JP4311187B2 - インクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法及びインクジェット記録用キャスト塗工紙 - Google Patents

インクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法及びインクジェット記録用キャスト塗工紙 Download PDF

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Description

本発明はインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法及びインクジェット記録用キャスト塗工紙に関する。
キャスト法は、光沢性を有する印刷用紙の製造方法として知られている方法で、透気性支持体の表面に対し、層状に、顔料等を含有する塗工液を塗工した後、湿潤状態あるいは再湿潤状態の該塗工液層を、鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し取る方法である。キャスト法により得られる印刷用紙(キャスト塗工紙)は、他の塗工紙に比較して高い表面光沢と優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されている。
一方、インクジェットプリンタによる記録は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が容易なために多方面で利用されている。インクジェット記録用紙には、インクジェット記録の高速化、多色化に対応するため、高いインク吸収性が求められる。そのため、現在、インクジェット記録用紙としては、主に、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。
しかし、これら従来のインクジェット記録用紙は、表面光沢の低い、いわゆるマット調のものが主体であり、外観が良くない。そのため、表面光沢の高い、優れた外観を有するインクジェット記録用紙が要望されており、キャスト塗工したインクジェット記録用紙が提案されている。
例えば、顔料及び接着剤を主成分とする記録層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラス転移点を有する共重合体を主成分とする塗工液を塗工してキャスト用塗工液層を形成せしめ、該キャスト用塗工液層を、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光沢とインク吸収性とを兼ね備えるインクジェット記録用キャスト紙を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、基材に2次粒子の平均粒子径が1μm以下である凝集体微細粒子及び接着剤を含有するインクジェット記録層を少なくとも2層設け、該インクジェット記録層の表層をキャスト塗工したインクジェット記録用紙が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、最近、写真画質に近い、印字品位の高い記録用紙として、支持体の片面に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗布し、該接着剤と凝固し得る凝固剤を更に塗布し、湿潤状態でキャストドラムに圧着する凝固型キャスト法(ゲル化キャストともいう)によるインクジェット記録用紙が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
従来公知の凝固型キャスト法としては、まず、塗工液にアルミニウム、亜鉛などの金属キレート化合物を添加しておき、塗布後、ゲル化剤として蟻酸や酢酸を塗布することにより、キレート化合物を分解し、金属イオンを遊離させ、塗工液中のタンパク質をゲル化する方法、タンパク質を含有する塗工液を塗布後、ゲル化剤として金属塩水溶液を塗布することによりゲル化する方法、ポリビニルアルコールを含有する塗工液を塗布後、硼酸やジアルデヒト化合物等のポリビニルアルコール用架橋剤を、ゲル化剤として塗布してゲル化させる方法などがある。
さらに、記録用紙に光沢を付与する方法としては、キャスト法の他に、スーパーカレンダーやグロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗工液層表面を平滑化する方法が知られている。
なお、最近、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる、一定の温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す高分子化合物を含有する高分子エマルジョンと、これを用いて塗工液層を形成した記録媒体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平7−89220号公報 特開2001−10220号公報 特開2002−166644号公報 特開2003−40916号公報
しかしながら、従来のキャスト塗工紙においては、さらなる光沢性の向上が求められている。
また、インクジェット記録用紙用途においては、光沢性の向上とともに、インクジェット適性(印刷適性)の向上が望まれている。
すなわち、特許文献1、2に記載の様なキャスト塗工したインクジェット記録用紙は、インク吸収性は充分であるものの、印画紙基材を用いたインクジェット記録媒体と比較すると、表面の平滑性が充分でないため光沢性が不足しており、またインクドットの真円性等の印字適性も劣るものである。
また、特許文献3に記載のような方法を採用すると、ゲル化のために塗布する液の固形分濃度が5質量%以下であることから、塗工液層の水分量が多くなり、乾燥効率の低下や、塗工液層のひび割れの原因となったり、ゲル化のコントロールが不十分となることから、ベタ印字した際のムラの発生などの問題が発生する。
また、凝固型キャスト法では、顔料と接着剤の塗工液と、凝固剤の塗工液を二度塗る必要があり、また、凝固剤の塗布量のバラツキにより均一な塗工液層が得られないという問題もある。そのため、凝固法による、品質の安定したインクジェット記録用キャスト塗工紙を得るのは難しいのが現状である。
また、スーパーカレンダーやグロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗工液層表面を平滑化する方法では、インクジェット記録シートの場合は、光沢を付与する目的で、高線圧下でカレンダー処理を行うと、光沢は向上するが、塗工液層中の空隙が減少し、インクの吸収が遅くなるとともに、吸収容量も低下する。そのため、印字後、インク受容層に吸収されずにインクがあふれ、印字のにじみやベタ部の均一性の低下等の印字適性の低下が生じてしまう。このことから、カレンダー処理では、インクジェット記録用として必要なインク吸収性を確保できる低線圧条件を選択せざるを得ず、したがって、インクジェット記録用として必要な印字適性と光沢性とをともに有するインクジェット記録用紙を得ることは困難である。
なお、前記特許文献4には、光沢層について感温性高分子化合物を用いることは記載されておらず、光沢層の光沢性の向上についても記載や示唆はない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、インクジェット記録用キャスト塗工紙において、光沢性の向上を図ることを目的とする。また、光沢性の向上とともに、好適にはインクジェット適性を向上させることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明においては下記の解決手段を提案する。
第1の発明は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、下記(1)〜(3)の数値範囲を満たすものであり、
前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
(1)0.02秒値が65〜85°
(2)0.04秒値が60〜80°
(3)0.14秒値が60〜75°
第2の発明は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
23℃に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、下記(1)〜(3)の数値範囲を満たすものであり、
前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
(1) 0.02秒値が65〜85°
(2) 0.04秒値が60〜80°
(3) 0.14秒値が60〜75°
第3の発明は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θの0.5秒値が55〜75°であり、
前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
第4の発明は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
23℃に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θの0.5秒値が55〜75°であり、
前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
また、第5の発明は、本発明のインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法によって得られるインクジェット記録用キャスト塗工紙である。
本発明においては、インクジェット記録用キャスト塗工紙において、光沢性の向上を図ることができる。また、光沢性の向上とともに、好適にはインクジェット適性を向上させることができる。
[キャスト塗工紙の製造方法]
◆第1の実施形態、第2の実施形態
第1の実施形態は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、該塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、下記(1)〜(3)の数値範囲を満たすものであり、前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
