置調整自在であることを特徴とするX線撮影装置。
被写***置付け手段とX線源およびX線撮像手段との位置関係は、前後方向、横方向および上下方向に相対的に位置調整自在であるので、X線源およびX線撮像手段に対して被写***置付け手段を所望位置に位置付けることができる。
(9)前記移動手段は、前記装置フレームに対して前記支持手段を前後方向および横方向に移動自在に支持する平面移動機構を含んでおり、また前記被写***置付け手段は上下方向に移動自在に支持する被写***置調整機構を介して前記装置フレームに装着されており、前記被写***置付け手段と前記X線源および前記X線撮像手段との位置関係は、前記平面移動機構および前記被写***置調整機構によって前後方向、横方向および上下方向に調整されることを特徴とするX線撮影装置。
被写***置付け手段とX線源およびX線撮像手段との相対的位置は、平面移動機構によって前後方向および横方向が調整され、また被写***置調整機構によって上下方向が調整されるので、比較的簡単な構成でもって両者の相対的位置関係を調整することができる。
(10)前記CTモードにおける前記被写***置付け手段と前記X線源および前記X線撮像手段との位置関係は、前記パノラマモードにおいて得られたパノラマ断層撮影画像から得られる位置情報に基づいて設定されることを特徴とするX線撮影装置。
CTモードにおける被写***置付け手段とX線源およびX線撮像手段との位置関係は、パノラマモードにおいて得られたパノラマ断層画像を利用して設定される。すなわち、まずパノラマ断層画像を撮影し、このパノラマ断層画像を見て部分CTX線撮影を希望する部位を設定し、この特定した領域に対応するパノラマ断層撮影画像の位置情報に基づいて、被写***置付け手段とX線源およびX線撮像手段とが所定の位置関係に保持されるので、比較的容易にかつ正確にこれらを所定の位置関係に位置付けることができる。
(11)前記支持手段は、部分CT撮影前後に、前記X線源および前記X線撮像手段を結ぶ線が横方向に延びる特定角度位置に位置付けられることを特徴とするX線撮影装置。
部分CT撮影前後、支持手段は特定角度位置に位置付けられる。したがって、部分CT撮影に際し、患者はX線源とX線撮像手段との間を通って後方に撮像領域に向けて移動することができ、また、撮影後に、患者はX線源とX線撮像手段との間を通って撮像領域から前方に向けて移動することができる。かくして、支持手段、X線源およびX線撮像手段に邪魔されることなく、患者は容易に移動することができる。