JP4310861B2 - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動時または減速後の再加速時であり、且つ燃料噴射圧力異常であると判定された際に、1行程で行う燃料噴射を前段噴射と後段噴射とに2分割する分割噴射制御を行うディーゼルエンジン等の内燃機関用燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平10−299544号公報においては、内燃機関の始動時に、圧縮行程の初期に行われる予備噴射と、圧縮上死点の直前に行われるパイロット噴射と、このパイロット噴射に続いて行われる主噴射とを組み合わせて成る分割噴射制御を行うことにより、内燃機関の始動性を向上するようにしたコモンレール式燃料噴射システム(第1従来例)が提案されている。
【0003】
また、特開平2−191865号公報においては、高負荷運転状態から、アクセルペダルを踏まず燃料噴射を行わない急減速から再度アクセルペダルを踏み込んで再加速するような減速後の再加速時には、コモンレール圧力を減圧するために、インジェクタの無効噴射時間を利用する。すなわち、実際のコモンレール圧力が目標コモンレール圧力よりも高い場合には、燃料を噴かない程度にインジェクタ内の電磁弁を作動させて、インジェクタからのリーク量を増やし、コモンレール圧力を減圧(空打ち制御)することで、内燃機関の負荷に応じた最適な圧力で燃料噴射を行うようにしたコモンレール式燃料噴射システム(第2従来例)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の始動時に、実際のコモンレール圧力が目標コモンレール圧力よりも所定値以上も高い時には、エンジン騒音が問題となる。ところが、上述の第1従来例のコモンレール式燃料噴射システムのような始動性向上のための噴射パターンで燃料噴射を行うと、すなわち、内燃機関の始動時の判定のみで予備噴射、パイロット噴射および主噴射を一定の燃料噴射量比で、また一定の燃料噴射時期で行うと分割噴射での噴射によるエンジン騒音の低減が十分にできないという問題が生じる。
【0005】
また、上述の第2従来例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、時代のニーズによるインジェクタのハイレスポンス化のため、インジェクタの無効噴射時間が小となり、空打ち制御は困難である。これにより、実際のコモンレール圧力が目標コモンレール圧力よりも高い際に、コモンレール圧力を十分に減圧することができず、エンジン騒音を下げられないという問題が生じる。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、内燃機関の始動時であり、且つ燃料噴射圧力異常であると判定された際に、分割噴射する前段噴射と後段噴射との燃料噴射量比を補正して最適値にすることによりエンジン騒音を低減することのできる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。また、減速後の再加速時であり、且つ燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前段噴射の燃料噴射時期と後段噴射の燃料噴射時期とを補正して最適値にすることによりエンジン騒音を低減することのできる内燃機関用燃料噴射装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、減速後の再加速時であると判定され、且つ燃料噴射圧力異常であると判定された場合に、前段噴射の燃料噴射時期および後段噴射の燃料噴射時期を変更して最適化することで、前段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値および後段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値が低くなり、エンジン騒音が抑制される。
【0012】
ここで、例えば図18に示したように、前段噴射の燃料噴射量と後段噴射の燃料噴射量との和である総噴射量が多い程、前段噴射時期βを進角させる。これは、総噴射量を増やすと、前段噴射の燃料噴射量も増加する。これにより、前段噴射で燃焼可能な進角範囲が拡大し、更に進角可能となる。また、内燃機関の機関回転数が大きい程、前段噴射時期βを進角させる。これは、機関回転数を大きくすると、単位時間当たりのクランク角度が増加するため、着火時期が圧縮上死点側に若干ずれる。進角させる理由は、このずれを補正するためである。
以上によって、運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前段噴射の燃料噴射時期または後段噴射の燃料噴射時期の少なくとも一方を進角させることが望ましい。
【0013】
また、例えば図18に示したように、前段噴射の燃料噴射時期を前段噴射時期(β1)で行った場合、前段噴射の燃料は、高温、高圧の気筒内に噴射されるため、噴射後直ぐに着火し、爆発的に燃焼する。このため、前段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値は高い。よって、前段噴射時期(β1)では前段噴射の燃焼によりエンジン騒音は悪化する。
【0014】
次に、前段噴射の燃料噴射時期を前段噴射時期(β1)より圧縮上死点(TDC)から進角した前段噴射時期(β2)で行った場合、前段噴射の燃料は、気筒内温度が前段噴射時期(β1)に比べて低い気筒内雰囲気温度内に噴射されるため、前段噴射の燃焼は緩慢となる。このため、前段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値は、前段噴射時期(β1)で噴射した場合に比べて低くなる。したがって、前段噴射時期(β2)では、前段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値を抑制することで、前段噴射の燃焼が緩慢となることにより、エンジン騒音が低くなる。
【0015】
次に、前段噴射時期をβ2より更に進角した前段噴射時期(β3)にて行った場合、前段噴射の燃料は、前段噴射時期(β2)で行った場合に比べて、更に気筒内温度が低いため、前段噴射のみで燃料は着火せず、後段噴射の着火時に後段噴射の燃料と共に燃焼する。このため、後段噴射の燃焼時の予混合燃焼のピーク値は、前段噴射時期(β1、β2)に比べて高くなる。したがって、前段噴射時期(β3)では、後段噴射の熱発生率の燃焼によるピーク値の増加によりエンジン騒音が悪化する。
【0016】
以上によって、前段噴射の燃料噴射時期の最適値は、前段噴射による噴射燃料が前段噴射のみで燃焼可能な進角範囲内で最も進角した時期(後段噴射の燃焼にできるだけ寄与しない時期)であることが望ましい。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、例えば図19に示したように総噴射量が少ない場合は、後段噴射の燃料噴射量も少ない。このため、後段噴射時期をγ1からγ2に圧縮上死点(TDC)から遅角しても、後段噴射の着火遅れ期間の増加による、着火遅れ期間中の燃料増加はほとんどなく、予混合燃焼の増加もほとんどない。よって、エンジン騒音は悪化しない。しかし、後段噴射時期をγ2からγ3へ圧縮上死点(TDC)から更に遅角させると、エンジン騒音は低下するが、失火気味となる。これにより、HC排出量が増大し、ドライバビリティが悪化する。したがって、機関負荷が小さい場合における後段噴射時期の最適値は、失火気味とならない噴射時期とすることが望ましい。