(1)0.02秒値が65〜85°(好ましくは70〜80°)
(2)0.04秒値が60〜80°(好ましくは60〜75°)
(3)0.14秒値が60〜75°(好ましくは60〜70°)
第2の実施形態は、前記第1の実施形態において、塗工液を、23℃に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、前記(1)〜(3)の数値範囲を満たす塗工液に変更するものである。
この様に特定の接触角θの数値範囲を満足する塗工液を用いることにより、キャスト塗工紙の光沢性を向上させることができる。
その理由は定かではないが、この様な塗工液は温度調節した透気性支持体に塗工すると増粘するため、しみこみにくく、その表面に保持されるため、比較的厚く、平滑性に富み、かつ強度の高い光沢層が形成されるためではないかと推測される。光沢層の平滑性が良好であることにより、光沢性が向上するし、光沢層の強度が向上することにより、当該光沢層の微細なひび割れ等を防止できるため、これも光沢性向上に寄与するものと推測される。
すなわち、光沢性の向上とともに、平滑性の向上、強度の向上、ひび割れの防止の効果も得られる。
また、インクジェット記録用紙においては、印刷適性が向上する。光沢層は、塗工液層が金属面に圧接されることによって水分が蒸発せしめられて、この水分が蒸発する際に多孔質となるものである。本発明においては、比較的厚い光沢層が形成できるため、厚く、かつ多孔質な光沢層によってインクが十分に受容され、その結果印刷適性が向上するものと推測される。
接触角θは光沢層用の塗工液の組成を変更することによって調整することができる。例えば、後述する感温性高分子化合物を用いることが好適であり、その種類、配合量等により変化させることができる。
第1の実施形態において、塗工液を塗布する際の表面温度に調節した透気性支持体に対する接触角θを規定するのは、塗工液を塗布する際のしみこみが問題となるからである。
なお、「塗工液を塗布する際の表面温度」とは実際にキャスト塗工紙を製造する際の温度条件を測定し、これによって決定するものである。例えば15〜35℃とされる。
第2の実施形態において、温度条件を23℃としたのは、通常塗工液を塗布する際の温度は23℃だからである。
・接触角の測定方法
接触角は、例えばFIBRO system ab社から販売されている動的液体吸収試験器(商品名 ファイブロ1100DAT ダイナミック・アブソープション・テスター,総発売元松坂貿易株式会社)を使用し測定する。なお、同様の原理で測定できる装置を用いるのであれば、上記のものに限定されるものではない。
具体的な測定方法としては、精密液体ポンプによりシリンジを通じて試験液を4.5μl(マイクロリットル)滴下し、滴下された液滴を真横からビデオカメラにて拡大観察し、液滴が試験片に接触した時点より0.02秒間隔で撮影し、液滴が試験片と接触した面の直径および液滴の高さを撮影された画像より解析し、それらより計算して接触角θを求める。
塗工液の液滴の滴下から0.02秒後のθ値が0.02値(θ0.02)、0.04秒後の値が0.04秒値(θ0.04)、0.14秒後の値が0.14秒値(θ0.14)である。
なお、試験回数は各試料につき10回以上行い、その平均値より接触角を求める。
ここで、試験液としては、温度35℃に調整された、塗工液の溶質濃度(固形分濃度)が3.0質量%とされた希釈水溶液を用いる。溶質濃度(顔料、後述する感温性高分子化合物等)、3質量%としたのは、接触角θの測定上の都合である。なお、3質量%濃度での値は、光沢性向上等の本発明の効果との相関関係が得られる。
そして、第1の実施形態において、透気性支持体は、塗工液を塗布する際の表面温度に調整したものを用いる。湿度は好ましくは50%Rhとする。好ましくは一晩当該環境下に放置して調整する。
第2の実施形態においては、透気性支持体の温度条件を23℃とする。また、好適には湿度を50%Rhとする。好ましくは一晩当該環境下に放置して調整する。
0.02秒値、0.04秒値、0.14秒値という3つの値により、塗工液を滴下した直後の挙動から塗工液(希釈液)を滴下してある程度時間がたったときまでの塗工液(希釈液)の挙動(しみこみやすさ)を規定することができる。0.14秒値まで規定したのは、キャスト塗工紙の製造において、塗工液の塗布から、金属面(キャストドラム)の圧接・乾燥による光沢層の形成までの通常の製造時間を考慮してのことである。
上記(1)〜(3)の数値範囲の下限値以上の数値を有することにより、塗工液を塗工して、湿潤状態で、金属面(キャストドラム)を圧接して光沢層を形成するまでの間、塗工液が透気性支持体にしみこみにくく、その結果、充分な光沢を示し、また、インクジェット記録用紙としての印刷適性に優れた光沢層が得られる。また、上記(1)〜(3)の数値範囲の上限値以下の数値を有することにより、塗工液の粘度が非常に高くなったり、もしくは塗工液の透気性支持体に対するぬれ性が悪いといった現象を抑制でき、塗工液の塗工のハンドリング性を向上させることができる。
以下、透気性支持体、光沢層を形成する塗工液等の材料について説明する。なお、インクジェット適性を考慮し、インクジェット記録用紙に適したものについて特に詳細に説明するが、これらがその他の用途にも適用可能であることは言うまでもない。
・透気性支持体
透気性支持体は、透気性を有する基材、または当該基材と、その上に必要に応じて設けられる下塗り層とを備えたものである。
・・基材
基材としては、透気性を備えたものであれば特に限定されるものではなく、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材が適宜使用される。また透気性を有する樹脂シート類も用いることができる。
紙基材としては、木材パルプを主成分として構成され、必要に応じて填料、各種助剤等の添加剤を含有するものが挙げられる。
木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20質量%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20質量%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢度、像鮮明度が優れたインクジェット記録用紙が得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。
紙基材には、さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。
紙基材のステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度である。
基材は、王研式透気度が10〜350秒/ccにあることが好ましい。因みに10秒/100cc以上とすることにより、塗工液が基材や必要により形成される下塗り層に浸透することを、さらに抑制できる。350秒/100cc以下とすることにより、キャスト仕上げする際に、操業性が劣るという問題を抑制できる。好ましい王研式透気度は10〜200秒/100ccであり、より好ましくは20〜100秒/100ccである。
・・必要により形成される下塗り層
透気性支持体が基材の上に下塗り層を有することにより、光沢性が向上し、また、インクジェット記録用紙のドット真円性が向上するため、印刷適性が向上する。これは、下塗り層により、さらに塗工液のしみこみを抑制できるからであると推測される。
下塗り層は、顔料と接着剤とを有することが好ましく、必要により、さらにカチオン性化合物を含有することが好ましい。
下塗り層に配合される顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を1種もしくはそれ以上、併用することができる。これらの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として含有させるのが好ましい。
顔料の平均粒子径(凝集顔料の場合は凝集粒子径)は、1〜10μm程度が好ましく、より好ましくは2〜10μmである。1μm以上とすることにより、インク吸収速度向上効果が得られ、10μm以下とすることにより、光沢層の平滑性や光沢の低下を防ぐことができる。あの、異なる平均粒子径の顔料を併用することも可能である。
また、インク吸収性を調整したり、下塗り層上に塗工する塗工液の浸透を制御する目的で、副成分として、平均粒子径の小さい、例えば平均粒子径が1μm未満の顔料を配合することができる。この様な顔料としてはコロイダルシリカ、アルミナゾルが挙げられ、特にコロイダルシリカが好ましい。
副成分として配合されるコロイダルシリカ(コロイダルシリカ(a))は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂(b)と組み合わせて配合されることが好ましい。
すなわち、下塗り層中には、コロイダルシリカ(a)と、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂(b)とを含有させるか、あるいは、コロイダルシリカ(a)と重合体樹脂(b)との複合体(c)を含有させることが好ましい。これにより、表面光沢がより向上する。さらに、その理由は不明であるが、光沢層をキャスト加工を行なう際に、鏡面仕上げの金属ロール面からの離型性が向上する傾向がある。
光沢がより発揮される理由は必ずしも明らかではないが、コロイダルシリカ(a)及び重合体樹脂(b)、あるいは複合体(c)の存在が、下塗り層のインク吸収性を維持したまま、光沢層を形成するための塗工液が下塗り層へ浸透するのを抑制するためと推定される。
コロイダルシリカ(a)にはアルカリ性タイプと酸性タイプがあり、どちらも使用可能であるが、下塗り層用の塗工液のpH等の物性に合わせて適宜使い分ける必要がある。コロイダルシリカの粒子形状としては、球状コロイダルシリカ、非球状コロイダルシリカ共に使用することができる。非球状コロイダルシリカとは、球状コロイダルシリカが直列あるいは一部分岐してつながった状態のコロイダルシリカである。光沢の出やすさは、どちらかといえば球状コロイダルシリカの方が優れており、インク吸収性については非球状コロイダルシリカの方が優れている。これらは、目的に合わせてどちらかを選定もしくは両者を適宜混合して使用することが重要である。
コロイダルシリカの粒子径は4〜200nmの範囲が好ましく、10〜60nmがより好ましい。
