JP4311889B2 - (メタ)アクリル酸無水物の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物(以下、両化合物を(メタ)アクリル酸無水物と略記する)の製造方法に関する。(メタ)アクリル酸無水物は半導体レジストの原料として有用な2−アルキル−2−アダマンチルアクリレート及び2−アルキル−2−アダマンチルメタクリレート(以下、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートと略記する)の製造原料等に用いられる有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アルキルアダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキルアダマンチルエステルを原料として製造されるレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが知られており(例えば特開平5−265212号公報)、半導体用レジスト材料としての将来性が注目されている。
【0003】
アルキルアダマンチルエステルの製造方法としては、有機金属化合物からなるアルキル化試薬によって2−アダマンタノンをアルキル化し、次いで得られる金属アルキルアダマンチルアルコラートを酸ハロゲン化物によってエステル化する方法が知られている(特開平10−182552号公報等)。
【0004】
上記反応において、後段のエステル化反応は化学量論的に進行する条件が知られている(特に金属がリチウムの場合)。しかし、酸ハロゲン化物としてアクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライド(以下、アクリル酸、メタクリル酸を(メタ)アクリル酸と略記する)を用いて、金属アルキルアダマンチルアルコラートをエステル化する場合は、得られるエステルが重合し、全体の収率を低下させる重大な問題がある。
【0005】
更に、(メタ)アクリル酸クロライドを用いてエステル化する場合、何らかの副反応により塩素化物が生成することが確認されている。この塩素化物は得られるレジストに不純物として混入し、レジストの重合性を低下させ、その結果レジストの性能を低下させる問題がある。
【0006】
また更に、(メタ)アクリル酸クロライド自体の反応性が高く、このためこのものは長期保存安定性に欠ける問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、後段のエステル化反応において、酸ハロゲン化物を使う代りに酸無水物を用いる場合には、得られるレジストに塩素化物が混入することを避けられること、及び酸無水物は酸クロライドよりも安定性が高く取扱いやすいこと、更に酸無水物を用いることによりエステル化反応が効率よく進行すること等を知得した。
【0008】
そこで、(メタ)アクリル酸無水物を効率よく製造する方法につき検討した。
【0009】
従来の(メタ)アクリル酸無水物の製造方法においては、(メタ)アクリル酸の金属塩と(メタ)アクリル酸クロライドとを反応させる製造方法が主流である(例えば、J. Org. Chem. 60(7) 2271-73 (1995))。酸クロライドを用いない製造方法としては、塩化チオニルとアクリル酸とを4−ビニルピリジン存在下に反応させる方法がある(Tetrahedron Lett. 27(41) 4937-40 (1986)。
【0010】
しかし、これらの方法による場合は、反応系に必ず塩素化合物が関与しており、従ってこれらの方法で得られる(メタ)アクリル酸無水物をレジストの製造に用いる場合は、上記レジストに塩素化物が混入してレジストの性能を低下させる問題は付いて回る。更に、収率もあまり高くない。
【0011】
USP.2476859には、酢酸銅を重合禁止剤として用いて、アクリル酸とジケテンとを反応させるアクリル酸無水物の製造方法が記載されている。この方法は、塩素化合物を使用していないが、収率が65%で、更なる収率の向上が望まれる。
【0012】
本発明者は、上記従来技術の問題点を解決するため、更に(メタ)アクリル酸無水物の製造方法を検討した結果、脱水剤としてカルボジイミド誘導体を用いると、(メタ)アクリル酸無水物を高収率で製造できること、及びこの製造方法によればレジストの性能を低下させる塩素化物を混入させるおそれが根本的に解決できること等を知得した。本発明は上記知見に基づき完成するに至ったものである。
【0013】
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決する(メタ)アクリル酸無水物の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0015】
〔1〕 塩化メチレンの存在下、下記式(1)で示されるカルボジイミド誘導体と、
【化2】
(但し、R1、R2はそれぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はアミノアルキル基で、前記アミノアルキル基は酸と塩を形成していても良い。)
(メタ)アクリル酸とを反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸無水物の製造方法。
【0016】
【化2】
R1−N=C=N−R2 (1)
(但し、R1、R2はそれぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はアミノアルキル基で、前記アミノアルキル基は酸と塩を形成していても良い。)
(メタ)アクリル酸とを反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸無水物の製造方法。
【0017】
〔2〕 カルボジイミド誘導体がジシクロヘキシルカルボジイミドである〔1〕に記載の(メタ)アクリル酸無水物の製造方法。
【0018】
以下本発明を詳細に説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明においては、下記式(A)に示すように、(メタ)アクリル酸(2)と、カルボジイミド誘導体(1)とを反応させて、(メタ)アクリル酸無水物(3)と、尿素誘導体(4)とを得るものである。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R3は水素原子、又はメチル基を示す。)
本発明において、一方の出発原料であるアクリル酸又はメタクリル酸は、特に制限が無く、通常市販されているものをそのまま用いることが出来る。必要により、重合禁止剤の存在下、減圧蒸留して精製したものを用いても良い。
【0022】
本発明における、もう一方の出発原料であるカルボジイミド誘導体は、前記式(1)の化学構造を有する。
【0023】
式(1)中、R1、R2はそれぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はアミノアルキル基で、前記アミノアルキル基は酸と塩を形成していても良い。
【0024】