【0018】
一方、例えば図20に示したように総噴射量が多い場合は、後段噴射の燃料噴射量も多い。このため、後段噴射時期をγ1からγ2に圧縮上死点(TDC)から遅角すると、後段噴射の着火遅れ期間の増加により着火遅れ期間中の燃料も増加し、予混合燃焼量は増え、予混合燃焼のピークも増加する。これにより、エンジン騒音が悪化する。しかし、後段噴射時期をγ2からγ3へ圧縮上死点(TDC)から更に遅角させると、エンジン騒音は低下するが、失火気味となる。これにより、HC排出量が増大し、ドライバビリティが悪化する。したがって、機関負荷が大きい場合における、後段噴射時期の最適値は、着火遅れによる予混合燃焼のピークの増加が抑制できる圧縮上死点近傍とすることが望ましい。
以上により、後段噴射の燃料噴射時期は、圧縮上死点(TDC)近傍を限界として、後段噴射の予混合燃焼のピークを最も抑制できる時期まで進角することが望ましい。
請求項4、5に記載の発明によれば、前段噴射による燃焼強度と後段噴射による燃焼強度とがほぼ同等になるように変更することにより、内燃機関の運転状態が変更されても、前段噴射、後段噴射による内燃機関の気筒内圧力の圧力上昇率のピークが均等となり、エンジン騒音が抑制される。
【0019】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図8は本発明の第1実施例を示したもので、図1はディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの全体構成を概略的を示した図である。
【0020】
本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムは、コモンレール式内燃機関用燃料噴射装置で、多気筒のディーゼルエンジン(内燃機関、以下エンジンと略す)1の運転状態、車両の状態および運転者の操作量(意思)を各種センサにより検出して、電子制御ユニット(以下ECUと言う)10に伝えて、各種センサからの情報により最適な燃料噴射量および燃料噴射時期を演算し、それぞれを制御するアクチュエータに指令するように構成されている。
【0021】
ここで、ディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの燃料配管系には、燃料タンク2内の燃料を汲み上げるフィードポンプ3と、このフィードポンプ3により吸い出された燃料を加圧して高圧燃料を圧送する燃料噴射ポンプ(例えば列型燃料噴射ポンプ)4と、この燃料噴射ポンプ4より圧送された高圧燃料を蓄圧する蓄圧室であるコモンレール5と、高圧パイプ6を介してコモンレール5に接続されて、エンジン1の各気筒に取り付けられた複数個(本例では6個)の燃料噴射弁(以下インジェクタと言う)7とが配設されている。
【0022】
ここで、燃料噴射ポンプ4に取り付けられたアクチュエータとしての調整用電磁弁8は、ECU10からの制御信号により電子制御されることにより、燃料噴射ポンプ4からコモンレール5への高圧燃料の圧送量を調整する。そして、コモンレール5は、比較的に高い圧力(コモンレール圧力)の高圧燃料を蓄えるサージタンクの一種で、燃料配管を形成する高圧パイプ6を介して各インジェクタ7に接続されている。
【0023】
複数個のインジェクタ7は、エンジン1の各気筒に個別に対応して取り付けられている。そして、各インジェクタ7からの高圧燃料の燃料噴射量および燃料噴射時期等は、各インジェクタ7がそれぞれに組み付けられているアクチュエータとしての制御用電磁弁9への通電および通電停止をECU10で電子制御することにより決められる。
【0024】
次に、本実施例のECU10を図1に基づいて簡単に説明する。このECU10は、本発明の燃料噴射量制御手段、燃料噴射時期制御手段、燃料噴射圧力制御手段に相当するもので、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存するROM、RAM、入力/出力回路、電源回路および駆動回路等より構成されている。
【0025】
そして、ECU10に検出信号(センサ信号)を入力するセンサとしては、エンジン1の回転速度(機関回転数、以下エンジン回転数と言う)を検出するエンジン回転数センサ(本発明の運転状態検出手段、機関回転数検出手段に相当する)11(これは燃料噴射ポンプ4に内蔵される場合もある)、アクセルペダル12の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ(本発明の運転状態検出手段、機関負荷検出手段に相当する)13、エンジン1の冷却水温を検出する冷却水温センサ(本発明の運転状態検出手段、機関冷却水温検出手段に相当する)14、およびコモンレール5内の内部圧力を検出する圧力センサ(本発明の噴射圧力検出手段に相当する)15等が使用される。その他に、エンジン負荷センサ、燃料噴射時期センサ、吸気圧力センサ、吸気温度センサを使用しても良い。
【0026】
また、ECU10は、それに送り込まれる上記の各種センサからのセンサ信号(検出情報)や予め決められた制御特性に基づいて、調整用電磁弁8および制御用電磁弁9等のアクチュエータを電気的に制御するように構成されている。そして、それに伴い燃料噴射ポンプ4からコモンレール5への高圧燃料の圧送量が電子制御されると共に、各インジェクタ7から対応するエンジン1の気筒内燃焼室への高圧燃料の燃料噴射量や燃料噴射時期等が電子制御される。
【0027】
〔第1実施例の制御方法〕
次に、本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの制御方法を図面に基づいて簡単に説明する。ここで、図2ないし図4はエンジン始動時の分割噴射制御方法を示したフローチャートである。
【0028】
先ず、イグニッションスイッチをONすると、図2のフローチャートが起動されて、最初にベースルーチンを行い(ステップ100)、続いて、記憶されているデータを初期設定するイニシャルルーチンを行う(ステップ200)。次に、制御域であるか否かを判定する。すなわち、エンジン始動時で、且つ『燃料噴射圧力異常』と判定されているか否かを判定する(ステップ300)。
【0029】
そして、ステップ300でエンジン始動時で、且つ『燃料噴射圧力異常』と判定されている場合に、前段噴射と後段噴射との分割噴射量比の補正値を算出する(ステップ400)。そして、ステップ400において算出された分割噴射量比に基づいて前段噴射および後段噴射を実行する(ステップ700)。
【0030】
次に、本実施例の制御域判定ルーチンを図3に基づいて説明する。ここで、図3は図2のステップ300の制御域判定ルーチンを示したフローチャートである。
【0031】
先ず、エンジン回転数センサ11により検出したエンジン回転数(Ne)に基づいて、エンジン1が始動状態であるか否かを判定する。すなわち、エンジン回転数(Ne)が所定値(例えば500rpm)以下であるか否かを判定する(機関始動時判定手段:ステップ301)。
【0032】
この判定結果がNOの場合、すなわち、エンジン回転数(Ne)が所定値よりも大きいと判定した場合には、始動判定フラグXstaをセットせず(ステップ302)、エンジン始動時で、且つ『燃料噴射圧力異常』であると判定し、分割噴射量比を変更するフラグである分割噴射量比変更フラグXsplitをセットしない(ステップ303)で、制御域判定ルーチンを終了する(RTS)。
【0033】
