JP4312806B2 - 内燃機関のエアクリーナ - Google Patents
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Description
従来より、2分割されるケーシングの内部にフィルタエレメントを収容した内燃機関のエアクリーナが公知である(例えば、特許文献1参照)。このエアクリーナのケーシングは、開口部を有するケースと、このケースの開口部を塞ぐキャップとによって構成されている。
また、エアクリーナは、フィルタエレメントの周縁部を、ケースの開口端縁部に設けられたシール面と、キャップの開口端縁部に設けられたシール面との間に挟み込んで、フィルタエレメントの周縁部を圧縮変形させて、ケースのシール面とキャップのシール面との間に形成される隙間をシールしている。
そして、このエアクリーナは、ケースの開口部に、フィルタエレメントを収納するエレメント収納部を有しており、ケースの開口部およびエレメント収納部は、車両の上下方向の上方側に向かって開口している。そして、フィルタエレメントは、ケースのシール面と、このケースの開口部を塞ぐキャップのシール面との間に周縁部が挟み込まれることで、ケーシング内部において車両の上下方向に対して垂直な横置き姿勢で保持されている。
また、車両搭載上の理由から、開口部およびエレメント収納部が車両の前後方向の後方側に向かって開口するようにケースを車両のエンジンルーム内におけるフロントエンド部に設置し、ケースおよびキャップを車両の上下方向に対して垂直な前後方向に2分割されるように構成しなければならない場合がある。
このような縦置き姿勢で保持されるフィルタエレメント103をエレメント収納部に装着したケース101に、キャップ102を組み付ける場合には、先ずキャップ102の下部側に設けられるヒンジ挿入部104を、ケース101の下部側に設けられるヒンジ受け部105のヒンジ係合穴106に挿入する。
そして、ヒンジ挿入部104(またはヒンジ受け部105)を中心にしてキャップ102を回転させることで、キャップ102の上部側に設けられる嵌合部を、ケース101の上部側に設けられる嵌合部に嵌め合わせる。そして、ケース101、キャップ102の各嵌合部を嵌合した状態で、ケース101、キャップ102の各嵌合部同士をクランプによって挟持することで、ケース101、キャップ102およびフィルタエレメント103が一体的に結合される。
なお、図8および図9に示したエアクリーナのキャップ102のシール面全周には、フィルタエレメント103の周縁部110の収縮を原因とするシール不良を防止するためのエレメント収縮防止リブ113が、第2フランジ部112のシール面よりエレメント側に突出するように形成されている。
ところが、2分割されるケーシングの2つの第1、第2フランジ部111、112の各シール面間に周縁部110が挟み込まれることで、フィルタエレメント103が縦置き姿勢で保持されるエアクリーナにおいては、車両のフロントエンド部に設置されたケース101の開口部へのキャップ102の組付作業を、車両の外部(例えば車両のフロントグリルよりも前方側)から行う場合がある。
この場合には、ケース101やフィルタエレメント103および周囲のエンジン機能部品によって作業者の視界が遮られ、ケース101のヒンジ受け部105のヒンジ係合穴106が見え難い状態、あるいは全く見えない状態で、キャップ102のヒンジ挿入部104をヒンジ係合穴106に挿入する挿入作業を実施しなければならない。
したがって、ケース101の開口部へのキャップ102の組付作業を行う作業者にとって、ヒンジ係合穴106を目視し難く、ケース101のヒンジ係合穴106とキャップ102のヒンジ挿入部104との嵌合位置を合わせ難い(キャップ102をケース側に寄せる位置の目安がない)点と、キャップ102のエレメント収縮防止リブ113とフィルタエレメント103との干渉を避けながら組付作業を行う必要がある点とによって、ケース101のヒンジ係合穴106へのヒンジ挿入部104の組付作業が容易にできず、ヒンジ係合穴106へのヒンジ挿入部104の組付作業の改善が望まれている。
この場合には、ケース101とキャップ102とが正規の状態で組み付けられず、ケース101とキャップ102との誤組付を原因とするシール不良が発生する。