コロイダルシリカ(a)の配合量は、コロイダルシリカ(a)以外の顔料100質量部に対し、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部の範囲で調節される。
エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂(b)としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジエン等のエチレン性モノマーを重合して得られる重合体が挙げられる。なお、重合体樹脂(b)は、必要に応じて2種類以上のエチレン性モノマーを併用した共重合体であってもよいし、さらに、これら重合体あるいは共重合体の置換誘導体でもよい。因みに、置換誘導体としては、例えばカルボキシ基化したもの、又は該カルボキシ基をアルカリ反応性にしたもの等が例示される。
重合体樹脂(b)の配合量は、コロイダルシリカ(a)以外の顔料100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜5質量部の範囲で調節される。
複合体(c)は、コロイダルシリカ(a)と重合体樹脂(b)とを複合体化したものであり、コロイダルシリカ(a)と重合体樹脂(b)との複合体化の方法としては、(I)上記のエチレン性モノマーをシランカップリング剤等とコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R結合(R:重合体成分)によって複合体(c)とする方法、あるいは(II)必要に応じシラノール基等で変性した重合体樹脂(b)とコロイダルシリカ(a)を反応させ、Si−O−R結合(R:重合体成分)によって複合体(c)とする方法、等が挙げられる。
上記複合体(c)の重合体成分(重合体樹脂(b))のTg(ガラス転移点)は40℃以上が好ましく、50〜100℃の範囲がより望ましい。Tgが40℃以上であると、乾燥の際に成膜が進みすぎにくく、インクの吸収が速くなり、インクのにじみが発生しにくくなる傾向がある。
さらに、その理由は必ずしも明らかではないが、Tgが40℃以上の場合、キャスト方式により光沢層を設ける際の鏡面ドラムからの離型性がより向上する傾向がある。
複合体(c)の配合量は、コロイダルシリカ(a)以外の顔料100質量部に対し、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは1〜15質量部の範囲で調節される。
また、複合体(c)中の、コロイダルシリカ(a)と重合体樹脂(b)との比率(質量比)は、好ましくは95:5〜50:50、より好ましくは80:20〜60:40である。
下塗り層に配合される接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等の、一般に塗工紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。
なお、水性ポリウレタン樹脂は、ウレタンエマルジョン、ウレタンラテックス、ポリウレタンラテックス等とも通称されている。また、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物との反応から得られるものである。比較的多数のウレタン結合及び尿素結合を含む高分子化合物である。
顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に、顔料100質量部に対し接着剤1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。
下塗り層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、下塗り層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
なお、下塗り層中には、インクの定着性を高めるために、後述する光沢層と同様、カチオン性化合物を配合してもよい。しかし、光沢層のみにカチオン性化合物を配合し、下塗り層には実質的に存在しない方が、印字濃度が高くなるので好ましい。ただし、助剤的に、カチオン性界面活性剤等を微量添加してもかまわない。
また、下塗り層中には、後述する感温性高分子化合物を配合してもよい。感温性高分子化合物を配合することにより、印字した際のインクドットの真円性がより向上し、印画画質がより鮮明なものとなる傾向がある。感温性高分子化合物を配合した下塗り層は、その製造時に感温性高分子化合物の感温点以下まで冷却して増粘又はゲル化させた後に例えば熱風乾燥等により乾燥させると、乾燥の際の風圧による微小なぼこつきが抑制されるためであると考えられる。
しかし、感温性高分子化合物を配合すると、材料自体のコストがかかり、また、必要により形成される下塗り層形成用の塗工液の温度管理が必要となるため、温度管理コストが必要となるため、コストの観点からは配合しないことが好ましい。
したがって、下塗り層への感温性高分子化合物の配合は、目的の品質とコストの関係から適宜選択するのがよい。
下塗り層は、上記材料をもって構成される下塗り層用塗工液を基材上に塗工し、乾燥することにより形成できる。
下塗り層用塗工液は、一般に固形分濃度5〜50質量%程度に調整される。
下塗り層用塗工液の塗工量は、乾燥質量で、好ましくは2〜100g/m、より好ましくは5〜50g/m程度、更に好ましくは5〜15g/m程度である。塗工量を2g/m以上とすることにより、インク吸収性改良効果が充分に得られ、光沢層を設けた際に優れた光沢性が得られ、100g/m以下とすることにより、印字濃度が高くなったり、光沢層用の塗工液層の強度が向上し、粉落ちや傷が付きにくくなる傾向がある。
必要により形成される下塗り層用塗工液の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター等の各種公知公用の塗工装置が使用できる。
また、下塗り層の形成後、さらに、必要に応じてスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
なお、下塗り層は、2層以上形成しても構わない。
・光沢層を形成する塗工液用の材料
光沢層を構成する塗工液は、塗工可能な粘度であって、かつ上記(1)〜(3)の接触角θの数値範囲を満足する特性を有するものであれば特に限定するものではないが、後述する感温性高分子化合物を含有するものであることが好ましい。感温性高分子化合物を用いることにより、従来の凝固型キャスト法に用いられる架橋剤(例えば、硼砂、ジアルデヒド化合物、金属塩等)を用いない組成とすることができる。特に、架橋剤の中でもインクジェット用紙に最も多く用いられている硼砂は、近年水質汚濁にかかわる環境基準が厳しくなっているため使用しないことが好ましく、その点から感温性高分子化合物を使用することは好ましい。
また当該塗工液には顔料が配合される。さらに、インクを定着させる目的で、カチオン性高分子やカチオン性粒子などカチオン性化合物を配合してもよい。
また、塗工液の溶媒には水が用いられるが、感温性高分子化合物の感温点の調整や、キャスト加工時の乾燥を遅くして、印刷適性の良好な光沢層を得る点から、有機溶媒を配合することも好ましい。
・・顔料
顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等の中から1種もしくはそれ以上、併用することができる。
これらの中で、平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微細顔料が好ましい。平均粒子径が1000nm以下とすることにより、透気性支持体の光沢層の透明度が低下し、当該光沢層中に定着した着色剤の発色性が低下しm所望とする印字濃度が得られないという傾向を抑制できる。また平均粒子径10nm以上とすることにより、インクの吸収性が低下し、にじみ等が発生し、所望とする画像品位を得ることができないという傾向を抑制できる。
微細顔料を構成する一次粒子の平均粒子径3nm以上40nm以下が好ましい。より好ましくは5nm以上30nm以下、さらに好ましくは7nm以上20nm以下である。平均1次粒子径3nm以上とすることにより、1次粒子間の空隙が著しく小さくなり、インク中の溶剤や着色剤を吸収する能力が低下し、所望とする画像品位を得ることが出来ない傾向を抑制できる。また、平均1次粒子径40nm以下とすることにより、凝集した2次粒子が大きくなり、下塗り層の透明性が低下し、下層中に定着された着色剤の発色性が低下し、所望とする印字濃度が得られない傾向を抑制できる。
平均粒子径0.7μm以下の顔料は、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と繰り返し粉砕を行なうことができる。
本発明でいう平均粒子径は、顔料が粉体、スラリー状に関係なく、まず3%の顔料水分散液を200g調整し、続いて市販のホモミキサーで1000rpm、30分間を攪拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し平均したもの。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。本発明者らが測定した結果、顔料が粉体の場合(粒子径1μm以上の顔料が殆ど)はメーカーカタログ値とほぼ一致するが、スラリー状の場合(粒子径1μm以下の顔料が殆ど)は、スラリーの凝集状態によって粒子径が大きく変動するが、上記の測定条件であれば、ほぼ同じ値が得られる。
微細顔料としては、特に、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物、アルミナ酸化物、およびアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。このなかで、気相法シリカとアルミナ酸化物が好ましく選択される。アルミナ酸化物の中では気相法(フュームド)アルミナ酸化物が好ましい。
好ましく使用される気相法シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することが出来る。