また、ステップ301の判定結果がYESの場合には、エンジン1は始動状態であると判定して、始動判定フラグXstaをセットし(ステップ304)た後に、圧力センサ15によって現在のコモンレール圧力、つまり実噴射圧(Pcnow)を検出する。
そして、エンジン回転数センサ11により検出したエンジン回転数(Ne)と冷却水温センサ14により検出した冷却水温(thw)とに基づいて、予め実験的に求められた(Ne−thw)のコモンレール圧マップから目標噴射圧(目標コモンレール圧力:Pctrg)を算出する(ステップ305)。
【0034】
次に、実噴射圧(Pcnow)が目標噴射圧(Pctrg)よりも所定値以上高い際に、分割噴射量比を変更するため、先ずその所定値である基本所定値(Kspltbse)を算出する(ステップ306)。その基本所定値(Kspltbse)は、図5(a)に示した、エンジン1の運転状態、例えばエンジン回転数(Ne)に対して可変とされた特性図より求められる。
【0035】
ここで、図5(a)の特性図について簡単に説明する。エンジン始動時においては、エンジン回転数(Ne)が低い程、エンジン騒音は高くなる傾向にある。このため、エンジン回転数(Ne)が低い程、分割噴射量比を変更する際の基本所定値(Kspltbse)を低く設定する傾向にしてある。
【0036】
次に、ステップ306において求めた基本所定値(Kspltbse)を冷却水温(thw)により補正するための係数である所定値水温補正係数(Fthw)を算出する(ステップ307)。その所定値水温補正係数(Fthw)は、図5(b)に示した、冷却水温(thw)に対して可変とされた特性図より求められる。
【0037】
ここで、図5(b)の特性図について簡単に説明する。エンジン始動時に、冷却水温(thw)が高くなればなる程騒音は高くなる傾向にある。このため、冷却水温(thw)が高い程、分割噴射量比を変更する所定値である基本所定値(Kspltbse)が低くなるように所定値水温補正係数(Fthw)を小さく設定してある。
【0038】
次に、ステップ306において求めた基本所定値(Kspltbse)とステップ307において求めた所定値水温補正係数(Fthw)と下記の数1の式に基づいて判定値(Ksplit)を算出する(ステップ308)。なお、ステップ307と308はいずれか一方のみ行って、判定値(Ksplit)を求めるようにしても良い。
【数1】
Ksplit=Kspltbse*Fthw
【0039】
次に、実噴射圧(Pcnow)と目標噴射圧(Pctrg)と下記の数2の式に基づいて圧力偏差値(ΔPc)を算出する(ステップ309)。
【数2】
ΔPc=Pcnow−Pctrg
【0040】
次に、圧力偏差値(ΔPc)が判定値(Ksplit)よりも大きいか否かを判定する(燃料噴射圧力異常判定手段:ステップ310)。この判定結果がYESの場合、すなわち、ΔPc>Ksplitであると判定した場合には、エンジン始動時で、且つ『燃料噴射圧力異常』であると判定し、分割噴射量比を変更するフラグである分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)をセットし(ステップ311)、制御域判定ルーチンを終了する(RTS)。
【0041】
また、ステップ310の判定結果がNOの場合、すなわち、ΔPc≦Ksplitであると判定した場合には、エンジン始動時ではあるが、『燃料噴射圧力異常』ではないと判定し、分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)をセットせず(ステップ312)、制御域判定ルーチンを終了する(RTS)。
【0042】
次に、本実施例の分割噴射量比補正ルーチンを図4に基づいて説明する。ここで、図4は図2のステップ400の分割噴射量比補正ルーチンを示したフローチャートである。
【0043】
先ず、始動時判定フラグ(Xsta)がセットされているか否かを判定する(ステップ401)。この判定結果がNOの場合、すなわち、始動時判定フラグ(Xsta)がセットされていないと判定した場合には、通常の燃料噴射を行うため、分割噴射量比補正ルーチンを終了する(RTS)。ここで、通常の燃料噴射とは、パイロット噴射と主噴射をエンジン1の運転状態に応じた燃料噴射時期および燃料噴射量で行ったり、主噴射のみをエンジン1の運転状態に応じた燃料噴射時期および燃料噴射量で行ったりすることである。
【0044】
また、ステップ401の判定結果がYESの場合、すなわち、始動時判定フラグ(Xsta)がセットされていると判定した場合には、冷却水温センサ14により検出した冷却水温(thw)を読み込み(ステップ402)、エンジン回転数センサ11により検出したエンジン回転数(Ne)を読み込む(ステップ403)。
【0045】
次に、分割噴射の前段噴射量(Qfront)を算出する(ステップ404)。その前段噴射量(Qfront)は、冷却水温(thw)の一次元マップとして、予め実験的に求められている。
【0046】
次に、分割噴射の総噴射量(Qall)を算出する(ステップ405)。その総噴射量(Qall)は、エンジン回転数(Ne)と冷却水温(thw)の2次元マップとして、予め実験的に求められている。
【0047】
次に、ステップ404において求めた前段噴射量(Qfront)とステップ405において求めた総噴射量(Qall)と下記の数3の式に基づいて後段噴射量(Qrear)を算出する(ステップ406)。
【数3】
Qrear=Qall−Qfront
【0048】
次に、分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)がセットされているか否かを判定する(ステップ407)。この判定結果がNOの場合、すなわち、分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)がセットされていないと判定した場合には、エンジン始動時前段噴射量、後段噴射量は変更せず、このまま分割噴射量比補正ルーチンを終了する(RTS)。
【0049】
また、ステップ407の判定結果がYESの場合、すなわち、エンジン始動時で、且つ『燃料噴射圧力異常』であると判定した場合には、下記の数4の式に基づいて前段噴射と後段噴射の分割噴射量比(燃料噴射量比:Rsplit)を算出する(前段後段噴射量比変更手段:ステップ408)。その分割噴射量比(Rsplit)は、図6に示した、エンジン回転数(Ne)と冷却水温(thw)のマップより求めても良い。
【数4】
Rsplit=Qfront/Qrear
【0050】
ここで、図6のマップの特性について説明する。分割噴射量比(Rsplit)は、エンジン回転数(Ne)毎および冷却水温(thw)毎に変更され、Ne、thwが変更しても、常に前段噴射と後段噴射の気筒内圧力の圧力上昇率のピークがおよそ均等になるように予め実験で求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、冷却水温がthw(n)とthw(n+1)との間にある場合は、図6のマップに示したように、RsplitとしてRsplit(n)を採用する。
【0051】
次に、前段噴射量(Qfront)を補正する。すなわち、下記の数5の式に示したように、ステップ405において求めた総噴射量(Qall)に前段と後段の噴射量比(Rsplit)を乗算することで前段噴射量(Qfront)を補正する(ステップ409)。
【数5】
Qfront=Qall*Rsplit
【0052】