これは、ケース101とキャップ102との誤組付の影響によって、ケーシングの2つの第1、第2フランジ部111、112の各シール面間に挟み込まれた、フィルタエレメント103の周縁部110が捩じられる等の変形を起こし、フィルタエレメント103の周縁部110のシール面と空気出口を有するケース101の第1フランジ部111のシール面(または空気出口を有するキャップ102の第2フランジ部112のシール面)との間のシール性が低下し、フィルタエレメント103の周縁部110のシール面とケース101またはキャップ102のシール面との間に形成される隙間から内燃機関の吸気通路内に、埃や塵等の異物が侵入する可能性がある。
この場合には、内燃機関の吸気通路内に侵入した埃や塵等の異物が、内燃機関の気筒(シリンダ)内に入り込み、エンジン摺動摩耗等によって内燃機関が故障する等の不具合が発生するという問題があった。
そして、第1分割ケースのヒンジ受け部に、第2分割ケースのヒンジ挿入部をヒンジ結合する係合凹部、およびこの係合凹部近傍から車両の略水平方向の一方側に向かって延びるヒンジ受け面を設けている。
したがって、第1分割ケースへの第2分割ケースの組付時における作業性を改善することができるので、第1分割ケースへの第2分割ケースの組付時における作業性を向上させることができる。また、第1分割ケースと第2分割ケースとを正規の状態で組み付けることができるので、第1分割ケースと第2分割ケースとの誤組付の発生を抑制することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、ヒンジ受け部のヒンジ受け面の両側に、ヒンジ受け面より遠ざかるに従って徐々に高さが高くなる傾斜ガイド面を設けている。
これによって、ヒンジ受け面の両側に設けられた傾斜ガイド面が、第2分割ケースのヒンジ挿入部をヒンジ受け面上に移動させる時のガイドとして機能するので、仮に第2分割ケースのヒンジ挿入部を第1分割ケースのヒンジ受け面上に乗せることができず、第2分割ケースのヒンジ挿入部がヒンジ受け面より位置ズレした部位でヒンジ受け部に乗せられた状況であっても、第2分割ケースのヒンジ挿入部を傾斜ガイド面に沿って移動させることで、第1分割ケースのヒンジ受け面上に容易に乗せることができる。したがって、第1分割ケースへの第2分割ケースの組付時における作業性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、第1分割ケースのヒンジ受け部に設けられるヒンジ受け面が、例えばエレメントをエレメント収納部に組み付けた後に、第1分割ケースに第2分割ケースを組み付ける時に、係合凹部近傍から、エレメントまたは第1分割ケースの上方、あるいは車両の外部から目視できる位置まで延びている。
これによって、第1分割ケースのヒンジ受け面に第2分割ケースのヒンジ挿入部を乗せる位置を、エレメントまたは第1分割ケースの上方、あるいは車両の外部から目視できるようになるため、第1分割ケースに第2分割ケースを組み付ける時に、第2分割ケースのヒンジ挿入部を第1分割ケースのヒンジ受け面上に乗せ易くなる。したがって、第2分割ケースのヒンジ挿入部を第1分割ケースのヒンジ受け部に設けられる係合凹部に容易に挿入できるようになるので、第1分割ケースへの第2分割ケースの組付時における作業性を向上させることができる。
また、2つの第1、第2分割ケースは、請求項1に記載のヒンジ構造によって、誤組付を引き起こすことなく、正規の状態で確実に組み付けられている。すなわち、2つの第1、第2分割ケースの誤組付の発生を防止しているので、エレメントの周縁部に捩じれが発生する等の周縁部の変形はなく、シール不良の発生を抑制することができる。
これによって、エレメントの周縁部と第1分割ケースのシール面(または第2分割ケースのシール面)との間に形成される隙間から、内燃機関の吸気通路内に、埃や塵等の異物が侵入することを抑制できる。したがって、埃や塵等の異物が内燃機関に入り込むことがなく、エンジン摺動摩耗等によって内燃機関が故障する等の不具合の発生を抑制することができる。
これによって、第2分割ケースのシール面に設けられたエレメント収縮防止リブが、第2分割ケースを第1分割ケースに組み付けた時に、2つの第1、第2分割ケースの各シール面間に挟み込まれる、エレメントの周縁部と干渉し、エレメントの周縁部がケーシングの中心軸線側に収縮するのを抑制し、このエレメントの周縁部の収縮の影響によって、2つの第1、第2分割ケースの各シール面間のシール不良が発生するのを抑制することができる。