アルキル基は、直鎖状、分岐状の何れのものでも良く、炭素数は1〜10のものが好ましく、3〜8のものがより好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ter−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、ter−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、ter−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、ter−オクチル基等を例示できる。
【0025】
シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。
【0026】
アルケニル基としては炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、プロぺニル基、イソプロペニル基等が例示できる。
【0027】
アラルキル基としては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ジメチルベンジル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
【0028】
アリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基等が例示できる。
【0029】
アミノアルキル基としては、アミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基等が例示できる。
【0030】
前記アミノアルキル基は、酸と塩を形成していても良い。アミノアルキル基と塩を形成する酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、又はp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸を例示できる。
【0031】
式(1)の化学構造を有するカルボジイミド誘導体としては、具体的には以下のものが例示できる。
【0032】
1,3−ジプロピルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1,3−ジブチルカルボジイミド、1,3−ジイソブチルカルボジイミド、1,3−ジ−t−ブチルカルボジイミド、1,3−ジペンチルカルボジイミド、1,3−ジイソペンチルカルボジイミド、1,3−ジ−t−ペンチルカルボジイミド、1,3−ジヘキシルカルボジイミド、1,3−ジイソヘキシルカルボジイミド、1,3−ジ−t−ヘキシルカルボジイミド、1,3−ジへプチルカルボジイミド、1,3−ジオクチルカルボジイミド、1,3−ジシクロプロピルカルボジイミド、1,3−ジシクロブチルカルボジイミド、1,3−ジシクロペンチルカルボジイミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,3−ジシクロヘプチルカルボジイミド、1,3−ジシクロオクチルカルボジイミド、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−プロピル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−メチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−プロピル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−ブチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド等。
【0033】
アミノアルキル基R1、R2が酸と塩を形成している式(1)に示すカルボジイミド誘導体としては、以下に示す化合物が例示できる。
【0034】
1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−プロピル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−メチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−プロピル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−ブチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−プロピル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−メチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−プロピル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−ブチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミド硫酸塩、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−プロピル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−メチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−プロピル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−ブチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドp−トルエンスルホン酸塩、1−メチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−プロピル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−ブチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−プロピル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩、1−ブチル−3−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドメタンスルホン酸塩等。
【0035】
式(A)で示す反応において、(メタ)アクリル酸(2)とカルボジイミド誘導体(1)との仕込割合は、(メタ)アクリル酸(2)の1モルに対して、カルボジイミド誘導体(1)を0.40〜0.60モルとすることが好ましく、0.45〜0.55がより好ましい。
【0036】
カルボジイミド誘導体(1)の仕込割合が、上記割合未満の場合は、得られる(メタ)アクリル酸無水物(3)の収率が低下する。カルボジイミド誘導体(1)が、上記仕込割合を超える場合は、特に問題はないが、加えるカルボジイミド誘導体(1)の量に比例して収率は高まらず、不経済になる。
【0037】
反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。反応溶媒としては、反応原料及び反応生成物と反応しない溶媒であれば何れの溶媒でも使用することが出来る。反応溶媒としては、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン等の含ハロゲン系溶媒等が例示できる。
【0038】
これらの溶媒のうちでも、塩化メチレンが溶媒効果を示し、(メタ)アクリル酸無水物の収率を高めるので、好ましい。
【0039】