次に、後段噴射量(Qrear)を補正する。すなわち、下記の数6の式に示したように、ステップ409において求めた前段噴射量(Qfront)を、ステップ405において求めた総噴射量(Qall)から減算することで前段噴射量(Qfront)を補正し(ステップ410)た後に、分割噴射量比補正ルーチンを終了する(RTS)。
【数6】
Qrear=Qall−Qfront
【0053】
ここで、本実施例では、前段噴射の燃料噴射時期を、冷却水温(thw)が例えば25℃の時に圧縮上死点(TDC)から15°以上進角させ、後段噴射の燃料噴射時期を、冷却水温(thw)が例えば25℃の時に圧縮上死点(TDC)から10°進角させている。また、冷却水温(thw)の上昇に伴って、前段噴射の燃料噴射時期および後段噴射の燃料噴射時期を更に圧縮上死点(TDC)から進角させても良い。
【0054】
なお、本実施例では、前段噴射と後段噴射との分割噴射量比の補正に用いる燃焼強度を、エンジン1の気筒内圧力を各クランク角毎に微分した波形である圧力上昇率であるとしたが、補正に用いる燃焼強度を気筒内圧力と気筒内容積と比熱比とから算出した熱発生率、燃焼による燃焼光の輝度、光度等で表される尺度としても良い。
【0055】
ここで、図7はエンジン1の始動時におけるエンジン騒音、噴射圧、エンジン回転数、始動時判定フラグ(Xsta)および分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)の変化を示したタイムチャートである。
【0056】
エンジン1の始動時と判定されると、始動時判定フラグ(Xsta)がセットされ、噴射圧が『燃料噴射圧力異常』と判定されると、分割噴射量比変更フラグ(Xsplit)がセットされる。このXstaとXsplitとがセットされている場合、エンジン1の始動時、分割燃料噴射が補正され、エンジン1の始動時のエンジン騒音は制御なし(分割噴射量比の補正なし)に対して制御あり(分割噴射量比の補正あり)の方が大幅に低減される。
【0057】
また、図8は始動時騒音に与える影響の大きい始動後最初の爆発(初爆)における制御なしと制御ありとで圧力上昇率の比較を示した図である。すなわち、図8(a)に示した制御なし(分割噴射量比の補正なし)では、分割噴射の前段噴射の圧力上昇率のピークよりも後段噴射の圧力上昇率のピークの方が大きくなる。図8(b)に示した制御あり(分割噴射量比の補正あり)では、分割噴射の前段噴射の圧力上昇率のピークと後段噴射の圧力上昇率のピークとは均等に制御されている。
【0058】
〔第1実施例の効果〕
以上によって、本実施例のディーゼルエンジン用電子制御噴射システムは、エンジン始動時で、且つ実際のコモンレール圧力が目標コモンレール圧力よりも所定の判定値以上高い場合に、分割噴射の前段噴射と後段噴射との分割噴射量比を最適値に補正することにより、前段噴射の熱発生率のピーク値および後段噴射の熱発生率のピーク値を低くすることができ、且つ分割噴射の前段噴射の圧力上昇率のピークと後段噴射の圧力上昇率のピークとを均等に制御しているので、エンジン騒音を低減することができる。したがって、エンジン始動時で、且つ燃料噴射圧力異常時のエンジン1の燃焼騒音レベル、排気ガス中のHCの排出量を低減できるので、ドライバビリティの悪化やエミッションの悪化を抑制することができる。
【0059】
〔第2実施例の制御方法〕
図9ないし図22は本発明の第2実施例を示したもので、図9ないし図13は減速後の再加速時の分割噴射制御方法を示したフローチャートである。
【0060】
先ず、イグニッションスイッチをONすると、図9のフローチャートが起動されて、最初にベースルーチンを行い(ステップ100)、続いて、記憶されているデータを初期設定するイニシャルルーチンを行う(ステップ200)。次に、制御域であるか否かを判定する。すなわち、減速後の再加速時で、且つ『燃料噴射圧力異常』と判定されているか否かを判定する(ステップ300)。
【0061】
そして、ステップ300で制御域であると判定された場合、前段噴射と後段噴射との分割噴射量比を補正する(ステップ400)。そして、ステップ400において制御域であると判定された場合、前段噴射の燃料噴射時期(以下前段噴射時期と略す)を補正する(ステップ500)。
【0062】
そして、ステップ400において制御域であると判定された場合、後段噴射の燃料噴射時期(以下後段噴射時期と略す)を補正する(ステップ600)。そして、算出された分割噴射量比、前段噴射時期および後段噴射時期で燃料噴射を実行する(ステップ700)。
【0063】
次に、本実施例の制御域判定ルーチンを図10に基づいて説明する。ここで、図10は図9のステップ300の制御域判定ルーチンを示したフローチャートである。
【0064】
先ず、圧力センサ15によって現在のコモンレール圧力、つまり実噴射圧(Pcnow)を検出する。そして、エンジン回転数センサ11により検出したエンジン回転数(Ne)とアクセル開度センサ13により検出したアクセル開度(Acc)とに基づいて、予め実験的に求められた(Ne−thw)のコモンレール圧マップから目標噴射圧(目標コモンレール圧力:Pctrg)を算出する(ステップ321)。
【0065】
次に、実噴射圧(Pcnow)と目標噴射圧(Pctrg)と下記の数7の式に基づいて圧力偏差値(ΔPc)を算出する(ステップ322)。
【数7】
ΔPc=Pcnow−Pctrg
【0066】
次に、圧力偏差値(ΔP)が所定値(Ksplit)よりも大きいか否かを判定する(ステップ323)。この判定結果がYESの場合、すなわち、ΔP>Ksplitであると判定した場合には、『燃料噴射圧力異常』を判定する分割噴射判定フラグ(Xsplit)をセットし(ステップ324)、ステップ326へ進む。
【0067】
また、ステップ323の判定結果がNOの場合、すなわち、ΔP≦Ksplitであると判定した場合には、分割噴射判定フラグ(Xsplit)をセットせず(ステップ325)、ステップ326へ進む。
以上、分割噴射判定フラグ(Xsplit)の判定により実噴射圧が目標噴射圧の所定値以上か否かを判定できる。
【0068】
次に、減速(フューエルカット)されているか否かを判定する。すなわち、フューエルカット判定フラグ(Xfc)がセットされているか否かを判定する(ステップ326)。この判定結果がYESの場合、すなわち、Xfcがセットされていると判定した場合には、総噴射量(Qall)は0とし(ステップ327)、減速履歴判定フラグ(Xsplit2)をセットし(ステップ328)、そのまま制御域判定ルーチンを終了する(RTS)。
【0069】
また、ステップ326の判定結果がNOの場合、すなわち、Xfcがセットされていないと判定した場合には、ステップ329に進む。
以上、減速履歴判定フラグ(Xsplit2)の判定に基づいて、減速状態にあったか否かを判定できる。
【0070】
次に、総噴射量(Qall)を算出する(ステップ329)。このQallは、エンジン回転数(Ne)とアクセル開度(Acc)の2次元マップとして予め実験で求められている。
【0071】
次に、前段噴射量(Qfront)を算出する(ステップ330)。このQfrontは、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップとして予め実験で求められている。
【0072】
次に、ステップ329、330から求めた総噴射量(Qall)、前段噴射量(Qfront)と下記の数8の式から後段噴射量(Qrear)を算出する(ステップ331)。以上、ステップ329、330、331により通常の分割噴射量が算出される。
【数8】