メソポーラスシリカとは、1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m/gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4cc/gが好ましい。メソポーラスシリカの合成方法は特に限定されないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている、シリカのアルコキシドをシリカ源として、長鎖のアルキルを含む4級アンモニウム塩をテンプレートとした合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されているアモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源として、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとする水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されているシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとしてイオン交換法により合成する方法、更にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体からのテンプレートの除去方法としては高温で焼成する方法、有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカのコロイド状物とは、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体であり、例えば特開平2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
アルミナ酸化物とは、一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。具体的には、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナ酸化物が好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)が最も好ましい。
気相法アルミナ酸化物とは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の1次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナ酸化物は、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナ酸化物の使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
アルミナ水和物とは、特に限定するものではないが、インク吸収速度や成膜性の観点からベーマイトか擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報など)などが挙げられる。
・・感温性高分子化合物
感温性高分子化合物を配合することにより、上記(1)〜(3)の接触角θの数値範囲を満足する特性が得られやすくなり、好ましい。
本特許請求の範囲及び明細書において、「感温性高分子化合物」とは、一定の温度以下の温度領域では親水性を示し、その一定の温度より高い温度領域では疎水性を示す、温度応答性の高分子化合物を意味し、その親水性−疎水性が変化する温度を「感温点」という。
また、一定の温度以上の温度領域では親水性を示し、その一定の温度より低い温度領域では疎水性を示す、温度応答性の高分子化合物であってもよい。この場合もその親水性−疎水性が変化する温度を「感温点」という。
ここで、「温度応答性」とは、親水性−疎水性の変化を示す性質を意味する。また、「親水性」とは、感温性高分子化合物と水とが共存する系において、感温性高分子化合物は水と相溶した状態の方が、相分離した状態よりも安定であることを意味し、「疎水性」とは、感遠性高分子化合物と水とが共存する系において、感温性高分子化合物は水と相分離した状態の方が、相溶した状態よりも安定であることを意味する。
なお、温度を低下させることにより疎水性から親水性に変化する前者の高分子化合物を用いた塗工液は、透気性支持体に塗工後、感温点以下に冷却することにより、ゲル化または増粘させるのに対し、温度を上昇させることによって疎水性から親水性に変化する後者の高分子化合物を用いた塗工液は、透気性支持体に塗工後、感温点以上に加熱することにより、ゲル化または増粘度させる。よって、この点が異なる以外は、後者については、前者と同様の組成、操作を適用できる。
本発明においては、前者の一定の温度以下の温度領域では親水性を示し、その一定の温度より高い温度領域では疎水性を示す、温度応答性の高分子化合物が好ましい。以下、当該好適な高分子化合物を例として説明する。
ところで、親水性−疎水性の変化は、例えば、感温性高分子化合物と水とが共存する系の温度変化に伴う急激な粘度変化、あるいは感温性高分子化合物と水とが共存する系の透明性の急激な変化、感温性高分子化合物の水に対する溶解性の急激な変化として現れる。
すなわち、感温性高分子化合物と水とが共存する系の温度を、感温性高分子化合物が疎水性を示す温度領域(感温点より高い温度)から徐々に低下させたときの粘度を測定して得られる温度−粘度曲線が急激に変化(増粘)する転移点として、感温点を求めることができる。あるいは、感温性高分子化合物が疎水性を示す温度領域(感温点より高い温度)において得られる感温性高分子化合物の水分散液を徐々に冷却したときに、該分散液が透明化あるいはゲル化し始める温度として、感温性高分子化合物の感温点を求めることができる。
感温性高分子化合物の感温点は、特に限定しないが、5〜30℃であることが好ましい。因みに、5℃以上であることにより、光沢層用の塗工液を塗工後、冷却して塗工液層を増粘またはゲル化する際の冷却効率が悪くなるのを抑制できる。冷却効率が悪くなると、塗工液が透気性支持体に浸透してしまい、光沢性が低下する原因となるおそれがある。30℃以下とすることにより、塗工液が塗工の際にゲル化してしまい、安定して製造することができなくなる傾向を抑制できる。特に好ましい感温点は、15〜25℃である。
なお、感温点は、キャスト塗工紙の製造時において、塗工液のしみこみ易さの点から、光沢層用の塗工液を塗布する前の透気性支持体の表面温度以上の感温点を示すことが好ましく、通常は23℃以上の感温点を示すことが好ましい。
感温性高分子化合物のガラス転移点は特に限定されないが、キャスト加工適性などの観点からガラス転移点は50〜150℃が好ましく、一般的には得られる記録媒体への柔軟性付与の観点から80〜120℃が好ましい。因みに50℃以上とすることにより、乾燥の際に塗工液層の成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下し、インクジェット記録を行なった際にインクにじみやベタムラを発生し易くなるのを抑制できる。一方、150℃以下とすることにより、成膜性が不十分となり光沢性が低下する傾向を抑制できる。
感温性高分子化合物は、光沢層を形成する際、光沢層形成用の塗工液に、この感温性高分子化合物を含む高分子エマルジョンの形態で用いられることが好ましい。この高分子エマルジョンは、含有する感温性高分子化合物の温度変化による親水性−疎水性の変化の影響によって急激に粘度変化を生じる温度(感温点)を有することになる。
本発明において好適に用いられる感温性高分子化合物は、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物である。この感温性高分子化合物は、具体的には、
(I)単独重合することによって該温度応答性(親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の1種あるいは2種以上をポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物、あるいは、
(II)該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができかつ単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)とをポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物である。
副モノマー(N)を共重合成分に使用することによって、感温点や成膜性の異なる高分子化合物を得ることが可能となる。
主モノマー(M)、副モノマー(N)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
感温性高分子化合物として、ポリビニルアルコー及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に主モノマー(M)を、あるいは主モノマー(M)及び副モノマー(N)を重合して得られる高分子化合物を使用することによって、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体を共存しない条件下で同様にして得られる高分子化合物を使用した場合と比較して、成膜性、成膜強度に優れた光沢層を有するインクジェット記録紙が得られる。
ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、特に限定されない。
ポリビニルアルコールとしては、一般に完全ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度96%〜100%のポリビニルアルコール、一般に部分ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度76%〜95%のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール誘導体としてはシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変成ポリビニルアルコール、メルカプト基含有ポリビニルアルコール、ケト基含有ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、1種で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
該ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の重合度は、特に限定されないが、重合度300〜4000のものが好ましく用いられる。
また、インク吸収性の観点から、ケト基含有ポリビニルアルコールを使用し、後述の、少なくとも2個の、ヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を併用して、該ケト基を架橋することが好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の使用割合は、得られる感温性高分子化合物が温度応答性を呈する範囲の中で決められ、感温性高分子化合物中のポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール誘導体の含有率は該条件の範囲の中においては特に制限されないが最終的に得られる記録媒体の塗工膜の耐水性の観点から、0.1〜50質量%が好ましく用いられ、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
主モノマー(M)としては、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(あるいはメタクリル)又はアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては、親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられる。具体的には、親油性ビニル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジンなどが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。また、本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工液層の成膜性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーなどのアニオン基含有モノマーを用いることは好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、得られる感温性高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
光沢層用の塗工液に、後述するカチオン性化合物を配合する場合、上記感温性高分子化合物は、光沢層形成用の塗工液の調製が容易である点から、カチオン性あるいは非イオン性であることがより好ましい。
カチオン性の感温性高分子化合物は、例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができ、該観点から少なくとも一種類以上の、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを副モノマー(N)として使用することは好ましい。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。特に、太陽光あるいは蛍光灯の光に、得られる記録媒体にインクジェットプリンターを用いて印刷を行った印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点及び得られる高分子エマルジョンのコロイド安定性の観点から、該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有することがより好ましい。
3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有する感温性高分子化合物は、例えば主モノマー(M)と、副モノマー(N)として3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーとを共重合させて得られる。主モノマー(M)、副モノマー(N)(3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーを含む)は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、モノマー中に3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレン及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミン及びその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドン及びその4級アンモニウム塩、N,N’−ジビニルエチレン尿素及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピリジン及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピペリジン及びその4級アンモニウム塩、2−,又は4−ビニルキノリン及びその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド4級化合物が好ましく用いられる。
主モノマー(M)と3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。本発明に用いる、感温性高分子化合物中の3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー単位の含有率は、上記条件の範囲の中においては特に制限されないが、塗工液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
さらに、太陽光あるいは蛍光灯の光に印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点から、3級アミノ基含有モノマーよりも4級アンモニウム塩基含有モノマーを使用する方がより好ましい。さらに、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー及び、前記アニオン基含有モノマーを共に含有することは、前述の該塗工液調製の容易さ、及び本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工液層の成膜性、の両方の観点から好ましく、特に該アニオン基含有モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
光沢層用の塗工液における感温性高分子化合物の配合量は、顔料100質量部に対し1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部の範囲内である。ここで感温性高分子化合物の配合量が1質量部未満であると、塗工液のゲル化が不十分となりやすく、光沢性の低下やインクドット真円性の悪化が起こりやすい傾向にある。またその配合量が100質量部より多くなると、得られるキャスト塗工液層のインク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなることがある。
そして、この配合量の範囲とすることにより、上記接触角θの数値範囲を満足することが容易となる。
・・カチオン性化合物
光沢層用の塗工液には、更に必要により、インクジェット記録用インク中の着色剤(染料又は着色顔料)成分を定着する目的で、カチオン性化合物を配合することもできる。
カチオン性化合物としては、公知のカチオン性化合物を配合することもできる。例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性化合物等が例示できる。
カチオン性化合物の配合量は、顔料100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、さらに好ましくは、3〜20質量部である。カチオン性化合物が1質量部より少ないと、印字濃度向上の効果が得られにくく、30質量部より多いと、余分なカチオン性化合物が空隙を塞いでしまい、インク吸収性が阻害され、画像のにじみやムラが発生するおそれもある。
また、カチオン性化合物を配合する際、カチオン性化合物の少なくとも一部を、予め、顔料に混合して用いることが好ましい。特に、顔料として微細なシリカを用いる場合、シリカは一般にアニオン性であり、混合の際に、微細シリカ粒子にカチオン性化合物を加えると、微細シリカ粒子の凝集が起こり、前記特定の粒子径に調整することが困難になる場合がある。
したがって、この場合、一般的に市販されている非晶質シリカ(数ミクロンの、比較的大きな2次粒子径)を機械的手段により強い力を与えて微細粒子に粉砕処理する前に、該非晶質シリカにカチオン性化合物を一緒に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕するか、あるいは微細化したシリカ2次粒子分散体にカチオン性化合物を混合し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕する方法等をとることにより、前記特定の粒子径に調整することができる。
このようにして処理した顔料は、カチオン性化合物が一部結合した構造をとり、安定して分散したスラリーとなっているためか、更に別途カチオン性化合物を追加配合しても凝集し難いという特徴を有する。本発明では、このようなカチオン性物質で処理した微細顔料をカチオン性微細顔料という。
前記顔料と前記カチオン性物質の混合物、もしくは凝集物を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
カチオン性微細顔料の平均2次粒子径が1000nmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば充分分散するが、平均2次粒子径を1000nm以下に粉砕するには、より強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×10〜343.2×10Pa(200〜3500kgf/cm)、より好ましくは49.0×10〜245.3×10Pa(500〜2500kgf/cm)、さらに好ましくは、98.1×10〜196.2×10Pa(1000〜2000kgf/cm)である。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、あるいは粉砕方式を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
