JP4312863B2 - トロリ線偏位測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロリ線偏位測定装置に関し、特に簡単な構造で、トロリ線の偏位の測定を高効率かつ高精度に行うことができるようにしたトロリ線偏位測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トロリ線は、車両に対して給電を効果的に行うために、車両側に設けるパンタグラフが、車両の走行によってもトロリ線と良好な接触状態を保てるように、常に一定の高さの範囲内に張架されるとともに、パンタグラフのトロリ線との摺接部が集中して、部分的に摩耗しないように、線路中心に対して所定の範囲、例えば、図1に示すように、トロリ線Tを、線路中心位置T1より両側250mmの位置T2,T3間の範囲内で規則的にジグザグ状に偏位させて張架するようにしている。
【0003】
ところで、トロリ線を上記条件下で張架する場合やトロリ線の日常の設備の保守、点検においては、トロリ線の高さ及び偏位を測定する必要がある。
【0004】
このトロリ線の高さ及び偏位を測定するために従来より用いられている最も簡単な測定方法として、レールの上に鉛直方向に高さ測定用の目盛りと、水平方向に偏位測定用の目盛りのついたゲージ棒を立て、その両目盛りを直接的に読み取ることにより測定する方法がある。
しかし、この読取方法は、一定点における測定であるため、トロリ線の長さ方向に沿って測定するには、トロリ線に沿って多数箇所を測定する必要があり、この測定に多大の時間を要するものとなり、非能率的であり、また、夜間は、作業を行いにくいという問題があった。
【0005】
これに対処するため、レール上を走行する測定用車両に、トロリ線の高さを測定する高さ測定装置及び偏位を測定する偏位測定装置を搭載し、検査用パンタグラフをトロリ線に接触させつつ測定用車両をレールに沿って走行させて、連続的に測定を行う方法が実用化されている。
【0006】
このうち、トロリ線の偏位を測定するために、図4に示すような偏位測定装置が採用されている。
この偏位測定装置は、パンタグラフ舟体1に対するトロリ線の偏位を連続的、かつ自動的に測定するもので、パンタグラフ舟体1の上面に、パンタグラフ舟体1の中心から対称に所定の範囲、例えば、両側390mmの範囲に、多数の偏位測定用センサS11,S12,・・・,S1n,S21,S22,・・・,S2nを連続して2列に配設し、かつこの各センサには走査回路部より個々のセンサに固有の時間にパルス電圧が割り当てられており、トロリ線がその内のいずれかのセンサと接触して動作したとき、動作したセンサ固有の時間にパルス電圧が発生するように構成している。なお、この偏位測定用センサとしては、マイクロスイッチ、電磁式近接スイッチ、光電スイッチなどが採用されている。
そして、この偏位測定装置には、偏位測定用センサS11,S12,・・・,S1n,S21,S22,・・・,S2nと平行に、障害物検用センサS,Sが配設されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この偏位測定装置は、検査用パンタグラフ1をトロリ線に接触させつつ測定用車両をレールに沿って走行させることにより、トロリ線が偏位測定用センサS11,S12,・・・,S1n,S21,S22,・・・,S2nのどのセンサを動作させたかを電気信号に変換して取り出すことによって、パンタグラフ舟体1に対するトロリ線の偏位を連続的に自動的に測定するものであるが、この装置の場合、検査用パンタグラフ1に多数の偏位測定用センサS11,S12,・・・,S1n,S21,S22,・・・,S2nを配設する必要があるため、パンタグラフ舟体1の重量が大となり、この過重量によりトロリ線に対する追随性が損なわれて測定の高速化、高精度化に限度があり、作業効率及び測定精度を高めることができず、また、装置の機械的構造及び電気的構造が共に複雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来のトロリ線偏位測定装置の有する問題点に鑑み、装置の機械的構造及び電気的構造が共に簡単で、検査用パンタグラフを軽量化することができ、これにより、トロリ線の偏位の測定を高効率かつ高精度に行うことができるようにしたトロリ線偏位測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のトロリ線偏位測定装置は、トロリ線偏位測定装置のパンタグラフ舟体の測定用車両の車幅方向の両端部に、パンタグラフ舟体上を摺接しながら移動するトロリ線の偏位を測定する超音波式距離測定センサを配設したことを特徴とする。
【0010】
このトロリ線偏位測定装置は、トロリ線偏位測定装置のパンタグラフ舟体の測定用車両の車幅方向の両端部に、パンタグラフ舟体上を摺接しながら移動するトロリ線の偏位を測定する超音波式距離測定センサを配設するようにしているため、装置の機械的構造及び電気的構造が共に簡単になり、検査用パンタグラフを軽量化することができ、これにより、トロリ線に対する追随性が良好となる。
【0011】
この場合において、前記超音波式距離測定センサのうちの一方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の前面側の側面に、他方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の後面側の側面に、それぞれ配設したことを特徴とする。
【0012】
これにより、パンタグラフ舟体の両端部に配設した超音波式距離測定センサから発せられた超音波が相互に干渉することがなく、両センサによる測定値の信頼性が向上し、トロリ線の偏位の測定を一層高精度に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトロリ線偏位測定装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図3に、本発明のトロリ線偏位測定装置の一実施例を示す。
このトロリ線偏位測定装置は、パンタグラフ舟体1を測定用車両に備え、このパンタグラフ舟体1の測定用車両の車幅方向の両端部に、超音波式距離測定センサ2,3を配設して構成する。
【0015】
この場合において、パンタグラフ舟体1は、通常の集電用パンタグラフと同じ外形状に構成することにより、パンタグラフ舟体1上を摺接しながら移動するトロリ線Tの偏位を、超音波式距離測定センサ2,3によって、連続的、かつ自動的に測定するようにする。