Qrear=Qall−Qfront
【0073】
次に、後段噴射時期(Trear)を算出する(ステップ332)。このTrearは、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップとして予め実験で求められている。
【0074】
次に、前段噴射時期(Tfront)を算出する(ステップ333)。このTfrontは、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップとして予め実験で求められている。
以上、ステップ332、333により通常の前段噴射時期、後段噴射時期が算出される。
【0075】
次に、減速履歴判定フラグ(Xsplit2)がセットされているか否かを判定する(ステップ334)。この判定結果がNOの場合、すなわち、Xsplit2がセットされていないと判定した場合には、そのまま制御域判定ルーチンを終了し、分割噴射の補正を行わない(RTS)。
【0076】
また、ステップ334の判定結果がYESの場合、すなわち、Xsplit2がセットされていると判定した場合には、分割噴射判定フラグ(Xsplit)がセットされているか否かを判定する(ステップ335)。この判定結果がNOの場合、すなわち、Xsplitがセットされていないと判定した場合には、減速履歴判定フラグ(Xsplit2)のセットを解除し(ステップ336)、そのまま制御域判定ルーチンを終了し、分割噴射の補正を行わない(RTS)。
【0077】
また、ステップ334の判定結果がYESの場合、すなわち、Xsplitがセットされていると判定した場合には、分割噴射判定フラグ(Xsplit)と減速履歴判定フラグ(Xsplit2)とがセットされていて、フューエルカット判定フラグ(Xfc)がセットされていない、すなわち、減速後であり、且つ『燃料噴射圧力異常』であり、且つフューエルカットが解除されている(再加速時である)状態にあるということを判定する分割噴射補正フラグ(Xsplit3)をセットし(ステップ337)、制御域判定ルーチンを終了する(RTS)。
【0078】
次に、本実施例の分割噴射量比補正ルーチンを図11に基づいて説明する。ここで、図11は図9のステップ400の分割噴射量比補正ルーチンを示したフローチャートである。
【0079】
先ず、分割噴射補正フラグ(Xsplit3)がセットされているか否かを判定する(ステップ421)。この判定結果がNOの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていないと判定した場合には、そのまま分割噴射量比補正ルーチンを終了する(RTS)。
【0080】
また、ステップ421の判定結果がYESの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていると判定した場合には、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)を呼び出す(ステップ422)。
【0081】
次に、補正分割噴射量比(燃料噴射量比)αを算出する(前段後段噴射量比変更手段:ステップ423)。この補正分割噴射量比αは、図14に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正分割噴射量比の最適値が求められている。
【0082】
この図14に示す回転速度(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップでは、Ne−Qall毎に補正分割噴射量比(α)の最適値が求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正分割噴射量比の最適値はαnとする。
【0083】
次に、下記の数9の式に基づいて、前段噴射量(Qfront)を補正する(ステップ424)。
【数9】
Qfront=Qall*α
【0084】
次に、下記の数10の式に基づいて、後段噴射量(Qrear)を補正する(ステップ425)。以上をもって、分割噴射量比補正ルーチンを終了する(RTS)。
【数10】
Qrear=Qall−Qfront
【0085】
次に、本実施例の前段噴射時期補正ルーチンを図12に基づいて説明する。ここで、図12は図9のステップ500の前段噴射時期補正ルーチンを示したフローチャートである。
【0086】
先ず、分割噴射補正フラグ(Xsplit3)がセットされているか否かを判定する(ステップ521)。この判定結果がNOの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていないと判定した場合には、そのまま前段噴射時期補正ルーチンを終了する(RTS)。
【0087】
また、ステップ521の判定結果がYESの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていると判定した場合には、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)を呼び出す(ステップ522)。
【0088】
次に、補正前段噴射時期βを算出する(前段噴射時期変更手段:ステップ523)。この補正前段噴射時期βは、図15に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正前段噴射時期の最適値が求められている。
【0089】
図15に示す回転速度(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップでは、Ne−Qall毎に補正前段噴射時期βの最適値が求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正前段噴射時期の最適値はβnとする。
【0090】
次に、前段噴射時期(Tfront)を補正前段噴射時期βに補正する(ステップ524)。
以上をもって、前段噴射時期補正ルーチンを終了する。
【0091】
次に、本実施例の後段噴射時期補正ルーチンを図13に基づいて説明する。ここで、図13は図9のステップ600の後段噴射時期補正ルーチンを示したフローチャートである。
【0092】
先ず、分割噴射補正フラグ(Xsplit3)がセットされているか否かを判定する(ステップ621)。この判定結果がNOの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていないと判定した場合には、そのまま後段噴射時期補正ルーチンを終了する(RTS)。
【0093】
また、ステップ621の判定結果がYESの場合、すなわち、Xsplit3がセットされていると判定した場合には、エンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)を呼び出す(ステップ622)。
【0094】
次に、補正後段噴射時期γを算出する(後段噴射時期変更手段:ステップ623)。この補正後段噴射時期γは、図16に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正後段噴射時期の最適値が求められている。
【0095】
すなわち、図16に示す回転速度(Ne)と総噴射量(Qall)の2次元マップでは、Ne−Qall毎に補正後段噴射時期γの最適値が求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正後段噴射時期の最適値はγnとする。
【0096】