ここで、第1分割ケースのヒンジ受け部に設けられる係合凹部への第2分割ケースのヒンジ挿入部の挿入作業を行う時に、第2分割ケースのシール面に設けられるエレメント収縮防止リブが挿入作業を妨げる場合がある。この場合には、少なくとも第2分割ケースのヒンジ挿入部近傍から、エレメント収縮防止リブを削除することで、作業性の低下を防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、第2分割ケースが組み付けられる第1分割ケースが、車両の車体側部材に一体化されていても良い。
請求項10に記載の発明によれば、第1分割ケースに、車両の前後方向の後方側に向けて開口する開口部(エレメント収納部)を形成しても良い。また、第2分割ケースに、車両の前後方向の前方側に向けて開口する開口部(エレメント収納部)を形成しても良い。
請求項12に記載の発明によれば、2つの第1、第2分割ケースを締結して結合させるクランプを設けている。ここで、クランプによる2つの第1、第2分割ケースの締結作業(クランプ作業)の作業性を考慮すると、エアクリーナのケーシング(2つの第1、第2分割ケース)における上下方向の上方側に、クランプによる結合部(嵌合部)が配置されるのが望ましい。
図1ないし図7は本発明の実施例1を示したもので、図1、図6および図7はエアクリーナのケーシングのヒンジ機構を示した図で、図2はラジエータの電動ファンシュラウドに一体化されたエアクリーナを示した図で、図3はエアクリーナケースを示した図で、図4はエアクリーナケースにフィルタエレメントを装着した状態を示した図である。
エアクリーナ1のケーシングは、分割線が自動車等の車両の上下方向(例えばケーシングの重力方向)に延びるように、すなわち、車両の上下方向に対して垂直な略水平方向(例えば車両の前後方向)に2分割されている。そして、ケーシングは、車両のフロントエンド部に設置されるエアクリーナケース(ケーシングの第1分割ケース:以下ケースと略す)3と、このケース3の開口部を塞ぐようにケース3に組み付けられるエアクリーナキャップ(ケーシングの第2分割ケース:以下キャップと略す)4とによって構成されている。
また、エアクリーナ1のケーシングは、ケース3、キャップ4の各開口部に、フィルタエレメント2を収納する略直方体形状の第1、第2エレメント収納部13、14を有している。
ケーシングの上部嵌合部15は、図5に示したように、ケース3の第1フランジ部11の上端近傍に設置された第1クランプ締結部17と、キャップ4の第2フランジ部12の上端近傍に設置された第2クランプ締結部18とによって構成されている。
また、ケーシングの下部嵌合部16は、図1、図6および図7に示したように、ケース3の第1フランジ部11の下端より車両の前後方向の後方側に向けて延長されたケースヒンジ部(以下ヒンジ受け部と言う)19と、キャップ4の第2フランジ部12の下端より車両の上下方向の下方側に向けて延長されたキャップヒンジ部(以下ヒンジ挿入部と言う)20とによって構成されている。
ここで、キャップ4のヒンジ挿入部20の先端側(キャップ4における下端側)には、ケース3のヒンジ受け部19に形成される係合凹部(以下ヒンジ係合穴と言う)21に差し込まれる係合凸部(以下ヒンジ軸部と言う)22が設けられている。また、ケース3のヒンジ係合穴21の周囲には、ヒンジ受け面23、左右傾斜ガイド面24、25およびヒンジストッパ26が設けられている。
また、キャップ4の空気出口部には、空気(外気)をエンジンの吸気管の内部に導入するための第2外気導入ダクト(アウトレットダクト)33が一体的に形成されており、また、キャップ4の内部には、エンジンの燃焼室および吸気ポートに連通する第2外気導入通路(内燃機関の吸気通路)34が形成されている。
また、空気入口部を有するケース3は、エンジンのラジエータ(車両の車体側部材)8の電動ファンシュラウド(エンジン機能部品)9に樹脂一体成形されている。
なお、エアクリーナ1のフィルタエレメント2、ケース3およびキャップ4の詳細は後述する。