このようにして処理されたカチオン性微細顔料は、一般に、固形分濃度が5〜20質量%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。
なお、平均2次粒子径とは、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒子径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し、平均したもの。「微粒子ハンドブック」(朝倉書店)のP52、1991年等に記載されている)。
このようなカチオン性微細顔料を光沢層に含有させると、インクがより均一に吸収される結果、にじみが少なく均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られる。
カチオン性微細顔料に使用する顔料としては、シリカ、アルミノシリケートが好ましく、より好ましくはシリカであり、さらに好ましくは、気相法である。
カチオン性微細顔料に使用するカチオン性物質としては、特に限定するものではなく、例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性物質等が挙げられる。
中でも、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体の塩酸塩、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体及び5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが、発色性に優れ、にじみが少なく、均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られるので好ましい。
カチオン性微細顔料中における顔料とカチオン性化合物との比率(質量比)は、顔料100質量部に対して、カチオン性化合物が好ましくは1〜30質量部、より好ましくは、3〜20質量部である。
なお、カチオン性微細顔料を使用する場合、光沢層用の塗工液中の全顔料中におけるカチオン性微細顔料の比率が50質量%以上であると、光沢層の透明性が優れるので好ましい。全顔料中のカチオン性微細顔料の比率が50質量%未満になると光沢層の透明性が低下し、印字濃度等の画像品位が低下する場合もある。
・・有機溶媒
光沢層の塗工液には、更に有機溶媒を含有することができる。
有機溶媒を用いることにより接触角θの値を変化させることができる。有機溶媒の添加により、通常は接触角θは上昇する傾向にある。
また、感温性高分子化合物を配合するものにおいては、有機溶媒を用いることにより感温点を下降させることができるため、感温性高分子化合物のみでは限界がある特性の調整をすることができる。
有機溶媒は、水に対する溶解性が高いものが好ましい。
また、有機溶媒の沸点は、キャスト加工の際に有機溶媒が瞬時に多量に蒸発すると、操業性を損なわせる問題が生じ得るため、高いものであることが好ましい。また、好ましくは水よりも高沸点のものを配合することにより、蒸発速度を調整して光沢層の印刷適性を向上させることができる。
有機溶媒中では、特に炭素数4以下の低級アルコールは、一般に水への溶解性が高く、かつ分子同士の水素結合により分子量に比して高い沸点を示す。加えて工業的に多量に生産され安価に入手し易いものが多いため、好ましい。また、その中から水よりも高沸点のものを選択することが好ましい。
アルコールは、第一アルコール、第二アルコール、第三アルコールのいずれを使用してもかまわず、また、分子内に二つ以上の水酸基を持つアルコールも好ましく用いることができる。水よりも低沸点の有機溶媒の中で最も好適なのはエタノールであり、水よりも高沸点の有機溶媒の中で最も好適なのはエチレングリコールである。
有機溶媒の添加量は、該光沢層用の塗工液中の顔料に対して1〜100重量部であることが好ましく、20〜80重量部であることがより好ましく、30から60重量部であることが特に好ましい。添加量を1重量部以上とすることにより充分な効果が得られ、また添加量を100重量部以下とすることにより、キャスト塗工の際の乾燥が遅くなり、操業効率が低下する傾向を抑制できる。
・・その他の成分
光沢層用の塗工液には、光沢層の強度を高めるために、更に接着剤を配合することもできる。
接着剤としては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤が単独あるいは併用できる。
中でも水性ポリウレタン樹脂は、キャストドラムからの離型性が優れるので好ましい。
水性ポリウレタン樹脂は、それに導入される親水性基の種類により、カチオン型(アミノ基等を導入)、アニオン型(カルボキシル基やスルフォン基等を導入)、ノニオン型(ポリエチレングリコール基等を導入)に分類される。
この中では、三級アミノ基等のカチオン基を導入し、それを酸で中和又は四級化したカチオン型の水性ポリウレタン樹脂(カチオン性水性ポリウレタン樹脂)が特に好ましい。水性ポリウレタン樹脂がカチオン性の場合、インク吸収性、印字濃度に特に優れた光沢層が得られ、特に光沢層にカチオン性化合物が配合される場合、それとの混和性に優れている。
水性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、40℃以上であると、得られる塗工液層が、キャストドラムからの離型性に優れているので好ましい。水性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は60℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度に格別の上限はないが、一般に150℃以下であることが好ましい。
光沢層用の塗工液に接着剤を配合する場合、その配合量(質量部)は、感温性高分子化合物の配合量を上回らない範囲とするのが好ましい。接着剤の配合量が感温性高分子化合物の配合量を上回ると、光沢層を形成する際に、塗工液層の増粘又はゲル化が不十分となりやすく、光沢性の低下やインクドット真円性の悪化が起こりやすい傾向にある。
また、光沢層用の塗工液における水性ポリウレタン樹脂の配合量は、顔料100質量部に対し1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部の範囲内に調節される。ここで1質量部以上とすることにより、所望の効果が十分に得られず、キャスト塗工液層の強度が弱くなり、表面が傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する傾向を抑制でき、50質量部以下とすることにより、得られるキャスト塗工液層のインク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる傾向を抑制できる。
さらに、光沢層用の塗工液中には、鏡面ドラム等からの離型性を付与する目的で、離型剤を配合することが好ましい。
離型剤としては、ステアリルリン酸カリウム等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物が挙げられる。
これらの中でも高級脂肪酸アミドを含有すると、鏡面ドラムなどからの離型性を著しく向上させる効果を有し、且つ印字画像のにじみを抑制する効果をも有するため好ましい。特に光沢層にカチオン性化合物を含有する場合、その効果は顕著である。
離型剤の配合量は、顔料100質量部に対し0.1〜50質量部、好ましくは0.3〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部の範囲で調節される。下限値以上とすることにより、離型性改善の効果が得られにくく、多いと逆に光沢が低下したり、インクのハジキや記録濃度の低下が生じる傾向を抑制できる。
なお、離型剤は、光沢層用の塗工液中に含有させずに、鏡面ドラムに塗布して製造することもできる。
光沢層用の塗工液には、更に、保存性改良剤、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等の各種助剤を適宜添加することができる。
・・王研式透気度
本発明においては、キャスト塗工紙全体の王研式透気度が60〜500秒/100ccであることが好ましい。これにより、優れた光沢性が得られる。
王研式透気度が60秒/100cc以上であると、塗工液が透気性支持体にしみこみにくく、特性を示し、光沢性が向上すると考えられる。一方、500秒/100cc以下である場合は、キャスト仕上げにおいて、乾燥が充分に行われ、また、必要以上に加熱されることがないため、光沢性が向上すると考えられる。
キャスト塗工紙全体の透気度は、適切な透気度の支持体を選択するとともに、インク受容層各層の組成や塗工量等を適宜調節することにより調整できる。
・ キャスト塗工紙の製造方法
キャスト塗工紙は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与する従来のキャスト塗工紙の製造方法において、光沢層を形成するための塗工液として特定のものを用いる他は、従来と同様の方法を採用できる。
また、一定の温度以下の温度領域では親水性を示し、その一定の温度より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物を含有する塗工液を用いる場合は、感温点より高い温度に調整された塗工液を用い、透気性支持体に塗工液を塗工して塗工液層を形成することが好ましい。その後、必要に応じて感温点以下の温度に冷却すると、感温性高分子化合物を増粘またはゲル化し、塗工液層が形成される。透気性支持体は塗工液を塗布する前に、その表面温度が感温点以下の温度に調整されていることが好ましい。また、透気性支持体の表面温度は通常23℃とされる。
以下、感温性高分子化合物を配合した塗工液を用いた例について説明する。
光沢層形成用の塗工液の調製は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、特開2003−040916号公報に記載されるようにして、感温性高分子化合物を含有する高分子エマルジョンを調製する。