次に、後段噴射時期(Tfront)を補正後段噴射時期γに補正する(ステップ624)。
以上をもって、後段噴射時期補正ルーチンを終了する。なお、図12および図13の補正ルーチンによって前段後段噴射時期変更手段を構成する。
【0097】
次に、図11ないし図13の各補正ルーチンにて決定される補正分割噴射量比α、補正前段噴射時期βおよび補正後段噴射時期γの最適値の求め方を図17ないし図20に基づいて説明する。
【0098】
先ず、補正分割噴射量比αの最適値の求め方を図17に基づいて説明する。ここで、図17(a)、(b)は補正分割噴射量比α(=Qfront/Qall)変化時のエンジン騒音および前段熱発生率ピークの特性を示した図で、図17(c)は補正分割噴射量比α変化時の各分割噴射量比における熱発生率の特性を示した図である。
【0099】
ここで、熱発生率とは、各クランク角度(θ)におけるエンジン1の気筒内圧力(P)と気筒内容積(V)と比熱比(γ)から算出されるものである。
【数11】
dQ/dθ={γ/(γ−1)}・P(θ)・{dV(θ)/dθ}+{1/(γ−1)}・V(θ)・{dP/dθ}
【0100】
補正分割噴射量比αが小さい(α=α2<α1)と、図17(b)に示したように、前段噴射の燃料噴射量(以下前段噴射量と略す)に対して後段噴射の燃料噴射量(以下後段噴射量と略す)は多くなり、後段噴射の燃焼による熱発生率のピークは高くなる。これにより、図17(a)に示したように、エンジン騒音は悪化してしまう。
【0101】
逆に、補正分割噴射量比αが大きい(α=α3>α1)と、図17(b)に示したように、前段噴射量は多くなり、前段噴射の熱発生率のピークは高くなる。これにより、図17(a)に示したように、エンジン騒音は悪化してしまう。
【0102】
以上から補正分割噴射量比αは、前段噴射の熱発生率の燃焼によるピークおよび後段噴射の熱発生率の燃焼によるピークとがともに最も抑制される値を最適値とすることが望ましい。したがって、図17(a)、(b)からも確認できるように、補正分割噴射量比αの最適値は、α1となる。
【0103】
本実施例の補正分割噴射量比αは、図14に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正分割噴射量比の最適値が求められており、例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正分割噴射量比の最適値はαnとなる。
【0104】
次に、補正前段噴射時期βの最適値の求め方を図18に基づいて説明する。ここで、図18(a)は補正前段噴射時期を圧縮上死点から進角した時のエンジン騒音を示した図で、図18(b)は図18(a)において前段噴射を前段噴射時期(β1、β2、β3)で行った時の熱発生率を示した図である。
【0105】
先ず、前段噴射時期(β1)で前段噴射を行った場合、前段噴射の燃料は、高温、高圧の気筒内に噴射されるため、噴射後直ぐに着火し、爆発的に燃焼する。このため、前段噴射の燃焼による熱発生率のピークは高い。よって、前段噴射時期(β1)では、図18(a)に示したように、前段噴射の燃焼によりエンジン騒音は悪化する。
【0106】
前段噴射をβ1より圧縮上死点(TDC)から進角した前段噴射時期(β2)で行った場合、前段噴射の燃料は、気筒内温度がβ1に比べて低い気筒内雰囲気温度内に噴射されるため、前段噴射の燃焼は緩慢となる。このため、前段噴射の燃焼による熱発生率のピークは、図18(b)に示したように、β1で噴射した場合に比べて低くなる。
以上から前段噴射時期(β2)では、前段噴射の燃焼の緩慢化、すなわち、前段噴射の熱発生率のピークの抑制によって、図18(a)に示したように、エンジン騒音は低くなる。
【0107】
次に、前段噴射時期をβ2より更に進角した前段噴射時期(β3)にて前段噴射を行った場合、前段噴射の燃料は、前段噴射時期をβ2で行った場合に比べて更に気筒内温度、気筒内圧力が低いため、前段噴射のみで燃料は着火せず、後段噴射の着火時に後段噴射の燃料の燃焼と共に燃焼する。このため、後段噴射の燃焼時の予混合燃焼のピークは、前段噴射時期(β1、β2)に比べて高くなる。したがって、前段噴射時期(β3)では後段噴射の燃焼による熱発生率のピーク増加によって、図18(a)に示したように、エンジン騒音は悪化する。
【0108】
以上より、最適な補正前段噴射時期βは、前段噴射による噴射燃料が前段噴射のみで燃焼可能な進角範囲内で最も進角した時期(後段噴射の燃焼にできるだけ寄与しない時期)であるとする。図18(a)、(b)においては、最適前段噴射時期はβ2となる。
【0109】
本実施例の補正前段噴射時期βは、図15に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正前段噴射時期の最適値が求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正前段噴射時期の最適値はβnとなる。
【0110】
また、この補正前段噴射時期βは、図15のマップに示されているように、Ne−Qallに応じて変更されているが、これはある傾向を持って変更されている。すなわち、総噴射量(Qall)を大きくする(負荷を大きくする)につれてこの補正前段噴射時期βを進角させる。これは、総噴射量(Qall)を大きくすると、前段噴射量(Qfront)も増加する。これにより、前段噴射の二次燃焼可能な進角範囲は、拡大し、更に進角可能となるためである。
【0111】
また、エンジン回転数(Ne)を大きくするにつれて補正前段噴射時期βは進角させる。一般に回転速度(Ne)を大きくすると、単位時間当たりのクランク角が増加するため、前段噴射の着火時期が圧縮上死点(TDC)側に若干ずれる。進角させる理由は、このずれを補正するためである。
【0112】
次に、補正後段噴射時期γの最適値の求め方を図19および図20に基づいて説明する。ここで、図19(a)は総噴射量(Qall)が少ない(負荷が低い)場合における補正後段噴射時期γを変化させた時のエンジン騒音を示した図で、図19(b)は総噴射量(Qall)が少ない場合における補正後段噴射時期γを変化させた時の熱発生率を示した図である。
【0113】
総噴射量(Qall)が少ない場合は、後段噴射量(Qrear)も少ない。このため、後段噴射時期をγ1からγ2に圧縮上死点(TDC)から遅角しても、後段噴射の着火遅れ期間の増加による着火遅れ期間中の燃料増加はほとんどなく、予混合燃焼量の増加もほとんどない。よって、図19(a)に示したように、エンジン騒音は悪化しない。
【0114】
しかし、後段噴射時期をγ2からγ3へTDCから更に遅角させると、エンジン騒音は低下するが、失火気味となる。これにより、THC排出量は増大し、ドライバビリティーは悪化する。したがって、低負荷における後段噴射時期の最適値(γ)は、失火気味とならない噴射時期とする。図19(a)、(b)においてはγ1またはγ2を後段噴射時期の最適値とする。
【0115】
ここで、図20(a)は総噴射量(Qall)が多い(負荷が高い)場合における補正後段噴射時期γを変化させた時のエンジン騒音を示した図で、図20(b)は総噴射量(Qall)が多い場合における補正後段噴射時期γを変化させた時の熱発生率を示した図である。
【0116】
総噴射量(Qall)が多い場合は、後段噴射量(Qrear)も多い。このため、後段噴射時期をγ1からγ2にTDCから遅角すると、後段噴射の着火遅れ期間の増加による着火遅れ期間中の燃料も増加し、予混合燃焼量は増加し、予混合燃焼のピークも増加する。よって、図20(a)に示したように、エンジン騒音は悪化する。