また、エンジンの吸気ポートには、吸気管が接続されている。また、エンジンの排気ポートには、排気管が接続されている。そして、エンジンのシリンダブロックの内部に形成されるシリンダボア内には、クランクシャフトに連結されたピストンが摺動自在に支持されている。また、シリンダヘッドおよびシリンダブロックの内部には、例えばシリンダボアの周囲を取り囲むようにウォータジャケットが形成されている。
サーモスタットは、冷却水温の自動調整弁であって、冷却水がラジエータ8のチューブ内を通過する放熱流路に取り付けられ、冷却水温が設定温度(例えば85℃)より低下している時、全閉して冷却水をラジエータ8より迂回させるバイパス流路を通してエンジンを早く適正温度に近づける働きをする。
電動ファンは、その軸方向に空気流を発生させる軸流ファンと、この軸流ファンを回転駆動する電動モータ45とによって構成されている。軸流ファンは、電動モータ45の回転軸に嵌め合わされたボス部、およびこのボス部の外周から放射状に延びる複数の冷却翼を有している。
そして、電動ファンシュラウド9のシュラウド本体46は、例えば方形筒状または矩形筒状の多角筒部を構成している。このシュラウド本体46は、電動ファンの軸方向に対して垂直な上下方向(車両の上下方向に平行な方向)の両側に一対の上下横壁部をそれぞれ有している。また、シュラウド本体46は、電動ファンの軸方向に対して垂直な略水平方向(車両の車幅方向に平行な方向)の両側に一対の左右縦壁部をそれぞれ有している。
また、電動ファンシュラウド9のシュラウド本体46の中央部には、電動ファンより吹き出された空気が通過する複数の空気通過穴51が形成されている。また、電動ファンシュラウド9の内周側には、複数の取付ステー52が一体的に形成され、また、複数の取付ステー52の内周側には、電動ファン、特に電動モータ45を取り付けるためのモータ取付部53が一体的に形成されている。
フィルタエレメント2の周縁部6は、不織布によってエレメント本体5と一体的に設けられた軟質の方形状(または矩形状)の枠状部であって、第1、第2外気導入通路32、34の軸線方向(吸気流方向)に対して垂直な上下方向の両側に2つの上下壁部を有している。また、フィルタエレメント2の周縁部6は、第1、第2外気導入通路32、34の軸線方向(吸気流方向)に対して平行な水平方向の両側に2つの左右壁部を有している。 そして、フィルタエレメント2の周縁部6は、ケース3、キャップ4の各シール面間に形成される隙間を気密的に密閉シールするシール部材として機能する。第1フランジ部11には、角環状の嵌合凸部54が形成されており、フィルタエレメント2の周縁部6が嵌合凸部54に押圧され、圧縮される。
本実施例のケース3は、容器状の第1分割ケースであって、電動ファンシュラウド9のシュラウド本体46の左縦壁部に樹脂一体成形されている。なお、電動ファンシュラウド9は、複数の取付ステー49、50を介して、車両の車体43、44に取り付け固定されるラジエータ8に装着されている。このため、ケース3は、車両の車体側部材としてのラジエータ8に電動ファンシュラウド9と共に一体的に結合されることで、車体43、44に取り付け固定されている。
ここで、筒側壁56の上下横壁部は、車両の車幅方向(左右方向)に延びており、また、筒側壁56の左右縦壁部は、底壁57と同様に、車両の上下方向に延びている。
そして、筒側壁56の下横壁部には、筒状のダクト連結部が設けられており、このダクト連結部の内部には、車両の上下方向の下方側に向けて開口する空気入口部が形成されている。
この第1フランジ部11のシール面には、フィルタエレメント2の周縁部6のクリーンサイド側面(車両の前方側面)が気密的に密着する。また、ケース3の第1フランジ部11は、フィルタエレメント2の周縁部6を押圧する角環状の嵌合凸部54を有している。この嵌合凸部54は、第1フランジ部11のシール面よりエレメント側に向かって突出している。
そして、ケース3の筒側壁56のうちの下横壁部には、ケース3の第1フランジ部11からエレメント側に延びる補強リブ62が設けられている。また、下横壁部の第1フランジ部近傍には、図1、図6および図7に示したように、ヒンジ受け部(第1ヒンジ係合部)19が複数箇所(例えば2箇所)設置されている。