すなわち、感温性高分子化合物の感温点より高い温度領域において、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下、上述したモノマーを用いて重合反応を行う。より具体的には、水に界面活性剤を溶解し、前記ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体と主モノマー(M)、副モノマー(N)等共重合モノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を反応系に供給する方法が挙げられる。
このような高分子エマルジョンは、例えば旭化成(株)社から、温度感応性樹脂として、ALB−8.01、ALB−22.03等の商品名で市販されている。
この高分子エマルジョンと、顔料、及び任意の成分を混合することにより、光沢層形成用の塗工液が得られる。
光沢層形成用の塗工液は、調製後、塗工するまでの間、感温点より高い温度に加熱あるいは保温されていることが好ましい。
透気性支持体の温度は、感温以下の温度に調整されていることが好ましく、例えば1〜30℃とされ、通常は23℃とされる。
光沢層形成用の塗工液の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター、スプレー等の各種公知公用の塗工装置が使用できる。
塗工された塗工液液層は、未乾燥の状態、あるいは若干乾燥された状態で冷却する。冷却する方法としては、冷風機、クーリングロール、低温ガスなど、塗工面が冷却できる方法であれば、特に限定するものではない。冷却することにより、塗工液層が増粘又はゲル化する。
冷却は、塗工液層が増粘又はゲル化する温度まで冷却すればよく、例えば、塗工液層を、使用した感温性高分子化合物の感温点以下となるよう冷却する。冷却効率を高めるために、塗工液を塗工する前のシート(透気性支持体及び必要により形成される下塗り層)を、予め冷却しておくこともでき、また好ましい。
増粘又はゲル化状態の塗工液層は、加熱された鏡面仕上げの金属ロール面に圧接・乾燥される。即ち、キャストドラムによるキャスト仕上げされて、光沢層が形成される。
キャスト仕上げの際の鏡面仕上げの金属面の表面温度は、感温性高分子化合物のガラス転移温度の±20℃以内の温度で仕上げることが好ましい。
感温性高分子化合物のガラス転移温度が、金属面の表面温度より20℃を越えて低い場合、乾燥の際に光沢層の成膜が進み過ぎ、表面の多孔性が低下してしまい、記録の際のインクにじみやベタ印字した際のムラが発生する。感温性高分子化合物のガラス転移温度が、金属面の表面温度より20℃を越えて高い場合、成膜性が不十分であり、光沢性が低下する。
また、金属面の表面温度は、80〜120℃であることが好ましい。金属面の表面温度が80℃未満の場合、乾燥効果が悪く、生産性が低下するおそれがあり、120℃を越えると、塗工液が金属面上で突沸し、光沢性や印字適性が低下するおそれがある。
また、キャストドラムを用いて、鏡面仕上げの金属面による塗工液層の乾燥を行う際に、塗工液層の乾燥が不十分となるおそれがある場合は、キャストドラムに圧接する前に、塗工液層を予備乾燥するプレ乾燥を行なってもよい。また、キャストドラムで乾燥を行うのと同時に近赤外線乾燥機などの補助乾燥器よる補助乾燥を行なってもよく、後工程で更に乾燥を行なっても構わない。
この方法では、従来の凝固型キャスト法とは異なり、ゲル化を行なうための塗工を必要としないので、温度調節だけで均一なゲル化を行なうことができ、乾燥効率が高く、光沢層のひび割れも抑制でき、印字ムラもないインクジェット記録用紙を製造することができる。
◆第3の実施形態、第4の実施形態
第3の実施形態は、透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、該塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θの0.5秒値が55〜75°(好ましくは60〜70°)であり、前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法である。
第4の実施形態は、第3の実施形態において、前記透気性支持体に係る温度条件を23℃に変更した際に、同様に接触角θの0.5秒値が55〜75°(好ましくは60〜70°)である塗工液を用いることを特徴とするキャスト塗工紙の製造方法である。
第3の実施形態においては、第1の実施形態では、接触角θとして0.02秒値等を用いていたのにかえて、0.5秒値(0.5秒後の値:θ0.50)を用いる。0.5秒値は、上述の接触角の測定方法において、塗工液の希釈液の液滴の滴下から0.5秒後のθ値である。
第4の実施形態においては、第3の実施形態において、温度条件を23℃に変更するものである。
これらの実施形態の様に、上記接触角の測定方法において、滴下から0.5秒という長時間後にも透気性支持体の上に保持される様な塗工液を用いることにより、第1の実施形態、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、0.5秒値を55°以上とすることにより光沢層の光沢性の向上効果が得られる。また、好適には平滑性の向上、ひび割れの防止、強度の向上の効果が得られる。また、インクジェット適性の向上の効果が得られる。75°以下とすることにより粘度が高くなりずぎてハンドリング性が低下する等の不都合を抑制できる。
また、当該第3、第4の実施形態においても、当該接触角θの数値範囲を満足するためには、第1、第2の実施形態で例示した感温性高分子化合物を用いることが好ましい。また、感温性高分子化合物の種類や配合量、有機溶剤の種類や配合量を調整することにより、接触角θの数値を調整することができる。
[キャスト塗工紙]
本発明のキャスト塗工紙は、本発明の製造方法によって得られるものである。
よって、上記製造方法と同様の効果が得られる。
すなわち、光沢性が向上する。また、光沢層の平滑性の向上、ひび割れ防止、強度向上の効果も得られる。また、インクジェット記録用紙として、印刷適性が向上する。
これは、上述の様に光沢層の塗工液の塗工量を多くすることができ、かつこれが透気性支持体表面に保持される作用によるものと推測される。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
(透気性支持体の作製)
下記紙基材上に、下記塗工液を絶乾重量で9g/mになるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥して下塗り層を形成し、透気性支持体を得た。
・紙基材
木材パルプ(LBKP:ろ水度440mlCSF)100部、填料(炭酸カルシウム3:タルク1の比率)15部、市販サイズ剤(商品名:ファイブラン81K、日本エヌエスシー(株)製)0.04部、硫酸バンド0.45部、澱粉1.00部、歩留向上剤少々よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量163g/mの紙基材を得た後、100kg/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施した。
得られた紙基材の厚さは185μm、透気度は34秒/100ccであった。
・塗工液(下塗り層用)
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−30、(株)トクヤマ製、平均二次粒子径3.2μm)100部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、クラレ(株)製)25部、蛍光染料(商品名:WhitexBPS(H)、住友化学(株)製)2部。
(光沢層用の塗工液の作製)
・カチオン性微細顔料の調整
市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g、(株)トクヤマ製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。
該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体
(商品名:PAS−J−81、日東紡績(株)製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる12%分散液を調製しカチオン性微細顔料を得た。
・光沢層用の塗工液の調製
下記組成、及び特性の光沢層塗工液A〜Gを製造した。なお、記載した成分以外は水である。
・・光沢層塗工液A
上記カチオン性微細顔料100部、感温性高分子化合物(ALB−221、旭化成(株)製、感温点24℃)30部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。固形分濃度12%。なお、各材料を混合する際の温度は40℃、粘度140cps(40℃)であった。
・・光沢層塗工液B
上記カチオン性微細顔料100部、感温性高分子化合物(ALB−223、旭化成(株)製、感温点27℃)30部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。固形分濃度12%。なお、各材料を混合する際の温度は40℃、粘度140cps(40℃)であった。
・・光沢層塗工液C
上記カチオン性微細顔料100部、感温性高分子化合物(ALB−217、旭化成(株)製、感温点26℃)30部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。固形分濃度12%。なお、各材料を混合する際の温度は40℃、粘度150cps(40℃)であった。
・・光沢層塗工液D
上記カチオン性微細顔料100部、感温性高分子化合物(ALB−217、旭化成(株)製、感温点15℃)30部、エチレングリコール20部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。固形分濃度12%。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
・・光沢層塗工液E
上記カチオン性微細顔料100部、感温性高分子化合物(ALB−224、旭化成(株)製、感温点5℃)30部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。固形分濃度12%。なお、各材料を混合する際の温度は40℃、粘度100cps(40℃)であった。
・・光沢層塗工液F