【0117】
しかし、後段噴射時期をγ2からγ3へTDCから更に遅角すると、エンジン騒音は低下するが、失火気味となる。これにより、THC排出量は増大し、ドライバビリティーは悪化する。したがって、高負荷における後段噴射時期の最適値(γ)は、着火遅れによる予混合燃焼のピークの増加を抑制できるTDC近傍とする。図20(a)、(b)においてはγ1を後段噴射時期の最適値とする。
【0118】
以上まとめると、補正後段噴射時期γはTDC近傍を限界として、後段噴射の予混合燃焼のピークが最も抑制できる時期まで進角するものとする。
【0119】
本実施例の補正後段噴射時期γは、図16に示したように、予めエンジン回転数(Ne)と総噴射量(Qall)のマップとして、実験的に補正後段噴射時期の最適値が求められている。例えば回転速度がNe(n)とNe(n+1)との間にあり、総噴射量がQall(n)とQall(n+1)との間にある場合の補正後段噴射時期の最適値はγnとなる。
【0120】
また、この補正後段噴射時期γは、図16のマップに示されているように、Ne−Qallに応じて変更されているが、これはある傾向を持って変更されている。すなわち、総噴射量(Qall)が少ない時(エンジン負荷が小さい時)、この補正後段噴射時期γが失火しない範囲内で、且つTDC近傍まで進角されていない場合は、エンジン負荷が大きくなるに連れて、TDC近傍まで進角する。これは、後段噴射の予混合燃焼のピークを抑制することで、エンジン騒音を低下させるためである。
【0121】
また、エンジン回転数(Ne)を大きくするにつれて補正後段噴射時期γは進角させる。一般に回転速度(Ne)を大きくすると、単位時間当たりのクランク角が増加するため、後段噴射の着火時期が遅角する。遅角させる理由は、このずれを補正するためである。
【0122】
ここで、図21は減速から再加速にかけての噴射圧、フューエルカット判定フラグ(Xfc)、分割噴射判定フラグ(Xsplit)、減速履歴判定フラグ(Xsplit2)、分割噴射補正フラグ(Xsplit3)および総噴射量(Qall)の変化を示したタイムチャートである。
【0123】
フューエルカット判定フラグ(Xfc)がセットされておらず、且つ分割噴射判定フラグ(Xsplit)がセットされており、且つ減速履歴判定フラグ(Xsplit2)がセットされている場合において、分割噴射補正フラグ(Xsplit3)がセットされ、最適な分割噴射に補正される。
【0124】
この効果を図22に示す。図22は減速後の再加速時の任意の燃料噴射圧力異常時のエンジン運転条件におけるエンジン騒音を示した図である。これによると、各エンジン運転条件ともに、最適な分割噴射補正によりエンジン騒音は制御なし(高コモンレール圧力時の通常噴射)に比べて制御あり(高コモンレール圧力時の分割噴射)の方を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジン用電子制御噴射システムの全体構成を概略的に示した系統図である(第1実施例)。
【図2】エンジンの始動時、高コモンレール圧力における分割噴射量比変更制御を追加したベースルーチンを示したフローチャートである(第1実施例)。
【図3】制御域判定ルーチンを示したフローチャートである(第1実施例)。
【図4】分割噴射量比補正ルーチンを示したフローチャートである(第1実施例)。
【図5】(a)はエンジン回転数に対する基本所定値を示した特性図で、(b)は冷却水温に対する所定値水温補正係数を示した特性図である(第1実施例)。
【図6】分割噴射量比のNe−thwに対する2次元マップである(第1実施例)。
【図7】エンジン始動時におけるエンジン騒音、噴射圧および各判定フラグの変化を示したタイムチャートである(第1実施例)。
【図8】(a)、(b)は初爆における制御なしと制御ありの場合の圧力上昇率の比較結果を示したグラフである(第1実施例)。
【図9】減速後の再加速時、高コモンレール圧力における分割噴射補正制御を追加したベースルーチンを示したフローチャートである(第2実施例)。
【図10】制御域判定ルーチンを示したフローチャートである(第2実施例)。
【図11】分割噴射量比補正ルーチンを示したフローチャートである(第2実施例)。
【図12】前段噴射時期補正ルーチンを示したフローチャートである(第2実施例)。
【図13】後段噴射時期補正ルーチンを示したフローチャートである(第2実施例)。
【図14】補正分割噴射量比αのNe−Qallに対する2次元マップである(第2実施例)。
【図15】補正前段噴射時期βのNe−Qallに対する2次元マップである(第2実施例)。
【図16】補正後段噴射時期γのNe−Qallに対する2次元マップである(第2実施例)。
【図17】(a)、(b)は補正分割噴射量比α変化時のエンジン騒音および前段熱発生率ピークの特性を示したグラフで、(c)は補正分割噴射量比α変化時の各分割噴射量比における熱発生率の特性を示したグラフである(第2実施例)。
【図18】(a)は補正前段噴射時期β変化時のエンジン騒音の特性を示したグラフで、(b)は補正前段噴射時期β変化時の各前段噴射時期における熱発生率の特性を示したグラフである(第2実施例)。
【図19】(a)は補正後段噴射時期γ変化時の低負荷でのエンジン騒音の特性を示したグラフで、(b)は補正後段噴射時期γ変化時の各後段噴射時期における低負荷での熱発生率の特性を示したグラフである(第2実施例)。
【図20】(a)は補正後段噴射時期γ変化時の高負荷でのエンジン騒音の特性を示したグラフで、(b)は補正後段噴射時期γ変化時の各後段噴射時期における高負荷での熱発生率の特性を示したグラフである(第2実施例)。
【図21】減速から再加速にかけての噴射圧、各判定フラグおよび総噴射量の変化を示したタイムチャートである(第2実施例)。
【図22】(a)、(b)は再加速時の任意の高噴射圧運転条件におけるエンジン騒音の比較結果を示したグラフである(第2実施例)。
【符号の説明】
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 燃料タンク
3 フィードポンプ
4 燃料噴射ポンプ
5 コモンレール
6 高圧パイプ
7 インジェクタ(燃料噴射弁)
8 調整用電磁弁
9 制御用電磁弁
10 ECU(目標噴射圧力決定手段、燃料噴射圧力異常判断手段、前段後段噴射量比変更手段)
11 エンジン回転数センサ(運転状態検出手段)
12 アクセルペダル
13 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
14 冷却水温センサ(運転状態検出手段)
15 圧力センサ(噴射圧力検出手段)
Claims (5)
- 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
この運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態に基づいて、減速後の再加速時であるか否かを判定する減速後再加速時判定手段と、
この減速後再加速時判定手段によって減速後の再加速時であると判定された際に、1行程で行う燃料噴射を前段噴射と後段噴射とに2分割する分割噴射制御を行う分割噴射制御手段と
を備え、
前記分割噴射制御手段は、前記内燃機関に噴射される実際の噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段、