ヒンジ受け本体63は、内部にヒンジ係合穴21が形成された多角筒状の筒状壁を有している。ヒンジ係合穴21は、ヒンジ受け本体63を車両の上下方向に貫通する方形状(または矩形状)の貫通穴である。このヒンジ係合穴21は、図1および図7に示したように、ケーシングの第1、第2エレメント収納部13、14よりも下方側に設置されているため、フィルタエレメント2およびケース3の筒側壁56のうちの上横壁部に隠れており、フィルタエレメント2およびケース3の上方から見たとき見え難い箇所に設けられている。すなわち、ヒンジ係合穴21は、フィルタエレメント2およびケース3の上方から見てケーシングの第1、第2エレメント収納部13、14に重なり合う位置に設けられている。
ヒンジ受け本体63の筒状壁の後側壁部には、この後側壁部より車両の後方側に向かって延びる左右ガイドプレート64が一体的に形成されている。この左右ガイドプレート64は、ヒンジ係合穴21のヒンジ挿入口の開口端縁からその先端部(左右ガイドプレート64の先端部)66まで、車両の略水平方向の一方側(車両の前後方向の後方側)に向かって真っ直ぐに延びている。
そして、ヒンジ係合穴21の穴幅およびヒンジ受け面23の面幅(車両の車幅方向の寸法)は、キャップ4のヒンジ軸部22の幅よりも若干大きくなっている。また、ヒンジ受け面23は、キャップ4のヒンジ軸部22の下端面よりもケーシングにおける上方側の位置に設定されている。
左右ガイドプレート64の左右傾斜部は、ヒンジ係合穴21の両側および左右平板部の両側から先端部(左右ガイドプレート64の左右傾斜部の先端部)69まで、車両の略水平方向(車両の車幅方向)に対して傾斜して真っ直ぐに延びている。
左右ガイドプレート64の左右傾斜部の傾斜面には、キャップ4のヒンジ軸部22をヒンジ受け面23上に移動させる時のガイドとして機能すると共に、キャップ4のヒンジ軸部22をヒンジ係合穴21に挿入する時のガイドとして機能する左右傾斜ガイド面24、25がそれぞれ形成されている。2つの左右傾斜ガイド面24、25は、ヒンジ係合穴21のヒンジ挿入口の両側およびヒンジ受け面23の両側より遠ざかるに従って徐々に高さが高くなっている。
すなわち、ヒンジ受け面23の一部(左右ガイドプレート64の左右平板部の軸線方向の中央付近よりも先端部側)、および左右傾斜ガイド面24、25の一部(左右ガイドプレート64の左右傾斜部の軸線方向の中央付近よりも先端部側)は、ケース3よりキャップ4を取り外した状態で、しかもフィルタエレメント2をケース3の第1エレメント収納部13に組み付けた場合でも、フィルタエレメント2およびケース3の上方から見て重なり合わない位置、すなわち、フィルタエレメント2およびケース3の上方から、あるいは車両の外部(例えば車両のフロントグリルよりも前方側)から目視できる位置に設定されている。
そして、キャップ4の筒側壁70は、車両の前後方向に対して垂直な上下方向(車両の上下方向に平行な方向)の両側に2つの上下横壁部をそれぞれ有している。また、キャップ4の筒側壁70は、車両の前後方向に対して垂直な略水平方向(車両の車幅方向に平行な方向)の両側に2つの左右縦壁部をそれぞれ有している。
また、キャップ4の筒側壁70の軸線方向(車両の前後方向)の一方側(車両後方側、キャップ4における後方側)は、車両の上下方向に延びる底壁(ケーシングの後壁)71によって閉塞されている。
この第2フランジ部12のシール面には、フィルタエレメント2の周縁部6のダストサイド側面(車両の後方側面)が気密的に密着する。また、キャップ4の第2フランジ部12は、このシール面よりエレメント側に向かって突出する角環状のエレメント収縮防止リブ72を有している。
ここで、ケース3のヒンジ受け部19に設けられるヒンジ係合穴21へのキャップ4のヒンジ挿入部21の挿入作業を行う時に、キャップ4の第2フランジ部12のシール面に設けられるエレメント収縮防止リブ72が挿入作業を妨げる場合がある。この場合には、少なくともキャップ4のヒンジ挿入部近傍から、エレメント収縮防止リブ72を削除することで、作業性の低下を防止することができる。
また、キャップ4のヒンジ連結部75の先端側には、ヒンジ連結部75の下端から車両の前後方向の両側に延びるヒンジ軸部(ヒンジ頭部)22が一体的に形成されている。
そして、ケース3のヒンジ受け部19は、キャップ4をそのヒンジ挿入部20のヒンジ軸部22を支点にして回転自在(開閉自在)に支持する。本実施例では、ケース3のヒンジ受け部19とキャップ4のヒンジ挿入部20とによって、エアクリーナ1のケーシングのヒンジ機構を構成している。