【0016】
ところで、トロリ線Tは、通常、線路中心位置T1より両側250mmの位置T2,T3間の範囲内で規則的にジグザグ状に偏位させて張架されるため、超音波式距離測定センサ2,3によるトロリ線Tの偏位の測定可能な範囲が、トロリ線Tの偏位幅よりも大きくなるように、超音波式距離測定センサ2,3を、パンタグラフ舟体1の中心から両側350mm以上離して配設するようにする。
【0017】
そして、超音波式距離測定センサ2,3は、パンタグラフ舟体1の異なる側面、例えば、一方の超音波式距離測定センサ2は、パンタグラフ舟体1の測定用車両の進行方向の前面側の側面に、他方の超音波式距離測定センサ3は、パンタグラフ舟体1の測定用車両の進行方向の後面側の側面に、それぞれ配設することが好ましい。
これにより、パンタグラフ舟体1の両端部に配設した超音波式距離測定センサ2,3から発せられた超音波が相互に干渉することがなく、両センサ2,3による測定値の信頼性が向上し、トロリ線Tの偏位の測定を一層高精度に行うことができるものとなる。
【0018】
さらに、この超音波式距離測定センサ2,3のパンタグラフ舟体1に対する取付位置及び角度は、パンタグラフ舟体1上を摺接しながら移動するトロリ線Tだけでなく、パンタグラフ舟体1上を離間して移動するトロリ線Tをも計測することができるように、その取付角度を定めるようにする。
【0019】
次に、このトロリ線偏位測定装置によるトロリ線Tの偏位の測定方法を説明する。
パンタグラフ舟体1の両端部に配設した超音波式距離測定センサ2,3より超音波を互いに干渉しないようにして、トロリ線Tに向かって発しながら、検査用パンタグラフ1をトロリ線Tに接触させつつ、測定用車両をレールに沿って走行させる。
これにより、パンタグラフ舟体1の両端部に配設した超音波式距離測定センサ2,3より発せられた超音波は、センサ2,3に最も近い反射対象物であるトロリ線Tにて反射されて、トロリ線Tまでの距離がセンサ2,3にて同時に測定される。
この場合、トロリ線Tが1本の通常区間では、両センサ2,3の測定値が逆の値で検出されるので、いずれか一方のセンサ2,3の測定値を用いることにより、パンタグラフ舟体1に対するトロリ線Tの偏位を連続的、かつ自動的に測定することができる。
【0020】
また、図2に示すように、トロリ線Tが、曲線引金具4等にて支持されている箇所等では、超音波式距離測定センサ2,3より発せられる超音波は、トロリ線Tだけでなく、測定可能範囲にある曲線引金具4等の障害物、例えば、イヤー、振れ止めパイプの下端部等を検出することがあるが、この場合は、測定値が、直線状のトロリ線Tを検出している場合と比較して、急激に変化するため、この急激に変化する測定値を、適宜のソフトウェアで除去するように測定装置を構成することにより、曲線引金具4等の障害物によるノイズを除去して、トロリ線Tの偏位の測定を安定的して正確に行うことができるものとなる。
【0021】
そして、このトロリ線偏位測定装置によって、シンプル・カテナリ区間を測定する場合、エアージョイント箇所では、2本のトロリ線を同時に測定することができる。
【0022】
一方、ツイン・カテナリ区間を測定する場合、図3に示すように、一般区間では、2本のトロリ線を同時に測定することができる。
また、エアージョイント箇所では、4本のトロリ線のうち、外側の2本のトロリ線を同時に測定するようにするが、ツイン・カテナリ区間では、それぞれ2本のトロリ線の間隔を一定の間隔を保つように張架されているので、このトロリ線偏位測定装置によって、保守、点検に必要なデータを得ることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明のトロリ線偏位測定装置によれば、トロリ線偏位測定装置のパンタグラフ舟体の測定用車両の車幅方向の両端部に、パンタグラフ舟体上を摺接しながら移動するトロリ線の偏位を測定する超音波式距離測定センサを配設するようにしているため、装置の機械的構造及び電気的構造が共に簡単になり、検査用パンタグラフを軽量化することができ、これにより、トロリ線に対する追随性が良好となり、トロリ線の偏位の測定を高効率かつ高精度に行うことができる。
また、非接触でトロリ線の偏位の測定を行うことができるため、曲線引金具等の障害物があっても、トロリ線の偏位の測定を正確に行うことができる。
【0024】
また、前記超音波式距離測定センサのうちの一方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の前面側の側面に、他方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の後面側の側面に、それぞれ配設することにより、パンタグラフ舟体の両端部に配設した超音波式距離測定センサから発せられた超音波が相互に干渉することがなく、両センサによる測定値の信頼性が向上し、トロリ線の偏位の測定を一層高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトロリ線偏位測定装置の一実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】 本発明のトロリ線偏位測定装置により、トロリ線が曲線引金具にて支持されている箇所を測定している状態を示す正面図である。
【図3】 本発明のトロリ線偏位測定装置により、ツイン・カテナリ区間を測定している状態を示す平面図である。
【図4】 従来のトロリ線偏位測定装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 パンタグラフ舟体
2 超音波式偏位測定センサ
3 超音波式偏位測定センサ
4 曲線引金具
T トロリ線
Claims (2)
- トロリ線偏位測定装置のパンタグラフ舟体の測定用車両の車幅方向の両端部に、パンタグラフ舟体上を摺接しながら移動するトロリ線の偏位を測定する超音波式距離測定センサを配設したことを特徴とするトロリ線偏位測定装置。
- 前記超音波式距離測定センサのうちの一方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の前面側の側面に、他方をパンタグラフ舟体の測定用車両の進行方向の後面側の側面に、それぞれ配設したことを特徴とする請求項1記載のトロリ線偏位測定装置。
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