前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記内燃機関に噴射する目標噴射圧力を決定する目標噴射圧力決定手段、
前記噴射圧力検出手段にて検出した実際の噴射圧力と前記目標噴射圧力決定手段にて決定した目標噴射圧力との圧力偏差が判定値以上の時に、燃料噴射圧力異常であると判定する燃料噴射圧力異常判定手段と、
この燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射の燃料噴射時期および前記後段噴射の燃料噴射時期を変更する前段後段噴射時期変更手段
を有し、
前記前段後段噴射時期変更手段は、前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記前段噴射の燃料噴射時期または前記後段噴射の燃料噴射時期の少なくとも一方を進角し、
前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射による噴射燃料が前記前段噴射のみで燃焼可能な進角範囲内で最も進角した時期で前記前段噴射を行うことを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
この運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態に基づいて、減速後の再加速時であるか否かを判定する減速後再加速時判定手段と、
この減速後再加速時判定手段によって減速後の再加速時であると判定された際に、1行程で行う燃料噴射を前段噴射と後段噴射とに2分割する分割噴射制御を行う分割噴射制御手段と
を備え、
前記分割噴射制御手段は、前記内燃機関に噴射される実際の噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段、
前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記内燃機関に噴射する目標噴射圧力を決定する目標噴射圧力決定手段、
前記噴射圧力検出手段にて検出した実際の噴射圧力と前記目標噴射圧力決定手段にて決定した目標噴射圧力との圧力偏差が判定値以上の時に、燃料噴射圧力異常であると判定する燃料噴射圧力異常判定手段と、
この燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射の燃料噴射時期および前記後段噴射の燃料噴射時期を変更する前段後段噴射時期変更手段
を有し、
前記前段後段噴射時期変更手段は、前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記前段噴射の燃料噴射時期または前記後段噴射の燃料噴射時期の少なくとも一方を進角し、
前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記後段噴射の燃料噴射時期を、圧縮上死点近傍を限界として、前記後段噴射の予混合燃焼の熱発生率のピークを最も抑制できる時期まで進角することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用燃料噴射装置において、
前記運転状態検出手段は、前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段、前記内燃機関の機関負荷を検出する機関負荷検出手段、あるいは前記内燃機関の機関冷却水温を検出する機関冷却水温検出手段のうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
この運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態に基づいて、減速後の再加速時であるか否かを判定する減速後再加速時判定手段と、
この減速後再加速時判定手段によって減速後の再加速時であると判定された際に、1行程で行う燃料噴射を前段噴射と後段噴射とに2分割する分割噴射制御を行う分割噴射制御手段と
を備え、
前記分割噴射制御手段は、前記内燃機関に噴射される実際の噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段、
前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記内燃機関に噴射する目標噴射圧力を決定する目標噴射圧力決定手段、
前記噴射圧力検出手段にて検出した実際の噴射圧力と前記目標噴射圧力決定手段にて決定した目標噴射圧力との圧力偏差が判定値以上の時に、燃料噴射圧力異常であると判定する燃料噴射圧力異常判定手段、
この燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射の燃料噴射時期および前記後段噴射の燃料噴射時期を変更する前段後段噴射時期変更手段と、
前記燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射と前記後段噴射との燃料噴射量比を変更する前段後段噴射量比変更手段と
を有し、
前記前段後段噴射時期変更手段は、前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射の燃料噴射時期を、前記前段噴射による噴射燃料が前記前段噴射のみで燃焼可能な進角範囲内で最も進角した時期とし、
前記前段後段噴射量比変更手段は、前記前段噴射による燃焼強度と前記後段噴射による燃焼強度とがほぼ同等になるように変更することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。 - 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
この運転状態検出手段にて検出した前記内燃機関の運転状態に基づいて、減速後の再加速時であるか否かを判定する減速後再加速時判定手段と、
この減速後再加速時判定手段によって減速後の再加速時であると判定された際に、1行程で行う燃料噴射を前段噴射と後段噴射とに2分割する分割噴射制御を行う分割噴射制御手段と
を備え、
前記分割噴射制御手段は、前記内燃機関に噴射される実際の噴射圧力を検出する噴射圧力検出手段、
前記運転状態検出手段にて検出した運転状態に基づいて、前記内燃機関に噴射する目標噴射圧力を決定する目標噴射圧力決定手段、
前記噴射圧力検出手段にて検出した実際の噴射圧力と前記目標噴射圧力決定手段にて決定した目標噴射圧力との圧力偏差が判定値以上の時に、燃料噴射圧力異常であると判定する燃料噴射圧力異常判定手段、
この燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射の燃料噴射時期および前記後段噴射の燃料噴射時期を変更する前段後段噴射時期変更手段と、
前記燃料噴射圧力異常判定手段によって前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記前段噴射と前記後段噴射との燃料噴射量比を変更する前段後段噴射量比変更手段と
を有し、
前記前段後段噴射時期変更手段は、前記燃料噴射圧力異常であると判定された際に、前記後段噴射の燃料噴射時期を、圧縮上死点近傍を限界として、前記後段噴射の予混合燃焼の熱発生率のピークを最も抑制できる時期まで進角し、
前記前段後段噴射量比変更手段は、前記前段噴射による燃焼強度と前記後段噴射による燃焼強度とがほぼ同等になるように変更することを特徴とする内燃機関用燃料噴射装置。
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