次に、本実施例の内燃機関のエアクリーナの組付方法を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図7はケースのヒンジ係合穴へのキャップのヒンジ挿入部の挿入作業を示した図である。
そして、フィルタエレメント2の図示上側、図示左右の周縁部6を、ケース3の上横壁部および左右縦壁部の嵌合凸部54で押圧し、圧縮する。
ここで、ケース3の開口部にフィルタエレメント2を組み付けた時点で、フィルタエレメント2のエレメント本体5とケース3の2つのエレメント保持リブ60とが干渉することで、ケース単独でフィルタエレメント2が縦置き姿勢で保持される(図4参照)。
しかし、本実施例のケース3のヒンジ受け部19に、ヒンジ係合穴21の開口端縁から、車両よりも前方側から目視できる位置まで、車両の前後方向の後方側に向かって略ストレートに延びるヒンジ受け面23、およびヒンジ係合穴21の車幅方向の両側から、(フィルタエレメント2およびケース3の上方から、あるいは車両の外部から)目視できる位置まで、車両の前後方向の後方側に向かって略ストレートに延びる左右傾斜ガイド面24、25を形成している(図1、図6および図7参照)。
また、仮にキャップ4のヒンジ軸部22をケース3のヒンジ受け面23上に乗せることができず、キャップ4のヒンジ軸部22がヒンジ受け面23より車両の車幅方向に位置ズレした部位でヒンジ受け部19に乗せられた状況であっても、キャップ4のヒンジ軸部22を左右傾斜ガイド面24、25に沿って移動させる。あるいは作業者の力を緩めることで重力によってキャップ4のヒンジ軸部22が左右傾斜ガイド面24、25上を滑り落ちることで、ケース3のヒンジ受け面23上に容易に乗せることができる。
なお、ヒンジ係合穴近傍の左右傾斜ガイド面24、25にキャップ4のヒンジ軸部22が乗った場合には、キャップ4のヒンジ軸部22が左右傾斜ガイド面24、25上を滑り落ちて、キャップ4のヒンジ軸部22が直接ヒンジ係合穴21に嵌まり込む。
そして、クランプ7によってケース3の第1クランプ締結部17とキャップ4の第2クランプ締結部18とを締結させることで、フィルタエレメント2、ケース3およびキャップ4が一体的に結合される。このとき、フィルタエレメント2は、その周縁部6が、ケース3の第1フランジ部11のシール面とキャップ4の第2フランジ部12のシール面との間に挟持されることで、ケーシング内部に車両の上下方向に対して平行で、且つ車両の略水平方向(車両の前後方向および車両の車幅(左右)方向)に対して垂直な縦置き姿勢で収容保持される。
また、フィルタエレメント2の周縁部6によって、ケース3の第1フランジ部11のシール面とキャップ4の第2フランジ部12のシール面との間に形成される隙間が気密的に密閉シールされる。
次に、本実施例の内燃機関のエアクリーナの作用を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。
このとき、第1外気導入ダクト31の外気導入口よりエアクリーナ1のケース3の内部(第1外気導入通路32)に導入された空気(外気)は、フィルタエレメント2のエレメント本体5を通過する際に、外気中に含まれる不純物(塵や埃、砂等のダスト)が捕捉されて取り除かれる。
したがって、外気中に含まれる硬質の不純物がエンジンの燃焼室内に吸い込まれることによるエンジン摺動摩耗等によってエンジンが故障する等の不具合の発生を防止することができる。
以上のように、本実施例のエアクリーナ1においては、2分割されるケース3、キャップ4によって構成されるケーシングにおける上方側に、クランプ7によって締結固定される上部嵌合部15が設置されている。この上部嵌合部15は、ケース3の第1クランプ締結部17とキャップ4の第2クランプ締結部18とによって構成されている。
また、ケーシングにおける下方側には、ヒンジ結合によって嵌合される下部嵌合部16が設置されている。この下部嵌合部16は、ケース3のヒンジ受け部19とキャップ4のヒンジ挿入部20とによって構成されている。
そして、ケース3のヒンジ受け部19に設けられるヒンジ係合穴21内には、キャップ4のヒンジ挿入部20の先端側に設けられて、ケース3に対してキャップ4を組み付ける時の支点となるヒンジ軸部22がヒンジ結合されている。