上記カチオン性微細顔料100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA145、クラレ(株)製)20部、ステアリン酸アミド5部、消泡剤0.1部。
固形分濃度12%。
・・光沢層塗工液G
平均粒子径が0.05μmのアニオン性コロイダルシリカ80部とスチレン−アクリル共重合体エマルジョン20部の混合物(商品名:エルサード740、ライオン(株)製、)100部、増粘・分散剤としてアルキルビニルエーテル・マレイン酸誘導体樹脂5部、離型剤としてステアリン酸の水分散物3部、消泡剤0.1部。固形分濃度30%。
<実験例1>
23℃に調整した前記透気性支持体上に、前記光沢層塗工液Aを、塗工液温度35℃で、絶乾質量で6g/mになるように塗工し、続いて冷風機を用いて温度が20℃になるまで冷却し、該塗工液をゲル化させた。続いて塗工液層が湿潤状態にある間に、表面温度90℃の鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げ、キャスト塗工紙を得た。
<実験例2>
光沢層塗工液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、キャスト塗工紙を得た。
<実験例3>
光沢層塗工液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、キャスト塗工紙を得た。
<実験例4>
光沢層塗工液Dを用いた以外は実施例1と同様にして、キャスト塗工紙を得た。
<実験例5>
光沢層塗工液Eを用いた以外は実施例1と同様にして、キャスト塗工紙を得た。
<実験例6>
前記透気性支持体上に、前記光沢層塗工液Fをロールコーターで塗工し、該塗工液層が湿潤状態にある間に、表面温度90℃の鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げ、キャスト塗工紙を得た。このときの光沢層の塗工量は絶乾重量で6g/mであった。
<実験例7>
前記透気性支持体上に、前記光沢層塗工液Gをロールコーターで塗工し、該塗工液層が湿潤状態にある間に、表面温度90℃の鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げ、キャスト塗工紙を得た。このときの光沢層の塗工量は絶乾重量で8g/mであった。
(評価方法、及び評価基準)
製造した各キャスト塗工紙について、23℃に調節した透気性支持体に対する、3%に希釈した光沢層用の塗工液の接触角の値(0.02秒後、0.04秒後、0.14秒後、0.5秒後)、光沢層用の塗工液の粘度、該光沢紙の光沢性、および該キャスト塗工紙をインクジェット記録用紙として使用した際の印字適性(ドット真円性、印字濃度、印字にじみ、ベタ均一性)を下記の基準で評価した。その結果を表1に示した。
・接触角の測定
接触角の測定は、FIBRO system ab社から販売されている動的液体吸収試験器(商品名 ファイブロ1100DAT ダイナミック・アブソープション・テスター,総発売元松坂貿易株式会社)を使用し測定した。具体的測定方法としては、精密液体ポンプによりシリンジを通じて試験液を4.5μl(マイクロリットル)滴下し、滴下された液滴を真横からビデオカメラにて拡大観察し、液滴が試験片に接触した時点より0.02秒間隔で撮影し、液滴が試験片と接触した面の直径および液滴の高さを撮影された画像より解析し、それらより計算して接触角を求めた。
なお試験液として、温度を35℃に調整した光沢層用の塗工液の3.0質量%水溶液を用い、試験片に、23℃、50%Rh環境下で一晩調湿した、前記紙基材上に下塗り層が塗工された透気性支持体を用いて測定を行った。
・粘度
B8L型粘度計((株)東京計器 製)を用いて測定した。なお、回転数は60rpmとし、ローターは粘度が500cps未満の際はNo.2を、500cps以上の際はNo.3を用いた。
・光沢性
光沢紙表面に対し横方向より、光沢感、平滑感を目視により評価した。
◎:極めて優れる。
○:優れる。
△:やや劣る。
×:劣る。
・ドット真円性
インクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン(株)製)を用いて、各インク滴が重ならないような、インク密度の低いハーフトーンの印字を行ない、ハーフトーン(10%階調)印字部分を光学顕微鏡にて200倍に拡大して観察し、それぞれのインクドットの形状が真円を示しているかどうかを目視にて評価した。
○:インクドットの形状の真円性が非常に高く、良好なレベル。
△:インクドットの形状はほぼ円形であるもののわずかに形状の乱れが見られ、やや不良なレベル。
×:インクドットの形状が不安定であり、不良なレベル。
・印字濃度
インクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン(株)製)を用いて印字を行ない、黒ベタ印字部分の印字濃度をマクベスRD−914で測定した。
・印字にじみ
インクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン(株)製)を用いて、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色ベタを、互いに境界を接するようにマス目状に配置した印字を行ない、各色間の境界部でのインクのにじみを目視にて評価した。
◎:印字のにじみは全く認められず、優れたレベル。
○:印字のにじみがわずかに認められるが良好なレベル。
△:印字のにじみがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字のにじみが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
・ベタ印字部の均一性(ベタ均一性)
インクジェットプリンターPM−950C(セイコーエプソン(株)製)を用いて印字を行ない、シアンインクとイエローインクの2色混合のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視にて評価した。
◎:印字ムラは全く認められず、優れたレベル。
○:印字ムラがわずかに認められるが良好なレベル。
△:印字ムラがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字ムラがあり、実用上問題となるレベル。
Figure 0004311187
表1の結果より、本発明に係る実験例1〜4のキャスト塗工紙(インクジェット記録用紙)は、他の実験例に比べて光沢性に優れ、インクジェット適性(印刷適性)も優れていることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
    前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
    塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、下記(1)〜(3)の数値範囲を満たすものであり、
    前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法。
    (1) 0.02秒値が65〜85°
    (2) 0.04秒値が60〜80°
    (3) 0.14秒値が60〜75°
  2. 透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
    前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
    23℃に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θが、下記(1)〜(3)の数値範囲を満たすものであり、
    前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法。
    (1) 0.02秒値が65〜85°
    (2) 0.04秒値が60〜80°
    (3) 0.14秒値が60〜75°
  3. 透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
    前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
    塗工液を塗工する際の表面温度に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θの0.5秒値が55〜75°であり、
    前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法。
  4. 透気性支持体の片面に塗工液を塗工した後、湿潤状態にある間に、当該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することにより光沢性を付与するインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法において、
    前記塗工液が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物、及び顔料を含有すると共に、
    23℃に調節した前記透気性支持体に、溶質濃度が3質量%になる様に希釈した塗工液の希釈液を滴下した際の接触角θの0.5秒値が55〜75°であり、
    前記感温性高分子化合物の感温点より高い温度に調整された前記塗工液を、前記透気性支持体に塗工して塗工液層を形成し、該塗工液層を前記感温点以下に冷却した後、該塗工液層を、加熱した鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥することを特徴とするインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法。
  5. 前記透気性支持体が、基材と、当該基材上に設けられた、顔料と接着剤を含有する下塗り層とを有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用キャスト塗工紙の製造方法によって得られるインクジェット記録用キャスト塗工紙。
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