反応においては、重合禁止剤を共存させることが好ましい。重合禁止剤としては、反応原料及び反応生成物と反応しないものであれば何れのものでも使用することが出来る。重合禁止剤としては、具体的にはp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、フェノチアジン、テトラメチルピペラジンオキシル等を例示できる。
【0040】
重合禁止剤の使用量は、(メタ)アクリル酸に対して重量基準で0.01〜5%が好ましい。
【0041】
溶媒中の(メタ)アクリル酸の仕込濃度としては、10〜90質量%が好ましい。
【0042】
反応温度は、−70〜100℃が好ましく、−10〜40℃がより好ましい。反応温度が100℃を超える場合、得られる(メタ)アクリル酸無水物の重合が進みやすくなる。
【0043】
反応時間は反応温度にもよるが、0.5〜24時間が好ましく、1〜12時間がより好ましい。
【0044】
反応終了後、常法により精製して、(メタ)アクリル酸無水物を得ることが出来る。反応により副生する尿素誘導体(4)は、(メタ)アクリル酸無水物(3)と比較し、沸点、溶媒に対する溶解度が大きく異なっているので、簡単に分離できる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0046】
実施例1
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機をとりつけた2L四つ口ガラス反応器に、アクリル酸144g(2.0mol)塩化メチレン400ml、重合禁止剤として住友化学工業(株)製商品名 スミライザーGM1.4g(1質量%)、スミライザーTP−D0.84g(0.6質量%)、スミライザーWX−R0.84g(0.6質量%)を添加して0℃に冷却した。その後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以後、DCCと略す)206g(1mol)を塩化メチレン400mlに溶解させた溶液を反応温度を10℃以下に制御しながら滴下した。滴下終了後、さらに0℃で1時間、その後20℃で1時間攪拌した。 撹拌終了後、析出したジシクロヘキシル尿素を窒素雰囲気下、吸引ろ過して濾別した。濾別した前記ジシクロヘキシル尿素を塩化メチレン200mlで2回、洗浄した。次に、これらの塩化メチレン溶液を一つに合わせて、45℃、大気圧下で塩化メチレンを留去した。さらに、再度析出したジシクロヘキシル尿素を窒素雰囲気下、吸引ろ過により濾別し、目的物を単離した。収量121.1g、収率96%、ガスクロマトグラフィー(GC)による分析で求めた純度は95.6%であった。
【0047】
実施例2
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を取り付けた2L四つ口ガラス反応器に、メタクリル酸172g(2.0mol)、塩化メチレン400ml、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール1.7g(1質量%)を添加して10℃に冷却した。 その後、20℃以下に制御しながらDCC206gを塩化メチレン400mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、10℃で1時間、25℃でさらに1時間攪拌した。析出したジシクロヘキシル尿素を吸引ろ過で濾別し、濾別した前記ジシクロヘキシル尿素を塩化メチレン200mlで2回、洗浄した。
【0048】
次に、これらの塩化メチレン溶液を一つに合わせて塩化メチレンを減圧留去した。さらに、再度析出したジシクロヘキシル尿素を濾別し、目的物を単離した。収量150g、収率97%、GCによる純度は94.3%であった。
【0049】
比較例1
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を取り付けた500ml四つ口ガラス反応器に、テトラヒドロフラン200mlとメタクリル酸ナトリウム10.8g(0.1mol)と重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1g(1質量%)とを添加して室温で攪拌した。その後、メタクリル酸クロライド10.5gをテトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を、反応液が30℃を超えないように制御しながら滴下した。滴下終了後、40℃で3時間攪拌し、析出してくる塩化ナトリウムを室温でろ過した。次に、テトラヒドロフランを減圧留去し、ヘプタン200mlを加え、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液、純水で洗浄した。ヘプタンを減圧留去して目的物を単離した。収量10.9g、収率71%、GC純度88%であった。
【0050】
参考例1
500mlのフラスコに窒素雰囲気下、2−アダマンタノン30g(0.2mol)を仕込み、テトラヒドロフラン(THF)90gを加えて溶解させた。ここに、市販のメチルマグネシウムブロマイドTHF溶液(1.0mol/l)220ml(0.22mol)を温度が40℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後1時間攪拌し、2−メチル−2−アダマンチルアルコキシマグネシウムブロマイドのTHF溶液を調製した。ここに、実施例2で製造したメタクリル酸無水物43g(0.28mol)を温度が40℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後4時間室温で攪拌した後、メタノール10gと10質量%水酸化ナトリウム水溶液16gを10℃以下で加えて1時間攪拌し、有機層を分離した。
【0051】
有機層をさらに10質量%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。残渣を0.3mmHg、85℃から90℃で蒸留し、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを24.2g得た(収率52%)。ガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれる不純物は検出されなかった。
【0052】
比較参考例1
参考例1に準じて、比較例1で合成したメタクリル酸無水物を用いて2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを合成した。単離収率は34.8%で、得られた化合物のガスクロマトグラフ質量分析から、2−クロロ−2−メチルアダマンタンと考えられる不純物が0.4%検出され、さらに構造不明の塩素含有不純物が2種類、0.2%と0.1%で検出され、構造不明の臭素含有不純物も0.2%検出された。
【0053】
【発明の効果】
本発明においては、(メタ)アクリル酸から(メタ)アクリル酸無水物を合成するにあたり、カルボジイミド誘導体を用いたので、従来の製造方法と比較し、収率が高い。更に、本製造方法においては、塩素化合物を出発原料として用いていないので、得られる(メタ)アクリル酸無水物中には本質的に塩素化物が混入するおそれがない。従って、この(メタ)アクリル酸無水物を用いてレジストを製造する場合、得られるレジストは高品位のものである。
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