したがって、ケース3のヒンジ受け部19におけるヒンジ係合穴21の設置位置、およびケース3のヒンジ係合穴21とキャップ4のヒンジ軸部22との嵌合位置を、フィルタエレメント2およびケース3の上方から、あるいは車両の外部から目視できない状況であっても、キャップ4のヒンジ軸部22をケース3のヒンジ係合穴21に容易に挿入できるようになる。
これによって、キャップ4のヒンジ軸部22をケース3のヒンジ受け面23上に乗せ、キャップ4のヒンジ軸部22をケース側に引き寄せることで、キャップ4のヒンジ軸部22がヒンジ係合穴21に落ち込む。そして、ヒンジ係合穴21へのキャップ4のヒンジ軸部22の落ち込みを作業者が自身の手の感触で感じることにより、キャップ4のヒンジ軸部22がヒンジ係合穴21にしっかりと嵌まり込んで、キャップ4のヒンジ軸部22がヒンジ係合穴21にヒンジ結合され、ケース3とキャップ4とを正規の状態で組み付けることが可能となったことを確認することができる。
したがって、ケース3へのキャップ4の組付時における作業性を改善することができるので、ケース3へのキャップ4の組付時における作業性を向上させることができる。また、ケース3とキャップ4とを正規の状態で組み付けることができるので、ケース3とキャップ4との誤組付の発生を抑制することができる。
本実施例では、ラジエータ8の電動ファンシュラウド9にケーシングの第1分割ケース(ケース3)を樹脂一体成形しているが、エンジンのヘッドカバー、インテークマニホールド、スロットルボディ、ラジエータのタンク等のエンジン機能部品にケーシングの第1分割ケース(ケース3)を樹脂一体成形または一体的に結合しても良い。また、車両の車体またはフレーム、あるいは電動ファンシュラウドを車両の車体側部材として用いても良い。
本実施例では、フィルタエレメント2の材質として不織布を使用しているが、フィルタエレメント2の材質として紙や金属メッシュ等を使用しても良い。
なお、開口部67は設けなくても良い。この場合には、左右ガイドプレート64の左右平板部が1つの平板部(ガイドプレート)となる。
本実施例では、ヒンジ受け面23および2つの左右傾斜ガイド面24、25を、左右ガイドプレート64に形成しているが、ヒンジ受け面23および2つの左右傾斜ガイド面24、25を、左右ガイドプレート64よりも肉厚の大きいガイドブロックに形成しても良い。また、左右ガイドプレート64の左右傾斜部(左右傾斜ガイド面24、25)のいずれか一方を設けなくても良く、また、両方とも設けなくても良い。
また、本実施例では、2つの第1、第2分割ケースの分割線が、車両の上下方向(ケーシングの重力方向)に延びるように2分割されているが、2つの第1、第2分割ケースの分割線が、ケーシングの重力方向に対して傾斜して上下方向に延びるように2分割されていても良い。
また、ケース3のヒンジ受け部19のヒンジ受け本体63を有底筒状としても良い。また、ヒンジ受け本体63の筒状壁の穴壁面を、キャップ4のヒンジ軸部22に形成された突起77の形状に対応して、円弧状の湾曲面としても良い。
2 フィルタエレメント(エアクリーナエレメント)
3 ケース(ケーシングの第1分割ケース、エアクリーナケース)
4 キャップ(ケーシングの第2分割ケース、エアクリーナキャップ)
5 フィルタエレメントのエレメント本体
6 フィルタエレメントの周縁部
7 クランプ
8 ラジエータ(車両の車体側部材)
9 電動ファンシュラウド
11 ケースの第1フランジ部(第1分割ケースのシール面)
12 キャップの第2フランジ部(第2分割ケースのシール面)
13 ケーシング(ケース)の第1エレメント収納部(開口部)
14 ケーシング(キャップ)の第2エレメント収納部(開口部)
15 ケーシングの上部嵌合部
16 ケーシングの下部嵌合部
17 ケースの第1クランプ締結部
18 キャップの第2クランプ締結部
19 ケースのヒンジ受け部
20 キャップのヒンジ挿入部
21 ケースのヒンジ受け部のヒンジ係合穴(係合凹部)
22 キャップのヒンジ挿入部のヒンジ軸部(係合凸部)
23 ケースのヒンジ受け面
24 左傾斜ガイド面
25 右傾斜ガイド面
26 ヒンジストッパ
64 左右ガイドプレート
72 エレメント収縮防止リブ
Claims (12)
- (a)内燃機関に供給される空気を濾過するエレメントと、
(b)分割線が上下方向に延びるよう2分割される2つの第1、第2分割ケースを有し、
前記2つの第1、第2分割ケースの各開口部同士を結合して一体化されるケーシングとを備えた内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記ケーシングは、前記2つの第1、第2分割ケースの各開口部に、前記エレメントを収納するエレメント収納部を有し、
前記第1分割ケースは、前記エレメント収納部よりも前記ケーシングにおける下方側にヒンジ受け部を有し、
前記第2分割ケースは、前記エレメント収納部よりも前記ケーシングにおける下方側に、前記第1分割ケースに対して前記第2分割ケースを脱着する時の支点となるヒンジ挿入部を有し、
前記ヒンジ受け部は、前記ヒンジ挿入部をヒンジ結合する係合凹部、およびこの係合凹部近傍から車両の略水平方向の一方側に向かって延びるヒンジ受け面を有し、
前記ヒンジ受け部は、前記ヒンジ受け面の両側に、前記ヒンジ受け面より遠ざかるに従って徐々に高さが高くなる傾斜ガイド面を有していることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1に記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記ヒンジ受け面は、前記ヒンジ挿入部の下端面よりも前記ケーシングにおける上方側の位置に設定されていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記ヒンジ受け面は、前記エレメント収納部よりも前記第2分割ケース側に突出していることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記ヒンジ受け面は、前記係合凹部近傍から、
前記エレメントまたは前記第1分割ケースの上方、あるいは前記車両の外部から目視できる位置まで延びていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記エレメントは、前記2つの第1、第2分割ケースの各開口部の周囲に設けられた各シール面間に挟み込まれることで、前記2つのシール面間に形成される隙間をシールする周縁部を有していることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項5に記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記第2分割ケースは、そのシール面から前記エレメントの周縁部側に向けて突出するエレメント収縮防止リブを有していることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項5または請求項6に記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記2つの第1、第2分割ケースの各シール面は、少なくとも前記車両の水平方向に対して垂直な上下方向に設定されていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記第1分割ケースは、前記車両の車体側部材に一体化されていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記車両の略水平方向の一方側とは、前記車両の前後方向の後方側のことであって、
前記ヒンジ受け面は、前記係合凹部近傍から前記車両の前後方向の後方側に向かって延びていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記第1分割ケースの開口部は、前記車両の前後方向の後方側に向けて開口していることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記第2分割ケースは、前記第1分割ケースの開口部を塞ぐように、前記第1分割ケースの開口部に組み付けられていることを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。 - 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の内燃機関のエアクリーナにおいて、
前記2つの第1、第2分割ケースを締結して結合させるクランプを備えたことを特徴とする内燃機関のエアクリーナ。
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